【一回戦第七試合】
 (ジョーカー 対 藤嶋メイ)

「これより、一回戦第七試合を行います!」
 黒服のコールに、第七試合で対戦する二人がリングに上がる。
「赤コーナー、『マジシャン・ピエロ』、ジョーカー!」
「ジョーカー」。顔を真っ白に塗り、目と口には黒いペイントを、鼻には黒い付け鼻をしている。服はだぼっとした黒いナイロン地のもので、頭には黒いシルクハットを被り、手には白手袋をはめている。そのふざけた格好とは裏腹に、かなりの実力を秘めた猛者だ。
 前回のシングルトーナメントでは夏海・マウルシア・エスカーナ、稲角瑞希を撃破し、於鶴涼子をぎりぎりまで追い詰めた。
「青コーナー、『メイ・ビー』、藤嶋メイ!」
「藤嶋メイ」。18歳。身長163cm、B84(Dカップ)・W56・H82。耳の辺りでばっさりと切った髪。ボーイッシュな童顔。スレンダーながらも出るところは出ているスタイルの良さ。その見た目とは裏腹に、インターハイの空手の部で防具つき試合にもかかわらず、KOの山を築いて優勝を飾っている。
 前回のシングルトーナメントでは蒲生漣次を病院送りにし、天現寺久遠と壮絶な殴り合いを演じて両者KOとなっている。
 今日も空手衣に黒帯を締め、中には黒いTシャツを着込んでいる。
 この試合を裁くのはいつものレフェリーだった。
「それじゃ藤嶋選手、ボディチェックを受けて貰おうか」
「また厭らしく触るつもりか? それなら・・・」
「嫌ならいいんだ。それじゃ、始めるぞ」
 メイの答えも聞かず、レフェリーはゴングを要請した。

