【A&A 其の六−6】   投稿者:小師様  推敲手伝い:事務員


 「んん・・・」

 何か不愉快な感覚が全身を襲うが、瞼が重く確認できない。
 それでも無理矢理目をこじ開ける。すると、先程追い払った筈の信広の顔が目の前にあった。

 「お、おつかれですか? こんな、ところで、ね、寝る、なんて」

 その言葉で、自分が気を失っていたことに気付く。痴態に続いて醜態まで晒したことに気付き、暁子にしては珍しく目を逸らして頬を真っ赤に染めて俯く。

 「き、今日は、絶対、連れて帰ります、よ」
 「・・・私は真里谷の家を出たのです。今更帰るつもりなど」
 「ふふ、やっと、やっと、あ、暁子さんに、手が、届いたのです。こ、こ、これで、僕は・・・!」

 信広は悦びに打ち震えている様だった。

 「さっきはドジったけどよ、今度は逃がさないからな」

 気が付けば先程と同様に後ろ手に縛られ、脚を開かされている。暁子の後ろには朝久が座り込んで脚を絡めて開かせていた。暁子の正面の観客は美貌と濡れた下着、さらに透けて見えているかもしれない秘部
に目を奪われギラギラとしている。

 「ああ・・・あ、暁子さんの、体は、や、やはり、べ、別格、ですねぇ・・・」
 「くっ!!」

 無遠慮に胸を揉み回され、痛みが走る。激しく首を振るが、信広にはそれすら嬉しいらしい。

 「い、痛い、ですか? ふふ・・・あ、あなたでも、痛いことが、あ、あるんですね」
 「あぐううっ!」

 今度は胸を握り潰され、その上に捻りを加えられる。今まで体験した事のないような激痛が暁子を苛むが、痛みを逃がすことはできなかった。

 「そんなに、痛かった、ですか?」
 「はぁ、はぁ・・・」

 返答代わりに信広を睨みつける。それを見て信広は肩を竦めて見せ、鼻で笑う。

 「ま、い、いいですが。こ、古河さんが、いれば、負けない、でしょうし」

 信広の手が下着のクロッチをずらすと、そのまま人差し指を穴に埋めていった。

 「っ・・・!!」

 あの時とは違う、とてつもない嫌悪感。しかし僅かとはいえ確かに快感が、抉られる体内から感じられてしまう。

 「そういえば暁子ちゃん、もう初体験は済んでるんだっけ?」
 「そ、そうなんです、か?」
 「そう言ってたぞ」
 「・・・」

 それを聞いた途端、信広の目から生気が消えていった。代わりにどす黒い何かが目の中で燃えている。

 「あ、暁子さん、そんな・・・」

 初めて会った時から、信広は暁子に一目惚れしていた。暁子はそれを欲の混じった汚い目だと断じていたが、信広にしてみればそれは恋以外の何物でもなかった。しかも、親からはずっと、暁子と結婚して道
場を継げと言われてきた。好きな子と結婚してやりたいことができる。妄信していた信広にとっては暁子が出ていくことも衝撃的だったが、それ以上に純潔でない事がショックだった。

 「僕、以外の人に汚されて、しまうなんて・・・!」
 「あぐううっ・・・いたっ・・・やめ、て・・・!」

 力任せに何度も奥まで突き入れられる。快楽などかけらもなく、ただただ痛めつけられるだけだった。

 「信広、そんなに力任せにしたって女の子は悦ばないぞ」
 「で、でも・・・!」
 「優しくしなきゃ、な。こういう感じでさ」

 そういうと、朝久は優しい手つきで胸を揉み、淫核を転がしながら秘裂を擦る。信広の時とは違い痛みはなかったが、それでもあの時の快感とは程遠い。

 「んっ・・・っ・・・」

 体を触られて不愉快極まりないが、前回と違って思考が纏まらなくなるほどの焦りは何故か感じられなかった。自分はそれほど穢れてしまったのかもしれないが、今はそんなことを言っている場合ではない。
暁子は目を瞑って、脱出策を練り始めた。



