【特別試合 其の四十一 国中愛由実:琉球空手】  紹介者:観戦野郎様

 犠牲者の名は「国中(くになか)愛由実(あゆみ)」。23歳。身長158cm。B86(Dカップ)・W55・H89。ショートの黒髪に真ん丸な目の可愛らしい顔、きめ細かな白肌を持った沖縄出身の女性。沖縄特有の暖かな家庭環境で育った為に純粋無垢で人を疑う事を知らない。普段は標準語で話すが気を抜くと方言になる。祖父が琉球空手を教えており、愛由実も幼少から家を出るまで鍛錬を続けていた。
 現在は都内で看護師として働いていて、その性格と可愛いさも相まって「白衣の天使」との評判も高い。担当していた患者に<地下闘艶場>の関係者が居り、純真な愛由実は騙されて出場することになった。


(患者さんのためにも、頑張らないと)
<地下闘艶場>控室。ガウンを羽織った愛由実は、静かに集中力を高めていた。

 愛由実が勤める病院の患者から相談を受けたのは、つい先週のことだ。患者はイベント会社に勤めているが、今度女子格闘のイベントを行う予定だと言う。しかし予定していた女性選手が突然キャンセルをしてきて、大慌てで代役を探しているところに事故に遭い、自分の入院でそれどころではなくなってしまった。
 聞くところによると、愛由実はかなり格闘の実力も高いらしい。これも何かの縁だと思って、自分を助けてもらえないだろうか。
 土下座でもしかねない患者の切羽詰まった様子に、愛由実は戸惑いながらも最終的には参戦を承諾していた。困った人は見捨てられない性分だし、かなり高額のファイトマネーが出る、という条件も魅力的だった。
 しかし、愛由実は気づかなかった。大きく頭を下げた患者が、邪悪な笑みを浮かべていたことを。

「とはいゆんど・・・すがいが・・・」
 用意された衣装はとんでもないものだったが、契約書にも衣装着用は明記されていたし、なによりファイトマネーが惜しい。都内での一人暮らしはなにより物入りなのだ。
「・・・ふう」
 ため息を吐いた愛由実は、また集中力を高める作業に戻った。

 花道を進むガウン姿の愛由実に、卑猥な野次が飛ばされる。用意された衣装といい、観客からの野次や厭らしい視線といい、どうも普通の格闘イベントとは思えない。
 愛由実は少しずつ後悔の念を膨らませていった。

「え? 男?」
 リングに待っていたのは男性レフェリーと、覆面を被った異様に両腕の長い男性選手だった。女子の格闘イベントだと聞いていたので、当然のように対戦相手も女性だと思っていた。
(直前で変更になった、とか?)
 無理やり理由を探すが、後悔はどんどんと大きくなっていった。

「赤コーナー、『地に潜む蜘蛛』、マスク・ド・タランチュラ!」
 対戦相手はマスク・ド・タランチュラだった。<地下闘艶場>の名物選手であり、長いリーチを誇るその腕で予想外の技を繰り出す。
「青コーナー、『美ら海の天使』、国中愛由実!」
 自分の名前がコールされ、愛由実はガウンを脱いだ。愛由実が身に着けていた衣装は、ミニスカートのナース服だった。太ももも露わなミニスカートだけでも酷いが、胸元に丸い穴が開けられ、Dカップの胸の谷間まで覗いている。オープンフィンガーグローブと相まって、まるで特殊な店の店員のようだ。
 観客の視線を感じ、愛由実は無意識に胸元とミニスカートの裾を隠していた。