<カーン!>

(ようやく反省したのか?)
 レフェリーがボディチェックを行わなかったことに小さな疑念はあったが、メイはすぐさま構えを取った。対するジョーカーは構えも取らず、両手を垂らしたまま上体を揺らしている。
(こいつ、やりづらいな)
 メイクのせいで表情が読めず、だぼだぼの衣装のせいで筋肉の動きが見えない。そのため、次に何を仕掛けてくるのか予想がつきにくい。
「シッ!」
 牽制の前蹴りにも、ジョーカーはまるで反応しなかった。
(こいつ、かなりの実力者だ。ここは慎重に・・・!?)
 メイの思考を読んだかのように、ジョーカーが一瞬で間合いを詰めていた。
「くっ!」
 メイが反射的に放った上段突きはかわされ、体勢を低くしたジョーカーに黒帯を外され、奪われていた。
「ちぃっ!」
 ローキックを放つメイだったが、既にそこにジョーカーは居ない。ロープ際で奪った黒帯をリング下に投げ捨てている。
(くそっ!)
 帯を奪われたことより、自分の攻撃が通じていないことがメイを焦らせていた。
「せいっ!」
 フェイントもなしに放ったハイキックは空を切った。
「っ!」
 その隙に背後に回られ、襟首を掴まれ投げを打たれる。
「くっ!」
 両手で後頭部を守り、最低限のダメージに押さえる。それでも脳を揺さぶられ、一瞬意識が飛ぶ。気づいたときには、ジョーカーがメイの上着を抱えていた。
「!」
 慌てて手を伸ばすが、ジョーカーによってリング外に放り投げられてしまう。
「くっ・・・」
 帯に続き、上着まで奪われてしまった。
(だが、これくらいで恥ずかしがってなどいられない!)
 メイの闘志は消えなかった。手が届かなかったものは仕方がない。気持ちを切り替え、Tシャツ姿で構えを取る。
 一度小首を傾げたジョーカーが、ゆらりと距離を詰めた。動いた、と見えた瞬間には手刀が振られていた。
「!」
 ジョーカーの手刀が掠めた部分が切れ、ビスチェが覗く。
「ちぃぃっ!」
 しかし、メイは隠そうともしなかった。それどころかジョーカーに肉薄し、突きの連打を叩き込む。ジョーカーのガードをすり抜け、何発もの正拳が胴にめり込む。堪らずジョーカーはダウンし、メイはとどめを刺そうと拳を振り上げた。
「せいやぁぁぁっ!」
 気合いと共に垂直に落とされた拳は、リングを叩いていた。
「ぐぅぅっ・・・!」
 しかもメイが苦悶の声を上げる。ダウンしていた筈のジョーカーは、メイを下からの三角絞めに捕らえていた。
「藤嶋選手、ギブアップか?」
 ここぞとばかりにレフェリーが近寄り、背後からメイのバストを揉む。
「だ、誰が・・・!」
 振り払おうとしたメイだったが、がっちりと極まったジョーカーの三角絞めがそれを許さない。
「相変わらずビスチェ派か。ビスチェじゃ感触がわかりにくいんだよなぁ」
 勝手なことを呟きながらも、レフェリーはメイのバストから手を放そうとしない。
「レ、レフェリーが、触る、な・・・!」
「おいおい、藤嶋選手が失神しないようにと気付けをしてるんじゃないか。優しさは受け入れようぜ」
 勝手なことを言いながら、レフェリーはメイのヒップに硬くなった股間を密着させ、その状態でメイの秘部とバストを弄る。
「くっ・・・ううっ・・・」
 首周りを絞められる苦しさと、レフェリーから与えられる不快感がメイを追い込んでいく。意識が遠のく寸前、首の圧迫感が軽くなった。
(っ!?)
 ジョーカーが三角絞めを緩めていた。緩めたとは言っても外せるほどの隙は作っていない。
(まさか・・・)
 どうやら、ジョーカーにはメイを失神させる気はないらしい。それはおそらく、メイが嬲られて恥ずかしがる姿を観客に見せるため。
(・・・ふざけている!)
 怒りが耐える力となった。三角絞めの苦しさとセクハラの不快感を意識から切り離す。
 じりじりと足の位置を変えていたメイが、苦しい体勢からジョーカーの腹部に膝を落とす。否、落とそうとした瞬間、上手く体勢を入れ替えたジョーカーに上になられていた。
「しまっ・・・おごっ!」
 鳩尾を掌底で叩かれ、痛みに動きが止まる。更にもう一発掌底を落とされ、丸まって呻く。
「あいてて・・・やるときはやるって言えよ」
 メイの身体に夢中になっていたレフェリーは、ジョーカーがメイの体を振り回した反動でロープ脇まで転がっていた。
 ジョーカーはレフェリーなど気にも留めずに一度メイの上から降り、メイの両手をロープに絡める。もう一度メイの太ももの上に座り直すと、ビスチェをずらし、生の乳房を揉み始める。
「や、やめろ、触るな・・・!」
 なんとかやめさせようとするメイだったが、両手はロープに拘束されて動かせず、脚部を押さえられては強い蹴りも出せない。立ち技しか修めていないメイには返す術がなく、ひたすら乳房を揉まれてしまう。
「いい格好だな藤嶋選手。おっぱい丸出しで揉まれる感想はどうだ?」
「う、うるさい・・・!」
 レフェリーを睨む間も、メイの乳房はジョーカーの手によって変形させられている。
