【雨と月 1話】   投稿者:はぐれ観戦者様  推敲手伝い・加筆:事務員



 疾風のような速度で何者かが走り抜けていく。素早い身のこなし、膨らんだ胸元、引き締まった腹部、丸みを帯びた臀部から若い女性であろうと推測される。
「はっ・・・はっ・・・!」
 通路にもう隠せないほど荒い息が響く。女性は刻々と狭まる包囲網を感じ取っていた。
(くっ!)
 進もうとした方向に生じた気配に、急転換で走る向きを変える。
(・・・誘導、されてる)
 網へと追い込まれる魚のように、逃げても逃げても、否、逃げれば逃げるほどに包囲網が口を閉じていく。
「っ!」
 突如、闇から複数の人影が生じた。ここにきて、女性は自分が罠を突破できなかったと認めざるを得なかった。
「・・・動きを止めろ。抵抗は無意味だ」
 低く響く声に、女性はゆっくりと両手を上げて降参の意を示した。照明の下に映るその顔は、驚くほど若いものだった。



 犠牲者の名は「辻倉(つじくら)美雨(みう)」。17歳。身長157cm。 B85(Eカップ)・W57・H83。背中まで届く黒髪のロングヘアーだが、余り手入れをしていないのか、美しさを秘めた髪はボサボサとなっている。前髪が目元を半分隠していること、非常に無口で感情の起伏が少ないことなどから陰気な印象を与える。しかしよく観察してみれば、ぱっちりとした目元を持つ相当な美少女であることが伺える。
 一見するとただの暗い少女に見える美雨の正体は、報酬さえあればスパイ活動や用心棒などの汚れ仕事をこなす裏社会の人間であった。
 今回の雇い主は「御前」の莫大な財産を狙った「御前」の部下であり、美雨は情報操作と財産の奪取のために「御前」の懐に潜入する。だが、それを許す「御前」ではなかった。すんでの所で美雨は捕らえられてしまい、「御前」を裏切り、美雨を雇った部下には人生最後の罰が与えられた。
 死を覚悟した美雨だったが、〈地下闘艶場〉に出場することが命じられた。勝利を挙げれば解放という条件を、美雨には受け入れるしか選択肢がなかった。


「・・・これ・・・衣装?」
 美雨が控え室で手渡された衣装は美雨にはサイズが大きい前開きのパーカーであった。それだけなら普通の服なのだが、渡されたのはパーカーのみで下に履くものは用意されておらず、下着の上にパーカーを着る形になる。
「・・・他に着るもの・・・ないの・・・?」
「こちらで用意した衣装を着て闘う。そう命じられた筈でしょう?」
 黒服の女性にそう突き離され、美雨は試しにその衣装を着てみると、サイズが大きいために何とか膝上まで覆い隠してくれていた。しかし、パーカーのファスナーを閉めようとすると、美雨の豊かなバストが邪魔をして閉まり切らず、ファスナーの隙間から魅惑の谷間が覗く。
「・・・・・・。」
 美雨は無表情で自分の姿を見下ろし、言葉を発することなく、あらかじめ用意されていたガウンを羽織ると入場の合図を待った。

 ガウン姿で花道を進む美雨に様々な野次が飛ばされる。観客の中には美雨の暗躍により莫大な損害を受けた者もおり、本気で怒りをぶつけるような野次を飛ばしていた。
 しかし、美雨は表情を変えずに無言でリングに向かう。

「赤コーナー!『ヘタレキング』早矢仕(はやし)杜丸(とまる)!」
 勝ち星の少ない早矢仕の名がコールされると、いつものようにブーイングが巻き起こった。早矢仕はもはや慣れたのか呑気に構えており、その様子をレフェリーは呆れ顔で見つめる。
「なんでこんな時にお前なんだよ・・・。」
「いやー、可愛い娘と戦えるって聞いたら、いても立ってもいられなくて。」
 男二人がそんなやり取りをしている間に美雨の名がコールされる。
「青コーナー!『サイレントアサシン』辻倉美雨!」
 美雨がガウンを脱ぎ捨てるとパーカー一枚といった無防備な格好に加え、パーカーから伸びたすらりとした美脚や細身な体には不釣り合いなバスト、ファスナーからチラリと覗く谷間に観客からは野次と共に粘つく視線が送られる。

 レフェリーは早矢仕のボディチェックを手早く済ませ、次は美雨に近寄る。
「ほら、辻倉選手、ボディチェックだ。」
「・・・やれば?」
 美雨の返答も半ばに、レフェリーは美雨の肩、腕、パーカーの袖口を調べていく。
「さて、次は・・・。」
 にやけたレフェリーは美雨の盛り上がったバストに触れようと手を伸ばす。しかし、その手は美雨が素早くレフェリーの腕を掴んだことにより阻止される。
「・・・どこ・・・触ろうとしてるの・・・?」
「い、いや・・・だからボディチェック・・・。」
「・・・。」
 美雨はなおもバストに触れようとする腕をそのまま捻り上げる。
「痛たたた!何するんだ!?」
「・・・そっちこそ・・・。」
「そんだけ大きいなら何か武器を隠してるかもしれな・・・痛ぇええ!」
 レフェリーは痛みを耐えながら反論するが、美雨は表情を変えぬまま腕をさらに捻り上げた。
「わ、わかった!わかった!辻倉選手へのボディチェックは無しだ!これでいいだろ!?」
「・・・。」
 美雨の冷やかな視線と腕に走る痛みにレフェリーが耐えきれずそう叫ぶと、美雨はレフェリーの腕を解放する。
「くそ・・・今に見てろ・・・ゴング!」
 自分の腕を擦りながらレフェリーは試合開始の宣言をし、ゴングが鳴る。

