【特別試合 其の三十七 五十棲葵:空手】  紹介者:スミ様

 犠牲者の名は「五十棲(いそずみ)葵(あおい)」。15歳。身長158cm。B82(Dカップ)・W59・H85。切れ長の目と整った顔立ちは、実年齢より大人びた印象を与える。普段は胸の下まで伸ばしたサラサラのストレートヘアを、闘うときには後ろに纏めるようにしている。人を惹きつける容姿の反面気が強く、かなりプライドが高い。「喋らなければ最高の美人」とは同世代男子からの総評だ。
 小学二年生から空手を始め、全国空手道選手権で優勝。同中学大会でも準優勝を飾っている。高校生になった現在も厳しい練習を積み、空手の高みを目指している。
 自らが「許せない」と感じた人物に対しては、容赦なく怒りの感情を露わにする。それが原因で三年前に不良集団とトラブルになり、乱暴されそうになったことがある。その際、咲本(さきもと)優羽奈(ゆうな)に助けられ、貞操を守られた。(咲本優羽奈は「特別試合 其の三十五」に登場)
 以降は優羽奈と同じ道場に通い、私生活でも仲良くしている。普段はツンケンした印象の彼女だが、優羽奈と居るときだけはにこやかになる(ニヤニヤしているとも言われる)というわかりやすいツンデレ娘。
 ある日突然、優羽奈がリングで嬲られている写真が脅迫文と共に送られてきた。「ある場所で闘わなければ写真をネットにばら撒く。勝利しなければ写真を返すこともない」という内容だった。
 愕然とした葵だったが、優羽奈のために負けられない闘いだと切り替え、淫獄のリングへと参戦することとなった。


(ここが、優羽奈さんが闘わされたところ・・・)
 敢えて「嬲られた舞台」だとは考えない。考えたくない。しかし、花道を進む葵には卑猥な野次や纏わりつくような厭らしい視線が飛ばされてくる。
(待ってて、優羽奈さん。今度は私が守る番だから)
 優羽奈のあんな姿をネットに流されるわけにはいかない。改めて心に誓い、後ろに纏めた長い黒髪を揺らしながら葵は花道を進んだ。

 リングで待っていたのはレフェリーらしき男と、覆面を被った男たちだった。葵は大きく息を吸い、リングへと上がった。

「赤コーナー、マンハッタンブラザーズ1号!」
 葵の対戦相手はマンハッタンブラザーズ1号だった。隣には同じマスクを被り、同じレスリングタイツ姿で同じ体格をしたマンハッタンブラザーズ2号が居た。
「青コーナー、『ツンデレ・カラテガール』、五十棲葵!」
 自らの名前が呼ばれ、教えられた通りにガウンを脱ぐ。葵の身に着けていた衣装は、白丸首の厚手のTシャツに紺のショートパンツという、両手に装着されたオープンフィンガーグローブ以外は葵の出身中学の体操着だった。このマニアックな衣装に、観客の中には大きく頷く者も居た。

 マンハッタンブラザーズ1号のボディチェックをあっさりと終えたレフェリーが、葵に近寄ってくる。本能的な嫌悪を感じるが、軽く睨むだけに留める。
「よし、それじゃボディチェックを行うからな」
 そう言ったレフェリーが、いきなりバストを触ってくる。
「ちょっとぉ!」
 すぱぁん、という小気味いい音が響き、レフェリーが尻もちをつく。
「・・・貴様、いきなり何をする!」
 平手打ちをかまされたレフェリーが怒声をあげる。
「それはこっちの科白よ! い、いきなり人の胸触ってきて、なに考えてるのよ!」
 葵の反論に、立ち上がったレフェリーが信じられないことを返す。
「レフェリーに手をあげた罰だ、マンハッタンブラザーズの二人を相手にしてもらうぞ!」
「自分がセクハラしたくせに!」
「うるさい、ゴング!」

