【A&A 其の九】 投稿者:小師様 推敲手伝い:事務員
「ん・・・」
目を覚ますと、そこはいつもの部屋。昨晩は・・・
(暁子の試合、それから・・・)
「御前」に抱かれ、試合を見て、その最中にもまた。そこまでは覚えている。
(それから、どうしたっけ・・・?)
そんなことを考えていると、ノックの音がし、そして一人の黒服を纏った女性が入ってきた。
「遅いわね。たるんでいるのではないのかしら?」
明らかに不機嫌であることを隠そうともしない声色と、相手を蔑むような鋭い視線。
「・・・すいません、洋子さん」
そこまでは分かるのに、早く用意をしなくては、というところまで思考が進んでいかない。元々朝はかなり弱い綾乃だった。
「・・・」
大仰に頭を抑えて見せながら、一つため息をつく。
「聞いてはいたけれど、これほどとはね」
苦笑いをしながらやれやれ、と首を振りつつ、
「今日は何の日? まさか忘れたのではないでしょう?」
早くしろ、と強制するのだった。
(そうじゃなくて、他に何か忘れてる・・・?)
ぼんやりした頭に何かが引っかかっている。しかしそれが何なのか、わからなかった。
* * *
半分寝ぼけながらも何とか支度をしてグラウンドへ向かうと、既に女の人が一人、入り口に立っていた。
「おはようございます。霧生綾乃さん」
背の低いこの女の人は、ここで修練を始めるようになってから専属でついている(鬼)コーチだ。
「さ、始めましょうか。今日で夏休みも終わりですしね」
・・・ん? 夏休み?
「・・・ああああっ!!!」
「・・・宿題が終わっていないという顔ですね」
色々なことが起こりすぎて忘れていたが、もう夏休みは今日で終わりだ。
「大丈夫ですよ。あなたたちは事故にあって入院したのですから、宿題はありませんよ」
ストレッチをしながら顛末を聞いていたが、どうやら自分達は夏休みの家族旅行中に交通事故にあい、しかも入院、退院、リハビリで大変だったらしい。
「全然記憶にないですね」
「でしょうねぇ」
既にストレッチは終わり走りこみに入っていたが、最近この内容に疑問が浮かんできた。
「・・・最近は修練というよりも練習に近い、ですか?」
「ふえっ!?」
(鬼)コーチに見透かされたかのように声をかけられて、声が裏返ってしまう。
「まぁ、そうでしょうね。『御前』はあなたで金を稼ぐつもりのようですから」
ふふふ、と笑ってはいたが、その目はまるで違うものを見ているようだった。
* * *
『暁子ちゃん』
誰かが目の前で呼んでいる。
『暁子ちゃん、起きて』
ゆっくりと目を開くと、そこには。
「若・・・さ、ま?」
ずっと昔に死んでしまったはずの、――がいた。
『早く、逃げよう。もうそろそろ追手が』
逃げる? どうやって? などと問う間もなく三人の男たちが入ってくる。
『早く、行くよ!』
私の腕を引いて、三人が入ってきた方とは別のドアから外へ脱出する。
どこをどう進んでいるのかはわからないが、なんとなく「違う」と頭の中で感じる。
(若様は、いったいどこへ・・・?)
そう疑問をぶつけようとした時だった。見覚えがあるような両開きのドアを開けると、その先は格闘技の試合でよく見かけるリングがあった。
(ここは・・・?)
何故か二人で疑問に思う。彼はともかく、私は何度も来たことがあるはずだ。
(ダメだ、行き止まりだ)
二人で戻ろうとしたが、そこにはすでに先ほどの三人が控えていた。
「若様、ここは私が!」
身構え、彼だけでも逃がそうとする。しかし、横にいたはずの彼はどこにもいない。
「若様!?」
驚きのあまり大きな声を上げて固まってしまう。それを見逃されるはずも無く、腕を掴まれて抱えられてしまう。
「放せ! 放しや!!」
何とか暴れて脱出しようとするが、男相手に手足をばたつかせる程度ではビクともしない。
そのうちにリングまで連れて行かれ、中央に投げ捨てられる。
「うぐっ! はぁ、はぁ・・・」
そこまで長い時間暴れていたはずはないのに、何故か息が上がっている。何とか動かなければ、立たなければいけないのに、体に力が入らない。
そのうちに男たちが私に群がってくる。着ている服をすべて脱がし破り捨て、生まれたままの姿をさらしてしまう。
「くそっ、この・・・!」
それでも何とか暴れて脱出しようとするが、男たちが三人がかりで私を押さえつける。男たちの薄汚い手が私の体中を這い回る。
「いやだ、やめよ・・・っ!」
少しづつ全身が熱を持ち始め、そして。
「あっ、うわああああああっ!!!」
体が弓なりに反り返り、激しく跳ね回る。また無様な姿を人前にさらしてしまった。
「あ・・・あっ・・・」
体が震えて力が入らない。暴れないといけないのに、逃げないといけないのに。
すると、男の一人が私に覆いかぶさってきた。男もいつの間にか生まれたままの姿をさらしている。
「どいて、放してぇ!」
陵辱の恐怖に我を忘れて泣き叫んでしまう。それでもどうにもならない。
覆いかぶさった男はニヤニヤしながら自分の乳房に吸い付いてくる。
「んあっ!」
達したせいで敏感になっているのか、少しの刺激でも声が漏れてしまう。
体の感触や反応で興奮覆いかぶさってる男の逸物がどんどんそりあがって行く。
「あ・・・っ」
男が逸物を握り締め、秘部へ宛がう。
「やめ・・・やめて・・・!」
そのまま男が腰を落とそうとした、その時だった。
「いやあああああああああっ!!!!」
「はぁ・・・はぁ・・・」
悪夢から覚めると、そこは自分たちが軟禁されている部屋のベッドの中だった。全身汗やらなにやらでべとつき、気持ち悪い感触に身震いする。
(私は・・・?)
