【特別試合 其の三十 篠斑静乃:柔術】  紹介者:ひみつ様

 犠牲者の名は「篠斑(しのむら)静乃(しずの)」。20歳。身長169cm。B88(Eカップ)・W56・H87。よくできた氷細工のように繊細で整った美貌の持ち主。ゆったりとウェーブのかかった栗色の髪を背中の中ほどまで伸ばしている。僅かにつり上がった目と、めったに表情を変えないことから冷たい印象を受けるが、その気性は清楚かつ、穏やか。
 とある資産家の家に幼少から仕えるメイド。共に育った若主人に恋心を持つ彼女は、その主が「強く美しい女性が闘いの中で辱められる」のを見るのが好きで、<地下闘艶場>に足繁く通っていることを知る。
 静乃は、主を守るために身に着けた格闘術を、彼の気を引くという不純な動機と卑猥な見世物になるために使うことを決心した。


 静々と、花道を一つの人影が進んでいく。
 その人影が纏うのは、時代錯誤にも取られかねない英国ヴィクトリア朝時代から受け継がれるメイド服だった。裾の長い黒いワンピースに長いエプロン、栗色の髪の上にはレース付のカチューシャ。しかし、違和感は全く感じられない。それはそうだろう、この衣装は彼女が普段仕事で使っている、着慣れたメイド服なのだから。
 その服装とそれ以上に目を引く冷たい美貌に、観客席からようやく野次が飛び始める。それでも彼女は顔色を変えることなく、リングへと辿り着いた。
 そこに待っていたのは、蝶ネクタイを締めた中年男性と、マスクを被った二人の男性選手だった。一度小さく深呼吸した彼女は、ゆっくりと階段を昇り、淫闘のリングへと自らの意思で足を踏み入れた。

「赤コーナー、マンハッタンブラザーズ!」
 静乃の対戦相手は、双子のレスラー・マンハッタンブラザーズの二人だった。
「青コーナー、『冷美メイド』、篠斑静乃!」
 コールを受けた静乃は、両手をエプロンの前に揃え、静かに頭を下げる。それは完璧な礼儀作法だとわかる角度とタイミングだった。権力者も数多い観客の中にはその礼の見事さに唸るものも居る。しかし、そんな礼儀作法を見せた美女がどんな嬲られ方をするのか。それがまた観客の興奮を煽った。

 マンハッタンブラザーズ二人のボディチェックを終えたレフェリーが、静乃の前に立つ。
「さてメイドさん、ボディチェックを受けて貰おうか」
「・・・」
 事前にボディチェックのことは聞いていたが、いざ男性から体を触られるとなると拒否感が沸く。
「返事はどうした? ボディチェックを受けなきゃ、試合は始められないぞ」
 それでも、闘うためにリングに上がったのだ。静乃は覚悟を決めた。
「・・・ボディチェック、お受け致します」
「最初からそう言えばいいんだよ」
 にやりと笑ったレフェリーは、まず静乃の肩を押さえていく。その手は袖に包まれた腕へと移動し、引き締まった腰へと移る。腰から脇へと上った両手は、とうとうバストへと触れた。
「なんだこの出っ張りは? 良く調べないといけないなぁ」
 本当はちゃんとわかっている筈だろうに、下卑た笑みを浮かべたレフェリーはバストを揉み込んでくる。
「・・・」
 それでも静乃は姿勢を崩さず、セクハラにも耐える。女性にしては身長の高いメイドが、ボディチェックという名のセクハラを受けている。それは主人の淫らな罰を受けている様にも見え、観客たちの静かな興奮を誘う。
「メイド服っていうのは、外から見ただけじゃわかりにくくて悪いな」
 勝手な独り言を洩らしながら、レフェリーは静乃のバストを捏ね回す。
「よし、胸には何も隠していないようだな」
 散々バストの感触を楽しんだレフェリーが、ようやく手を放す。これで終わったかと気を抜きかけた静乃だったが、背後に回ったレフェリーがヒップを撫で始めた。
「尻も大きいからな、良く調べておかないと」
 またも勝手な独り言を言いながら、レフェリーはヒップの感触も堪能する。それでも静乃は姿勢を崩さない。
「よし、ここはもういいか」
 ヒップから手を放したレフェリーが、再び静乃の正面に回る。
「それじゃ、スカートを捲りな」
「っ・・・!」
 レフェリーの命令に、静乃が息を呑む。
「どうした、まだボディチェックは終わってないぞ? ボディチェックが終わらないと、試合が始められないんだがなぁ」
 バストをつつきながらのレフェリーの催促に、一度唇を強く結んだ静乃だったが、エプロンごとスカートを掴む。そのまま、ゆっくりではあるがスカートを持ち上げていく。
「へえ・・・随分色っぽいやつを着けてるじゃないか」
 スカートを覗き込んだレフェリーがにやつく。
 静乃が身に着けていたのは、レースがあしらわれ、薄く小さい「気合の入った」白のショーツだったのだ。それに合わせている同色のガーターが更に色気を増している。
「本当はこういうことが好きなんじゃないのか? ええ?」
 下卑た冗談を言いながら、レフェリーはショーツの上から秘部を撫で回す。ぴくりと肩が震えたが、静乃が見せた反応はそれだけだった。
「今日はどれだけ乱れてもいいんだぞ」
 にやにやと笑いながら、レフェリーはショーツ越しに秘部を責める。更にガーターに包まれた太ももを撫で回す。
「ガーターってのがまた色っぽくていいよなぁ」
 遠慮の欠片もなしに秘部や太ももを触っていたレフェリーだったが、ようやくその手を放す。
「よし、何も隠してないようだな。スカートを下していいぞ」
 そう言いながらも、立ち上がったレフェリーは静乃の左バストを掴む。
「今日はマンハッタンブラザーズの二人が相手だ。頑張って闘って、観客を楽しませるんだな」
 そのままゆっくりと揉み込んでいく。
「あと、俺への攻撃は禁止だからな。良く覚えておくんだな」
 最後に静乃のバストを揉み回してから、レフェリーはようやく試合開始の合図を出した。

