【閑話休題 座談会 其の十七】

涼子「皆さん、今日はお集まり頂きありがとうございます。恒例の座談会を行います。今回は第八十一話から八十五話に出場した皆さんに集まって貰っています」
ルシーラ「こんな会もあるんですね。今日は楽しみにしていました」
涼子「ありがとうございます、ルシーラさん。では、初顔合わせの方がほとんどなので、皆さん自己紹介をお願いします。まずは私から。於鶴涼子、年齢は21歳で、職業は受付嬢です。格闘スタイルは合気道になります。皆さん、登場順に年齢、職業、格闘スタイルを教えてください」
ルシーラ「では、次はわたくしになりますね。ルシーラ・フォン・ディルクラント。16歳です。職業は通信制の学生で、格闘スタイルは傘術になります」
琉璃「八岳琉璃です。17歳の高校生です。格闘スタイルは総合格闘技、ということにしておきます」
「来狐遥、17歳! 高校生で、格闘スタイルはプロレスです!」
和泉「原塚和泉、18歳。私も高校生で、格闘スタイルは剣道です」
久遠「天現寺久遠、17歳、フリーター。格闘スタイルみたいなもんはないよ」
涼子「あら、今日は私以外は皆さん十代なんですね。しかし高校生だけではないというのが珍しいです」
久遠「あれ? あたし以外は高校生だろ?」
ルシーラ「わたくしは厳密に言えば高校生ではありませんから。大検のための通信制学生の身分は、ちょっと違いますよね?」
久遠「まあいいや。ルシーラ以外の三人は高校生だしな、あまり間違っちゃいないさ」
涼子「それではここで恒例行事の発表を。ルシーラさんが93のH! 琉璃さんが89のF、遥さんが88のE、和泉さんが86のE、久遠さんが87のEですね」
久遠「まだやってたのか、これ」
「恒例行事もここまで続けると凄いよね」
ルシーラ「あの、今のは何の発表だったんですか?」
和泉「まさか・・・バストとカップのサイズですか!?」
涼子「正解です」
ルシーラ「なぜトップの値なんですか?」
涼子「男性にはアンダーの数値ではわかりにくいらしくて。第一回目の座談会からトップの数値で発表しています」
和泉「・・・嫌な恒例行事です」
涼子「まあそう言わずに。それでは恒例行事も終わったところで、座談会に移りましょうか」

涼子「第八十一話、ルシーラさんの試合から行きましょう」
ルシーラ「・・・思い出すと恥ずかしくなってきました(汗)」
涼子「少し我慢くださいね。ルシーラさんの衣装は切り込みの入ったドレスで、対戦相手はトンファー使いの亀河健史でした。しかし、ルシーラさんは傘を広げて亀河の視界を塞ぎ、膝蹴り一発で戦闘不能にしてしまいました」
ルシーラ「だってあの方、わたくしを厭らしい目で見るんですもの」
「それでも、一撃って凄いね」
涼子「あっさりと終わってしまった試合に、レフェリーが追加試合を提案。ルシーラさんもそれを受け入れ、浦賀餓狗郎との対戦となりました。浦賀の武器は竹刀です」
和泉「ルシーラさん、自分から追加試合を望んだんですか? 断れば良かったのに」
ルシーラ「それが・・・ファイトマネーも増額するから、と言われまして。日本での独り暮らしは何かと入用で」
琉璃「ルシーラさんは、どこの出身ですの?」
ルシーラ「ディルクラント公国です。今はもうないんですが、父親が公王でした」
琉璃「ディルクラント公国! なるほど、最初に姓を聞いたときにわかるべきでしたわね」
和泉「お父さんが公王ってことは・・・ちょっと待って、ルシーラさんって本物のお姫様!?」
ルシーラ「公女とは言っても、もう祖国はありませんから」
「でも、お姫様であることには違いないよ。凄い凄い!」
久遠「やめとけよ、生まれがどうとか、本人が嫌なことだってあるんだぜ」
ルシーラ「久遠さん・・・ありがとうございます」
涼子「では続けますね。浦賀の暴剣に苦戦するルシーラさんは、レフェリーのセクハラに気を取られ、羽交い絞めにされてしまいます」
ルシーラ「ちょっと待ってください、そこは言わなくても」
涼子「そんなに詳しくは言いませんよ(苦笑) 浦賀にセクハラを受けるルシーラさんでしたが、一瞬の隙を衝いて脱出、浦賀の膝をへし折り、勝利を挙げました」
「膝をへし折った、って・・・」
久遠「容赦ないんだな」
ルシーラ「だ、だって、あんなところまで触られたら仕方がないでしょう?」
琉璃「わかる気はしますが、さすがにやり過ぎではないですか?」
ルシーラ「・・・そうなんでしょうか」
涼子「まあ、男性選手もそれなりの覚悟でリングに上がっているでしょうから、構わないのでは?(微笑)」
「・・・恐いですよ、涼子さん(汗)」