<カーン!>

(やっぱり優羽奈さんもエッチなことされたんだ。こんな男ども、絶対に叩きのめしてやるんだから!)
 優羽奈本人に<地下闘艶場>のことは聞けなかった。しかし、写真だけでなく先程のセクハラが証拠となった。
「せいっ!」
 マンハッタンブラザーズ1号に、怒りそのままに前蹴りを突き刺す。二歩後退したマンハッタンブラザーズ1号との距離を一気に詰め、右ローキックを思い切り振り抜く。ぐらついたマンハッタンブラザーズ1号へ、得意のハイキックを叩き込む。棒立ちになったマンハッタンブラザーズ1号がゆっくりとリングに倒れ込み、そのまま完全に動きを止めた。
「・・・あ、そうか」
 思わず残心の構えを取っていた葵は、この試合がプロレスルールだということを思い出す。
(確か、抑え込んで3つカウントを取れば勝ち、だったよね?)
 ぎこちなくもマンハッタンブラザーズ1号に覆い被さり、レフェリーのカウントを待つ。しかし中々始まらない。
「レフェリー! カウントは!?」
「ああ、わかったわかった」
 鈍々と腹這いになったレフェリーが、ゆっくりと右手を上げる。
「・・・ワーン・・・」
 それを上回るスローテンポでカウントを取る。
「なんでそんなゆっくりと数えるの!」
「貴様、まだレフェリーに文句を言うか!」
「レフェリーならレフェリーらしいことしてよ!」
 思わず立ち上がってレフェリーと言い争う葵の後ろに、何者かが忍び寄る。そのまま、葵のショートパンツと下着を一気に摺り下ろしてしまう。
「ええっ!?」
 コーナーに控えていた筈のマンハッタンブラザーズ2号の卑怯な攻撃に、葵は慌てて下着ごとショートパンツを元に戻す。しかし両手が塞がった状態で、マンハッタンブラザーズ2号の低いタックルを受けてしまう。成人男性の体重をまともに食らい、吹っ飛んだ葵の動きが止まる。
「よし、五十棲選手を押さえろ。しっかりとボディチェックをしてやる」
 レフェリーの指示に、マンハッタンブラザーズの二人が葵の両手両足を押さえる。
「ボディチェックは受けない、レフェリーに手をあげる、文句をつける。許されることじゃないぞ? ええ?」
 下卑た笑みを浮かべたレフェリーが葵のバストを揉み始める。
「くっ、触らないで、変態!」
「これはボディチェックだからな。最初に受けない五十棲選手が悪い」
 にやついたレフェリーはバストから手を放さず、両胸を揉み回す。
「こんなセクハラがボディチェックな訳ないでしょ!」
「俺がボディチェックだと言ったらボディチェックなんだよ」
「うっさい変態レフェリー!」
「・・・口が悪いな」
 目を細めたレフェリーは体操着の上着をずらし、葵のブラを剥き出しにする。そのまま改めてバストを揉み始める。
「こらぁ! どこまでエロいことするのよ!」
「うるさいな、これはボディチェックだと言ってるだろうが。暴言に対するペナルティだ、お前たちも好きにしていいぞ」
 マンハッタンブラザーズに許可を出したことで、1号も2号もセクハラを開始する。
「あっ、こら、どこ触って・・・嫌っ!」
 バスト、ヒップ、秘部、太ももが、男たちの手に撫で回される。
「いいかげんにしないと・・・んぁっ?」
 レフェリーの指が乳首を真上を押し込んだ瞬間、腰が勝手に跳ねた。それに気づいたレフェリーが、にやにやと笑う。
「その反応、五十棲選手もこういうのが好きなんだろ? 咲本選手は何度も何度も悦んでくれたぞ」
(咲本選手って・・・優羽奈さん!)
 優羽奈の顔が思い出される。そして、自分が優羽奈を守るためにリングに上がったことも。
「ふっ・・・ざけるなぁぁぁっ!」
 瞬間、怒りが沸騰した。マンハッタンブラザーズ2号を金的蹴りで仕留め、レフェリーを蹴り飛ばし、マンハッタンブラザーズ1号に膝蹴りを入れる。一瞬で男たちを蹴り放し、素早く立ち上がる。
「しっ!」
 金的を押さえて呻くマンハッタンブラザーズ2号の顔面にローキックを叩き込み、とどめを刺す。慌てて立ち上がったマンハッタンブラザーズ1号の顔面に得意のハイキックを繰り出し、顎を打ち抜く。脳を揺らされたマンハッタンブラザーズ1号は膝から崩れ落ち、前のめりの体勢で痙攣を始める。

