【特別試合 其の六 天王寺操:プロレス 第二戦】

 犠牲者の名は「天王寺操」。21歳。身長166cm、B96(Hカップ)・W62・H91。長く艶やかな黒髪、ぱっちりとした鮮やかな瞳、桃色の唇。麗しい顔立ちと素晴らしいプロポーションが男性の視線を惹きつける。
 天王寺財閥の娘として何不自由ない暮らしを送っていたが、親が敷いたレールの上を動くだけのような人生が嫌になり、プロレス界へと身を投じた。生真面目な性格で日々練習を積む操だったが、一向に芽が出ず、リングでは敗戦を重ねる毎日だった。
 前回初めて<地下闘艶場>に参戦し、男性のサンダー・桝山と対戦。桝山だけでなくレフェリーからもセクハラを受け続けたが、乾坤一滴のバックドロップで見事勝利を挙げた。
 今回の対戦相手は女性だと聞かされた操は、参戦要求をすぐに承諾した。女性相手ならセクハラもないだろう、そんな甘い考えは、リングの上で打ち砕かれることとなる。

 今回、操はレガースは着けているものの、白い振袖を着ての入場だった。サイズが合っていないのか、胸元が大きく開いてまるで遊女のようだった。しかも歩くたびに裾が割れ、色白の太ももがちらりと覗く。
(なんなのこのコスチューム! 胸は出そうだし前はちゃんと合わないし)
 心の中で憤慨する操に対し、観客席から「おっぱい見せてー!」との声が飛ぶ。
 実は前回、操は勝利した嬉しさの余り衣装からバストが零れ出たことに気づかず、乳房丸出しのままで退場してしまった。それを知っている観客からの冷やかしだろう。操は聞こえぬ振りをして花道を早足で抜け、リングへと上がった。
 リングの上には前回と同じレフェリーと、大柄な女性が待っていた。黒革のボンテージ服に身を包み、両肩、鎖骨、胸の谷間、太ももなどを露わにして恥ずかしがるそぶりも見せない。
(この前は男性にも勝ったんだもの。今日も勝利を挙げてみせる!)
 操は一人大きく頷いた。

「赤コーナー、『女王様』、茨木美鈴!」
 「茨木美鈴」。22歳。身長174cm、B92(Fカップ)・W66・H94。髪を真っ赤に染めた、きつめの顔立ちの美人。本職のSM女王であり、過去に二度<地下闘艶場>に上がっている。サンボを学んでいるが、女の子を押さえ込むためだとの噂がもっぱら。
 自分の名前がコールされると、美鈴は両手を広げて歓声を煽る。これに応え、観客席から「女王様!」コールが巻き起こる。
「青コーナー、『みさおっぱい』、天王寺操!」
 操の名前がコールされると、望んでもいないのに嘲笑交じりの「みさおっぱい!」コールが巻き起こる。
(今に見てなさい。練習を積んだ私は、この前の私とは一味違うんだから!)
 馬鹿にしたようなコールの中、操は自分の成長を見せつけ、実力で観客を黙らせることを誓った。

 レフェリーは美鈴にボディチェックを行おうとしたが、猛烈な口撃を受ける。
「あんたね、この前散々人の体触っておいて今日も触ろうって言うの!? 今日は指一本でも触れたら張っ倒すわよ!」
 美鈴の剣幕にレフェリーも手を出せず、すごすごと操の前にやってくる。
「天王寺選手、ボディチェックだが・・・」
「なぜ相手が受けていないのに、私が受けないといけないんですか! あちらのボディチェックが先でしょう?」
「それは・・・」
「絶対に嫌です! 不公平です! セクハラです!」
 こう言われては、操にだけボディチェックを受けさせるわけにもいかない。レフェリーは役得を諦め、ゴングを要請した。

