【第六十話 ピュアフォックス:プロレス & ステファニー・クレイトン:プロレス】

<地下闘艶場>で行われる闘いも六十試合を数えることとなった。今回はタッグマッチが企画され、二人の美少女に照準が定められた。

 一人目は「ピュアフォックス」。本名来狐遥。17歳。身長165cm、B88(Eカップ)・W64・H90。長めの前髪を二房に分けて垂らし、残りの髪はおかっぱくらいの長さに切っている。目に強い光を灯し、整った可愛らしい顔に加え、面倒見が良く明るい性格で両性から人気がある。高校でプロレス同好会を立ち上げ、他校との交流試合を中心に活動を行っている。リングに上がる時は狐をモチーフにした覆面をつけ、ピュアフォックスと名乗っている。華麗な空中戦を得意とし、その試合を見た者からは絶大な人気を誇るが、男子生徒からは主にそのダイナマイトボディ目当てで支持されている。
 過去にピュアフォックスとして一回、ダークフォックスとして一回タッグマッチを闘っており、経験値は問題ない。今回はベビーフェイスのピュアフォックスとしてリングに上がることとなった。

 二人目は「ステファニー・クレイトン」。17歳。身長170cm、B92(Fカップ)・W61・H93。眩い金髪に伸びやかな手足、笑顔が魅力的なアメリカ人。祖母が日本人のため、日本語も問題なく話せるバイリンガル。白い肌に金髪と白人特有の容姿だが、オリエンタルな雰囲気も感じさせる稀有な美貌。
 現在は来狐遥の通う高校の留学生。アメリカのメジャープロレス団体「WUP」でディーヴァになることを夢見ており、遥の誘いに自ら望んでプロレス同好会へと所属している。
 前回の<地下闘艶場>の試合ではミステリオ・レオパルドに散々辱められたものの、自分の口から流れた血に気づいた途端、バーサーカーと化して忽ちミステリオ・レオパルドをKOしてしまった。更にレフェリーまで病院送りにしている。

 二人の高校生美少女は、タッグマッチの提案を受け入れた。エロティックな展開が待っているとわかった上で。


「今回はステフと一緒か。美緒さんとじゃないのはちょっと寂しいけど、日頃の練習の成果が思いっきり試せるね!」
 狐をモチーフにした白いマスクを被るピュアフォックスが、隣のステファニーに話しかける。
「そうですネ、私たちのTeam−work、見せてあげまショウ!」
「お二人の戦いぶり、楽しみにしております。それでは、今日の衣装です」
 控え室の中、女性黒服に渡された衣装は、襟付きの白いブラウスとタータンチェックのスカート、膝上まである紺色のハイソックスという、遥たちが通う学校の制服に似たものだった。
「えーっ、またこれ?」
 遥はピュアフォックスとして最初に参戦したとき、これと同じものを用意された。
「確かにうちの制服にそっくりデスネ。あれ? でも、ボタンが足りないデスヨ?」
 ブラウスのボタンが上から三つ付いていないところまで前と一緒だった。
「観客へのサービス、とお考えください。ファイトマネーにはその分も含まれておりますので」
 黒髪を肩まででカットした美女は、艶やかな微笑で答えた。
「うーん・・・しょうがないか〜」
「そうデスネ。少しくらいのServiceなら受け入れまショウ!」
 遥とステファニーは大きく頷き、改造制服に着替えてガウンを羽織った。

 花道に姿を現した二人の高校生美少女に、観客から歓声と指笛が飛ぶ。二人は一々観客に手を振り、花道を進んでいった。
 リングへと進んだ二人は同時にトップロープを飛び越えてリングインし、拳を突き上げた。

「本日はタッグマッチを行います!」
 リングに三人の男と二人の美少女が揃ったところで、リング下の黒服がマイクを持つ。
「赤コーナー、『ザ・ニンジャ』、小四郎! & 『執行人』、草橋恭三!」
 今日の対戦相手は白い忍者装束の小四郎と、黒いレスリングタイツ姿の草橋だった。
「青コーナー、"エンジェルビート"、ピュアフォックス! & ステファニー・クレイトン!」
 自分たちの名前がコールされると、ピュアフォックスとステファニーが同時にガウンを放り投げる。

