【第三十五話 須座久菊奈:プロレス】

 犠牲者の名は「須座久(すざく)菊奈」。21歳。身長167cm、B89(Eカップ)・W64・H92。プロレス団体「JJJ」(トリプルジェイ)に所属するトップレスラー。垂れ目で童顔という癒し系の容貌で、プロレスを知らないファンも多く、可愛らしさと抜群のプロポーションに写真集が発売されたほど。(本人は最後まで嫌がっていたが)普段はおっとりとしているが、闘いとなれば豹変したようなファイトを見せる。セミロングの髪をなびかせ、華麗に舞う姿に魅了されたファンも多い。寝技、関節技にやや難があるものの、打撃、投げ、空中技を高いレベルで身につけ、団体のトップを争う実力を持つエース候補の一人。
 <地下闘艶場>にももっとプロの選手を上げるべきではないか、との声が大きくなり、「御前」と繋がりのある「JJJ」から菊奈が生贄として招かれた。淫靡な闘いのリングへと。


「これがコスチュームなんてぇ・・・」
 菊奈に用意された衣装は、キャビンアテンダントのものだった。衣装は用意されるとのことだったのでてっきり水着だと思っていたのだが、まさかこんなものだとは。白いワイシャツに胸元のスカーフ、濃紺を基調としたジャケットにタイトスカート、リングシューズの代わりに真紅のハイヒール。この格好でプロレスをすれば、下着が見えてしまう。
「こんなことなら、いつもの衣装持ってくればよかったぁ」
 どこか緊張感のない口調で菊奈がぼやく。仕方なくキャビンアテンダントの衣装に着替え、軽いストレッチで体をほぐした。

 ガウンを纏って入場した菊奈を、大歓声が迎えてくれる。しかしいつも感じるファンたちが発する熱気とは違い、男達の欲望が剥き出しにされ、粘ついた獣気の渦が菊奈を中心に回っている。
(なに、これ・・・いつもと、ちがう・・・)
 花道を進みながらも、観客の視線に心が竦む。菊奈は早くも後悔していた。

 リングの下に到着した菊奈は、両腕を顔の前で交差させ、唇を動かし何かを呟く。呪文のような文句を唱えた後、階段を一気に駆け上がり、トップロープを飛び越え、ガウンの裾を翻しながらリングに舞い降りる。その顔は、既にレスラーの表情となっていた。

「青コーナー、コンテ・大倉!」
 今回で二度目の登場となる大倉。前回はタッグマッチであり、シングルでの実力は未知数だ。そのためか、観客からの声援も普段より抑え目だった。
「赤コーナー、『JJJの癒し姫』、須座久菊奈!」
 菊奈がガウンを宙に舞うように脱ぎ捨てると、その下からキャビンアテンダント、昔で言うスチュワーデスの衣装が現れる。ミニスカートの後ろ側をヒップが押し上げ、シャツの胸元をバストが内側から盛り上げている。衣服の上からでもわかる菊奈のプロポーションに、観客から卑猥な野次や指笛が飛ぶ。

 大倉のボディチェックをざっと終えたレフェリーが、今度は菊奈に近づく。
「それじゃあ、ボディチェックを受けて貰おうか」
 にやつきながら菊奈の全身を舐めるように見つめるレフェリーに、女性の本能が逃げろと命じる。しかし、プロレスラーとしてボディチェックを拒むことはできない。ヒールならそれもできるだろうが、菊奈はベビーフェイスであり、自らの信条からもそれはできない。
「そうだよな、レスラーとしてはボディチェックを拒むなんてできないようなぁ」
 逃げようとしない菊奈に、レフェリーは厭らしい手つきで肩から腕を触っていき、ヒップを撫で、お腹を通ってバストを掴む。
「ほぉぉ・・・これはこれは」
 その大きさと弾力に、レフェリーの顔が緩む。つい荒っぽくなったレフェリーの手の動きにも、菊奈はじっと耐える。
「くくっ、さすがプロレスラー。偉いもんだな」
 バストを揉まれても逃げようとしない菊奈に対し、レフェリーは股間にまで手を伸ばす。
「え、そ、そこは!」
「なんだ? レフェリーに逆らうのか?」
 そう言われるだけで、逃げかけた体が動きを止める。
「そうそう、ボディチェックは最後まで受けなきゃな」
 レフェリーの欲望に満ちたボディチェックを菊奈はただ耐える。
「ごくろうさん、それじゃ始めるか」
 最後に菊奈のバストを弾ませたレフェリーがゴングを要請し、屈辱の時間が漸く終わる。