<カーン!>

「うふふ、宜しくね操ちゃん」
 レフェリーに対する態度とは打って変わり、美鈴は微笑みを浮かべながら操に対する。ただし、その微笑の奥には欲望の光がちらついている。しかし操がそのことに気づくこともなく、美鈴に誘われるまま手四つの体勢になった。
「うぁぁっ!」
 美鈴の圧力に耐える間もなく、一気に倒される操。ブリッジで堪えようとしたが、美鈴にお腹の上に座られることで潰され、マウントポジションを取られる。
「おっきいおっぱいしてるわね。私より大きいなんて、嫉妬しちゃうわ」
 美鈴は振袖の上から操のバストを掴み、大きさを確かめながらゆっくりと揉む。
「え!? なんで胸を触るの!」
「なんでって、私女の子が大好きなの。対戦相手が貴女だって聞いて、もうこのおっぱいを触るのが楽しみで楽しみで」
 美鈴の告白に身の危険を感じ、操は美鈴の手首を持って関節技を狙う。
「あら、抵抗するの? 駄目よ、もっと触らせて」
 美鈴はあっさり操の手を払い、またもバストに手を伸ばす。しかし操は思い切りブリッジをして空間を作り、体を回転させて美鈴の下から抜け出す。
 無理やり脱出したため振袖の裾が大きく割れ、太ももが剥き出しになる。その奥にちらりと見えた白いものに、観客席が沸く。
「へぇ、ちゃんと逃げ方知ってたのね。でも・・・抵抗する獲物じゃないと、私、燃えないの」
 美鈴はマウトポジションから逃げられたというのに、涼しげな表情だった。
「その余裕、崩してみせるわ!」
 助走からのドロップキック。操の打点の低いドロップキックは楽々とかわされ、美鈴にまたも馬乗りになられてバストを揉まれてしまう。
「くっ!」
 今度もブリッジから逃れ、素早く跳ね起きる。
「これならどう!」
 ロープに走ってからのラリアートを繰り出したが、美鈴に軽くかわされ、足を刈られて倒される。
「痛っ!」
 背中を打った痛みに動きが止まった操に、またも美鈴が馬乗りになり、バストを揉む。
「いいかげんにして!」
 ブリッジからのエスケープ。先程までと同じような展開に、操はあることに気づく。
「まさか・・・遊んでるの!?」
「キャッチアンドリリース、これも楽しむコツよ」
「ふざけないでっ!」
 操の怒りの突進は、美鈴に簡単に受け止められた。
「自分から来てくれるなんて、私嬉しいわぁ」
 美鈴は俵投げでリングに叩きつけ、痛みに呻く操をぶっこ抜きサイドスープレックスで再びリングに叩きつける。美鈴は動きの止まった操を無理やり立たせると、
「さぁて・・・覚悟はいいかしら、操ちゃん?」
 帯を掴んだ。
「ちょっと・・・まさか」
「御名答! そ〜れっ」
 美鈴が帯を思い切り引っ張ったため、操は回転しながら横向きの状態でリングに倒れ込む。
「一度やってみたかったのよ、悪代官プレイ! さ、脱ぎ脱ぎしましょうね〜」
 美鈴が目を回した操から振袖をひん剥く。この光景に沸いた観客席だったが・・・
「って、なに着てるの!」
 操は振袖の下に、自前の衣装を身に着けていた。これには観客から大ブーイングが起きる。
「確か<地下闘艶場>って、用意された衣装しか着ちゃ駄目だったわよね。さ、その衣装も脱がしてあげるわ」
「お断りよっ!」
 操は自分に伸ばされた美鈴の両手を掴み、巴投げで投げ飛ばす。すっかり油断していた美鈴はまともに背中から落ちた。自分が投げられたことを信じられずに数瞬呆然としていた美鈴だったが、嬲りの対象でしかなかった操から投げられたという屈辱に顔が赤く染まる。
「がぁぁっ!」
 獣のような雄叫びを上げ、立ち上がりかけていた操をタックルで吹き飛ばす。
「あうっ!」
 これで操はニュートラルのコーナーポストに背を打ち、ずるずると尻もちをつく。
「私に恥を掻かせた罪・・・ちょっとやそっとじゃ償えないわよ!」
 美鈴は怒りに顔を歪ませ、操の鳩尾にトーキックの連打を突き込む。
「あぐっ、ぐぇっ!」
 この痛みに、鳩尾を押さえて悶絶する操。しかし美鈴はなおもストンピングで責め立てる。
「まだよ、これくらいじゃ終わらないわよ!」
 美鈴が操の顔面を蹴り飛ばそうとした、そのときだった。

