【特別試合 其の二十二 シーナ:空手】

 犠牲者の名は「シーナ」。18歳。身長162cm。スリーサイズはB92(Fカップ)・W62・H87。涼しげな目元がクールで、肩までの黒髪にシャギーを入れている。グラビアアイドルをしており、本名は「虎縞(とらじま)椎奈(しいな)」。グラビアでのスリーサイズは公称でB93(Gカップ)・W59・H87ということにされている。
 シーナはフルコンタクト空手の有段者で、その打撃は鋭く重い。特に長い脚を活かした蹴りを得意とし、多彩な蹴り技を誇る。
「地下プロレス」という裏の催しで人気が高まり、<地下闘艶場>にも出場させてはどうかという声が上がった。
 売れないグラビアアイドルには破格の条件を提示され、シーナは堕淫のリングへの参戦を決めた。


「水着じゃないのはよかったけど・・・」
 用意された衣装に、シーナはため息を吐いた。「地下プロレス」では常にビキニ水着で闘わされており、高い露出度に羞恥を覚えるのが常だった。今回の衣装は露出度が低いものの、男心をそそるものには違いない。
「仕方ないわね」
 髪をかき上げたシーナは私服を脱ぎ、衣装に着替えた。

 ガウン姿のシーナが花道に姿を現したその瞬間、観客席がどっと沸いた。<地下闘艶場>に初めて現役のグラビアアイドルが上がる。しかも美貌、プロポーション、格闘の実力まで兼ね備えている。普段はグラビアでしか拝めない肢体がリングでどう嬲られるのか、既に観客席には興奮が渦巻いていた。

「やっぱり男、か・・・」
 リングに待っている対戦相手を見て、シーナが呟く。<地下プロレス>では男性と闘わされたこともあり、もしかするとそうかもしれない、と想像はしていた。
(当たっても嬉しくないけど)
 心の中でため息を吐き、シーナはロープを潜ってリングに立った。

「赤コーナー、『マッスルバレル』、チャベス・マッコイ!」
 シーナの対戦相手はチャベスだった。首、肩、胸、腹、脚部など、あちこちの筋肉が盛り上がっている。その周りではセコンドなのかマネージャーなのか、老け顔の小男が走り回っている。
「青コーナー、『レディタイガー』、シーナ!」
 自分の名前がコールされ、シーナはガウンを脱ぎさった。ガウンの下から濃紺のチャイナドレスが現れる。胸元には穴が開いており、シーナのFカップバストが作る谷間がくっきりと見えている。スカート部の両サイドには腰までのスリットが入れられ、下着が僅かではあるが見えてしまっている。
(ああもう、厭な視線!)
 観客席からは粘つくような視線が飛び、シーナの身体の上を這いずり回る。シーナの眉が寄るが、それ以上の反応は見せなかった。

