【特別試合 其の四十二 榊式壬:喧嘩殺法 & 栄面伊沙羅:マーシャルアーツ】  紹介者:JJJファン様

 犠牲者の名は「榊(さかき)式壬(しきみ)」。18歳。身長172cm。B94(Gカップ)・W63・H90。
 細い眉に切れ長の目。黒のロングヘア。前髪を左右に分け白い額を出している。特攻服に身を包んだ立ち姿には、誰にも支配されないプライドの高さが滲み出ている。
 名高いレディース暴走族の総長。鍛えた男すら退ける強さの持ち主。しかし弱いものいじめはせず面倒見がいいので、家や学校に居場所がない夜の町の少年少女には慕われている。荒摩(あらま)琉香(るか)もその一人で、以前チームに誘ったこともある。
 チームの仲間を守るために闘った前回の試合で徹底的に嬲り尽くされ、チームの総長としてのプライドをずたずたにされた。
 傷心の式壬に、再びの参戦要請、否、命令が下された。


「・・・世話掛けるな」
<地下闘艶場>の控室。ガウンを羽織った美貌の持ち主は、二度目の参戦となる式壬だった。式壬へと微笑むのは、もう一人のガウン姿の美少女だった。
「貴女の世話を焼くのが私(わたくし)の役目ですもの。世話を掛けてもらうのも嬉しいんですのよ?」
 美少女の優しい笑みに、式壬は苦い笑みを返した。

 もう一人の犠牲者の名は「栄面(えいめん)伊沙羅(いさら)」。18歳。身長172cm。B89(Dカップ)・W65・H95。
 光沢ある黒髪を顎まで伸ばしたおかっぱ頭の美少女。前髪は額を隠すように眉の上で切り揃えている。マッチ棒が乗りそうな長いまつげの伸びた瞼は、閉じているかのようで常に微笑んで見える。肌は落ちた水滴を弾き返すような張りで、母性を感じさせるふくよかな肢体、特に発育の良さが顕著なヒップは衣服がはち切れんばかりで、男には垂涎ものの魅力だ。
 その肉体美のみならず優雅な佇まいに謙虚な物腰、丁寧な口調と、第一印象は淑やかなお嬢様だが、実は榊式壬のチームにおけるNo.2。年少のメンバーにとって式壬が「姐さん」なら彼女は「お姉さん」。
 頭の切れる知能派で普段は裏方として仲間のサポート役が主だが、武術や格闘技の技術に存在する裏技や路上特有の奇襲攻撃を多用するテクニシャンタイプが相手の時には彼女の出番となる。
 人柄、実力ともに底知れぬものを持ち、腕力体力勝負の式壬以上のダメージを負わされることもあるため、暴走族の間では彼女こそ真のトップだと恐れる者もいる。だが伊沙羅自身は仲間のために怯むことなく突き進む式壬こそ総長にふさわしいと思っており、式壬も自分と正反対の視点を持つ彼女を深く信頼していた。

 式壬が警察に拘留され、<地下闘艶場>サイドから接触を受けていた頃、伊沙羅は小数の精鋭と共に他県の同盟相手への援軍に出ていた。式壬と伊沙羅、チームのツートップがどちらも欠けていればこそ敵チームは結託し、式壬たちのメンバーを襲ったのだった。
 仲間からの知らせに伊沙羅が急ぎ帰還したのは、式壬の試合が終了した直後だった。式壬と同じく琉香から<地下闘艶場>のことを聞いていた伊沙羅は、式壬が敗北を喫し、再び淫らな試合への生贄として身柄を拘束されている事を調べ、裏の情報網を使って自身から出場を打診した。
 伊沙羅はただ参戦したいと言うだけでは終わらせなかった。勝利の際には式壬の解放と、彼女の試合の勝利と同じ報酬を要求し、<地下闘艶場>側にこれを承諾させている。ただし、敗北の際には式壬と同様の身に置かれるという条件が課されてしまった。

 式壬の敗北に味を占め、伊沙羅の痴態をも期待する不良たち。
 新たな趣向を用意した方が都合が良い<地下闘艶場>サイド。
 式壬とチームの仲間を救おうとする伊沙羅。
 三者の利害の一致から、式壬と伊沙羅のタッグマッチが組まれることになったのだ。勿論、二人の美少女の痴態を一番の目的として。

「そろそろ時間だ。準備はいいな」
 ノックも無しに扉が開けられ、首に漆黒のチョーカーを巻いた銀髪の美女が姿を現す。黒服を着た彼女は「御前」の側近であるナスターシャ・ウォレンスキーだった。式壬は監禁中に、伊沙羅は交渉時に面識があるので、このロシア美女が日本語に堪能でも驚きはしない。
「・・・ああ」
 式壬が短く返し、伊沙羅もすっ、と立ち上がる。ガウンを羽織った二人は視線を合わせると、オープンフィンガーグローブ越しに拳を打ち合わせた。

 花道に姿を現した二人に、観客席から凄まじいばかりの野次、指笛、視線が飛ばされる。
「おっ、マジで二人揃ってやがるぜ」
「式壬ぃ、今日もエロい姿期待してるぜぇ!」
「伊沙羅ちゃーん、お前も○○○してもらえや!」
 観客席の最前列に、敵チームの不良どもが席を占めている。厭らしい視線を飛ばして汚い言葉を吐き、式壬と伊沙羅の肌と耳を汚してくる。
(前も居やがったな、あいつら)
 式壬が眉を顰める。前回、リング下に落下したときには不良どもにもセクハラを受けている。
(だけどな・・・)
 今回は、独りではない。隣に最も頼りにする相棒が居る。
「絶対に勝つぞ、伊沙羅」
「ええ、式壬。私たち二人のタッグマッチを組んだこと、後悔させてあげましょう」
 ちらりと視線を交わした式壬と伊沙羅は、式壬には二度目の、伊沙羅にとっては初めてのリングへと足を踏み入れた。

「赤コーナー、『ザ・ニンジャ』、小四郎! &マンハッタンブラザーズ1号!」
 忍者装束の小四郎は、前回の試合で式壬を嬲った一人だった。マンハッタンブラザーズ1号のコールを受けた覆面選手の横には、まったく同じ格好をした男性選手が立っている。
「青コーナー、"ツインタワーレディース"、榊式壬! &栄面伊沙羅!」
 コールを受け、長身美女の二人は同時にガウンを跳ね除ける。その下にあったのは、ビーチバレーを想起させる白いスポーツタイプのビキニだった。しかしスポーツタイプとは違う部分があり、ブラは背中側の連結部が、ボトムはサイド部分が紐となっており、簡単に外されてしまいそうだ。
 式壬はGカップのバストを覆うカップ部分が小さめで、乳房のほとんどを隠せていない。
 伊沙羅は式壬ほど小さくはないが通常の物よりも面積の小さいブラを身に着け、下半身にはチームのエンブレムがデザインされたパレオを纏っている。
 オープンフィンガーグローブを装着した肌も露わな美少女二人の肢体には、リング内外から粘つく視線が遠慮も無しに飛ばされていた。

「久しぶりだな、榊選手」
 にやついた男性レフェリーが、式壬の身体をじろじろと眺め回してくる。
「こっちの栄面選手は初めてだが・・・」
 伊沙羅の美貌に一瞬見とれたレフェリーだったが、一度後ろを向いて咳払いし、すぐ視線を戻して唇を歪める。
「さ、ボディチェックを受けてもらおうか」
「テメェ・・・こんだけ小せぇ水着を着させといて、また触ろうってのか」
 前回のセクハラボディチェックを思い出してしまい、式壬が歯を食い縛る。
「勿論だ。ボディチェックは義務だからな、受けてもらわなきゃ試合を始められないぞ」
 にやつくレフェリーは言外に、ボディチェックを受けなければ没収試合にすると告げた。
「わかりました、私から受けますわ、審判さん」
 式壬の様子に、伊沙羅が一歩前に出る。
「栄面選手は物分りがいいな。どれ・・・」
 レフェリーが手を伸ばそうとした瞬間だった。レフェリーの背後から、白い影が現れた。先程のレフェリーの目配せに気づき、小四郎がゴングの前に奇襲を掛けたのだ。
 だが、伊沙羅は動じなかった。小四郎が伸ばしてきた腕を冷静に掴み、瞬時に手首を極める。素早く間合いを詰めつつ、小四郎の体をブラインドとしてレフェリーに見えない角度で金的に膝を刺す。
「おごっ!」
 痛みに体が浮いた小四郎を背負い投げする、と見せかけ、伸ばした小四郎の肘を自分の肩を支点にへし折る。
「ぎゃああああっ!」
 リングに小四郎の悲鳴が響き渡る。有り得ない角度に曲がった小四郎の肘に、すぐに担架が運び込まれ、小四郎を退場させていく。小四郎に続いて奇襲を掛けようとしていたマンハッタンブラザーズがまるで動けなかった早業だった。
「まずは忍者さん、仕留めましたわ」
 伊沙羅の鮮やかな手並みに観客はざわめき、相変わらずの容赦の無さにワルたちは顔色を変えていた。

 伊沙羅が闘う際は武術から学んだ急所打ち、極め技、関節を極めての投げ、締め技等を多用する。本人曰く「たしなむ程度ですよ」だが、様々な打撃技や投げを使いこなし、果ては中国武術の発勁、化勁、寸勁を始めとした高等技術すら習得している。
 武器を使う相手には鉄パイプ等を使用しての杖術で対抗してみせる。それらの技術を冷静に駆使し、相手を叩きのめす際も笑みは崩れない。
 伊沙羅がある意味、式壬以上に恐れられるのもむべなるかな、といったところか。

「小四郎の奴、やるならやるで成功させなきゃいかんだろ」
 舌打ちしたレフェリーが、リング下の黒服を呼び寄せる。小声での相談はすぐにまとまったのか、黒服がマイクを持つ。
「今の小四郎選手の行為ですが、試合前の攻撃の反則を取り、失格とします」
 これには観客席からブーイングが上がる。
「代わりの選手をすぐに入場させるので、それまで暫しお待ちください」
 しかし、続けての黒服の発表に拍手が起きる。
「普通でしたら、二対一での闘いになりますのに」
「そんな常識、ここでは通用しねぇんだ」
 伊沙羅の不服そうな独り言に、式壬が噛みつくように返す。
「さて、それじゃ改めてボディチェックを受けてもらおうか」
 あれだけのことがあったと言うのに、レフェリーは尚もボディチェックを強要してくる。
「あっちが反則してきたんだ、ボディチェックはもういいだろうが」
「ボディチェックを受けないと、試合が成立しないぞ。この先も監禁生活を送りたいのか?」
 レフェリーのはっきりとした脅迫に、式壬が歯を軋らせる。レフェリーの強気には、絶対的に有利な立場にある余裕があった。
「・・・わかりましたわ。どうぞ、ボディチェックを」
 ここまでボディチェックを受けさせようとするのだ、受け入れなければ試合すらできないだろう。素早く計算した伊沙羅は、レフェリーの前に自らの身体を差し出す。
「よし、栄面選手からボディチェックを行うか」
 下卑た笑みを浮かべたレフェリーが、剥き出しの肩を撫でていく。
「榊選手と違って、むっちりとした肉付きだな」
 そのまま伊沙羅の腕に沿って手を下ろし、腰を撫でてから、躊躇なく伊沙羅のバストに手を這わす。形を確かめるように撫で回してから、両方のバストを揉み始める。
「榊選手に比べれば少し小さいが、いい形と張りをしてるじゃないか」
「・・・」
 伊沙羅の表情は変わらない。しかし、式壬には伊沙羅が感情を抑えているのわかる。伊沙羅の内面になど気づきもしないレフェリーは、伊沙羅のDカップのバストを揉み立てる。
「どれ、次は・・・」
 バストから手を放したレフェリーは、伊沙羅の背後に回ってしゃがみ込み、存在感溢れるヒップをパレオの上から揉み立てていく。
「栄面選手のヒップは暴力的だな。さすがレディースのNO.2だ」
 次にパレオを捲り上げ、じっくりと鑑賞する。伊沙羅の水着のボトムはヒップを覆う逆三角が小さめで、95cmの伊沙羅のヒップがほとんど丸出しに近い代物だった。
「これはこれは・・・榊選手のおっぱいと言い、栄面選手のお尻と言い、それぞれのエロさが際立っているな」
 レフェリーの揶揄に、式壬が怒気も露わに踏み出す。
「テメェ・・・」
「式壬!」
 しかし、伊沙羅の制止に動きを止める。
「・・・今はボディチェックの時間ですわよ。お静かに」
 目で式壬に伝える。今耐えねば、更なる屈辱が待っているのだと。
「感心だな、栄面選手は」
 レフェリーは伊沙羅のヒップを無造作に撫で回し、撫でるだけでは終わらずに揉み回しながらにやけている。更にヒップから太ももを撫でながら、秘部まで弄りだす。
「っ!」
「ここもしっかり調べておかないとなぁ。凶器を隠していたら大変だろう?」
 ある程度覚悟はしていた伊沙羅だったが、実際にセクハラを受けると屈辱感は半端ではなかった。しかもレフェリーは遠慮もなにもなく、好き勝手に大事な部分を弄ってくるのだ。
 やがてレフェリーが立ち上がり、ようやく伊沙羅のボディチェックが終わる。
「さて、待たせたな榊選手。ボディチェックの時間だ」
「くそっ・・・」
「式壬」
 式壬の名を呼び、目を見つめる。
 伊沙羅にはわかる。式壬は総長として、また友として、自らが辱められる姿を見られたくないのだ。おそらく、前の試合で嬲られた記憶もその一因となっているだろう。
 それでも、ここを乗り越えなければ明日はない。その思いを込め、じっと見つめる。
「・・・ああ、わかった」
「最初からそう言えばいいんだよ」
 ようやく頷いた式壬にレフェリーが嫌味を返す。
「さて・・・」
 レフェリーはいきなり式壬のバストに両手を伸ばし、ゆっくりと揉み込んでいく。
「相変わらず滑らかな感触だな」
 監禁されている間、食生活と高級エステによって式壬の身体は磨き上げられている。そのため肌の潤いと滑らかさは一般女性の比ではない。
「ん? この前よりおっぱいが大きくなってないか?」
「・・・」
 レフェリーの指摘通り、式壬のバストは前回の試合よりも質量を増していた。それは試合で散々揉まれ、弄られたこともあるだろう。更に・・・
「あの試合の後、『御前』から散々可愛がってもらったんだろ? ええ?」
 レフェリーの揶揄に、式壬が唇を噛みしめる。