〈カーン!〉

「よーし!行くよ美雨ちゃ・・・ってあれ?」
 美雨に飛びかかろうとした早矢仕は目を見張った。何故なら目を離した覚えも無いのに美雨の姿が忽然と消えていたからだ。
「あれ、美雨ちゃんは・・・ごふっ!」
 早矢仕が反応するより速く懐に接近していた美雨は素早く早矢仕の鳩尾に貫手をいれる。あまりの速業に観客たちも呆気にとられる。
「げほっ・・・げほっ・・・。」
「・・・鈍いよ・・・。」
 腹部を襲った衝撃に咳き込みながらよろめく早矢仕を美雨はそのまま早矢仕を引き倒す。
 さらに、仰向けに倒れた早矢仕の体に馬乗りになり、喉元を両手で掴んで絞めていく。
「み、美雨ちゃん・・・やめ・・・かはっ・・・。」
 首を絞められて気道に圧力をかけられたことにより、早矢仕は呼吸困難に陥り、酸素を求めて口を鯉のようにパクパクと開閉させる。
(・・・このまま・・・殺す・・・。)
 美雨は苦しむ早矢仕を無表情で見下ろし、首を絞める力を強くしていく。
 早矢仕はギブアップの意を示すため、必死にリングを叩く。

〈カンカンカン!〉

 このまま続行すれば早矢仕の命に関わると判断したのかレフェリーの指示を待たずにゴングが鳴る。
 しかし、美雨は早矢仕の体から退くことは無く、手を緩めることも無かった。
「おい!試合終了だ!これ以上の攻撃は失格とするぞ!?」
 レフェリーは美雨の肩を掴み、早矢仕の体から引き離そうとする。美雨はレフェリーに従い、早矢仕の体から離れた。 
 早矢仕が黒服に介抱されながらリングを離れる間、美雨はある決意を固めていた。
(・・・アイツを見つけるまでは・・・負けられない・・・死ぬわけにはいかない・・・。)

 美雨の人並み外れた実力は美雨の特殊な生い立ちが関係していた。
 とある名家の一人娘として産まれた美雨は、そのまま何不自由無く暮らしていけるはずであった。しかし、まだ美雨が幼い頃に敵対組織の雇った暗殺者によって両親を殺されてしまう。
 本来なら美雨も殺されるところなのだが、暗殺者がまだ幼い美雨を殺すことを良しとしなかったのか、もしくはただの気まぐれなのか、美雨はその暗殺者に拾われ、その身に暗殺の技術、体術を教えこまれながら育てられてきた。「辻倉美雨」はその時に名付けられた名である。
 その頃の美雨は幼かったこともあり、暗殺者の教えを受けながら育っていったが、次第に暗殺者への復讐心が芽生え始め、15歳の時に暗殺者の元から逃げ出し、復讐を誓って、裏社会の人間として依頼を受けながら生きていくこととなった。今回の依頼を受けたのは「御前」の配下に復讐相手の暗殺者がいるかもしれない、もしくは暗殺者に繋がる情報があると考えたからである。

(・・・アイツを・・・絶対・・・この手で・・・。)
 美雨が決意を新たにしている間、レフェリーはリング下にいる黒服と何やら話をする。しばらくするとマイクを持った黒服が客席に向かって発表する。
「辻倉選手は先ほどボディチェックを拒否しました!そのため、追加試合を実施します!」
「・・・!」
 予想もしていなかった展開に、美雨は棒立ちとなってしまう。その反応が嬉しいのか、レフェリーがにや突きながら声を掛けてくる。
「本来ならボディチェックは必須だからな、それとも大人しく『御前』の粛清を受けるか?」
 雇われたとはいえ、「御前」への反逆ともいえる行為に加担したのだ。美雨にどのような処罰が下されるかは分からない。美雨の選択肢は1つしか無かった。
「・・・わかった・・・。」
 美雨が追加試合を承諾すると、花道に一人の人影が現れる。美しい銀髪、抜群のプロポーションを漆黒のスーツに身を包んだ美女・・・。〈地下闘艶場〉でも名の通った猛者。ナスターシャ・ウォレンスキーだった。

「赤コーナー!『銀豹』ナスターシャ・ウォレンスキー!」
 ナスターシャはコールと共にスーツの上着を脱ぎ去り、動きやすい格好となる。
「青コーナー!『サイレントアサシン』辻倉美雨!」
 コールをされても美雨はただじっと次なる相手であるナスターシャを睨んでいた。
「・・・元KGB・・・ナスターシャ・・・ウォレンスキー・・・。」
「ほう、私のことを知っているとは光栄だな。今は・・・辻倉美雨と名乗っているのだったか?」
 美雨は「御前」の側近であるナスターシャのことは事前に調べあげていた。また、ナスターシャの方も近頃、裏社会で名が通っている美雨の存在は知っており、いくつもの偽名を使用していることも分かっていたのだ。
 二人の冷たい視線が交差する中、レフェリーはボディチェックのために二人の間に割って入る。
「さて、両者共にボディチェックを・・・。」
「貴様は黙っていろ。」
「・・・消えて・・・。」
「あ、え・・・わ、わかった・・・そのまま試合を開始する。」
 何故か息の合ったナスターシャと美雨から発せられる威圧感に負け、レフェリーは大人しく引き下がり、試合開始の合図を送る。