<カンカンカン!>

 危険な状態のマンハッタンブラザーズの二人に、たまらずゴングが鳴らされる。
「・・・私の勝ちね。写真を返してよ」
 服の乱れを直し、レフェリーに手を突き出した葵に、レフェリーがとんでもない言葉を返す。
「まだ試合は終われんよ。もう一試合してもらう」
 予想外の返答に、葵は一瞬固まり、怒りに叫ぶ。
「私が勝ったじゃない!」
「レフェリーを蹴り飛ばす真似したんだ、ペナルティは当然だ!」
「それはそっちがセクハラしてきたからでしょ!?」
「あれはボディチェックだ!」
「あんなボディチェックはないわよ!」
 延々と続きそうな口論だったが、リングに男性選手が飛び込んできたことで終了となった。
「お、早かったな」
「うむ、走ってきたからな。いい準備運動になった、すぐにでも始められるぞ」
「私はまだ追加試合をするとは・・・!」
「いいのか? 写真は返せないぞ?」
「ぐっ・・・」
 弱みを握られていれば引き下がるしかない。唇を噛みしめた葵は、渋々コーナーへと下がった。

「赤コーナー、『ザ・ニンジャ』、小四郎!」
 追加試合に呼ばれたのは小四郎(こしろう)だった。白い忍者装束を身に着け、葵をじろじろと見る。
「青コーナー、『ツンデレ・カラテガール』、五十棲葵!」
 葵は内心焦っていた。試合の緊張感、攻撃を繰り出したことでの体力消費、先程受けたセクハラとそれに対する抵抗などで、スタミナが切れかけていた。
(こうなったら、こいつを一撃でぶっ倒して、レフェリーもぶっ倒して、堂々とリングを下りてやるわ)
 それでも闘志を高め、小四郎を睨みつける。
「ゴング!」

