【第八十話 栗原美緒:レスリング+キックボクシング & 桃郷美影:ムエタイ】

 過去何度も行われてきたタッグマッチ。今回のタッグマッチは、美貌の従姉妹を招いての開催となった。

 一人目は「栗原(くりはら)美緒(みお)」。19歳。身長162cm、B87(Eカップ)・W62・H87。肩までのセミショートと切れ長の目が特徴的だ。その顔立ちは美少女と言っていいが、芸能人ではない。高校生の時にレスリングでインターハイ優勝し、天才少女と呼ばれた。レスリングの才能に加え、その凛とした美貌で一躍アイドルとなり、マスコミにも大きく取り上げられたほど。
 現在は大学生だが、一時期レスリングは引退していた。しかし現在は大学のレスリング部に所属し、キックボクシング部にも顔を出して打撃の練習も積んでいる。
 前回は女性選手の唐辻(からつじ)巳詩夜(みしよ)と対戦し、寝技に苦しめられたものの勝利を飾っている。

 二人目は「桃郷(ももさと)美影(みかげ)」。19歳。身長162cm、B94(Hカップ)・W57・H89。眉を細く整え、その下には切れ長の美しい眼差しがある。頬から顎に掛けてのラインは鋭く、全体的にシャープさを感じさせる美貌。漆黒の髪を腰まで伸ばし、750ccバイクを乗り回す。栗原美緒の従姉妹で、現在は短大生。
 前回の試合ではマスク・ド・タランチュラを打撃技でKOし、その実力を見せつけた。

 タッグマッチの提案に美緒は乗り気ではなかったが、ノリノリとなった美影に引きずられるように参加を承諾させられていた。


「ふふっ、まさか美緒と一緒に闘える日が来るなんてね」
「全く、美影は自分勝手過ぎよ。私、暫く闘うつもりなんてなかったのに」
 それに、何か嫌な予感がする。<地下闘艶場>である以上いいことがある筈もなかったが、美緒の女の勘が凄まじい警鐘を鳴らしている。
(やっぱり、やめとけばよかった)
 後悔しても既に遅く、美緒は小さくため息を洩らした。

 花道に姿を現した美貌の従姉妹に、観客席から普段以上の声援、拍手、指笛などが投げつけられる。美影は一々手を振って見せ、美緒は真っ直ぐリングだけを見て進んでいく。
 リングに待っていたのはガウンで姿を隠した二人組だった。何故か美緒の背筋を冷気が奔った。

「本日はタッグマッチを行います!」
 リングに二人の美少女が揃ったところで、リング下の黒服がマイクを持つ。
「赤コーナー、"サディスティック・マリオネット"、茨木美鈴! & 唐辻巳詩夜!」
 コールに応じ、対戦相手の二人はフード付きのガウンを脱ぎ去った。今日の対戦相手は、なんと二人とも女性だった。
 一人は「茨木(いばらぎ)美鈴(みすず)」。22歳。身長174cm、B92(Fカップ)・W66・H94。髪を真っ赤に染めた、きつめの顔立ちの美人。長身にFカップの巨乳、大きなヒップという迫力ボディ。普段はSMクラブで「女王様」として働いている。
 もう一人は「唐辻(からつじ)巳詩夜(みしよ)」。20歳。身長164cm、B89(Eカップ)・W61・H84。前髪ともみあげは長く伸ばし、後ろは首まででカットしている。前髪で目線を隠しているが、淫靡で陰気な空気を纏っている。
 美鈴と巳詩夜は黒革のボンデージスーツを纏っているが、巳詩夜のほうが露出度が高い。
 巳詩夜を見た美緒の顔が引き攣った。
「どうしたの美緒」
「だ、だって、あの人・・・」
 巳詩夜を指差す美緒だったが、リングコールがそれを遮った。
「青コーナー、"美貌の血統"、栗原美緒! & 桃郷美影!」
 コールに応じ、美影がまずガウンを脱ぎ、唇を噛んだ美緒も遅れてガウンを脱いだ。その途端、どよめきのような歓声が沸いた。
 二人が身に着けていたのは普通のビキニ水着だった。しかし抜群のスタイルがほぼ隠されることなく晒されており、観客の粘つく視線が二人の全身を這い回る。特に胸元、ヒップ、太もも周りに視線が集中する。色は美緒がグリーンとホワイトの横縞、美影がブラックだった。
「この試合は、三ツ原凱が裁きます!」
 紹介を受けた凱は四人の美女をリング中央に呼んで諸注意を与え、その場でボディチェックに入る。美鈴、巳詩夜に行ってから、まずは美影の前に立つ。
「へぇ、この間とは違って、イケメンのレフェリーなのね」
 美影の流し目に微笑を返し、軽くではあるが水着部分を押さえていく。
「ん、もう、こんなところ触ってどうしようっていうの?」
「ボディチェックですので、誤解なさらぬよう」
 水着部分の少なさから、ボディチェックはすぐに終わる。
「さ、栗原選手も」
「・・・ええ」
 自分だけボディチェックを受けたくないとも言えず、美緒は嫌々凱のボディチェックを受け入れた。凱はいつものレフェリーとは違い、バストを揉み込んでくるようなこともなくボディチェックを終え、試合開始の合図を出した。

