【特別試合 其の二十三 咲口せりな:柔道・剣道・空手】  紹介者:ロップス様

 犠牲者の名は「咲口(さきぐち)せりな」。17歳。身長164cm、B87(Eカップ)・W64・H88。
 胸のあたりまで伸ばした黒髪を三つ編みにし、頭の後ろでまとめている。目は細く丸顔だが、ぽっちゃりしている訳ではない。健康的な肉付きをしている。
 道場を担う祖父を持つ高校生。祖父は柔道、空手、剣道、弓道などを教えており、その影響で彼女もある程度の格闘技術を身につけている。そのためか視力が高い。だが、やりたいことが多いせいでどれも中途半端。最も得意なのは茶道と生け花で、和服が良く似合う。
 好奇心が強く、何事においても勝ち負けより相手を尊重する。茶道などをする時の彼女はおしとやかかつ冷静だが、平常時は素のおてんばを隠しきれていない。
 祖父に「お前は飽き性だ」と言われたせりなは、本当にそうなのかと思い悩む。そのとき、計ったかのように<地下闘艶場>からの招待状が届いた。せりなは自分が飽き性でないことを、身に付けた格闘技術が半端なものでないことを証明するため、<地下闘艶場>に参戦することを決めた。


(えっ・・・男の人と闘うの?)
 リングで向かい合った対戦相手は、筋肉量が容易に見て取れる男性だった。確かに招待状には「心躍る試合を用意させて頂きます」と書かれてはいたが、まさか男性相手だとは想像もしていなかった。
 嫌な予感がせりなを襲う。遅過ぎた予感が。

「赤コーナー、『マッスルバレル』、チャベス・マッコイ!」
 せりなの対戦相手はチャベス・マッコイだった。<地下闘艶場>で数多い試合をこなし、観客にもよく知られている。その足元ではいつものように、老け顔の小男が走り回っている。
「青コーナー、『風に揺らぐ一輪の花』、咲口せりな!」
 コールを受けたせりなは、教えられたとおりにガウンを脱ぐ。その下にあったのは振袖だった。否、和服と言うよりも「キモノドレス」と呼びたくなるものだった。
 白地の振袖には薄緑色の点模様が散らされ、帯の色は桃。裾の両サイドにはチャイナドレスのような切れ目が入れられ、太ももの半ばまでが露わになっている。肩口の上部にも切れ目があり、肩のラインが覗いている。その胸元は、和服だというのに膨らんでいるのが見て取れる。
 観客席から飛んでくる粘ついた視線に、せりなは羞恥を覚えていた。

「それじゃ、試合前のボディチェックを受けて貰おうか」
 チャベスのボディチェックを終えたレフェリーの表情は、どこか緩んでいるように見える。せりなの思い過ごしだろうか。
(確か、プロレスの試合は必ずボディチェックをするのよね。男のレフェリーなのが嫌だけど)
 聞き齧った知識を思い出したせりなは頷く。
「よし、動くんじゃないぞ」
 レフェリーの手が振袖の上を這い回る。その手は無遠慮に胸や尻まで触っていく。
(ううっ、やっぱり気持ち悪い)
 厚い生地の振袖だとはいえ、触られる感触は消えない。
「和服は触っても良くわからんなぁ」
 レフェリーの独り言はせりなの耳にまでは届かず、不満の表情のままレフェリーのボディチェックは終わった。
「それでは、ゴング!」