涼子「第八十二話は琉璃さんですね。衣装はテニスルック、対戦相手は湖童陣、の筈だったんですが・・・」
琉璃「レプリカの釵で闘おうとしたのでそれを指摘したら、リングを降りてしまいました。ちゃんとした釵で闘って欲しかったですのに」
ルシーラ「あの、釵とはなんですか?」
和泉「十手に似てますよね、なんとなく」
ルシーラ「あの、十手とは?」
涼子「堂々巡りですね。こちらが釵で、十手は・・・こういうものです(さらさら)」
ルシーラ「ああ、これが十手! 時代劇で見たことがあります」
「『御用だ御用だー!』ってやつだね」
涼子「ルシーラさんが十手を理解したところで話を戻しますよ。湖童がリングを降りたことで、対戦相手が急遽変更になりました。プロレスラーの鞍輝雷香、鞍輝神奈姉妹でした」
「えっ、『ライジングドラゴン』の"雷神"の二人!? うわー、私も闘いたかった!」
涼子「さすが遥さん、プロレスには詳しいですね」
琉璃「あの二人、さすがに強かったですわ。二人同時の相手は大変でした」
「えっ・・・二人同時?」
琉璃「ええ」
久遠「プロレスラーを同時に二人相手にすんのか。強いな、あんた」
「(私もマンハッタンブラザーズの二人と闘ったけど・・・"雷神"とは実力がまるで違うからな〜)」
涼子「鞍輝姉妹に苦戦する琉璃さんでしたが、最後は各個撃破。レフェリーも踵落としでKOしました」
琉璃「私の身体を好き勝手に触ったんですから、当然の報いですわ。一週間は入院したんではないですの?」
「あ、だから私の試合はいつものレフェリーじゃなかったのか」
和泉「(・・・審判に攻撃してもよかったのね)」

涼子「第八十三話、遥さんの試合です。この試合はダークフォックスとしての参戦ですね」
「はい! 久々のヒールでした」
和泉「あの・・・ダークなんとかとかヒールとか、一体何の話ですか?」
「私、普段はプロレス同好会で活動してるんだ。で、リングに上がるときは覆面を被ってるの。普通はピュアフォックス、ヒール、つまり悪役のときにはダークフォックスっていう名前でね」
ルシーラ「プロレス、ですか。さっきも言っていましたが、聞いたことがないです」
「そっか、公女様だもんね。それじゃ、今度私の試合を見に来てよ! 絶対ドキドキさせてみせるから!」
涼子「話を戻しますよ。遥さんの衣装は漆黒のボンデージスーツ、対戦相手は山森黄一郎でした」
久遠「ボンデージスーツ? どっかの女王様みたいなのか、よく着れるな」
「・・・ダークフォックスのマスクを被ってると、その辺平気になっちゃうの」
久遠「やらしい奴だな」
「や、やらしくなんかないっ!」
涼子「試合ですが、山森の攻撃に遥さんは悶絶します」
琉璃「え? そんなに厳しい攻撃だったんですの?」
「厳しくはなかったんだけど・・・その・・・」
涼子「山森の攻撃は、なんと女性の快感を高めるというものでした。そのため、遥さんは性的に悶絶しました」
「ちょ、涼子さん! 言い方が厭らしい!」
ルシーラ「そ、そうなんですか(ドキドキ)」
「ほらぁ、こんな反応されちゃう・・・(がっくり)」
涼子「半裸にされた遥さんは、とうとう・・・」
久遠「なんだ、イッちまったのか?」
「んなわけあるかぁ!」
涼子「敗北を感じさせる発言をしました。そこで油断した山森に地獄突き一閃、最後は<ローリング・エクスキューショナー>からのフォール勝ちを挙げました」
和泉「敗北を感じさせる発言、って・・・その時点で負けではないんですか?」
「プロレスルールだから、ギブアップしないと負けじゃないんですよ」
涼子「レフェリーがその時点での遥さんの負けを宣言していませんから、試合としては遥さんの勝ちでしょうね」
和泉「・・・試合はレフェリー次第、ですもんね」
琉璃「? 和泉さん、なにか実感がこもっていませんか?」
和泉「そ、そうですか?」