<カーン!>

 レフェリーの合図に、二試合目のゴングが鳴らされる。しかし、葵の足が前に出ようとしない。自分で考えていた以上の疲労が原因だった。
「くぅっ!」
 それでも唇を噛み、無理やり手足を動かす。普段のキレが嘘のように、ただ手足を振り回すだけだ。
「この程度か?」
 小四郎の挑発に頭へと血が昇る。
「誰がっ!」
 ただガムシャラに突きを放つ。
「所詮は高校生か」
 葵の右突きをしゃがみながら躱した小四郎は、葵の右腕を手繰り込みながら一本背負いへと繋げる。
「あぐっ!」
 リングに背中から叩きつけられた葵は、背中を押さえて呻くしかできなかった。
「一発でこれか。ならば、これからはお楽しみの時間だぞ」
 小四郎は葵の両脚に自らの両脚を絡め、後方へと回転する。葵の後頭部が小四郎の股間にくるような姿勢でお尻を天井に向け、しかも大股開きという、恥ずかし固めが極まっていた。
「なっ、ちょっ、なんて恰好させるのよ!」
 もがく葵だったが、簡単には外れない。
「いい光景になったじゃないか」
 にやけたレフェリーが手を伸ばし、ショートパンツの上から葵の秘部を撫でる。
「ど、ど、どこ触ってるのよ!」
「どこって、女独自の隠し場所じゃないか。凶器を隠してたら危ないからな」
「そ、そんなところに物を隠すわけないじゃない!」
「隠す奴は皆そう言うんだよ」
 鼻で笑ったレフェリーは、尚も秘部を撫で回す。
「この上からじゃ良くわからんな」
 そう呟いたレフェリーは、一度葵の右太ももを撫でてから、ショートパンツの右裾から指を入れる。
「やだ、ちょっと!」
「うん、下着の上からのほうが良くわかるな」
 レフェリーはショーツの上から秘部を撫で回し、一人悦に入る。
「やめてって言ってるでしょ! 変態!」
 葵は足をばたつかせるが、恥ずかし固めは外れない。
「やめて欲しければギブアップするんだな。ま、そのときには写真は返せないがな」
「ギブアップなんてするわけないじゃない!」
「なら、このままボディチェックを続けるだけだ」
 暫く秘部を弄っていたレフェリーだったが、手を抜き、ショートパンツを掴む。しかし、そこで手を止める。
「うーん、このままじゃ脱がせないな」
「ふむ、ならば・・・」
 暫し考えた小四郎は、体を反転させ、恥ずかし固めから逆海老固めに移行する。
「ああっ! 痛い!」
 腰を攻められた葵が苦鳴を上げる。
「おい、これじゃ脱がせないじゃないか」
「慌てるのは早い。ここから・・・」
 一度逆海老固めを解いた小四郎は反転し、今度はキャメルクラッチを極める。
「ぐ、ぐう・・・」
 またも腰を攻められ、加えて顎を引かれて呼吸も苦しい。
「よし、これなら脱がせるな」
 ショートパンツを掴んだレフェリーが、そのままあっさりと脱がしてしまう。脱がしたショートパンツを観客席に投げ込むと、たちまち争奪戦が起こる。
 レフェリーが再び葵の元へと戻ると、小四郎は天井固めへと変化させていた。
「お、これだとパンツ丸見えでいいな」
「み、見ないでよ変態!」
「そうか、見られるのは嫌か」
 葵に近寄ったレフェリーは、葵の秘部を弄る。
「なら、触ってやるよ」
「変なとこ触んないでよ!」
「そうか、ここは嫌か」
 あっさりと手を引いたレフェリーは、今度はバストを揉み出す。
「そ、そこも変なとこよ!」
「一々うるさいな」
 眉を顰めたレフェリーは、上着をずらし、ブラを剥き出しにする。
「そら、またブラが丸見えになったぞ」
「元に戻してよ変態レフェリー!」
「断る」
 そう言ったレフェリーは、上着の裾に手を掛け、葵の顔が隠れるまで服を引き上げる。そのまま無理やり首から抜いたレフェリーは、肘の辺りで上着を止める。
「さて、次は・・・」
 跪いたレフェリーが、葵の背中に手を回し、ブラのホックを外す。
「今ギブアップすれば、おっぱいをお客さんに見られなくて済むぞ?」
「・・・ギブアップは、しない!」
 一瞬躊躇してしまったものの、葵はきっぱりと拒んだ。
「ふん、本当は恥ずかしいくせに・・・まあいい、おっぱいを直に見せてもらおうか!」
 レフェリーが葵の頭上にまでブラをずらし、Dカップの形の良い乳房と乳首が男たちの目に晒される。
「やだ、こんなの、元に戻してよ!」
 羞恥に身を捩る葵だったが、乳房が揺れるだけだった。
「なんだ、おっぱいを揺らして。誘ってるんだな?」
 乳房の動きを目で追っていたレフェリーは、視線だけでなく手も伸ばした。
「お、やっぱり生の感触はいいな」
「ちょっ、んっ、触んないでよ!」
 途中で吐息を挟んだ葵が叫ぶ。
「審判、そろそろ拙者も我慢できんぞ」
 小四郎も自分がお預けを食っている状況に不満を漏らす。
「よし、なら、次は一度うつ伏せにして押さえてくれ」
 レフェリーの指示に、小四郎は一度きつく絞め上げ、それから天井固めを解く。そのまま葵をうつ伏せにし、レフェリーを睨むように見上げる。
「そんな顔するな、もうちょっと我慢してくれ」
 苦笑したレフェリーが、上着ごとブラを掴み、葵の腕から抜く。戦利品宜しく奪った上着とブラを、リング下の黒服に渡しに行く。
(今だ!)
 チャンスと見た葵が回転し、裏拳を放つ。剥き出しの乳房が揺れ、右拳が小四郎へと迫る。
「ぬっ!?」
 振り抜いた右拳と一緒に小四郎が吹っ飛び、リングに倒れ込む。
「よし!」
「あ、小四郎!」
 葵が立ち上がるのを見たレフェリーが叫ぶ。
「とどめっ!」
 踏み込んだ葵が、右拳を振り上げる。と、その体が前方に倒れ込んだ。
「えっ?」
「甘いわ」
 裏拳を食らった振りをした小四郎がカニ挟みを掛けて背後を取り、葵を引っ繰り返しながら胴締めスリーパーへと捕らえていた。
「おいおい、驚かすなよ。ここまできて倒されたかと思ったぞ」
「これも観客を楽しませるため。案ずるな」
 安堵したレフェリーが、葵のショーツに手を掛ける。
「さて、あとはこれだけだが・・・」
「やめなさいよ! 絶対駄目!」
 胴締めスリーパーの苦しさを堪え、葵は首を振る。足もばたつかせ、少しでも抵抗を試みる。しかし、レフェリーは葵の膝の上に乗り、敢え無く抵抗を封じる。
「パンツを取られたくないならギブアップするか? それならやめてもいいぞ?」
「ギブアップなんて絶対しない! そんなことしたら許さないから!」
