【閑話休題 座談会 其の十五】

涼子「恒例の座談会、今回で十五回目となります。よく続いたものですね。私は司会進行の於鶴涼子です、宜しくお願いします。今回は第七十一話から第七十五話に出場した皆さんに集まって頂いています」
ビクトリア「あー、やっぱり今回もあったのね、座談会」
涼子「そう仰らず。初参加の方もいらっしゃいますので、各自自己紹介をお願いします。年齢、職業、格闘スタイルを教えてください。まずは私から。年齢は21歳で、職業は受付嬢です。格闘スタイルは合気道になります。ではビクトリアさんからお願いします」
ビクトリア「ビクトリア・フォレストよ。24歳。アメリカ軍人で、格闘スタイルはマーシャルアーツ」
霧絵「谷早霧絵です。23歳です。職業は・・・この間までは無職だったんですが、ようやく職場が決まりました! 秘書業で、格闘スタイルは護身術です」
祁維「めんどくさいな〜。能見祁維。16。高校。修斗」
涼子「面倒くさいからといって、片言で済ませますか」
祁維「うん」
涼子「まったく、『ミケ』と呼ばれるのがわかる気がします・・・申し訳ありませんでした、灰祢さんお願いします」
灰祢「はいよ。櫛浦灰祢、23歳。土木作業員で、格闘スタイルみたいなのはないよ」
魅羅乃「鬼庭魅羅乃です。24歳。パン屋で働いていて、私も格闘スタイルはありません」
涼子「今回は祁維さん以外は全員二十代前半ですね」
祁維「ひっとりっでも、さみしっくなんっかない♪ さみしっくなんか・・・」
灰祢「なんだいその歌」
祁維「『一人でもさみしくなんかない』の歌」
ビクトリア「そのまんまね」
涼子「(どうも祁維さんには調子を狂わされますね)では、ここで恒例行事を。私が85のD、ビクトリアさんが98のHカップ、霧絵さんが86のE、祁維さんが82のCカップ、灰祢さんが121のLカップ! 相変わらずのサイズですね。そして魅羅乃さんが85のDカップです」
灰祢「また胸のサイズ発表か。ずっと続けてるんだな」
ビクトリア「・・・負けた。日本人に負けた」
灰祢「こんなもん、大きくたって邪魔になるだけだろうに」
ビクトリア「わかってないわね、バストには男のロマンが詰まってるんだから。だから、大きければ大きいほど男にモテるのよ!」
霧絵「そんなことないでしょ。胸だけ見て彼女を選ぶ男って最低よ」
ビクトリア「あら、アメリカじゃ大きいことは美徳なのよ(胸の下で腕組み)」
祁維「でも、日本人に負けた〜」
ビクトリア「う、うるさいわね!」
涼子「はい、そこまで。喧嘩はしないように」
魅羅乃「そっか、私今トップ85のDなんだ。あの人のお陰かな・・・」
霧絵「あの人って誰? いい人?」
魅羅乃「うふふ、旦那様よ」
祁維「えーっ!」
ビクトリア「え、魅羅乃って人妻?」
魅羅乃「ええ、そう」
涼子「雑談はその辺りにしておきましょうか。それでは、そろそろ座談会を進めましょう」

涼子「まず、第七十一話から。ビクトリアさんの試合からですね」
ビクトリア「私から、か・・・はぁ(ため息)」
霧絵「何ため息吐いているの?」
涼子「おそらく、敗北のせいでしょうね」
ビクトリア「ちょっと涼子! いきなりばらす!?」
涼子「申し訳ありません、順序を踏んでいませんでしたね(微笑) ビクトリアさんの衣装は野戦服のような半袖短パン、対戦相手は元橋様でした」
祁維「元橋サマー? ハーフの人?」
涼子「違います! 元橋様は純粋な日本人です!」
灰祢「ずれてる奴に本気で突っかかるなよ。疲れるだけだよ」
涼子「・・・失礼しました。ビクトリアさんは第四話で元橋様と対戦して完敗しました。しかし再戦を望むビクトリアさんは第六十五話での査定試合をクリアし、元橋様との再戦となりました」
魅羅乃「・・・ストーカーみたいね」
ビクトリア「誰がストーカーよ!」
涼子「言いえて妙ですね。試合はビクトリアさんも善戦しますが、最後は元橋様によって、その・・・失神させられてしまいました」
祁維「なんで口篭ったの〜?」
ビクトリア「い、いいじゃない、次に行こう!」
涼子「・・・所謂、絶頂失神、です」
ビクトリア「なんでばらすのよーーーっ!」
霧絵「ぜ、絶頂失神って、その・・・イった、ってこと?」
ビクトリア「なんで一々確認するのよ!」
霧絵「だ、だって、信じられないもの」
灰祢「確かにねぇ。しかも観客の前で、ってこったろ?」
ビクトリア「そうなのよ。思い出したら更に恥ずかしくなったわ・・・」
涼子「では、もう次に行きます」