そこで思い出す。昨晩は「御前」に命じられ、<地下闘艶場>で試合をしたことを。多人数相手に勝利で試合は終わったというのに、衆人環視のなかで徹底的に弄ばれた。それも、試合とはまったく関係の無い、マスクをかぶった腕の長い男。
「・・・っ!」
いくら自分が消耗していたとはいえ、逃げることはおろか抵抗すら出来ずにただ玩具にされた。そのことに強い屈辱と憤怒が巻き起こる。
「気がついたか」
真っ赤になって体を震わせる暁子を冷まさせるかのように、奥から声がかけられた。忘れようも無い、「御前」の重低音が体に響く。
「昨晩の試合は修練の成果を出せたのかの?」
刺すような視線を向けられ、寒気が走る。
「はい・・・」
短く答えるものの、下を向いてしまった。
「ふむ・・・」
何を思案しているのか暁子にはわからなかった。
「ま、よい。すぐに風呂へ入り日課をこなせ」
それだけ言うと、「御前」は先に出て行ってしまう。その後に続いて暁子も風呂へ向かっていった。
* * *
「真里谷暁子、修練の量を増やす。覚悟しておけ」
風呂場へ向かう途中だった。「御前」から急に言葉をかけられ、返事もできなかった。
「聞こえたのか?」
「は、はい」
呆気にとられて目を瞬かせるしかできない。
「天神流は舞踊もあるそうだが、義父の二の舞だけはさけることだ」
それを言われ、何をするのかに気付かされた。
* * *
昼間は修練、夜は二人で交代で伽を。それが日課になっていた。しかしその日課も一時的に終わる。
今日からはまた、昼間だけは元の生活に戻るのだ。
「お、おはようございます、『御前』」
部屋に入ってきた白髪の老人に挨拶をしたのは暁子だった。
「うむ。今日からまた学校か」
「はい」
夏休みも明け、また学生に戻る時間になった。どうやら自分たちは大怪我をして入院していたそうだ。
「怪我明けだ、あまり無理はするな」
「はい。では、綾乃さん、行きましょう」
制服を着ている間は主従ではなく親友になる。それが二人の昔からの暗黙の了解だった。
「ん〜・・・」
朝の弱い綾乃は、暁子と同じくらい早く起きて部屋の中で目覚ましのストレッチをするのが日課だった。
しかしここに来てから、その日課が出来なくなっていた。環境が変わってしまって暫く立ったというのに、なかなか寝付けないのだ。無論、理由はそれだけではないが。
「・・・申し訳ありません、『御前』」
「気にせずとも良い。昨日は儂の為に随分励んだからのう」
チクリと胸に針を刺されたような気がしたが、今ここで顔に出すわけにはいかない。努めて平常心で綾乃の手を引いて部屋を出た。
* * *
「着いたぞ、アイマスクを外せ」
最初の時と同じように、建物から出る前に付けられたアイマスクだったが、目的地についたので外せと命令される。毎度毎度命令するのは銀髪の黒服、ナスターシャ・ウォレンスキーだ。
「ここは・・・」
「見慣れた場所だろう? 霧生綾乃を招待した場所だ」
一番最初に闘った場所ではなく、綾乃単独で連れられた時の公園前だった。
「この先の小道を抜けた場所に、目立たないが小さな広場がある。帰りはそこに来い」
それだけ言うと、ナスターシャは車に乗り込んで去っていった。
まだ少し眠たげの綾乃の手を引いて、暁子は学校に向かっていった。
* * *
学校の教室に二人が入ると、クラスメイトが寄ってきて、大丈夫か、傷は残ってないか、親御さんは、どこに行ってたのか、など質問攻めにあった。
言える範囲で全ての質問を捌いていたが、その内にいつの間にか予鈴がなっていたようで、
「席に付け〜」
と、気怠そうな担任の声が聞こえてきた。それを聞いて全員が席に着き、暁子はほっと一息つけたのだった。
* * *
授業も終わり、迎えに来た車に乗って建物に入り、いつも通り綾乃は日課に向かっていったが、
「暁子さん、ちょっといいかしら」
もう一人の女性黒服、鬼島洋子に声を掛けられた。
「はい、何でしょうか」
「『御前』がお呼びよ、ついて来なさい」
そういって暁子を後ろに連れ、とある部屋の前まで行った。
「『御前』、真里谷暁子を連れて参りました」
「応」
それを聞くと扉を開けて、中に入る様に促す。
「さ、中へどうぞ」
「はい」
短く言葉を交わすと、いつものように「御前」の前に進んでいく。
「真里谷暁子、参りました」
「うむ、だいぶ身についたようだの」
言葉使いを身に付けなければ、どうなるか分からない。「御前」は、綾乃は違う用途があるとふんでいるようだったが、暁子にはどうかわからないのだから。
「そろそろよかろう。屋敷の中を自由に使え。ただし外に出ることは許さぬ」
「はい」
「ここで今よりも高い教育を受けさせる故に、な」
もっと精進せい、と。お前ならば出来る、と。言ってもらえているのだろうか。
「洋子、入れ」
「はっ」
「暁子にこの屋敷内を案内せい」
「・・・よろしいのですか?」
「構わぬ。こやつはそこまで阿呆ではない」
それだけいうと、「御前」は先に部屋を出て行ってしまった。
「聞いていたわね? さっさと行くわよ」
半ば強引に部屋から出され、屋敷内を連れまわされたのだった。
* * *
「さて、では投げてみましょうか」
コーチにグローブとボールを手渡される。それらは普段家で使っていたものだった。
「お父君のところから預かってきました。選手というのは繊細ですから」
そういうと、コーチもグローブをはめて構えた。
(あのグローブって・・・)
ずっと昔、綾乃がまだ小学生だったころ。女子プロ野球というものが発足したての頃、一目見て固まってしまった投手がいた。計算されつくしたお手本のような投球フォームは、まさに傑作で美しい、と子供ながらに思っていた。しかしあまりにも綺麗すぎるフォームであるからなのか、成績の方はあまり振るわなかった。
「私も久々ですね。また肩を痛めそうですよ」
とは言うものの、やはり昔取った杵柄だろうか、あこがれたフォームは健在だった。綾乃は彼女に見とれてしまい、キャッチボール程度で後ろに逸らしてしまった。
(まさか、こんなところで・・・)
動揺が隠し切れない。顔が真っ赤になって動き出せない。
「何をしているのですか? 逸らしましたよ」
「あっ、はい・・・!」
慌ててボールをとりに行く。手で顔を仰ぎながら、しかしニヤケ顔を戻そうと頬を引っ張ったり抓ったりする。
「霧生さん」
そんな綾乃をみて苦笑いしながらコーチが声をかけた。
「私が誰であろうと、今は関係有りません。今はあなたが超一流にならなければならないのですよ。しっかりなさい」
「は、はい。失礼しました」
ぺこりと一礼し、元の位置に戻る。その時にはもうアスリートの顔になっていた。
黙々と二人でキャッチボールしていたが、途中でコーチが綾乃に近づいていった。
「もっともっと、『最適化』しましょうか」
「最適化ですか?」
「そうです。あなたは『御前』と父親のために稼がねばなりません。その才能で、ね」
忘れかけていた自分の枷。父親を開放せねばならないこと。それは奉仕と返済によってしかできないのだ。
「まだ時間はありますが、早ければ早いほどいい。すぐに始めますよ」
「・・・はい!」
思うところはもちろんあったが、なすべきことをする。それが自分にできることだと言い聞かせていた綾乃だった。
* * *
それからしばらくして、学校での質問攻めもなくなり昼間は元の生活にもどったころ。
「霧生さん、ちょっといいかな?」
話しかけてきたのは二人のクラスの数学を担当している教師だった。とりたててイケメンというわけではないが、スキー部の顧問をしており、夏は趣味で色々な山を登ったりするなどのアウトドア派らしい。生徒にも人気があるのは、色々と経験豊富で話が面白いから、というのは同級生から聞いた話だ。
「はい、何でしょうか?」
「ちょっと話があるんだ、放課後、準備室にきて」
「はい、わかりました」
簡潔に用件を伝えるとそのまま行ってしまう。
(何かあった? 特別なことは・・・)
昼の生活で変わったことは無いはずだ。それとも、どこかから何か聞いたのだろうか。
(うーん、とにかく・・・)
放課後行ってみなければ。
「何かございましたか?」
そんなことを考えていると、後ろから暁子が気にして話しかけてきた。
「暁子・・・。うん、さっき放課後に話があるって先生が」
「そうでしたか。話とは何でしょうか?」
「さぁ・・・。でもたぶん長くはかからないと思うけど」
「承知しました。では私もお供いたします」
小声でいうが、有無を言わせない強さが含まれていた。しかし綾乃は、
「それはいいよ。教室で待ってて」
困った顔をしながら暁子を抑える。その声には暗に
(絶対ついてくるな)
という強い命令が含まれていた。
「いえ、そういうわけには」
「待ってて、いいね?」
「・・・はい」
悲しそうな顔をしてそういうと、暁子は自分の席に戻っていった。
* * *
「じゃ、また後でね」
心配性の暁子と別れた後、すぐに準備室へと向かった。心を決めて、
「先生、霧生です」
「どうぞ」
扉を開ける。中は授業で使う用具やらプリントなどで溢れていた。その先には真ん中の小さな机と二人掛けのソファが二つあったが、明らかに似つかわしくない。
「・・・」
普段無口な人ではあるが、この時は視線が綾乃の目より少し下に落ちていた。しかも少し顔が赤い。
「こちらへ座ってください」
入り口へ立っている綾乃を雰囲気に合わない大きなソファに座るように促す。
(何、この甘い匂い・・・?)
