一回戦第十試合
 (沢宮冬香 対 茨木美鈴)

「一回戦第十試合を行います!」
 黒服の合図と共に、二人の女性選手がリングに上がった。
「赤コーナー、『ベアパンツ』、沢宮冬香!」
 「沢宮冬香」。21歳。身長161cm、B86(Dカップ)・W59・H90。ショートカットにされた栗色の髪。鋭い光を放つ目と細い眉。常に結ばれた唇。見る者に意志の強さを感じさせる整った顔立ち。現在大学生で、テコンドー同好会に所属している。大学対校試合で活躍し、オリンピック候補に挙がったほどの実力の持ち主。
 今日はWTF系のテコンドー着を身に着け、手にはオープンフィンガーグローブ。トップロープに足を掛け、柔軟運動に余念がない。
「青コーナー、『女王様』、茨木美鈴!」
 対するは「茨木美鈴」。22歳。身長174cm、B92(Fカップ)・W66・H94。髪を真っ赤に染めた、きつめの顔立ちの美人。長身にFカップの巨乳、大きなヒップという迫力ボディ。普段はSMクラブで「女王様」として働いている。
 過去二回<地下闘艶場>のリングに上がったが二度とも敗北を喫し、責め役だった筈の美鈴が嬲られている。その経緯からシングルトーナメントへの参戦を渋っていたが、今回は一回戦の相手が女性選手だということで、あっさりと出場を決めた。
 今日はいつもどおり肩、バストの上半分、太ももが剥き出しになった黒革のボンデージスーツ姿だった。
「今試合のレフェリーは三ツ原凱が務めます」
 優男で美形の凱に、観客席からは嫉妬のこもった視線も少なからず飛んだ。
 凱は冬香と美鈴を中央に呼び寄せると、諸注意を与える。そしてまずは美鈴にボディチェックを行おうとした。
「私、男に触られるのは好きじゃないの」
 美鈴は一歩下がり、凱から距離を取る。
「そうですか、では失格ということで」
 凱にあっさりとそう言われ、また凱がリング下の黒服に歩み寄ったことで美鈴が慌てる。
「ちょっと待ちなさいよ。わかったわよ、ボディチェックを受けるから。ま、貴方くらいのいい男なら目をつぶるわ」
「わかりました、では動かないように」
 凱はそっけなく返すと、美鈴にボディチェックを行っていく。その手は時折バストを掠めるものの、的確にボディチェックを進めていく。
「それでは冬香選手も」
「・・・ええ」
 冬香も男性レフェリーからのボディチェックは正直受けたくなかったが、ルールを守らなければ試合は始まらない。仕方なく承諾し、凱のボディチェックに身を任せる。何度か凱の手がバストに当たるが、偶然か故意なのか判断しにくかった。
 凱は一通りボディチェックを終えると、試合開始の合図を出した。

<カーン!>

「うふふ、宜しくね冬香ちゃん」
 ゴングが鳴ると、美鈴は妖艶な笑みを浮かべる。その笑みに、冬香の本能は危険を感じ取っていた。しかし冬香の理性は、相手が女性だということで危機感を黙殺した。
(まずは様子見で、っと)
 冬香は当てることを目的とした軽めの蹴りを放っていく。
「ちょっと、痛いわよ」
 美鈴は顔を顰めるが、口調はまるで変わらない。
(そろそろ本気で行くわよ!)
 美鈴の癖を大方掴んだところで、冬香が攻撃のギアを上げる。中段の左回し蹴りを見せておいて、いきなり右足の上段回し蹴りを放つ。しかし、その蹴りは空を切った。
「わかりやすいわね、冬香ちゃん」
 美鈴はハイキックを見切り、冬香の背後を取っていた。そのまま冬香の身体に両手両脚を絡みつかせる。男性並みの体格がある美鈴に捕まった冬香は、動きを封じられる。
「くっ、このっ!」
 手足を動かしてみるが、美鈴から逃れられない。冬香の抵抗を封じながら、美鈴は冬香のバストに手を伸ばす。
「な、ちょっと、どこ触ってるのよ!」
「どこって、貴女のおっぱいじゃない。わかってるくせに」
 美鈴は巧みに冬香の抵抗をいなしながら、冬香のDカップバストを揉む。
(男の人じゃないからセクハラはないと思ってたのに・・・考えが甘かった!)
 少しでも暴れることで美鈴から逃れようとするが、美鈴は巧みに手や立ち位置を変え、まるで蛇のように絡みついて離れない。その間にも美鈴の手の中で、冬香のバストがいいように弄られる。
「いいかげんにやめないと・・・ひぁっ!」
 美鈴の指が秘部にまで伸び、あやすようにスリットをなぞる。
「そ、そんなとこまで・・・ふぁっ!」
「あら、感じやすいのね。可愛いわよ、冬香ちゃん」
 美鈴は冬香の耳に口付けし、バストと秘部を責め続ける。
「あっ、やだ、もう・・・んんっ!」
 嫌悪感から振った右肘が、偶然美鈴の脇腹を捉える。
「ぐっ! ・・・冬香ちゃん、ちょっとお痛が過ぎるわよ」
 折角楽しんでいたところを邪魔され、美鈴の表情が険しくなる。
「もう抵抗できないようにしてあげるわ!」
 美鈴の右腕が冬香の喉元に巻きつき、蛇のように締め上げる。
「このまま締め落としてあげる。意識を失った後は、私の玩具になって貰うわ」
 美鈴が冬香の耳を甘噛みしながら、吐息と共に熱い舌を耳の穴に侵入させる。
「・・・お断り、よっ!」
 淫らな刺激を堪える冬香の右脚が跳ね上がり、美鈴の顔面を肩越しに襲う。
「ふぎゃっ!」
 冬香の耳に舌を入れていたため、美鈴は舌を噛んでしまう。痛みと驚きに後退し、冬香から離れた美鈴の口元から、ルージュよりも濃い赤が流れていく。
「ほ、ほのあま・・・!」
「何言ってるのか、わかんないわよっ!」
 冬香の前蹴りが美鈴の腹部を抉り、美鈴の体がくの字に曲がる。その美鈴の左側頭部を鋭い上段蹴りが蹴り飛ばす。美鈴の体全体がぐらりと揺れ、膝が落ち、顔面からリングに倒れ込んだ。

<カンカンカン!>

 美鈴が意識を失ったと見て、凱が試合を止める。
「まったく・・・こんな変態女と試合させられるなんて、思ってもみなかった!」
 テコンドー着の乱れを直し、冬香は美鈴に冷たい一瞥をくれた。


 一回戦第十試合勝者 沢宮冬香
  二回戦進出決定


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