【幕間劇 其の八】

「なんと・・・」
「御前」ほどの男が驚愕の声を洩らしていた。
 例え八岳琉璃でも、カミラ・アーデルハイド・バートリーには敵うまいと考えていた。それを覆し、引き分けにまで持ち込んだ琉璃の格闘の実力には驚きを隠せない。無論カミラの油断にも原因があるのだが、油断を衝けるのも実力の内だ。
「しかし、将玄になんと言われるやら・・・」
 八岳琉璃の祖父であり、「御前」の悪友でもある八岳将玄は、美貌の孫娘を溺愛している。その孫娘が怪我を負っただけでなく、嬲りものにされたと知ったら、八岳グループの総力を挙げての全面攻撃を開始しかねない。
「カミラと噛み合わせる方法はないか、考えておくとするか」
 将玄の怒気に満ちた顔が思い浮かび、「御前」は苦笑交じりに呟いた。


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