「さて、それじゃボディチェックを受けてもらおうか」
 マスク・ド・タランチュラのボディチェックをさっさと終えたレフェリーが、今度は愛由実の前に立つ。
「・・・はい」
 その欲望に満ちた視線が嫌だったが、仕方なく頷く。しかし、次の瞬間レフェリーを突き飛ばしていた。
「ど、ど、どこを・・・!」
 レフェリーがいきなり胸を触ってきたからだ。
「なんだ、ボディチェックの最中だぞ? それとも、ボディチェックを受けないと言うのか?」
 突き飛ばされた箇所を払ったレフェリーが、愛由実を睨んでくる。
「ボディチェックを拒むと言うなら、ファイトマネーは払えないぞ。それどころか違約金が発生するからな」
「違約金、って?」
「契約書に書いていただろう? なんなら今から確認するか?」
 自信満々に言い切られ、愛由実は怯む。
「さ、どうする?」
「・・・ボディチェックを、受けます」
 違約金が幾らかわからないが、少額ではないだろう。ならば、嫌でもボディチェックを受けるしかない。
「いいだろう。今度こそ動くなよ?」
 言うが早いか、レフェリーが両方のバストを鷲掴みにしてくる。そのまま欲望のままに捏ね回す。
「くっ・・・」
「おいおい、勘違いするなよ。これはボディチェックだからな」
 本当はそれが建前でしかないことがレフェリーの表情からわかる。
(このふりむん・・・)
 それでも愛由実は拳を握り込み、不快なボディチェックを耐える。
「そんなに嫌がらなくてもいいじゃないか、ええ?」
 にやつくレフェリーは、尚もバストを揉みながら、愛由実の顔を覗いてくる。目を合わすのも嫌で視線を逸らした愛由実だったが、バストを揉まれる不快感は消えない。
「どれ、ここには何か隠してないか?」
 レフェリーが左手でバストを揉んだまま、右手の指を胸の谷間に差し入れてくる。
「ええっ!?」
「ボディチェックは念入りにしないとなぁ」
 愛由実の驚きなど無視し、レフェリーは愛由実の谷間の感触を味わう。
「・・・よし、次に行くか」
 ようやくバストから手を放したレフェリーだったが、今度はしゃがみ込み、ミニスカートの中を覗き込む。
「ほお、青か」
「っ!」
 下着の色をわざわざ口にされ、愛由実の表情が強張る。
「どれ、ここには何も隠してないか?」
 下着の上から秘部を弄ってくる。
「なっ! そこは!」
「女にしかない凶器の隠し場所だ。ここも調べないとな」
 愛由実の秘部を撫でながら、レフェリーが笑う。その下品な笑みに殺意が沸きかけた愛由実だったが、違約金とファイトマネーのことを思い、必死に耐える。
 秘部を這いずり回っていたレフェリーの手が、ヒップと太ももへと移動する。そのままねっとりと撫で回してくる。抵抗も封じられた愛由実は、ただ耐えるしかできなかった。