〈カーン!〉

 ゴングが鳴ると同時に美雨は凄まじいスピードでナスターシャに詰め寄り、貫手を繰り出す。しかし、ナスターシャはこれを体の向きをずらすことで避けた。
「・・・!」
 ナスターシャは接近した美雨を投げようと手を伸ばすが、危険を察知した美雨はすぐさま後方へ飛び退き、手をかわして距離を取る。
「ほう、いい判断力だ。」
「・・・そう・・・。」
 ナスターシャの挑発に端的に答え、美雨は再び接近する。また貫手が来ると予測したナスターシャは避けの姿勢をとるが、それは美雨のフェイントであり、美雨はナスターシャの死角から逆の手で抜き手を繰り出す。
「なっ!?」
 予想外の死角からの攻撃にナスターシャは体の軌道を変えてそれを避けようとするが、美雨の貫手が胸元に当たる。
「ぐぅっ!」
 咄嗟に体の軌道を変えたことによりダメージは最小限で済んだが、ワイシャツのボタンがいくつか弾け飛んでダークパープルのブラが覗く。
「ちっ・・・やるな・・・。」
 間髪入れず素早くナスターシャの側面に回り込んだ美雨は脇腹を狙って鋭い蹴りを入れる。
 ナスターシャは腕で防御した後に美雨を捕らえようとするが、手を伸ばそうとした時には既に美雨はナスターシャの死角に回り込む。
 美雨はそれを繰り返し、ナスターシャの周りを飛び回り、鋭い蹴りや貫手を入れていく。ナスターシャも躱しながら何とか美雨を捕らえようとするが、美雨は小柄な体をいかして素早く体を捻らせ、ナスターシャの手をかわしていく。
(なんて速さだ・・・捉えきれない・・・!)
 ナスターシャは美雨の速さに翻弄され、防戦一方となる。的確に防御をしているため、致命傷には至っていないが、ダメージは蓄積し、美雨の攻撃が掠めたことによって所々服が破けていき、ダークパープルのブラがより見えるようになり、破けたズボンからは美脚が覗く。
「・・・所詮・・・あなたは・・・『御前』に屈した・・・負け犬・・・。」
「なんだと・・・貴様・・・!」
 美雨が周りを飛び回りながら呟いた残忍な言葉にナスターシャは防戦一方だったこともあり、頭に血が上ってしまい、美雨に一撃加えようと大振りなアッパーを繰り出す。
「・・・今・・・!」
 しかし、それは美雨の仕掛けた罠であった。大振りな技を難なくかわし、隙だらけなナスターシャにスピードの乗った蹴りを喰らわす。
「ぐあぁっ!」
 美雨の蹴りをモロに喰らってしまい、よろめいたナスターシャは耐えきれずにリングに倒れこむ。
「・・・これで・・・とどめ・・・。」
 とどめの一撃を加えようと美雨はナスターシャに急接近する。
 何とか立ち上がったナスターシャの表情から、ふっと力が抜ける。
(やれやれ・・・こうするしかないか)
 なんと、ナスターシャは接近してくる美雨に対して防御の構えをとらなかったのだ。一瞬美雨は驚いたが、そのままナスターシャの鳩尾を狙って貫手を差し込もうとする。
 ナスターシャは先ほどまでただ防戦をしていたわけでは無かった。防御をしながら美雨の攻撃のクセを探っていたのだ。美雨は相手の内臓にダメージを与えられる腹部や胸部をよく狙う傾向にあった。とどめの一撃には鳩尾を狙うと読んでいた。
「ぐはっ!」
 ナスターシャはあえて美雨の貫手を防御せずに受ける。
(わかっていたとは言えきつい・・・だが、攻撃の瞬間なら逃げようがないだろ!)
 腹部を襲う衝撃に耐えながら、予想通り鳩尾への攻撃を加えてきた美雨の手を掴んで引き寄せる。
「・・・なっ・・・!?」
 そのままパーカーの襟元を掴み、柔道の要領で美雨をリングへ投げる。
「がぁっ!」
 スピードが乗っていた分リングへ叩きつけられた美雨へのダメージは大きく、少しの間、美雨は動けずにいた。そこにレフェリーが近付き、ギブアップの確認を取る。
「辻倉選手。ギブアップか?」
「・・・まだ・・・。」
 かなりのダメージを受けたが、美雨はそれを表に出さないようにゆらりと立ち上がり、再びナスターシャに向き合う。
「まだ立ち上がれるか。」
 ナスターシャの目が細められる。
 美雨は表情を変えぬままナスターシャに向き合っていたが、長時間戦い続けた疲れや自らが誇っていたスピードが見切られ始めたことに内心動揺をしていた。その動揺を振り払うように美雨はナスターシャに次なる攻撃を加えるために駆けようとする。
 しかし、美雨は動揺と疲れからか、いつもなら気付けたはずのある異変に気付いていなかった。
「へへへ・・・捕まえたよ美雨ちゃーん!」
 いつの間にかリング下から先ほど倒したはずの早矢仕が忍び寄り、美雨の片足を抱え込んでいたのだ。
「おっ?美雨ちゃんのパンツ丸見え!へぶっ!」
「・・・っ!離して!」
 早矢仕にパーカーの下から下着を除きこまれ、美雨はもう片方の足で早矢仕を蹴り飛ばす。だが、美雨に忍び寄っていたのは早矢仕だけでは無かった。
「辻倉選手。もうギブアップした選手に攻撃するのはルール違反だぞ?」
「やっ・・・!」
 早矢仕に気をとられてる間に背後からレフェリーが近付き、美雨のバストを掴み、揉んでくる。
「んんっ・・・や、やめて!」
「おぐっ!?」
 美雨は咄嗟に肘打ちでレフェリーを撃退する。
 しかし次の瞬間、美雨の視界が反転し、背中に強烈な衝撃が走る。
「あぁあああ!」
 何が起こったのか分からなかった美雨だが、自分がリングに横たわっており、自分を見下ろすナスターシャの姿に全てを理解した。
 レフェリーや早矢仕のセクハラの隙に近付いたナスターシャが美雨の腕とパーカーを掴み、背負い投げでリングに叩きつけたのだ。
「げほっ・・・げほっ・・・ひ、卑怯・・・。」
「何を言ってるんだ?これも『仕事』だ。裏の世界の人間なら・・・甘いことをぬかすな!」
 ナスターシャは横たわる美雨の腹に目掛けて強烈な蹴りを放つ。
「ぐふっ!」
 防御することも出来ずにまともに蹴りを受けた美雨は呻くことしか出来なかった。
 動けない美雨にレフェリーと早矢仕はセクハラをするために近寄ろうとするが、ナスターシャの鋭い眼光によって止められる。
「貴様ら・・・余計な横槍を入れただけじゃなく、何をするつもりだ?」
「し、仕方ないじゃないッスか!あのままじゃナスターシャさん負けてたかもしれないんスよ!?」
「そ、そうだ!それに今回の試合の目的は『粛清』だ、分かってるよな!?」
 必死に弁明するレフェリーたちを一瞥したかと思うと、ナスターシャは男たちの頬を張り飛ばす。
「ぐわっ!?」
「あぶへっ!」
「奴はしばらくは動けない、後は貴様らに任せてやる。」
 不機嫌さを隠そうともせず、ナスターシャはリングを下りる。
(いくら「御前」の命だとはいえ、女の日に無理をする必要もなかったか)
 不規則に痛む下腹部を擦り、ナスターシャは苦い舌打ちをした。
(それでも、攻撃を食らってやる気はなかったんだがな)
 美雨の素早さは想像以上だった。もう一度舌打ちしたナスターシャは、ゆっくりと花道を下がっていった。