<カーン!>

 先発は美影と巳詩夜だった。
「気をつけて美影、その人変態よ!」
「・・・なによそのアドバイス」
 美緒の言葉は真実だったが、そう言われても困るだけだった。
(でも、待つのは性に合わない。行くわよ!)
 アップライトスタイルに構えた美影がリズムを取り始める。そのたびにHカップを誇るバストが細かく揺れる。会場中の視線を釘付けにしたまま、美影のミドルキックが巳詩夜の左脇腹を抉る。
「あぐっ!」
 巳詩夜はそのままロープ際まで吹っ飛ばされた。
「なんだ、たいしたことないじゃない」
 黒髪をかき上げた美影の視界に、ゆらりと立ち上がった巳詩夜の姿が映る。
「痛い・・・凄い・・・これだけ痛い蹴り、初めて・・・」
 ぎくしゃくとした動きで、巳詩夜が一歩ずつ距離を詰めてくる。
「もっと・・・もっと痛いの、欲しい・・・」
 その不気味さに、美影は思わず後退していた。
「ちょっと・・・なによこのドM変態女」
「だからいったじゃない、変態だって」
 美影の独り言に、美緒がため息を吐く。
「・・・美緒、交代」
「い、嫌よ! 私、あの人と一度闘わされたんだから!」
 美影の伸ばされた手から、美緒は距離を取った。
「一度闘ったなら二度も同じでしょ!」
「大違いよ!」
 コーナーポスト越しに口喧嘩をする従姉妹だったが、試合中だということをすっかり忘れていた。
「・・・うふふ」
 しゅるり、という衣擦れに遅れ、観客席から盛大な歓声が沸く。
「えっ・・・あっ!」
 美影のビキニブラが外されていた。Hカップの巨乳が派手に揺れ、観客の目に焼きつく。
「ちょっと、返しなさいよ!」
 両腕で胸元を隠した美影が怒鳴る。
「うふふ・・・い、や」
 巳詩夜は奪ったブラを丸め、リング下に落とす。
「このっ!」
 美影のミドルキックが再び巳詩夜にヒットする。
「あはふぅ・・・痛い、けど・・・捕まえたぁ」
 巳詩夜は美影の右脚を抱え込み、振り回した。
「あっ・・・がっ!」
 背中をポストに強打させられた美影が苦悶する。
「いらっしゃい」
 ポスト越しに美影の両脇から手を差し入れ、Hカップの乳房を揉み始めたのは美鈴だった。
「あら? 私よりも大きいなんて・・・生意気だわね」
 美影の乳房を揉みながら、美鈴が眉を顰める。
「ま、大きいなら大きなりに楽しみ方があるし、許してあげるわ」
「・・・なに勝手なこと言ってるのよ!」
 美影が美鈴の手を振り払おうとしたときだった。
「巳詩夜」
「はい、美鈴女王様」
 巳詩夜の喧嘩キックが美影の鳩尾を捉える。
「あぐっ!」
「良くできました。褒めてあげるわ。それじゃ、次は何をすればいいのかしら?」
「こう・・・です・・・」
 巳詩夜は美影の両手首を極めたまま座り込み、美影の両足を自分の膝裏に挟み込む。
「正解。後でご褒美をあ・げ・る・わ」
「ああ・・・美鈴女王様・・・」
 目を蕩けさせる巳詩夜をもう見もせず、美鈴は右手を美影のボトムに侵入させる。
「こ、この変態女! そんなとこまで触らないでしょ普通!」
「ちょぉっと口が過ぎるわよ、デカパイちゃん?」
 美鈴が美影のアンダーヘアを鷲掴みにする。
「あぎっ!」
「私に逆らっちゃ、だ・め・よ?」
 美影が動きを止めたと見るや、美鈴は再び秘部へ指を伸ばした。