部屋に入ろうとした瞬間。少しだけ部屋の匂いが気になった。
「ほら、早く」
教師に手首をつかまれ引っ張られる。
「あっ・・・」
そのまま教師は扉を閉め、鍵もかけてしまった。
* * *
「じゃ、また後でね」
そんな言葉を残して綾乃は準備室へ向かっていった。
(一人で待っていても手持ち無沙汰だし・・・)
高校内にあるトレーニングルームへ向かうことにした。時間を無駄にするのは勿体無いし、何よりそんな余裕はない。むしろ足りないくらいだ。
トレーニングルームに向かうまでには職員室の前と職員玄関の前を通る。職員玄関の前を通り過ぎた時、聞き覚えのある声で名前を呼ばれた。
「暁子ちゃん? もしかして暁子ちゃんなの!?」
驚いて振り返ると、そこには昔々にあった事のある顔があった。
「もしや・・・知久の御前様!?」
暁子がまだ真里谷の道場にいた頃。本家の若様には弟がいた。当時はまだ彼は幼く、そしてその母君もまた若く、しかし匂い立つような女の子だったと記憶していた。それが目の前にいる彼女、知久萌荏実(ちく・もえみ)だ。
聞いた話では、若様の父親が母親と離別した後迎えた後妻だったらしいが、明らかに政略結婚と言えるような年の差だった。
だからなのか、その母君は旦那よりも、分家からたまたま来ていた女の子と仲良くしたがったのかもしれない。
「やめてよ、そんな大層なもんじゃないんだから」
後で聞いた話だが、私が真里谷の本家を出た後、流行病で若様が急逝してしまったために起きた権力闘争に巻き込まれ、彼女だけが家を出て行かざるを得なかったそうだ。
「それよりも、どうして連絡くれなかったのかなー? おばさんは心配してたんだぞー?」
頭をなでられつつ右の頬を抓られる。
「いひゃいれす〜! やえれふらさ〜い!」
そう言って痛がりつつも久しぶりに会えた嬉しさで胸がいっぱいになった。
「・・・して、今日はどうしてここに?」
思い出話に花が咲き少したった頃、気になったことを聞いてみた。
「私教員免許取ったじゃない?」
「知りませんでした」
「言ってなかったっけ?」
「ええ、何せ5年ぶりなもので」
あれから一度も会ってなかったのにまるでずっと一緒だったかのように話すこの人の抜けた感覚に昔から少し危機感を覚えていたので、表に出さないように気をつけつつ棘を刺してみた。やはり効果は無い。
「そっか。だから今日は部活の引率なんだよねー」
「そうでしたか。何部なんですか?」
「剣道部。うちの学校って先生の有段者がいないんだよねー。うら若き乙女一人に押し付けて他校に行かせるなんて危険だと思わない?」
そう言うが、この人は割り箸を持たせただけで暴漢が束になってかかっても勝てなくなるような実力者だ。部員達が何人いても、この城は落とすどころか城壁や門に張り付く事だってできはしないだろう。もちろん、正攻法に限った場合だが。
「・・・すいません、全然思いません」
「・・・なんだって?」
「いえ、とても大変だと思います」
「そうでしょう!? 暁子ちゃんなら分かってくれると思ってたよ〜!」
冷や汗が出るほどの凄みが、張り付いた天使の笑顔の後ろから滲み出るのがこの人の特徴だ。怒ったら怖い人はたくさんいるが、この人は怒らせてはいけない人なのだ。
「・・・で、実はここからが本題なんだけど」
急に雰囲気が変わり、まじめな声色に変化する。こういうときは緊急の案件であることがほとんどだった。
「嶺火さん、覚えてる?」
「嶺火・・・吉良様ですか?」
吉良嶺火(きら・れいか)。若様の許婚だった女の子だ。今はおそらく薔薇のような気品と美しさを持った女性になっているだろう。
「嶺火さんが、あれからずっと貴方の居場所を探させてたのを結構前に聞いたんだけど・・・伝える方法が無くて。ゴメンね」
「・・・何故私を探すんです? 私は」
「彼女はずっと貴方が殺したと吹聴してまわってるわよ。ただ、死因は病死で確定しているから誰も信じてはいないけどね」
魔女を追い出せ、と言い出したのは彼女だった。突っかかられて嫌がらせをされたこともある。ただそれ以上に、彼女は同世代では頭一つ抜けるほどの実力者だった。数回手合わせをさせられたことがあるが、徒手ではまともに攻撃すらさせてもらえなかった。
「信じてはいないけど、影響力のあるお家柄だから・・・。回りも奔走せざるを得なかったみたいね」
吉良家は元々とある家の分家だったのだが、力をつけてのしあがり、今では本家と分家の立場を入れ替えたのだ。それが嶺火の親の代、それも私が本家を訪れる少し前の話だ。それだけ影響のある家のお嬢様が、本気で私を探している。理由は逆恨みの報復以外は考えつかない。
「・・・わかりました。気をつけます」
「それじゃ、私は剣道場に行くんだけど・・・どっちだっけ?」
よくここまでこれたな、などとは口が裂けてもいえない。もしかしたらこの人の生徒は好き嫌い以前に相当苦労しているかもしれない。
「こちらですよ。私もそちらの方へ行こうと思ってましたから」
トレーニングルームも剣道場体育館のそばだ。ついでに案内した方が良さそうだ。いろいろな意味で。
「助かる〜! やっぱり持つべきものは暁子ちゃんね!」
その後も色々な話をしながら二人は体育館に向かっていった。
* * *
「先生、どうし」
「ほら、座って」
「きゃっ」
無理矢理ソファに座らされると、肩に手を回されて抱き寄せられた。
「ちょっとこれ見て」
そういうと写真を取り出して綾乃に見せる。その写真は遠くから撮影された、木陰に止められた車に乗り込む瞬間の二人だった。
「君の家は大層お金もちだとは聞いたが凄いんだね」
「え、ええ・・・」
ここ数ヶ月でそんなことすら忘れていたが、霧生家は相当裕福な家庭だったのだ。最近の生活がホテルの一室だったために大変なことになったことすら忘れそうではあるが。
しかし次の一言で綾乃の表情が変わった。
「前置きはこれくらいにして、君の『背後にいる人』について聞いていこうかな」
言うが早いか、綾乃はソファに押し倒された。それでも今の綾乃はその程度で押さえつけられる程ヤワではなかった。
「なにを、この・・・っ!」
「――――っっ!!!」
覆いかぶさられる瞬間、綾乃の膝が教師の股間に突き刺さった。悶絶して床に突っ伏す教師を尻目に、ソファから立ち上がった瞬間だった。
「きゃうっ!?」
胸元と股間のあたりから強い刺激を受けて動きを止めてしまう。
「く・・・!」
それでも何とか手足を動かし、扉の鍵を外したが、そこまでだった。
「待てっ!」
「きゃぁっ!」
制服の後襟を掴まれて引き倒されてしまった。教師は倒れた綾乃の膝の上に乗り、綾乃の両手を左手で押さえ込む。
「痛えな、くそっ。ちょっと強めのお仕置きだよ」
そう言いながら、ポケットからハンカチを取り出し綾乃の口に丸めて噛ませた。そしてスカートの中に手を突っ込むと下着のクロッチ部分をずらし、中指を膣に突き立てた。
「―――――っっっっ!!!」