 チャベスのボディチェックを終えた男性レフェリーが、シーナの前に移動してきた。
「・・・本物のシーナだ」
 ボディチェックも行わず、じろじろと見つめてくる。
「・・・手早く済ませてくれる?」
 不快な視線にシーナが催促すると、レフェリーがいきなり胸元目掛けて手を伸ばしてきた。
「どこ触ろうとしてるの?」
 シーナは一歩退いてレフェリーを睨むが、レフェリーは表情も変えなかった。
「なんだ、ボディチェックを受けないのか?」
 それどころか逆に一歩詰めてくる。
「ボディチェックを受けないなら、試合を始められないぞ。ファイトマネーも貰えないが、いいのか?」
「それは・・・」
 グラビアアイドルの給料などたかが知れている。グラビア活動だけで食べていけるのは、一握りのトップだけだ。迷うシーナだったが、結論は一つしかなかった。
「ボディチェックを、受けるわ」
「最初からそう言えばいいんだよ」
 そう言うや否や、レフェリーはシーナのバストを鷲掴みにしてきた。
「これがシーナのおっぱいか。あまり遊んでないみたいだな」
(この変態レフェリー! でも我慢しないと、試合すらできない)
 バストを好き勝手に触られる屈辱と不快感を、拳を握ることで耐える。
「グラビア見るたび、この胸に触ってやりたかったんだよ。いつも挑発的なポーズ取りやがってよ」
(それは仕事だからよ!)
 心の中だけで叫び、黙って顔を逸らす。この手の男は、何か言うたびつけ上がる。黙っているのが一番だった。
「この胸の谷間もそそるな」
 レフェリーは左手でバストを揉みながら、右手で胸の谷間に指を這わせてくる。
「くっ・・・!」
 不快感と羞恥に、シーナの頬が染まる。
「グラビアで見るだけしかできなかったシーナに、こうやって触れるなんてなぁ。役得役得」
 しかしそれに気づいた様子もなく、レフェリーはシーナの身体を弄り回す。
(なにが役得よ! こんの変態・・・っ!?)
 いきなりレフェリーの手がスリットの隙間から潜り込み、下着の上から秘部を触る。
「何してるのっ!」
 リングに乾いた音が響き、次いでレフェリーが仰向けに倒れこむ。
「・・・お前、何してるんだ!」
 思い切り頬を叩かれたレフェリーがシーナを睨む。
「それはこっちの台詞よ! ボディチェックと言いながら、胸だけじゃなくて人の恥ずかしい場所を触るなんて。レフェリー失格じゃない!」
「言いやがったな・・・その暴言、覚えておけよ!」
 怒りの表情のまま、レフェリーは試合開始の合図を出した。