 リングの上では綾乃と氏継が対峙していた。

 「いやはや、見事なもんだ。その細っこい体であいつを吹っ飛ばすなんてよ」

 氏継は心の底から感心していた。氏継にしてみれば、小さな女の子が成人男性を打ち負かしたのだ。驚きこそすれ、嘲笑などありえない話だ。
 しかし綾乃にしてみれば、そうしなければ父がどうなるか分かったものではない。勝たなければならないのだ。ノルマをこなしただけのこと、褒められても心の底からは喜べなかった。

 「でもな、俺はそんな簡単には飛ばないぜ」

 言葉と同時に氏継が動き出す。フェイントも何もないただのハイキックではあったが、綾乃が考えていたよりも何倍も速かった。避けることも間に合わず側頭部をガードするが、そのガードごと吹き飛ばされ
た。

 「うあっ!」

 吹き飛ばされた綾乃だったがすぐに立ち上がり、構えを取る。

 「俺はレスラーを目指してるんだ。ここで女の子達に負けるわけにはいかないんだよ」


 古河家はその業界では知らぬ者のないほどの大会社だった。氏継はその嫡男だったが、会社の運営等に一切興味が無かったため、跡は弟に譲って自分は自分の道を歩んでいた。政哉は氏継の側付でもあったが
、氏継が実家を継がないとわかってからもずっと一緒に遊び歩いている悪友でもあった。
 まだまだレスラーとしては駆け出しの氏継ではあるが、もって生まれた才能は抜群で、いつデビューしてもおかしくないほどではあったが、その前にこのリングで経験を積め、と言われてしぶしぶ上がってい
た。政哉が一緒なのは、政哉もまたその方向で頑張っていたからだった。しかし才能や運動神経は氏継には程遠く、というよりほとんどない、という方が近いくらいだったが、それでも努力しているのを氏継が
知っていたから本人が断るのも聞かずに無理矢理出場させたのだった。
 ただそれ以上に、二人とも女好きではあったが。


 「私だって・・・負けられないんです」

 綾乃の目に炎が宿る。絶対に負けられない、その思いは綾乃も同じだった。

 「ハッ!!」

 上半身に掴めるところがない以上、柔道での攻めでは弱いかもしれない。綾乃は連打を放つが、氏継にはまともにダメージを与えられない。

 「女の子にしちゃ速いけどな。それだけだ」

 すべて弾かれ、ダメージを与えるには至らない。ならば今度は、と投げを狙うが、これも懐に入る前に阻止されてしまう。

 「まぁ、こんなもんか。今度は俺だな」

 氏継が攻めに回った。連打は何とか見えるのだが、防御するだけで精一杯でそこから相手に打ち返すことができなかった。

 「そらそら、次はこっちだ!」

 何とか防御して耐えていたが、一発の掌底が顔面に迫る。これを受け流した綾乃だったが、その瞬間ローキックが左の膝裏のあたりにジャストミートした。

 「・・・!!」

 脚から力が抜け、糸が切れたマリオネットよろしく綾乃が倒れ込む。痛み、というよりも脚に力が入らなかった。

 「まだまだ、これで終わりだと思うなよ?」

 持ち上げてからの投げを打とうと綾乃に手を伸ばす。しかし。

 「ぐ・・・!?」

 倒れていた綾乃は伸ばされた腕を伝って氏継の背中側から首に絡みつき、スリーパーホールドを極めた。

 (これで・・・絶対に終わらせるんだ! 暁子の負担を軽くするんだ!)

 氏継が振り払おうと体を揺するが小さな綾乃も必死に振り払われまいとする。

 「この・・・!」
 「・・・!」

 氏継が背中側からリングにダイブした。瞬間、綾乃もなんとか離脱してダメージを逃れる。

 「ゲホッ・・・へぇ、やるじゃないか。ちょっと見くびってたよ」

 少しの間呼吸を整えただけですぐに立ち上がったのは修練のたまものだろうか。しかし綾乃はロープを掴んで立ち上がるのがやっとだった。左脚にはあまり力が入らない。

 「霧生選手、痛そうだなぁ」
 「なっ!?」

 忘れていた頃にレフェリーが綾乃の後ろから抱きついてきた。胸を掬い上げる様に揉み込んでくる。

 「や、やめてください!」

 振り払おうとしたが、脚がもつれて倒れ込んでしまった。

 「だいぶ重症みたいだな?」
 「胸は怪我してません! 離れてください!!」

 必死になって暴れる綾乃の肘を何とか躱しながら胸を揉むレフェリーだったが、もう片方の手が綾乃の股間を捉えた。

 「ひああっ!!」

 こうなっては最早逃げられなかった。第三戦が始まる前まで徹底的に嬲られた体を一時しのぎの特効薬で鎮めていたが、それを更にもう一度責められてはたまらなかった。しかし。