「・・・行ったな」
「・・・行きましたね」
 頬を押さえていたレフェリーと早矢仕がぽつりと呟く。
「・・・それじゃあ」
「本番、いっちゃいますか!」
 ナスターシャが去ったのを見届け、レフェリーと早矢仕は顔を見合わせる。一つ頷いてから、動けない美雨に群がり、早矢仕は美雨の両手を足で押さえ、レフェリーは両脚の上に跨がる。
「散々手こずらせやがって。これでやっとボディチェックができるな。」
「・・・っ!・・・離して・・・!」
 普段ならこの程度の拘束など苦もなく跳ね飛ばし、反撃を行う所だが、ナスターシャに投げられたダメージが残っており、二人の拘束から抜け出せる力は戻っていなかった。
「さて、まずはこのおっぱいからだな。」
 レフェリーはパーカーの上からでも存在を主張する美雨のEカップを誇るバストに手を伸ばし、揉み始めた。
「あっ、どこに・・・触って・・・。」
「体は細身なのに、おっぱいはこんなに大きいんだな。」
 美雨が抵抗出来ないのをいいことにレフェリーはそのまま美雨のバストを丹念に揉み続ける。
「んぅっ・・・んっ・・・。」
「おっ?なんだか気持ち良さそうな声がするな?別に我慢しなくていいんだぞ?」
「が、我慢・・・なんて・・・んあっ!」
 レフェリーがバストを揉むたびに今まで淡々と喋っていた美雨の口から甘い吐息が漏れ始める。
(なんで・・・?おっぱい触られてるだけなのに・・・体が・・・。)
 美雨は漏れそうになる吐息を必死に抑えながら、自分の体から生み出される感覚に戸惑っていた。

 幼い頃より暗殺の技術をひたすらに叩きこまれて育ってきた美雨は、羞恥心こそ持ち合わせているが、性的な知識が不十分であった。
 しかし、暗殺者として鍛えられ、周りの気配や五感が敏感になるにつれて、本人も気付かない内に性的な感覚にも敏感に反応するようになっていたのだ。
 その結果、美雨の豊満なバストはパーカーと下着の上から揉まれているだけでも、痺れるような未知の快感を生み出した。快感により、美雨は入れようとした力が霧散し、今まで発したことの無いような声を上げさせられていた。