<カーン!>

「そっちこそ覚えていなさいよ」
 一度レフェリーを睨んだシーナは、対戦相手のチャベスに視線を合わせた。
(うっ・・・)
 改めてチャベスと向かい合うと、その肉体に圧倒されてしまう。質量がシーナの二倍以上はあるチャベスが一歩踏み出すと、思わず一歩退いてしまう。
「どうした、威勢がいいのは口だけか?」
 レフェリーの嫌味に、シーナの負けん気が頭をもたげる。
「誰が!」
 気合いと同時に、シーナの右足が跳ね上がった。シーナがハイキックを放った瞬間チャイナドレスの裾が大きく捲くれ、リボン付きのブルーのパンティが露わになる。
(よし!)
 チャベスの頬を捉えた会心の一撃に、シーナの頬が緩む。
「・・・えっ?」
 シーナの予想に反し、チャベスは頬を擦り、首を鳴らすだけだった。
「そんな・・・」
 緊張がシーナの普段のキレを奪っていたのだが、シーナ本人はそれに気づいていなかった。決まったと思った一撃で倒せなかった、その事実がシーナを怯ませる。
 一声咆えたチャベスが掴みかかってくる。横にかわしたシーナはミドルキックを出すが、チャベスの腹筋にはね返される。
「っ!」
 チャベスの裏拳をダッキングでかわし、もう一度ハイキックを放つ。しかし、無理な体勢からの蹴りは威力も乗っていなかった。
「あっ!」
 右足を掴まれ、一気に持ち上げられた。すぐに左足も持たれ、シーナは逆さ吊りにされていた。チャベスはシーナの太ももに頬ずりし、その滑らかな感触を楽しむ。
「気持ち悪い! やめて!」
 嫌がるシーナに逆に興奮を誘われたのか、チャベスはシーナを更に持ち上げ、太ももを抱え込んだ。そのまま口を開き、シーナの股間に舌を這わせる。
「いやぁぁぁっ!」
 下着越しとはいえ、途轍もない不快感だった。暴れようとした瞬間、バストを掴まれた。
「随分大きな声を出すな。大丈夫か?」
 腰を屈めたレフェリーが、シーナのバストを揉んでいた。
「な、なんでレフェリーが・・・んんっ、試合中にまで触ってくる・・・くぅっ」
 秘部とバストを責められることで時折声が詰まるシーナに対し、レフェリーはにやつきながらバストを揉み続ける。
「なんでって、お前が変な声出すから心配になったんじゃないか。気付けをしてるだけだ」
「そ、そんな言い訳が・・・あぅっ!」
 両手でレフェリーを押し離そうとしても、秘部とバストの刺激で力がうまく入らない。喘ぐシーナを嬉しげに見下ろしながら、レフェリーはバストから手を離そうとはしない。そのうち、レフェリーだけでなく、いつの間にかリングに上がった小男までがバストを弄ってくる。
「ちょ、ちょっとレフェリー! セコンドが乱入してる!」
「乱入はプロレスに付きものだからな。気にするな」
 シーナの真っ当な抗議にも取り合おうとはせず、レフェリーは現役グラビアアイドルのバストを揉み続ける。
「わけがわからない言い訳、しないでよ!」
 シーナはレフェリーと小男を押し離そうとするが、逆に両手を掴まれ、バストを責められる。
「だから触らないでよ!」
 両手が動かせなくても暴れ、足をばたつかせる。
 シーナが両足を暴れさせるのが気に触ったのか、チャベスは一声咆えるとパワーボムのような体勢でシーナをリングに落とした。
「はぐっ!」
 充分に手加減された一撃だとは言え、シーナへの衝撃は半端ではなかった。後頭部を押さえて呻くシーナを見下ろしていたチャベスだったが、シーナの胸元に手を伸ばす。
 何度かバストを揉んだチャベスは、衣装に手を掛け、左右に開く。チャベスの怪力でチャイナドレスの胸元の穴が無理やり広げられ、撓み、遂には破れてブラが露わになった。チャベスはそれだけで済まさず、シーナの首を覆っていた部分までも引き千切り、上半身をブラのみの姿にしてしまう。
「よしチャベス、まずはブラの肩紐だけ外してしまえ」
 レフェリーの指示に頷いたチャベスは、シーナのブラの肩紐を千切り取ってしまう。
「な、なにして・・・」
 ようやく声が出るようになったシーナだったが、チャベスに反撃する力は戻っていない。
「なぁに、ちょっとしたサービスだ」
 レフェリーはチャベスに合図してシーナを立たせ、背後からフルネルソンに極めさせる。小男はシーナの右脚にしがみつき、それだけでなく腰を振り始める。
「ちょっと、気持ち悪いことしないで!」
 小男だけでも蹴り飛ばそうとしたのに、左足をレフェリーに踏みつけられる。
「セコンドに攻撃したら駄目だぞ。反則だからな」
