【第二十三話 ニナ・ガン・ブルトン:ムエタイ 其の二】

 犠牲者の名は「ニナ・ガン・ブルトン」。18歳。身長165cm、B91(Fカップ)・W58・H86。インド出身。大きな瞳と褐色の肌のエキゾチックな美人。紡錘形のバスト、細く括れた腰、形のいいヒップ。腰まで届く黒髪を三つ編みにしている。広大な綿花畑とITで財を成した父親を持ち、幼少の頃はイギリスに留学し、現在は日本に留学している。英語、日本語、スペイン語、フランス語、サンスクリット語、ヒンディー語など十以上の言語を操る才女。イギリスでキックボクシングと出会い、日本ではムエタイジムに通って体を鍛えている。
 前回の<地下闘艶場>ではいいようにセクハラを受け続けたものの、最後は二発で試合を終わらせてしまった。
 その後再度<地下闘艶場>へと誘われるがさすがのニナも断った。しかし街角で偶然を装った「御前」の部下に「日本の民族衣装を着てお客さんの前に出るだけで、高額のバイト代を払う」と言葉巧みに言い包められ、その舞台が同じ場だとは気付かずに承諾してしまった。前回の比ではない羞恥に見舞われるとも知らずに。

「ここ、見覚えがある気がするけど、気のせいかしら?」
 バイトを引き受けたニナは控え室へと連れてこられ、用意された衣装に着替えて待つように言われた。用意された衣装は白い上着、赤い袴の巫女服だった。
「下着は身に着けずに衣装だけ御付け下さい」
と言われ、躊躇いながらも全裸になり、巫女服を身に着ける。合わせ目は何度かき合わせても広がり、胸の谷間を隠すことができない。なんとかしようと悪戦苦闘したが、入場の準備をするように言われ、諦めて控え室を出るしかなかった。

(ぉぉぉぉぉ・・・!)

 ニナを迎えたのは観客の歓声だった。エキゾチックな美女が巨乳の谷間も露わな巫女服を着て入場してきたことで、一気に興奮が高まったらしい。観客の視線が胸元に集中していることに気付いたニナは、恥ずかしげに胸元を隠してリングまで歩く。リング下に待っていた黒服にリングに上がるように促され、おかしいとは思いつつもリングへと上がる。そこには、見覚えのある男がいた。
「あ、貴方は!」
「やあ、久しぶりだなぁニナ選手」
 にやけた笑みを浮かべてニナを見つめるのは、前回散々セクハラをしてきたあのレフェリーだった。
「わ、私、帰ります!」
 後ずさったニナだったが、その眼前に契約書が突き出される。
「おいおい、こいつにサインしたのはお前だろう? 契約破棄はできないぜぇ」
「う、そ、それは・・・」
「ここにサインするだけでいいですから」と言われ、中身を良く確認しなかったのが仇になった。リングを降りることは諦め、相手を早く倒して試合を終わらせようと考え直す。観客やリング内の男達の粘っこい視線が、胸に集中するのが恥ずかしかった。
「赤コーナー、虎路ノ山!」
 対戦相手はスパッツの上にまわしを締めた男だった。頭には丁髷が乗っており、手足の指や手首、足首にはバンテージが巻いてある。
 「虎路ノ山」。
 つい先月まで序二段を張っていた現役力士だったが、酔っ払い運転で人身事故を起こし、廃業させられた。しかし<地下闘艶場>に拾われ、今回が初登場のリングとなる。
「青コーナー、『天然ムエタイ戦士』、ニナ・ガン・ブルトン!」
 胸の前を隠して怯えるニナに、虎路ノ山のボディチェックを終えたレフェリーがゆっくりと近づいてくる。
「さて、もうわかってるな? ボディチェックをさせて貰おうか」
 わかっているが故、恥ずかしい光景を思い出し、固まってしまう。レフェリーは衣装の上から紡錘形のバストを掴み、巨乳の谷間を見ながら感触を楽しむ。それだけでは我慢ができなくなり、衣装の隙間から手を入れ、直接紡錘形のバストを揉む。
「おおーっ、こいつはいいな! 久しぶりだってのにたまらん! いや、久しぶりだからか?」
 独り言を言いながらレフェリーはバストを揉み、乳首を指で転がし、若さが誇る弾力を楽しむ。あまりにも長く続くバスト責めに、おとなしいニナがその手を振り払う。乱暴に振り払ったため襟が乱れ、乳首が見えそうになってしまう。
「いやぁっ!」
 悲鳴を上げ、胸の前を隠す。レフェリーは恍惚の表情で、先程までニナのバストがあった空間でニギニギと指を動かしていた。
「・・・いかんいかん、浸ってる場合じゃない。次はこっちを調べないとな」
 言いつつレフェリーは袴の隙間から手を突っ込み、下着を着けていないニナの秘部の入り口をなぞる。
「くくっ、馬鹿正直に下着を着けてないのかよ。天然っぷりは相変わらずだな」
「や、やめてぇっ!」
 これには驚き、ニナはレフェリーの手を袴から引き抜く。
「ちょっと薄めのアンダーヘアだな」
 レフェリーの揶揄にニナが真っ赤になる。このタイミングでゴングが鳴らされる。