<カーン!>

 リング中央で向かい合う菊奈と大倉はゆっくりと円を描くように動きながら、相手の出方を窺う。菊奈が牽制代わりのローキックを放っていくと、大倉は膝を上げることでカットする。菊奈がローキックと見せかけ、いきなりハイキックを放つ。鋭い一撃だったが、大倉もぎりぎりでこれをかわす。
「ヒュゥ。危ねえな。でもいいのか、パンツが丸見えだぞ」
 大倉の指摘に、頬を赤らめた菊奈がスカートを直す。好機と見た大倉がミドルキックを放つが、菊奈は素早くキャッチし、ドラゴンスクリューに切って取る。痛みに呻く大倉を見ながら立ち上がろうとした菊奈だったが、そのヒップをレフェリーの手が撫でる。
「ちょ、ちょっとレフェリー!」
 思わずレフェリーの手を振り払い、睨みつける。しかしその隙に大倉が立ち上がり、菊奈の後ろを取った。背後から回された大倉の右手が、菊奈の左のバストを掴む。
「えぇっ?」
 女子との試合のように、偶然当たったわけではない。狙って掴んだのは明白だ。抗議しようとした菊奈の体がふわりと宙に浮く。
「うぐっ!」
 気づけば大倉のブリザードでリングに叩きつけられていた。バストへ意識が行ったため受身が甘く、必要以上にダメージを受けてしまった。背中を押さえて立ち上がろうとしたが、またも大倉からバストを掴まれ、サイドスープレックスで投げられる。
「くぅぅぅっ・・・!」
 男性レスラーの加減ない投げ技二連発はかなり効いた。リングを転がり、なんとかリング下に逃れる。フェンスにもたれ掛かるようにして立ち上がった途端、左腕を掴まれた。
「え?」
 否、左腕だけではなかった。右手、両肩、腰などいたるところを持たれ、バストにまでも手が伸びる。
「ちょっと、やだ、そんなところ・・・やぁぁっ!」
 幾らプロレスラーと言えど、何人もの男達に押さえ込まれれば逃げることができない。手足を捕らえられたまま、左右のバストを乱暴に揉まれてしまう。男達の手は太ももやヒップも撫で回し、スカートの中にまで潜り込んでくる。
「そ、そこは・・・駄目ぇっ!」
 菊奈の悲鳴交じりの拒否など気にも留めず、男達は欲望のままに菊奈の肢体を弄り続ける。レフェリーはそれを眺めながら、ゆっくりとカウントを進めていった。

 カウントが17まで進んだところで漸く開放され、ふらつきながらリングへ戻る。男達の乱暴な責めで乱れた衣服が色っぽい。
「お帰り、寂しかったぜ」
 大倉はロープ越しに菊奈をブレーンバスターに捕らえ、そのままリングへと投げる。
「ぐぅぅっ!」
 痛みに呻く菊奈の上半身を無理やり起こし、今度はドラゴンスリーパーへと捕らえる。菊奈は逃れようと暴れるが男の力には敵わず、首と右腕に痛みが奔る。
 大倉はドラゴンスリーパーの腕のクラッチを外し、菊奈のバストへと右手を伸ばす。
「俺、あんたの写真集買ったぜ。よくおかずにしたもんだ。実際に触ってみるとここまで大きいとはな」
「ぐぅぅっ・・・」
 喉元を締め上げられ、菊奈が苦痛に呻く。そこへレフェリーが近寄る。
「須座久選手、ギブアップか?」
 レフェリーは秘部を弄りながらギブアップの確認をしてくる。
「んんんっ!」
 菊奈は動かせる左手でレフェリーの手を払おうとするが、レフェリーは巧みに手の位置を変えて秘部を責め続ける。
「そこは嫌だって・・・くぅっ」
 菊奈が抵抗しようとするたび、大倉は喉を絞めて動きを止めさせる。菊奈は気道を潰される苦しさとバスト、秘部を弄られる不快感に身を捩る。
「それじゃあ、こっちも揉んでやるか」
 レフェリーが秘部から手を放して立ち位置を変えた瞬間、菊奈がリングを蹴った。大倉の左手を支点として後方へ一回転し、大倉をリングに叩きつける。
「ぐっ、くそ、油断した・・・」
 素早く立ち上がった大倉だったが、菊奈にバックを取られ、得意のブリザードで投げられる。
「やりやがったな・・・!」
 自分の得意技を逆に決められた屈辱に、大倉の顔が怒りに歪む。スピードに乗ったタックルを繰り出す大倉だったが、菊奈のミドルキックにカウンターを取られ空を掴む。
「ええいっ!」
 そのまま菊奈のぶっこ抜きバックドロップに、急角度でリングに叩きつけられる。
「ぐぅぅっ・・・」
 後頭部を押さえて片膝立ちとなった大倉に、菊奈のシャイニングウィザードが突き刺さる。大倉の顎が跳ね上がるが、それで終わりではなかった。シャイニングウィザードを放った菊奈の体が、天へと高く舞い上がる。
 <フェニックスダイブ>。
 シャイニングウィザードを決めた瞬間相手の肩を蹴り、更に飛ぶという激何度な技。使い手は女子プロレス界でも菊奈ただ一人。
 シャイニングウィザードでダウンした大倉の上に、宙返りした菊奈のボディプレスが炸裂する。そのままフォールした菊奈の要請に、レフェリーが渋々カウントを取る。
「ワーン・・・ツー・・・」
 スローテンポのカウントが進んでいくが、大倉がフォールを返す気配はなかった。
「ちっ・・・スリー!」