「どうやら何も隠してないようだな」
 ようやく愛由実から離れたレフェリーが軽く頷く。
「それじゃそろそろ試合を始めるか。ゴング!」

<カーン!>

「愛由実ちゃん、南国出身だって聞いたけど、肌が白いよな〜。美白してるのかい?」
 マスク・ド・タランチュラの問い掛けなど無視し、両手の指をピンと伸ばした構えを取る。
「なんだよ看護師さん、お喋りにも付き合おうぜ」
「そんな気に、なれないわよっ!」
 滑るような歩法から放たれた前蹴りが、マスク・ド・タランチュラの腹部に突き刺さる。
「ぐぉっ! ・・・だけど、ほい」
「っ!」
 痛みを堪えたマスク・ド・タランチュラが長い腕を伸ばし、愛由実のミニスカート摺り上げさせていた。そのため、愛由実の青い下着が観客にも見えてしまう。
「な、なんてことするのよ!」
 反射的にスカートを元に戻す。
「隙ありだぜ!」
 マスク・ド・タランチュラの長い腕が愛由実の両脚を払う。
「あっ?」
 バランスを崩し、うつ伏せで倒れ込む。立ち上がろうとついた両手の手首が、いきなり掴まれた。
「逃がさないぜぇ」
 マスク・ド・タランチュラが背後から圧し掛かってきたかと思うと、いきなり視界が反転し、天井を向かされる。
「ちょっと待って、これって・・・!」
 愛由実はマスク・ド・タランチュラの股間に跨り、両腕を後方に極められるという変形のロメロスペシャルに捕えられていた。股間からは膨らんだ男のモノの感触が伝わり、穴の開けられた胸元を前方に突き出させられている。
「な、なんて恰好させるのよ!」
「おいおい愛由実ちゃん、あまりあそこを擦りつけないでくれよ。気持ち良くて出しちまいそうだ」
 そんな返しをされると、下手に動けなくなってしまう。
(いらー! んれー、ちゃーすが・・・)
 どうやってこの技から脱出するか考えていると、目の前に膝立ちとなったレフェリーが居た。
「どうした国中選手、ギブアップか?」
 すると、またもバストを鷲掴みにしてくる。
「ちょっと、今は試合中よ!」
「ああ、だから気つけをしてやろうと思ってな」
 両方のバストを揉み回しながら、レフェリーがとんでもない言い訳をしてくる。
「いやー、愛由実ちゃんのアソコの感触が・・・おっと」
「え、ちょっと、ええっ!?」
 マスク・ド・タランチュラの股間が硬くなったのが、レスリングタイツと下着越しではあるがはっきりとわかる。
「な、んなっ・・・」
「柔らかいなー、愛由実ちゃんのアソコ。俺の息子もそう言ってるぜ?」
 愛由実の上半身を揺することで、マスク・ド・タランチュラは自分の股間を愛由実の秘部に擦りつける。
「ギブアップしてもいいんだぞ?」
 レフェリーは相変わらずバストを揉みながら、にやけた笑みを浮かべる。
(ああもう、このふりむんども!)
 しかし下手に動けない愛由実には、耐えるしか選択肢がなかった。
「これ以上は本当にヤバいな」
 愛由実の手首を放したマスク・ド・タランチュラが今度は愛由実の太ももを抱え、愛由実を腰からくの字に折る変形の逆海老固めへと移行する。
「おー、愛由実ちゃんのパンツがはっきり見えるぜ」
 愛由実の下着をじっくりと見つめていたマスク・ド・タランチュラだったが、それだけでは終わらなかった。
「どれ、愛由実ちゃんのお味は?」
 いきなり舐められた。
「ひぃぃぃっ!?」
 そのおぞましい感触が、逆に愛由実へ力を与えた。
「この・・・ふりむん!」
 痛みを堪えて腕立て伏せの要領で上半身を無理やり起こし、マスク・ド・タランチュラの左足の甲に肘を落とす。
「あぎゃっ!」
 リングシューズの上からだったが、硬い肘での打撃は効いた。
「いつまでもさわゆんな!」
「ぬおっ?」
 ヒップを揉み回していたレフェリーを突き飛ばし、素早く立ち上がる。
「ちっ!」
 遅れてマスク・ド・タランチュラも立ち上がるが、その腰は何故か引けている。
「ちぇいさーっ!」
 中段に伸びたと見えた前蹴りは上段へと変化し、マスク・ド・タランチュラの顎を蹴り抜いていた。腹部に力を入れていたマスク・ド・タランチュラはこの一撃に脳を揺らされ、膝から崩れ落ちた。

<カンカンカン!>

 危険な倒れ方に、慌ててゴングが鳴らされる。
「・・・ふぅ」
 ようやく終わったセクハラ試合に、愛由実は思わずため息を吐いていた。ずり上がったミニスカと下着の位置を直す姿に、観客席から卑猥な野次が飛ぶ。
 思わずそちらを睨んだ愛由実だったが、さっさとリングを下りようと思い直す。しかし、その前にレフェリーが立った。
「どこに行こうというんだ、国中選手」
「どこって、もう帰るんですけど」
 もう口も利きたくないが、一応言葉だけは返す。
「試合中にレフェリーに手をあげたんだ、もう一試合してもらうぞ」
「ひゃー、がんまりいゆんどわじゅんど!」
 怒りのあまり沖縄方言でまくしたててしまい、レフェリーのぽかんとした表情に一度空咳をする。
「そんなふざけたことを言わないでください。怒りますよ」
「怒ってもいいがな、違約金はどうする気だ?」
「ぐっ・・・」
 金銭面を言い立てられると弱い。黙ってしまった愛由実をにやにやと見ていたレフェリーだったが、次なる選手を呼ぶよう黒服に伝えた。

 やがて、新しい選手が姿を現す。やはり男性選手で、でっぷりと腹が出ている中年男だ。頭部は寂しく、頂上は簾模様となっているのが哀れだ。
 しかし、その選手に贈られる声援は大きかった。それに気づいた愛由実は、緩みかけた気を締め直した。