<カーン!>

(またここで闘わなきゃいけないなんて・・・手になにもつけてないのに)
 巫女服しか身に着けていないため、グローブもバンテージもしていない。それでも覚悟を決め、右ストレートを放つ。
「えいっ!」
 その一撃は虎路ノ山の顔面に当たるが、本人はけろりとしている。
「痛っ!」
 それどころか、ニナの右手に痛みが走る。
「がっはっはぁ、そんなもん、力士の張り手に比べれば蚊が刺したようなものよ!」
 虎路ノ山はすり足で距離を詰めると、軽めの突っ張りを放ってくる。ニナはその手を払おうとしたが、パワーと体重に劣るため逆に手を弾かれる。虎路ノ山の突っ張りはニナの胸が標的だった。ぽよん、ぽよんとバストを弾ませる。
「やだ、やめてください!」
 こぼれそうになった胸元を隠してニナが逃げる。しかし虎路ノ山に巧みに誘導され、コーナーへと追い込まれる。
「そぉーれ、もう逃げ場はないぞぉ?」
 ニナを見下ろし、虎路ノ山が舌なめずりする。
「ううっ、このっ!」
 ニナは虎路ノ山のボディへとパンチの連打を浴びせるが、脂肪に阻まれダメージが通らない。それでもムキになって連打するニナだったが、両手を掴まれて差し上げられる。
「どぉーれ、折角だから・・・」
 虎路ノ山は左手だけでニナの両手を掴み、右手でニナのバストを弾ませる。
「や、やだ、やめてくださぁい!」
 もがくニナだったが、掴まれた両手はまるで動かない。虎路ノ山はバスト弾ませをやめてバスト揉みへと移行し、紡錘形の巨乳を太い指で弄りまわす。
「ううっ、気持ち悪いです・・・」
 身を捩っても逃げることができず、良いようにバストを揉まれてしまう。
(こうなったら・・・!)
 右脚を振り上げ、虎路ノ山の金的を打つ。まわしの上からとは言えこれには堪らず、虎路ノ山はニナを解放してしまう。ニナはコーナーから脱出するものの、着衣の乱れが気になり追撃にまで行けない。
「ここは蹴ったら駄目じゃろうが!」
 金的の痛みから回復した虎路ノ山は横殴りの張り手を放つ。これは避けるニナだったが、虎路ノ山がにやつきながら指摘する。
「おおっ、可愛らしい乳首が顔を覗かせておるわい」
「え、ええっ!?」
 思わず胸元に視線をやるニナだったが、辛うじて乳首の露出はなかった。ほっとして顔を上げたニナの前に、虎路ノ山の巨体があった。
「そおれぃ!」
 ニナをベアハッグ、否、さば折りに捕らえる虎路ノ山。体を揺すりながら少しずつ締め上げていく。しかも顔をニナの巨乳の谷間に埋めるようにして柔らかな感触を楽しむ。
「あうぅっ!」
 内臓を絞り潰されていくような痛みに呻く。
(恥ずかしいけど、またこの手で・・・!)
 はだけた胸元を虎路ノ山の顔に押し付け、頭を抱える。グレッグ戦のときと同じ作戦だが、虎路ノ山はこれ幸いとニナの乳房を舐め回す。
「きゃぁっ!」
 その気持ち悪い感触に虎路ノ山の頭を放してしまう。虎路ノ山は舐め回すのを止めず、時々軽く歯を立てる。
「あぅっ!」