「レフェリー! あれって反則じゃないの!?」
「あれもプロレスルールの範囲内です。反則ではありません」
 美緒の抗議に、凱が首を振る。
「・・・わかった、私もルールの中で動くから!」
 コーナーから飛び降りた美緒は、リング下を回り込むように相手コーナーへと走る。
(待ってて美影、すぐに行くから・・・っ!?)
「いらっしゃい」
 ニュートラルコーナーを曲がった瞬間、美緒は抱きすくめられていた。そうとわかったときには宙を舞い、背中から叩きつけられていた。
「あっ・・・はぐっ・・・」
 反射的に受身を取ったとは言え、堅いコンクリートの上にマットだけ敷かれたところへと投げられたのだ。立ち上がるどころか呻くことしかできない。
「ふふっ、走ってくるのが反対側からよ〜く見えたわよ、美緒ちゃん?」
 美緒を迎え撃ったのは美鈴だった。未だに横たわったままの美緒を抱き上げ、もう一度投げ落とす。
「あぐぅぅぅっ!」
「ああ、いい悲鳴ね。堪らないわ」
 海老反りで苦鳴を放つ美緒を見下ろし、美鈴は赤い舌で唇を湿らせた。
「ふふっ、美緒ちゃんのおっぱいはどんな感じかしら?」
 美鈴は後ろから抱きかかえるようにして美緒のバストを揉み始める。
「いいわ、Eカップ。私、これくらいの大きさが好きなの」
(な、何言ってるの? やっぱり、この人もそういう人なんだ)
 何度も<地下闘艶場>のリングに上がった美緒は、ここがセクハラが公然と罷り通る場所だとは理解している。しかしどうしても、女性選手が相手ではそんなことがないのではないか、と思う、否、思い込みたくなる。
「他の男にもう揉まれた経験がある、っていうのが腹立つわね・・・そうだ」
 独り呟いた美鈴が、妖しい笑みを浮かべる。
「罰として、おっぱい丸出しにしてあ・げ・る」
「え、そんな!」
 慌てて身を捩る美緒の抵抗を簡単にいなしながら、美鈴はバストを揉み続ける。
「嫌なの? でも、従姉妹がトップレスになってるのに、美緒ちゃんだけ脱がない、ってのもねぇ」
 ブラのカップを繋ぐ紐を弾き、引っ張る振りをする。
「嘘、やめてよ!」
「そうねぇ、そこまで嫌がるんなら、やめてあげようかしら」
 思案する様子を見せた美鈴に、美緒がほっとしかける。
「やっぱりダ・メ・よ!」
 その油断を嘲笑うかのように、美鈴は美緒のブラを毟り取った。
「あっ、そんな!」
「ふふっ、綺麗な色ね。自分で触ったりしないのかしら?」
 美緒の乳首をつついた美鈴は、人差し指だけで転がし始める。
「やっぱり、女の子の胸は直に可愛がるのが一番ね」
「んんっ、そんなとこ触らないっ・・・でよぉ!」
 美緒の実力からすれば、冷静に対処すれば美鈴の寝技から脱出は可能だろう。しかし性的な責めに弱い美緒は、セクハラを受けることでどうしてもいつもの実力が出せない。
 焦り、もがく美緒は、美鈴にいいように嬲られた。

