【特別試合 其の十三 桜井エリナ:プロレス】

 犠牲者の名は「桜井エリナ」。20歳。綺麗に染められた長い髪。細い眉。雑誌モデルを思わせる容貌ながら、職業は女子プロレスラー。その大きなバストともあいまり、人気はかなり高い。
 そんなエリナに、他団体への遠征の要請が届いた。初めてのことにエリナは喜んで承諾した。まさか自分の肢体が目当ての遠征要請だとは思いもせずに。


 花道を進むガウン姿のエリナに、観客席から声援が飛ぶ。否、最初声援と聞こえたものは、卑猥な単語が含まれた野次だった。
(なっ、なによここの客!)
 初めて浴びせかけられるあからさまな卑語に、エリナの頬は紅潮していた。
(今日は見せ場なんて作らずに、さっさと終わってやるんだから!)
 険しい表情のまま、エリナはリングに上がった。

 リングに待っていたのは、レフェリーらしき蝶ネクタイの男と対戦相手と思われる男だった。
(ああそう、そういうこと)
 エリナの団体では男性が相手の試合、所謂ミックスファイトも度々行われている。<地下闘艶場>もエリナを呼び、リングで見世物にするつもりなのだろう。
(そうはいかないわよ。見てなさい!)
 エリナの闘志に火が点いた。

「赤コーナー、マスク・ド・タランチュラ!」
 「マスク・ド・タランチュラ」とコールされた男は、蜘蛛をモチーフにしたマスクを被り、両腕が自分の膝に届くほどの長さだった。観客席からはエリナをこう責めて欲しい、というリクエストが飛び、そんな声が上がるたびエリナの目が吊り上がっていく。
「青コーナー、『セクシーチェリー』、桜井エリナ!」
 コールに応えてエリナがガウンを脱ぎ捨てた途端、観客席が大いに沸く。
 エリナの衣装は、ワイシャツにプリーツのバーバリーチェック柄ミニスカートだった。スカートのウエスト部分には白いベルトが巻かれている。しかもワイシャツの布地が極端に薄く、エリナの水色のブラが透けてしまっている。観客席から飛んでくる野次や指笛を黙殺し、エリナは対戦相手のマスク・ド・タランチュラを睨みつけていた。

 マスク・ド・タランチュラのボディチェックを簡単に終えたレフェリーが、エリナの前に立った。
「ボディチェックだ、桜井選手」
「嫌よ、そんなの」
 エリナの拒否など気にも留めず、レフェリーはいきなり盛り上がったバストを掴む。
「っ!」

(ぱぁん!)

 乾いた音がリングに響き、頬を押さえたレフェリーが一歩、二歩と後退する。
「お前・・・いきなり何をする!」
「それはこっちの科白よ! いきなり胸を触ってくるなんて、とんでもないセクハラよ!」
「これはボディチェックだ!」
「こんなボディチェックがあるわけないでしょ! ふざけるのも大概にしなさいよ!」
 ボディチェックを行おうとするレフェリーだったが、エリナはあくまでもボディチェックを拒んだ。二人とも大声で怒鳴り合い、最後にはレフェリーが怒りの形相のまま引き下がる。
「ボディチェックを受けとけばよかった、と後悔するぞ」
 捨て科白と共に、試合開始の合図を出した。