 ニナは思わず虎路ノ山の耳を引っ張っていた。耳が千切れそうな痛みに虎路ノ山もさば折りを外してしまう。
 回り込んで距離を取ろうとしたニナだったが、虎路ノ山に襟を掴まれ、引っ張られる。強く引かれたため、遂に紡錘形の乳房がぶるんっ、と合わせ目から弾け出てしまう。その光景に、観客からも大きな吐息が漏れる。
「きゃーーーっ!」
 盛大な悲鳴をあげ、ニナが胸を隠す。虎路ノ山は襟を掴んだまま、左手を伸ばしてニナの乳房を触る。
「がっはっはぁ、ぷりぷりのおっぱいだな! 堪らん堪らん!」
 虎路ノ山は更に襟を引き下ろし、ニナの両手は巫女服で拘束された格好になる。
「ひっ・・・」
 乳房を自分の手で隠すこともできず、ニナが固まってしまう。虎路ノ山は後ろから抱きつき、両手で乳房を揉みくちゃにする。
「これは凄い、おっぱいが突き出とるじゃないか! こんな厭らしいおっぱいにはお仕置きじゃあ!」
 鼻息を荒げながら虎路ノ山が両方の乳房を揉み回す。レフェリーもここぞとばかりに近づき、袴の隙間から指を差し込む。そのまま秘部へと進ませ、割れ目をなぞる。
「やだっ、やめてください!」
 身を捩るニナだったが、男二人に押さえられては逃げることも適わず、いいように嬲られる。虎路ノ山は乳首を、レフェリーは淫核を重点的に狙い、指で責めていく。
「あぅぅっ、やだっ、嫌です!」
 男達に触られる嫌悪感に悲鳴を上げる。しかし身体は刺激に素直に反応し、乳首が立ち上がり、淫核も包皮から顔を覗かせる。
「がっはっは、乳首が立ってきたぞ!」
「お豆も顔を出したみたいだな。そらっ、直接こうしてやる!」
「きゃぅぅぅっ! 駄目です、やめてぇっ!」
 強過ぎる刺激にニナは叫んでいた。
(駄目、このままじゃ好き勝手に触られちゃう、なんとかしなきゃ・・・)
 乳首と淫核に与えられる刺激を堪え、思い切り体を捻る。勢い良く体を捻ったことでなんとか二人から離れ、巫女服の乱れを直す。しかし立ち上がった乳首が擦れて、知らず腰が引けてしまう。
「がっはっは、少しは抵抗してくれないと面白くないわ。どれ、次はどういう風に可愛がってやろうかのぅ」
 虎路ノ山は気負った様子もなく、ずんずんと間合いを詰めていく。
(ううっ、どうしよう、攻め手を考えつきません・・・)
 焦るニナだったが、目の前に虎路ノ山に立たれると何もしないわけにもいかず、左右のフックをボディへと放つ。しかし厚い脂肪に覆われた虎路ノ山にはまったく効かず、がっぷり四つの体勢にされてしまう。
「ふんふんふん!」
「あぅっ、痛いっ!」
 虎路ノ山が袴を持って吊り上げるようにしたことで、ニナの秘部に食い込んでしまう。ニナは暴れるが、逆に袴を余計に食い込ませることになってしまった。
「おお、すまんすまん、苛めるつもりはなかったんだがな」
 そう言うと虎路ノ山は袴を放し、膝をニナの股間に当て、ぐりぐりと押し付ける。
「やぁぁっ、やめてください!」
