【二回戦第五試合】
 (元橋堅城 対 ニナ・ガン・ブルトン)

「これより、二回戦第五試合を行います!」
 黒服の合図と共に、二人の男女がリングへと上がる。
「赤コーナー、『最強老人』、元橋堅城!」
<地下闘艶場>では知らぬ者のない元橋に、観客席から盛大な声援が送られる。一回戦では本多柚姫を嬲った上で勝利し、その実力を発揮している。
 今日も黒い道衣に身を包み、余分な力が微塵も感じられない自然体でリングに佇んでいる。
「青コーナー、『天然ムエタイ戦士』、ニナ・ガン・ブルトン!」
「ニナ・ガン・ブルトン」。18歳。身長165cm、B91(Fカップ)・W58・H86。インド出身。大きな瞳と褐色の肌のエキゾチックな美人。紡錘形のバスト、細く括れた腰、形のいいヒップ。腰まで届く黒髪を三つ編みにしている。広大な綿花畑とITで財を成した父親を持ち、幼少の頃はイギリスに留学し、現在は日本に留学している。英語、日本語、スペイン語、フランス語、サンスクリット語、ヒンディー語など十以上の言語を操る才女。イギリスでキックボクシングと出会い、日本ではムエタイジムに通って体を鍛えている。
 一回戦ではジョルジュ・マホーニーと対戦し、剛体法に苦しんだものの、鼓膜へ衝撃を与えたハイキックで勝利を挙げている。今日もジャージ姿でリングに上がっている。
 この試合を裁くのは志乃だった。先程の試合と同様ビスチェタイプのビキニ水着姿で、観客の目を楽しませている。
 志乃は元橋とニナにボディチェックを行い、ゴングを要請した。

<カーン!>

(うーん、お爺さんを蹴っ飛ばすのは躊躇しますぅ)
 一応アップライトスタイルに構えるニナだったが、元橋に攻撃しようという意欲が起こらない。
「おや、来ないのですかな?」
 対する元橋は両手を腰の後ろに回し、小首を傾げる。
「だって、お爺さんですよ?」
 ニナの返答に、元橋の顔に苦笑が浮かぶ。
「敬老精神は有難いですが、ここはリングですからなぁ。遠慮なさらず」
「えっと・・・お爺さん本人がそう言うなら、行きますよ!」
 せめて痛みが少ないように一撃で決めよう。そう決意したニナの右足が跳ね上がり、元橋の頭部に襲い掛かる。
「ほえっ?」
 元橋の頭部を抉った筈なのに、リングに倒れていたのはニナのほうだった。
「どうしましたかな、お嬢さん。足腰が弱るにはまだ早過ぎますぞ」
 見上げた先に、元橋の笑顔がある。
(おかしいですねぇ、当たったと思ったんですけど)
 首を傾げながら立ち上がり、もう一度構えを取る。
(今度は足を滑らせないように)
 先程のはスリップだと思い、今度はミドルキックを放つ。
「はれっ?」
 またもやリングに倒れていた。
(なんでですか?)
 疑問に思いながらも上半身を起こしたところで、胴に何かが巻きついた。驚く間もなく両腕を一つに纏めて拘束されてしまう。
「えっ、えっ?」
 ニナは訳のわからぬままに元橋に捕らわれていた。胴を両脚に絞められ、両腕を左腕に抱え込まれている。暴れる間もなく元橋の手がバストを撫でてくる。
「え、ええぇっ? そんなとこ触ったら駄目です!」
「いやはや、凄い出っ張りですなぁ。触りたくなるのは仕方ありませんよ」
 元橋の右手が優しくバストの縁を撫でてくる。その優しさに、ニナは思わず動きを止めていた。
(なんだか、もっと触って欲しいような・・・)
 そんな自分の心の動きを否定するように首を振る。
「ここまで突き出していると、直接確かめたくなりますなぁ」
 元橋の手がファスナーに掛かる。
「・・・あ、駄目で」
 言い終わる前にファスナーを下ろされてしまう。元橋がファスナーを下ろした途端、ミサイルのような紡錘形のバストが飛び出してくる。
「いやはや・・・これは驚きましたな」
 その絶景に、元橋の手が止まっていた。しかし大きさを確かめるかのように、バストの縁をなぞっていく。
「ふぁっ?」
 それだけで、ニナは鼻に掛かった吐息を洩らしていた。
「随分と感じやすいようですなぁ」
 元橋の吐息が耳をくすぐり、意外な箇所への責めが官能へと向かわせる。その間にもバストを揉まれ、快楽指数が高められていく。
「では、生で拝見」
 遂に元橋がブラに手を掛け、優しくずらす。
「あっ・・・」
 気づいたときには乳房を剥き出しにされていた。解放された乳房が反動で揺れ、弾む。
「ふぅむ、ここまで見事な出っ張りは初めてですなぁ」
 感嘆しながらも、元橋の手は優しく、それでいて確実に官能を高めていく。
(こ、このお爺さん、巧すぎます)
 元橋が撫でていく場所から、初めて味わう量の快感が脳と子宮に送られてくる。
「こちらはどうですかな?」
「ひぅぁっ!?」
 いつの間にか秘部に伸びていた元橋の右手が、ニナの秘裂を優しくあやす。繊細なタッチなのに、与えられる快感は怒涛の勢いで脳を揺さぶってくる。
「はぅぅ、だ、ダメ・・・あふぁぁっ!」
 ニナの理性は一瞬で消し飛んでいた。もう元橋の与えてくる刺激に翻弄されることしかできない。

(やっぱり、この人巧い・・・)
 ニナを責める元橋を見て、志乃は前回のシングルトーナメント同様、下腹部に熱を覚えていた。
(だ、駄目駄目! レフェリーとしてしっかりしなくちゃ!)
 理性で手綱を引こうとしても、目は元橋の手の動きを追っていた。

 元橋の手がニナの秘部と乳首を同時に責めた瞬間、ニナの声が裏返った。
「ふぁぁぁーーーっ!」
 高く嬌声を上げたニナの肘が、偶然元橋の胸板を叩いていた。
「ぬっ!?」
 元橋の叫びは短く、気づいた者は居なかった。

<カンカンカン!>

 ニナが失神したと見て、志乃は(ワンテンポ遅れて)ゴングを要請した。ゴングを聞いた元橋は静かにニナから離れ、リングを後にした。
(この歳になると、傷の治りが遅い)
 前回のシングルトーナメントで王美眉(本名は呉美芳)と対戦した際、美眉の一撃で胸骨を折られていた。手術が必要なほどではなかったものの、すぐに治るような怪我でもなかった。通常生活ではなんともないが、激しい動きや打撃を受けるといまだに疼く。
 おそらく、次の相手はジル・ジークムント・ヴァグナー。元橋の長い闘いの歴史を紐解いても、五指に入るほどの実力者だ。まだ完調にはほど遠い体でどこまで通じるかはわからず、通じるどころか木っ端微塵に粉砕されてもおかしくはないのだ。
 それでも気負いなど微塵も見せず、元橋は花道を悠然と下がっていった。


 二回戦第五試合勝者 元橋堅城
  三回戦進出決定


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