 「邪魔しねえでくれ」

 レフェリーに声をかけたのは他ならぬ氏継だった。

 「何だと?」
 「あんたの楽しみは試合が終わってからにしてくれ。俺はこいつらに勝たないといけないんだ。あんたが介入して、それで勝てたなんて言われたくないんだ」

 顔は笑顔になっているが、目は笑っていなかった。明らかに狂気を含んだ眼をしており、これにはレフェリーもすぐさま綾乃から離れた。

 「邪魔が入ったな。全く、人の獲物を何だと思ってやがる」

 氏継は尤もらしい事を言ったが、単にレフェリーに狩りの邪魔をされたくなかっただけだった。レフェリーはちゃんとレフェリングしてくれればそれでいい、そういうスタンスだった。

 「おほっ、あのレフェリーが夢中になるのもわかるな」
 「あっ、やめて!」

 綾乃に覆い被さった氏継が綾乃の胸を揉みだした。再び火がついてしまった綾乃は動くこともままならず、体を震えさせながら耐えるしかなかった。

 「うん・・・服の上からじゃわかりづらいな」

 言うが早いか、綾乃の衣装の前を左右に開く。縫い合わされていた筈の衣装が簡単に開いていく。

 「・・・!」

 またも衣装を破かれて白い肌を晒してしまった。そのことに恥ずかしさを覚え、顔や体に朱が差してしまう。

 「なるほどな、レフェリーが二人に夢中になるのもわかるよ。これだけ可愛らしい反応されたら、さ!」

 破れ目から見えていたブラジャーを氏継が引っ張ると、まるで切れ目でも入っていたかのように簡単に破り取ってしまった。

 「え!?」

 これには綾乃も驚いた。未だかつて猛獣のような剛力をみたことがなかったからだ。
 氏継は綾乃の驚きなどに関心を持つこともなく、そのまま綾乃の右胸を揉み乳首を転がし始めた。