<カンカンカン!>

「終わったぁ・・・」
 菊奈が大きく息を吐き、普段の間延びした表情に戻った。ゆっくりと立ち上がったそのとき、背後から襲い掛かる者があった。
「菊奈ちゃん強いんだな、感動したぜ」
 その男はレスラータイツにTシャツ姿で、顔には蜘蛛をモチーフとしたマスクを被っている。<地下闘艶場>で知らぬ者はいないマスク・ド・タランチュラだった。
「俺も写真集持ってるよ。こういう風におっぱい揉みくちゃにしてみかったぜぇ」
 マスク・ド・タランチュラは背後から菊奈の両方のバストを鷲掴みにし、思うままに捏ね回す。
「おっほー、すんげぇボリューム。菊奈ちゃん、プロレスじゃなくてグラビアアイドルでもやっていけるぜ?」
「やぁだぁ! やめてよぉ!」
 そこに先程までのレスラー・菊奈はいなかった。ただ手足をじたばたとさせ、素人のように暴れるだけ。
(なんか、さっきまでと違うな)
 菊奈の反応に内心首を傾げながらも、マスク・ド・タランチュラは菊奈のバストの感触を楽しむ。
「どうした須座久選手。抵抗しないのか?」
 レフェリーは菊奈の太ももの間に手を差し込み、秘部を弄り回す。
「だ、駄目よぉそんなとこ触っちゃ・・・やだぁ!」
 菊奈の弱い抵抗など気にも留めず、レフェリーとマスク・ド・タランチュラは菊奈の身体を責め続ける。
「それじゃ、お客さんにもサービスしようか」
 マスク・ド・タランチュラの言葉に、観客席が沸く。
「そーら!」
 マスク・ド・タランチュラは後ろから菊奈の太ももの内側を持ち、大きく開脚させる。
「きゃーーーっ!」
 ライトグレーのパンティが観客の目に晒され、菊奈の悲鳴が会場に響く。しかし、それを掻き消すほどの大歓声が起こる。
 マスク・ド・タランチュラは菊奈の膝の裏側を自分の腕の間で挟み、長い腕を伸ばして菊奈のEカップバストを揉みくちゃにする。脚を大きく開かされたことでミニスカートがずり上がり、パンティが露になってしまう。
「やだって言ってるのにぃ。ひどいよ・・・」
 菊奈は半べそをかきながら、手足をばたつかせる。
「なんか・・・抵抗が弱いってのもイマイチだなぁ」
 マスク・ド・タランチュラは菊奈の弱々しい抵抗に、段々と飽きが来てしまった。強い女性にセクハラするのが楽しいのであって、こんな反応だと面白みが薄れてしまう。
「水華先生くらいの反応だと楽しめるのになぁ」
 笹塚水華も弱かったが、負けまいと必死で頑張る姿が嗜虐心をそそってくれた。
「もう終わりにするか・・・そらよっ!」
 マスク・ド・タランチュラは菊奈の太ももを抱え、バストを掴んだ状態から後方へスープレックスを打つ。菊奈は受身も取れず、そのまま頭からリングへと落とされた。マスク・ド・タランチュラが菊奈から離れると、菊奈の下半身がゆっくりとリングへ落ちていく。
 この一撃で失神した菊奈は、大股開きの屈辱的な格好を観客達に視姦され続けた。


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