「レフェリーさん!そろそろ俺にもおっぱい触らせてくださいよ!」
「ちっ、まだ俺が楽しんでる最中だってのに・・・ほら、片方お前に分けてやるよ。」
 レフェリーが美雨の左のバストから手を退けると、すぐさま早矢仕がバストを揉み始めた。
「はぅん・・・触らないで・・・んんっ!」
「美雨ちゃんの喘ぎ声、可愛くてエロいっスね!」
 別々にバストを揉まれ、左右で違った快感が生まれてしまい、美雨はさらに声が漏れだす。その声を聞きながらレフェリーはパーカーのファスナーに手をかけた。
「さて、そろそろこれを脱がせるかな。」
「やっ・・・そんなのダメ・・・あっ!?」
 美雨が止めるのも聞かずにレフェリーはパーカーのファスナーを一気に下ろし、前を開く。
 すると、ピンク色を基調とし、所々に黒のリボンで装飾されている上下お揃いの可愛らしい下着を身につけた美雨の裸体が観衆の目に曝され、観客からは野次や口笛などが響く。
「おっ、結構可愛い感じの下着なんだな。似合ってるぞ?」
 レフェリーと早矢仕は美雨の手足を押さえながら、美雨の下着をじっくりと眺める。男達の欲望にまみれた視線に当てられ、美雨は恥ずかしさから身を捩る。
「やだ・・・そんなに見ちゃダメ・・・。」
 クールに振る舞っていた先ほどまでとはうってかわって赤面し、恥じらいの表情を浮かべながら身を捩ってEカップのバストを揺らす美雨の色っぽさに観客からは荒い息や溜め息が漏れる。
 それを間近で見ているレフェリー達はたまらなくなったのか、導かれるようにバストに手を伸ばして揉み始めた。
「あんっ・・・おっぱい揉まないで・・・んぅっ!」
 ブラ越しにバストを揉まれるのは衣装越しの時とはまた違い、美雨は喘がされた。
「くぅっ・・・こ、こんな・・・あふぅ・・・。」
「ブラ越しに揉むだけで随分気持ち良さそうだな?こっちはどうだ?」
 レフェリーは一度バストから手を離し、引き締まった腹部を撫でた後に下着越しに秘部を撫でる。
「っ!そこは・・・ひゃあん!」
 下腹部への刺激に、胸への責め以上の快感が奔った。
「そんなに仰け反って、こっちも相当敏感みたいだな?」
「レフェリーさん!そんなことより俺、美雨ちゃんの生おっぱい見てみたいっスよ!」
「今日のお前は注文が多いな・・・まぁいいだろ、任せる。」
 レフェリーから許可が降りると、早矢仕は早速美雨の背中に手を回す。
「あっ・・・ま、待って!」
 早矢仕がブラのホックを探っていることに気が付くと、美雨の表情が変わる。
「んー?どうしたの美雨ちゃん?」
「待って・・・おっぱい見られるの・・・恥ずかしいよ・・・。」
「心配しなくても、お客さんにもしっかり見てもらうからね!」
 勝手なことを言いながら、早矢仕はブラのホックを外し、カップの繋ぎ目を掴む。
「ダ、ダメ!脱がさないで!ああっ!」
 美雨の哀願など気にも留めず、早矢仕はカップを上にずらしてしまう。ブラから開放された美雨のEカップのバストがまろび出る。観客やレフェリー達の視線はその豊かな乳房に釘付けとなった。
「さ、脱ぎ脱ぎしようね、美雨ちゃん」
 早矢仕はそのまま器用にパーカーとブラを腕から引き抜き、美雨は観衆の前でパンティ一枚のセミヌードとなってしまう。
「いや・・・見ないで・・・。」
「へへへ・・・美雨ちゃんのブラゲット!」
 早矢仕は引き抜いたブラを一度掲げた後で匂いを嗅ぐ。
「あ、な、なにして・・・」
「あー、美雨ちゃんの匂い・・・たまんない!」
 美雨の羞恥にも気づかず、早矢仕はブラに残る美雨の残り香を堪能する。
「どれ、生のおっぱいの感触はどうだ?」
 その間にレフェリーは美雨の剥き出しの乳房に手を伸ばし、捏ね回し始めた。
「はうっ・・・おっぱい揉むの・・・ダメ・・・やぁん・・・。」
「やっぱり生の感触は格別だな。」
「あっ!レフェリーさんズルいっスよ!俺も触らせて貰いますよ!」
 慌ててブラをパーカーごと黒服に放り投げた早矢仕は、レフェリーに負けじと乳房を揉み回す。
 レフェリーと早矢仕から直接乳房を触られ、美雨の乳房はより強い快感を伝える。
「おっ!美雨ちゃん、乳首が立ってきたね?」
 レフェリー達の愛撫により、美雨の乳首は固く立ち上がってしまう。早矢仕はそれを指摘し、美雨が恥ずかしがる反応を期待したが、返ってきたのは予想外の反応だった。
「あんっ・・・ち、乳首が・・・何?」
 性に関する知識が不足している美雨は立ち上がった乳首が意味することが分からず、首をかしげる。その反応に男達は思わず顔を見合わす。
「美雨ちゃんはホントにこういう事知らないんだね。これは教育が必要かな?」
「女ってのはな、気持ち良くなるとここが固くなるんだ。俺たちに触られて気持ち良くなってくれた、ってことだ。」
 そうレフェリーに告げられ、美雨はさらに顔をさらに赤らめてうつむく。
「う、嘘・・・そんなの嘘・・・!」
「嘘じゃないさ、それにここを触るとな・・・。」
 レフェリーはそう言って指で乳首を軽く弾く。
「えっ・・・ふぁあああっ!」
 可愛く立ち上がった乳首を弾かれると、乳房や秘部に触れられた時のものとも違う。鋭く痺れるような快感が美雨を支配する。
「はぁ・・・はぁ・・・。」
「どう?ここ気持ちいいよね?」
「あひっ!気持ちよくなんか・・・んふぅ!」
 早矢仕もまた、乳房を揉みながら指で乳首を挟み、振動を送り込んで美雨を責める。
 レフェリーは乳房への愛撫を早矢仕に任せると、自分は美雨のパンティの中に手を入れ、愛液で濡れた秘裂に指を這わせる。
「そ、そこはダメ!あふぅ!」
「辻倉選手、アソコももうびしょ濡れだな。」