 オールヌードの危機でも、葵は敗北を認めなかった。レフェリーを睨みつけ、闘志を失わない。
「ギブアップしないんだな? それなら・・・」
 レフェリーが、改めて最後の一枚に手を掛ける。
「咲本選手と同じく、オールヌードを披露するんだな!」
 そのまま、一気に摺り下ろす。立ち上がったレフェリーがショーツを高々と掲げると、観客席から野次、指笛、拍手、要求などが飛ばされる。
「そんな・・・ひどいよ、こんなの・・・!」
 まともな闘いとは思っていなかった。厭らしいことをされるのにも気づいてはいた。しかし、まさか全裸を大勢の観客の前で晒されることになるとは想像もしていなかった。
「どうした、半べそを掻いて。ギブアップする気になったか?」
 ショーツを黒服に渡したレフェリーが、葵の顔を覗き込む。
「・・・負けない。あんたたちみたいな変態には、負けないんだから!」
 最早オープンフィンガーグローブしか身に着けていないというのに、葵は敗北を拒んだ。自分を、優羽奈を嬲った男たちには絶対に負けたくなかった。
「そうか、なら・・・嫌でもギブアップと言わせてやるよ」
 下卑た笑みを浮かべたレフェリーが、剥き出しとされた葵の秘部に指を這わせる。
「んっ!」
 すると、葵の腰がぴくりと動いた。
「いい反応をするな。気持ちいいのか?」
「誰が・・・んんっ」
 言葉では拒んでも、身体が反応してしまっていた。腰が微かにとは言え、勝手に動いていた。
「どれ、拙者も楽しませてもらうか」
 ここまでセクハラを堪えてきた小四郎が、右腕だけスリーパーを外し、葵の右乳房に触れる。
「あっ! んっ・・・んんっ!」
 乳房と秘部を同時に責められると、快感も増してしまう。葵は声を抑えようとするが、抑えきれない吐息が喘ぎとなって零れてしまう。
「そら、声が出てるじゃないか。気持ち良いんだろ?」
「そ、そんなわけ、ない・・・っ!」
「乳首も硬くなってきたな」
「それは・・・」
 レフェリーの言葉を否定しても、小四郎の指摘は事実だった。男たちから与えられる刺激に、葵の身体が反応し始めていた。
「それは? 続きはなんだ? ほれ、実際に硬くしているではないか」
 小四郎がわざと乳首を爪で引っ掻き、硬さを認識させる。
「ちがっ・・・んんぅ、違う・・・んんんっ!」
 首を振って否定しようとしても、否定しきれず終わってしまう。何時しかスリーパーは解かれ、小四郎の両手で両乳房と乳首を責められていた。
「お、段々と濡れてきたぞ」
「そんな・・・うそ、うそよ・・・!」
 セクハラによって愛液が生じたなどと、誰が信じられるだろうか。
「嘘? なら、俺の手に着いたこれは何だろうなぁ?」
 愛液に濡れた己の手を、レフェリーがわざわざ葵に見せる。
「それは・・・違う・・・」
 明快な否定もできず、視線を逸らす。
「嘘はいけないなぁ五十棲選手。本当はわかっているんだろう?」
 愛液を葵の頬に塗り込み、レフェリーがにやにやと笑う。
「気持ちいいと思った証拠が、五十棲選手のアソコからどんどんと出てきていることを、な」
「違う、そんなことない・・・」
 否定の声も弱い。
「そんなことない? なら、この音はなんだ?」
 レフェリーがわざと音が出るように秘部を弄る。レフェリーの指が動くたび、紛れもない水音がする。
「違う・・・違う・・・」
 最早はっきりとした否定もできず、葵はただ弱々しく首を振るしかできない。
「よし、そろそろいいだろう。小四郎、おっぱい責め代わってくれ」
「うむ、ならば拙者は大事なところを」
 葵の気持ちが折れかけたと見たレフェリーは、小四郎と場所を代わる。
「なんだ、乳首もこんなに硬くなってるじゃないか」
「こちらも凄い。ここまで濡れているとは」
 レフェリーが乳首を抓み、小四郎は秘裂を弄る。再び始まった男たちのセクハラに、葵の身体はまたも反応を返してしまう。
「あっ、やぁっ、触らないで・・・やああっ!」
 乳首から、乳房から、秘部から、甘くも刺激的な電流が迸り、脳裏を埋め尽くしていく。男たちのセクハラが続くにつれ、電流の量も増大していく。
(な、なに、これ!)
 快感が膨れ上がり、自分の身体以上に大きくなっていく。
「あ、あ、あ・・・ああああーーーーっ!」
 絶叫と共に、葵は人生初めての絶頂を味わった。ぴくぴくと細かく体を震わす葵だったが、男たちは責めを止めようとはしない。
「はっ、あ・・・ふあっ!」
「ギブアップしたらどうだ? うん?」
 相変わらず乳房と乳首を責めながら、レフェリーがギブアップを迫る。
「・・・誰が、あんたたちみたいな卑怯な男どもに!」
 快感に身を震わせながらも、葵は敗北を拒んだ。
「そうか、ギブアップしないのか。なら、こんな大勢の前でイッてしまうような厭らしい五十棲選手を、もっと気持ち良くしてやるよ」
 にやりと笑ったレフェリーが、右乳房を揉みながら乳首に吸いつく。
「はうっ!」
 乳首を舌で転がされ、思わず仰け反る。
「こちらもたっぷりと濡れてきたな」
 小四郎は秘部を撫でながら、反対の手で淫核の皮を剥き、振動を送り込む。
「あひぃぃ!」
 強すぎる刺激に、腰が跳ねる。
「うあっ、はあぁぁぁぁぁん!」
 容易く二度目の絶頂を迎えさせられた。
「こうも反応がいいと、張り切らざるを得んな」
 葵のイキっぷりに、レフェリーは硬くなった乳首を更にしこらせようと言うのか、何度も扱き上げる。小四郎も負けじと秘部と淫核を同時に責める。
「あっ、あっ、あっ、あっ・・・あああーーーっ!」
 またもあっさりと絶頂へと導かれた。その余韻に頬を染めた葵をレフェリーが見下ろす。
「ギブアップすれば、快感責めも終わるぞ」
 乳房を下から弾ませながら、レフェリーが敗北を迫る。
「・・・絶対に・・・ああっ! 絶対に、ギブアップはしない! あはあぁあっ!」
 歯を食い縛っても、喘ぎ声は洩れてしまう。
「そうかそうか、そんなに気持ち良くされたいのか。まったく、最近の女子高生は厭らしいな」
 嘲笑を浮かべたレフェリーが、またも乳房と乳首の責めを再開する。小四郎はヒップから太ももへと標的を変え、たまに秘部へ悪戯する。
(ああ・・・闘わないと・・・)
 僅かに途切れた責めに、必死に闘志を取り戻そうとする。しかし、短い間に三度も絶頂に達した身体は動いてくれなかった。更に続く男たちの欲望塗れの責めに、葵は翻弄され続けた。

