【雨と月 2話】   投稿者:はぐれ観戦者様  推敲手伝い・加筆:事務員



(ん・・・。)
最初に美雨の視界に入ったのは固く、冷たい床だった。体を動かしてもいないのに床がまるで自分が歩いているかのように動いていた。
(・・・ここは・・・?)
次に感じたのは両腋を支えられる感覚、美雨は自分が何者かに半ば引き摺られるようにして運ばれていることを理解した。
(・・・何・・・これ・・・私、どうして・・・。)
朦朧とした意識が次第にハッキリしてくると自分が置かれた状況を整理し始める。目に入る情報、これまでの記憶、すべてを照らし合わせていく。
(私、依頼を受けて・・・失敗して、捕まって・・・その後私は・・・<地下闘艶場>に・・・っ!?)
記憶が<地下闘艶場>での出来事にたどり着いた途端、美雨の意識は完全に覚醒する。
<地下闘艶場>で敗北した美雨は試合が終わった後も男たちと自らの欲望に嬲られ続け、延々と襲い来る絶頂の連鎖に耐えきれなかった美雨の意識は途切れてしまったのだ。
(そうだ・・・私は・・・負けて・・・。)
その後、しばらくの間、失神した美雨に男たちは構わず群がったが、『御前』の命令を受けた二人の黒服の男がリングへと上がり、一糸纏わぬ姿の美雨を左右から引き上げリングを後にしていた。
美雨は両腋をサングラスで視線を隠した男たちに支えられ、『御前』の元へ連れていかれている最中だったのだ。
「・・・離して!」
「なっ!?こいつ、もう意識が・・・!」
全てを理解した美雨は右腋を支えていた男から右手を引き剥がし、そのまま男の顔面に素早く肘打ちを食らわせる。
「ぐはっ!」
素早く、勢いの乗った一撃に男は思わず床に倒れ込む。
それを見たもう一人の男が美雨を捕らえようと手を伸ばすが、美雨の動きの方が速かった。
「退いて・・・!」
「ぐおっ・・・!」
男の手を掻い潜り、鳩尾に鋭い貫手を入れる。男も先程の男と同様に床に倒れ込み、衝撃により逃げ場を無くした空気を吐き出す。
「ゲホッ、ゲホッ・・・!」
地に伏した黒服の男たちを見下ろし、美雨は思考を巡らせる。
このまま男たちを放って逃げ出すこともできる。しかし、まだ息がある男たちを放っておけば仲間を呼ばれてしまう。そうなれば、またあの時の二の舞になってしまう。
(こいつらは・・・ここで始末する・・・!)
美雨の全身から殺気が発せられる。一人ずつ確実に始末しようと美雨が動き出そうとした瞬間、太ももに何か液体が伝う感触があった。
(何・・・?)
気絶していた間に何かを塗布されたのか?液体の正体を探るために美雨が自らの太ももを確認する。
すると、美雨の目に飛び込んで来たのは隠すものの無い自らの秘部だった。
(や、やだ・・・。)
逃げることに必死だった美雨は、そこで初めて自分が全裸であることに気付く。
太ももを伝う液体の正体はリング上で責められ続けたことによって容量を超えていた自らの愛液だったのだ。
(私、裸のまま連れてこられたの・・・?)