 「ひうううっ!」

 なんとか脱出しようと腕を顔面や腹を狙うが、突きを繰り出そうとすると刺激で動きが止まってしまう。そのまま右手で両手首をつかまれて頭上で拘束されてしまった。

 「抵抗してもいいんだぜ」

 乳房を揉みながら、綾乃の顔を覗き込んでくる。

 「ふっ・・・ううっ・・・」

 しかし、綾乃に抵抗できるだけの体力はほとんど残っていなかった。気付け薬の効果も切れた今は首を振り、快感を逃そうとするだけだ。

 「抵抗はなし、と。ならこれであとは感じまくるだけだ。諦めてくれ」
 「ひあああああっ!!!」

 胸を揉まれながら、反対の乳首に吸い付かれる。疲労が倍加させるのか、今までで一番の快楽だった。それだけで何も考えられなくなり、ただ浅ましく喘いでしまう。

 「あふっ、ああうっ!!」

 首を振っても、体を揺すっても、どうにもならない。ただただ氏継と観客たちを喜ばせてしまう。

 「可愛いなぁ、綾乃ちゃん。おっぱい苛めるだけでこんなに感じるなんてよ」

 氏継の揶揄にも何も返せない。否、喘ぎ声を返してしまう。

 「そら、こいつはどうだ?」
 「ひあ〜〜〜っ!」

 乳首に強烈な振動を加えられ、咽喉が見えるほどに仰け反る。

 「こいつも気に入ってくれたか、本当にいい娘だぜ・・・」

 舌舐めずりした氏継が、欲望に塗れた視線を綾乃に突き刺す。

 「さぁ、仕上げだ! 天国までイッちまえよ!?」

 氏継の宣言に観客のボルテージが最高潮に達する。綾乃の手の拘束を外した氏継の手は、そのまま綾乃の股間に降りていく。

 「あ・・・だめ・・・!」

 綾乃も何とか逃げようと体をくねらせるが、妖艶に誘っているようにしか見えなかった。

 「そんなに焦るなよ、綾乃ちゃん。今から気持ち良くしてやるから・・・な!」

 遂に下着の上からとはいえ、氏継の指が正確に淫核を捉える。

 「はぎっ!」

 淫らな電流が、淫核から全身へと放出される。綾乃は一撃で追い詰められてしまった。

 「おいおい、まだまだこれからだぜ?」

 氏継の手が、残酷な優しさで以て綾乃を責め立てる。

 「――――っ!!」

 胸を揉まれ乳首を転がされ吸われ、秘部を弄られて淫核を潰される。あまりの電撃に声すら出せなかった。

 (こんな・・・私・・・っ、・・・あああああああああああああっ!)

 胸の中で快感が爆発する。爆発は綾乃の意識をも吹き飛ばし、性の頂へと叩き込んだ。
 観客の視線が綾乃へと集中する。結果は濡れた下着と秘部の上を蠢く氏継の指を見れば一目瞭然だった。綾乃の瞳は閉じられ、唇は僅かに開かれ、力なく横たわっている。

 「イっちまったか。じゃ、一旦終了だな」

 絶頂を極め、動けなくなった綾乃の肩を押さえ、レフェリーにカウントを取らせる。

 「ワン、ツー、スリー!」
 「霧生綾乃選手はここで失格となります」

 スリーカウントが入り、綾乃の失格が決定する。

 「さて・・・」

 氏継は、横たわる綾乃の衣装に手を掛けた。観客とレフェリーが何をするのかと見守る中、既に前が開いた衣装を更に引き裂いていく。どんどんと露わになる面積が増えていき、綾乃が全裸に近づいていく。

 「もしかして、そいつもか?」
 「ああ、こいつもだ」

 唯一残された白いパンティを指差し、氏継がにやりと笑う。氏継が最後の一枚に手を掛けると、観客席から怒号のような歓声が沸く。
 布地が裂ける音は一瞬だった。二つに裂かれた下着を氏継が掲げ、綾乃の愛液がついたままのそれを観客席に放り込む。たちまち巻き起こった争奪戦を横目に、氏継は綾乃を担ぎ上げた。そのままリングの外
側へ綾乃を出してから手足をロープで拘束していく。
 プロポーション抜群の美少女が全裸で磔にされた光景に、会場中から視線が突き刺さる。特に綾乃の前面に位置した観客の視線が集中し、会場から大きな歓声が起こった。しかし失神した綾乃は目を閉じたま
ま首をうな垂れ、観客から視姦され続けていた。



 まずは自分の状況を把握する。

 脚には力が入る。
 手には力が・・・

 (・・・曲がらない!?)

 指が曲がらない。何かが指に巻かれている。

 「さっきはつねられたからな。今回は固定しといた」

 暁子の体を弄り回しながら得意気に説明する。

 (どうする? どうやって・・・)