「ぁ・・・ぁぁぁ・・・」
 一体何分、否、何十分嬲られたのだろうか。初めて味わわされる絶頂に次ぐ絶頂に、葵はただ喘ぐしかできなかった。Dカップの乳房が呼吸のたびに上下する。
「さて、これだけ悦ばせてやったらもういいだろう」
「うむ、そうだな」
 レフェリーと小四郎が立ち上がり、全裸の葵を見下ろしてくる。
「五十棲選手は感じやすかったな。咲本選手もかなり感じやすかったが・・・」
 レフェリーが咲本優羽奈の名を出したそのとき、葵の右手がぴくりと動いた。否、右手だけでなく、全身を震わせ、四つん這いになる。四つん這いの姿勢から膝立ちになり、左足を踏みしめ、遂には両足でリングに立つ。
「・・・おいおい、まだやるのかよ」
 鬼気迫る迫力に、レフェリーは思わず後ずさりしていた。
「・・・負けられ、ない・・・優羽奈さん、の、ため・・・にも・・・」
 乳房も秘部も隠さず、葵は構えを取った。優羽奈のために、ただその想いだけで。
 泥の中を進むような重さで小四郎へと足を踏み出し、右拳で突きを出す。否、突きと呼ぶには悲しいほどの速度だった。
「ぬん!」
「がはっ」
 小四郎の投げに宙を舞い、背中からまともに落ちる。投げの衝撃、男相手の二試合による疲労、度重なるセクハラ、数え切れぬほどの絶頂に、もう葵は指一本動かせなかった。
「これほどしぶといとはな。しっかり敗北を刻まねばわからぬか」
 葵に跨った小四郎は、葵の乳房の上に両手を置き、揉みながらレフェリーを見上げる。
「審判、カウントを」
「よし。ワン、ツー、スリー!」

