【一回戦第十四試合】
（阿多森愚螺 対 凪谷渚）
「一回戦第十四試合を行います！」
黒服のアナウンスと共に、この試合を闘う二人がリングに上がった。
「赤コーナー、『伸縮自在』、阿多森愚螺（ぐら）！」
阿多森は黒いボディタイツの上に道衣を着込み、頭には広めに畳んだバンダナを巻いている。
＜地下闘艶場＞では於鶴涼子と対戦し、涼子を追い詰めたものの最後は絞め落とされて敗北している。
「青コーナー、凪谷流柔術継承者、凪谷渚！」
「凪谷渚」。１７歳。身長１５５ｃｍ、Ｂ８１（Ｄカップ）・Ｗ５４・Ｈ８２。くせっ毛をショートカットにし、跳ね回る髪を逆にチャームポイントにしている。太目の眉が目を引くが、凛々しい顔に良く似合っており、時代遅れだと笑う者もいない。
代々継承された凪谷流柔術の後継者で、物心つく前から柔術を叩き込まれた。師匠である父親から厳しく仕込まれ、今では学校のヤンキーグループからも避けられる存在となっている。
＜地下闘艶場＞ではヴァイパーと対戦し、下着姿にされてから逆転勝利を飾っている。
今日の渚は道衣に黒帯姿だった。道衣の中にはＴシャツを着込んでいる。その姿がぴしりとはまっているのは、修練の賜物だろう。
この試合のレフェリーはいつもの男だった。阿多森のボディチェックを簡単に終え、渚の前に立つ。
「それじゃ凪谷選手、ボディチェックの時間だ」
「・・・また、ですか」
「ルールなんだから仕方ないだろう？ 手を出してくるんじゃないぞ」
＜地下闘艶場＞でボディチェックをしようとしたとき、渚から反射的な反撃を受けたことを指摘するレフェリーに、渚が太い眉を顰める。
「・・・わかってる」
「そうかそうか、それじゃ早速始めるか」
レフェリーは渚の後ろに回り、道衣の合わせ目から右手を差し込むと、Ｔシャツの上から渚のバストを揉む。
「・・・っ」
「どうした、声を押し殺して。ここに何か隠しているのか？」
渚の反応を自分にいいように解釈し、レフェリーは更に渚のバストを揉み続ける。左手は渚のヒップを這い回り、太ももにまで範囲を広げる。
「くっ」
屈辱に歯噛みする渚が嬉しいのか、レフェリーはにやつきながら渚の身体の感触を味わう。
「ボディチェックが嫌なら、全部脱いで見せてくれる、というのでもいいんだぞ」
「そ、そんなこと・・・」
到底受け入れることができない条件を出され、渚は頬を赤らめた。
「なら、おとなしくボディチェックを受けるんだな」
レフェリーはにやにやと笑いながら、渚の身体を撫で回し続けた。
「よし、それじゃそろそろ試合を始めるか」
ボディチェックという名のセクハラをようやく終えたレフェリーが、リング下に向かって合図を送る。
＜カーン！＞
「さぁって・・・それじゃ、行くぜぇ！」
距離を詰めた阿多森が、渚の顔面に突きを放つ。
（甘い！）
その手首を捕らえ、逆関節を極めながら一本背負いを掛け、阿多森の関節を外しながらリングに叩きつける。しかもリングを蹴り、自分の体重を技に乗せる。
「ぎゃぁぁぁっ！」
阿多森が右腕を押さえ、痛みにのたうつ。
（少しやり過ぎたか）
その痛がりようにちらりと後悔しながら、渚は立ち上がろうとした。
「・・・なんてな」
いきなり渚の腹部に衝撃が来た。
「ごはっ・・・うげぇ」
痛みの前に吐き気が込み上げ、危うく飲み下す。続く一撃を辛うじてかわし、一旦距離を取る。
「ちっ、反応がいいな」
立ち上がった阿多森が、外した筈の右腕で構えていた。そこに痛みや我慢といったものは見えない。
阿多森は自由自在に関節を外し、再び嵌めることができるという異能の男だった。そのことを知らない渚であったが、自分の関節技が効かなかったことは理解できた。
（・・・まずは、様子を見よう）
腹部の痛みと阿多森の能力がわからないことが、渚を消極的にしていた。距離を取ったまま、阿多森を見つめる。
「なんだ、来ないのか？ なら、こっちから行くぜぇ！」
いきなり阿多森の右手が伸びた。
「！？」
目の錯覚ではなかった。垂らされた阿多森の左手に比べ、右手の方が確実に長い。
「そらよぉ！」
唸りを上げた阿多森の右手が、渚の道衣を掠った。
「あっ」
掠っただけだというのに、渚の道衣が切れていた。
「まだまだ行くぜぇっ！」
鞭と化した阿多森の腕が振られるたび、渚の道衣が切り裂かれていく。
「くっ！」
阿多森の連撃の隙間に突っ込んだ渚だったが、太ももを蹴られて一瞬だけ動きを止めてしまう。
その瞬間、遂に渚のブラまでも断ち切られた。
「あっ！」
羞恥から乳房を隠した渚に、阿多森が肉薄していた。
「奮っ！」
気合と共に、限界以上の関節の回転を使った＜螺旋突き＞が渚の鳩尾を抉る。
「・・・えぼっ」
胃から逆流したものを堪えることができず、渚はリングにぶちまけた。四つん這いになり、更に吐く。
「あーあ、きったねぇなぁ。汚れたものは脱がなきゃな！」
阿多森は渚の体から切り裂かれた道衣を剥ぎ取り、下着一枚の姿にしてしまった。
「あ・・・い、いや・・・」
内臓からの痛みを堪えて身体を隠そうとする渚だったが、阿多森にあっさりと両手を押さえつけられる。
「いや、じゃねぇんだよ。人の親切を無駄にする気か？ あぁ？」
阿多森は中心の切れたブラを左右に開き、渚の乳房を弾ませてから揉み始める。
「げひゃっ、中々いい感触じゃねぇか」
「どれどれ？ おっ、生だとまた感触が違うな」
レフェリーまでも渚の乳房を揉み、喜びの声を上げる。
「い、嫌だ」
男性に直接乳房を揉まれるなど、初めての経験だった。恥ずかしさと不快感が渚の頬を染める。
「おっぱい揉まれたくらいでうぶな奴だな。もしかして処女か？」
阿多森の皮肉に、渚の頬が更に赤みを増す。
「なんだ、事実かよ。それじゃ、確かめてみるか！」
阿多森の手が、渚のパンティに掛かる。
「やめてぇ！ 負けを、負けを認めるから！」
＜カンカンカン！＞
渚の敗北宣言に、ゴングが鳴らされる。
「なんでぇ、あっさり負けを認めやがって。まだまだ足りねぇ、付き合って貰うぜ！」
ゴングが鳴ったというのに、阿多森は渚を嬲るのをやめようとはしなかった。
「そんな、もう試合は終わったのに」
「なぁに、お客様へのサービスだと思えばいいじゃないか」
レフェリーも渚の乳房を揉んだまま、その手を放そうとはしない。
「いや・・・いやぁぁぁっ！」
悲鳴を上げ続ける渚は、リングで嬲られ続けた。
一回戦第十四試合勝者 阿多森愚螺
二回戦進出決定