普段の綾乃ならばこの程度で感じたりはしないはずだった。それがたった一回指を突き立てられただけで思い切り果ててしまった。
「――っ、―――っ・・・」
涙を流し、体を震わせながら、何とか快感を逃がそうとするが、押さえ込まれた体からはなかなか逃がすことが出来ない。それに気を良くしたのか、教師の口調が落ち着いたものになる。
「霧生さんは結構感じやすいんだね。ほら、もう少し気持ちよくしてあげるよ」
その言葉に弱々しくも首を振る綾乃だったが、埋め込まれた指を動かされるだけでその小さな抵抗すら掻き消される。
「――っ、―――っっ!!」
一度突かれる度に体に快感を埋め込まれていく。綾乃の体の震えも少しづつ大きくなっていく。
「さ、イっちゃえ」
「ん―――――っっ!!」
特別強く指を突きこまれ、綾乃も一際強い絶頂に達してしまった。
「さぁ、もう少し楽しもうか」
最早放心してしまって動くことすら出来ない綾乃を準備室の椅子に座らせ、手と足を紐で縛りあげた。
「これで動けなくなったね」
教師は綾乃の胸を掴み、改めて大きさを確かめる。
「外から見るよりも大きいよね。どれだけ男から揉まれてきたのかな?」
教師は綾乃の胸を左右交互に揉み、感触を味わう。
「んぅっ・・・」
たったそれだけのことで、綾乃は身を震わせる。
「胸だけでそんな風になっちゃうんだ。霧生さんは厭らしいんだね」
教師は綾乃の反応に気を良くし、正面から両胸を揉み始める。
「ふぅっ、はふぅ・・・」
ハンカチの脇から綾乃の呼気が洩れる。
「ここを触ったら、どうなっちゃうのかな?」
教師がスカートを捲り、下着を露わにする。下着は既に愛液に濡れ、秘部に張りついている。
「へえ、こんなになってるよ?」
「んぐぅぅっ!」
下着の上から秘裂をぐりぐりと押し込まれ、嬌声を上げてしまう。
「それじゃ、もう一度指を入れてあげるからね」
教師がクロッチをずらし、またも人差し指を突き込む。
「はぐぅっ! んぐっ、ひぐぅっっっ!」
綾乃の腰が勝手に跳ねるが、椅子に縛りつけられているため大きくは動けない。口に噛まされたハンカチのため、大きな声も出せず、快感を紛らわすことができない。
「霧生さんは本当に楽しませてくれるね。待ち人が来るまで、たっぷりと遊ばせてもらうよ」
教師は綾乃の胸を、太ももを、秘部を好き勝手に弄りながら、下衆な笑みを浮かべる。しかし教師の言葉も耳には届かず、綾乃は嬲られるままに喘ぎ続けた。
* * *
ドガンッ!!
「えっ・・・何?」
激しい衝突音と共に二人が呟いたのは同時だった。
体育館から剣道場までは直線でつながれている為、入り口が空いていれば中をうかがい知ることは出来る。二人が通路を歩きながら見たのは、防具を着た男子生徒が吹っ飛んで壁にぶつかったところだった。
慌てて入り口まで駆け寄り中を覗く。そこには地面に這い蹲らされた男女の生徒達と、真ん中で竹刀片手に仁王も真っ青な威張った立ち方をしている、マスクをつけた小さな女子が一人。そして一角にはどちらも見たことの無い、また学生でもない男数人が正座していた。
「これはいったいどうしたの? 勝手な試合は禁止したはずですよ!」
萌荏実が注意したのは自分の教え子達だった。しかしその教え子達は顔を上げようともしない。
「御前様、お下がりください」
激しい緊張感に襲われ、つい昔の癖が出てしまう。もう私はこの家とは関係ないのに、だ。
「え?」
「顔は隠しても雰囲気でわかります。お方様、久しぶりですね」
そういわれ、その小さな女子はゆっくりとマスクを脱いだ。
「・・・嶺火さん」
「久しぶりだな、知久の御料人。会えて嬉しいぞ」
言葉とは裏腹に笑顔はまったく無く、また近づいてこようともしない。
「それと魔女。やっと会えたな」
物凄い殺気をぶつけてくる。尋常じゃない鋭さに、冷や汗が出る。
「少しは強くなったのか?」
言うが早いか、物凄いスピードで近づいてきた。しかし彼女は少し距離を置いたところで突然止まった。
「御料人・・・危ないじゃないか、そんなものを握っていては」
「貴方のことだからこうじゃないかと思ってね。でもボールペンは社会人必携の持ち物よ?」
みると、萌荏実の握りこぶしの親指と人差し指の間からペン先が覗いている。
「その握りでは字は書けないぞ。握り方も忘れたのか?」
「貴方も知人にあったときの挨拶の仕方、忘れたの?」
実力が拮抗しているせいか、二人とも視線をそらさずに警戒している。その間に、近くにいるまだ動けそうな男子生徒に、
「今のうちに全員をここから出してください。それから全員家に帰るようにお願いします。学校内にいると巻き添えを食う可能性がありますから。早く!」
と、小さな声で、ただし有無を言わせぬ強さを込めて伝える。
「ほう、いい判断だ。お前の巻き添えはよくないからな」
その様子を見てすぐに気づいたのだろう、動こうとした下っ端の男達を制しながら言う。
「御料人、ここにいたのは偶然だろう。貴方には関係ない話だ、今ここから去れば何も見なかったことにする」
「友人を一人にして帰るわけには行かないでしょ? これだけの戦力差なんだしね」
「そうか・・・ならばさっさと用事をすませるとしようか。そろそろ避難も終わったようだしな」
そういうと、男達に命じて入口と窓の封鎖とカーテンを閉め切る作業を手早く終わらせた。自身は殺気をしまいこみ、背を向けながら距離をとると、男達の一人に持っていた竹刀を渡した。
「これで邪魔は入らんな。久々に死合おうか、なぁ魔女?」
手招きをして呼び込む。一挙手一投足に実力に裏打ちされた不遜さを滲ませているのが悔しいところだ。
「私はやりあう気などありません。何せ」
「何せ我らとは最早係わり合いが無い、か?」
「・・・追い出されたのですから」
真里谷本家内では、魔女を跡取りとは認めない、との意見が多かった当時、師範は私に養子に出てくれと涙ながらに命じた。絶対政争の道具になる、と。
結果は、分家の跡目争いには巻き込まれなかったものの、それ以前にもっと大きな復讐に追われる身になっていた。
「ならば、此度私に勝ったら、二度と近づかぬと誓おう。その代わり」
結果は見えていると言わんばかりだ。しかし彼女は本当に約束を守るのだろうか。そんなことを考えていた時、彼女から出た言葉は衝撃的だった。
「お前が負けたら、お前は私の奴隷だ」
「・・・は?」
つい最近聞いた言葉と同じだった。もう既に充分すぎるくらいに奴隷として使われている。
「私は」
口を開いた瞬間、嶺火は一気に距離をつめ、右手刀を薙いだ。
「っ!」
咄嗟にかわすと、迷わず鉄扇を取り出してそのまま突く。当然のように刃を出し、仕留めるつもりで振るう。
「っ! 貴様、そんなものを使っているのか!」
仕込み鉄扇の刃をかわしながら、しかし言葉を発する余裕がまだあるようだ。しかしあの頃と違うのは彼女だけではない。
「随分と、余裕が、おありですねっ!」
舞うように鉄扇を振るう。
(天神流鉄扇術が一、『四の舞』・・・!)
