【プロローグ】
「いやあぁぁぁぁ・・・!」
リング上では国民的女優の南尾恵里が、豹柄の極小ビキニという扇情的な姿で複数の男から体中を弄られている。リングの中央で押さえつけられ、バストを、太ももを、そして秘部までも嬲られている。男達の手や舌が恵里の全身を這いずり回り、その度に恵里の美貌が歪み、悲鳴が上がる。
<地下プロレス>。
美しき有名女性芸能人がリングに上げられ、プロレスの名を借りた様々なセクハラを受ける姿を楽しむ裏のイベント。それが<地下プロレス>だった。観戦できるのは地位と財力を持つ者のみ。
「御前」と呼ばれる老人もその場にいた。否、豊かな白髪と重厚な雰囲気を見れば老人に思えるが、鋭い眼、隙の無い身のこなし、他を圧する覇気が年齢を感じさせない。
財界を裏から牛耳る実力者で、その財力を生かして政界への太いパイプも持ち、裏社会にも顔が利く存在である。色事、艶事は数限りなくこなしてきたその「御前」が年甲斐も無く興奮し、リングで繰り広げられるセクハラバトルから目が放せない。
(自分もこういうイベントを主催したい・・・)
観戦中に浮かんだその思いは、広大な敷地の自宅に帰宅してからも消えなかった。自分の人脈と経済力を持ってすれば難しいことではないだろう。しかし、まったく同じことをするのも面白くない。
(ふむ・・・)
まず場所を押さえ、美しき犠牲者を用意する。格闘技を修めた強い女性がいい。強い女をセクハラで屈服させ、悲鳴を上げさせるのだ。美しき犠牲者が嬲られる姿を想像しただけで堪らなかった。
但し生々しくなってしまうためセックスまではさせない。セックスを売り物にするならまた別の催しでもすればいい。
「寸止め」の興奮。「御前」はこの違いが分かる者だけを招待することに決めた。
早速部下を呼び、指示を与える。嬉々として指示を出す「御前」に逆に恐ろしいものを感じ、部下達はすぐさま準備を開始した。