<カーン!>

(腹立つわね、まったく! 初っ端からセクハラなんて!)
 ゴングが鳴ってもレフェリーを睨みつけていたエリナに、マスク・ド・タランチュラの腕が伸びる。
「余所見してるなよエリナちゃん」
「!」
 マスク・ド・タランチュラにスカートを捲られ、慌てて前を押さえる。
「へぇ、下も水色か。イメージに合わないやつ穿いてるな」
「余計なお世話よ!」
 気の強さを見せるエリナだったが、その手はスカートを押さえたままだった。
(やっぱり、生パン見られるのって恥ずかしい・・・なんで水着じゃなくてこんな衣装なのよ!)
 飛び技が得意なエリナにとって、ミニスカートは特に不利だった。下着が見えてしまう、その思いが動きを小さくしてしまう。
「なんだ、来ないのかい? それじゃ、こっちから行くぜ!」
 マスク・ド・タランチュラが一歩踏み出した、と見えたときにはもう目の前にまで迫っていた。
「このっ!」
 反射的にローリングソバットを繰り出したが、普段のキレがなかった。
「捕まえたー!」
 マスク・ド・タランチュラの左腕に両腕を背後で絡められ、右膝の裏も抱えられて動きを止められる。
「やっ、ちょっと、放しなさいよっ!」
「嫌なこった」
 逃れようと暴れるが、男性プロレスラーにがっちりと捕まえられていては難しかった。
「そんなに激しく動いたら、パンツ丸見えだぜ?」
 この一言で暴れるのを止めてしまう。
「さあて、やっとボディチェックの時間だな」
 動けないエリナにレフェリーが近づき、にやつきながらバストを掴む。
「触らないでよ、変態!」
「ボディチェックを素直に受けないから悪いんだよ。じっくり調べてやるから覚悟しろよ」
 エリナの剣幕も受け流し、レフェリーはエリナの巨乳を丹念に揉む。
「くくっ、中々大きいじゃないか。この感じだと・・・EかFカップってところか?」
 レフェリーは薄ら笑いを浮かべながらエリナのバストを揉み続ける。
(これだから男って嫌なのよ!)
 嫌悪感から身を捩るエリナだったが、いきなりその動きが止まる。
「ああっ! そ、そんなとこまで・・・!」
 レフェリーの右手が股間にまで降り、下着の上から秘部を弄ってきたのだ。
「なにを言ってるんだ、ここは女独自の隠し場所だろう? 一番調べないといけないところじゃないか」
 レフェリーは唇を歪め、エリナの秘部を撫で回す。下着越しとはいえ、不快感が減るものではない。
「おいレフェリー、そろそろ俺にも触らせろ! ってことでエリナちゃんの脚持てよ」
「ああ、わかったわかった」
 レフェリーがエリナの左脚を抱え、逆にマスク・ド・タランチュラがエリナの右脚を離す。
「それじゃ、俺も触らせてもらうぜ、っと」
 マスク・ド・タランチュラが空いた右手でバストを弄ってくる。
「おほっ、確かにおっきいな。俺が揉んでもっと大きくしてやるからな!」
「誰があんたみたいな変態に! 触るな、放せっ!」
 エリナがいかにもがこうと、レフェリーとマスク・ド・タランチュラの手が止まることはない。バストと秘部からは不快な刺激が延々と送られてくる。
「片手だけじゃ寂しいなぁ。ってことで、両手揉み開始!」
 マスク・ド・タランチュラはエリナの両腕を離し、背後から両手でバストを揉んでくる。
「い、いいかげんやめなさいよ!」
「なんだ、感じてきちゃったかい? それなら正直に言えば・・・っぎゃぁぁっ!」
 頬に触れてきた手を持ち、噛み付いてやる。怯んだマスク・ド・タランチュラを振り払ってレフェリーも突き飛ばし、距離を取る。
「このセクハラマスク、ただじゃおかないから!」
 ロープに走ったエリナが反動と助走をつけ、宙に舞う。プリーツのミニスカートが翻り、パンティも露わになる。観客の視線にも気づかず、太ももでマスク・ド・タランチュラの頭部を挟んだまま後方回転し、そのままリングに叩きつける。
 得意のフランケンシュタイナー、否、<エンジェルシュタイナー>だった。そのままマスク・ド・タランチュラの顔に座るような体勢でフォールに入る。
「ちょっと! レフェリーカウントは!?」
 すぐにカウントを取ろうとしないレフェリーに、苛立ちを隠そうともしないで叫ぶ。
「ちっ、人を突き飛ばしておいて偉そうに・・・ワーン・・・ツーゥ・・・」
(ああもう、なんでこんなにゆっくり・・・!?)
 スリーカウントを聞く前に、体が跳ね除けられる。
「いってって・・・太ももの感触はよかったが、きっつい技だな」
 マスク・ド・タランチュラが息を吹き返し、首の後ろを撫でながら立ち上がる。
「中々タフじゃない。でも、これで決めてあげるっ!」
 再びスカートを翻しながら、エリナが宙に舞う。マスク・ド・タランチュラの頭部を太ももで挟み、一気に後方へと上半身を振る。しかし、その動きが途中で止まる。否、止められる。
「おいおい、同じ技を連続で使うなよ。客に飽きられるぜ?」
 マスク・ド・タランチュラがエリナの太ももを抱え、エンジェルシュタイナーを阻止していた。
「嘘・・・」
「嘘じゃねぇよ。しかし色っぽい格好になったな」
 逆さ吊りのような形になったため、スカートが重力に引かれ、水色の下着が露わになってしまう。
「ちょっと、恥ずかしいから隠して!」
「嫌なこった。代わりにここを・・・」
「ひぃっ!」
 マスク・ド・タランチュラの舌が、下着の上から秘部を這う。
「ど、どこ舐めてるのよ! やめなさいよっ!」