<カーン!>

 ゴングが鳴った瞬間、静乃の瞳が冷たく光った。静乃を挟み込もうとしていたマンハッタンブラザーズに緩やかな動きで距離を詰める。
「はっ!」
 小さく抑えられた気合いと共に、マンハッタンブラザーズ1号が宙を舞う。静乃の投げは2号を弾き飛ばし、静乃はそのまま1号の右腕を背後に回して極める。
「失礼致します」
 そのまま容赦なく引き絞る。マンハッタンブラザーズ1号の口から絶叫が放たれ、ギブアップ寸前かと思われた。
「おいおい、もうちょっと観客を楽しませろよ」
 いきなり背後からバストとヒップを鷲掴みにされる。
「っ!?」
 突然のことに関節技を緩めてしまい、マンハッタンブラザーズ1号に逃げられる。その瞬間、足を払われ宙に浮いた。
 マンハッタンブラザーズ2号が水面蹴りで静乃の足を払った瞬間、マンハッタンブラザーズ1号がセントーンで落ちてくる。
「あぐっ!」
 成人男性の体重をまともに浴びせられ、リングとのサンドイッチにされる。体を折って呻く静乃に、男三人が圧し掛かった。
「結構やるじゃないかメイドさん。だが、観客へのサービスを忘れるのは良くないぞ」
 マンハッタンブラザーズの二人に両手両足を押さえさせ、レフェリーは静乃のバストを掴んだ。
「おやめください、試合中にこのようなことは」
「サービスを知らないメイドさんに対する罰だ。反省するんだな」
 勝手なことを言いながら、レフェリーはバストを揉んでいく。身を捩る静乃だったが、マンハッタンブラザーズに押さえられた両手両足を自由にすることはできなかった。
「さて、次は、と」
 レフェリーが静乃の襟元のボタンを外し、勢い良く開く。ブラに包まれたEカップのバストが、縁をエプロンに挟まれて盛り上がる。
「へぇ、ブラも色っぽいやつか」
 静乃のブラはショーツとお揃いの薄く小さめで、レースがあしらわれたものだった。
「手触りもいいじゃないか。さすがメイドさんだ、楽しませることが上手いな」
 ブラの上からバストを揉みながら、レフェリーが一人にやける。その間、静乃は唇を強く結び、レフェリーから視線を逸らす。
「よし、次は・・・」
 レフェリーがブラに手を掛ける。
「っ」
 微かに息を呑んだ静乃にも気づかず、レフェリーはブラをずらし、乳房を露出させる。
「これがメイドさんのおっぱいか。どれ、感触はどうだ?」
 レフェリーは両手で左右の乳房を掴むと、遠慮もなしに揉み回す。
「なかなかいい感触じゃないか、ええ? 毎晩ご主人様に揉んで貰ってるのか?」
「・・・そのようなご奉仕はしておりません」
「ふん、どうだかな」
 乳房を揉みながら乳首を弾き、レフェリーは一人悦に入る。静乃にとって、屈辱の時間が流れた。