とにかく速く、手数で勝負。鉄扇をいかに速く無駄なく突き振るうか。速さに特化した超攻撃的な技だ。だからこそ、
「まだ甘いわ!」
「あっ!?」
止められたら、隙が大きくなってしまう。
振るった鉄扇を手のひらで受け止めた。そして一瞬の隙も無いはずだったのに、懐に入られてしまった。そのまま、今までの鬱憤を晴らすかのような怒涛の連打が飛ぶ。
「ぐっ! あうっ! うあっ!」
洋子さんに負けず劣らずの強さに、それ以上の速さ。違いがあるとすれば、投げの有無、か。
後ろに下げられ、気がつくと既に壁を背負っていた。
「はあっ!」
「がっ」
掌底が右頬を叩き、脳と視界が揺れる。
「ふっ!」
「ごっ」
今度は鳩尾を正拳で突かれる。たまらず鉄扇を落としてしまった。
(あっ・・・)
「せいっ!」
鉄扇を落としたのを見て油断したのか、明らかに大振りな蹴りを放とうとしている。
(こんな大振りとはいえ、まともに食らったら・・・!)
静止してしまった身体を無理矢理引っ張り攻撃を転がってよけ、距離をとった。
「まだ動けるじゃないか。もう終わりかと思っていたぞ」
ふふん、と鼻で笑いながら、上から目線で物を言う。
「御料人、じっとしていてはつまらないだろう。あいつらに相手してもらったらどうだ?」
そういうと、指を彼女の方にさした。それを合図に、それぞれ散っていた男たちが一斉に萌荏実に襲い掛かった。
「なっ・・・お方様、御前様は」
「確かに関係は無いが、つまらなそうだったのでな、あいつらが」
嶺火は言うに及ばずだが、萌荏実も美少女として学生時代は注目の的だったのだそうだ。少し年齢を重ねた程度ではその美貌は衰えるどころか輝きを増していた。
「お前達、御料人に勝てたら好きにしても良いぞ。御料人、狼に食い尽くされぬよう精々がんばりたまえ。ふふっ」
未来が見えると言わんばかりの物言いだ。
「さ、こっちも二回戦といこうか。そろそろ息が整ってきただろう?」
言うよりも速く、既に連打が飛んできていた。しかも今度は、
「くうっ!?」
予想だにしていなかった、胸を揉む攻撃に一瞬思考が停止してしまう。
「それっ!」
その瞬間、両足を刈られそうになる。何とかかわすも、またも壁を背負う形にさせられる。
何とか前に出ようと右腕で突きを繰り出すが、簡単に掴まり壁に押さえつけられてしまう。左手で何とかして逃げようとするも実力差は如何ともしがたく、そのうちに左腕も捕らえられて壁に押さえつけられてしまった。
「勝負あったな。向こうは善戦しているぞ?」
一方で萌荏実は5人の男達相手に善戦していたが、あまりにも多勢に無勢だった。一人の男が振り下ろした竹刀はかわせたが、次の竹刀は受けざるを得なかった。
鍔迫り合いで押し込まれると、たちまち男たちに壁に押さえつけられてしまった。
「ふむ、二人ほどこちらに来い。魔女を押さえろ」
嶺火の命令に二人の男が近づき、暁子の両腕を抱えて高く上げさせると、紐で両手首を近くにあった窓の格子にきつく括り付けてしまった。
(っ、これなら、っ!)
縄抜け出来ると思った瞬間だった。
「一度やってみたかったんだよ、こういうことを!」
そういいながら嶺火はブラウスの両襟を掴むと、一気に前を開いた。大きな音を立てて、ブラウスのボタンが全て弾けとぶ。
男の息を飲む音が聞こえ、視線が胸に張り付いているのが分かってしまう。
「おい、こいつを躾けておけ。絶対に逆らわないようにな」
「はっ!」
そういうと、嶺火は萌荏実の方に向かっていってしまう。
「まっ、待て・・・まだ終わっては・・・っ!」
その言葉は、胸と股間への刺激で止まってしまう。
「勝負はついた。お前は吉良様の奴隷になった」
「まだ私はっ・・・!」
「言いたいことがあるならここから抜け出してから言え。ま、無理だろうけどな」
足の甲を足で押さえられ、胸を揉まれ、股間を撫でられ、頬や首を舐められる。しかも拘束されて抵抗できないのは屈辱だった。
(冷静に・・・まだ、抜けられる・・・っ)
本紫のブラのホックが外され、胸が開放される。すると、まとわりつく二人の男のうち一人の鼻息が更に荒くなった。
「ほう、すげぇな。吉良様といい、最近の高校生ってのはどうなってるんだ」
などと言いつつ、左の乳房に吸い付いた。
それまでとは比べ物にならないほどの強い刺激に集中力が削がれてしまう。
「っ、んんっ!」
声は何とかしてかみ殺すものの、そうしている間は脱出に意識を割くことが出来ない。
さらにこんな時に、もう一人の男の手が下着の中で蠢きだす。直に淫核を抓まれ秘部を擦られると、声をこらえるだけで精一杯になってしまう。
「あまり激しくしすぎるなよ。吉良様の奴隷を心服させるためにはな」
「大丈夫さ、こいつはここで貫いたって壊れやしない」
下種な笑いに呆れるほどの余裕もない。これ以上責めが強くなってしまえば、抜け出すことすら出来なくなるだろう。
(この男の手つき・・・責めなれてる。まるでそれが『仕事』みたい)
自分の身体が極上だと思ったことは無いが、想像以上に雄を惹きつけるものだということは嫌というほど教え込まされた。しかしこの手つきは、明らかにわざとセーブされているとわかってしまう。それがわかるだけ雄の獣欲に塗れて汚れてしまったと言うことだが。