リング上で何度も捏ね回されたEカップの乳房、硬さは失われたが先端で息づく桃色の乳首、未だ愛液を垂らし続ける秘部。それら全てが連れてこられる間に黒服の男たち以外の<地下闘艶場>の関係者たちに見られただろう。
頭の回転の速い美雨の思考はそこまで至ってしまった。
(色んな人に見られたんだ・・・おっぱいもアソコも・・・恥ずかしい・・・。)
それを自覚してしまった美雨を襲ったのは、リング上で初めて、そして嫌というほど味あわされた「羞恥心」という感情だった。
性に関して初な美雨は感情の波に従い、今更遅いというのに顔を赤らめ、両手で乳房と股間を隠す。
「よくもやってくれたな!」
「しまっ・・・!」
羞恥心に囚われていた美雨は男がいつの間にか起き上がり、すぐそこまで接近していたことに気付くのが遅れる。
すぐさま後方に飛び退こうとするが、同じく立ち上がっていた男が後方に構えており、挟み撃ちの形になる。
(ま、まずい、このままじゃ・・・。)
「取り押さえろ!」
男たちは一斉に美雨を捕らえようと飛びかかる。
判断の遅れた美雨は逃げる隙も与えられず、男たちに押さえ込まれる。
「くそっ!大人しくしろ!」
「いやっ!いやぁっ!」
相手は屈強な男二人、そして自分は全裸のこの状況。ほぼ勝ち目は無いとわかっていても美雨は抵抗を続ける。
このまま『御前』の元まで連れて行かれれば待つのは確実な「死」。それを分かっていたからこそ美雨は抵抗をやめるわけにはいかなかった。
「このっ、こいつ、暴れるな!」
男の苛立ちの声など聞こえず、美雨は手足を滅茶苦茶に動かし、暴れ、体を捻って黒服の男たちから逃れようとする。
その度に豊かな乳房は激しく揺れ動き、美しさを秘めた黒髪は乱れていくが、それにも構わず抵抗を続け、男たちの手を振り払いそうになってはまた捕まるを繰り返す。
「クソッ!手こずらせる!どうする!?もうここで始末するか!?」
「勝手なことをしたら、それこそ『御前』に何をされるか分からん!」
死を目前にした美雨とのいたちごっこに黒服の男たちは次第に痺れを切らしていく。
「くそっ・・・そっちがその気なら・・・。」
男は美雨の手足を取り押さえようとするのではなく、目の前で淫らに揺れ動く乳房に触れる。
「あっ・・・あんっ・・・!」
「そら、こんなのはどうだ?」
男はそのままたわわに実る乳房を恋人にするように優しく揉みしだき始める。
すると、激しかった抵抗はピタリと止み、男の手に合わせて甘い声を上げるのみとなった。
「やっ、んんぅ・・・!」
「やっぱりこういう事には耐性が無いみたいだな・・・?」
リング上で開発されきったばかりの美雨の体は男の愛撫をまともに受けてしまい、乳房を揉まれるだけでもたまらない快感を生み出してしまう。
男が指先で硬くなり始めた乳首を軽く弾くと、美雨の体から力が抜け、倒れ込みそうになった所をもう一人に抱き止められる。
「よし、このまま『御前』のところまで・・・。」
「まあ待てよ。このまま少しくらい楽しませてもらっても、罰は当たらないだろ?」
男が美雨を連れていこうとすると、もう一人の男がそれを引き止める。相棒から美雨を引き剥がして抱え込むと、再び右の乳房を見せつけるように揉んでいく。
「ああっ、や、やめ・・・あうっ・・・!」
「いつもレフェリーやら<地下闘艶場>の選手がいい思いしてるんだ・・・俺たちだって少しくらい楽しむ権利はあるさ」
「い、いや・・・しかし・・・。」
『御前』の命令はただ美雨を連れてくることだけ、命令に無いことをすれば自分達はどうなるか分からない。そのことを知っていたからこそ、男には迷いが生じる。
しかし、目の前で乳房を揉まれ、荒い息を吐き、悩ましげな顔で甘く可愛らしい声を上げる美少女の存在はそんな危機感を吹き飛ばすほど魅力的だった。
「そ、そうだな・・・どうせこいつは『御前』に処刑されるというなら・・・。」
「そういうことだ」
通常黒服たちが<地下闘艶場>の選手にセクハラすることはほとんど無く、興奮する観客たちの取り締まり、撮影機材持ち込みなどの監視がメインとなる。
レフェリーや男性選手がリング上で美女たちにセクハラを加えているのを見ているだけで燻り続けた欲望が男たちを動かしていた。