涼子「次は第七十二話、霧絵さんの試合です」
霧絵「覚悟はしてたけど、また試合内容を発表されちゃうのね」
涼子「それが座談会の趣旨ですから(微笑) 霧絵さんの対戦相手はジグ・ソリタード。衣装はバスタオルでした」
灰祢「・・・は? 聞き間違いかい? 今、バスタオルって言わなかったかい?」
魅羅乃「私もそう聞こえたけど」
涼子「ええ、バスタオルと言いました」
霧絵「有り得ないでしょ? バスタオルを衣装と言い張るのよ!?」
涼子「確かに酷いですね。それでも闘う霧絵さんは苦戦するものの、バスタオルを使ってジグを捕らえ、右肘を脱臼させて勝利しました」
ビクトリア「あれ? バスタオルを使って、ってことは・・・脱いだの?」
霧絵「脱いだって言わないでよ。全裸になったみたいじゃない」
灰祢「下着姿にはなった、ってことかい?」
霧絵「・・・ええ、正解」
涼子「ジグに勝利した霧絵さんは、レフェリーの追加試合の提案を受け入れました。次の対戦相手は唐辻巳詩夜さんです」
魅羅乃「また恥ずかしい思いをするのがわかってるのに、なんで・・・」
霧絵「・・・ファイトマネーが欲しくって」
涼子「霧絵さんは以前にも<地下闘艶場>に出場経験があります。そのときは会社の社長から出場を強制され、セクハラ三昧の闘いに怒った霧絵さんは辞表を出したんです」
霧絵「すぐ就職活動をしたんだけど、全然駄目で・・・貯金もどんどん減っていったし。あ、でも今は就職先が決まったから大丈夫!」
涼子「巳詩夜さんとの闘いですが、霧絵さんは巳詩夜さんの右肘を脱臼させてしまいます」
祁維「えーっ! それはひど〜い」
ビクトリア「そうよ、同性相手にそれはあんまりよ」
霧絵「ちょっと待って! あの巳詩夜って人、とんでもない変態だったのよ?」
魅羅乃「・・・え?」
灰祢「どんぐらい酷かったんだい?」
霧絵「レズだったでしょ、Mだったでしょ、人のブラ取ったでしょ、凶暴化したでしょ・・・」
ビクトリア「ちょっと待って、最後の『凶暴化』って、変態とは違うくない?」
霧絵「変態で凶暴だったのよ!」
涼子「霧絵さんの仰るとおり、右肘を脱臼した巳詩夜さんは凶暴化しました。霧絵さんを押さえ込み、陰毛を引き抜くことまでしましたから」
魅羅乃「(絶句)」
灰祢「もしかして今、生えてないのかい?」
霧絵「抜かれたのは何本かだけだから! なに考えてるの!」
祁維「な〜んだ、ツルツルかと思ったのに」
霧絵「・・・この子は(プルプル)」
涼子「霧絵さんは巳詩夜さんの左肩も脱臼させ、さすがの巳詩夜さんも失神してしまい、KO勝利となりました」
霧絵「体力的にきつかったけど、精神的にも参っちゃったわ」
灰祢「聞いてるだけだけど、同情するよ」
魅羅乃「本当に」