 前回の試合前に捕らわれていたときも、式壬は身体を磨き上げられていた。それは観客を喜ばせる面もあったにせよ、一番の理由は「御前」へと捧げられるためだった。
 リングで嬲られ尽くした後で、休息を挟んでから「御前」に抱かれた。否、本物の快楽を身体に刻み込まれた。リングで与えられた快感など児戯にも等しく、一晩で何十回意識を飛ばされたかわからない。あまりにも強烈な体験に記憶も曖昧だが、普通ならば決してしないような体位や奉仕を行ったような気もする。

「ここでご奉仕して、何回もよがったんだろ?」
 左手でバストを掴んだまま、レフェリーは右手で秘部を撫でる。
「この大きなおっぱいで挟んだり扱いたりもしたのか?」
 今度はまた両手でバストを掴み、寄せたり揉み回したりする。
(こいつは・・・こいつは・・・ッ!)
 込み上げる殺意に身を任せたら、どれだけ胸が晴れるだろうか。しかし、伊沙羅の視線がそれを押し留める。
(そうだ、アタシは総長・・・あいつらのため、身体を張らなきゃならないんだ)
 メンバーの顔を思い浮かべ、バスト、秘部、ヒップ、太ももなどに与えられる不快な感触を必死に耐える。
「お、代わりの選手が来たようだな」
 レフェリーの声に顔を上げた式壬の表情が強張る。視線の先に、肥満体と呼んでもまだ足りないほどに太った男が歩いてくる姿が映る。
 小四郎の代わりに登場したのは、前回式壬を嬲った一人であるグレッグだった。
「思い出すなぁ榊選手。グレッグの上でよがり狂った姿をな」
「テ、メェ・・・っ!」
 相変わらずGカップバストを捏ね回しながら、レフェリーが式壬を嘲る。それでも式壬は耐える。耐えるしかできないのだから。
「小四郎の代わりは、『ミスターメタボ』、グレッグ"ジャンク"カッパーが務めます!」
 黒服のコールに遅れて鈍重な動きでロープを潜ったグレッグが、レフェリーからセクハラボディチェックを受けている式壬を見つける。
「うぇへへ、あのときのお姉ちゃんかぁ。相変わらずおっぱいが大きいぞぉ」
 だらしなく笑いながら、式壬のバストが変形する様を楽しむ。
「対戦相手が揃ったか。よし、そろそろボディチェックも切り上げてやるか」
 最後に式壬のヒップを撫で、レフェリーがようやく離れていく。その後ろ姿に、殺気交じりの式壬の視線が刺さる。
「・・・」
 無言で踏み出そうとした式壬の肩を押さえたのは、パートナーである筈の伊沙羅だった。
「・・・なんだ」
 式壬の凄まじい眼光に怯むことなく、伊沙羅は落ち着いた口調で返す。
「貴女は二度目、私から行きますわ。リングの雰囲気も感じておきたいですしね」
 式壬を制し、自分が先に出ると告げる。ボディチェックで式壬の頭に昇った血を下げさせるためだとは言わない。
「・・・仕方ねぇな、先陣は譲ってやるよ」
 伊沙羅の言葉に納得したのか、少し冷静になったのか、式壬が自軍コーナーに下がる。それを合図に、誇りを取り戻すための闘いの開始が告げられる。

<カーン!>

 男性組の先鋒はグレッグのようで、巨体からもう汗を掻いている。
「行きますわよ、汗かきさん?」
 巨漢相手のセオリー、速攻で仕留めようと、一気に距離を詰める。
「気をつけろ伊沙羅! そいつに打撃は・・・」
 式壬の忠告よりも速く、伊沙羅が重い一撃を放っていた。しかし。
「うぇへへ、なにかしたかぁ?」
 腹部に手首まで拳が埋まっているというのに、グレッグは平然としていた。
(ここまで効かないと、自信を無くしそうですわ)
 一旦距離を取ろうとした瞬間だった。
「えっ!?」
 ずるり、と足が滑った。グレッグの汗で滑ったとは気づかなかった。それでも抜群のバランス感覚で姿勢を戻す。
「うぇへへ、捕まえたぞぉ」
 しかしそれが仇となった。背後からグレッグが抱き締めてくる。腕ごと抱きかかえるだけでなく、バストを揉んでくる。汗に塗れた短い指が蠢き、水着のブラの上からバストを変形させてくる。
「触らないでくださいなっ!」
 滑ることを利用し、腕を抜くと同時に肘を顔面に叩き込む。
「ぐうぇっ?」
 蛙のような妙な声を出し、グレッグの巨体が引っ繰り返る。
「えっ?」
 伊沙羅を抱いたままだったのは伊沙羅の誤算だった。グレッグの上に倒れ込み、脂肪に埋もれてしまう。
「くっ」
 素早く立ち上がろうと両足を踏ん張ったときだった。グレッグが自らの腹を叩いた。
「えあっ!?」
 脂肪の波は伊沙羅の股間へと柔らかい波動を送り込む。
(な、なんですの、これは・・・!)
 脂肪から送られる波は、間違いなく快感を生じさせていた。
「くうっ!」
 足に力が入らず、グレッグの腹を押して脱出しようとしても、手が埋没するだけで手応えがない。そのため反動も使えず、股間は脂肪に包まれたままだ。
「そぉらぁ」
「ひあっ!」
 またもグレッグが波を起こし、秘部に刺激を送り込む。伊沙羅の力が抜けたと見て、グレッグが再びバストを掴む。
「うぇへへ、あっちのお姉ちゃんほどじゃないけど、これはこれで気持ちいいぞぉ」
 グレッグは腰を振りながら伊沙羅のバストを揉み、一人悦に入る。
「・・・触らないでください、なっ!」
 歯を食い縛った伊沙羅が、グレッグの手を払う。
「ぐぅぅっ!」
 刺激を堪え、震脚のような足踏みでリングを蹴る。ようやく脂肪から抜け出て、転がりながら自軍コーナーへと戻る。その身体は、グレッグの汗で淫らに光っていた。
「ああいう特殊な人、初めてですわ」
「任せろ、前回の借りを熨しつけて返してやる」
 式壬とタッチして入れ替わり、その背を見送る。
「・・・ふぅ」
 思わず息を吐く。並の相手なら遅れを取ることはないが、あそこまで打撃が効かない相手は初めてだ。それでも倒せない相手は居ない筈だと、頭脳を回転させる。
「えっ!?」
 いきなりリング下に引き摺り下ろされた。
「双子の覆面さん!」
 マンハッタンブラザーズ1号、否、セコンドに居たマンハッタンブラザーズ2号だった。
「シッ!」
 素早く振るった拳は、覆面の表面を滑った。
「なっ!?」
 まだ付着していたグレッグの汗が原因だった。拳と同時に足元も滑り、思わずバランスを崩す。そこにマンハッタンブラザーズ2号の水面蹴りを食らい、体が浮いた。
(まずい!)
 反射的に受け身を取るが、リングとは違い、場外の床は硬かった。
 そこに、セントーンが落ちてくる。コーナーに居た筈のマンハッタンブラザーズ1号だった。
「あっ・・・がはっ・・・」
 勢いのつけられた成人男性の体と硬い床に挟まれたのだ。凄まじい衝撃だった。
 伊沙羅の動きが止まったと見たマンハッタンブラザーズの二人が、伊沙羅に圧し掛かってくる。1号がバストを揉み、2号が秘部を弄ってくる。
「お、伊沙羅がヤラれてるぜ」
「栄面、どうだ? 気持ちいいか?」
「おいレスラーさんよ、おっぱいもいいが、あのでけぇケツも苛めてやれよ!」
 不良たちが口々に欲望の言葉を投げてくる。しかしまだ回復できない伊沙羅は、マンハッタンブラザーズのセクハラを受けてもじっとしていた。

「伊沙羅!」
 式壬の目に伊沙羅が引き摺り下ろされるのは見えたが、助けに向かうわけにはいかない。伊沙羅ならなんとかすると信じ、グレッグと向かい合う。
「おいドデブ。この前の借り、きっちり返してやるからな」
「うぇへへ、たっぷり気持ち良くしてやったからなぁ。お礼は、また楽しませてもらうことでいいぞぉ」
「ほぉ・・・なら、言葉通りに楽しませてやるよっ!」
 前回の試合で嬲られたこと、今回の試合でもとんでもない衣装を用意されたこと、セクハラボディチェックを耐えるしかなかったことなど、憤懣を拳に乗せてグレッグの胸板を抉る。
「うぇへへ、無駄だぞぉ」
 しかし、やはり分厚いグレッグの脂肪を通らない。グレッグは平然と手を伸ばしてくる。
「ちっ!」
 舌打ちし、後転して距離を取る。
「そんならよぉっ!」
 ロープに体を預けた反動を使い、前方に倒れ込む。否、空中で一回転し、踵落としを決める。グレッグの脳天ではなく、足の甲へと。
「うぇぎゃあっ!?」
 脂肪の薄い部分へ強烈な打撃を受け、さすがのグレッグも苦鳴を上げる。痛みに前屈みになったところへ、伸び上がるようにアッパー気味の地獄突きを突き刺す。巨体のバランスが崩れたところへ足払いを掛け、喉を掴んだままリングへ叩きつける。
 自重をすべて後頭部に受けてしまったグレッグは、リングで大の字になった。式壬は派手に動いたことで水着のブラがずれ、乳首が露わとなっていた。観客の野次にそれと気づき、ブラを正しい位置に戻す。
「一度闘ってんだ、体調が万全なら負けられねえよ」
 そう吐き捨てた式壬はレフェリーを向く。
「どうしたよレフェリー。ぶっ倒したぜ?」
「・・・ワーン・・・ツーゥ・・・」
 スローテンポでのカウントを始めたレフェリーを尻目にロープ際に寄る。
「おい伊沙羅!」
 リング下でセクハラを受ける伊沙羅に声を掛けたときだった。マンハッタンブラザーズ1号の左耳を打ち、マンハッタンブラザーズ2号の顎に膝を入れ、あっさりと伊沙羅が脱出する。
「少し心配を掛けてしまいましたわね」
 痛みの回復を待っていた伊沙羅は、どうせなら式壬に因縁の相手を倒す舞台を整えたままにしようと、マンハッタンブラザーズのセクハラを我慢していた。回復とグレッグのダウンを感じ、マンハッタンブラザーズの拘束を抜け出したのだ。
 立ち上がった伊沙羅を同じく立ち上がったマンハッタンブラザーズの二人が挟む。否、挟もうとしたときには2号の顎は左右の高速フックで打ち抜かれ、1号は飛び後ろ回し蹴りで式壬の立つコーナーポスト付近へ吹っ飛ばされていた。
 そのとき、レフェリーのカウントは止まっていた。
「よくも、やってくれたぞぉ!」
 地響き立つような突進で、グレッグが式壬に迫る。
「っ!」
 伊沙羅が走る。マンハッタンブラザーズ1号を踏み台にしてコーナーポストへと飛び、更にポストを蹴って舞う。腰のパレオが翻り、白い太ももが露わとなった。
「式壬!」
「おおっ!」
 伊沙羅の飛び膝蹴りと式壬のアッパーが、同時にグレッグの顔面と喉へ着弾する。脂肪の薄い箇所への強烈な打撃に、さすがのグレッグが崩れ落ちた。

<カンカンカン!>

 これには即座にゴングが鳴らされる。
「詰めが甘くてよ」
「うるせぇよ」
 軽口を叩く二人にレフェリーが悔しげに声を掛ける。
「ふん、まだこの前の負けを取り返しただけだからな」
 レフェリーの負け惜しみだったが、もう一戦しなければならないのは事実だった。
 前回の試合に式壬が敗北したことで、今回の試合は最初から二連戦が組まれていた。第一戦の勝利で最初の敗北を帳消しにし、第二戦に勝利することでようやく式壬の身は解放されるのだ。
「あいつの言うことも事実だ。次勝たなきゃ意味がねぇ」
「そうですわね。気を引き締めていきましょう」
 頷きあう二人だったが、グレッグの汗を掃除するため、一度リングを下りるように告げられた。