「ああ・・・大きい・・・美鈴女王様より、大きい、なんて・・・」
 巳詩夜は美影の乳房を舐めながら、恍惚の表情を浮かべていた。
「ここは・・・どう・・・?」
 乳首を舐めしゃぶり、美影の顔を見上げる。
「いいかげんにしなさいよ変態女」
 なんとか逃れようと身を捩る美影だったが、巳詩夜の拘束は解けなかった。
「ああ・・・言葉責め、いい・・・」
 うっとりと微笑を浮かべた巳詩夜は、突然美影の乳首に歯を立てる。
「あぃっ!」
「うふふ・・・美影ちゃん、いい鳴き声・・・」
 今度は優しく乳首を舐めていく。自分が噛み、歯型がついたそこを丁寧に舌でなぞっていく。
「やめろって言ってるでしょ変態女・・・いぎぃっ!」
「うふふ・・・言葉責めのお礼・・・」
 美影が巳詩夜にきつい言葉を投げるたび、巳詩夜は美影の乳首に歯を立て、舐めた。

「巳詩夜も中々盛り上げてるじゃないの。それじゃそろそろ、美緒ちゃんも舞台に戻りましょうね?」
 美鈴は容赦なく美緒の鳩尾を殴ると、呻く美緒を軽々と抱え、転がすことでリングインさせる。自分もリングに上がると巳詩夜を呼ぶ。
「巳詩夜、次はどうするのかしら?」
「美鈴女王様、こう致します」
 巳詩夜は美影の両手首を握ったまま頭部を振り被り、美影の引き締まった腹に頭突きを叩き込む。
「おぐえぇぇっ!」
 ムエタイの練習で腹部を打たれた経験がある美影でも、この一撃は堪らなかった。巳詩夜が手首を離すと、ずるずるとコーナーポストに崩れていく。
「良くできました。それじゃ次は・・・」
 美鈴は美緒と美影の脚を絡ませ、股間同士が当たるようにする。
「従姉妹同士の貝合わせ、楽しんでね」
 美鈴は美緒の、巳詩夜は美影の足首を掴み、引っ張る。
「「あああぁぁぁっ!」」
 薄い水着越しに従姉妹の秘裂が擦り合わされ、二人の口から甘さを含んだ苦鳴が漏れる。
「あらあら、喜んでくれているみたいで嬉しいわ。巳詩夜、もっと揺らしなさい!」
「はい・・・美鈴女王様・・・」
 巳詩夜は美鈴の指示に従い、細かい振動が起こるように美影の足を揺さぶる。
「や、やめなさいよ・・・ぐあっ!」
 美鈴の足に手を掛けた美影だったが、美鈴はその手を容赦なく踏みつけた。
「許可なく私の足に触るだなんて。ちゃんと躾けないと駄目ね」
 ピンヒールで手の甲を踏みにじりながら、美鈴は軽くため息を吐く。
「あぐぃぃっ!」
 手の痛みと股間への振動で悶える美影の姿に、美鈴は唇を舐めた。そのため、それに気づくのが遅れた。
「うふふ・・・美緒ちゃんのおっぱい・・・」
 揺れる乳房に誘われたかのように、しゃがみ込んだ巳詩夜が美緒の乳首を舐め始めたのだ。
「巳詩夜! 何して・・・!」
 美鈴の声は一瞬遅く、美緒が動く。
「こんのぉっ!」
 美緒は巳詩夜の頭を抱え込むようにして首投げをし、体勢を崩させる。
「くぉっ!」
 素早く反応した美影が自由になった足で巳詩夜を蹴り飛ばし、手を踏んでいた美鈴のピンヒールを払い除ける。こけるような無様な真似はしなかった美鈴だが、よろけた拍子に美緒の両足を離してしまう。
「この・・・役立たず! M奴隷ならそれらしく、私に従っていればいいのよ!」
 美鈴の怒りは対戦相手ではなく、ヘマを踏んだ巳詩夜に向けられた。
「ああ・・・ごめんなさい、美鈴女王様・・・あはんっ」
 美鈴が巳詩夜を足蹴にするたび、ピンヒールが柔肌に容赦なく食い込む。しかし巳詩夜は悦びの声を上げていた。
 その背後で、美貌の従姉妹が視線を交わす。
「美影! そっちはお願い!」
「ええ!」
 美緒は巳詩夜を捕らえると同時に、美影は美鈴に蹴りを放つ。
 美緒は巳詩夜を素早く胴締めスリーパーに極める。
「・・・今日は、綺麗に落としてあげる」
 美緒の左腕が更に絞られ、巳詩夜の頚動脈を正確に絞め上げる。
「気持ち、いい・・・でも、こういうのは、駄目、な、の・・・・に・・・」
 巳詩夜の潤んでいた瞳が徐々に光を失い、最後には全身から力が抜ける。それでも美緒は胴締めスリーパーを解かず、凱がやめさせるまで絞め上げ続けた。