「待ちなさい!」

 いつの間に現れたのか、赤コーナーの上に立つ一つの影があった。
「あたし以外の弱い者いじめは許さない! 正義の覆面美少女、『ふらわー仮面』参上!」
 栗色の髪のショートカット、青いヘアバンド、悪戯な笑みを浮かべた口元。しかも衣装は見慣れた白と青のコスチューム。目元が隠れるマスクをしているものの、操の良く知る人物とそっくりだった。
「・・・なにやってるの、はな」
「違う! あたしの名前は『ふらわー仮面』!」
 びしっとポーズを決め、訂正するふらわー仮面。
「でも、どうやってここに?」
 操の問い掛けに、得意気に鼻をひくつかせる。
「ふっふっふ、はなちゃんの情報網を甘く見ないでね♪」
「今、自分ではなちゃんって・・・」
「違う! あたしの名前は『ふらわー仮面』!」
 操をびしりと指さし、訂正するふらわー仮面。もう突っ込む気力も失せ、操はため息を吐く。
「お二人さん、漫才は終わったかしら」
 二人のやりとりを生暖かく見守っていた美鈴が、一歩前に出る。
「それで? 今度はお嬢ちゃんが相手をしてくれるのかしら?」
「お嬢ちゃんじゃなくて『ふらわー仮面』!」
 コーナーポストの上から、ふらわー仮面が華麗に舞う。ふらわー仮面の放ったミサイルキックを咄嗟にガードした美鈴だったが、ガードの上から吹っ飛ばされる。
「やってくれるわね!」
 素早く立ち上がり、ふらわー仮面に掴みかかる。ふらわー仮面は美鈴の手を受け止め、手四つの体勢になる。美鈴は上から押し潰そうとしたが、自分より小さいふらわー仮面をねじ伏せることができない。
「やるわねお嬢ちゃん・・・!」
「『ふらわー仮面』だって言ってるでしょ・・・!」
 長身の美鈴が圧し掛かるように押さえつけているというのに、ふらわー仮面は一歩も引くことなく互角に力比べをしている。
(なんなのこの腕力! でもね・・・)
 美鈴は軽く跳び上がるようにして両脚をふらわー仮面の右腕と首に絡め、飛びつき腕ひしぎ逆十字を狙う。グラウンドへと引き込んだ、と思った美鈴だったが、ふらわー仮面は自分の右手を左手でがっちりとクラッチしてそれをさせない。
「その体で身軽だね〜。でも、そんな技じゃ『ふらわー仮面』は倒せないよっ♪」
 美鈴を右腕にぶら下げたまま振り回し、コーナーポストに衝突させる。
「あぐっ!」
 美鈴は後頭部を襲った痛みに手を離してしまったが、振り回された勢いを使って転がることで距離を取り、体勢を整えて立ち上がる。
「規格外のパワーね。貴女・・・何者?」
「何回言えば覚えるのかなぁ。『ふらわー仮面』! どう? 覚えた?」
「そういう意味じゃないわよ。まったく、ムカつく小娘ね」

 操はコーナーポストにもたれたまま、ふらわー仮面の動きに魅せられていた。
(凄いわはな、美鈴って人に全然負けてない。身長差もあるのに力負けしてないなんて、相変わらず化け物染みた強さね)
 自分がまるで敵わなかった相手を軽く捻って見せたはな、否、ふらわー仮面の実力に、悔しさ交じりの羨望を感じる操。
(で、でも、私だってあそこから逆転できたんだから!)
 未だに座り込んだままながら、どこまでもプライドの高い操だった。

 ふらわー仮面を睨んでいた美鈴だったが、ふっ、と表情を緩める。
「ま、いいわ。もう一度力比べ、してみましょうか」
 美鈴の伸ばした右手に、ふらわー仮面も左手を絡ませようとする。しかし美鈴は手四つには行かず、その手を掴んで逆一本背負いで投げ飛ばす。
「あいたっ!」
 虚を突かれたふらわー仮面は綺麗に投げられ、美鈴の下敷きにされる。美鈴はそのままふらわー仮面に馬乗りになり、バストを鷲掴みにする。
「へぇ、操ちゃん程じゃないけど、貴女も中々のおっぱいしてるじゃない」
「あんっ・・・ありがと、でも試合中に触られるの、余り好きじゃないのっ!」
 ふらわー仮面は美鈴の両手首を掴んで引き剥がすと、腹筋の力だけで上体を起こす。
「そぉーれっ!」
 美鈴の両手を掴んだまま上半身を思い切り後方に倒し、腕力と勢いだけでぶん投げる。
「くっ!」
 両手は使えなかったが、足の裏と腰を上手く使って受身を取った美鈴。しかしふらわー仮面の動きは止まらない。自分は美鈴の両手首を持ったまま後転することで美鈴の上に立ち、美鈴を引き起こしながら、なんと一気にタイガードライバーへと持っていく。
「ぐはぁっ!」
 この無茶苦茶な技の持って行き方は予想外で、美鈴は受身が遅れて強かに頭を打つ。
「んっふっふ、人のバスト触ったんだから、女王様も気持ちよくしなきゃ失礼だよね♪」
 ふらわー仮面は美鈴を抱え起こすと、素早く四肢を極める。
 <ふらわーロック>。
 相手の両膝を後ろから抱え、そのまま相手の両手を掴む。身動きできない相手の股間を自分の膝の上に乗せ、相手の体重を秘部にのみ集中させる技。相手が身悶える様が、音に反応して動く玩具の「フラワーロック」に似ていることからこの名がついた。
「どうかな女王様? 気に入ってもらえたかな?」
「あ、貴女、絶対に許さない・・・あふっ!」
「やだー、そんな言い方したらこわーい♪」
 言葉だけ恐がる振りをして、美鈴の身体を揺する。細かく膝も動かすことで秘部を責め、美鈴を巧みに追い込んでいく。
「ギブアップするなら今のうちだよ?」
「だ、誰がギブアップなんて・・・ふぁぁっ!」
 快楽の声を上げながらも、美鈴は敗北を認めない。
「あっそ。それじゃ、これで決めてあげる♪」
 ふらわー仮面はふらわーロックを解き、ローリングクレイドルへと繋げる。しかし良く見るとただのローリングクレイドルではなく、美鈴の秘部でふらわー仮面の指が蠢いている。
「んなっ・・・くぅっ・・・あぁん!」
 体を回され続けることで平衡感覚がおかしくなり、秘部から与えられる刺激だけが脳に届いてしまう。
(くっ、こ、こんな小娘に・・・イ、イカされちゃう・・・!)
 美鈴のプライドが、ふらわー仮面の指技に溶かされていく。
「ほーら・・・イッちゃえ♪」
「あぁぁーーーっ!」
 とどめの一撃に美鈴の体が何度も痙攣し、肌が薔薇色に染まる。そのままぐったりと動かなくなった美鈴を押さえ込み、レフェリーに目で合図を送るふらわー仮面。
「ワン、ツー・・・スリーッ!」