わかったところで状況が好転するわけでもなく、早く逃げなければいけないという焦りだけが募ってくる。
「ふむ、もう少し強くしても良さそうだな」
心を見透かされたようなその言葉が発せられた瞬間。
「んあんっ!?」
とうとう嬌声が漏れてしまう。秘部を擦っていた指が中に侵入してきた。
その声を聞いたもう一人の男は更に興奮し、まるで自分の所有物にするかのように乳房と乳首に歯型をつけてくる。
「くうっ、いっ、痛っ」
あまりにも鋭い痛みに漏れた呻きに満足したように頷き、前に増して強く吸い付く。しかも空いていた逆の乳房を揉み、乳首まで転がし始めた。
屈辱の時間は終わりが見えなかった。
* * *
「ふっ」
「ぐおっ!」
萌荏美は振るわれる竹刀を白刃取りで受けもぎ取ると、逆袈裟に竹刀を降るって男を倒す。
(・・・よし)
武器を持った、鍛えられた男たちと対峙するのにボールペンではさすがに辛い。萌荏実も自分の実力をフルに稼働させ、出来るだけ戦力差を埋めていく。
知久の家はもともと宮司の家系だったが、元を辿れば武家に行き着く。そのためか生まれてきた子供たちは才能の有無に関わらず全員が武芸や花、茶、料理などの技術と伝統を叩き込まれてきた。その中でも萌荏実は若いときから才能を表し、将来を嘱望されていた。
しかし時流のうねりが知久家を飲み込んだ。宮司が死去してしまうと、嶺火の吉良家とは逆に分家に飲まれ、故郷を逐われてしまった。その後はこの本家の先代に見初められ子を授かったのだった。そういったこともあって、暁子には優しく接していた。
「ふっ!」
無言で圧力をかけていた男たちが同時に攻めこむ。それに対し萌荏実は指を叩いて竹刀を落とさせると、面や胴を思いきり叩き込み動きを止めさせる。
「しまっ・・・!」
しかし二人目まではなんとかなったものの、三人目は萌荏実が想定しているよりも速かった。間一髪竹刀をかわしたまではよかったが、四人目の竹刀はもう避ける時間がなかった。まさに目の前まで迫った竹刀をなんとか受けたが、そこから押し返すだけの距離がなかった。そのまま力で押され、壁を背負わされる。
「くっ!?」
そこからの男たちの行動は素早かった。受けざるを得ない竹刀のせいで動けない萌荏実の両手首を押さえつけ、色気も何もないジャージの上着のファスナーとズボンをおろした。
子供を産んだとは思えないほどスレンダーな身体にEはあろうかという胸、さらには大きく張り出した臀部と雪のように透き通りそうな肌。男たちが興奮し襲いかかるまでに時間はかからなかった。
「くあっ、や、やめ・・・」
本家に居た時は子育て、逃亡後は仕事の忙しさもあってこういったことは忘れていたが、男を知る身体はあっさりと快感を思い出してしまったようで力が入らない。胸を、尻を、股間を、太股をいじられると、頬や身体に朱が差し始め、抵抗も弱くなってしまう。
「知久のお嬢様はそれは素晴らしい女性だと聞いていたが、思ったよりも淫乱だったな」
「な、なにを、うんんっ!」
否定したくても、言葉が紡げない。久々の快楽に身体が負けてしまっている。
「こんな感じやすい女は今までいなかったぜ?」
「ふざ・・・んあっ!」
いつのまにか下着もずらされ、獣欲の対象から身を守る部分がなくなっていた。乳房と尻を揉まれ、乳首と淫核を摘ままれ、秘部を弄られる。
「んあっ! ふあっ!」
抵抗すらさせてもらえず、他の男に汚される、二重の背徳が更なる快感となって萌荏実を苛む。
(あっ・・・!)
気づけば膣中が濡れていた。男たちの手の感触が、萌荏美の官能を高めてしまう。
「あんた、さっきからちょくちょくイってるな?」
「・・・っ!」
この言葉に心が冷える。
「気づかれねぇと思ってたのか? とんだお嬢様だな」
下卑た笑いが耳に届くが、それすらスパイスに変わってしまう。下手に男を知っているだけに、中のダメージを抑えようとしてさらに濡れてしまう。
「ほら、音が聞こえるかい?」
「・・・っ!」
男の一人が秘裂を弄り、わざと水音を立てる。悔しさと恥ずかしさを感じている筈なのに、一番大きい刺激は快感だった。
「時間切れだ。お前ら、どけ」
嶺火の指令が発せられると、男たちは一斉に引き下がる。
「はぁぁ、はぁぁ・・・」
軽い絶頂が何回も訪れ、拘束から解放されても萌荏実は動くことができない。
「御料人、ご満足いただけたかな?」
嶺火が萌荏実の顔を覗き込む。体を震わせながらも目は嶺火を睨みつけている、のだろうが、目尻が下がってしまい迫力は全くない。
「どうやらまだ足りないらしい。仕方ない、今回だけ特別だ」
「あっ、うひぁ・・・っ!」
嶺火が少し萌荏実の体を触っただけで、萌荏実は簡単に絶頂を迎えてしまった。しかもそれでは終わらず、さらに萌荏実に覆い被さり唇を奪う。
「っ・・・! っ!」
萌荏美の唇を割り、嶺火の舌が口腔内に侵入してくる。萌荏美の口壁を舐め、歯茎を弄い、舌を嬲る。それだけではなく、乳房を揉まれ、硬くなった乳首を転がされる。
(こんな、ああっ、こんなに、されるなんてぇ・・・っ!)