「さてと、あまり使いたくは無かったが・・・」
もう一人の男はそう呟くと、美雨の両腕を掴み、後ろ手で組ませると、取り出した手錠で両腕を拘束する。
「そんなっ・・・!」
「『御前』も変なところで女に甘いからな、こういう強引な手段は使うなって言われてたんだが、仕方ないよなぁ?」
「あぁ、抵抗が激しかったから取り押さえたまでだ。」
両腕を封じられた美雨を絶望感が襲う。
もはや美雨は男たちに抵抗することはできず、出来ることは体を揺する程度であった。
「さてと、またこのデカい乳を揉ませてもらうぜ?」
「それじゃあ俺はこちらを・・・。」
男はニヤニヤと厭らしい笑いを浮かべながら右の乳房を揉み続ける。
もう一人の男は空いている左の乳房に触れ、撫で回した後にゆっくりと捏ね回す。
「触らないで、あぁっ・・・ダメ・・・。」
「すごいな、柔らかくて・・・吸い付くみたいだ・・・!」
「しかもかなり感じやすいみたいだな、なかなかいい声で鳴くじゃないか。」
左の乳房は味わうようにゆっくりと、意図せず焦らされているように揉まれていく。かと思えば偶然指先が乳首を霞め、微弱ながら鋭い快感が昇ってくる。
右の乳房は乱暴に捏ね回され、先端の突起に向けて快感を絞り上げようというのか、乳房全体を扱き上げるように揉まれる。
左右別々の触り方が美雨を惑わせ、官能の淵に引きずり込む。
「やめて、おっぱいダメぇ・・・!」
美雨は乳房を揉む男たちの手から逃れようとするが、腕を拘束されては満足に抵抗できなかった。
さらに快感に支配された体はいうことをきかず、与えられる刺激に仰け反ってしまい、男たちに乳房を差し出す姿勢になってしまう。
「お?もっと触って欲しいのか?」
「やっ・・・ち、違う・・・ふあぁあん!」
否定しようとした美雨の言葉は男に硬く尖りきった右の乳首を摘ままれた事で遮られる。
「こいつ、これから死ぬかもしれないって時に乳首硬くさせてるぜ?」
「どれどれ、確かに悦んでくれてるみたいだな?」
「こ、これは・・・違うの・・・んやぁああ!」
もう一人の男も乳首を捏ね回してその硬さを確かめ、美雨にもリング上で教え込まれた「快感を感じている証拠」を確かめさせる。
それを認めたくない美雨は嫌々するように首を振り、否定するしかない。
「何が違うんだよ?ほら、乳首が俺の指を押し返してるぜ?」
「リングでもここを摘ままれると悦んでたしな、気持ちいいんだろ?」
「あひっ、あっ、違う・・・気持ちよくなんかぁ・・・!」
心では否定しても美雨の体は正直に反応してしまっていた。
男たちに乳首を乳房ごと引っ張られ、痛みを感じる直前で離され、豊かな乳房に押し込まれたかと思えば乳房をやわやわと揉まれ、乳首への欲求を高められる。
男たちに体を弄ばれる度に美雨の体は昂っていき、乳首はさらに硬度を増していく。
「さて、こっちの方はどうなってるかな?」
「え・・・?や、やだ・・・!」
男は乳房への責めを中断し、美雨の両脚を掴んで大股開きにさせ、露わになった秘部を覗きこむ。
「へへっ、おっぱいだけでこんなに濡らしてんのか?厭らしい女だ!」
蓄積された快感により美雨の秘部は床に垂れ落ちるほどの愛液を溢れさせる。
その光景に男は舌舐めずりしながら顔を美雨の秘部に近付けていく。
「いやっ・・・離して!そんなに見ないで!」
男の接近を阻もうと、美雨は必死に膝を曲げ、秘部を隠そうとする。
「今更抵抗するなって・・・!」
閉じた脚を再び開かせようと男は膝を掴むが、美雨もまた膝に力を込め、抵抗をする。
しばらくその状態が続くと男は諦めたように手を離す。
「仕方ないな・・・おい、ちょっとおっぱい弄ってやれ。」
男の言葉に応え、もう一人の男は後ろから美雨の両乳房に手を回し、再び乳首を弄くる。
「ひゃっ、い、今おっぱい触られたら・・・乳首もダメ!」
男の手が離れたことで油断していた美雨は突然の刺激に対応できず、全身から力が抜ける。
その隙を逃さず、男は再び膝を掴み、脚を開かせる。
「ほら、またご開帳だ!」
「いやあぁああ!」