<カーン!>

 緊張が解けぬまま試合が始まった。肩や胸などあちこちの筋肉が盛り上がっているチャベスの肉体は、せりなを怯ませるのに充分な迫力がある。
(体が重い。手に力が入らない・・・)
 口の中が乾き、掌が汗ばむ。無意識にお尻で拭いていた。
(来る!)
 チャベスの前進に、構えを取ろうとする。しかし、柔道の構えをすればいいのか、空手の構えをすればいいのかわからない。混乱するせりなの袖を、チャベスが掴む。
 チャベスがそのまま袖を引っ張る。せりなは引き込まれまいと踏ん張る。元々切れ目が入れられていた袖が、簡単に千切り取られた。
「あっ!」
 せりなの滑らかな腕が肩まで露わになる。
(力が強い、捕まったらアウト)
 フットワークを使い、間合いを測る。
「えやっ!」
 素早い踏み込みからローキックを放ち、すぐに距離を離す。
(よし、行けるわ!)
 まだ緊張が解けたわけではないが、先程までとは体の軽さが違う。せりなは回り込みながら攻撃を出し、すぐにチャベスの間合いから離脱する。
 せりなの戦術は単純だったが、スピードで勝るチャベス相手には有効だった。苛立った様子のチャベスの攻撃は、更にかわしやすくなってくる。
(よし、このままこれで)
 またローキックをヒットさせ、ロープ際へと下がる。そのときだった。
「っ!?」
 突然足元を払われ、バランスを崩す。リング下に居た筈の小男がいつの間にかリングに上がり、足を引っ掛けたのだ。
 すぐに体勢を戻したせりなだったが、チャベスに距離を詰められていた。
(まずい!)
 逃れるのが一足遅れ、チャベスに襟を掴まれる。チャベスは握った襟を大きく左右に広げる。その途端、振袖に押さえつけられていたバストが揺れながら開放された。
「いやぁっ!」
 スポーツブラに包まれているとは言え、大勢の観客に胸を見られるのは恥ずかしい。恥ずかしさに突き動かされように、せりなはチャベスを巴投げで投げ捨てていた。
(早く、早く隠さないと)
 和服は一旦着崩れしてしまうと、元に戻すのが難しい。焦ることで手元が上手く動いてくれず、またEカップのバストの下部分に引っ掛かって、襟が元通りになってくれない。それでも無理やり引っ張り上げると、胸元は隠れたものの、遊女のような肩出しスタイルとなってしまう。
「着物のときにはブラは着けないのが常識じゃないのか?」
「こ、こういうものならいいんです!」
 レフェリーによくわからない返答をし、チャベスから距離を取る。混乱するせりなは、小男の乱入を咎めることにも思い至らなかった。
 慌てるせりなへと、チャベスのタックルが迫る。
(膝蹴り! 待って、柔道なら反則、だったら剣道で・・・そうじゃない、今はプロレスの試合なんだから)
 様々な格闘技の知識が浮かぶが、逆に迷いが生じる。迷いはせりなを棒立ちにさせ、チャベスに脚を刈られる。
 一声咆えたチャベスはせりなの両足首を掴んだまま、膂力を生かして一気に持ち上げる。重力に従って裾が垂れ下がり、完全に下着が露わになる。
「あ、やだっ」
 逆さまの状態から押さえようとしても、完全には隠せない。焦るせりなの顔に影が落ちた。
「なに・・・んんんっ!」
 小男がせりなの顔を両手で固定し、鼻と言わず唇と言わずあちこちを舐め回してくる。自分から意識が逸れたと見て取り、チャベスはせりなの太ももを抱えなおすと、下着の上から秘部へと舌を伸ばす。
「いやぁぁっ! な、なにをして・・・んむぅっ!?」
 叫んだ隙を衝かれ、小男に舌を咥えられる。反射的に突き飛ばそうとしたとき、レフェリーが襟を寛げ、スポーツブラの上からせりなのバストを掴む。
「ギブアップか、咲口選手?」
 レフェリーはバストを揉みながらギブアップの確認をしてくる。
(レフェリーまで一体何をしてるの!?)
 大声で問い質したかったが、口を開けばまた小男から舌を責められそうで、せりなは躊躇してしまう。その間にも顔を小男に舐められ、秘部はチャベスに舐められ、上下を涎塗れにされてしまう。加えてレフェリーからバストを揉まれ、望まぬ刺激に身を捩る。
(逃げなきゃ、なんとしても!)
 決意に力を入れ直し、まずは小男を突き飛ばす。レフェリーへの攻撃はせず、チャベスの左膝に右肘を入れる。太ももを持つ手が緩んだところで膝を引きつけ、その勢いで回転しながら脱出する。
「何油断してるんだチャベス!」
 レフェリーの舌打ちに、チャベスが怒りの視線を向ける。怯んだレフェリーだったが、空咳をして「ファイト!」と促す。
(あたし・・・なぜこんなところに出場しようと思ったんだろう)