「やめてと言われると、もっとしたくなるのが男なんだよ。ほーら、こんなに舐めちゃうぞ!」
「きゃーーーっ!」
 マスク・ド・タランチュラに秘部を舐め回され、エリナが悲鳴を上げる。
「ギブアップか?」
 動けないエリナにレフェリーが近づき、にやつきながらバストを掴む。
「ま、また胸触って! やめなさいよ! ひぁっ!」
「レフェリーに命令とは、まるで反省してないな。反省するまで胸揉みの罰だ」
「なに勝手なこと言って・・・いやぁっ!」
 バストは両方ともレフェリーに揉まれ、秘部はマスク・ド・タランチュラに舐め回されている。逆さにされた状態に加えてセクハラを受けていては力も入らず、レフェリーを突き飛ばすこともできない。
(ああっ、く、悔しい・・・!)
 そのとき、レフェリーの手がエリナのワイシャツに掛かった。
「そろそろ、ブラも直接見せてもらおうか」
「え? 何言って・・・」
 レフェリーがワイシャツの胸元を掴み、力任せに左右に開く。
「きゃーーーっ!」
 ボタンが飛び、シャツの前が開いてエリナのブラが露わにされる。
「胸の谷間が色っぽいなぁ桜井選手」
 レフェリーの指がエリナの谷間に潜り込み、上下運動を楽しむ。
(こ、こんな手段は取りたくなかったけど・・・!)
 エリナはセクハラで与えられる刺激を耐え、握り拳を作る。その拳を、目の前のレフェリーの股間へとぶつける。
「へぶっ!?」
 妙な声を上げ、レフェリーが蹲る。
「次は、こっち!」
 エリナは頭を上げ、後方に振る。そこに、マスク・ド・タランチュラの股間があった。
「ほんぐぅっ!」
 エリナの太ももを抱えていた両腕が離れ、マスク・ド・タランチュラ本人の股間を押さえる。エリナは身を捻り、受身を取ってすぐに立ち上がる。
「色々とやってくれたじゃない・・・お返しはさせてもらうわっ!」
 一度ロープの反動をつけた飛びつき式スイングDDTで、マスク・ド・タランチュラの脳天をリングに突き刺す。
「まだまだぁ!」
 ロープへと走り、飛ぶ。トップロープを蹴って更に高く舞い、捻りを加えたスカイツイスタープレスで追撃する。
「よっし、完璧!」
 そのままフォールに入ったエリナだったが、カウントが始まらない。
「ちょっと、レフェリーカウント!」
 上体を起こしてレフェリーを呼ぶが、そのレフェリーはエリナに叩かれた股間の痛みに蹲っていた。
「ああもう! 役に立たないレフェリー・・・っ!?」
「人の大事なモノに頭突きしてくるとはな・・・とことんやらなきゃわからないみてぇだな!」
 下からマスク・ド・タランチュラの手足が絡みつき、四肢を拘束していく。長いマスク・ド・タランチュラの左腕が右脇から後頭部を通ってエリナの両腕を抱え込み、両脚は大きく開脚される。
 マスク・ド・タランチュラのフェイバリットホールド・<タランチュラホールド>だった。
「や、いやっ! こんな格好・・・!」
 大きく脚を広げられたため、下着が全開になってしまっている。しかも先程マスク・ド・タランチュラに舐め回されたため、薄っすらとではあるが秘部が透けていた。
「選手だけじゃなく、レフェリーにまで反則の金的攻撃とは・・・お仕置きが必要だな!」
 漸く立ち上がったレフェリーが怒りに顔を歪ませ、エリナのブラに手を掛けた。
「まさか・・・!」
「そのまさか、だよ!」
 レフェリーは、エリナのブラを思い切り上にずらした。
「いやぁーーーっ!」
 その途端、エリナの巨乳が揺れながらまろび出る。
「お〜、揺れてる揺れてる。この光景は何度見てもいいもんだな」
 目で楽しんだレフェリーが、手でも楽しもうとエリナの乳房を掴んでくる。
「生で触ってもいい弾力じゃないか。大きさもあるし、いいおっぱいだ」
「レフェリーにおっぱい取られたか。それじゃ、俺はこっちを」
 マスク・ド・タランチュラの右手が股間へと伸ばされ、下着の上から秘部を弄る。
「や、やめなさいよ変態ども!」
 必死に暴れるものの、タランチュラホールドから逃れることができない。その間にも乳房と秘部を責められ続け、胸の先が起き上がっていく。
「なんだ、乳首が大きくなってきたぞ? 嫌だと言ってたのはポーズか?」
 それに気づいたレフェリーが乳首を摘み、扱き上げてくる。
「あぅっ、絶対、許さないんだから・・・!」
「乳首立たせといて言う科白じゃないなぁ」
 レフェリーがにやつきながら、固くなった乳首を押し込んでくる。
「そろそろ生のアソコを触ってみますか!」
 マスク・ド・タランチュラの手が、下着の中にまで潜り込む。
「ひぃっ!」
 まさかそこまでされるとは思っていなかったエリナは、秘裂を直接なぞられて息も止める。
「なんだエリナちゃん、あれだけ嫌だ嫌だ言ってたのに、濡れてるじゃないか」
「濡れてるって・・・う、嘘よ!」
 叫ぶエリナの目の前に、マスク・ド・タランチュラの手がかざされる。その手には粘性を持った液体が付着していた。
「これ、エリナちゃんのアソコから出てきた汁だぜ? おかしいなぁ、H汁じゃなかったら、おもらしか?」
「そ、そんな訳ないでしょ! 汗よ!」
「汗か。それじゃ、よーく拭いてやるよ」
 マスク・ド・タランチュラがエリナの耳を舐めながら秘裂に指を突き立てる。レフェリーの手は乳房と乳首を責め、変形させている。
「もうやめてぇぇぇっ!」
 エリナの叫びも通じなかった。否、その叫びを契機に、男達は更に責めを加速させた。