「赤コーナー、『黄玉』、山森黄一郎!」
 新しい対戦相手は山森(やまもり)黄一郎(こういちろう)だった。太鼓腹をぽんぽんと叩き、愛由実をじっくりと見つめてくる。
「青コーナー、『美ら海の天使』、国中愛由実!」
 その視線に不快感を感じる愛由実だったが、オープンフィンガーグローブごと手首をほぐし、次戦に備える。
 レフェリーは山森のボディチェックをさっさと終えると、今度は愛由実の前に立つ。
「さ、ボディチェックだ」
「またボディチェック!?」
 予想外の言葉に、愛由実は声を荒げる。
「そうだ。山森にもしたんだ、国中選手にもしないと不公平だろう?」
「不公平も何も、さっき受けたじゃない!」
 このレフェリーは何を考えているのだろうか。怒気も露わな愛由実の権幕に、レフェリーが眉を顰める。
「ボディチェックを受けないと言うんだな、わかった。だが、後でペナルティを与えるからそのつもりでな」
 不穏な言葉を残し、レフェリーはゴングを要請した。

<カーン!>

(何かと言えばペナルティ、って・・・ほんとにふざけたレフェリー!)
 まともにレフェリングをしない、セクハラはしてくる、しかも勝手な判断でペナルティを加えてくる・・・あまりにも勝手なレフェリーに、愛由実は頭に血を昇らせていた。
 そのため、反応が遅れた。山森の笑みが目前にあった。
「ふぉほほ」
「っ!」
 意外な速度の山森の手を弾く。否、弾いた筈の左前腕に、山森の指が食い込んでいた。
「くっ!」
 腕の捻りから突きに繋げるが、もうそこに山森は居ない。
(あれ?)
 突然違和感が愛由実を襲った。
(なにか、おかしい・・・)
 痺れ、とは違う。表面を突かれた筈なのに、身体の奥底にまで毒を撃ち込まれたような感覚。