美雨の両脚が限界まで開かされる。脚を閉じようとしても、もう一人の男が乳房への責めをやめないため、力が入らない。
男の目には再び男を誘うかのようにヒクつく秘裂が映る。
「近くで見るとさらに厭らしいアソコだな?濡れ濡れじゃねぇか。」
美雨の秘裂をじっくりと鑑賞した男は、ゆっくりとその割れ目に舌を這わせ始める。
「ひぃいいい!」
不快なはずのザラリとした舌の感覚、だが、美雨はその中に確かな性感を覚えてしまい、舌の動きに合わせて白い裸体を震え上がらせる。
「すげぇな、舐めても舐めても溢れてきやがる・・・。」
「くぅううう、やっ、あぁあああ!」
新たな感覚に美雨の秘裂からはとめどなく愛液が溢れかえる。
男は舐め上げるだけでなく、舌の先端を膣内に侵入させたり、陰核を舌で押し潰すなどの責めを加える。
もう一人の男は乳房の感触が気に入ったのか、両乳房を丹念に揉みながら、左の乳首に舌を這わせ始めた。
「はぁっ、はぁっ、あぁっ、ダメ・・・そこはダメなの・・・!」
「ん?そこってどこだよ?ちゃんと言ってみな?」
男は陰核の包皮を歯で器用に剥き、軽く歯を立てることで美雨を追い込んでいく。
「やぁああっ、そ、そんなの、恥ずかしいよ・・・あぁっ!」
「そら、言うまでやめないぞ?」
美雨の乳房は揉まれ、乳首に吸い付かれ、秘裂を舐められ、陰核を甘噛みされる。
心は快感を拒否しているはずなのに、体はその快感の荒波に従い、絶頂への階段を駆け上がり続ける。
(いやっ、また来ちゃう、イカされちゃう!)
リング上で感じたものと同じ絶頂の予感を感じた美雨は思わず叫ぶ。
「ああぁぅっ!乳首とアソコ、ペロペロしないで!あっ、お豆さん噛むのもダメ!お願い!」
「お豆さんじゃないな、クリ○リスだ、ほら、言ってみろ!」
「ひゃああぁっ!クリ○リス!クリ○リス噛まないで!許してぇ!」
美雨の懇願を満足げに聞いた男たちは責めをやめるどころか激しさを増していく。
「よく言えました、そんじゃ、天国まで連れてってやるよ!」
「・・・え?そんな、待って・・・あひぃいいい!」
敏感な部分を同時に責められ、絶頂直前で耐えてきた美雨にも限界が訪れ、遂にその時がくる。
「あああぁっ!イ、イくっ!イッちゃうぅぅっ・・・!」
悲鳴に似た声を上げながら、しなやかな裸体をピンと仰け反らせて美雨は絶頂を迎える。
「これはまた盛大にイくじゃねぇか?」
美雨の愛液を顔に受けた男は、愛液を手で拭き取り、脱力しきった美雨の頬に塗り込んでいく。
「んくっ、いやぁ・・・。」
グッタリと横たわる美雨にはもう弱々しく首を振ることしかできない。
それを見て満足げな笑みを浮かべた男だったが、ふと触ってもいないのに美雨の秘部から水音が聞こえることに気付く。
「んっ・・・あぅぅ・・・。」
美雨は先ほどよりも手錠で戒められた両手をもどかしげに動かし、さらに太ももを擦り合わせ、自ら秘部へ刺激を送っていた。水音はそれによるものだったのだ。
それらの意図するものを理解した男はまた下卑た笑みを浮かべる。
「なるほど、またオナニーがしたくなったってわけか。」
「やっ・・・ち、違う・・・!」
美雨は言葉で否定するが、男の指摘通り、美雨の身体は手錠で縛られているという制限がかかった状況の中でも快感を求め、無意識の内に動き始めていたのだ。
「今更取り繕うなって、俺たちはアンタが大人数の前でオナニーしちゃうような厭らしい女だって知ってんだぜ?」
言葉で美雨を追い詰めながら、男は美雨の状態を起こし、美雨の背後に座ると後ろから抱きかかえる。
「ほら、その恰好じゃオナニーできないだろ?俺が手伝ってやるから、して欲しいこと言ってみな?」
男に耳元でそう囁かれ、美雨は顔を赤らめる。
(そ、そんなこと・・・言うはずない!)
たとえ体は快感に堕ちていようとも、心までは屈していない。美雨は否定の言葉を男に投げかけようとする。
しかし、美雨はこの時知らなかった。すでに体は制御不能なまでに堕ちていたことを。
「・・・く・・・び・・・て。」
「ん?なんだ?聞こえねぇぞ?」
美雨は自らの口から出た言葉が信じられなかった。美雨の意思とは裏腹に言葉が勝手に口から踊り出た様に感じた。
(え・・・?私、何を言って・・・?)