「・・・ぬ、濡れてる?・・・私、お漏らししたの?」
「違うよ美雨ちゃん、女の子は気持ち良くなるとここが濡れ始めちゃうんだ。美雨ちゃんはすでにびしょびしょみたいだけどね。」
「やっ・・・違う・・・嘘付かないで・・・。」
 自分の体から生まれる快感を認めたく無い美雨は弱々しく首を振る。
「嘘じゃないのになぁ。それじゃ、美雨ちゃんにもよーくわかってもらわなきゃ!」
 そんな美雨をさらに責めたてるため、早矢仕は乳房を揉みしだき、乳首を摘まみ、扱き上げる。レフェリーはパンティの中で手を蠢かせ、秘裂をなぞり上げ、指を入れることで美雨をひたすらに高ぶらせる。
「ほらほら、どうだ?」
「乳首どんどん固くなってるよ?」
「あふっ!ダ、ダメ!乳首ダメ!そんなところ触ったらダメ!」
 男達の激しい責めに美雨は体の奥底で何かが決壊しかかってることに気付く。それは美雨がまだ経験したことのない、絶頂への封印であった。
「あああっ!何か来ちゃう!お願いやめて!」
 生まれて初めての絶頂が近いことを本能的に感じた美雨は髪を振り乱しながら叫ぶ。
「ほぅ、やめて欲しいのか、じゃあやめてやるか。」
「えっ・・・。」
 美雨が絶頂する直前にレフェリーは秘部を触ることをやめ、パンティから手を引き抜く。レフェリーの意図することを察した早矢仕も乳房から手を離した。絶頂に達する直前で止められ、美雨の体にはさらに快感を求める疼きが残る。
「ほら、やめてやったぞ?」
「・・・なら・・・手足を離して・・・。」
「うーん、でも美雨ちゃんを離したらまた首を絞められちゃうかもしれないしなぁ。」
 とぼけたことを言いながら、早矢仕は再び美雨の乳房を緩やかに揉み始めた。
「あっ・・・さっき・・・やめるって・・・。」
「美雨ちゃんのおっぱい見てたら触らずにはいられなくて、でも美雨ちゃんが辛そうだから乳首には触らないであげるよ!」
「それじゃあ俺も下着の上から触るだけにしてやる。別にギブアップしてもいいんだぞ?」
 美雨はギブアップすることができるはずが無かった。ギブアップしたが最後、試合に出る条件であった自身の解放は叶わないどころか「御前」からどの様な粛清を受けるか分からなかったからだ。
 レフェリーは美雨がギブアップ出来ないのをいいことに絶頂に至る直前で責めをやめ、焦らしていこうと考えたのだ。
「ギブアップは・・・しない・・・。」
「そうだろうなぁ、なら頑張って何とかするんだな。」
 レフェリーは下着越しに秘部を軽く引っ掻くように触り始める。早矢仕も乳房をひたすらに揉みしだくが、乳首には一切触れる事はしなかった。
「んんっ・・・はぁう・・・。」
 男二人からの刺激は確実に美雨に快感を送り込むが、絶頂の直前で止められた体には弱すぎる刺激であり、絶頂に向かうには足りなかった。
「いやー、美雨ちゃんのおっぱい、いつまでも触ってたいくらいだよ。」
「こっちもどんどん濡れてくるな・・・辻倉選手、あんまり我慢せずに乳首もアソコも触って欲しかったらすぐに言うんだぞ?」
「そんなの・・・欲しくな・・・くふぅ!」
 早矢仕に乳房を揉まれ、乳首は充血し更に固く立ち上がる。秘部はレフェリーに触るか触らないかのタッチで愛撫され、下腹部からは物足りないという疼きを伴った快感が伝わってくる。
「んああっ・・・くっ・・・もうやめてよ・・・あぅっ・・・!」
「物足りなさそうな息が漏れてるぞ辻倉選手?そろそろ素直になった方がいいんじゃないか?」
「そうだよ?乳首もアソコもこんなに触って欲しそうにしてるのに。」
 さらに早矢仕は乳房を揉むだけでなく、先端に触れないように乳輪をなぞり始め、レフェリーは淫核の周辺を円を描くように触り、美雨をさらに追い込んでいく。
(いやだ・・・触って欲しくない筈なのに・・・)
 男たちから与えられる回りくどい快感は切なさを募らせ、美雨は唇を噛む。言ってはいけないことを言ってしまいそうで、内心慄く。
 しかし、レフェリーと早矢仕は責めを止めるどころか、ぎりぎりの強さで美雨を追い詰めていく。
「流石に我慢強いな・・・。」
「美雨ちゃん?我慢は体に毒だよ?」
 レフェリーは下着の上から微妙な力加減で秘裂をなぞり、早矢仕は乳房を揉み続ける。
「んくふぅ・・・あ、あうっ・・・も、もう・・・。」
 美雨の口から零れた弱気に、レフェリーと早矢仕の目が光る。
 更に責めは激しさを増し、乳首は触れられないものの、息を吹き掛けられ、レフェリーからはパンティの中に手を少しだけ入れられ、秘部に触れないように下腹部を撫でられ始める。
 絶頂の直前でせき止められた高ぶりに、美雨はついに耐えられなくなる。
(も、もうダメ・・・乳首・・・アソコ・・・触って欲しい・・・。)
「・・・って・・・下さい・・・。」
「ん?どうした辻倉選手?」
 レフェリーと早矢仕は責めをやめ、一旦美雨の言葉に耳を傾ける。
「触って・・・下さい・・・乳首も・・・アソコも触って・・・気持ち良くして下さい!」
 美雨が自分から快感を求める懇願を叫んだことにより、観客からは歓声が上がり、大いに湧く。
 美雨は恥ずかしさから、これ以上ないほど顔を赤らめ、うつむく。
「やっと素直になったのか、辻倉選手が満足するまで触ってやる。」
 レフェリーたちは美雨の懇願を心地よく聞くと、美雨を絶頂に導くために再び美雨の体に群がる。
「さてと、触りやすいようにパンツを脱がすか。」
「おっ?パンツ脱がしちゃうんスか!?」
 レフェリーは美雨の愛液で濡れそぼったパンティを脱がそうと手をかける。
(ああっ・・・パンティ脱がされちゃう・・・また触られちゃう・・・っ!?)