<カンカンカン!>

 最早葵にフォールを返せる力など残っておらず、無情のゴングが鳴らされる。
 全裸にオープンフィンガーグローブだけしか身に着けておらず、全身は汗に塗れ、秘部は自ら生んだ愛液に縁取られている。両目は閉じられ、荒い呼吸音だけがリングに響く。そんな葵の肢体に、観客席から粘ついた視線が絡みつく。
「しかし生意気な娘だったな」
 レフェリーの感想に、小四郎も頷く。それどころか・・・
「ふむ。ならばもう少し・・・」
「そうだな。もう少しお仕置きしてやるか」
 厭らしい笑みを浮かべた二人の男が、またも葵に圧し掛かる。それに気づいた観客席がまた盛り上がっていく。
「そら、やっぱりおっぱいは気持ちいいだろう? 乳首もここまでおっ立ってるしな」
「うむ、下の口も未だ涎を垂れ流しているぞ。快感に蕩けきっているな」
 レフェリーは葵の乳房と乳首を、小四郎は秘部と淫核を、触り、撫で、舐め、弄り、揉み、弾ませ、嬲っていく。
「ふぁっ! ぁぁっ!」
 体力がもう残っていない状態だというのに、葵の身体は反応を返してしまう。
「そうだ。小四郎、こういうのはどうだ?」
 乳房を揉みながらのレフェリーの提案に、小四郎が顔を緩める。
「好き者だな、審判」
 にやつきながら一度セクハラをやめた小四郎は、葵の両脚に自らの両脚を絡める。そのまま後方へと回転し、またも大股開きの恥ずかし固めへと極めていた。
(ああ・・・ま、またこんな・・・恥ずかしい、恰好に・・・)
 しかも今度は全裸でだ。責められ続け、快感に反応し続けた秘部は隠すものすらなく、自ら生んだ愛液に塗れて光っている。その秘部へと、観客の視線が突き刺さってくる。
「どうだ感じやすい五十棲選手、こんな恥ずかしい姿勢でも気持ちいいだろう?」
 しゃがみ込んだレフェリーが、葵の顔を覗き込みながら乳首を弄る。
「ふぅんっ」
 憎い相手から受けたセクハラだと言うのに、それでも喘ぎ声を洩らしてしまう。
「こちらも気持ち良いだろう?」
 小四郎も秘部を弄り、葵を嘲る。
「咲本選手も、全裸で大股開きを経験したんだぞ。しかも今の五十棲選手みたいに悦んでくれてな」
(・・・あ、あぁ・・・)
 優羽奈の名前が遠くに聞こえる。快感に流されてしまった理性は、反抗心すら起こさせない。
「小四郎、それじゃ次は・・・」
「ああ、わかった」
 小四郎は恥ずかし固めを解くと、うつ伏せになった自分の上に葵を乗せる。
「そら、大好きなおっぱい揉みだぞ」
 小四郎は両手で葵の乳房を鷲掴みにすると、そのまま捏ね回していく。しかも自分の足で葵の股を開かせる。
「キラキラ光って綺麗じゃないか。どれ、溢れた分を掃除してやろう」
 レフェリーは葵の秘部に口をつけると、舌で舐め回しながら指で淫核を弄る。
(またこんな・・・あああぁ・・・)
 もう大きな声は出ないが、体は震え、腰が小さくではあるが跳ねる。反応を返してしまう葵の身体は男たちを興奮させ、更にセクハラへと駆り立てる。
(こんなこと・・・されてる、場合じゃ・・・ない、のに・・・)
 復讐を誓った筈のリングで、葵は全裸に剥かれ、咲本優羽奈同様に責められ続けた。敬愛する優羽奈のように、望まぬ快感に心身を焼かれながら。
(ああ・・・優羽奈、さん・・・)
 救いを求める心の声も、快楽の嵐に吹き消された。


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