 一方、美影は美鈴を睨みつけていた。
「よくもあそこまで恥ずかしいことしてくれたわね」
 セミヌード状態のままファイティングポーズを取っているため、美影がリズムを取るたび、隠す物もないHカップの乳房が重たげに揺れる。観客席の視線のほぼ全てがそこに集中していた。
「そんなこと言って。感じてたんでしょう? 実はもっとして欲しいっていう裏返しひっ!」
 美鈴の言葉責めは途中で中断させられた。美影の右ミドルキックが美鈴の左脇腹を抉り、膝をつかせたのだ。
「私、してあげるのは好きだけど、好き勝手されるのは・・・大っ嫌いなのよ!」
 更にもう一撃同じ位置にしなるような蹴りを叩き込み、美影が咆える。
「・・・こ、このクソアマァ・・・私に、茨木美鈴様に対してなんてことを!」
 美鈴の顔が痛みと怒りに歪む。
「こんなことよ!」
 美影の蹴りが三度放たれる。しかし素早く立ち上がった美鈴が、がっちりと抱え込む。
「捕まえたわよ! さあ、お仕置きをごっ!」
 美鈴の顎が跳ね上がる。美影の飛び膝蹴りを食らった美鈴は、そのまま仰向けに倒れ込んだ。

<カンカンカン!>

 崩れ落ちた美鈴に更に追撃しようとした美影だったが、凱が割り込んで止めた。
「試合終了です、これ以上の攻撃は許されません」
 美影を押し戻す凱の手は、わざとかとどうか、美影の乳房の上に置かれていた。
「あんっ、もう。レフェリー、胸、触ってるわよ?」
「ああ、これは申し訳ありません」
 凱の手が美影の乳房から離れる。その指が離れる寸前、乳首を弾き上げていた。
「んもう、悪戯な指ね」
 そう言いながらも、美影の表情は怒っていなかった。
「ふふっ・・・貴方なら、もう少し触らせてあげても痛たたた!」
「帰るわよエロ処女」
 凱へと流し目を送る美影の耳を引っ張ったのは、片手で胸を隠している栗原美緒だった。
「ちょっと美緒! 嫉妬はみっともないわよ」
「バカじゃないの。それより胸、ちゃんと隠しなさいよ」
「あ」
 美緒の指摘に、美影は両手でHカップを誇る乳房を隠した。
「結局こういうことになるんだから・・・だから私、嫌だって言ったじゃない」
 リングを降りた美緒が、美影を軽く睨む。
「なによ、私のせいだって言うの?」
 遅れてリングを降りた美影も美緒を睨む。
「そうでしょ!? 美影がノリノリで出場OKしたんじゃない!」
「美緒だって最後はOKしたじゃない。すぐ人のせいにするんだから」
「私は事実を言ってるだけよ!」
「私も事実しか言ってないわよ?」
「美影っていつもそう! 自分のことしか考えてなくて、前だってねぇ・・・!」
「それを言うなら美緒のほうでしょ!? あのとき、こう言ったの覚えてる!?」
「なんですって・・・!?」
「だから・・・!」
 口喧嘩を続けながら、美貌の従姉妹はトップレス状態のまま、胸を隠しながら退場して行った。その様は、観客の卑猥な野次も耳に入らないほどの激しさだったという。


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