【A&A 其の七−2】   投稿者:小師様  推敲手伝い:事務員

 「・・・んっ」

 目がだんだんと開いていく。

 (ここは・・・?)

 頭が回らない。しかしリングの上ではないようだ。

 「あ、お嬢様・・・おはようございます」

 外が明るい。どうやら一晩眠ってしまったらしい。私に心配をかけさすまいとしてか、目の前の少女は努めていつも通りの反応を示した。しかし、その行為が逆にリングでのことを思い出させてしまった。それでも暁子の心遣いに応えようと、頭の隅に無理やり押しやる。

 「ここは・・・?」
 「ここは<地下闘艶場>の主の部屋です。・・・いえ、主というよりも支配者、と言ったほうが相応しいでしょうか」

 <地下闘艶場>の主。それはとりもなおさず・・・

 「起きたか、霧生の娘」

 突然かけられた声に驚く。声の方を見ると、白髪の男の人が一人、こちらを見て立っている。

 「ふ、見れば見るほどあの親に似つかわしくないの」

 私の顔を見、体を見て何がおかしいのか笑っている。その視線に気づいてか、暁子は私の前に座って私を隠そうとする。

 「殊勝よの。儂の言うた通り身体を清めたか」

 言われて気づいたが、暁子はバスローブを着ていた。仄かな、合成石鹸とは違う何か別の匂いがする。心を落ち着ける、良い匂い。対する私は、病人が着るような白衣姿だ。いつ着させられたのか、まるでわからない。しかも自分の汗や他のもので身体がべたついている。

 「真里谷暁子、こちらへ」

 そんな思いをへし折るような声に混じる、有無を言わさぬ傲慢さ。しかしその言葉に逆らうような勇気を抱かせない重い声。一瞬の逡巡はあるものの彼女は立ち上がって離れていく。

 「暁子・・・」

 引きとめようと腕を伸ばしたが、私の手は空を掴んだ。

 「向こうを見よ。これから処女の姫子に性教育を施す。序だ、お前には実演して貰うとしよう」

 明け透けに「性教育」などと言われ、自分の顔が赤くなるのがわかる。
 あれ? でも今何か変なことを・・・

 「うむ、修練は怠っておらなんだようだ。女性としても闘士としても、悪くない」

 そう言いつつ暁子のバスローブを肌蹴させ、床に落とす。

 「あとは自分で脱げ。元の主に見えるように、な」
 「っ・・・」

 一瞬唇を噛んだ暁子だったけど、背中のブラのホックを自分で外し、肩紐を滑らせてブラを脱ぐ。そのまま両手でパンティをずらし、静かに脱いでいく。

 「もう少し、男の欲望をそそる脱ぎ方も教えねばならぬな」

 そう呟いた男の人は、露わとなった暁子の乳房を揉み始めた。

 「んんっ・・・」

 ただそれだけで暁子の肌に朱が差し始める。

 「少し大きくなった様だの。それに」

 もう片方の手が暁子の秘部をまさぐりだす。

 「ふああっ!!!」
 「中もだいぶ女になってきたようだ」

 指を少し侵入させただけで暁子は嬌声をあげてしまった。しかも身体は快感を受け入れるが如く震えている。

 「う、んっ、・・・うああああっ!!」

 大きく体を仰け反り、大声を上げて震える。その顔は快感で恍惚としているようでもある。

 「軽く達したか、感度はだいぶ上がったの」

 手を放すと暁子が地面にへたりこんでしまう。達した、と言ってたが、つまりそういうこと・・・

 「良く見ておけ、霧生の娘。男を喜ばせる方法の一だ」

 そういうと暁子に問いかけた。

 「早うせよ。手始めにどうすれば良い?」

 暁子は無言で袴の中に手を入れ、中心の部分を上下に動かし始めた。そこにあるのは・・・

 「えっ・・・ちょっ」

 何をしてるの、と言おうとして、暁子の表情が暗い事に気付く。その表情をこちらに向け、まるで制止するかのように私を見つめてくる。

 (どうしちゃったの? もしかしてまだ体が勝手に動いてるとか?)