驚きを隠せない美雨だが、美雨の口は止まることなく望んでいるはずの無い言葉を紡いでいく。
「お願い・・・おっぱい揉んで、乳首、弄って?」
「へへへ、了解しましたよっと。」
背後から男の手が自らの乳房へ伸びるのを眺めながら、美雨は内心驚きを隠せずにいた。
(ち、違う・・・そんなこと望んでなんて・・・ひゃああぅうう!)
乳房に到達した男の手が無遠慮に乳房を揉み、先端で自己主張を続ける乳首を弄くる。
「ふぁあああっ!つ、強くしすぎだよ・・・んんっ!」
「何言ってんだ、こういうのが好きなんだろ?」
男は秘部からあふれ出る愛液を掬い上げ、尖った乳首に塗りこんでいく。
「ああっ、そ、そんなにされたら・・・やぁああん!」
美雨から喘ぎ声を引き出そうと男は塗りこまれた愛液で光る乳首を摘み、乳房ごと引っ張る。
(いやなのに・・・いやなのに・・・なんでぇ・・・!)
美雨は必死に首を振って快感を逃そうとするが、自らの身体に生じる快感の量が多すぎ、まるで解消できない。
「おっぱいだけじゃ足りねぇだろ?他にどこ触って欲しいんだ?」
「はぁ・・・はぁ・・・クリ○リス、触って・・・。」
ただでさえ快感を振り払うのに必死なのに、美雨の口は覚えたての淫語を使い、恥ずかしげもなく快感を求め続ける。
「ちゃんと覚えてくれたみたいだな?ご褒美だ!」
男は右の乳房を弄っていた手を離し、指先で秘裂をなぞり、陰核を指の腹で押しつぶす。
「はぁあああうう!」
「気持ちよさそうな声出しやがって、やっぱり厭らしいことが大好きじゃないか、ええ?」
男に言葉によっても嬲られ、乳房や秘部からは絶え間なく快感が送られ続け、美雨は再び絶頂の予兆を感じ始める。
「ダ、ダメぇ・・・あんっ、それ以上されたら・・・またイっちゃう・・・。」
「いいぜ、遠慮なくイっちまえよ!」
男の責めは留まること知らず、乳房は揉まれ、乳首は扱かれ、ヒップを揉まれ、秘裂は何度も指が往復し、陰核は絶えず振動を送られる。
快感はとうに制御できる量では無くなり、昂ぶる身体を抑えることはできなくなっていた。
「ああっ!また来ちゃう!ふぁあああああああっ!」
絶頂を迎えた美雨の身体は一度ピンと硬直し、やがて男の身体に背を預け、脱力する。
「一度イッたくらいじゃ足りないだろ?まだまだ手伝ってやるよ」
「あっ、ああん!」
絶頂に達した美雨の身体から手を放そうとはせず、男は再び責めを始める。
「おっぱいも気持ち良さそうに揺れて」
「んんっ」
「そら、どっちの乳首もこんなになって」
「あふぅ!」
「クリ○リスももうはっきりと顔を出して」
「ひぃん!」
「ここも濡れ濡れで、よ?」
「あはぁぁん!」
男の手が動くたび、美雨の唇は喘ぎ声を零す。
「ふぅん・・・乳首と、クリ○リス、一緒に・・・弄って?」
「くくっ、厭らしいリクエストだな?」
男は含み笑いを洩らすが、美雨の望み通り乳首と陰核を弄る。否、更に乳房を揉み、秘裂にも指で刺激を加える。
「あっ、あっ、ああん!」
敏感な箇所を同時に責められ、またも官能が溢れ出す。愛液が溢れ出す。
「ふぁっ・・・あぁぁぁぁぁぁぁっ!」
今日何度目かもわからない絶頂に叩き込まれ、美雨の身体から力が抜ける。
「こんな短時間でイけるようになっちまうとはな、天性の娼婦だぜコイツは・・・。」
男は脱力しきった美雨の顔を横に向かせ、自らの顔を近づける。
「決めたぜ、コイツは俺が飼ってやる・・・こんな上玉、『御前』なんざに差し出すのはもったいねぇ・・・。」
男は自らの唇を美雨のそれに重ねようと近づけていく。しかし、それは突然の衝撃により遮られ、男はの身体は美雨から離される。