 リングに上がった掃除係は、レスラーのような全頭マスクを被り、それに反比例するような露出の高い水着を着た女性たちだった。その露出度に相応しく、全員がメリハリの効いたプロポーションだ。しかも覆面から覗く部分だけでも美女だとわかる。
 女性たちは手に手に掃除道具を持ち、グレッグの汗を拭きとっていく。決して手早くはなかったが、丁寧に、丹念に、清掃を進めていく。
 肌も露わな女性が、自らの汗やグレッグの汗に塗れ、豊かな胸を揺らし、尻を振りながら掃除をする姿に、観客も文句を言わず、野次や指笛を投げながら見入っていた。

 やがてリング上の掃除も終わり、覆面美女たちもリングを後にした。式壬と伊沙羅の美少女二人も汗を拭き、対戦相手も到着した。そこで改めて第二戦が始められる。
「赤コーナー、"捕獲同盟"、護覚! &火筒剛!」
 護覚(ごかく)と火筒(ひづつ)剛(ごう)、とりわけ護覚の登場に観客席が沸いた。
 護覚は頭を剃り上げ、あちこち破れた袈裟を纏った僧形だった。頭は綺麗に剃っているものの、顔には無精髭が伸びている。
 火筒は頭部には髪が一本も残っていないのに、顔半分を髭が覆っている。褌一本のみを身に着けているが、全身も顔同様に剛毛が覆っていた。女性のみならず、男性も忌避感を生じるほどの密集状態だった。
「青コーナー、"ツインタワーレディース"、榊式壬! &栄面伊沙羅!」
 一戦目にはたいしてセクハラの見せ場がなかった二人に、激しいブーイングが巻き起こる。しかし一戦目を勝利し、気合いが入る二人は反応もしない。
 護覚と火筒に形だけのボディチェックを終えたレフェリーが、式壬と伊沙羅の前に立つ。
「さ、ボディチェックを受けてもらおうか」
「またボディチェック、ですか?」
「当たり前だろう? あれだけ休憩時間があったんだ、何か隠すことも可能だろうが」
 思わず呟いた伊沙羅に、レフェリーが返す。これが難癖なのは明らかだったが、ここで拒むことはできないだろう。
「式壬、わかっていますね?」
「・・・ああ」
 小声で式壬に注意を促す。式壬も渋々ではあるが頷く。
「よし、それじゃ二人同時にボディチェックを行うか」
 にやりと笑ったレフェリーが、式壬と伊沙羅のバストを同時に掴む。そのまま左手で式壬の左バストを、右手で伊沙羅の右バストを揉み回す。
「ここはどうだ?」
 乳首の辺りを押し込みながら、レフェリーがにやつく。しかし式壬も伊沙羅も何も返さない。
「何か言ってくれよ、寂しいな」
 今度は水着に包まれたバストを弾ませ、レフェリーが薄笑いを洩らす。
「栄面選手のおっぱいも中々だが、榊選手並だったらもっと良かったのになぁ」
 勝手な感想を洩らしながらも、レフェリーは美少女二人のバストを揉み続ける。
「そうだ、栄面選手、後ろを向け」
「・・・」
 伊沙羅は逆らわず、レフェリーに背を向ける。するとレフェリーは、式壬のバストと伊沙羅のヒップに手を伸ばし、同時に揉み始める。
「こいつはいい。大きなおっぱいに大きなヒップ。役得だな」
 式壬のGカップバストと伊沙羅の95cmを誇るヒップを揉みながら、レフェリーは一人悦に入る。式壬と伊沙羅、バストとヒップの感触の違いを両手に感じながら、レフェリーはにやけたまま欲望のままに手を動かす。
「おっと、ここも調べとかなきゃな」
 そう言うと、レフェリーは式壬と伊沙羅の秘部に手を伸ばし、弄り始める。
「ここが一番調べておかなきゃいけない場所だからな」
 そう言うと水着にしか隠されていない秘部を同時に弄り、ボディチェックと言う名のセクハラを続ける。
「ああ、ボディチェックだからと言って、声は我慢しなくてもいいからな」
 レフェリーの皮肉に、美少女レディース二人の視線が殺気となってレフェリーに刺さる。
「う、あ・・・」
 戦闘的なレディースチームのトップを張る二人が、本気で睨みつけたのだ。さすがのレフェリーも欲望を忘れ、後退していた。
「に、二度目だからな、これくらいにしておこう」
 咳払いで誤魔化すと、男性チーム側へと逃げていく。
「・・・今度はアタシから行くぜ。止めんなよ」
「ええ、止めませんわ。存分にどうぞ。ただし、私の分も残しておいてくださいな」
 式壬は伊沙羅と物騒な視線を交わし、対角線に立つ護覚を睨みつける。

<カーン!>

 ゴングと同時に式壬が突進する。そこへ、予想だにしない攻撃が飛んできた。
「『喝ッ!』」
「っ!?」
 護覚から気合いが迸ると、突然式壬の動きが止まった。護覚が放った「呪」が式壬を「縛」っていた。

 護覚は僧形を取っているが、正式な僧侶ではない。仏教とは程遠い亜流の宗派の修行で「外法」を習得した破戒僧だった。護覚は「外法」によって声に「呪」を乗せ、相手を「縛」ることができる。「呪縛」にかかった相手は手も足も動かせず、護覚の意のままになってしまう。

 式壬が拳を振り上げたまま「呪縛」されたと見て、護覚が歩み寄ってくる。
「うむ、善哉善哉」
 式壬のGカップバストを揉みながら、護覚が一人頷く。
「女不良としか聞かされていなんだが、このようなけしからん女体だとは思いもせんかったの」
 手からはみ出そうとする式壬の乳肉の感触を楽しみながら、護覚は唇を緩める。
(おかしい、なんで身体が動かねぇんだ!?)
 焦る式壬だったが、身体どころか声すら出せない。護覚のセクハラに抵抗したいのに、手足が動かなければそれもできない。その間にも護覚は両手を動かし、式壬のバスト、ヒップ、果ては秘部へと責めを加える。
「どれ、俺も」
 調子に乗ったレフェリーも式壬に近づき、Gカップバストを揉みだす。
「榊選手のおっぱいは何度触ってもいいな。これで性格もおとなしければ言うことないんだが」
 勝手なことを言いながら、レフェリーは式壬のバストを揉み回す。
「なに、じゃじゃ馬娘を乗りこなすのもまた善いものよ」
 護覚はヒップと秘部を撫でながらレフェリーに返す。
(コイツら・・・毎度毎度、人の身体を好き勝手に弄りやがって!)
 セクハラへの怒りが式壬の内側で膨れ上がる。
(ぶん殴る!)
「くっ・・・おおおっ!」
 式壬の気合いが護覚の「呪縛」を打ち破った。危険を察知したレフェリーは既に距離を取っていた。
「うおらぁッ!」
 怒りのままに護覚へと裏拳を放つ。
「ふむ、心が強いのぉ」
 裏拳を躱しながら、護覚が顎を撫でる。
「余裕かましてんじゃねぇぞ!」
 護覚の胴を抉った筈の回し蹴りだったが、軽い手応えしか残らない。
「チッ!」
 舌打ちしながらも次の攻撃へと移ろうとしたときだった。
「式壬ちゃん、そこまでだよ」
「なっ、テメェ! うわ、気持ち悪ぃ!」
 火筒が背後から羽交い絞めしてきていた。式壬の脇の下から手を入れて首の後ろで手を組み、両脚にも火筒の両脚を絡めている。剥き出しの背中や腕、太ももなどに火筒の剛毛が触れ、不快感しかない。
「さすが火筒殿、良い機を得られるのお」
 護覚が大量の呼気を吸い、袈裟の上からでもわかるほどに膨らむ。
(さっきのアレか! だけどな、もう破り方はわかったぜ)
 精神的にも身構える式壬だったが、護覚の狙いは別にあった。
「『喝ッ!』」
「・・・?」
 先程のような、身体が動かないという違和感はない。
「いいかげん離せ!」
 火筒を振り払おうとしたが、火筒の拘束はびくともしない。逆に火筒の剛毛の感触が増し、反射的に動きを止めてしまう。
「お主に掛けても簡単に解かれてしまう。ならば、お主を拘束した人間に術を掛ければ? 結果はこうなる」
 顎を撫でながら近づいてきた護覚が、再び式壬のバストを揉んでくる。
 護覚は式壬にではなく、味方である筈の火筒を「呪縛」していた。式壬を捕えた状態で「呪縛」されたため、火筒は生ける拘束具となって式壬の動きを封じていた。
(くっ、気持ちわりい!)
 火筒の剛毛の感触は不快感の塊だった。下手に動けず、護覚のセクハラを耐えるしかない。
「どれ、宝輪も拝ませてもらおうかの」
 護覚がブラを掴み、上にずらす。ほとんど役に立っていなかったブラはあっさりとずらされ、式壬の乳首が露わとなる。その途端、観客席がおおいに沸く。
「やめろ、触んな! テメェ、絶対にぶっ殺す!」
「怖いのお。桑原桑原」
 護覚は肩を竦めただけで、式壬の乳房の、乳首の、ヒップの、太ももの、秘部の感触を堪能し続けた。

「審判さん! あれは毛だらけさんとお坊さんによる二人掛かりですわ! 反則を取ってください!」
「何を言ってるんだ? お前たちもさっき、グレッグ相手に二人同時に攻撃したじゃないか」
 伊沙羅はレフェリーに食って掛かるが、レフェリーは伊沙羅たちもしたことだと取り合わない。更に口を開こうとした伊沙羅だったが、いきなり足を滑らせる。否、足を持たれてエプロンサイドから引き摺り下ろされる。
 犯人は、前試合が終わっても退場していなかったマンハッタンブラザーズ1号だった。
「また貴方ですか!」
 伊沙羅が不快感に眉を寄せる。すぐに沈黙させ、式壬の助けに入る。先程マンハッタンブラザーズ二人を同時に相手取ったのだ、一人等どうにでもなる。それは事実だっただろうが、伊沙羅の油断でもあった。
「放しなさいっ!」
 伊沙羅が突きを出した瞬間、マンハッタンブラザーズ1号は床に伏せていた。いきなり視界から消えたこと、タイミングが絶妙だったことで、伊沙羅はマンハッタンブラザーズ1号の体に躓いてしまう。しかもマンハッタンブラザーズ1号が巴投げのような投げを打ったことで、伊沙羅は場外の鉄柵に激突していた。
「かはっ!」
 背中の強打に息が詰まる。しかし、ゆっくりと回復する暇は与えられなかった。
「栄面ちゃんいらっしゃい!」
「エロい恰好しやがって」
「楽しませてもらうぜ伊沙羅ぁ」
 そこに陣取っていた敵対チームの不良たちが、こぞって手を伸ばしてきたのだ。
「放しなさい!」
 男たちを振り払おうとした手も掴まれ、身動きを封じられる。
「くっ・・・んっ!」
 さすがの伊沙羅も、男たちの何本もの手からは逃れられなかった。
 男たちの手が水着のブラをずらし、直接乳房と乳首を弄ってくる。ボトムにも男の指が潜り込み、秘裂と淫核を嬲られる。
「服の上からでもわかってたが、このケツは極上モノだぜ」
 鉄柵の間から伊沙羅のヒップを揉んでいる男が口笛を吹く。
「むっちむちのエロボディだな」
「一度戦闘服をひん剥いてやりたかったんだよ」
 男たちは口々に勝手なことを言いながら、恐怖の対象だったレディースチームNO.2の肢体を弄り回す。
「くっ、このっ!」
 暴れる伊沙羅だったが、抗争相手である男たちから逃れることはできず、屈辱のセクハラは続いた。