 余計なことを考えて気恥ずかしくなる。身悶えしているうちに「御前」はまた問う。

 「ふむ、もうよい。して次は?」

 またも暁子は言葉ではなく行動で応える。袴を下ろし褌を外すと、赤黒いグロテスクなモノが姿を現す。
 それだけでもショッキングな映像だったが、さらに暁子が「御前」の逸物を握り、舐め始めたのを見て卒倒しそうになる。

 (ちょっ、ちょっ、暁子、何やってるのよ!!)

 思わず顔を両手で覆ってしまう。

 「これくらいで何をしておるか霧生の娘。お前にもこの程度はして貰うのだぞ?」

 それに対して何も言えなかった。父の命がかかっているとはいっても、流石に恐怖感が先に立つ。

 「まずは見ておれば良い」

 その心を察してか「御前」が笑み交じりに言う。その間も暁子は逸物を舐めており、その表情と相まって娼婦の生霊に取りつかれたのではないかと思われた。

 「咥えよ」

 「御前」の一言で暁子は逸物を口に頬張る。これは流石に見てられなかった。自分どうこうではなく、暁子が一瞬躊躇したこと、今も少し体が震えていることから、暁子がいかに嫌がっているかが見えるからだ。それでも何かに取りつかれたかのように一心不乱に吸い上げる。

 「前回よりも幾分かましにはなったが・・・まだまだよな」

 その言葉を聞いた暁子の動きが多少激しくなるが、それでも白髪の男の人の表情は満足まで程遠い。

 「ふむ・・・ならば、一工夫加えよ」
 「え・・・?」
 
 呆けたような声を出して暁子は男の人の顔を見る。

 「その大きな膨らみは飾りか?」

 そういいつつ暁子の胸に手を伸ばして一揉みする。

 「あっ!!!」
 「これで挟んで扱いてみよ。先はちゃんと咥えるのだぞ?」

 乳房を嬲りながら明るい声で命じるが、目は笑っていない。

 「ん・・・」

 暁子は自分で乳房を寄せて男の人の逸物を挟むと、上下に動かして扱き始めた。これがパイズリという行為だとは知っている。しかし、それを暁子がしている、させられている光景はショックだった。

 (暁子・・・)

 声もかけられず、右胸の前をぎゅっと掴む。暁子はパイズリをしながら舌を出し、自分の乳房、唇、舌で男の人の逸物を包む。

 「・・・」

 暁子も必死に頑張っているが、簡潔に言えばイマイチなようだ。男の人の表情が少しも変わらない。

 「ふむ、もうよい。手を離せ」
 「え・・・?」

 突然の言葉に動きが止まる。

 「先程よりはだいぶ良くなったがな」

 言うと同時に暁子の喉の奥に向かって思い切り突き込む。

 「ほう・・・やはり、この方が、良いの!」
 「ぐっ、むうぅっ!!」

 無理矢理突き込まれ、喉が詰まっているのか、呼吸を求めて暁子が暴れる。
 しかしそれも丁度良い程度のスパイスにしかなっていないようで、男の人の顔には、凍えつきそうなほど冷たい微笑が浮かんでいる。

 「うむ、うむ・・・そろそろ、出すぞ・・・!」
 「うぐ、むぐぅ!・・・ゲホッ! ゴホッ!・・・はぁ、はぁ・・・」

 突然の射精に反応できず、噎せ返り吐き出してしまう。隠すもののない暁子の肢体に口から白濁が滴り落ち、より淫靡な雰囲気を纏っている。

 「・・・さて、次は」

 息が詰まった暁子の震える身体を抱え上げ、こちらに連れてくる。

 「もう立てるであろう、向こうの椅子に座って見ておれ。ここからが本番故、な」

 そう言うと、暁子を一旦ベッドに寝かせ、徐に服を脱ぎ始めた。そこから現れたのは、到底白髪の老体とは思えないほどの鍛え抜かれた体。あまりの美しさに思わず見入ってしまう。