「ぐはっ・・・!」
「へ、へへ・・・もう我慢できん!」
その様子を見ていたもう一人の男は仲間を突き飛ばし、美雨に覆い被さる。
「おい!テメェ!何しやがる!」
「こんな厭らしい女を前にして我慢なぞできるか!俺は最後までやらせてもらう!」
もう一人の男は美雨に覆い被さったまま、自らのベルトに手をかけ外し始める。
「おい、待て!流石にそれはマズいって!」
もう一人の男が何をしようとしているのか察し、男はそれを止めようと叫ぶ。
「最初に誘ったのはお前だろう!?何を今さら怖じ気づいている!?」
「そいつは『御前』のオモチャになるかもしれないんだぞ?そこまでやったら流石にバレる!『御前』が興味を持った女を抱くかもしれないことぐらい知ってるだろ!?」
男はその行為を止めるためにもう一人の男を抑えようとするが、もう一人の男が放った裏拳により吹き飛ばされる。
「ごはっ・・・!」
いきなりの衝撃に男は意識を失ってしまう。
それを確認したもう一人の男は改めてベルトを外し、ズボンを下ろす。
「こんなに厭らしいんだ、処女じゃなくても誰も疑いはしないだろ・・・!?」
自分に言い聞かせるように呟いたもう一人の男はズボンを下ろしきり、下着に手をかける。
絶頂の余韻から抜け出せない美雨はぼんやりとその様子を見つめるしかない。
(はぁっ、はぁっ、この人・・・何を・・・?)
性に疎い美雨は男が行おうとしていることをほとんど理解できていなかった。
しかし、女としての本能がこのままだと命よりも重い何かを奪われる。その予感を察知していた。
(私、どうなるの・・・?でも、抵抗できない・・・。)
手錠をされ、絶頂から来る脱力感が残る体では男をはね退ける事はできない。
美雨は全てを諦め、静かに瞳を閉じる。
「俺はやる、やるぞ・・・」
目が血走った男が我を忘れ、下着を下ろそうとした瞬間だった。暗闇から伸びた何かが男の首を掴む。
「ぐぁっ!」
「ほぅ?遅いと思って出向いてみれば・・・これは愉快な催しであるな?」
皮肉な女の声と共に、男の体が持ち上げられる。
「がはっ、な、何だ!ぐっ、何者だ貴様!?」
男は頸動脈と気管を圧迫され、乱れた呼吸をしながら自らの首を締め付ける人物を睨み付ける。
暗がりで顔はよく見えないが、きめ細やかな白い肌、衣服ごしでもわかる曲線を描くボディライン、男性ではありえない透き通った声から手の主は若い女性であることが分かる。女性であるはずのその存在が片手で軽々と男を掴み上げていた。
「『何者だ』だと?余(よ)がわざわざ出向いてやったのだぞ?口を慎め・・・この下僕めが。」
よく見るとその女性は平安時代から伝わる日本の伝統的な装束『十二単』を身に纏っていた。
おびただしい枚数の着物を重ねて着るそれは相当な重さがあり、身に付ければ腕を上げることも難しくなるはずだが、女性はそのような重さを感じさせずに軽々と男を締め上げていた。
「く、クソッ!離せ!・・・っ!?」
暗がりの中に一瞬光った女性の瞳を見て男は思わず竦み上がる。
美しさを秘めたそれは同時に氷のように冷たく、鋭く、見るものを威圧する力を秘めていた。
「自らの欲に忠誠を忘れるとは、見下げたものよ。」
再び女性の眼光が男を捉え、殺気を放つ。その冷たい瞳が男の見た最後の光景となった。
「余が直々に手を下してやろう、ありがたく思え。」
女性が手に力を込めると骨の砕ける音と共に男の頸椎はいともたやすく破壊され、男は首があらぬ方向へ曲がった状態で断末魔を上げる間もなく息絶えてしまう。
(一体・・・何が・・・人が、こんなに簡単に?)