涼子「続けましょうか。第七十三話は祁維さんが初登場した試合です」
祁維「クレープとアイスが食べ放題〜」
ビクトリア「???」
霧絵「唐突に何を言ってるのこの子?」
涼子「今から説明します(ため息) 祁維さんは、クレープが二箇月食べ放題の条件を付けることで参戦したんです」
魅羅乃「じゃあ、アイスは?」
涼子「それはまた後の話ですので、暫くお待ちを。祁維さんは用意された衣装を着ずにジャージ姿で登場し、ブーイングを浴びます」
他の一同「ええっ!?」
灰祢「ちょっと待ちなよ、それって契約違反だろ?」
祁維「そんなの知らな〜い」
涼子「・・・この調子で拒否したそうです」
ビクトリア「ある意味大物ね」
涼子「祁維さんの対戦相手は草橋恭三。しかし、開始直後の左フック一発で撃沈してしまいました」
灰祢「弱っ!」
涼子「これではイベントにならないと、レフェリーが追加試合を申し出ますが、祁維さんはあっさり却下。アイス食べ放題をつけるということでやっと承諾しました」
魅羅乃「なるほど。それでアイスが食べ放題・・・」
涼子「そうなんです。祁維さんの追加試合の相手はグレッグ"ジャンク"カッパー。脂肪でできているのではと疑いたくなるほどのメタボな男です」
祁維「あんなデブい人もいるんだね〜。驚き」
涼子「祁維さんの攻撃は脂肪に阻まれて通らず、グレッグに捕まってしまいます」
祁維「しかも胸触ってくるしぃ」
霧絵「あなただけじゃないわよ、それ」
涼子「グレッグに捕まった祁維さんですが、立ったまま肩越しにグレッグの顔面を蹴って脱出しました」
灰祢「ちょっと待ちなよ、立ったまま自分の後ろにいる相手を蹴った? そんなことができるのかい?」
祁維「できるよ〜。ほらぁ」
ビクトリア「柔らかっ! 前後に百八十度開脚って!」
祁維「すごいっしょ〜。生まれつき身体が柔らかいんだ〜(ぐにゃり)」
魅羅乃「そこからまだ足が上がるんだ・・・」
霧絵「ホント、猫みたい」
涼子「話を戻しますよ。脱出に成功した祁維さんは、グレッグの腹にパンチを連打します。ぶ厚い脂肪に平気な顔をしていたグレッグですが、最後の右ストレートで内臓を抉られ、そのままKOとなりました」
魅羅乃「それって、北斗○拳・・・」
涼子「はい、そこまで! 魅羅乃さん、伏字にしないといけないような発言は謹んでください」
魅羅乃「あ、そうなの、ごめんね」
涼子「いえ、わかって頂ければ・・・」
祁維「お前はもう、死んで・・・」
涼子「はい、そこまで! 祁維さんも言った傍から著作権に引っ掛かる発言はしないように」
灰祢「あ、なるほど。北斗百れ・・・」
涼子「灰祢さんも!」
霧絵「・・・ねえ、皆なんの話?」
ビクトリア「ケンシ○ウでしょ? 私も知ってるわよ」
涼子「・・・もういいです。次に行きますよ」
霧絵「なんか疎外感感じちゃうな」

涼子「第七十四話、灰祢さんの試合ですね」
灰祢「あんまり触れて欲しくないねぇ。飛ばさないかい?」
涼子「それはできません。灰祢さんの衣装はレインコートで、対戦相手はダン"ザ・マッスル"ホフマン。2mを超す筋肉の化け物のような男です。私も対戦経験があります」
灰祢「なら、あいつがどんだけのもんか知ってるだろ?」
涼子「ええ。できれば二度と闘いたくない相手ですね」
魅羅乃「レインコートが衣装・・・可愛らしい感じね」
灰祢「可愛らしくなんかないよ、透けてたんだからね」
霧絵「えっ? じゃ、下着が透けて見えてた?」
灰祢「ああ。ふざけてるだろ」
涼子「試合が始まると、そのレインコートすら剥ぎ取られてしまいます」
灰祢「ブラもだぜ? あんなのありか?」
霧絵「<地下闘艶場>じゃ普通なのかしら。ファイトマネーが魅力的でも、あんまりよね」
涼子「そのままダンに捕まった灰祢さんは、ダンとレフェリーから胸を触られます」
祁維「ほらぁ、私と一緒〜」
灰祢「お前は脱がされてないだろ? 一緒にすんな」
涼子「暫く胸を責められていた灰祢さんでしたが、ダンの指を折って脱出。最後はダンの巨体を持ち上げ、リングに落とすことでKO勝利しました」
魅羅乃「・・・2m以上の男を抱え上げて、落とした?」
灰祢「ああ。火事場の馬鹿力、ってやつかな」
涼子「勝利した灰祢さんに、ダンが英語で告げたことがあるんですが、覚えてますか?」
灰祢「ああ? 英語なんてあたしがわかるわけないだろ。意味がわかんないのに覚えてるわけもないだろ」
涼子「あのとき、ダンはプロポーズしたらしいですよ」
灰祢「・・・はぁぁぁ??」
祁維「いえ〜い、プッロポ〜ズ〜」
ビクトリア「へえ、国際結婚ね。言葉の壁を越えて育まれる愛! んー、ロマンスね♪」
灰祢「いや、ありえないし(あっさり)」
霧絵「え、そうなの?」
灰祢「好みじゃないね、あんなの。それに、蒼志が高校卒業するまでは結婚する気もないし」
ビクトリア霧絵魅羅乃「えっ!」
ビクトリア「もしかして、ショタコンってやつ?(ひそひそ)」
霧絵「逆光源氏計画なのかしら(ひそひそ)」
魅羅乃「人の趣味はわからないものね(ひそひそ)」
灰祢「なにこそこそ内緒話してるんだよ」
ビクトリア霧絵魅羅乃「・・・別に?」
涼子「何を勘違いしているのかは知りませんが、蒼志くんは灰祢さんの弟さんですよ」
ビクトリア霧絵魅羅乃「えーーーっ!」
ビクトリア「ショタコンじゃなくてブラコンだって(ひそひそ)」
霧絵「変な日本語知ってるわね(ひそひそ)」
魅羅乃「まさか、禁断の愛情関係だったなんて(ひそひそ)」
灰祢「あんたら、本気で怒るよ」
涼子「灰祢さんが暴れださないうちに、次に行きますよ」