「ふむ、宝輪が硬くなってきたのお」
 先程から式壬の乳首を責めていた護覚が、硬度を増した乳首を更にいたぶる。
「訳のわかんねぇこと言ってねぇで、離しやがれ!」
 身を捩る式壬だったが、火筒の剛毛の感触に小さな動きとなってしまう。
(なら・・・)
 一度下を向いた式壬は、そのまま頭部を思い切り後方へと振った。
「離せやコラァッ!」
 式壬の頭突きが火筒へ容赦なく叩き込まれる。しかし術に掛かった火筒は逃げようともせず、鼻血を流しながらも式壬を拘束し続ける。
「ぬんっ!」
「ごぼっ!」
 護覚の掌底が式壬の鳩尾へ深々とめり込み、痛みで意識を奪う。動きを止めた式壬を確認した護覚は「呪縛」を解き、火筒の自由を回復させる。前方へと倒れ込む式壬の身体を抱え、火筒を見やる。
「大丈夫かな火筒殿」
「いやー、動けなくても痛みは感じるんだねぇ。まいったまいった」
 鼻血を拭った火筒が顔を顰める。
「さて、このおなごは動けぬようにしておこう。手伝い願えるかの?」
「もちろん喜んで。おじさん、こういうの大好きだからね」
 護覚と火筒は式壬を引き摺り、コーナーポストへと寄り掛からせる。そのまま四肢をロープへと拘束していく。失神した式壬は、コーナーに寄りかかったまま大股開きという恥ずかしい恰好で、ロープによって四肢を縛められていた。
「それじゃ、この突き出たおっぱいで楽しませてもらおうかな」
 火筒がうきうきとした様子で、ブラがずれたままの式壬のGカップバストを鷲掴みにする。
「やっぱりこれだけおっぱいが大きいと、揉みがいがあるねぇ」
 そのまま乳房を捏ね回しながら、一人うんうんと頷く。
「おい、あまり楽しんでる暇はないぞ。栄面選手をリングに戻さないと、リングアウト負けにしなきゃならなくなる」
 そう言ったレフェリーだが、リング外でのみ伊沙羅が嬲られる状況を変えたい、という考えもあった。今試合、まだ伊沙羅はリング上で徹底的に責められる、という場面がない。二対一という状況でならば、伊沙羅を嬲る場面を作れるのではないか、という読みもあった。
 レフェリーの指示を受け、黒服が不良たちに伊沙羅を解放するよう告げる。前回、黒服の容赦のなさを思い知らされていた不良たちは慌ててセクハラを止める。
 ようやく解放された伊沙羅は、マンハッタンブラザーズ1号の手によって立たされる。しかし立たされるだけではなく、乳房、尻肉を揉まれるという軽いセクハラを受けてからリングに戻される。
「くっ・・・」
 伊沙羅に疲労が圧し掛かっていた。不良たちのセクハラから逃れようともがき、要らぬ体力を消耗していた。それでもずれた水着を直し、構えを取る。
「あらら、おっぱい隠しちゃったか。丸出しのほうがおじさん嬉しかったねぇ」
 鼻の下を伸ばしていた火筒が正直な感想を洩らす。
「あら、見惚れていたいのなら、ずっと見ていてもいいんですのよ?」
 軽口を返しながらも、冷徹に状況を見つめ直す。
 式壬が拘束された状況は一対二、レフェリーまで含めれば一対三だ。しかもかなりスタミナを消費している。巧く立ち回らねば、最悪式壬と二人、男たちに嬲られ続ける状況に陥ってしまう。
 そして、一番注意を払わねばならないのは・・・
(お坊さんにあの術を出させないこと。ならば、攻め続けますわ!)
 火筒をブラインドとすれば、護覚の「外法」が飛ばされても術に掛かるのは火筒ということになる。ならば位置取りを考えながら火筒を戦闘不能にし、火筒を盾にして護覚に接近すれば術は回避できる筈だ。
「シィッ!」
 伊沙羅の拳での攻撃が的確に火筒を捉える。
「うっ・・・」
 しかし、声を洩らしたのは伊沙羅のほうだった。火筒の剛毛の感触は、一瞬の接触であっても生理的な嫌悪感を生じさせる。そのため、伊沙羅の攻撃は精彩を欠いた。
「いたた、痛いよ伊沙羅ちゃん」
 それでも火筒を怯ませるには充分だった。しかし、火筒が予想以上に後退したことで位置取りが崩れる。
「『喝ッ!』」
 その瞬間、護覚が「呪」を放った。
「っ!」
 一番警戒していた筈なのに、やはり消耗が激しかったためか、伊沙羅は護覚の「呪」を浴び、動きを封じられていた。
(これが、式壬の動きを奪った技・・・)
 しかし、式壬は気合いで解いていたように見えた。ならば、自分にもできる! そう信じ、気力を振り絞る。
「ぅっ、くっ・・・あああっ!」
 気合いと共に「呪縛」を解く。しかし、棒立ちとなっていた時間を相手が見逃すわけもなかった。
「あらら、動くのが早いよ伊沙羅ちゃん」
 火筒がスライディングから伊沙羅の足を刈り、胴体の上に乗せるようにして拘束してくる。
 伊沙羅は火筒の両肘で腕を押さえられ、火筒の手を膝裏に入れられ、柔軟性のある両脚を大きく広げられる股裂きの状態にされていた。そこへ再び護覚の「呪」が飛ばされる。
 そして、「呪縛」に掛けられたのはまたも火筒だった。これにより、伊沙羅は四肢を動かせず、股裂きという羞恥を煽る形で固定されてしまった。
「いい格好だなぁ栄面選手」
 大股開きで拘束された伊沙羅を見下ろし、レフェリーがにやにやと笑う。
「解いて頂けるとありがたいのですが」
 無駄とは知りつつ言ってみる。
「それはできないなぁ。そうだ、さっきのボディチェックが中途半端に終わってたな」
 わざとらしく頷いたレフェリーが、伊沙羅のバストを揉み始める。バストだけでなく、秘部にも手を伸ばして撫で回す。
「まったく、ボディチェックの途中でレフェリーを脅すとはな」
「・・・脅すも何も、手出しは一切していなかった筈ですが?」
「口が減らないな。罰を与えなきゃいかんな」
 言うが早いかレフェリーが水着のブラを外し、伊沙羅の乳房を露わにする。
「どれ、生の感触を確かめてやろう」
 そのまま形の良い乳房を揉み始める。
「では、拙僧はこちらを」
 護覚は伊沙羅の大きなヒップ、ヒップを支えるむっちりとした太ももを撫で回す。
「・・・ボディチェックならば、服を脱がす必要はないと思いますが」
「何を言ってるんだ、完璧なボディチェックをしようと思ったら、ここまでしなきゃいけないだろうが」
 勝手なことを捲くし立てながらも、レフェリーは乳房から手を放そうとはしない。揉み、弾ませ、捏ね、好き勝手に弄ってくる。護覚は伊沙羅の秘裂を丹念になぞっている。
 やがて、伊沙羅の乳首が硬度を増す。
「お、乳首が硬くなってきたな。感じ始めたのか?」
「ご冗談を」
 レフェリーからセクハラを受けながらも脱出を窺う伊沙羅だったが、「呪縛」された火筒の体が硬直し、びくともしないこと、火筒の剛毛の感触が本能的な拒否感を生み出し、身動きを封じることによって身を捩ることも厳しかった。
(どうにかしなくては、反撃もままなりませんわ)
 固まった人体がここまで強固な拘束具になるとは、考えもしなかった。しかも火筒がその拘束役になることで、効果が倍増している。
「そろそろ他の部分も調べるか」
 ひたすら乳房を嬲っていたレフェリーが立ち上がる。
「ちょっとどいてもらっても良いか?」
 護覚に声を掛けたレフェリーはパレオを外し、伊沙羅の下半身を剥き出しにする。横にまで張り出したヒップも、白い太ももも、ボトムに包まれた秘部も男たちの目に晒される。
「やっぱり暴力的な尻をしているな」
 レフェリーは火筒の剛毛に触らないように注意しながら、伊沙羅のヒップを撫でる。
「・・・いいかげんに、セクハラ紛いのことはやめて頂けませんこと?」
「セクハラじゃなくてボディチェックだ、と言っているだろう?」
 ヒップを揉み始めたレフェリーが薄く笑う。
「尻もいいが、このむっちりとした太ももも堪らんな」
 左手でヒップを、右手で太ももを撫で回しながら、レフェリーが悦に入る。
「女性を拘束して変態行為を行う。恥ずかしいとは思いませんこと?」
「だからさっきから言ってるだろうが。これはボディチェックだ!」
 伊沙羅の非難が気に障ったのか、レフェリーの声が高くなる。
「どうやら、思い知らせなきゃならんみたいだな」
 舌打ちしたレフェリーはヒップから秘部へと標的を移し、水着の上から秘裂をなぞる。
「ここまでしようとは考えなかったが、言動がいただけないな。罰として、下の水着も外すとするか」
「・・・冗談、ですわよね?」
 さすがに全裸姿にさせられることには強い抵抗がある。しかし、このレフェリーならばやりかねない。
「これは罰だからな、冗談では済まさんよ」
 レフェリーがボトムを支える両サイドの紐を外す。身を固くする伊沙羅が嬉しいのか、秘部を撫でながら言葉を続ける。
「オールヌード、経験したことはあるか?」
「毎日、湯浴みのときにはなっていますわ」
「聞き方が悪かったな。こんな大勢の前でオールヌードになった経験は?」
「どう答えたほうが嬉しいですか?」
 絶対に望む答えは返してやらない。伊沙羅の意地だったが、それに引き下がるようなレフェリーではなかった。
「レフェリーにふざけた口を利くじゃないか、ええ? まあいい・・・」
 一度にやりと笑ったレフェリーは、水着のボトムを掴んだ。
「衆人環視の場でのオールヌード、披露してもらおうか!」
 レフェリーが最後の一枚を剥ぎ取り、観客にも見えるように大きく掲げる。どよめきのような歓声は、レフェリーがボトムを観客席に投げ込んだことで更に爆発した。
「おおっ! 栄面がすっぽんぽんにされたぜ!」
「しかも大股開きだぜ? だが、こっからじゃ良く見えねぇな」
「伊沙羅ぁ! 全裸にされた感想はどうだ? 寒いんじゃねぇのか?」
「そこのおっちゃんたちにあっためてもらえや!」
 不良たちが口汚く叫び、伊沙羅を貶める。
(まさか、ここまでされるとは・・・)
 伊沙羅は、リング上で全裸とされた事実に唇を噛んだ。式壬から嬲られたことは聞いていたが、衣装をすべて奪われるとまでは聞いていなかった。もしかすると、式壬もそこまでは話したくなかったのかもしれない。
 伊沙羅の心中など気にもせず、リング上の男たちは伊沙羅の露わとなった秘部を食い入るように凝視していた。しかしそれも数瞬で、欲望のままに伊沙羅の裸体へと手を伸ばす。
「折角だ、おっぱいもお尻に釣り合うほど大きくしてやろう」
 唇を舐めたレフェリーが、伊沙羅の乳房を揉みくちゃにする。
「では、拙僧は観音様を愛撫させてもらおう」
 意外にも優しい手つきで、護覚は伊沙羅の秘裂と淫核を愛撫していく。
「くっ・・・」
 レフェリーの乱暴なセクハラと護覚の繊細なタッチ。相反する刺激が官能を刺激する。しかも身じろぎすれば火筒の剛毛の感触に撫でられ、余計な刺激を呼び込んでしまう。
 ずくり、と下腹部が疼いた。
(まさか・・・嘘、ですわ!)
 信じたくないが、男たちのセクハラによって快感が積み重なっていっている。
(これ以上、感じてなるものですか)
 歯を食い縛り、快感を追い出そうとする。しかし、火筒の剛毛が集中力を削ぎ、レフェリーと護覚の責めへの防壁が崩されてしまう。
「くふっ・・・んっ・・・」
 食い縛った筈の唇から吐息が零れる。伊沙羅の身体が、じわじわと快感に浸食されている証拠だった。
(そんな・・・信じられません!)
 男たちから与えられる快感が、許容値を超えようとしている。いくら身動きを封じられ、延々とセクハラを受けているとは言え、絶頂にまで達するとは思えなかった。
 しかし、現に伊沙羅の身体は絶頂へ向かって転げ落ちていく。
(そんな情けない格好、晒せませんわ!)
 男には負けないと、あの日誓ったではないか。

 伊沙羅の父親は複数の愛人を持ち、伊沙羅の母はその内の一人だった。愛人同士の間で行われた陰惨な闘争に敗れた母は寵愛を失い、父親に捨てられた。捨てられた母は病に倒れ、そのまま亡くなった。
 複数の愛人を抱える父親に、母を捨てた父親に、娘を顧みなかった父親に幻滅した伊沙羅は、いつしか男への不信感が心に根付いていた。
 男には負けない。学力も。喧嘩も。母が亡くなったとき、そう誓ったのだ。