 ニナは虎路ノ山の太ももを押さえて少しでも刺激を抑えようとするが、圧倒的なパワーの差にそれも叶わない。虎路ノ山は暫くそうしていたが、ニナの袴を再び掴む。
「そおれぃ!」
 そのままニナを軽々と抱え、上手投げでリングに叩きつける。
「あぐぅっ!」
 その強烈な威力に、ニナは立ち上がることもできずに背中を押さえて呻く。ニナの動きが止まったことを確認し、虎路ノ山はまわしを外してニナを後ろ手に縛り上げる。そのまま圧し掛かり、再び巫女服の前を大きく開く。
「あっ、ああっ・・・」
「おうおう、寝ても形が崩れずにそびえ立っておるわ。天辺も立ったまま儂を誘っておるわい!」
 虎路ノ山はニナの乳房の根元を持ち、搾るように揉みながら乳首を口に含む。
「やめて、やめてください・・・やぁぁっ!」
 乳房を握られる痛みと、男の舌の気色悪さにもがく。虎路ノ山は鼻息を荒げ、乳首をしゃぶり、舌で転がす。一頻りしゃぶると逆の乳首を責める。
「うっ、うっ、もういやです・・・」
 半泣きになって首を振るニナ。腕を縛られた上に巨体の虎路ノ山に圧し掛かられては逃げることができない。
「むっふー、むっふー」
 鼻息を荒げた虎路ノ山が、乳房ごと乳首を口に含む。興奮が収まらないのか、スパッツの中で固くなった逸物をニナの太ももに擦りつける。
「いやぁぁぁっ!」
 スパッツ越しとはいえ男の大きくなった逸物を擦りつけられ、目の前が暗くなる。暗闇から逃れるように、反射的に膝を立てていた。
「ぬぐぉぉぉっ・・・」
 まわしを外したことが災いし、ダイレクトに衝撃が伝わる。虎路ノ山は股間を押さえ、リングの上を転げ回る。そのときにはニナの手を拘束していたまわしも緩み、ニナは立ち上がって巫女服を直す。その表情は一変していた。
「・・・許せません」
 普段は温厚で、リングに上がってからは怯え続けていたニナも、虎路ノ山とレフェリーに嬲られ続けたことに切れた。股間の痛みに四つん這いになっていた虎路ノ山にゆっくりと歩み寄り、頬を蹴り飛ばす。
「がぶほっ!?」
「おい、倒れた選手への打撃は・・・」
 注意しかけたレフェリーだったが、ニナに睨まれるとその迫力に口を噤む。
(まずい、前回の切れたときの目だ。下手に関わるとやられる・・・!)
「ぬぐぅ、なんのこれしき・・・!」
 なんとか立ち上がった虎路ノ山だったが、ニナの膝を抉るようなローキックに片膝をつく。
「ハッ!」
 休む間もなく、こめかみにニナのミドルキックが叩き込まれる。
「あぐぉ・・・ま、まだまだ・・・」
 それでも元力士の意地か、ダウンを拒む虎路ノ山だったが、ニナの膝蹴りに顎を真下から跳ね上げられ、ゆっくりと後方に倒れていく。

<カンカンカン!>

 それを見たレフェリーは慌てて試合を終わらせた。ニナは怒りの形相を崩さず虎路ノ山を睨んでいたが、不意に顔を歪め、泣きながらリングを走り去った。


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