一回戦第十五試合
 (ニナ・ガン・ブルトン 対 マスク・ド・タランチュラ)

「一回戦第十五試合を行います!」
 黒服の合図と共に、二人の選手がリングに上がった。
「赤コーナー、『天然ムエタイ戦士』、ニナ・ガン・ブルトン!」
 「ニナ・ガン・ブルトン」。18歳。身長165cm、B91(Fカップ)・W58・H86。インド出身。大きな瞳と褐色の肌のエキゾチックな美人。紡錘形のバスト、細く括れた腰、形のいいヒップ。腰まで届く黒髪を三つ編みにしている。広大な綿花畑とITで財を成した父親を持ち、幼少の頃はイギリスに留学し、現在は日本に留学している。英語、日本語、スペイン語、フランス語、サンスクリット語、ヒンディー語など十以上の言語を操る才女。イギリスでキックボクシングと出会い、日本ではムエタイジムに通って体を鍛えている。
 過去二回<地下闘艶場>のリングに上がり、散々嬲られたものの最後は逆転勝利を収めている。今日の衣装は・・・ブラトップにロングスカートという、飛び切り闘いには不向きなものだった。
「青コーナー、『地に潜む蜘蛛』、マスク・ド・タランチュラ!」
 ニナの対戦相手はマスク・ド・タランチュラだった。蜘蛛をモチーフとしたマスクを被り、両腕は自分の膝に届くほどの長さを誇る。<地下闘艶場>には何度も登場し、その長い腕を生かしたセクハラには定評がある。
「レフェリーは三ツ原凱が務めます」
 凱の名前がコールされると、観客席から大きな声援が飛ぶ。ジョーカー 対 夏海・マウルシア・エスカーナ戦で、ジョーカーと共に夏海を徹底的に嬲ったことで、観客を味方につけたようだ。

 マスク・ド・タランチュラのボディチェックを終えた凱が、ニナにもボディチェックを行おうとする。
「え、今日もボディチェックするんですか?」
 ニナはミサイルのように突き出た胸を隠すようにして一歩下がる。
「どこに何を隠しているか、見るだけではわかりませんから。それとも、一度全裸になって頂けますか?」
「そんな、そんなことできないです」
「ならばボディチェックを受けてください」
 凱から冷静に言われ、躊躇していたニナも仕方なくこくりと頷いた。
「それでは、動かないように」
 凱はニナの腰を触ってから、バストへと手を伸ばす。凱の手は紡錘形のバストの縁をなぞるように、丹念に撫で回す。
「んんっ・・・」
 明らかなセクハラだったが、ニナは頬を染めながらも耐えていた。
「ここまで突き出したバストは初めて見ました。チェックのし甲斐がありますね」
 凱の手がニナのバストの根元から頂点に向かい、揉み解すようにして移動していく。
「あの、もういいですよね?」
「いえ、まだです」
 ニナの泣きそうな表情での問い掛けにも、凱はバストを揉みながらそっけなく返す。
「そんなぁ・・・」
「恨むのなら、ご自分の大きすぎるバストを恨むことです」
 凱はニナの乳首の辺りを刺激しながら、冷たく言葉を投げつけた。

 結局、ニナは五分にも渡って凱にバストを責められ続けた。
「も、もうそろそろ・・・」
「そうですね、胸はそろそろいいでしょう。では、次はここを」
 凱の手がスカートを捲り、下着の上から秘部を押さえる。
「え、え? えぇぇ?」
 突然のことに、ニナが固まる。
「ここも調べないといけませんので。もう少し我慢してください」
 凱は表情も変えず、ニナの秘部を撫で回す。時折強く押さえ、そのたびにニナの体がびくりと跳ねる。
「そ、そんなとこまで・・・」
「当然です。触られるのが嫌ならば、直接見せて頂けますか?」
「それは無理です・・・あうぅ」
 羞恥に耐えるニナの目は、望まぬ刺激に潤んでいた。

「あの、そろそろ・・・」
 更に五分が過ぎ、半泣きのニナが凱に訴える。
「わかりました。それでは、そろそろ試合を始めましょうか」
 凱は素直にニナから離れ、ゴングを要請した。

<カーン!>

(ううっ、また試合前にこんなことされた・・・)
 ニナは毎試合セクハラボディチェックを受けていた。人を信じやすく、強く出ることができないからだ。
「ニナちゃん、今日はまたお洒落な格好してるな」
 マスク・ド・タランチュラのにやつきながらの指摘に、ニナの表情が曇る。
「だって、いつも<地下闘艶場>に参戦したときは衣装が用意されてたから・・・」
 今回は各自が自分で衣装を用意するように、との連絡が行っていた筈だが、ニナは衣装が用意されているものとの思い込みで私服のまま手ぶらで来てしまった。
「そうか、天然ってのは本当だったんだな。それとニナちゃん、胸のポッチがはっきりとわかるぜ?」
「え、ええっ!?」
 先程のボディチェックのせいか、ニナの乳首がブラトップを押し上げていた。それに気づかされたニナは慌てて胸元を隠す。
「隙ありぃ!」
 マスク・ド・タランチュラが長い腕を伸ばし、ニナのロングスカートを捲る。
「あっ!」
 赤い下着が見えるほど大きく捲られ、ニナが慌ててスカートを押さえる。
「ほら、次はこっちだ」
「ひぁっ!」
 マスク・ド・タランチュラに乳首をつつかれ、ニナは胸元を押さえながら距離を取ろうとする。
「おっと、逃がさないぜぇ」
 マスク・ド・タランチュラはニナを背後から抱きしめ、紡錘形のバストを鷲掴みにする。
「おほっ、こりゃすげぇ。ホントにミサイルおっぱいなんだな」
「いやぁ、触らないでくださいぃ」
「なに言ってるんだ、こんなに乳首立たせてるくせに」
 マスク・ド・タランチュラが存在感を示している乳首を指で弾く。
「痛っ!」
「悪い悪い、優しくしなきゃ駄目だよな」
 マスク・ド・タランチュラはバストを揉みながら乳首を刺激し、耳を舐める。
「気持ち悪いです、やめてぇ」
 ニナが嫌悪感から身を捩る。それでもマスク・ド・タランチュラの拘束から逃れることができない。もがいてもマスク・ド・タランチュラの手は離れず、バストを揉まれ続ける。
 ニナのバストを堪能していたマスク・ド・タランチュラが、ニナの耳を舐めながら囁く。
「なぁニナちゃん、俺と付き合ってくれるって言うなら、わざと負けてやっても・・・」
「ギブアップします」
 マスク・ド・タランチュラが最後まで言い終える前に、ニナはギブアップの宣言をしていた。

<カンカンカン!>

 これを聞いた凱がすぐにゴングを要請する。呆気ない幕切れに、観客席からは途轍もないブーイングが起きる。
「・・・え? は?」
 展開についていけないマスク・ド・タランチュラはただ呆然とリングに立ち尽くす。それを尻目に、ニナはさっさとリングを降りようとしていた。
「ちょっと待ってくれよニナちゃん、俺は・・・」
「シッ!」
 ニナの振り向き様の肘打ちが、マスク・ド・タランチュラの顎を打ち抜いた。この一撃にマスク・ド・タランチュラの膝が崩れ、リングへと倒れ込む。
「貴方みたいなスケベな人、大嫌いです」
 おとなしいニナがそう吐き捨て、今度こそリングを後にした。


 一回戦第十五試合勝者 マスク・ド・タランチュラ
  二回戦進出決定


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