 快感を求めて抵抗する気力を無くした美雨だったが、手にかかっていた圧力が少なくなっているのに気付く。手を押さえていた早矢仕がパンティが脱がされる様子をよく見ようと身を乗り出したせいで手を押さえることに気が向かず、圧力が少なくなったのだ。
(今しか・・・ない・・・!)
 気力を失っていた美雨の瞳に希望の光が灯る。美雨は素早く早矢仕の下から自分の手を引き抜き、身を乗り出した早矢仕の頭を掴むとリングに叩きつける。
「へごっ!」
「こ、この馬鹿、こんなところでヘマを!」
「・・・逃がさない・・・。」
 美雨は上体を起こしてレフェリーの喉元に貫手を叩き込む。
「がふっ!」
 喉元への衝撃にレフェリーはパンティから手を離し、後ろ向きに倒れこむ。それにより美雨の足が解放され、美雨は素早く飛び退いて距離をとる。
「・・・おい、なんてことしてくれたんだ!辻倉選手に逃げられたじゃないか!」
「マ、マズイっスよ!ナスターシャさん帰っちゃったし、どうしたら・・・!」
 男二人が言い争っている間に距離をおいた美雨は一人ずつ始末する算段を始める。
(相手は・・・男二人・・・だけど・・・敵じゃない・・・。)
 美雨はまず観客からの粘つく視線から体を逃すため、腕を使って乳房を隠そうとする。しかしその時、異変が起こった。
「ひゃうううう!」
 乳房を隠そうとした腕が乳首を掠めた途端、凄まじい快感が美雨を襲う。
(ダメ・・・乳首が・・・ジンジンする・・・。)
 絶頂の直前で限界までせき止められていた快感はたとえ自分の手であっても僅かな刺激で反応するようになっていたのだ。
(ああっ・・・さ、触りたい・・・バレないように・・・少しだけなら・・・。)
 美雨の指は再び恐る恐る乳首に到達すると、立ち上がった乳首を摘まみ上げる。
「はぅう!」
 快感を求める美雨の本能が無意識にはたらき、乳房を隠そうとしていたはずの美雨の手はそのまま乳首を弄り始め、指で乳首を何度も弾く。
「ふぁあああん!」
 あまりの快感に美雨はその場に座り込んでしまう。それでも快感を貪ろうとする美雨は片方の手で自分の乳房を揉みしだき、乳首を指で摘まみ上げる。
「あっ・・・あふっ・・・んんっ!」
 リングの上で自らを慰め始めた美雨にレフェリーと早矢仕は驚くが、あえて手を出さずに快感で乱れていく美雨を眺める。
 観客からも美少女が観衆の前でオナニーを始めるという非日常的な光景に熱のこもった視線が飛ばされる。
「ひゃう!と、止まらない・・・ここも・・・!」
 観客やレフェリー達の視線も関係なしについには美雨は自分の手をパンティの中に差し入れ、自分で秘部を弄り始める。初めて行う自慰は未熟な手つきだったが、それでも官能を高めていく。
 秘裂をなぞり、淫核に刺激を与え、指を入れる。乳房を揉みしだき、乳首を何度も捏ね回す。
「あっ!もうダメ!何か来る!来ちゃう!」
 絶頂に近付くにつれ、美雨の指の動きは激しさを増していく。秘部からは水音が響き、乳首を弄る手も力がこもる。
「ああっ・・・気持ちいいの・・・来る・・・あああああっ!」
 そしてついにその時が訪れた。美雨の体を生まれて初めての絶頂が襲う。力の抜けた体がリングに倒れこもうとするが、何者かに受け止められた。
「ずいぶんとお楽しみだったな、辻倉選手・・・。」
「美雨ちゃんひどいよ、自分だけでイっちゃうなんて。」
 美雨の体を受け止めたのはレフェリーと早矢仕であった。レフェリー達は左右から美雨を支えると、それぞれ片方ずつ乳房に手を伸ばし、乳首を弄くる。
「あはぅ!も、もう・・・乳首いじめないで・・・ああっ!」
 絶頂を迎えたばかりの体は更に敏感になり、乳首を軽く触られるだけでもたまらない快感を生む。
「そんなこと言って、さっきまで自分で弄ってたよね?」
「そ、それは・・・は、離して!」
 美雨はもう一度脱出を図ろうとするが、絶頂の余韻で力の入らない体では男たちの手を引き剥がせなかった。
 それどころかリングに再び座らされ、後ろに回り込んだ早矢仕に抱きかかえられて拘束されてしまう。
「美雨ちゃん力弱いねー?俺でも押さえ込めちゃうよ。」
「こ、この・・・んくっ!」
 抵抗しようとしても乳房への責めで力が霧散する。そこにレフェリーが近寄り、美雨の前にしゃがみこむと再び美雨のパンティに手をかけ、脱がそうとする。
「さて、今度こそ脱がせてやるか。」
「ダメ・・・それだけは・・・ダメ・・・。」
 息も絶え絶えながら太股を閉じることで抵抗しようとするが早矢仕が乳首を摘まむことにより力が抜ける。
「ほーら、これでオールヌードだ!」
「やめてよ・・・やめてぇ!」
 最後の一枚も剥ぎ取られ、美雨は一糸纏わぬ姿を観衆にさらすことになる。
「ああ・・・私・・・裸に・・・。」
「早速、辻倉選手の恥ずかしい場所を見せてもらおうかな?」
 レフェリーは愛液で濡れたパンティを客席に放り投げると、美雨の目の前でしゃがみこみ、膝を掴んで脚を開かせようとする。
「ダメ・・・見ないで・・・あっ!」
「こっちは美雨ちゃん御待望の乳首責めだ!」
 美雨は必死に脚を閉じようとするが、早矢仕が左乳首に舌を這わせ、しゃぶりつくとまた力が抜け、開脚を許してしまう。
「いい眺めだなこれは。」
 一度達したことにより、愛液でテカテカと光り、ヒクつく美雨の秘部にレフェリーは興奮を抑えられず、すぐに吸い付く。
「あひぃいい!」
 レフェリー達に全裸に剥かれ、手や舌を使って乳房や乳首、ヒップ、秘部、淫核まで余すことなく責められ、美雨は再び絶頂まで高められそうになる。その絶頂の予感に美雨は思わず叫んでいた。
「もうやめて・・・許してぇ!ギブアップするから!」