「あっ、ぐぅっ、ふぁぁっ!」
 エリナは十分以上に渡って責められ続けていた。男二人の技量はたいしたことはなかったが、長時間敏感な部分を責められたことで快感を確実に溜められている。
「エリナちゃん、まだ耐えるのか? それなら、もっと張り切って弄らなきゃな!」
「な、なにを言って・・・あくぅぅっ!」
 レフェリーとマスク・ド・タランチュラがテンポを合わせ、乳首と秘部を刺激してくる。
(駄目、このままじゃイッちゃう・・・大股開きで、大勢の観客の前で、無理やりなのにイッちゃう!)
 敏感な器官である乳首と膣を同時に責め立てられ、快楽中枢が弾けそうになっている。
「だめぇっ! ふ、あぁぁぁぁ・・・っ!」
 遂に、快感を押し止めていた堤防が決壊した。快感は秘部からの潮となって吹き出し、身体を波打たせる。
「おーおー、洪水じゃないか。それじゃあ、濡れたこいつは脱いでしまおうか?」
 レフェリーの手が、濡れて変色したパンティに掛かる。
「待って、それは、それだけは!」
「反則三昧のペナルティとしては丁度いいだろ? それとも、もっと気持ちよくして欲しいってことか?」
 パンティに掛かったレフェリーの手が一度離れ、愛液に濡れた秘部を弄ってくる。
(そんな・・・脱がされるのも触られるのも嫌なのに、どうすれば・・・!)
 躊躇している間も、乳房、乳首、秘部を弄られ続けている。
「何も言わないってことは、やっぱり触られてるほうがいいんだな」
「そんな訳・・・んんっ!」
「それじゃぁやっぱり脱がすか」
「それはもっと駄目ぇっ!」
 レフェリーの手がパンティに掛かり、慌てて拒否する。
「あれも駄目、これも駄目、そんな我侭が通じると思うなよ。まぁ、負けを認めるって言うなら話は別だけどな」
 レフェリーは慌てることなく秘部を弄ってくる。
(こんな変態どもに負けを認めるなんてしたくない! でもセクハラされるのも嫌だし・・・下を脱がされるなんて耐えられない!)
 迷うエリナ。それでも、最後には一つの選択肢を選んだ。
「・・・ギ、ギブアップ」

<カンカンカン!>

 エリナの敗北を認める言葉に、レフェリーは試合終了の合図を出した。屈辱に塗れたギブアップの宣言に、エリナの目からは涙が零れていた。
「もうちょっと我慢して欲しかったけどなぁ。ま、観客が沸いたからよしとするか」
(か、勝手なことを・・・)
 膝立ちになったマスク・ド・タランチュラを鋭く睨む。
「悔しかったらまた来なよ、エ・リ・ナ・ちゃん」
 最後にマスク・ド・タランチュラからヒップを撫でられ、びくりと身が竦む。
(絶対・・・絶対許さない! 次は必ずぶっ倒してやるんだから!)
 涙に濡れるエリナの瞳に、反攻への炎が宿った。


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