<カンカンカン!>

 ゴングが鳴らされると、ふらわー仮面はなぜか顔の赤い操に歩み寄り、手を貸して立たせる。それを見たレフェリーは失神した美鈴に圧し掛かり、溜まった鬱憤をぶつけるようにバストを揉みしだき始めた。
「ありがとうはな・・・『ふらわー仮面』。でも、助けてくれなんて頼んだ覚えはないわよ」
「ふーん、折角助けてあげたのにそんなこと言うんだぁ」
 操の言葉に、ふらわー仮面の目が光る。
「勝手に乱入して勝手に闘っただけでしょう? だいたい、あれから私の反撃が・・・」
 操の言うことなど最後まで聞きもせず、ふらわー仮面は素早く背後を取る。
「お仕置きー!」
 がばっ、とコスチュームを膝下まで引き下ろし、腰をクラッチする。
「え? え? なにを・・・」
 操は状況を把握できないまま、ジャーマンスープレックスでリングに叩きつけられる。
「あ・・・ぐ・・・」
 ふらわー仮面がジャーマンの威力を失神しない程度に抑えたため、操は抵抗力だけ奪われ、乳房もアンダーサポーターも丸出しでリングに横たわった。
 ここで、改めてゴングが鳴る。

<カーン!>

「人の親切に素直にお礼も言えないような女の子には、礼儀を体に叩きこまなきゃねー♪」
 そうのたまうと、ふらわー仮面は操を軽々と抱え上げ、アルゼンチンバックブリーカーに極める。
「ちょっと、やめなさい! 見えちゃうから!」
 胸元と股間を隠し、操が叫ぶ。この操の声に、美鈴の身体を弄っていたレフェリーが反応する。
「おぉっ、もうちょっとで見えそう・・・っと」
 レフェリーは少しでもいい位置を得ようとするが、ふらわー仮面はそのたびに立ち位置を変え、レフェリーの欲望を叶えさせない。
「おいおい、少しくらい見せてくれても・・・」
「だめ〜! 操ちゃんの身体、レフェリーなんかに見せるの勿体無いもん」
 そう言いながらもアルゼンチンバックブリーカーを緩めることはせず、操の腰がギシギシと悲鳴を上げる。
「あ・・・ぐぅぅっ!」
「ねー操ちゃん、そろそろギブアップしない? ギブアップするなら、あたしにお礼言わなかったことも許してあげる」
「・・・私は、ギブアップなんかしない!」
「あっそ。強情だなぁ」
 ふらわー仮面は頭上に操を差し上げ、垂直落下式のバックブリーカーで操の腰を膝の上に落とす。
「ぐぅぅっ!」
 うつ伏せになり、背中を押さえて呻く操。それでも痛みを堪えてコスチュームを元に戻そうとしたが、伸ばした手をふらわー仮面に掴まれる。
「ここまでしたくなかったけど、強情な操ちゃんが悪いんだからね♪」
 ふらわー仮面は操の両手首を捉え、両足をフックし、そのまま半回転して自分の背中をリングにつける。
「きゃーーーっ! ちょっとはな、やめてよ、こんなのって、こんなのって!」
「はなじゃなくて『ふらわー仮面』! 間違えちゃ駄目だよ操ちゃん」
 ロメロスペシャルに極められた操は乳房を隠すこともできず、Hカップの巨乳を観客の目に晒されてしまう。せめてもの抵抗は、太ももを閉じて秘部を隠すことだった。剥き出しにされた操の乳房に、観客席から雄叫びが上がる。
「相変わらずでかいおっぱいだな。乳首の色も綺麗だし、また感触を確かめて」
「レフェリー、操ちゃんに手を出したら・・・殺すよ♪」
 可愛らしい口調での脅迫に、操の乳房に伸ばされたレフェリーの手が止まる。
「・・・ちょっとくらいなら」
「だ・め♪」