 「そんなにまじまじと見つめるでないわ。気恥ずかしいではないか」

 悪戯心たっぷりのその言葉で我に返る。男の人は既に服は脱ぎ捨て、生まれたままの姿だった。そのことに気付いて反射的に横を向いてしまう。

 「見る分には構わぬぞ。減るものでもないのでな」

 くく、と小さく笑いながら暁子の体を愛撫していく。

 「どうした、男の裸に興味があるのか?」
 「え? あ、その、えっと・・・」

 はいともいいえとも言えず、慌てて明後日の方向を見る。自分の顔が真っ赤になっていることに気づく。

 「なに、そのうち嫌でも見慣れることになる。望もうが望むまいが、な」

 それだけ奉仕をしなければならないと宣言され、心奥が冷えていくのがわかる。男の人は低く笑ってから、暁子へと向き直り、余裕を持った愛撫を加えていく。

 「んっ、ふうっ・・・!」

 少し体を撫でるだけでも暁子が昂っていくのがわかる。

 「この間と同じようにするかの」
 「っ、それは・・・っ」

 小さい声ではあったが、暁子は何かを否定しようとした。しかし。

 「真里谷、拒否権があると思うておるのか?」

 突然の重い声。その真意は言わずもがな、ならば。

 「あ、あっ・・・!」
 「どうした? このまま生殺しでもよいぞ?」
 「・・・ぇ」

 何か聞こえた気がした。暁子が、何か・・・

 「聞こえぬな」
 「ふあっ!! あああっ!!」

 力を持つ巨人が暁子を甚振っている。何とか、やめさせて・・・

 「か、堪忍してぇっ!」
 「何だと・・・?」

 突然男の人の手が止まる。そのことに驚いたような顔をする暁子。

 「え・・・?」
 「堪忍して、か。地獄が欲しいならば最初からそう言え」

 改めて手が動き出す。それに合わせるように暁子の体が跳ね回る。

 「あはぁぁっ! あ、ああっ!」

 私が知ってる暁子の顔ではなかった。蕩けきってだらしがない、と言っては酷いかもしれないが、とにかく見たことのないような「雌」の表情だった。

 「あはあっ、ああっ・・・あ、え・・・」

 動き回っていた手が止まる。恍惚の表情は消え失せ、疲れ切ったような暁子がいた。

 「達したければ再現せよ。儂が言うのはそれだけよ」
 「・・・」

 暁子が唇を噛みしめる。その表情には悔しさが滲んでいた。

 「どうした? 黙っていてはわからぬぞ。それとも処女の姫子に全て譲るか?」
 「・・・それは・・・っ!」
 「それが嫌ならば早うせい。如何に儂が気長と言えど限度があるぞ」

 責めが再開される。手が動き出すと、暁子が嬌声を奏でる。
 不愉快だった。私の義妹が、昨日まで見ず知らずの男の人に甚振られて、剰え(少なくとも身体は)喜んでいる。
 何故彼女がこんな目にあっているのか。私は彼女にこれ以上重荷を背負わせたくない、と願ったはずだ。親に捨てられ、養父と死別し、そして今また家を守るために全てを擲っている。


 こんなことがあっていいのか。


 これは本来ならば実子である私に課せられた罰だったはず。なのに何故私ではなく養子の暁子がこのようなことをさせられているのか。

 「・・・れ」
 「聞こえぬな。言うべきことははっきりと伝えよ」
 「わ、妾の厭らしいところに、貴方のモノを入れてくりゃれぇ!」

 色々余計な事を考えていたところに変な声が聞こえてきた。くりゃれ?