 せりなは今更ながら後悔していた。格闘技への思いと実力を試すための筈が、まさか、ここまで恥ずかしい思いをさせられるとは。弱気になった心は、チャベスが一歩近づいただけで竦んでしまう。そのため、背後から忍び寄る小男に気づかなかった。
「あ、ちょっと!」
 気づいたときにはもう帯の合わせ目を外されていた。ずり落ちていく帯を支えようとしたとき、チャベスが垂れた帯の端を掴むのが見えた。
「待って、それは・・・」
 止める間もなく、チャベスが思い切り帯を引く。押さえていた手など弾き飛ばされ、回転しながら倒れ込む。それでもきちんと受身を取り、攻撃の間を与えず立ち上がる。
「あっ・・・」
 帯を解かれたことで、合わせ目が自然と開いてしまう。前を押さえていないと、鎖骨、スポーツブラ、胸の谷間、臍、パンティが見えてしまう。
「どうした、ファイト!」
 固まってしまったせりなに、レフェリーが背後から近寄っていた。そのままヒップを撫で回す。
「えっ!」
 思わずレフェリーに意識が行ったところを、チャベスから振袖を掴まれる。チャベスが浮べた表情に、せりなは何かを気づいた。
「待って、脱がさないで・・・!」
 せりなの哀願も空しく、チャベスが振袖を掴み、引き裂くように剥ぎ取っていく。勢い余って倒れ込んだせりなは、スプーツブラとパンティのみという格好になっていた。
(どうしよう、下着姿でなんて闘えない)
 胸と股間を庇いながら立ち上がったものの、闘志は既に消えかけている。
「咲口選手、闘わないと試合にならないぞ?」
 レフェリーの呼びかけにも何も返せず、せりなはじりじりと後退りする。
「ひっ!」
 いきなりせりなはお尻を押さえ、小さく飛び上がる。小男がヒップを叩いたためだ。その隙を見逃さず、一気に突進したチャベスはせりなを抱き締める。
「あっ、しまっ・・・!」
 後悔する暇もなく、チャベスの居反り投げに宙を舞う。そのままチャベスの体重も浴びせられ、リングへと沈む。
「うっ・・・ぐぅっ・・・」
 受身も役立たず、せりなは呻く。ただでさえ体重差があるのに、上から潰されるように投げられては耐えられなかった。そんなせりなをチャベスが無理やり立たせ、背後から羽交い絞めにする。手伝おうとでも言うのか、小男がせりなの剥き出しの太ももに縋りつく。
「無気力な闘いぶりは感心しないなぁ、咲口選手」
 わざとらしい口調で、レフェリーがせりなを見つめてくる。
「これはペナルティが必要だな」
 そう言ったレフェリーは、いきなりせりなのバストを掴み、揉んでくる。
(ま、またこんなこと!)
 首を振るくらいしかできないせりなだったが、レフェリーがバストを揉むのをやめたことで、ほっとするよりも嫌な予感が過ぎる。
「ブラの上からの感触も飽きたな」
 そうのたまったレフェリーは、スポーツブラの縁に手を掛ける。
「まさか・・・そこまでは・・・」
「そこまでは? 取るんだよ、ブラも!」
 レフェリーがスポーツブラを思い切りずり上げる。Eカップの乳房が解放され、たっぷりと揺れる。
「いい大きさじゃないか、ええ?」
 レフェリーは重さを量るかのように、せりなの乳房を弾ませる。指を不規則に動かし、下乳をくすぐるように責める。
「いやぁ、こんなのはいやぁ!」
 せりなが暴れようとしても、チャベスの筋力で押さえ込まれてしまう。
「やっぱり生のほうがいいな。柔らかさも弾力もよくわかる」
 レフェリーは両手でせりなの乳房を揉み込み、その感触を味わう。そのたびに87cmEカップの乳房が淫らに歪む。
「こ、こんなペナルティはやめてください!」
「嫌がらないようなペナルティは意味がないだろう?」
 せりなの乳房を好き勝手に弄りながら、レフェリーが薄く笑う。それだけでも悔しいのに、太ももを抱えた小男が腰を振り始めた。
「ひっ!」
 例えようのない感触に、せりなの肌に鳥肌が立つ。
(これ以上は、もう・・・)
 恥ずかしさに、負けを認めようと口を開く。
「なんだ、やっぱりギブアップするのか? 中途半端な決意で参戦したもんだ」
 レフェリーの放った「中途半端」という言葉に、せりなは敗北宣言を飲み込んでいた。
(そうだ・・・私は、習ったことを中途半端なんかで終わらせてない。そのことを証明するために参戦したのに)
 ここで負けを認めるのは、自分が中途半端に習い事を続けてきたと認めるのと同じことだ。レフェリーにそういう思考へと誘導されていることに、せりなは気づいてはいなかった。
(ここを逃れることができれば、ちゃんと闘えれば、勝てる筈!)
