【後 本編第百一話】


「うあー、疲れた・・・」

 控室に戻った小比類川(こひるいがわ)彩萌(あやめ)は、設置されていた背もたれのないソファーへと寝転がった。

 プロレスラーとして経験を積み、今日まで何十試合もこなしてきた彩萌だったが、今日の試合は疲労が激しかった。肉体的な疲労はもとより、精神的な疲労が甚だしい。

(まさか、セクハラまみれの試合だなんて・・・)

 男性選手が相手だというのも驚いたが、遠慮も何もないセクハラを加えてくるとは思いもしなかった。しかもレフェリーまでもがセクハラに加わってきたのだ。

(うー、思い出したらまた腹立ってきた。もうちょっとお仕置きしておけばよかった!)

 セクハラされた不快感がぶり返し、罪のないソファーを殴りつける。

(・・・ここで寝てても仕方ないし、さっさと帰ろう)

 そう決めるとソファーから跳ね起き、備えつけのシャワールームへと踏み込む。自前の衣装を丁寧に脱いで脱衣かごへと入れ、アンダーショーツも一緒にかごへと入れる。

 全裸となった彩萌は温めのシャワーを浴びる。

 全身の汗を流してからシャンプーを泡立て、頭皮に塗り込むようにマッサージする。シャンプーを洗い流すとリンスを長い黒髪に塗り込み、シャワーで洗い流す。

 ボディソープを丁寧に泡立て、顔を泡パックする。ある程度で洗い流してから、今度は泡を手で全身へと塗り広げていく。

 耳の裏から首筋、腕と泡を広げ、Dカップの形の良い乳房も、先端に色づく乳首にも泡を乗せていく。

 背中にも泡を塗り、脇、腹部、横腹も泡塗れにしていく。

 自慢のヒップは特に丁寧に泡を塗り込む。

 太もも、膝、膝裏、脹脛にも泡を塗り、最後に秘部周りを泡立てる。

 全身を泡だらけにしてから、頭からシャワーを浴びて泡を洗い流す。

「・・・ふう」

 思わず洩れた吐息と共に、ストレスも吐き出す。

「よし、終わり!」

 頬を軽く叩き、黒髪から水気を落とす。用意されていたバスタオルで裸体を拭い、髪に巻きつける。

 そのままコスチュームを持ったままシャワールームを出て、下着を身に着け、私服へと着替える。軽くメイクを整え、控室を後にする。

 もう二度とこんな場所には来るまい、と心に決めて。



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