 「えっ・・・」

 しかも暁子は、自分の恥ずかしい部分を自分の指で開き、淫らに誘いを掛けている。

 「なんのかのと言いながら、結局は屈するではないか。無駄な時間を取るのは、もっと感じたいという裏返しか?」
 「ち、違う、それは・・・」
 「まあ良い、では鎮めてやろう」

 そういうと男の人が暁子の柳腰を掴んで一気に引き寄せた。

 「あはあああああああっ!!!!」

 たったの一撃で暁子は撃沈した。思い切り仰け反り、体をブルブルと震わせている。

 「経験が少ない割にはよく耐えたの」

 そういって腰を打ち付け始める。ぶつかる音が脳の中で響き渡り、痛い。
 ふと、男の人がこちらを向く。

 「耐えよ。それが今のお前への罰よ」

 そう言われて、無意識に耳に当てていた手に気付いてこれを放した。
 暁子は暁子で自分の事だと思ったのか、下に敷いてあった布団の端に噛り付き、必死に声を堪えていた。その様子を見て男の人が苦笑する。

 「お前ではないわ、真里谷。お前は、精一杯、悦べば良い!」

 口に加える布団を剥ぎ取り、暁子を鳴かせるために思い切り突き上げる。

 「あっ、あっ、・・・ああっ!!」

 抑えるもののなくなった口から嬌声が奏でられる。

 「義姉の前で貫かれて、前回よりも具合が良うなっておるの」
 「!!!」

 その挑発とも取れる言葉に対抗しようと声を押さえようとするが、その抵抗もあっさりといなされる。

 「意思よりも体が堕ちておる。無意味じゃな」

 さらに激しく暁子を責める。責めれば責めるだけ暁子の蕩けきった声が部屋に響き渡る。

 「あひいっ、ひああっ、あふああっ!!」

 段々と打ち付けるペースが上がっていく。そろそろ絶頂が近いと見え、二人とも興奮の度合いが高まっているようだ。

 「さぁ、出すぞ・・・っ!」

 男の人の咆哮に合わせるように、二人の体がピンと張る。暁子は目を見開き、舌を伸ばして、あらん限りに嬌声を絞り出した。

 「あはあああああああああっ!!!!」

 そして二人とも弛緩する。男の人はまだまだ元気だが、暁子は小刻みに震えながらぐったりとしていた。その表情は悦びに満ち溢れているようだった。


 「ここは成長せぬか・・・」

 苦笑しながら、気を失った暁子をまじまじと見る。

 「達した衝撃には耐えられぬらしい。ここが問題よな」

 そうつぶやきながら暁子の頬を軽く叩く。そのうちに、暁子の視線の焦点が合い、男の人に向けられる。

 「また気を失ったか」

 その言葉に顔を赤らめる暁子。

 「さ、次じゃな。四つん這いになって尻を上げい」

 暁子は疲れ切った身体を無理矢理動かして言われた通りにする。こちらに向けられた秘裂から、白濁液がとろりと垂れる。

 (なんでこんなこと・・・)

 流石にそろそろ不思議になってきた。何故ここまで従うのか。

 「うむ、では一気に行くぞ」

 宣言通りに一突きにした。

 「〜〜〜〜〜!!!」

 最早暁子は声も出ないようだ。それだけ、この男の人の与える快楽に屈服してしまっているのだ。

 「っ、っ・・・!」

 かすれた声で、暁子は喘ぐことしかしなかった。

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 「暁子・・・」

 綾乃は今日のノルマを終えて眠って、否、気を失っている義妹の横に、彼女の手を握りつつ座っていた。

 (・・・酷すぎる)

 如何に罰とはいえ、暁子はまるで人権も何もないような責め立てられ方をしていた。これが何日、何か月、否、何年続くのかは知らないが、いかに暁子が強い人でも壊れてしまうだろう。

 (暁子にはこれ以上重荷を背負わせないと決めたのに・・・)

 わからなかった。
 忘れられているかもしれないが、綾乃とて女子高生である。交わりのことは多少なりとはいえ知っている。
 しかし今日見せられたものはまるで別世界の物のような気がしていた。少なくともあの場所に愛は感じなかった。

 (今、私にできることは・・・)

 色々な考えや思いが浮かんでは消える。

 (やることは決まってる。でも・・・)

 未知なことは恐怖感が先立つ。これはどの人間も動物も一緒だ。
 
 (弱気になっちゃダメ。今度は私が恩返しするの)

 綾乃は自分の頬を軽くたたいて気合を入れなおした。

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