年下の美少女に責められ、昂らされてしまう。倒錯感が萌荏美を追い込む。
時間にして十数秒、しかしその間に何度も絶頂させられた萌荏実はもう体を動かすことができなかった。
* * *
「くっ、うっ、ああぅっ!」
男たちの責めにより、暁子は喘ぐしかできなかった。
乳房を揉まれ、乳首を転がされ、淫核を弄られ、秘裂を擦られる。<地下闘艶場>に関わるまでは不感症気味であった身体は、望まぬ刺激にも快感を得てしまうように調教されてしまっていた。
責めの手を緩めることなく、男の一人が告げる。
「悪いことは言わんから、一度達しておけ。そうすれば楽になれる」
優しさから逃れるように、現実を否定するように首を横に振る。声を出せば悦び喘いでしまいそうだ。
「向こうは達したか。流石に耐えられなかったようだな」
その言葉に目をやると、衣服を乱された萌荏実がぐったりと脱力し、男達に抱えられているのが見えた。否、抱えられているだけでなく、乳房を揉まれ、秘部を弄られている。
その光景を遮るかのように、嶺火がこちらに歩いてきていた。
「吉良様が来る前に達しておけ。後が辛いぞ」
男の声色は本当に心配そうだったが、それでも意地を貫いてみせる。首を横に振り、歯を食いしばる。
「まだか」
「はっ、申し訳ありません」
「もう良い、このまま身体を綺麗に拭いておけ」
嶺火がそう命ずると、二人の男達はてきぱきと暁子の身体をウェットティッシュのようなもので拭きだす。
「おい、御料人をこちらへ」
そう言われた男達は萌荏美への責めを止め、抱えた萌荏実をこちらに運んできた。更に嶺火が言葉をつなぐ。
「御料人、戻ってこられよ。そうすれば、全てうまくいく。先代は悔いておられる」
「何と言われようと・・・戻れません。あの時」
「馬謖と言うほど大層ではなかろうが、切らざるを得なかったのだ。合議とはそういうものだ」
当時の本家の重鎮達が知久家の血を引くものを良しとしなかった。しかし跡継ぎがいなくなってしまったので嫡男だけは引き取り母親は追い出した。それに反対したのは自分だけだった、とも嶺火は言った。
「それでも・・・戻る気はありません」
戻れない理由がもう一つあった。それは息子の婚姻だった。
先代は当代が許嫁を自由に選ぶべきと考えていたが、本家の重鎮たちは吉良との良好な関係を続ける為に、若様の許婚をそのまま萌荏実の息子の許婚に変えてしまったのだ。これに反対だった先代もただでは引き下がらず、条件として「彼女が納得し、華燭の典に参加すること」を条件とした。当然彼女が了承しないと思っていた彼らが強引な手法に出る前にとにかく逃げろと、表向きは姦通罪で勘当という体にして屋敷から出したのだった。しかし本来なら親子とも屋敷から出したはずだったのに息子は屋敷内に留まってしまった。これは二人にとっては大きな誤算だった。
この作戦を知っているのは二人だけで、馬謖云々と言っているのは彼女が独自に考えた結果だった。彼女にとっては萌荏実は優秀な人材の一人なのだ。
そういうこともあり、もう周りに翻弄されるのは真っ平御免だと、萌荏実の目は言っていた。結局この二人は馬が合わないのだ。
「そうか、なら気が変わるまで遊ぶとしよう。そこに括っておけ。ただしこれ以上手を出すなよ」
萌荏実を運んできた男達が彼女の両手を格子に繋ぐ。命令どおりそれ以上は何もせず、逃げ出さないように見張っている。
「吉良様、洗浄が終わりました」
「もうちょっと楽しみたかったがしかたねぇな」
「大儀。下がってよい」
冷たい視線の嶺火から乳房を急に鷲掴みにされ、力いっぱい揉み込まれる。
「んっ!?」
「まったく、ご大層なものを持っておるな。これで男を誘っているのか?」
そんなわけ無いだろう、と声に出すのも億劫だった。声をこらえている間に思った以上に体力を持っていかれたのかもしれない。
「まあよい。これからは私の玩具だ」
「んむっ!?」
あごをつかまれると、そのまま口を吸われた。予想だにしていなかったことに驚き戸惑う。その間も乳房は嶺火に揉み回されている。
(んあっ、なにこれぇ・・・)
忌まわしいあのリングの上でも無理矢理キスをされたことはあったが、その時以上だった。少し吸われただけで最早逃げようとする気すら起きなくなってしまう。
(んっ、胸も・・・気持ち・・・んああああっ!)
男達の責めとは違う、心を蕩かせるゆったりとした責め。言葉遣いや表向きの性格とは違う技に、こらえきれず簡単に達してしまう。しかも達してからも頂から降りられず、身体が痙攣し続けてしまう。
「やはり魔女か、厭らしい女だ」
一度唇を離した嶺火が、暁子の秘裂を割り、人差し指を埋める。
「ああうっ!」
「処女をなくし、ここまで濡らす。恥ずかしくはないのか? なぜ生を貪っている?」
暁子を言葉でも責めながら、嶺火は再び暁子の唇を奪う。舌で口の中を蹂躙し、右手で乳房と乳首を、左手で秘部を甚振る。
(だめぇ・・・感じて・・・気持ち良くなって・・・っ!)
身体を嶺火の玩具にされながら、暁子はひたすら感じさせ続けられていた。腰が何度も跳ね、秘裂からは愛液が零れ落ちる。それでも嶺火は嬲り責めをやめようとはせず、男たちは視線で暁子を犯す。
「んぐぅぅぅっ!」
何度目かの絶頂に達し、嶺火に塞がれた暁子の口から官能の叫びが零れる。嶺火が唇を離しても、暁子の唇は半開きのままだった。
「・・・ふむ。こやつらに魔女を犯させるのも一興か」
嶺火の独り言に、ざわりと空気が変わる。控えていた男たちから獣欲の気が迸ったためだ。
そのとき不意に轟いた悲鳴に近い叫びに、暁子はハッと我に返った。
「もういい! わかったからやめなさい! 暁子ちゃんから離れて!」
萌荏実の悲痛な叫びだった。先に心が折れてしまったのだ。
「気が変わったかな?」
余裕の表情の嶺火は、暁子の乳房を揉みながら萌荏美に確認する。
「あなたが暁子ちゃんに金輪際関わらないと誓ったら、帰ります・・・」
「いいだろう。これから世話になるぞ、『義母上』。ふふっ」
それだけ言うと、萌荏実の手首の紐だけを外させ、彼女を連れて行かせた。それに気づいた萌荏実が叫ぶ。
「ちょっと待ちなさい! 暁子ちゃんを放しなさい!」
「おや、『私』は何もしておりませんぞ?」
惚けた嶺火の返事に、珍しく萌荏実が激高した。周囲にいた男達を一瞬で弾き飛ばすと、嶺火に真正面から突きかかる。しかし回復しきっていない萌荏実の動きは悲しいほど遅かった。
「大人しくしてくだされ、義母上!」
掌底の一撃で萌荏実を伸すと、何事も無かったかのように剣道場から出て行こうとする。それに続き、四人の男たちが気絶している萌荏実の身体を運んでいった。
「やれやれ、これは車の中で『教育』をせねばならないかな」
嶺火の不気味な呟きに、暁子は思わず叫ぶ。
「お方様、お待ちを! お方様、御前様!!」
「魔女、これでお前は晴れて自由の身だ。我らから追われることももう無い。しかし、お前たち二人が同じ場所にいたことは素晴らしい幸運だった。何といっても、厄介ごとが二つ同時に片付いたのだからな、それだけはお前に感謝してやろう。これはその褒美とでも思っておいて、御料人には一生かけて償うが良いわ。今の主人に尻尾でも振っておれ」
最早こちらに振り向きもせず、言いたいことだけを言って去っていった。
(御前様・・・私のせいで・・・)
急に胸が苦しくなる。また、一人の人生を悪い方へ転がしてしまった。しかも今度は間違いなく自分が弱いせいで、だった。
「さて、俺はもうちょっと楽しむかね、っと」
獣欲をぶつけてきた男は一人残り、またも乳房に吸い付いた。しかも今度は同時に両の乳房と乳首、淫核に膣内まで暴力的な責めに晒される。
「んあっ、ああっ!」
一度高められてしまった身体の抑えが利かず、声が漏れてしまう。
「あっ、うあっ・・・ああああっ!!」
あっさりと絶頂に飛ばされるが、男は責めを続ける。自分が満足するまでだと言わんばかりに。
「だいぶいい経験をしてるみたいだな、アソコの締めつけが凄いぜ」
男が膣に入れた指を蠢かす。
「くっ、ううっ!」
何度も上がらされた<地下闘艶場>で、「御前」の夜伽の場で、短期間で年齢に似合わぬほど多くの性の嬲りを受けてきた。自分の身体が男たちの欲望の対象になることが、されることが悔しい。
しかし、暁子の身体は男の乱暴な責めにも反応を返し、昂ってしまう。
「乳首もこんなに硬くして・・・っ!」
「はぐっ!」
乳首を舐め回されたかと思うと、甘噛みから舌でのつつき責め。その間も膣と淫核は責められており、腰が勝手に跳ねる。
男は反対側の乳首も同様に責め、涎塗れにする。
「おっぱいもいいが、やっぱりここがいいだろ?」
「あああっ!」
淫核と膣を同時に責められ、背を反らせて叫ぶ。暁子の反応が良いのか、男は一層強く秘部を責める。
しばらくそのまま責め続けていた男が、
「さて、だいぶ濡れてきたな」
そう言うといきり立った逸物を取り出す。
「っ」
そんな汚らわしいものなど見たくもなく、視線を逸らす。
「おいおい、これから仲良くなるためのものだぜ? しっかり見とけよ」
男が暁子の顎を掴み、無理やり視線を向けさせる。それでもせめてもの抵抗と、しっかりと目を閉じる。
「強情だな」
暁子の耳朶を噛んだ男は暁子の顎から手を放し、腰へと回す。
「どうせこれから入っちゃうんだぜ? へへへ」
腰を抱え込まれ、逸物の先端を下着のクロッチに擦り付けられた。ちょうどその時。
(・・・切・・・れた)
少しづつ爪で擦るようにしていた紐がやっと切れた。
「どけ、この畜生めが!」
言うが早いか、右の手刀で男の喉を突く。声も出さずに倒れ込んだ男など気にも留めず、萌荏実が連れ去られた方へ向かった。しかしあまりにも遅すぎた。既に萌荏実も嶺火も男達も姿を消してしまっていた。
『今の主人に尻尾でも振っておれ』
その言葉が無性に胸に刺さった。
(今の主人?)