 理性と精神力で必死に手綱を引く。それでも。
「くっ、んっ・・・んんんっ・・・っ!」
 男たちの責めにより、伊沙羅は軽い絶頂へと追い込まれてしまった。
「おや、悦んでくれたようじゃないか。感じてくれて嬉しいよ」
 相変わらず乳首を弄りながら、レフェリーが嘲笑してくる。
「・・・そのようなこと、ございませんわ。感じるなどと、馬鹿馬鹿しい」
 それでも虚勢を張る。軽くではあるが達したなどと、認めたくはなかった。
「そうか、感じてなどいないか。なら、こういうのはどうだ?」
 レフェリーは一度外したパレオを手に持ち、チームのエンブレムが伊沙羅の秘部に当たるように巻きつけていく。
「チームのエンブレムを、まさか自分の愛液で汚すようなことはしないよなぁ?」
「面白いことを考えるのお」
 護覚の言葉も伊沙羅の耳には届かなかった。
(なんということを考えつくのですか!)
 伊沙羅は内心慄いていた。チームの象徴であるエンブレムを汚すような真似を、NO.2に位置する自分が行うわけにはいかない。しかし、軽くとはいえ一度達してしまっているのだ。このまま耐え続けることができるか、という問いに「必ず」「絶対」という回答はできなかった。
「それじゃ栄面選手、自分の言葉を裏切らないようにな」
 その言葉を合図に、男たちが責めを再開する。
「やっぱりこのヒップに手が伸びてしまうな」
 レフェリーはパレオの上から伊沙羅のヒップを撫で回す。
「今日だけで乳肉を尻肉ほどに育てるのは難しかろうの。だが、諦めるのも業腹。挑むのもまた善哉善哉」
 護覚は乳房を揉み立てながら、両方の乳首を刺激していく。
「くっ、んっ、ふぅんっ!」
 やはり一度達してしまった身体は敏感になっていた。抑えていた筈の声が零れてしまう。
「どうした、声なんか出して。頑張らないと、エンブレムが汚れてしまうぞ」
 パレオの上から秘部を弄りながら、レフェリーが揶揄する。
「うむ、むっちりとした感触が善哉善哉。硬くなった宝輪も気持ち良かろう?」
 護覚は乳房を揉み立てながら、人差し指を素早く上下に動かし、両乳首をいたぶる。
「はっ、んっ・・・んんんっ!」
(駄目よ、絶対に感じては・・・んんっ、いけない・・・のにぃ・・・!)
 耐えなければという使命感だけで快感を追い出そうとする。しかし、そんな細い拠り所はあっさりと駆逐されていく。
「そら、本当は気持ちいいんだろ?」
「宝輪が更に伸びておるぞ。認めて楽になるが良い」
 レフェリーに秘部とヒップを、護覚に乳房と乳首を責められ、更に火筒の剛毛の感触が快感と複雑に絡みつき、官能を高めるスパイスとなる。
(ああぁ・・・まずいですわ、このままでは・・・っ!)
 思いきり暴れ、絶叫を放ちたい。しかし、火筒の剛毛への不快感が身動きを封じ、声を出すことすら憚られる。発散されぬまま身体に貯め込まれた快感は、既に伊沙羅の手綱を放れ、出口を求めて暴れ狂っていた。
「おや? エンブレムが濡れてきてないか?」
 レフェリーの指摘に心が冷える。
(エンブレムは汚さない・・・私が、そのようなことは・・・させない・・・っ!)
 悲壮な決意だったが、快感は圧倒的な質量で伊沙羅を追い込んでくる。
(あああ! 駄目、駄目ですわ! もう、もう・・・っ!)
 そのときが近づいてくることに恐怖を感じる。
「いいかげんに、諦めるんだな!」
 乳房、乳首、淫核、秘部。女体の敏感な部分への同時責めに、耐えに耐えていた堤防が、一気に決壊した。
「くぁっ、んっ・・・はぁぁぁああぁぁぁんっ!!」
 必死に耐えていた分、更なる絶頂は凄まじかった。全身が何度も跳ね、股間から飛沫となって愛液が迸る。伊沙羅が生んだ愛液は、自らが愛するチームの象徴であるエンブレムを汚(けが)してしまった。
「あ、ああぁ・・・」
 絶頂とはまた違う虚脱感に、伊沙羅は細かく身を震わせていた。
(私が・・・NO.2である私が、エンブレムを・・・チームの象徴を・・・!)
 伊沙羅にとって、チームは家族だった。エンブレムはその大事な家族の象徴だった。その象徴を、男たちに辱められた証で汚してしまったのだ。伊沙羅の精神的な衝撃は凄まじいものがあった。
「くくっ、随分感じてくれたようだな。エンブレムがびちょびちょだ」
 更にエンブレムに愛液を吸わせようとでも言うのか、レフェリーはパレオの上から伊沙羅の秘部を撫で回す。
「そ、そろそろ・・・おじさん、も・・・楽しみ、たい、よ・・・」
 術に掛かっている火筒が、細い声を絞り出す。
「ふむふむ。それも善かろうの」
 二度頷いた護覚が、茫然自失の伊沙羅を見下ろす。
「かなり精神が参ったらしいの。今ならば・・・『喝ッ!』」
 そのまま伊沙羅を「呪縛」する。その上で火筒の術を解く。
「伊沙羅ちゃんの柔らかさを堪能できたのは良かったけど、手出しできないのは辛いよねぇ」
 やれやれとため息を吐いた火筒は、早速とばかりに伊沙羅の乳房を揉み始める。
「このむっちり感は癖になるねぇ。おじさん、感激だよ」
 鼻息荒く乳房を揉みくちゃにする火筒だったが、護覚が静かに制止する。
「火筒殿、後で存分に楽しんでもらう故、暫し待ってもらえるかの」
「ええっ、おじさん今楽しんでるのに・・・」
「なに、暫しとは言え、そこまでは待たせぬよ。面白い趣向を思いついた故、それを行おうとするだけよ」
 護覚の言葉に、火筒は伊沙羅の乳房を揉みながらも考える。
「・・・仕方ないなぁ。なるべく早くしてね」
「うむ、約定致すぞ」
 火筒が渋々伊沙羅の下から抜け出すと、護覚は伊沙羅を仰向けからうつ伏せの体勢に変えた。「呪縛」された伊沙羅は抵抗もできず、護覚が動かすままの人形と化していた。
「どれ、奴らに少し功徳を施してやろうかの」
 伊沙羅のヒップが不良たちのほうへと向くようにすると、護覚は「呪縛」で動けない伊沙羅のヒップを撫でながら、伊沙羅の身体を四つん這いの体勢にさせる。しかも張り出したヒップを高々と掲げる女豹のポーズだった。ヒップの前面に位置する不良たちが、たちまち歓声を上げる。
「これだけの尻肉を持つ女不良、この格好がお似合いだと思わぬか?」
「さすがだねぇ、うんうん、伊沙羅ちゃんの女豹ポーズ、眼福だねぇ」
 これには火筒も大きく頷いて同意する。顎を撫でた護覚は伊沙羅のヒップの横にしゃがみ込む。
「待たせたな皆の衆」
 護覚が伊沙羅の秘部を隠していた、愛液に濡れたパレオを掴む。
「では、観音様の御開帳じゃ」
 男たちの目線が充分集まったと見て、一気に剥ぎ取る。

(ぉぉぉっ・・・!)

 伊沙羅の隠すものもない秘部は自らが生んだ愛液に煌めき、男たちの下卑た視線が突き刺さる。
「あれが伊沙羅のアソコか・・・」
「もっと近くで見てぇ!」
「クソッ、無茶苦茶に突っ込んでやりてぇぜ」
 不良たちが隠そうともせずに欲望を吐露する。それを聞くこともなく、護覚が火筒に頷く。
「では火筒殿、存分に楽しまれよ」
「それじゃおじさん、お言葉に甘えて、本格的に伊沙羅ちゃんで楽しませてもらうよ」
 火筒が剛毛に覆われた腕を伸ばし、伊沙羅の乳房を揉み始める。
「ここは火筒殿一人で良かろう」
「俺はまだ苛め足りないが・・・まあいい、榊選手で遊ばせてもらうか」
 護覚がレフェリーを促し、伊沙羅の秘部に見入っていたレフェリーは渋々視線を外し、拘束された式壬へと向かった。火筒はそれを気にもせず、伊沙羅の乳房を揉み続けている。
「おっぱいもいいけど、次は・・・」
 火筒は伊沙羅の乳房から手を放し、伊沙羅の尻側へと回り込む。
「やっぱり迫力あるヒップだねぇ」
 ぺちぺちと伊沙羅のヒップを叩いた火筒は、今度は両手で輪郭を確かめるように撫で回す。跪いた火筒は尻肉を揉み立てながら、秘部へとむしゃぶりつく。
(気持ち悪い、筈なのに・・・)
 火筒の舌のざらつきと唾液の粘つき、剛毛の感触など、不快極まりない筈なのに、凄まじい絶頂に押し上げられた身体はそれすら快感と感じ、官能を高めてしまっていた。
 しかも、エンブレムを汚した精神的な衝撃は伊沙羅を縛り続けていた。「呪縛」を解くこともできず、火筒のセクハラを動けない身体で受け入れるしかできなかった。
 火筒が張り詰めたヒップを揉みしだきながら、秘部を舐(ねぶ)り回す。
(ああ、また・・・イッて・・・しまう・・・ぅぅっ!)
 声もなく絶頂へと達し、秘裂からは愛液を迸らせる。
「お、また感じてくれたようだねぇ。潮吹きまでしてくれるなんて、おじさん嬉しいよ」
 伊沙羅の秘部から顔を放した火筒はまた伊沙羅の前面へと回り、伊沙羅のDカップの乳房をあやしながら、動けない伊沙羅の唇を舐め回す。
「今度はおっぱいを苛めてあげるからね?」
 火筒は左腕を伊沙羅の脇下から差し入れ、そのまま円を描くように動かし、乳房を揺らしながら満遍なく毛で刺激し始めた。無論指で乳首を愛撫することも忘れない。
(ひああ、あ、こ、こんなぁあっ!)
 敏感になっている身体に、剛毛での責め。乳房と乳首へ与えられる刺激は快感へと変換させられ、伊沙羅を昇天へと導いていく。
「乳首をこんなに硬くするなんて、伊沙羅ちゃんはエッチな子だねぇ。おじさんはエッチな子が大好きだから、もっともっと苛めてあげるよ」
 火筒は左腕を激しく動かし、剛毛での刷毛責めを両乳房と両乳首へと加える。しかも伊沙羅の唇を舐めたりキスを繰り返しながらだ。
(あぐぅ・・・っ!)
「呪縛」された身では声も出せず、伊沙羅は無言の嬌声を上げる。
「・・・そうだ、おじさんいいことを思いついたよ」
 乳房を責めながらにやけた笑みを浮かべた火筒が、耳元で囁く。再び伊沙羅の尻側へと回り、秘部への舐め責めを再開する。更に右手で淫核を弄り、左手でヒップを揉み立て、伊沙羅へ快楽を送り込む。
(くっ、ううっ・・・駄目、ですのに・・・ぃっ!)
 伊沙羅はまたも絶頂へと達し、潮を吹く。多量の愛液を火筒は舐め取り、口内に貯めていく。伊沙羅の愛液を含むと、今度は伊沙羅の顔の前に陣取り、唇を奪う。それだけでは終わらず、微かに開いた伊沙羅の唇の間から、伊沙羅自身の愛液を流し込んでいく。
「・・・ぷふぅ。伊沙羅ちゃん、君自身のラブジュース、おいしいかい?」
 伊沙羅の頬を舐めながら笑った火筒は伊沙羅の乳房を揉んだ後、またも後ろへと回り、伊沙羅のヒップ、秘部、太ももを責める。しかも今度は敏感な淫核の包皮を剥き、唾液をたっぷりと乗せた舌で舐め回す。
(うっ、あっ、うあああっ!)
 伊沙羅は声なき声を上げながら、火筒の責めを人形のように受け入れていた。