 山森は、「対女拳」という異質な拳法の使い手だった。独特の理論からなる淫経絡を突き、女性の快感をコントロールするのだ。

 体調の異変に焦る愛由実だったが、更なる試練が襲いかかる。
「いってって・・・あら、意識が飛んでたか?」
 顎を擦って立ち上がったのは、先程の試合で倒したマスク・ド・タランチュラだった。しかも敗北の事実などなかったかのようにファイティングポーズを取り、愛由実を見つめる。
「レフェリー、この人!」
「ああ、さっきボディチェックを受けなかった分のペナルティに丁度いいな。二人共倒せば国中選手の勝利にしよう」
 このレフェリーの言葉に唖然とする。セクハラだけでなく、ここまで卑怯な試合を強要してくるとは。
「ふぉほほ」
 マスク・ド・タランチュラに気を取られ、山森の接近を許してしまう。足刀蹴りはぎりぎりで横に躱され、太ももの淫経絡を突かれてしまう。
「あっ!?」
 股間にぴりりとした刺激が奔る。痛みではない、はっきりとした快感だった。蹴り足を戻せずにそのまま落としてしまい、今度は右上腕部の淫経絡を突かれる。
「あはぁっ!」
 棒立ちとなった愛由実の後ろの回り込んだ山森が、左肩甲骨の右横を突く。
「うあぁっ!」
 背後に振った手刀は当たらず、逆に手首に一撃をもらう。
「こっちも忘れちゃ駄目だぜ愛由実ちゃん!」
 山森に集中していたため、マスク・ド・タランチュラのタックルをまともに食らう。
「くうぅっ!」
 だが、痛みが一時的に快感を払った。縦肘をマスク・ド・タランチュラの後頭部へと落とし、怯んだ隙にタックルから逃れる。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・」
 短い間にごっそりと体力を削られていた。それでも震える足を叱咤し、構えを取る。
「あいてて・・・どうも愛由実ちゃんとは相性が悪いぜ」
「ふぉほほ、では、私が主動で攻撃しましょう」
「しょうがねぇ、頼むわ」
 後頭部を撫でているマスク・ド・タランチュラの前に山森が立つ。
(この人に触られただけで変になっちゃう。触らせずに倒さなきゃ!)
 呼吸を整え、前足の脱力、後足でのリングの蹴り、縦拳での突きを同時に行う。
「ふぉっ!?」
 拳が山森の顔面を捉える。
(浅い!)
 体力が落ちていたことで、もう半歩の踏み込みが足らなかった。
「ちぇいっ!」
 続けて放った膝蹴りに普段の切れ味はなかった。軽々とすり抜けられ、鎖骨の中心の淫経絡を突かれてしまう。
「あああっ!」
 絶叫と共に膝から力が抜ける。四つん這いとなった愛由実の左右の肩甲骨へ目掛け、山森の指が食い込む。
「くああっ!」
 紛れもない快感に、どしゃりとリングに突っ伏す。
「あっ、はっ、はぁぁ・・・」
 突然生じた快感を逃そうと、荒い息を吐く。
「どうした国中選手。大丈夫か?」
 声を掛けてきたレフェリーが、うつ伏せの身体を引っ繰り返す。
「随分調子が悪そうだな。一度服を脱いだらどうだ?」
 レフェリーが上着のボタンに手を掛け、一つずつ外していく。すべてのボタンが外されると、パンティと同じ色のブラが姿を現す。
「や、やめ、て・・・」
「まあまあ愛由実ちゃん、診察されるときは脱ぎ脱ぎしようぜ」
 愛由実の両手を押さえたマスク・ド・タランチュラが、空いた手で上着を脱がしてしまう。
「さて、悪いのはどこだ?」
 わざとらしく呟いたレフェリーは、ブラの上からバストを揉み始める。
「そこは関係な・・・んんっ!」
 山森によって高められた官能は、ブラの上からの刺激も快感と感じてしまう。
「おや、変な声が出るな。これは、もっとしっかり調べないとな」
 レフェリーはブラを掴むと、勢いよく上にずらす。ぶるり、とDカップの乳房が揺れながら現れ、男たちの視線が集中する。
「なんだ、もう乳首が硬くなってるじゃないか」
 愛由実の立ち上がっている乳首を見て、レフェリーが笑う。
(そんな・・・まだ直接触られたわけじゃないのに)
 愛由実本人は山森の「対女拳」、淫経絡の効果など知りもしないため、自らの身体に起こった淫らな変調に戸惑うしかなかった。
「これは、国中選手の乳首が触って欲しい、と言ってるんだな」
「な、なに言って・・・ふあっ!?」
 レフェリーが乳首に触れた瞬間、桃色の電流が迸った。
(な、なに、今の・・・)
 今まで感じたことのない官能に戸惑う。
「気持ち良さそうだな。やっぱり触って欲しかったんだろ?」
「誰もそんなこと言ってな・・・ひああっ!」
 レフェリーに乳首を弄られるだけで、やはり快感を得てしまう。
(おかしい、こんなの、絶対おかしい!)
 焦る愛由実だったが、レフェリーの乳首責めに喘ぐしかできない。
「そうか、国中選手は暑いんだな。よし、服を脱がしてやろう」
 レフェリーの合図に、マスク・ド・タランチュラが上着を脱がす。
(そこまでするの!?)
 愛由実が驚いている間に、ブラのホックが外され、脱がされる。これにより、愛由実は腰から上が丸出しにされてしまった。
「まだ暑いだろうからな、これも脱がしてやろう」
 ミニスカートのホックが外され、するりと脱がされる。
「なにしてるの、脱がすなんて!」
「なんだ、脱がし過ぎたら寒くなったのか? よし、今度は暖めてやろう」
 愛由実の抗議に、レフェリーは惚けた答えを返す。と同時に、男たちのセクハラが始まる。