 美鈴を子ども扱いにしたふらわー仮面の実力に、レフェリーも強くは出られなかった。触ることは諦め、揺れるHカップバストを眺めるだけで我慢する。
(恥ずかしいけど、ギブアップだけは・・・あ!)
 ふらわー仮面が下から揺することで少しずつではあるが、アンダーサポーターがヒップの曲面に従ってずれていく。
「ちょっとストップ! サポーターが下がってきてる!」
 自分の巨乳で目視はできなかったが、感覚でわかる。もしこのまま行けば、とんでもないことになる!
「ふーん。じゃ、ギブアップする?」
「ギ、ギブアップはしないわ!」
 それでも、自ら敗北を認めることはしたくなかった。
(こ、ここだけは!)
 必死に太ももを閉じ、秘部を晒すことだけは耐える。しかしふらわー仮面は下からの揺さぶりをやめず、アンダーサポーターはゆっくり、だが着実にずれていく。
「ね、はな、『ふらわー仮面』、それだけは勘弁して!」
「でも、ギブアップはしたくないんでしょ? そうねー・・・今ギブアップするなら、今夜一晩私に付き合ってくれるだけで許してあげる♪」
 ふらわー仮面の言う一晩付き合うということは、まさしくそういう意味だろう。
「嫌よ! 絶対に嫌! ギブアップもお付き合いも嫌っ!」
「あっそ。なら、会場の皆さんに大事なところを見てもらうほうがいい?」
 このふらわー仮面の言葉に、会場中から大歓声が起こる。
「それは嫌ぁっ! お嫁に行けなくなっちゃう!」
 乳房を晒されているだけでも恥ずかしいのに、この上秘所を見られるようなことがあれば・・・
「いいじゃん、そうなったらあたしが貰ってあげる♪」
(はな、本気!?)
 もしそうなった場合、一晩とは言わず、来る日も来る日も嬲られることになるのではないだろうか。最悪の未来予想図が、操の抵抗をへし折った。
「・・・ギ、ギブアップ」

<カンカンカン!>

 ゴングが鳴ると同時にふらわー仮面はロメロスペシャルを解き、操の衣装を優しい手つきで元通りにしてあげる。
(負けた・・・ギブアップ負けだなんて・・・悔しい・・・!)
 プライドの高い操にとって、自ら敗北を認めるギブアップは耐え難い屈辱だった。しかし多くの男性に大事なところを見せることもできなかった。
(しかも、しかもはなに一晩付き合わなきゃいけないなんて!)
 なにをされるのか、想像するだけで気が重くなる。
(・・・上手く言い包めて、逃げちゃおうか)
「まさか操ちゃんともあろうものが、約束を破る、なんてことしないよね?」
 自分の考えが聞こえたかのようなふらわー仮面の発言に、びくりと背が震える。
「わ、私は一度した約束は絶対守るわ!」
 反射的に言ってしまってから、口を押さえる。
「そ! それじゃ行こっか♪」
(やられた・・・!)
 操の浅い考えは見透かされていたのかもしれない。無理やり立たされ、腕組みまでされた操は、鼻歌交じりのふらわー仮面に引きずられるように退場していった。
「もう・・・もう<地下闘艶場>なんか来ないーーーっ!」
 操の絶叫は、観客の歓声に掻き消された。

 後日、自団体でのはな戦になると、度を越すほどムキになって闘う操の姿に、多くのファンが疑問を持ったという。ただし、操はそのたび担架で退場していったのだが。
「つ、次は見てなさい・・・」
 操の言葉は、いつもか細く空気に溶けていった。

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