「さぁて、榊選手はまだお寝んねのようだ。榊選手の好きな厭らしいことで、目を覚ましてもらおうか」
 式壬の寝顔を覗き込んだレフェリーは、ブラがずれたままの乳房へと手を伸ばし、ゆっくりと揉み立てていく。
「まったく、これだけのおっぱいをしてて生意気な」
 意味のない独り言を洩らし、徐々に強く揉んでいく。
「もう、こいつも外すか」
 レフェリーは失神したままの式壬から、水着のブラを外す。元々面積の小さかったブラが外されたことで、Gカップを誇る乳房とその中心に息づく乳首がすべて露わとなる。
「どれ、拙僧も楽しませてもらうかの」
 レフェリーの隣に無理やり陣取り、護覚が式壬の左の乳房を鷲掴みにする。
「狭いってのに、無理しないでくれよ」
 レフェリーはぶつぶつ言いながらも、式壬の右の乳房を弾ませ、捏ねる。
 やがてレフェリーと護覚の手により、乳首が硬さを増していく。
「気絶してても、気持ちいいとわかるんだな」
 レフェリーが乳首へと振動を送り込み、更に硬くしてやろうと意気込む。その刺激のためか、式壬の瞼が薄っすらと開く。
「お目覚めかな、榊選手。試合中に寝るのは感心しない、と以前言った筈だがなぁ?」
 乳首に振動を与えながら、レフェリーがにやつく。
「んっ・・・触んじゃねぇ、ドスケベレフェリーにドスケベ坊主が」
 一度息を飲んだ式壬だったが、身体を弄る男たちを睨みつける。
「相変わらず口が悪いな」
 鼻を鳴らしたレフェリーは、今度は秘部を弄りだす。
「触んじゃねぇって、言ってるだろうが!」
「ああ、これは中途半端に終わったボディチェックの続きだからな。触るなと脅されてもやめるわけにはいかんよ」
 レフェリーのふざけた物言いに、式壬の怒りのゲージが上がる。
「御託を並べてねぇで、やめろッ!」
「そこまで言うなら、ボディチェックはやめてやろう」
 式壬の身体から手を放し、護覚にもセクハラを止めさせたレフェリーは、式壬の顔を覗き込む。
「ここからは試合の続きだ。榊選手、チームリーダーとして負けを認めるか?」
「ざけんな、そんなもん認めるわけねぇだろ」
 レフェリーを睨みつけ、きっぱりと拒絶する。
「強情な奴だな」
 眉を顰めたレフェリーは、式壬の左の乳房を揉み始める。
「負けを認めるなら、オールヌードだけは勘弁してやるぞ?」
 式壬の乳房を柔々と揉み立てながら、レフェリーが敗北を迫る。
「・・・アタシは、絶対に負けを認めねぇ。伊沙羅も同じだ。テメェら、絶対にぶっ殺してやるからな」
 レフェリーを睨みつけ、式壬は啖呵を切った。
「俺が聞きたいのは、そんな答えじゃないんだがな」
 ふん、と鼻を鳴らしたレフェリーは、乳房を揉みながら尚も式壬に確認する。
「これが最後だ。負けは認めないんだな?」
 そう問いかけながら、水着のボトムの左紐を解く。
「するか!」
 それでも伊沙羅は敗北を認めなかった。
「そうか、なら・・・」
 レフェリーが舌舐めずりしながら、反対側の紐も外していく。紐が両方とも解けると、ボトムを掴む。
「そぉら、美人総長のオールヌードだ!」
 レフェリーが水着のボトムを剥ぎ取る。式壬は隠すもののないM字開脚という恥辱の恰好を、男たちに晒され、強要されていた。
「榊選手の大事なところ、はっきりと見えるぞ。意外に使い込んでないようじゃないか」
「テメェ!」
 続けようとした言葉は、護覚の秘裂責めに遮られる。
「くぅっ・・・」
「おお、可愛い声も出せるではないか。善哉善哉」
 ゆったりとした動きで式壬の秘裂を上下になぞりながら、護覚が頷く。
「乳首も硬いままだぞ」
 レフェリーは左乳首に狙いを定め、押さえながら回す。尖った乳首は小さなレバーのように上下左右に動き、不規則な快感を与えてくる。
(くそぉ! これくらいで、感じるなんて・・・くそぉっ!)
 ロープに戒められた四肢は動かせず、ただ首を振るだけしかできない。
 以前の試合での徹底的なセクハラ責め、「御前」への夜伽により、式壬は快楽への導火線を太くされた。今試合での体力消耗に加え、これまでの快感責めで、式壬の官能は充分高められていた。
「イキそうなんだろう? 我慢せずにイッていいんだぞ」
「おなごの達するのは自然なことよ。ほれほれ、耐えることもあるまい?」
 レフェリーが乳房を揉み回しながら、乳首を扱く。護覚が秘裂を撫でながら、淫核に振動を加える。
(まずい! このままじゃ、またアタシは・・・っ!)
 絶頂の予感に怯える。しかし。
「やめ、ろ・・・触るなっ・・・あああーーーっ!」
 溢れ出した快感に喉を仰け反らせ、絶叫する。秘裂からは愛液が零れ、達した証となる。
「おー、今回の試合も式壬がイッちまったぜ」
「男日照りが続いてるんじゃねぇのか?」
「榊ぃ! 今度俺がたっぷり可愛がってやるからなぁ!」
 観客席の不良たちが口々に叫ぶ。それは、式壬のプライドを抉った。
「ふむ、観音様も涙を流して悦んでおるの」
 秘裂から生まれた蜜を確認した護覚は、中指を愛液に塗す。その中指を秘裂に当て、ゆっくりと押し込んでいく。
(くあっ! くそっ、入ってくる!)
 愛液に濡れた指はあっさりと秘裂を割り、膣の中へと侵入する。
「ほほう。この水音が聞こえるかの?」
 ゆっくりと指を差し入れた護覚がゆっくりと指を抜き、少しずつ指の動きを速くしていく。護覚の指が動くたび、淫らな水音が式壬の耳に届く。
「くっ、うぅっ、はぅっ・・・」
 押さえようとした声は、吐息となって洩れてしまう。膣を責める指に、紛れもない快感を感じてしまう。
「どうした、もっと声を出していいんだぞ?」
 Gカップを誇る乳房を捏ねながら、レフェリーが式壬の頬を撫でる。
「誰が、そんな・・・あああっ!」
「なんだ、リクエストを聞いてくれたのか? いい声で鳴くじゃないか」
「くっ・・・」
 乳首は硬く立ち上がり、淫核も包皮から顔を出し、秘裂からは愛液が零れる。男たちの手が触れるたび、快感に翻弄される。それでも唇を噛んで耐える式壬の美貌は、男たちの欲望を掻き立てる。
「随分感じてくれているようだな、榊選手」
「・・・そんなわけ、あるか。下衆が」
「素直じゃないな。ほら、ここはどうだ?」
「あぅんんっ!」
「そら、やっぱり感じているじゃないか」
 レフェリーの乳首責めに声を上げてしまい、屈辱に唇を噛む。レフェリーは尚も乳首と乳房を責めながら、式壬を言葉でも嬲る。
「栄面選手も感じまくってな、パレオのエンブレムを汚してしまったぞ。自分の恥ずかしいお汁で、な」
「なん・・・だと・・・っ!」
 伊沙羅をそこまで辱めたのか。固い絆で結ばれた相棒が屈辱に染められた、という怒りが力を生んだ。
「うおおッ!」
 怒りで快感を追いやり、無理やり四肢をロープから引っこ抜く。
「テメェら、覚悟しやがれッ!」
 男たちの手を振り払い、立ち上がった瞬間だった。背後から両脇と首を極められる。先程までリング下から式壬の嬲られる姿を鑑賞していたマンハッタンブラザーズ1号の仕業だった。
「離せ、離しやがれッ!」
 ロープの戒めから脱出したと言うのに、今度はロープ越しに羽交い絞めを受ける。逃れようと暴れるが、がっちりと極まったフルネルソンから逃げられず、Gカップの乳房が揺れるだけだ。
「やれやれ、手間を掛けさせるのお」
 護覚がまたも「呪」を放とうとするのがわかる。
(・・・こうなったら)
 マンハッタンブラザーズ1号にフルネルソンで捕えられたまま思い切りキャンパスを蹴り、そのままトップロープを越える。
「なっ、おい!」
 レフェリーの驚きの声を置き去りに、マンハッタンブラザーズ1号諸共リング下へと落下する。来たるべき衝撃に備え、式壬は全身に力を込めた。

(式壬!)
 伊沙羅の目に、式壬が落ちていくのが映った。官能に犯される最中でも、式壬の行動は一瞬快感を忘れさせた。
(んんぅ!)
 しかし、たちまち快楽が襲い来た。火筒の舌が秘裂を割り、浅い部分とは言え、膣の中にまで侵入してきたのだ。
 身体が動けば、快感を少しでも紛らわすことができる。しかし「呪縛」された状態では、快感を精神力だけで耐えるしかない。
「ああもう、おじさん我慢できないよ。真似事だけでも・・・」
 そう洩らした火筒は、伊沙羅の背後から覆い被さり、褌の中で硬くなった逸物を伊沙羅の秘部に擦りつける。後背位の形で伊沙羅の乳房に手を伸ばし、剛毛を擦りつけながら乳房と乳首を目茶苦茶に弄り回す。
(こんな辱めまで・・・でも、もう動けない・・・)
 獣が犯される体位で腰を擦りつけられる。徹底的な快感責めと「呪縛」の影響で、伊沙羅の反抗心は既にすり減らされていた。
「おっぱいもいいけど、やっぱり、伊沙羅ちゃんはお尻だよね」
 上体を起こした火筒は伊沙羅の豊満なヒップを掴み、揉み立てながら腰を擦りつける。
「あの毛もじゃのおっさん、いいことし始めたぜ」
「馬鹿、褌つけたまんまじゃねぇか」
「伊沙羅ぁ! バックは好きかぁ!?」
 火筒の疑似性行為に、観客席からは笑い交じりの下卑た冗談が飛んでくる。気付けば汗まみれの伊沙羅の五体は、グレッグに塗りたくられたとき以上の淫らな輝きを放っていた。
(ああ・・・私は・・・私、は・・・あああぁぁぁぁ・・・っ!)
 長く続く快感責めが、伊沙羅の瞳から光を奪っていった。

「がはっ!」
 衝撃はすぐに来た。しかし式壬は奥歯を食い縛って立ち上がる。式壬の下となり、すべての衝撃を受け止めた形になったマンハッタンブラザーズ1号を見下ろす。
「どらぁッ!」
 覆面に覆われた顔面に何度も拳を落とし、とどめを刺す。そのとき、式壬の額から赤いものが流れ落ちた。垂れ落ちた鮮血は式壬の顔を、豊かな乳房を汚していく。
 しかしそんなことは気にも留めず、一度大きく息を吸った式壬は、リングへと険しい視線を向ける。
「・・・伊沙羅ァ!」
 額から流れる血で美貌を飾りながら、全裸の式壬が叫ぶ。リングの上で嬲られる相棒に向かって。
「チームを思うならよ・・・メンバーを救うために、勝つのが最優先だ!」
 剥き出しの豊かな乳房を揺らしながら、式壬が吼える。
「エンブレムのことはその後で考えろッ!」
 式壬の咆哮で、伊沙羅の目に光が戻る。
(そうですわ・・・私がこのまま嬲られたままだと、メンバーが襲われ続ける。このまま敗北すれば、式壬はこの地獄に捕らわれたまま。仲間が・・・家族が、傷つけられる!)
「くっ・・・おぁあああっ!」
 凄まじい咆哮と共に、伊沙羅は「呪縛」を吹き飛ばした。今しも口づけしようとしてきた火筒の両耳を掌で強打し、鼓膜へと衝撃を叩き込む。
「あぎゃああっ!」
 痛みを逃そうとしてか、伊沙羅から逃れようとしてか、火筒は両耳を押さえて立ち上がっていた。その鳩尾に、オープンフィンガーグローブに包まれた拳がふわりと当てられる。
「私の身体を散々玩具にしてくれた罰・・・その身に刻んであげますわ」
 宣告と共に、伊沙羅の寸勁が火筒の鳩尾を深々と抉る。膝から崩れ落ちた火筒は、腹部を押さえ、悶絶することしかできなかった。
「これは拙いのお」
 護覚は迷った。リングに上がろうとする式壬。リング上で火筒を倒した伊沙羅。どちらを先に倒すべきか。どちらに「呪」を放つべきか。
「・・・『喝ッ!』」
 護覚の選択は、式壬への「呪」だった。即座に呼気を吸い、伊沙羅も「呪縛」しようと振り向く。
(この隙を!)
 護覚の「呪縛」は大量の呼気を必要とするため、連続では放てない筈だ。伊沙羅が散々嬲られた身体に鞭打ち、護覚に突進しようとしたそのときだった。
「えっ?」
 背後からいきなり羽交い絞めを受けていた。それは、初戦でKOした筈のマンハッタンブラザーズ2号だった。意識の外にあった男性選手からの拘束に、伊沙羅の動きが止まっていた。マンハッタンブラザーズ2号は伊沙羅に足も絡め、がに股にさせる。
「『喝ッ!』」
 そこに、護覚からの「呪」が飛んだ。そして、「呪縛」されたのはマンハッタンブラザーズ2号だった。拘束具と化したマンハッタンブラザーズ2号は、消耗した伊沙羅には振り解けなかった。
(くっ、なんということでしょう・・・)
 折角反撃の機を掴んだと言うのに、またも捕らわれてしまうとは。
「あいたたた・・・やっぱり伊沙羅ちゃんは強いねぇ」
 伊沙羅の寸勁で呻いていた火筒が腹部を擦りながら立ち上がる。
「火筒殿、乳の大きな女不良を頼めるかの」
 伊沙羅に近づいた護覚は、伊沙羅の乳房を揉み始める。
「はいはい、おじさんの出番だね」
 火筒は文句も言わず、リング外へと向かう。
「残念だったのお。こちらの手駒がもう一枚あったことに気づかなんだこと、お主の失敗と言って良いであろうな」
 それを見送った護覚は、伊沙羅の乳房の感触を堪能しながら言葉で弄う。
「智謀で支える立場と聞いたが、まだまだよの」
 そうでなければ、このように嬲られることもない筈だ。護覚の無言の嘲笑に、伊沙羅は反論できない。
「くっ・・・」
 伊沙羅は屈辱を噛み殺し、護覚から視線を逸らした。全裸で拘束され、Dカップの乳房を揉まれる伊沙羅の姿に、リングの外から野次と厭らしい視線が飛ばされた。

 伊沙羅がマンハッタンブラザーズ2号から羽交い絞めにされ、2号が「呪縛」された。その姿は式壬の目にも映っていた。
(くそッ、このままじゃ・・・)
 再び伊沙羅が捕まった状況を見て、「呪縛」された式壬は気力を振り絞る。
「くっ・・・ああああああっ!」
 気合いで「呪縛」を打ち破る。しかしリング下へ落ちるという自爆技は、マンハッタンブラザーズ1号がクッションとなったとは言え、かなりの衝撃を残していた。闘志とは裏腹に身体が動かない。
「式壬ちゃん、もうちょっとおじさんたちと遊ぼうね?」
 いきなり後ろから抱きすくめられた。抱きすくめられるだけでなく、毛の密集した手でGカップの巨乳を揉まれてしまう。
「離せ、くっ・・・毛むくじゃら野郎が!」
 振り払うほどの体力は残っておらず、セクハラを止めることができない。
「口が悪いねぇ式壬ちゃんは。でも、そんな口もいつまで利けるかな?」
 鼻で笑った火筒は、左手で乳房を、右手で秘裂を弄り回す。剛毛の感触が要らぬ快感を呼び込み、式壬を責める。
「くぅ・・・離せ、くそぉ」
「そう言う割には、式壬ちゃんの抵抗が弱いねぇ」
 式壬の身体を玩びながら、火筒が笑う。乳房を揉みながら乳首を扱き、秘裂と淫核を同時に虐める。
「火筒殿、あまり遊ばれては困る。この女不良二人、油断できぬ相手故な」
 自分は伊沙羅の乳房を揉みながらの護覚の呼びかけに、火筒はため息を吐く。
「・・・しょうがない。式壬ちゃん、また後で遊ぼうね」
 名残惜しげに式壬の身体を弄っていた火筒だったが、そのまま式壬の胸と股間を持ってリングの中へと転がし入れる。
(立たなきゃ・・・こいつら全員、ぶっ飛ばさなきゃ・・・!)
 焦っても消耗した身体が動いてくれない。それでも腹這いになり、立ち上がろうとする。
「『喝ッ!』」
 そこに、「呪」が飛ばされた。そして、もう式壬に「呪縛」を解くほどの気力は残っていなかった。
「ああ、式壬・・・」
 自分が拘束され、頼みの式壬までもが「呪縛」されてしまった。その原因が自分にあると責める伊沙羅は、知らず式壬の名を呼んでいた。
「『喝ッ!』」
 呻く伊沙羅にも「呪」が飛ばされ、裸体の美少女二人が共に「呪縛」された。この状況に、観客席が大きく沸いた。