 「そろそろいいかな」
 「ひあ・・・っ!」

 秘部を弄り回していた朝久の指が、体内に埋められる。稚拙な信広の拷問とは違い、熟れた手つきで暁子の心を開こうとしているようだ、

 「うんうん、感じてくれて嬉しいよ」
 「誰が・・・っっ!」
 「嘘はよくないぜ、これ見ろって」

 朝久が埋めていた指を見せつけるように暁子の前にかざす。その指は明らかに濡れていた。

 「これでもまだ感じてないって言うかい?」
 「そ、それは・・・」

 暁子にしては珍しく歯切れの悪い答えだった。それを聞いた朝久はさらに追い討ちをかける。

 「ああ、そうか。大勢の人に見られながら自分でナニしたほうが気持ちよかったか」
 「・・・なんだと?」

 暁子の言葉遣いが変化した。その瞬間、指と手首の拘束を外した暁子の肘が朝久に直撃する。

 「中々良い結いだったが・・・しかしあの程度では妾は捕えきれぬぞ」

 そのまま脚の拘束をするりと外して立ち上がり、朝久の顔面に蹴りが直撃していた。

 「がぁっ!」

 朝久の顔からは、漫画のように鼻血が吹き出す。

 「信広様」

 目にもとまらぬ早業を見せつけられ、信広は固まってしまった。同時に、天地が引っくり返っても勝てないことに気付いてしまった。

 「信広様!」
 「は、はい」

 我に返り返事をするが、声が上ずってしまう。

 「妾が何ぞ?」

 信広にはそれがどういう意味なのか、理解はしていたが言葉が出てこなかった。
 しびれを切らした暁子は手刀を信広の眉間すれすれまで突き出した。

 「妾が何ぞ!? 答えぬか!!!」

 怒りが暁子の体を震えさせる。その姿は美しく、その上とてつもなく恐ろしかった。信広はそのままペタンと尻もちをついてしまう。

 「ふん、猪口才な青二才めが。妾を見るな、汚らわしい」

 かなり強い口調で罵倒されているらしい、という風にしか信広には思えなかった。それほど頭が付いていっていないのだ。

 「去ね!」

 つま先が信広の頬をえぐり、信広は意識を飛ばした。丁度そのときだった。

 「霧生綾乃選手は失格となります」

 アナウンスが流れると同時に、リングへと振り返る。その視線の先で、氏継が失神している綾乃から衣装と下着を破り取ってしまった。そのまま一糸纏わぬ綾乃をリングの外に出し、手足をロープに絡めて拘
束した。
 暁子はリングの外から呆然とその様を見ていた。

 「どうした真里谷選手、早くリングに上がれ」

 レフェリーの問いかけに驚いたように、暁子は顔を上げた。
 信じたくなかった。自分が不甲斐ないから、綾乃は公衆の面前に全裸を晒している。自分が弱いから、綾乃がここに上がらざるを得ない。自分に力がないから、養父の無謀な賭けを止められなかった。

 「真里谷選手、聞こえないのか?」

 暁子に見せつけるかのように、否、確実に見せつけるために、レフェリーは失神したままの綾乃の背後から腕を回し、剥き出しの乳房を揉み始める。

 「貴様!」
 「レフェリーを貴様呼ばわりするな。これは罰を与えなきゃな」

 綾乃の乳房を揉みながら、レフェリーは冷たく言い放つ。

 「ご主人様がおっぱい揉まれるのを、暫く黙って見てろ。霧生選手を助けようとしたり、俺に攻撃しようとしたら失格にするからな。ああ、特別にリングアウトのカウントは取らないでおいてやるよ」

 レフェリーはにやにやと笑いながら、気絶したままの綾乃の乳房を鷲掴み、揉み回す。余程深い失神に陥っているのか、綾乃は何の反応もせず、レフェリーの欲望のままに豊かな乳房を揉まれ続けている。

 (お嬢様・・・!)

 今の暁子に綾乃を救う手段はない。レフェリーに手を出せばその時点で試合が終わる。間違いなく敗北を宣言される。そうなれば、綾乃は今以上の辱めを受けねばならないのだ。思わず下を向いてしまったと
き、レフェリーが残酷に告げる。

 「おいおい、俺は黙って見てろ、と言ったぞ? 下を向いてちゃ駄目だぞ真里谷選手」

 乳首までも弄りながら、レフェリーは暁子に命令する。

 (この下衆め・・・!)

 拳が白くなるほどに握りしめ、それでも暁子は綾乃の方へと顔を向けた。必要以上に綾乃の裸体を視界に入れないように、レフェリーを睨みつける。

 「おいおい、そんなに見つめるなよ。照れるじゃないか」

 にやにやと笑いながら、レフェリーは綾乃の乳房から手を放そうとはしない。両手で綾乃の乳房を揉み、弾ませ、乳首を弄り、弾く。意識を失ったままの綾乃は抵抗のそぶりもなく、乳房を好き勝手にされる
様を観客に視姦され続けている。
 それでも、暁子には耐えることしかできなかった。守るべき存在が汚されている、その瞬間だと言うのに。


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