 レフェリーはそのまま両手でバストを揉み始める。
「あ、あなたがしてることのほうがよっぽど反則よ!」
「相変わらずレフェリーに敬意を払わない奴だな」
 レフェリーはシーナの背中側に手を回すと、素早く留め金を外し、パンティとお揃いのブルーのブラを奪った。
「きゃぁぁっ!」
 ブラを毟り取られたシーナが悲鳴を上げる。
「なんてことするのよ!」
「レフェリーの俺にビンタして、暴言まで吐いたんだ。これくらいの罰は当然だろ」
 目の前でブラを振り回しながら、レフェリーが嘲る。
「しかし・・・これがシーナの生おっぱいか」
 リング下の黒服にブラを放ったレフェリーは、シーナの乳房を食い入るように見つめていた。
「普段はぎりぎりまでしか見せてくれないからな」
 暫く眺めるだけのレフェリーだったが、微かに震える乳房に誘われたかのように手を伸ばした。
「くっ!」
 直接乳房を触られた屈辱と不快感に、シーナの眉が寄る。
「くくっ、やっぱり生のおっぱいは堪らんな」
 そんなことも知らぬ気に、レフェリーは何度か乳房を下から弾ませた後、両手で鷲掴みにする。
「変態レフェリー!」
「まだ暴言を吐くのか。どうせ仕事の後で、マネージャーとかカメラマンとこういうことしてるんだろ? ちょっとお裾分けして貰うくらいいいじゃないか」
 シーナの乳房の感触が堪らないのか、シーナの変態呼ばわりにも怒ることもなく、レフェリーは乳房を揉み続ける。
「おっとそうだ、さっきはここを調べようとしたら、ビンタをくれやがったからな」
 レフェリーがチャイナドレスの前垂れを捲り、秘部をつつく。
「あ、当たり前よ。そこを触られて喜ぶ女性なんて・・・っ!」
「ボディチェックなんだから、拒むのはよくないなぁ」
 いきなり秘裂を強く押さえられ、シーナの言葉は封じられる。
「チャベスの唾液で濡れてやがる。いや・・・もしかして、ラブジュースか?」
「そんなわけないでしょ!」
「どうだかな。直接確かめてやる」
 レフェリーの手が下着の中に突っ込まれる。そのまま、直に秘裂を弄り始めた。
「やめてっ! いやぁっ!」
「おいおい、ボディチェックの続きだぞ。そんなに嫌がるなよ」
 レフェリーは右手で乳房を揉み、左手で秘裂と淫核を責める。小男は腰を振るだけでは飽き足らず、太ももを舐め回し始める。とうとう我慢できなくなったのか、チャベスも右手でシーナの乳房を揉み出した。
「やめなさいよ、このっ!」
 シーナは動かせるようになった右手でチャベスの手をもぎ離そうとするが、片手ではチャベスのパワーをどうすることもできなかった。それどころかレフェリーに右手をもたれ、抵抗を封じられる。
「ボディチェックの間はおとなしくしておくんだ」
 レフェリーの指が秘裂を割って、浅くではあるが中に入り込む。
「そこまでするの!」
「レフェリーへの暴言、暴行、ペナルティとしては当然だろ」
 にやつくレフェリーだけでなく、チャベスも小男もシーナの肢体を自らの欲望のままに弄り続ける。シーナは痛いほどに唇を噛み、下を向いた。
(・・・悔しいけど、このまま辱めを受けるくらいなら)
「おいおい、今ギブアップしたらファイトマネーは出ないぞ」
 ギブアップをしようかと迷うシーナに気づいたのか、レフェリーが耳元で囁く。その間にも秘部を弄ることはやめない。
「えっ?」
 ファイトマネー、という響きにシーナが固まる。
「レフェリーの言うことは絶対だからな。グラビアで稼ぐよりも破格的なファイトマネーだろ? それをないことにしたいのか?」
 このレフェリーの言葉に、咽喉元まで出掛かったギブアップを呑み込む。
「わかったようだな。もうちょっとペナルティに付き合え」
 下着から手を抜いたレフェリーが、左の乳首をつついてくる。下から何度か乳房を弾ませると、再び乳房を揉んでくる。
「ペ、ペナルティって、ただのセクハラじゃない!」
「まだそんなことを言うのか。ペナルティ続行だな」
 薄ら笑いを浮かべたレフェリーは、シーナの乳首を捏ね繰り回す。
「おっ、文句言いながらも乳首が硬くなってきたぞ。感じてきたのか?」
「そんなわけないでしょう!」
 長時間刺激を受け続ければ、生理現象として乳首は硬くなる。レフェリーもわかっている筈なのに、わざとらしくシーナの乳首を嬲る。チャベスは反対の乳首を乳房ごと揉み込み、小男は下着の上から秘部を弄ってくる。
(い、いつまで続くのよ・・・)
 シーナにできるのは、ただ身を捩るだけだった。