涼子「第八十四話、和泉さんの登場です」
和泉「・・・やっぱり、私のことも言われるんですね」
涼子「当然じゃないですか(微笑) 和泉さんの対戦相手は早矢仕杜丸、衣装は改造剣道着でした」
和泉「・・・あの衣装は、剣道に対する侮辱です」
涼子「後輩である宇賀原夏花さんの仇討ちにリングに上がった和泉さんでしたが、早矢仕との試合は素手での対戦を強要されます」
ルシーラ「酷いです! 何故そのようなことが認められるんですか!?」
涼子「夏花さんが早矢仕と対戦した際も、素手で闘ったことでレフェリーが強要しました」
「あ・・・それでさっき、実感がこもってたんだ」
和泉「・・・本当に、あのレフェリーは・・・」
涼子「素手での闘いとなりましたが、和泉さんはビンタであっさりと早矢仕を倒しました」
和泉「あのときはこれで終わり、と思ったんですけど・・・」
涼子「早矢仕を下した和泉さんは、湖童陣との対戦となりました」
琉璃「ちょっと待ってください、和泉さんは湖童陣と闘えたんですか? 釵は鉄製でしたか? それとも・・・」
和泉「鉄製でした」
琉璃「(唇を噛む)」
涼子「琉璃さん、和泉さんに詰め寄ってもしょうがありませんよ。この試合は、レフェリーの宣言によっていきなりストリップマッチとなりました」
ルシーラ「ス、ストリップマッチ!?」
「なんですかそれ!」
涼子「和泉さんがダウンするたびに衣服を一枚ずつ脱ぐ、といった条件です。和泉さんは湖童を倒せず、何度もダウンを喫します」
久遠「まさか・・・」
涼子「最後は下着一枚となった和泉さんでしたが、やはりダウンを奪われてしまいます」
「そ、それじゃあ、もしかして・・・」
涼子「下着姿の和泉さんが動けないことをいいことに、レフェリーは和泉さんにセクハラを行いました。しかし最後の一枚を奪おうとしたところで、何故か湖童がレフェリーを叩きのめし、それを止めさせます」
ルシーラ「良かったです、いくらなんでも全裸は酷過ぎますから」
和泉「半裸でも充分酷いですけどね」
涼子「試合は無効試合となりましたが、和泉さんは夏花さんの仇を取れないままで終わってしまいました」
和泉「そうなんですよ。ですので、もう一度鼓動陣に挑もうと思います。今度は彼を打ち倒せるように、しっかりと練習を積んで」
琉璃「・・・私が先に対戦したいですわ」
涼子「湖童は人気ですね。誰と再戦するのか楽しみです」
久遠「誰ともしない、っていう可能性もあるのが<地下闘艶場>だよな」
涼子「否定はしません」