(ぉぉぉっ・・・)

 ピュアフォックスが初登場の試合で身に着けていた衣装に、その試合を知る観客からも、また知らない観客からも歓声が上がる。ボタンが少ない胸元からは胸の谷間とブラが覗き、身動きするたびにスカートの下からパンティもちらりと見え隠れする。
「相変わらず、エッチぃ客ばっかり」
「そうデスネ。もうちょっと闘い自体を楽しんで貰いたいデス!」
 自分たちに向けられる欲望の視線に、ピュアフォックスとステファニーが首を振る。そこに小四郎と草橋のボディチェックを手早く終えたレフェリーが近寄る。
「二人とも、ボディチェックだ」
「あっそ。してもいいけど、変なことしたら・・・わかってるよね♪」
 ピュアフォックスが指を鳴らすと、過去に「お仕置き」された記憶が蘇ったようだ。レフェリーは引き攣った表情を浮かべながら通常のボディチェックを行い、試合開始を告げた。

<カーン!>

 先発はピュアフォックスと小四郎だった。
「ふぅん・・・色んな人と闘ったけど、忍者とは初めてだなぁ」
「初めての相手か、甘美な響きだな」
「どこが?」
 小四郎の際どい冗談もピュアフォックスには通じなかった。奇妙な沈黙が落ちたが、気を取り直した小四郎が動く。
「ぬんっ!」
「あっ!」
 至近距離から蹴上げた小四郎の足がピュアフォックスのスカートを捲くり、ピュアフォックスはつい反射的に押さえてしまう。
「隙あり!」
 小四郎が掌底を繰り出す。胸元に吸い込まれるように突き出された掌底は、狙い通りピュアフォックスの胸に当たる。
「むっ・・・」
 その柔らかい感触に、小四郎は思わず握り締めていた。
「なにしてんだ変態忍者!」
 ピュアフォックスのエルボースマッシュに、小四郎が錐揉み回転しながら吹っ飛ぶ。しかしなんとか受身を取り、転がりながら自分のコーナーへと向かう。
「ぬぐぐ、強烈・・・」
 小四郎が草橋と交替し、それを見たピュアフォックスもステファニーにタッチする。
「まったく、相変わらずエロ攻撃してくるんだから! ステフも気をつけて!」
「Year、了解デス!」
 ステファニーはピュアフォックスにウィンクを一つしてみせ、草橋と向かい合う。
「それじゃア、行きマス・・・ヨッ!」
 ステファニーの体がふわりと舞ったかと思うと、草橋の体が吹っ飛んでいた。威力の高いローリングソバットに、観客席から驚きの声が上がる。中には、その瞬間に見えたステファニーのパンティへの野次も含まれていたが。
「今デス!」
 ここぞとステファニーが突進するが、草橋のカニバサミでダウンを奪われ、素早くフルネルソンに極められてしまう。しかもうつ伏せから仰向けに移行され、両脚も大きく開かされる。
「あっ、そんナ!」
 露わになった縞々パンツを隠そうとするステファニーだったが、草橋の押さえどころが巧く、脱出するどころか隠すこともできない。
「ステフ、今行くから!」
 ステファニーを救出しようと飛び出しかけたピュアフォックスだったが、密かにリング下を回り込んでいた小四郎に足を引っ張られる。
「あ、こら、何してるんだっ!」
「文字通り足を引っ張っている。見てわかるだろう」
「なんでもいいから放せっ!」
 コーナーで遣り合う二人を横目に、動けないステファニーへと笑みを浮かべたレフェリーが近づく。
「さぁて、それじゃあさっき少ししかできなかったボディチェックをしようかな」
 しゃがみ込んだレフェリーはステファニーのバストを掴み、ゆっくりと揉み込んでいく。
「あ、そ、そんなとこ触っちゃ駄目デス!」
「ボティチェックを拒んじゃいけないぞステフ選手。しかし相変わらずでかいおっぱいだな。ブラも可愛いし、男心がわかってるじゃないか」
 レフェリーは草橋に拘束されているステファニーのバストを揉み続ける。
「やめてくだサイ! やめて!」