涼子「今日はこれで最後ですね。第七十五話、魅羅乃さんの試合です」
ビクトリア「? どうしたの魅羅乃、えらく表情が硬いけど」
魅羅乃「え? そ、そうですか?」
涼子「・・・魅羅乃さんの衣装は魅羅乃さんがファンだという海外のサッカークラブのユニフォーム、対戦相手は蒲生漣次でした」
祁維「ホントに大丈夫? ショートケーキの苺食べる?」
魅羅乃「だ、大丈夫よ。心配してくれてありがとう」
涼子「魅羅乃さんの旦那さんが自宅兼店舗の権利書を騙し取られ、それを取り返す手段を得るため、魅羅乃さんは<地下闘艶場>に上がりました。そのため、レフェリーのセクハラボディチェックを受け入れます」
ビクトリア「あんのエロレフェリー、全然懲りないのね」
霧絵「本当に! 一遍死なないかしら」
灰祢「何度死んでも駄目だろ、ありゃ」
涼子「試合が始まると、魅羅乃さんはユニフォームを破られ、ブラまで外されます」
祁維「ひど〜い、そんなことしちゃ駄目だよ」
灰祢「あんた、あたしんときはそんなこと一言も言わなかったくせに・・・」
祁維「言わなかったっけ? あ〜、多分、ケーキがおいしかったから、言う暇がなかったんだよ」
灰祢「お前なぁ」
涼子「はい、そこまで。話の腰を折らないでください。ブラを奪われた魅羅乃さんは、ユニフォームの背中側まで破かれます」
魅羅乃「・・・っ」
ビクトリア「で、どうなったの?」
涼子「それから、魅羅乃さんは・・・(ちらり)」
魅羅乃「(そっと視線を外す)」
涼子「なんとか蒲生から逃れ、顔面への張り手から蹴りで勝利しました」
魅羅乃「っ!」
ビクトリア「へぇ、見かけによらず強いのね。格闘技はやってない、って言ってわよね?」
魅羅乃「え、ええ、まぁ・・・」
霧絵「実は、昔悪かった口、とか?」
魅羅乃「・・・そんなところ、です」
祁維「それじゃあ、権利書、取り戻せたんだね!」
魅羅乃「ええ! 今もパン屋をやってるの。近くまできたらぜひ寄って。あの人の焼いたパン、本当に美味しいんだから」
涼子「良かったですね、魅羅乃さん。では今回の座談会、この辺で締めとさせて頂きます。皆さん、お忙しい中、どうもありがとうございました」
他の一同「ありがとうございました」

魅羅乃「涼子さん、帰る前にちょっといいかしら」
涼子「魅羅乃さん、どうされました」
魅羅乃「・・・アンタにお礼が言いたくってね。アタシの正体、黙ってくれててありがとうよ」
涼子「なんのことでしょうか。私は資料に載っていること以外は話していませんが?」
魅羅乃「なんのことって、アンタ・・・ま、そういうことにしとこうかい」
涼子「事実を告げただけなのに、お礼を言われる筋合いはありませんよ」
魅羅乃「アンタ・・・噂と違って、優しいんだな」
涼子「ご冗談を」
魅羅乃「(くすり)ま、そういうことにしておきましょうか。今度、店にパンを食べにきて。サービスするから」
涼子「ありがとうございます。旦那様とお幸せに」
魅羅乃「ええ、ありがとう」


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