 再び闘志を掻き立てるせりなだったが、チャベスの拘束は解けず、乳房は責められ続け、太ももには不快な物が押しつけられる。
(なんとか、なんとか逃げて、ちゃんとした試合に戻さないと)
 乳房を揉まれながらも身を捩るせりなの姿は、男の欲望を掻き立てる。観客の視線がせりなの肢体に突き刺さる。チャベスも例外ではなく、つい羽交い絞めを解き、せりなの乳房に手を伸ばす。
(もしかして、今がチャンス?)
 躊躇は刹那だった。
「えいっ!」
 強烈な肘打ちを後方に入れ、チャベスをよろめかせる。
(ここで逃げないと!)
 レフェリーの手を払って男達の手から逃れようとした瞬間、小男がせりなの脚を抱え込み、バランスを崩させる。
「あっ・・・!」
 倒れたのがチャベスの上だったためダメージはほとんどなかったが、またも羽交い絞めにされてしまう。チャベスの太い腕が肩の下から回されて肩を極められ、同じくチャベスの太い両脚が膝に乗り、四肢を完全に封じられる。
「おいおい、まだペナルティの最中だ。逃げちゃいけないぞ咲口選手」
 せりなの傍らに屈み込んだレフェリーは、剥き出しの乳房をつつく。
「ま、また・・・」
「だから、ペナルティが終わってないんだよ。人の言うことは聴いておけよ」
 最早身動きすら厳しくなったせりなの乳房を掴み、レフェリーが嘲笑する。
「それじゃ、ペナルティを続けるか」
 今度はせりなの両乳首を摘み、軽く引っ張るようにして刺激してくる。
「こんなの嫌ぁ! やめてぇ!」
 せりなの哀願など聞きもせず、小男はせりなの左腕に乗り、その上で腰を動かす。チャベスはせりなの肩を極めていた左腕を外し、乳房へと手を伸ばす。レフェリーは左手で乳房を責めながら、右手をパンティの上から蠢かせる。せりなは両乳房、乳首、秘部など、敏感な部分を責められ続ける。しかも小男が股間を押しつける左腕からは、形容したくもない感触が与えられている。
(こんな、こんなことって・・・)
 唇を噛むせりなだったが、何かに気づく。レフェリーの右手が秘部から離れ、下腹部へと移動したのだ。しかもそれだけでは終わらない。
「まさか、そんな!」
「そのまさかだよ」
 レフェリーの右手が、パンティの中にまで入り込んだ。せりなの股間の叢を撫で、柔らかな感触を楽しむ。
「ああ・・・いやぁ・・・」
「なんだ、ここは嫌なのか。それなら・・・」
「違う、そういう意味じゃ」
 レフェリーの指が更に奥へと進み、秘裂へと達する。
「きゃーーーっ!」
 せりなの悲鳴がリングに響く。
「なんだ、そんなに大声上げるほど喜んでくれるとはな」
 レフェリーは左手で乳首を引っ掻きながら、乳房にも刺激を与える。チャベスはせりなの左乳房を揉み回し、小男はせりなの左腕の上で腰を振り続ける。
(なんで、なんでこんなことに・・・!)
 身を捩るせりなだったが、せりなの意思とは別に、身体は別の反応を示してしまう。
「うん?」
 秘裂を弄っていたレフェリーが何かに気づく。
「なんだ、濡れてきてるじゃないか。そうか、ギブアップしないのは・・・」
 そこで言葉を切ったレフェリーが、せりなの顔を覗き込む。
「もっと感じたいから、だな」
「違う! そんなことある筈ない!」
 必死に首を振る。自分がそんな人間でないことは自分自身が良く知っている!
「いいじゃないか、自分を騙さなくても。厭らしいことに溺れるのも人生だぞ」
 せりなの否定を軽く受け流し、レフェリーは秘裂を割り、浅くではあるが指を埋める。
「あっ・・・やぁぁぁぁっ!」
 あまりのことに、せりなは叫ぶしかできなかった。
「・・・もう駄目ぇ! ギブアップです! ギブアップぅ!」

<カンカンカン!>

 せりなのギブアップ宣言に、レフェリーが合図を出す前にゴングが鳴らされる。
「ちっ、早まりやがって」
 舌打ちしたレフェリーだったが、チャベスと小男をせりなから離れさせる。
「自分から負けを認めたな、咲口選手」
 せりなの顔を覗き込みながら、レフェリーが厭らしく笑う。
「所詮、中途半端なお嬢さんだった、ってことだな。良かったな、大人になる前にわかって」
 最後にせりなの乳首を玩び、レフェリーはリングを後にした。チャベスと小男も続く。
 一人リングに残されたせりなは、うちひしがれたまま立つことができなかった。スポットライトに照らされたせりなの肢体を、観客席から舐めるような視線が飛ばされていた。


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