「ステフ! この、放せ変態忍者!」
「断る! お前のようなじゃじゃ馬娘の言うことなど聞かん!」
 ピュアフォックスは無理やり足を抜こうとするが、下から引っ張る小四郎のほうが有利だった。
「放せって、言ってるのっ!」
 小四郎を蹴り飛ばそうとした瞬間、ピュアフォックスの体は宙にあった。
「えっ・・・あぐっ!」
 エプロンサイドからリング下に叩きつけられたピュアフォックスの動きが止まる。
「やっとおとなしくなったか・・・どれ、そのけしからん身体を調べさせて貰おうか」
 小四郎はピュアフォックスのシャツのボタンを全て外し、ブラを剥き出しにする。次にスカートを捲り上げ、上下の下着を露わにする。
「ふぅむ、下着は普通だが、出るところは出ているな。最近の女子高生は発育がいいのか?」
 首を傾げた後、小四郎は盛り上がったEカップバストを掴んだ。
「むぅ・・・これは・・・」
 その弾力に、小四郎はバストから手が離せなかった。
「ブラの上からこの感触とは・・・生ではどれだけのものやら」
 小四郎がブラをずらすと、ピュアフォックスの乳房が勢いよく飛び出てくる。鍛えているからか若さ故か、ピュアフォックスの乳房は横になってもしっかりと形を保っていた。
「これは眼福!」
 小四郎は思わず拝んでから、両手で乳房を鷲掴みにした。
「むう、やはり生の感触は格別!」
 頭巾から覗く小四郎の目尻は下がり、両手はひたすらピュアフォックスの乳房を揉み続ける。時折乳首も刺激し、指で転がす。
「この張りは若さ故か・・・」
 ピュアフォックスの乳房を揉み続けていた小四郎の手首が、突然掴まれる。
「人の胸出してなにやってんだエロ忍者!」
 同時に金的を膝が抉った。余りの痛みに、声もなく悶絶する。
「全く、ちょっと油断するとすぐこれだもんね!」
 素早く衣装の乱れを直し、ピュアフォックスがリングに上がる。
「レフェリーどいてーっ!」
「は? 何を・・・うおっ!」
 呼ばれたレフェリーが振り返ると、凄い勢いで突進してくるピュアフォックスが見えた。慌ててステファニーから飛び退いた瞬間、ピュアフォックスのスライディングキックが草橋の横っ腹を抉る。その威力に、草橋はステファニーを放して脇腹を押さえる。
「ステフ、大丈夫?」
 ピュアフォックスはステファニーの手を掴んで立たせる。
「遥、アリガト・・・後ろッ!」
「えっ・・・っ!」
 ステファニーの注意も間に合わなかった。トップロープの反動を使った小四郎の飛び蹴りに、頭部を蹴られたピュアフォックスが吹っ飛ぶ。
「よくも遥を・・・Ouch!」
 小四郎に突進しようとしたステファニーだったが、草橋から足を刈られて倒れ込む。その背中に小四郎の掌底が落とされる。
「あぐっ!」
 肝臓の裏を打たれたステファニーがのたうつ。
「よし、二人をロメロに極めろ!」
 レフェリーの指示に、小四郎はピュアフォックスの、草橋はステファニーの両手両足を極め、天井に胸を突き出すような格好にさせる。
「あうっ!」
「い、痛いデス!」
 ロメロスペシャルに捕らえられた美少女二人の口から苦鳴が洩れる。
「いい格好だなぁ二人とも。折角だから、同時にボディチェックを行おうか」
 言うが早いか、レフェリーは右手でピュアフォックスの、左手でステファニーのバストを揉み始める。
「さ、触るなエロレフェリー!」
「やめてくだサイ!」
 二人とも身を捩るが、両手両足を極められていては儚い抵抗にしか過ぎない。
「何を言っているんだ、ボディチェックを嫌がるもんじゃないぞ」
 女子高生二人のバストを同時に揉みながら、レフェリーがにやける。ピュアフォックスとステファニーは首を振るが、がっちりと極まったロメロスペシャルを外すことはできなかった。
「さて、それじゃこっちも調べようかな」