 ひたすら乳房を揉み回したレフェリーが、ようやく顔を上げる。
「よし、お前たちも楽しんでいいぞ」
 その言葉を合図に、マンハッタンブラザーズの二人もセクハラを開始する。1号は静乃の右乳房を揉み、2号はスカートを捲りショーツを露わにして秘部を弄る。レフェリーも左乳房から手を放さず、柔らかな感触を堪能する。
 男たちの手が静乃の上を這いずり回る。しかしそれは、拘束が緩んだということでもあった。
 静乃はスカートが翻るのも気にせず、2号を両脚で押さえ込む。両手ではエプロンを掴み、1号の首に巻きつける。
「ちっ、油断しやがって」
 また関節技を解かせてやろうと、レフェリーは静乃の乳首へと狙いを定め、摘んだまま振動を送り込む。
「っ・・・」
 静乃は乳首への責めを耐え、マンハッタンブラザーズ1号の首をエプロンで絞め上げる。2号は両脚で動きを制するのが精々だが、それで充分だった。
 やがて、1号の動きが止まり、全身の力が抜ける。1号が完全に落ちたと見極めた静乃は、レフェリーの手を跳ね除けながら2号の体をうつ伏せにする。そのままマンハッタンブラザーズ2号の肩甲骨を左膝で押さえ、右腕をぎりぎりと引き絞る。2号の口から絶叫が放たれた。
 このままギブアップを奪える。そう判断した次の瞬間だった。
「まだ観客は満足していないぞ、そう焦るなよ」
「あっ!?」
 背後から忍び寄っていたレフェリーが、ショーツの上からとはいえ秘部を触ってきたのだ。そのまま秘裂に沿ってなぞってくる。
 レフェリーが秘部を弄ってきたことで、関節技の力が緩む。それに気づいたマンハッタンブラザーズ2号が右腕を抜こうとする。
「っ!」
 しかし唇を噛み、寸前で技を堪える。
「ちっ」
 舌打ちしたレフェリーは、右手で秘部を責めながら、左手でEカップの乳房を揉みしだく。
「くっ・・・」
 冷たい容貌とは違い、静乃は人並みの羞恥心を備えている。もし若主人という存在がなければ、<地下闘艶場>などという卑猥な見世物に参戦するようなことは絶対になかった。若主人が楽しんでいる舞台だからこそ、辱めを受けるとわかっていながら上がったのだ。
 しかし、実際にこの身を辱められてみると、羞恥心が技を鈍らせてしまう。羞恥と屈辱を必死に耐える間にもレフェリーの手が進み、ショーツの中にまで潜り込む。
「っ!!」
「そら、我慢しないで技を解けよ。それとも、こうされるのが好きなのか?」
 直接秘部を弄りながら、レフェリーがなんとか技を解かせようとする。技を掛け続ける静乃ではあったが、レフェリーのセクハラにより極めきることもできない。
「やっぱりこういうことが好きなんだろ? さっさと認めて、技を外せよ」
 レフェリーが淫核に振動を送り、秘裂も指で責める。乳房の揉み回しと乳首弄りも止めず、静乃を責め立てる。静乃の冷たい美貌に、僅かではあるが朱が差す。
 その唇が、微かに開いた。
「・・・失礼、致します」
 様々な感情を無理やり彼方に追いやり、マンハッタンブラザーズ2号の右腕を一気に引き絞る。これまで耐えに耐えてきた2号も、遂にリングを何度も叩いた。

<カンカンカン!>

 ゴングが鳴り響き、ようやく淫靡な試合が終わりを告げる。レフェリーの手をそっと外してからふわりと立ち上がった静乃は服装を整え、完璧なお辞儀をして見せた。
「お目汚し致しました」
「・・・ふん」
 静乃を仕留めきれなかった悔しさからか、レフェリーが鼻を鳴らす。何故か静乃はレフェリーの前に立った。
「試合に勝利した際には、レフェリーに攻撃を加えることが推奨されていると伺っております」
「はあ? お前何を言って・・・」
 言葉の途中でレフェリーの体は宙を舞い、リングへと叩きつけられた。悲鳴を上げる間もなくエプロンが巻きつき、頸動脈を絞め上げる。
「うぬぉ・・・ふへぇ・・・」
 後頭部に柔らかな感触を感じながら、レフェリーは暗黒の世界へと導かれた。
 気絶したレフェリーから離れた静乃はもう一度礼をし、静かにリングを降りた。
「静乃! 凄いじゃないか!」
 そこに、大きな称賛の声が響いた。花道で静乃を待っていたのは、自らが仕える若主人だった。
「わ、若様!?」
 試合のときには気づかなかったが、若主人は試合を最初から見ていたのだろう。自分が辱められる姿を見られたかと思うと、それが目的だった筈なのに羞恥が沸く。
「静乃!」
 感極まったのか、若主人が抱きついてくる。
「若様・・・」
 密かに慕う相手の抱擁に、静乃は頬を染め、束の間の幸福に身を委ねようとした。
「っ!?」
 しかし次の瞬間、静乃は大きく息を呑んだ。
 若主人の股間が大きく盛り上がり、その膨らみが静乃の腹部に押しつけられていたためだ。先程の試合で散々この身を汚され、忌避したい男の欲望を、思慕する相手が持っていた。そのことが静乃の精神を混乱させ、眩暈を起こさせた。
 結果静乃の身体は若主人の胸にもたれかかり、更に股間の膨らみが押しつけられる結果となった。そのため、若主人が耳元で囁いた、
「また静乃の試合を見たいな」
という科白は、静乃には届かなかった。


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