涼子「今日の最後ですね。第八十五話、久遠さんの試合になります」
久遠「あれか・・・思い出しても腹が立つ」
涼子「久遠さんの試合は、ジョーカーと組んでのタッグ戦の筈でした」
「へ〜っ、彼氏とのタッグマッチだったんだ! 良かったね久遠!」
久遠「彼氏じゃねぇよ!」
「またまたぁ、照れちゃって」
久遠「・・・喧嘩売ってるか?」
涼子「はい、そこまで。座談会の場では暴れないでくださいね。久遠さんの相手はコンテ・大倉、尾代呑太組でした。ちなみに久遠さんの衣装は私服です」
和泉「え、そんな恥ずかしい私服を着てるんですか?」
久遠「なんだ恥ずかしい私服ってのは!」
和泉「で、でも、<地下闘艶場>って恥ずかしい衣装しか用意されないでしょう? だからてっきり、私服も恥ずかしいものかと・・・」
久遠「違うって、あたしはあんな恥ずかしい衣装着たくないから、着ていった服そのまんまで出てるだけだよ」
和泉「あ、なんだ・・・勘違いしてしまいました(赤面)」
涼子「タッグマッチで始まった筈の試合でしたが、何故か全員がリングに出て闘うことになりました」
久遠「相手が両方リングに出てきたからね、こっちだけルール守るのは馬鹿らしいだろ?」
「でも、不利な状況でもルールを守って逆転勝利!って格好いいよ?」
久遠「そんな美学は足しにならないよ」
涼子「睨み合いが始まろうとしたとき、久遠さんは背後から羽交い絞めにされてしまいます」
ルシーラ「卑怯です! 正々堂々と闘わないなんて!」
琉璃「所詮は<地下闘艶場>ですからね」
「どうせレフェリーがやったんでしょ?」
久遠「いや、それがさ・・・」
涼子「久遠さんを背後から襲ったのは、ジョーカーでした」
他の一同「(驚きの声)」
「久遠、恋人じゃなかったの!?」
久遠「だから恋人じゃねぇって!」
涼子「失礼、久遠さんを襲ったのは、ジョーカーと思い込んでいた早矢仕杜丸でした」
琉璃「なるほど、確かに恋人とは違いますわね」
久遠「・・・お前、わかってて言ってるだろ」
琉璃「言葉どおりの意味ですが?」
涼子「はい、そこまで。口喧嘩もしないでください。捕まった久遠さんは押し倒され、服を剥ぎ取られてしまいました」
ルシーラ「む、無理やりですか?(どきどき)」
涼子「無理やりです。そして、最後の一枚にまで手を掛けられました」
和泉「ちょっと待ってください! まさか・・・」
涼子「もう駄目かと思われたそのとき、本物のジョーカーがリングに登場、男どもを叩きのめして久遠さんを救出しました」
「そっか、最後は助けに来たんだ。ラブラブだね、久遠」
久遠「そんなんじゃねぇよ!」
涼子「リング上でキスまで披露したじゃないですか」
久遠「!」
ルシーラ「だ、大胆ですね」
久遠「・・・無理やりされたんだよ」
涼子「ともあれ、試合は無効試合と判定されました」
久遠「おかげでファイトマネーがほとんどなかったからな。くそっ、丈の奴のせいで・・・」
「嬉しかったくせに〜(つんつん)」
久遠「・・・遥、喧嘩売ってるな?」
涼子「はい、そこまで。遥さんも煽らないでください」
「ごめんごめん、久遠が素直じゃないからつい」
久遠「んだと!?」
涼子「・・・久遠さん」
久遠「(びくっ!)大丈夫大丈夫、あたしたち仲良しだから(がしっ)」
「そうそう! ほら、仲良し!(がしっ)」
涼子「なら良いですが」

涼子「それでは、今回の座談会はここまでとします。皆さん、お疲れ様でした」
他の一同「お疲れ様でした」

(ぞろぞろ)

「久遠、さっきはごめんね。ちょっと調子に乗っちゃった」
久遠「いいよ、あたしも本気で怒ったわけじゃないし」
「そっか、よかった(ほっ)」
久遠「しかし、キスのことまでバラすなんて・・・やっぱ涼子さんおっかねぇ・・・」
「今頃気づいたの? 私なんかもっと前から知って・・・」
涼子「(無言で二人を見つめる)」
久遠「(びくっ!)」
涼子「お二人とも、少しお話があります(にっこり)」
「あ・・・えっと・・・私、この後練習が」
久遠「そ、そうそう、偶然だな、私もこの後ストリートライブの予定が」
涼子「嘘はいけませんね、二人とも。平気で嘘を吐くような人には、きっちりとしたお仕置きが必要です(がしっ)」
「待って涼子さん、それだけは!」
久遠「放してくれよ! 頼む!」
涼子「それでは今日はこの辺で。二人とも、行きますよ(ずるずる)」
久遠「だ、誰か助けてーーー!・・・(フェードアウト)」


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