「やだ、触らな・・・んああ! はぁぅっ!」
 淫経絡を突かれたことで高められた性感が、男たちの責めによって更に感度を上げていく。
「そうだな、ギブアップするか、国中選手?」
 レフェリーの問いかけに考える。
(・・・ギブアップしたくない。でも、このままだと全裸にされちゃうかも・・・)
 迷う愛由実の耳に、レフェリーの言葉が続く。
「今ギブアップしたら、ファイトマネーは払えないけどな」
「そんな!」
 ファイトマネーが支払われないとしたら、自分が何のためにこんな恥ずかしい目に遭わされているのかわからなくなってしまう。
(ファイトマネーのために・・・でも、ああっ! このまま恥ずかしいことされ続けるのは・・・・っ!)
 喘ぎながら身を捩るセミヌードの愛由実に、リング内外の視線が数え切れぬほど絡みつく。
「残ったのはこれだけだな」
 レフェリーがとうとうパンティにまで手を伸ばす。
(駄目よ、最後の一枚なのに!)
 手で押さえようとするが、マスク・ド・タランチュラに押さえ込まれた両手はびくともしない。
「もう諦めろよ、え?」
 パンティを掴んだまま、レフェリーがにやにやと笑う。
「いや・・・これだけは・・・!」
 必死に内股となり、太ももでパンティを挟みつける。
「無駄な努力だがなぁ。おい、山森」
「ふぉほほ、では」
 山森が脇腹の淫経絡を突く。
「ふあああっ!」
 快感が一気に押し寄せ、太ももだけではなく全身の力が抜ける。
「それじゃ最後の一枚、もらっていくぞ」
 レフェリーがパンティを引っ張り下ろし、愛由実はとうとう全裸とされてしまった。
「ああ・・・こんな・・・ここまでするなんて・・・」
「ここまで? 甘いなぁ愛由実ちゃん、ここからが本番だぜ?」
 マスク・ド・タランチュラの不吉な物言いに、愛由実の背筋が寒くなる。
「それじゃ皆、いつものやつ・・・いくぜ!」
 マスク・ド・タランチュラの宣言に、観客席から盛大な歓声が起こる。その歓声に満足気に頷いたマスク・ド・タランチュラは、愛由実を自分の胸板にもたれかからせ、両腕を万歳させるようにして左腕一本で抱え、両脚で愛由実に開脚させる。
 マスク・ド・タランチュラのフェイバリットホールド・<タランチュラホールド>により、愛由実は全裸での大股開きを観客に視姦されてしまう。
「ああ・・・こんな、酷い・・・」
 自分が取らされた格好に身を捩る。しかしがっちりと決まった関節技に身動きすら厳しく、大事な部分を隠すこともできない。
「愛由実ちゃん、見てみな。お客さんが愛由実ちゃんを厭らしい視線で見つめてるぜ」
 マスク・ド・タランチュラの言葉に顔を上げると、男たちの視線が愛由実の股間へと集中している。
「やっ、見ないでよ! 駄目だってば、ふりむん!」
 隠そうとした手は動かず、膝も秘部を隠せるまでには曲がらない。
「見られたくないのか、なら、俺が隠してやろう」
 にやついたレフェリーが、右手で愛由実の秘部を覆い、そのまま揉み込んでくる。
「んんっ、触らないで!」
「そうか、なら見せてもらおう」
 揉み込みをやめたレフェリーは、秘裂に指をあてがい、左右に開く。
「いやぁぁぁーーーっ!」
 愛由実の絶叫が響き渡る。全裸にされただけでなく、膣の奥まで晒されるなどとは想像の埒外だった。
「どうやら国中選手は見られるのも嫌なようだ。仕方がない、触るだけにしておこうか」
 レフェリーが秘裂と淫核に触れ、右手の指で嬲り始める。
「うっ、くっ、ううっ・・・んああっ!」
 タランチュラホールドで身動きを封じられ、淫経絡で高められた快感に、愛由実はただ喘ぎ、嬌声を上げるしかできない。
「感じたくないならギブアップするんだな。そのときにはファイトマネーを諦めてもらうが」
「いやぁ・・・ああっ! そんなの、選べない・・・いうんっ!」
 快楽による思考の混乱が、考えを纏めさせてくれない。
(でももう、このままじゃ・・・)
 唇を噛んだ愛由実は、快感に喘ぎながらもゆっくりと口を開く。
「・・・ギブアップ・・・ぅぁぁっ、もう、ギブアップするからぁ・・・」
「ふぉほほ、聞こえませんなぁ」
 愛由実の泣き声にも山森が冷たく返し、淫経絡を突いて更に快感を与えてくる。
「ひぐっ! ううあぁ!」
「おっ、愛由実ちゃん乳首がビンビンになってるぜ? よっぽど気持ちいいんだな」
 ここまでセクハラを控えていたマスク・ド・タランチュラも我慢できなくったのか、愛由実の左乳房を揉みながら乳首を抓んでくる。
「触るだけじゃ物足りなさそうじゃないか。それなら・・・」
 愛由実の股間の前へと腹這いになったレフェリーは、なんと愛由実の秘部に口をつけた。そのまま秘裂を舐め回してくる。
「あああっ! 駄目、やめて、感じ過ぎちゃ・・・ふあああああん!」
 淫経絡で高められた官能、延々と続くセクハラに、愛由実はとうとう絶頂へと導かれた。
「おっと、凄い反応だな愛由実ちゃん。これは張り切ってしまうぜ」
 一度唇を舐めたマスク・ド・タランチュラが、乳房を揉みくちゃにしてくる。
「こっちも洪水状態だ。やれやれ、舐め取るのが大変だ」
 一度顔を上げたレフェリーが、再び秘部を舐め責めにする。
(このままじゃおかしくなっちゃう! わたしぃ、おかしくなっちゃうぅ!)
 自分が変えられてしまう。そのことへの恐怖がファイトマネーへの執着を吹き飛ばす。
「もう、もう負けを認めるからぁ! お願いよ・・・もうやめてぇ!」