 レフェリーは二人のスカートを大きく捲る。ピュアフォックスの白のパンティとステファニーの縞々パンティに、観客席から歓声が起こる。
 レフェリーは下着を露わにした上で秘部を弄り始める。
「おい、もっと脚を広げろ。お客様にもサービスだ」
 レフェリーの指示に、小四郎と草橋は同時に女子高生の脚を広げる。
「あ、駄目だってば!」
「NO! こんなの嫌デス!」
 必死に脚を閉じようとしても、男の力には敵わなかった。そのため、大勢の観客にパンティをはっきりと見られてしまう。
「こんのぉ!」
 苦しい体勢から、ピュアフォックスは小四郎の手首を握り締めた。指先に力を集め、小四郎の手首を圧迫していく。
「ぐあぁぁっ!」
 骨が軋み、潰されていくような痛みに小四郎はフックを解いてしまった。ピュアフォックスは素早く前転し、ロメロスペシャルから逃れる。
「ステフを放せっ!」
 草橋のフックしていた足にローキックを入れ、ロメロスペシャルを解かせる。
「エロ忍者は、外!」
 小四郎をリング外に投げ捨て、一度コーナーに戻る。
「ステフ!」
「Year!」
 草橋にダインビングエルボーを落としたステファニーが、阿吽の呼吸でピュアフォックスにタッチする。すぐには引っ込まず、草橋を無理やり起こして喉に手をあてがう。
「・・・そぉレッ!」
 気合を込めたステファニーが、草橋をワンハンドチョークスラムでリングに叩きつける。
「皆、いっくよぉーーーっ!」
 ピュアフォックスが高く掲げた右手を回すと、観客席も大声援で応える。
「初お披露目、<フォクシーギャラクティカ>!」
 リングに背を向けたままトップロープを蹴り、ピュアフォックスが高々と舞った。膝を抱え込んだままの姿勢で後方回転し、草橋の上に着弾する寸前両手両足を広げる。
 その威力に、リングが大きく軋んだ。
 ピュアフォックスが繰り出したのは、スワンダイブ式でのムーンサルトプレスだった。しかも後方二回宙返りしてからの荒技で、まだプロでもない美少女が決めて見せた最高難度の技に驚きの声が上がる。
「っつう・・・こっちにも結構ダメージくるね。レフェリー! カウント!」
 ピュアフォックスの呼ぶ声に、レフェリーも渋々腹這いになる。
「くそっ・・・ワーン・・・・ツーゥ・・・」
「ステフ! エロ忍者が来ないように見てて!」
「Yah!」
 ステファニーがリングサイドを走り、今まさにリングに戻ろうとしていた小四郎を蹴り落とす。
「・・・スリーッ!」

<カンカンカン!>

 レフェリーの手が三度リングを叩き、"エンジェルビート"の勝利を告げるゴングが鳴った。
「やっ・・・たーーーっ!」
「Year! 大勝利、デス!」
 ピュアフォックスとステファニーはハイタッチを交わした後、抱擁を交わす。と、ピュアフォックスは右腕を伸ばした。
「どこいくつもり?」
 首根っこを捕まえられたのはレフェリーだった。
「ど、どこってお前・・・試合が終わったんだから帰るんじゃないか」
「あれー? 私たちの体を触った罰、まだ受けてないよね?」
 ピュアフォックスの笑顔とは対照的に、レフェリーの頬がひきつる。
「待て! あれは仕事なんだ! 俺の意志じゃなくて・・・!」
「毎度毎度その言い訳・・・聞き飽きた!」
 レフェリーをロープに振り、反動で戻ってきたところにフライングニールキックをかます。仰向けにダウンしたレフェリーに、ステファニーのダイビングボディアタックが炸裂した。
「・・・がふっ」
 そのまま失神したレフェリーをそのままに、ピュアフォックスとステファニーはリングを降りた。見事な勝利を挙げた二人の美少女に、観客からは大きな声援が送られていた。


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