 メイの乳房を揉んでいたジョーカーが両手を放し、空手衣のズボンの紐を外して下ろしてしまう。
「くっ!」
 苦しい体勢から放った蹴りは、ジョーカーには届かなかった。足首を掴まれ、容赦なく捻られる。
「ぐぁぁっ!」
 痛みに叫ぶメイに、再びジョーカーが馬乗りになる。膝の上に座るとメイの太ももの隙間から手を差し込み、くすぐるように秘部を弄る。
「貴様、どこを触っている!」
 蹴り飛ばそうとしたメイだったが、膝を押さえられ、両手も拘束されていては蹴りどころか抵抗も難しかった。
「おいおい、大きな声を出すなよ」
「なっ・・・!」
 いきなり、レフェリーが乳房を鷲掴みにしてくる。
「審判が触るな!」
「なに、さっきし忘れたボディチェックだ」
 悪びれないレフェリーは乳房を揉み続け、メイの注意がそちらに移った瞬間、ジョーカーはメイからズボンを脱がしていた。
「あっ!」
 ズボンを取られ、パンティまで観客の目に晒されたメイは思わず叫んでいた。膝をひきつけて太ももを寄せ、下着を隠す。しかしズボンを投げ捨てたジョーカーがメイの膝を掴み、広げる。
「やめろ!」
 メイが叫んでもやめるジョーカーではなく、抵抗など気にも留めずに逆に更に広げていく。
「どうだ? ギブアップするか?」
 メイの乳房を揉みながら、レフェリーがわざとらしくギブアップの確認をしてくる。
「誰が・・・するかっ!」
 呼気を溜めていたメイは、一気にロープから腕を抜いていた。そのまま力任せにレフェリーを振り払い、ジョーカーに突きを出す。しかしジョーカーは後転からゆらりと立ち上がる。メイも素早く立ち上がると、構えを取った。
 ボーイッシュな美少女が半裸で闘おうとする姿に、観客席からは卑猥な野次が飛んだ。メイは唇を噛んで黙殺すると、疾風のような突進を見せた。メイ・ビーの異名通り、凄まじいスピードだった。
「つぉぁぁあああっ!」
 リングの上で嬲られた怒りと屈辱を乗せ、メイの拳がジョーカーの顔面を抉った。
「っ!」
 否、抉った筈だったのに、ジョーカーはバク宙でダメージを最小限に抑えていた。しかも、パンティの右サイド部分が切り放されていた。
「あっ!」
 慌てて落ちかけたパンティを掴む。下手な動きができなくなり、メイは立ち尽くすしかなかった。
「おいおい、固まってちゃ試合にならないぞ」
 そこに、背後からレフェリーが乳房を掴んできた。
「き、貴様・・・!」
 普段ならばレフェリーを振り払うことなど簡単だったが、今の状況ではままならなかった。そのためレフェリーに乳房を揉まれ続けてしまう。
「おっぱいも気持ちいいが、相変わらず引き締まったお腹もまた・・・」
 レフェリーの右手が、メイの腹部を這いずり回る。
「いいかげんに・・・!」
 レフェリーの行為に耐えかねたメイがパンティから左手を離した瞬間、ジョーカーの右手が一閃した。
「あっ!」
 離した手を高速で戻し、垂れかけたパンティをしっかりと掴む。
「このままだとアソコまで丸見えになりそうだな。観客の皆さんにご披露するか?」
 メイの乳首を扱きながら、レフェリーがわざとらしく聞いてくる。
「だ、誰が・・・くぅっ!」
 いよいよもってメイは窮した。手を放してしまっては、確実にパンティは落ちる。身を捩るだけしかできず、レフェリーの手から逃れられない。
 そこにジョーカーが近づき、秘部を撫でてくる。
「!」
 反射的に膝蹴りを出すが、その膝はジョーカーに抱えられた。またもジョーカーの指が秘部を撫で、不快な感触を与えてくる。
「き、貴様ら、いいかげんにしろ!」
 自分の身体を弄る男達に咆えるメイだったが、返答は更なる嬲りだった。レフェリーは乳房と乳首を弄り、ウエストのくびれを撫で回す。ジョーカーは秘裂に沿って指を前後させる。
「やめ、ろ・・・くぅっ!」
 拘束されたメイの儚い抵抗は、逆に男達の嗜虐心を煽った。遂に、ジョーカーがパンティに手を掛けたのだ。
「やめろ・・・それだけは・・・!」
 乙女の羞恥が唇を震わせる。
「いいじゃないか。藤嶋選手のオールヌード、皆に披露しようぜ」
 何度も乳房を弾ませながら、レフェリーが嘲る。
(くっ・・・ううっ・・・!)
 悔しさが胸を衝く。勝利への執念と女性としての羞恥がせめぎあう。しかし、迷うのも僅かな時間だった。
「・・・ギブアップ」

<カンカンカン!>

 メイの敗北宣言に終了のゴングが鳴らされる。
「なんだ、諦めたのか。藤嶋選手らしくない」
 メイの乳房を揉んでいたレフェリーは名残惜しげに手を放し、リングを降りた。ジョーカーもメイに一礼した後、ゆっくりと花道を下がっていった。
(私は・・・弱い・・・!)
 女性としての羞恥心に負けた自分が悔しく、情けなく、唇を震わすメイは拳から力を抜くことができなかった。


 一回戦第七試合勝者 ジョーカー
  二回戦進出決定


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