 全裸の式壬と伊沙羅は、「呪縛」された状態のままリング中央に中腰で立たされていた。否、互いに絡み合うように、相手を拘束させられていた。
 M字開脚で背中合わせとさせられた二人は、式壬が右手を、伊沙羅が左手を背中に回し、互いの肘のところで組まされている。式壬の左腕と伊沙羅の右腕は首に回され、互いの手首を指で掴むように組まされている。自分が相棒を拘束した状態になっており、しかも背丈が同じなのが災いし、互いを拘束する姿勢が見事に極まっている。
「呪縛」の効果か、傷口の血が固まったのか、式壬の出血が止まっていた。
 レフェリー、護覚、火筒、マンハッタンブラザーズ2号の四人の男たちは、オープンフィンガーグローブを除けば身体を隠すものがまったくない美少女を囲み、観賞している。
 連戦の中で掻いた汗、Gカップの乳房とDカップの乳房、それぞれ形や大きさが違う乳首、引き締まった腹部、張り出した臀部、股間の陰り、体重を支える太ももなど、どこを見ても魅力的だった。
「これはまた、芸術的な体勢だな。エロいのがまたいい」
「うむ、我ながら自画自賛したくなるのお」
 レフェリーの科白に、護覚が頷く。
「さてお二人さん。動けないが聞こえてるよな?」
 しゃがみ込んだレフェリーは、「呪縛」された式壬と伊沙羅の乳房を同時に掴む。二人は下衆な男から好き勝手に乳房を弄られることに不快感を掻き立てられるが、レフェリーの手を振り払うことはできない。不快な感触から逃れることもできない。
 式壬と伊沙羅の乳房を掴んだまま、レフェリーが続ける。
「これから、今まで以上に感じさせてやるからな。ただ、感じ過ぎて気絶しないようにしろよ? 二人が同時に気絶した場合、この試合は負けとなるからな」
 乳房を揉みながら、レフェリーが笑う。
(なん、だと・・・?)
(そんな・・・っ!)
 式壬と伊沙羅は戦慄していた。もうほとんど体力の残っていない状況で、しかも快感の目盛はほぼ最大値まで上げられているのだ。男たちの色責めを最後まで堪え抜ける、と断言することができない。
「頑張って耐えることだな。もし負けたときは榊選手だけじゃなく、栄面選手も『御前』の慰み者になることを覚悟しろよ」
 乳首を同時に弾いたレフェリーが立ち上がる。
「よし、始めるか!」
 その合図に、更なる淫虐が始まった。

「さっきは伊沙羅ちゃんと遊んだし、式壬ちゃんとはまた後でって約束したから、今度はおじさん式壬ちゃんと遊ばせてもらうよ」
 式壬には火筒とマンハッタンブラザーズ2号が襲いかかる。
「やっぱり、式壬ちゃんの大きいおっぱいはいいねぇ」
 火筒は95cmGカップを誇る式壬の乳房を鷲掴みにすると、ゆっくりと揉み込んでいく。マンハッタンブラザーズ2号は太ももからヒップまでを丹念に撫でている。

「さて、栄面選手を楽しませてやろう」
「拙僧も尻の大きな女不良の乳肉を尻肉ほど育てねばな」
 伊沙羅を責めるのはレフェリーと護覚だった。
「それじゃ、俺はこうして・・・」
 仰向けに寝転がったレフェリーは伊沙羅の股間に顔を埋め、直接秘部を舐め始める。護覚は宣言通り乳房を揉み回していく。
「さてさて、乳肉を育てるには、他の箇所から集めると良い、と聞くのぉ」
 護覚は伊沙羅のむっちりとした肉付きの脇から脂肪部分を乳房に寄せるようにすると、そのまま乳房を揉む。何度か揉んだ後、またも脇から脂肪を集め揉む、ということを繰り返す。時折乳首を弄り、快感を高めるのも忘れない。
(んんんっ・・・!)
 先程までの快感責めの余韻で、容易く快感値が上昇する。
「お、また濡れてきたぞ」
 レフェリーが嬉しげに呟き、更に舌の動きを加速させる。
「どれ、少しは成長したかの?」
 護覚は飽きずに伊沙羅の乳房を揉み、周囲の脂肪を集め、乳房を捏ね、乳首を弄る。伊沙羅は作戦も思いつかぬまま、男たちのセクハラに翻弄された。

「ねぇ式壬ちゃん、何を食べたらこんなにおっぱいが大きくなるのかな?」
 火筒は式壬の乳房を揉みながら問いかける。
「ああ、今は話すのも難しいよね。ごめんごめん」
 まるで悪びれた様子も見せず、火筒は乳房を揉み、乳首を扱く。
「もう乳首もビンビンだねぇ。気持ち良くてたまらないでしょ?」
(またこんなことしやがって・・・!)
 連戦と度重なるセクハラに、式壬の体力はもう尽き掛けていた。しかし、生来の負けん気の強さは折り紙つきだ。
「・・・うああああっ!」
 僅かに残った闘志を意地でかき集め、「呪縛」を解く。
「あ、まずい」
 式壬が「呪縛」を解いたことに気づき、火筒が焦る。
「うっ?」
 しかし、男共を殴ろうとした式壬の手は動かない。「呪縛」されたままの伊沙羅の身体が、式壬を拘束しているからだ。
「『喝ッ!』」
 そこに、またも「呪」が飛ばされた。
「まだ気力が残ってるんだねぇ。もっともっと感じさせて、反抗なんて考えられないようにしてあげるよ」
 顔を寄せた火筒が式壬の肩に手を置き、顔だけでなく上半身を式壬に密着させる。そのまま上下運動を始め、胸の剛毛で式壬の乳房を刺激する。
(うああっ!)
 剛毛の感触に、式壬は上げられぬ声を上げる。乳房、硬くなった乳首を刷毛責めにされ、官能を高められてしまう。
(くぅぅっ・・・このままだと、また・・・っ!)
 散々体感させられた、絶頂への予感。耐えようとしても、火筒の剛毛が乳房と乳首を撫でるたびに精神力が削られていく。
(我慢しなきゃ・・・駄目なんだ・・・駄目、なのに・・・くぅぅっ!)
 乳房と乳首への刷毛責めは、快感量が大き過ぎる。
(きちまう、また・・・イッちまう・・・うああああああっ!)
 快感の量に耐えきれず、式壬は絶頂へと達し、それでも足りずに失神してしまった。失神した式壬は「呪縛」が解け、「呪縛」されたままの伊沙羅に支えられている。
「あれれ、式壬ちゃんお寝んねしちゃったよ」
 式壬が失神したのを確認した火筒とマンハッタンブラザーズ2号は、伊沙羅の身体に手を伸ばす。
「今度は伊沙羅ちゃんと遊ばせてもらうね」
「そうだな、皆で栄面選手を気持ち良くして、絶頂失神まで持っていくか」
(ああ、そんな・・・!)
 二人掛かりでも厳しかったと言うのに、四人掛かりの責めは伊沙羅を慄かせた。乳房が、乳首が、ヒップが、秘裂が、淫核が、男たちの手や舌によって揉まれ、扱かれ、撫でられ、舐められ、弄られる。大量の快感が押し寄せるが、精神力を振り絞る。
(今私が気絶すれば、負けが決まってしまう・・・それだけは、させません!)
 仲間を守る。それだけを念じ、伊沙羅は四人掛かりのセクハラを必死に耐える。
「頑張るなぁ栄面選手。諦めて絶頂失神してもいいんだぞ?」
 伊沙羅の秘部から口を放したレフェリーは、ヒップを揉み立てながら伊沙羅に声を掛ける。
「そら、ここも好きだろ?」
 レフェリーは淫核に人差し指を添えると、振動を送り込む。しかも秘裂舐めを再開する。
(くぅぅぅっ!)
 目の前で火花が散るが、失神だけはしまいと気力を振り絞る。
「耐えるのもまた修練よ。善哉善哉」
 護覚は乳房を揉み、乳首を弄る。
「伊沙羅ちゃん、もう楽になろうよ。おじさん、耐える伊沙羅ちゃんを見るのが辛いよ」
 口とは裏腹の表情で、火筒は伊沙羅の頬を舐め、唇を奪う。
 マンハッタンブラザーズ2号は黙々と伊沙羅の太ももを撫で回している。
(駄目ですわ、耐えないと・・・んんんっ、耐えないと・・・っ!)
 仲間を守るのだ。それだけを念じ、淫らな責めを耐え続ける。
「・・・んっ・・・ぁ・・・?」
 そのとき、式壬の口から小さな呟きが零れた。
「『喝ッ!』」
 式壬が意識を取り戻したと見て、立ち上がった護覚が式壬を「呪縛」する。式壬が意識を取り戻したことで、伊沙羅の緊張が緩む。
(あ・・・ああぁーーーーっ!)
 その隙間から溢れ出すように、官能が限界を超えた。伊沙羅もまた絶頂失神へと叩き込まれ、「呪縛」が解けて式壬に背中を預ける。
「今度は栄面選手が失神したか」
「それじゃ、今度は皆で式壬ちゃんを慰めてあげなきゃいけないね」
 伊沙羅に群がっていた男たちが、今度は式壬へと標的を変える。
(うああっ! くそッ、イッたばかりだってのに!)
 絶頂失神から目覚めたばかりの身体に、容赦なく快感責めが加えられる。伊沙羅が失神した現状、自分までが失神しては敗北が決まってしまう。相棒を自分と同じ目に遭わせてはならない、チームの仲間を守らねばならない。総長としての責任感が、絶頂を拒む。
「式壬ちゃんが失神すれば、勝負は決まるからねぇ。おじさん、頑張ってイカせちゃうよ」
 火筒が式壬の秘裂に指を突き入れ、激しく出し入れする。式壬の秘部は、水音が式壬自身の耳に届くほどの愛液を流していた。
 しかも右乳房をレフェリーが、左乳房を護覚が、ヒップをマンハッタンブラザーズ2号が責め、快楽中枢を刺激する。
(このままだと、また・・・イッち、まう・・・っ!)
 声を出して発散することも、動くことで誤魔化すこともできず、快感はひたすら溜められていく。
 そして。
(あぐぅ・・・っ!)
 式壬は絶頂へと至ってしまった。
(ぐっ、ううっ、あふぅ・・・くああ!)
 それでも、失神寸前で踏みとどまった。しかし男たちの責めが終わるわけではなく、快楽地獄は続く。
「あらら? 式壬ちゃん、潮吹いたのに気絶はしないんだ。手緩かったかなぁ」
 火筒は秘裂の中の指を大きく円を描くように動かし、膣の入り口周辺を纏めて刺激する。
「さっきは失神したのにな。乳首ももうこれ以上ないくらいに硬くなってるぞ?」
 レフェリーが乳房を揉みながら、乳首を弄り回す。
「やはり簡単には堕ちぬのお」
 護覚も式壬の左乳房を弾ませながら一人頷く。
(あぁぁ・・・いつまで耐えれば・・・あぐぅ! いいんだ・・・)
 先程達したばかりの身体は、尚も絶頂に向かって転げ落ちる。式壬は根性だけで耐えている状況だった。
「ふっ、うぅん・・・」
 そのとき、伊沙羅の吐息が零れた。
「『喝ッ!』」
 間髪入れずに護覚の「呪」が飛ぶ。
(ここだ!)
「・・・うおぉああぁっ!」
 式壬の目がぎらりと輝き、残った気力で「呪縛」を解く。どうやら護覚は「呪」を連続では飛ばせないことに式壬も気づいていた。ならば、「呪」を放った今がチャンスだ。伊沙羅も続くと信じ、護覚を睨みつける。
(今・・・式壬が、お坊さんの技を解いた? なら・・・っ!)
 式壬が「呪縛」を解いたのに気づき、遅れて伊沙羅も「呪縛」を解こうとする。しかし、失神から覚めたばかりの伊沙羅は普段の反応ができなかった。
「『喝ッ!』」「・・・うああああっ!」
 先に「呪縛」を解いた式壬が、改めて「呪縛」された。遅れて「呪縛」を解いた伊沙羅の拘束は外れず、反撃に移れない。
「『喝ッ!』」
 そして、伊沙羅も「呪縛」された。
(私が、足を引っ張ってしまうなんて・・・)
 式壬をフォローするのが伊沙羅の役目だった筈だ。式壬が「呪縛」を解いたことにもう数瞬早く気づいていれば、もう数瞬早く「呪縛」を解いていれば、反撃が可能だった筈だ。後悔が伊沙羅の精神を打ちのめす。
「これだけやってもまだ心が折れぬか。嬲り甲斐があるのお」
 護覚が顎を撫で、美少女たちの奮闘に感心する。しかし、それは余裕の有る者の動作だった。そのまま式壬と伊沙羅の互いの拘束を微調整し、二人の側面に位置取る。
「いつ二人が失神から覚めるか判らぬでな、二人共に見える位置に居させてもらう」
 護覚は式壬の右隣り、伊沙羅から見れば左隣にどかりと胡坐を組み、二人の乳房を揉み始める。
「そういうことなら仕方ないか。なら、俺はこっちから・・・」
 レフェリーは護覚と反対側に座り込み、式壬の左乳房と伊沙羅の右乳房を揉み回す。
「それじゃ、おじさんは引き続き式壬ちゃんのアソコを」
 火筒は式壬の秘部に手を伸ばし、淫核と秘裂を同時に責める。
 マンハッタンブラザーズ2号は伊沙羅の正面にしゃがみ、伊沙羅の秘裂を弄る。
 打開策を見出せぬまま、式壬と伊沙羅は男たちに嬲られ続けた。淫楽による絶頂失神と覚醒、「呪縛」を繰り返されるものの、二人同時に失神に陥らないのが、淫獄に捕らわれた二人のせめてもの意地だった。