 シーナが男三人に嬲られ始めて十分ほどが経過した。
「さて、それじゃそろそろ試合に戻るか」
 名残惜しげに乳首を弾いたレフェリーが、ようやくシーナから離れる。小男もシーナの太ももを離し、リング下に降りる。チャベスは相変わらずシーナを抱え、乳房と乳首を責め続けている。
「・・・このっ!」
 大きく息を吸い込んだシーナは、チャベスの足の甲に踵を踏み下ろした。
「グゴォォォッ!」
 痛みに咆えたチャベスはシーナを軽々と抱え上げ、背中から投げ落とす。
「あぐぅっ!」
 半端な受身しか取れず、シーナは痛みに悶絶する。しゃがみ込んだチャベスは踏まれた足の甲を何度も撫でると、シーナを睨みつける。そこにレフェリーが声を掛ける。
「折角だ、グラビアポーズを取らせろ。観客にもいいサービスになる」
 頷いたチャベスは、背後からシーナの両腕を上げさせ、グラビア固めに極める。
「ああぁぁっ!」
 チャベスの怪力に関節技を極められると、腕と肩の関節が悲鳴を上げる。痛みを逃がそうと足をばたつかせると、剥き出しの乳房が揺れ、前垂れがはためいて下着が見え隠れする。
「そうそう、グラビアアイドルなんだから、見てくれるお客様にサービスしなきゃなぁ」
 それに気づいたレフェリーがわざとらしく前垂れを捲くる。
「・・・こうやってみると、やけに色っぽいよなぁ」
 レフェリーはシーナの股間を覗き込むと生唾を呑んだ。
「いい機会だ、ヘアヌードデビューもしたらどうだ?」
 そのまま手を伸ばし、下着に掛ける。
「お断り・・・よっ!」
 痛みを堪え、シーナはレフェリーを蹴り飛ばした。そのまま右足を振り上げ、チャベスの脳天に叩き込む。突然の奇襲に驚いたのか、痛みにか、チャベスはグラビア固めを解いていた。
「お、お前・・・レフェリー蹴り飛ばすとはどういうつもりだ!」
「それはこっちの科白! 人の下着脱がそうだなんて、どういうつもりよ!」
 立ち上がり、胸元を隠したシーナがレフェリーを睨む。その背後から、ごつい手が二本伸びた。
「えっ?」
 チャベスはシーナの下着のサイド部分を掴んでいた。そのまま力を込め、両側へと思い切り伸ばす。
「あ、こら! 離しなさいよ! 離してっ!」
 シーナの抵抗も空しく、チャベスの手に更に力が入る。布を裂く音がシーナの耳に届いた。
「あっ・・・」
 破かれた下着が、チャベスの両手にあった。
「そんな・・・」
「お、お前、今、ノ・・・ノーパン状態か!」
 何故か何度もつっかえながら、レフェリーが嬉しそうに叫ぶ。
「お、おい、チャベス!」
 チャベスを呼ぶレフェリーだったが、当の本人はリング脇で腹這いになり、二つに破れたシーナの下着を仲良く小男と二人でわけ、匂いを嗅いでいた。
「おいチャベス、おいって言って」
「・・・よくも」
 突然、重低音を効かせた女性の声音が耳を打つ。
「よくもここまでしてくれたわね・・・」
 恐る恐る声のほうに首を捻ると、髪を逆立てたシーナの夜叉面があった。
「ちょ、ちょっと待ってくれ、パンツを脱がせたのはチャベ」
「問答無用!」
 レフェリーの腹部にシーナの爪先が突き刺さり、膝が顎を打ち抜く。声もなく崩れ落ちたレフェリーは、白目を剥いたまま失神していた。
「この、筋肉ダルマ!」
 チャベスの尾てい骨に、シーナの蹴りが突き刺さった。慌てて振り返ったチャベスの顔面に容赦ないローキックが叩き込まれると、チャベスは鼻血を噴き出しながら痛みにのたうつ。
「セイッ!」
 とどめとばかりに股間へと蹴りが入ったとき、チャベスは声もなく悶絶し、失神した。
「これで、終わり・・・っ!?」
 気を緩めそうになったシーナの視界に、ロープの反動を使って空中から襲い掛かる小男の姿が映る。
「てぇぇぇいっ!」
 シーナのハイキックが小男を空中で迎撃し、撃墜する。チャイナドレスの前垂れが翻り、また元に戻る。

<カンカンカン!>

 突然試合終了の合図がなされる。ゴングの音に我に返ったシーナの顔がみるみる高潮する。
「っっっ!!」
 リングから転がり降りると、何かを呟きながら控え室を目指す。
(見えてない絶対見えてない見えた筈がないもの!)
 胸元を隠し、チャイナドレスの前垂れを必死に押さえたシーナは、早足で花道を下がっていく。その背に対し、卑猥な冗談が数多く投げつけられた。
 その後、観客の間では、シーナのものが見えたか見えなかったかで論争になったと言う。


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