美雨は目の前で起こった出来事がまるで理解できなかった。逃げることすら忘れ、ただ呆然と見ていることしかできなかった。
女性が動かなくなった男を床に投げ捨てると同時に、何人かの黒服の男たちを連れた『御前』の付き人である鬼島(きじま)洋子(ようこ)が駆けつける。
「どうなさいましたか・・・っ!これは・・・!」
女性の足元で動かない男、離れた場所で気絶している男を見て洋子はすぐさま黒服の男数名に指示を出し、二人の男を回収させる。
そして、闇の中から一人の老人が姿を表す。
「やれやれ、いなくなったかと思えば、このようなところにいたか。」
闇から現れた老人、否、白髪と年を重ねた者にしか纏えぬ重圧な雰囲気からは確かに老人に思えるが、鋭い目や闇に溶ける黒の着物越しでも分かる鍛え抜かれた肉体が年齢を感じさせない。
この老人こそ裏から表世界の財政を牛耳る権力者、『御前』と呼ばれる男であった。
「『御前』・・・か、この者の到着が遅いのでな、余はあまり気が長い方ではない・・・それにしても・・・。」
女性は荒い息を吐きながら横たわる美雨を一瞥し、黒服に連れていかれる一人の男と一つの死骸を見据える。
そして、嘲笑するように口を歪めながら『御前』に向かって言い放つ。
「部下の躾がなっておらぬのではないか?『御前』よ?」
「貴様!『御前』に向かってなんて口を!?」
女性の口振りに黒服の男の一人が女性に食ってかかろうとする。
「ここにも躾がなっておらぬ駄馬がおるようだな?」
「貴様、言わせておけば・・・!」
頭に血が上った黒服の男が女性に襲いかかろうとするが、洋子がそれを片手で制止する。
「何故止めるんですか!この女、『御前』を愚弄したんですよ!」
「やめなさい!あの方は『御前』のご友人なのですよ!」
「し、しかし・・・!」
「『かぐや姫』。裏社会でそう呼ばれる女性の存在、一度は耳にしたことがあるでしょう?」
その名を聞いた黒服の男たちは一斉に息を飲む。
『かぐや姫』と呼ばれるその女性は裏社会の情報通でも詳細を知ることができず、『かぐや姫』に付き従う数名の部下は全員女性だと噂に上ったくらいだ。そのため、その力とは裏腹に虚構の存在とも疑われていた。
それ故に何処を拠点としているのか、何が目的で裏社会の人間なったのか等は一切不明で、『御前』と交友関係にあることも明らかにされていなかった。
『かぐや姫』は『御前』の主催する<地下闘艶場>に興味を持ち、共にVIPルームから今回の試合を観戦していたのだ。
「男の本能は権力や金で容易く抑えられるものではないのでな。今の部下の無礼も含めて、水に流してはくれんか?下衆とは言え、儂の部下の命を勝手に奪ったのだから、な」
常人ならば逃げ出す程の冷たさを持つ『かぐや姫』の視線に当てられても、『御前』は微笑さえ浮かべて跳ね返して見せる。但し、その笑みは肉食獣のそれだ。
『御前』の返答に、『かぐや姫』は口元に今までとは違うはっきりとした笑みを浮かべる。
「男の本能とやらは理解できぬが、他ならぬ『御前』の頼みだ・・・全て不問としよう。」
『かぐや姫』もまた、『御前』に友好的に話すと、足元で横たわる美雨に視線を向ける。
「さて、後はこの者の処理であるな?」
「あぐっ・・・!」
動くことができない美雨の腹部を『かぐや姫』は躊躇無く踏みつける。
『御前』もまた、横たわる美雨の近くまで歩みより美雨を見下ろす。
「ふむ、依頼された形であったにせよ、儂の命を狙い、試合にも敗北した。相応の罰は必要よな。」
「・・・っ!」
『御前』、そして『かぐや姫』。その二人に見下ろされ、生まれて初めて感じるほどの恐怖心に苛まれる。
そこにいるのは自分と同じ人間であるはずなのに、獲物を狙う猛獣に睨まれたかのような威圧感。美雨は死の恐怖を感じる暇もなく、自分を見下ろす存在に恐怖してしまう。
「あっ、う、うぁっ・・・。」
体の底から震えが来る、恐怖の余り言葉が上手く出てこない。踏みつけられた腹部の痛みも忘れ、美雨はただ口から意味を持たぬ吐息を放つのみとなった。