<カンカンカン!>

 愛由実の哀願に、ようやくゴングが鳴らされる。しかし、タランチュラホールドは解かれなかった。
「も、もう、負けを認めたのに・・・あああっ!」
「まあいいじゃないか。お客さんも、愛由実ちゃんの苛められる姿を喜んでるんだからさ」
「そうだぞ国中選手。お客さんに楽しんでもらうのもファイトマネーに含まれているからな」
「ふぉほほ、もう少し楽しませてもらいますぞ」
 マスク・ド・タランチュラが乳房を、レフェリーが秘部を弄りながら笑う。山森も含み笑いを洩らしながら、時折淫経絡を突いて愛由実の快感をコントロールする。
(わたし、もう負けを認めたのにぃ! ひうぅっ、なんでまだこんなに・・・ふあああんっ!)
 全裸に剥かれ、大股開きで固定され、無理やり官能を引き出され、男たちの欲望のままに身体を弄られる。それでも嬌声を上げてしまう。暴れることでもできればまだ快感を紛らわせられるのだろうが、タランチュラホールドでがっちりと捕らえられている状態では発生する快感をまともにぶつけられてしまう。
(ああっ、また・・・)
「うあああああん!」
 またもや達する。
「ふああああっ!」
 またも。
「あぐっ、あうっ・・・あああああっ!」
 またも。
 愛由実が何度達そうとも、否、達すれば達するほど男たちの責めが激しくなる。愛由実が何度達しようとも、何度哀願しようとも、絶頂地獄は終わりを見せなかった。

「あ、ふぁっ、ぁぁぁ・・・」
 幾度もの絶頂を迎えさせられ、愛由実はもう息も絶え絶えだった。その様子に気づいたのか、レフェリーが秘部への舐め責めをやめる。
「山森、そろそろ国中選手を盛大に悦ばせてやったらどうだ?」
「ふぉほほ、そうですなぁ。では・・・」
 一度太鼓腹を叩いた山森が、愛由実の両脇の淫経絡を突く。
「ひぐっ!」
 すぐさま鎖骨の下を突く。
「はぎっ!」
 そこまでで一度溜めを作る。
「あ、ああ・・・ぁっ」
「では・・・ここでとどめ、ですぞ!」
 山森のぴんと伸ばされた人差し指が、愛由実の痛々しいほどに立ち上がった乳首へと埋没する。その瞬間、愛由実の体内で官能が爆発した。
(こんな、こんなぁ・・・! もうだめ、またイッちゃう・・・!)
「わたし・・・イ、イクぅぅぅぅぅぅ・・・っ!」
 凄まじい絶叫を放った愛由実は、数秒体を震わせたあと、がくりと首を垂れる。秘部からは愛液が迸り、キャンパスを濡らす。
「おろ? 気を失っちゃったか」
 ぐったりした愛由実に気づいたマスク・ド・タランチュラが、ようやくタランチュラホールドを解く。しかし・・・
「さて、今度は俺がたっぷりと楽しませてもらうぜ。文句はないよな?」
「ふぉほほ、存分にどうぞ」
 マスク・ド・タランチュラがレフェリーと山森に告げ、山森が鷹揚に頷く。
「へへ、それじゃ・・・」
 全裸の愛由実に圧し掛かったマスク・ド・タランチュラは、愛由実の左耳を舐めながら右乳房を揉み、秘部を弄り回す。
「これだから<地下闘艶場>はやめられないんだよな。愛由実ちゃんみたいな色白美人を好きにできる、こんな興奮することはなかなかないぜ」
 愛由実の身体を玩びながら、マスク・ド・タランチュラが独り言を洩らす。
 失神したままの愛由実は、オープンフィンガーグローブ以外一糸纏わぬ肢体を観客に視姦されたまま、マスク・ド・タランチュラに身体を玩ばれ続けた。


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