(今・・・一体、何度目の覚醒なのでしょうか・・・んんっ)
 失神から覚めた途端に「呪縛」され、男たちから玩ばれながら、伊沙羅はそんなことを思っていた。
(失神すれば、この術は解ける・・・でも、目が覚めた途端に術に掛けられてしまう・・・あああっ!)
 思考の途中で絶頂失神し、泥のような疲労の中から覚醒する。
 失神から覚めた伊沙羅は、自分の左乳房を捏ね回す護覚を見ていた。ただなんとなく。失神と覚醒を繰り返したせいか、空白が心に生じていた。
「『喝ッ!』」
「・・・」
 伊沙羅の覚醒に気づいた護覚が「呪」を飛ばす。それでも伊沙羅の心は空白のままだった。
「むっ?」
 何故か護覚の動きが一瞬止まる。それを伊沙羅はぼんやりと眺めていた。
(んっ!)
 急激に感覚が戻る。レフェリーの舌が乳首を舐め回し、マンハッタンブラザーズ2号の指が淫核と秘裂を弄る。空白の心はその刺激に反応してしまう。
「『喝ッ!』」
 再度「呪」が飛び、伊沙羅は「呪縛」された。
「あ、おじさんいいこと思いついたよ」
 式壬を嬲っていた火筒が、式壬から離れてリング外へ向かう。すぐに戻ってきた火筒の手には、水の入ったペットボトルがあった。
「式壬ちゃんも伊沙羅ちゃんもだいぶ汗を掻いてるし、これだけ下のお口から潮を吹いちゃってるからね」
 火筒はわざわざペットボトルを置いてから、二人の秘裂を悪戯する。指にたっぷりとそれぞれの愛液をつけると、式壬の愛液がついた右手人差し指を伊沙羅の口に、伊沙羅の愛液がついた左手人差し指を式壬の口に入れ、パートナーの愛液を確認させる。
 そのまま二人の舌を弄っていた火筒だったが、唾液で濡れた手でペットボトルの蓋を開ける。
「脱水症状が怖いからね、おじさんが水分補給をしてあげるよ」
 火筒はペットボトルの水を口に含むと、式壬の唇を奪う。そのまま、自分の口内の水を式壬に移す。そうしながら式壬の舌を自分の舌で嬲る。「呪縛」されている式壬だったが、喉が勝手に動き、水を飲み込んでいく。
「・・・次は伊沙羅ちゃんだね」
 火筒は伊沙羅にも同様に口づけから水を飲ませる。自分の舌で伊沙羅の舌を嬲るのも同様だ。
「・・・ぷふぅ。おじさんは優しいでしょ?」
「とか言いながら、キスしたかっただけだろ」
 薄く笑ったレフェリーは、伊沙羅の乳房を揉み始める。
「それじゃ、優しいおじさんは式壬ちゃんのアソコを可愛がってあげるね」
 火筒は式壬の秘裂と淫核を撫でる。
 マンハッタンブラザーズ2号は式壬の豊かな乳房を揉む。
「今度は拙僧が尻の大きい女不良の観音様を担当か。善哉善哉」
 もう反撃もないと見たか、護覚は伊沙羅の秘裂を弄りだす。
「もうそろそろ二人も限界だろう。同時に絶頂失神に追い込む、ってのもいいな」
 伊沙羅の乳房を揉み、張り詰めた乳首を嬲りながら、レフェリーが提案する。
(確かに、このままでは厳しい・・・しかし、まだ負けが決まったわけではありませんわ)
 伊沙羅は闘志を蘇らせつつあった。皮肉なことに、厭らしい水分補給によって僅かながら気力が回復したのだ。気力が回復したことで、明哲な頭脳も回転を始める。
 外部からの刺激をシャットアウトし、今までの闘いを冷静に振り返り、必要な情報を一瞬で掴み出す。
「・・・式壬」
 式壬にしか届かない声量で伊沙羅が囁く。「呪縛」された火筒が微かではあるが声を発した事実、それがあったことで伊沙羅は「呪縛」中でも発声をできると信じ、可能にした。
「策が・・・できました・・・んっ・・・タイミングは、察してくださいな・・・」
「・・・」
 式壬からの返答はない。しかし、伊沙羅は式壬を信頼していた。
(これからは、度胸とタイミングの勝負ですわ)
 覚悟を決め、作戦を開始する。
「もう・・・この術は、効きませんわ・・・」
 声量はないが、伊沙羅の発声に男たちの手が止まる。
「ほう、散々天に昇ったというに、声を出せるか。善哉善哉」
「聞こえませんでした、か? この術は、もう効きませんわ」
 多少引っ掛かるものの、伊沙羅ははっきりと宣言した。
「声を取り戻したんですもの、それ以外の自由も取り戻しますわ」
「口だけでは何とでも言えるのお」
 護覚が顎を撫でる。
「自信が、ありませんの? それならば、このまま術を破るだけ、ですわ」
 そう言って、静かに息を吸う。息を吸いながらも心を空白に、否、穏やかな水面のように鎮める。
「『喝ッ!』」
 伊沙羅の声すら奪おうと、護覚が「呪」を放った瞬間だった。
「っ!?」
 護覚の「呪」は伊沙羅の心の水面に跳ね返され、自らを「呪縛」してしまった。それに乗じ、伊沙羅は一気に「呪縛」を解く。
「式壬!」
「うおおおおおおおおっ!」
 式壬が「呪縛」を気迫で解き放ち、互いの背中を押し出すように飛び出す。
 伊沙羅は護覚に突進すると喉元を掴み、そのまま持ち上げてリングに叩きつける。
 式壬は豊かな乳房を揺らしながら火筒を殴り飛ばし、マンハッタンブラザーズ2号の顔面に喧嘩キックを叩き込む。ロープの反動で跳ね返ってきた2号の顔面に右ストレートを突き刺すと、マンハッタンブラザーズ2号の体が一回転して腹這いでリングに落ちた。
 突然の逆転劇に、レフェリーは驚愕していた。しかし、式壬と伊沙羅はただの美少女ではない。レディースとして抗争に明け暮れ、他のチームから恐れられるほどの闘いを潜り抜けてきたのだ。勝機を掴む手腕と回復力は並外れている。
「こいつを、アタシの背中につけた時点で・・・テメェらの負けは、決まりだよ」
 激しい動きに再び頭部から出血した式壬が、荒い息を吐きながらも親指で伊沙羅を指差し、レフェリーに啖呵を切る。
「・・・まだ、勝負は決まってないよ」
「すぐに決まりますわ!」
 立ち上がろうとした火筒の顔面に、伊沙羅が頭突きを放つ。火筒の歯に当たったか、伊沙羅も頭部から出血していた。
「・・・『喝ッ!』」
 ようやく起き上がった護覚が伊沙羅へと「呪」を放つ。しかし、護覚と伊沙羅の間に身体を投げ出したのは式壬だった。隠すもののない裸体を大の字に広げ、自らの身で「呪」を遮り、「呪縛」される。
「小癪な真似を!」
 護覚は式壬の後ろに回り込み、改めて「呪」を放とうとする。
「ぬっ!?」
 しかし、そこに伊沙羅の姿はなかった。と、突然視界が塞がれた。
「だ〜れだ?」
 耳元への甘い吐息と、背中への柔らかい感触。破戒僧の護覚は思わず注意を散じていた。その眼球に突然圧力が掛かる。しかも肝臓の裏へ凄まじい衝撃。
 護覚の両目を塞いだ伊沙羅が、そのまま肝臓の裏側へ膝蹴りを見舞ったのだ。人体の急所へ容赦ない攻撃を受けた護覚は、膝をついて呻く。
「少しサービスになりますが・・・」
 護覚の首の後ろに跨った伊沙羅は、剥き出しの太ももで首を絞める。護覚は首に秘部と太ももの感触を感じながら、先程の打撃の痛みと絞められる苦しみにもがく。
「地獄を見せて、差し上げますわ」
 場違いにも涼やかな表情で、伊沙羅が肘を振り上げる。そのままDカップの乳房を揺らしながら、両方の肘を護覚の脳天へと乱打する。
 護覚の脳天が割れ、どろりとした血が溢れ出す。血は前方へと垂れ、護覚の視界を塞いだ。
「目が塞がれても、先程の術は使えるのでしょうか?」
 その問いも護覚には届かない。伊沙羅は護覚ごと反転し、首四の字固めで容赦なく絞め上げる。逞しい太ももが護覚の首へと巻きつき、酸素の供給を断っていく。
 やがて、護覚の動きが止まる。大きく息を吐いて技を解こうとした伊沙羅に、影が落ちた。
「・・・やってくれたね伊沙羅ちゃん!」
 痛みから回復した火筒が踏み潰そうとでも言うのか、伊沙羅へと向けて右足を振り上げる。しかし伊沙羅は体力を使い果たしたのか、動こうとしない。
 いきなり、火筒が横へと吹っ飛んだ。「呪縛」を解いた式壬が、強烈なジャンプキックを放ったのだ。リングへと倒れた火筒はぴくりとも動こうとしない。

<カンカンカン!>

 男性選手がすべて気絶したと見て、試合終了のゴングが鳴らされる。
「詰めが甘ぇよ」
 流血したままの式壬が伊沙羅に手を伸ばす。
「あら、貴女を信じていたからですのに。心外ですわ」
 その手を掴んで立ち上がりながら、同じく出血した伊沙羅が口を尖らせる。二人共水着を奪われ、身を飾るのはオープンフィンガーグローブと自らが掻いた汗、そして頭部からの出血のみだ。
「さて、と・・・」
「もう一人、残っていますわね」
 二人の美少女の視線が、こっそり退散しようとしていたレフェリーへと向いた。
「あ、ふ、二人共、勝利おめでとう。こっちは忙しいから、これで失礼させてもらうよ」
 冷や汗を流したレフェリーが、じりじりと後ずさる。
「まあ待てよ。お土産があるから・・・よッ!」
 式壬の鋭い、だが幾分は加減されたアッパーがレフェリーの顎に叩き込まれる。
「お、ご・・・」
 よろめいたレフェリーの喉笛を伊沙羅が掴む。
「私からのお土産も、もらって頂けますか?」
「や、やめろ・・・っ!」
 逃れようともがいたレフェリーの手が偶然、伊沙羅の前髪を跳ね上げる。
「・・・えっ?」
 前髪の下には、額に走る亀裂のような傷跡が隠されていた。
「何を・・・見ているのですか?」
 氷点下の冬風を思わせる冷徹な声で、伊沙羅が呟く。
「いや、それは・・・」
「『喝ッ』!」
 伊沙羅が凄まじい一喝と眼光を放った途端、レフェリーが硬直した。伊沙羅はそのまま容赦ない頭突きを叩き込む。手を放すと、意識を失ったレフェリーがキャンパスに崩れ落ちた。
「あのお坊さんの術、コツがわかったかもしれませんわ」
 そう言って微笑む伊沙羅に、式壬がため息を返す。
「そうやって頭突きし過ぎるから、額にそんな傷が残るんだろうが」
 しかし、そこで式壬の表情が引き締まる。リングに落ちていたパレオを拾い、大きく広げる。観客席最前列に陣取る、敵チームの不良たちへと。
「このエンブレムだがよ・・・」
 男たちの淫虐によって、伊沙羅が汚したエンブレム。
「そこに居る全員の血で清めさせてもらうぜ」
 式壬の宣言に、不良たちの表情が変わる。
「皆さんにも私たち二人と同様、頭から血を流して頂くことになりますわね」
 伊沙羅がにこやかに告げる。
「すぐにご挨拶に伺いますので、宜しく」
 伊沙羅の微笑に、不良たちの表情は硬く強張った。
 式壬はやると言ったら必ずやる。しかも式壬、伊沙羅の二枚看板に加え、他県へと遠征に出ていたチームの精鋭が揃っているのだ。自分たちの運命を思い、不良たちは背筋を冷たくした。
「行くぜ、伊沙羅」
「ええ、式壬」
 式壬が促し、伊沙羅が続く。
 リングを下りた式壬と伊沙羅は肩を寄せ、それぞれの肩に一枚のパレオを掛け、花道を下がっていく。隠しきれていない乳房、ヒップ、股間に男たちの視線が、野次が、指笛が飛ばされるが、それに反応も見せず、二人のレディースは悠然と退場して行った。
 チームのエンブレムを背に負って。


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