そんな美雨の様子を見た『御前』はその場にしゃがみこみ、美雨の呼吸に合わせて上下する乳房を掴み、優しく揉みしだく。
「やっ、あんっ!」
「しかし、儂はこうも考える。お主のような若い芽を摘み取ってしまってよいのかとな。」
『御前』の責めにより、恐怖で支配されていた美雨は再び快感の世界へ誘われる。
『御前』は不規則に緩急をつけて乳房を揉み、美雨を慣れさせない。
「性を知ったばかりのうら若い身体よな。まだまだ青い。」
「ああっ、そこはダメ!やあっ!」
乳房だけでは飽きたらず、再び硬度を取り戻した乳首にも『御前』は刺激を加える。
何度も指で弾き、その度に跳ねる美雨の体を見ては小さく笑みを浮かべる。
しばらく乳首への責めを続け、仕上げとばかりに摘まみ上げると『御前』立ち上がって、傍らの洋子に指示を出す。
「先程の物を、こやつの手錠も解いてやれ。」
「はっ!直ちに!」
すぐさま黒服の男の一人が美雨に駆け寄り、両手を戒めていた手錠を外す。
自由になった両手に、美雨は洋子から何か布の様なものを渡される。
「これは・・・。」
渡されたのは簡素ではあるが、女性用の衣服一式であった。
驚きのあまり固まる美雨を見下ろしながら『御前』は言い放つ。
「お前が地獄を見るにはまだ早い。それを着て去(い)ね。」
「・・・え・・・?」
「ただし、再び儂に逆らうようなことがあれば・・・。」
『御前』の体から再び、凄まじいばかりの威圧感が発せられる。周りの空気が歪む程のそれに当てられ、美雨は本物の恐怖に磨り潰される。
震える美雨にかまわず、『御前』は続ける。
「その命無いものと思え」
「・・・っっっ!」
恐怖の余り目を見開き、涙すら浮かべた美雨は与えられた衣服を抱えて一目散に出口の方向へ駆ける。
その心には『御前』に対する恐怖が深く刻まれていた。
「ふむ、逃げ足は立派なものだな。」
美雨の背中を見送った『御前』は二人のやり取りを黙って見ていた『かぐや姫』に向き直る。
「さて。『辻倉美雨は生かしておく。』それがお主の要求であったな、姫よ?」
「その通りだ、感謝するぞ『御前』。」
『かぐや姫』は美雨が去っていった方向を見つめ、妖しげな笑みを浮かべる。
「今、恐怖を植え付けておけば、これから利用できよう・・・それに、余はあの者には興味が湧いた・・・。」
「儂としても若いおなごを殺めるのは気が引けたのでな、寧ろ好都合だ。」
「相変わらず其方(そなた)は女には甘いな。」
「男というのはそうできておるのだよ、姫。」
「・・・理解できぬな。」
『かぐや姫』の口からは無遠慮な言葉が飛び交うが、『御前』は気にも留めない、それらが彼女なりの軽口だと理解していたからだ。
「さて、頃合いか。」
『かぐや姫』は『御前』に背を向け、闇に向かい呼び掛ける。
「要芽(かなめ)!おるか!」
「・・・ここに。」
『かぐや姫』の呼び掛けに応え、闇の中からパンツタイプのスーツを着こなし、煌めく金髪を肩まで伸ばし、純粋な日本人ではあり得ない褐色の肌を持った女性が多数の侍女たちを引き連れ、姿を現す。
自らの前に跪く侍女たちを見据えた『かぐや姫』は、要芽と呼ばれたその女性を引き連れ、闇に向かい歩みを進めた。
「<地下闘艶場>、なかなか興味深い趣向であった。また近いうちに参ろうぞ。」
『かぐや姫』はそう言い残すと振り返ることなく闇の中へ消えていく。
「失礼いたします・・・。」
要芽もまた『御前』に向かい一礼した後に侍女たちと共に『かぐや姫』の後を追うように闇の中に消えていった。
「ああ、またいつでも来るといい。」
誰に語りかけるわけでもなく、そう呟いた言葉は闇に溶けていく。
『御前』は従う洋子や黒服の男たちなど一顧だにせず、『かぐや姫』とは反対の方角へと進む。闇に滲んだその姿が、更に深き闇へと溶け込んでいった。


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