〈カンカンカン!〉

 美雨のギブアップ宣言に試合終了のゴングが鳴る。しかし、レフェリー達は離れることなく美雨の体を責め続ける。
「や、やめ・・・もう・・・試合は・・・。」
「このままじゃ辻倉選手の体も不満だろうからな。俺たちがたっぷり気持ち良くしてやるよ。」
 レフェリーが顔を近付けてそう言い放つと美雨の体を押さえたまま、責めを続行する。
「もう嫌・・・あふっ・・・やめて・・・!」
「でも美雨ちゃんまた自分で気持ち良くなろうとしてるよ?」
 美雨は無意識のうちにレフェリー達の責めを受けながら、更なる快感を得ようと片手で自分の淫核をまさぐりもう片方の手は早矢仕に責められていない右の乳房を弄っていた。
 初めての快楽に屈した美雨の体は奥底の欲望に忠実に動き、美雨の意思とは無関係に体をまさぐっていたのだ。
「あっ・・・そんな・・・また私・・・。」
「そんなに気持ち良くなりたいなら俺たちが手伝ってやる!遠慮するな!」
「ああ・・・嫌・・・いやああぁぁ!」
 美雨は男たちに手を持たれ、自らの乳房と秘部を弄らされた。
「ほら、美雨ちゃん、おっぱいはこう揉むんだよ」
 早矢仕には左手を持たれ、乳房を揉まされる。
「はうっ・・・やめて・・・お願い。」
「で、乳首はこう!」
「はうぅっ!」
 早矢仕に自分の指ごと左乳首を撫で上げられ、嬌声と共に仰け反る。
 レフェリーも早矢仕に負けじと秘裂を弄らせる。
「辻倉選手、ここは敏感な部分だからちょっと触っただけで」
「ふああっ!」
「気持ち良くなれるだろう? 遠慮するな、ほら、もっと触っていいんだぞ」
「やっ・・・だめぇ・・・感じ、すぎちゃう・・・んんぅ!」
 自らの手で自らの快感を生み出す。麻薬にも似た官能に溺れてしまった美雨の身体は、美雨の意思とは裏腹に乳房を、乳首を、秘部を、淫核を弄り、快楽を生じさせていく。
「美雨ちゃん、もう夢中だね! 俺も手伝ってあげる!」
「まさか辻倉選手がこんなに厭らしいとはなぁ。しかし、本人が悦んでいるんだからそれもいいか」
 早矢仕もレフェリーも美雨の肢体に手や舌で触れ、更なる快感を生み出していく。男たちの手と自らの欲望に責められ、美雨は初めて知った官能に追い詰められていく。
(いや・・・この感じ、さっきの・・・!)
 先程味わった絶頂感。その感覚がまた押し寄せてきている。
(ああ・・・また・・・!)
「イク・・・イッちゃ、う・・・ぅぅぅっ!」
 乳房を揉み、秘部を弄りながら、美雨は背をぴんと反らせ、絶頂へと達した。
「二回目の絶頂か。だが、まだまだ足りないだろう?」
「やらしい美雨ちゃんだもんね。俺ももっと頑張っちゃうよ!」
 美雨はまたもレフェリーと早矢仕に押さえ込まれてしまう。しかも大股開きという先程よりも更に恥ずかしい姿勢でだ。
「ああ、やめて・・・こんな、恥ずかしい恰好・・・」
「おいおい、自分でオナニーを始めた辻倉選手がなにを今さら」
 美雨を嘲笑ったレフェリーは、秘部に口をつけ、舐め責めを開始する。
「そうそう、ほら、自分でおっぱい揉んで!」
 早矢仕は美雨の両手を乳房に添えさせ、自らの手で揉ませていく。
「で、俺は乳首を、と!」
 美雨に乳房を揉ませながら、早矢仕は両方の乳首を弄り回す。
「あっ、やぁっ!駄目ぇ、こんなの・・・あひぁぁ!」
 心では拒んでいる筈なのに、美雨の両手は豊かな乳房を捏ね、身体は男たちの責めに快感を生んでしまう。
(まずい・・・このままじゃ、また・・・イッ、ちゃう・・・・・)
「あ・・・あああぁぁぁぁ・・・っ・・・!」
 三度絶頂し、脱力する美雨をレフェリーが見下ろす。
「こんな短い時間に三回もイクとはなぁ」
「でも、こんなやらしい美雨ちゃんも可愛いですよ!」
 再び乳首責めを始めようとした早矢仕だったが、レフェリーが止める。
「まあ待て。辻倉選手、また自分で気持ち良くなりたいみたいだぞ」
 レフェリーの指摘通り、美雨の両手は美雨の意思とは別に、自らの身体の敏感な部分を弄り始める。
(ああっ・・・いけないのに・・・こんなこと、いけないのにぃ・・・!)
 止めなければ、と思えば思うほど、それに反発するかのように手は動き回り、身体は敏感に反応する。乳首を、乳房を、淫核を、秘部を、秘裂を、浅ましいほどに虐めていく。乳首は硬く尖り、淫核ははっきりと顔を覗かせ、秘裂からは蜜がこんこんと湧き出る。
 背徳感が快楽を生み出す量を増し、初めて官能を知った身体は尚も快感を求めて自らの敏感な箇所を攻め続ける。
 レフェリーの、早矢仕の、観客の視線が美雨を視姦する。その視線の熱に当てられるのか、美雨の手が激しさを増す。誰かが唾を飲む音が会場に響いた。
(ああ・・・また・・・!)
「い・・・イク・・・っ!」
 美雨の背がぴんと仰け反り、やがて脱力する。荒い息を吐く美雨を、レフェリーが覗き込む。
「お楽しみだな、辻倉選手。今度はこちらを楽しませてもらおうか」
 達したばかりの美雨に尚も男たちは群がり、美雨の引き締まった体を味わい続ける。自身の手も更に激しさを増していき、美雨を更なる絶頂へと連れて行くのだった。
 その様子を観客は獣欲の籠った視線で見つめていた。



 薄暗い部屋の一室。白い裸身が壁に寄りかかり、蠢いている。
「んっ・・・ふぅん・・・」
 長い黒髪は乱れ、汗で体に張り付いている。豊かな乳房を左手が揉み潰し、乳首を転がす。右手は秘部をあやしながら、淫核も弄り回す。
「んっ・・・はぁう・・・!」
 強制的に覚え込まされた快感を再び引き出そうと、美少女の手は淫らに動き回る。
 ここは、美雨が寝床とする隠れ家だった。その一室で美雨は一糸纏わぬ姿になり、自分の体をまさぐっていた。
「あっ、あっ、イ、イク・・・ああぁぁ!」
 美雨はやがて絶頂を迎え、その場に崩れ落ちる。

〈地下闘艶場〉で敗北した後、美雨は「御前」の元へと連れていかれた。死すら覚悟していた美雨だが、「御前」はまだ若い美雨は本当の地獄を知るのは早いとして、今後「御前」に関わらないことを条件に美雨を解放したのだった。
 敗北したのみならず、情けまでかけられ、屈辱を胸に美雨は隠れ家に戻ってきたのだった。
 だが、それから美雨の身体に異変が起こっていた。〈地下闘艶場〉で快感に目覚めた身体は時折、どうしようもなく熱を帯び、疼き始めるようになったのだ。そのたびに美雨は先ほどの様に自分の体をまさぐり、絶頂を迎えて発散するようになった。
 そうして自分を慰める時に頭に浮かぶのは〈地下闘艶場〉で男達に全身を責められた記憶であった。

(また・・・あの時のことを・・・。)
 快楽にまみれたあの時間が美雨の頭から離れないでいた。その記憶を振り払うように吹き出した愛液を処理すると、依頼を受ける際に使う端末を操作し、自分への依頼を確認する。
 その中に「御前」に関する依頼を見つけ、動きが止まる。
(また・・・捕まったら・・・あの時以上のことを・・・。)
 美雨は浮かんだ考えを必死に振り払い、「御前」に関する依頼とは別の依頼を受けることにし、衣服を改めてから隠れ家を出る。
(でも・・・アイツにたどり着くには・・・また「御前」と関わることになるかも・・・。)
 月の光も当たらぬ路地裏を美雨は駆ける。また「御前」と関わるかもしれない、そんな期待とも使命感とも取れない感情を胸に抱きながら・・・。


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