そういえば、義姉はどうしただろうか。
(お嬢様は・・・?)
衣服の乱れを手早く直す。ブラウスはボタンが全て無くなっているため手で押さえつつ、急いで教室に向かう。どういうわけか、体育館から教室までの通路には誰もいない。
「綾乃さん!?」
勢いよく教室の扉を開けて名前を呼ぶも、そこには誰もいない。
(まだ準備室に!? 長すぎる!)
その時だった。
「きゃっ!?」
突然背後から抱きつかれた。
「この女か?」
抱きついた男が近づいてきた別の男に確認する。
「そうだ、こいつが『真里谷暁子』だ」
「なるほど、いい女だ。芸能人なんて目じゃないな」
抱きついた男が暁子の両腕をフルネルソンにとらえようとしたが、暁子はするりと男から離れ、構えをとる。そうなると、どうしても壊れたブラウスの前が開いてしまう。
「ブラ丸出しになってるぜ?」
「そんな格好で俺達を誘ってるのか?」
ゲラゲラと笑いながら少しづつ距離を詰めてくる男たちを警戒しつつ、教室の奥から別の入り口に向かって少しづつ移動する。
「そんなつれないことするなよ、袖振り合うもなんとやらってな」
などといいながら男が手を伸ばす。
「!」
暁子本人も予想外だった。脚が動かせないのだ。
男も簡単に腕を掴めたことに驚き一瞬時間が止まった。
「くっ!」
なんとも運が良かったのは、お互いに時間が止まったため相手から逃れる隙ができたのだ。逃れられたのはいいが、少し身体が緊張してしまっている。
(何故・・・? 今までこんなことは)
そんなことを考えていると、またも腕が伸びてくる。今度は自分の身体のこともわかっているため、かわすことができた。
「早くしろよな」
二人目の男が抱きついた男に声をかける。
「わかってるよ!」
叫びながら、今度は鉄拳が飛んでくる。技というよりも力のみの連打だった。
(これなら・・・!)
捌きつつ、前に出る。力任せの連打は隙が大きく、今までの経験があれば余裕でさばける。
(っ!?)
疲労なのか少し足元がぐらつくが、然程の問題ではない。この程度の男なら簡単に倒せる。
「ハッ!!」
鳩尾に右掌底が入った。カウンターの一撃で倒した。はずだった。
「ぐっ、なかなかつえぇな」
そういうと暁子の両肩を突き飛ばす。普段ならその程度ではよろけたりすらしなかった。
「あっ!?」
それが、宙に浮いた。何とかバック宙の要領で着地するも、動揺が心に広がる。
(そんな、あんなに・・・成果が・・・)
その隙をつかれた。相手の男の鉄拳が顔前に迫っていたのだ。
何とかその拳を捌こうとするが、明らかに力負けし、ガードも弾かれ無防備になってしまった。
「そらぁっ!」
「かはっ」
下から持ち上げられるような拳に、たたらを踏んでしまう。
「へへっ、捕まえたぜ」
その間に回り込んだ男に暁子はフルネルソンに捕らえられてしまった。
「待ちくたびれたぞ」
言うよりも早く二人目の男の腕が暁子の胸を揉みだしていた。
「うあ…っ」
少し喘ぎが漏れてしまうが、持ち前の負けん気で唇を真一文字に結び直す。
「そうやって我慢する女は好きだな」
胸を揉んでいた手がブラジャーにかかり、一気に上にずらされる。暁子の乳房が弾み、男たちの視線を釘付けにする。
「なるほどな」
そのまま直に乳房を揉み出した。その納得に、抱きついた男が怪訝そうな顔つきで聞く。
「どうしたんだ?」
「ああ、こいつ、さっきまでヤラれてたんだ。どれだけ弄ばれたのかは知らんがな。おっぱいに跡がある」
恥辱の痕跡をまじまじと見られ、指摘されると顔から火が出るほど恥ずかしい。
「どれどれ・・・ああ、本当だ。もしかして、見た目に反して遊んでるのか?」
「いや、吉良の奴らがいたから違うな。こいつは音に聞こえた魔女だからな」
そうか、と勝手に納得される。
責めの手は乳房から下半身へと移り、秘部と淫核を弄くられる。
「うああっ!」
さっきまでの動きはどこへやら、身体に力が全く入らない。
抵抗が弱いことを見て取ると、男の秘部を弄る指が中に分け入ってくる。
「はっ、中もヌルヌルじゃねえか。だいぶイキまくったみたいだが、そんなに気持ちよかったなら腰が抜けてるだろうなぁ」
「話と違って弱いと思ったらそういうことか。こりゃとんだ役得だな」
「ああ、お前も遊んどけ。スタミナ切れを起こしてるから逃げられる心配はねえよ」
言われた瞬間、男はフルネルソンをはずすと暁子を床に寝かせ、両腕を頭上で伸ばさせその上に座り込んだ。
もう一人も両足首の上に座り、暁子に全く抵抗できなくさせる。
(これは・・・マズイ・・・!)
スタミナ切れが既に見透かされ、さらにこの状態では何もさせてもらえない。快感を逃がすこともできない。焦燥は暁子の体をさらに敏感にする。
「だんだんわかってきたぜ」
脚に座った男は暁子の下半身を責めていたが、最初よりも快感が鋭くなってきていた。
「ここを」
「はあうっ!!」
「こうされるのが」
「んあっ!!」
「好きなんだよな?」
「ああっ、うああっ!!」
快感を逃がすことができないため、何をされても感じることしかできない。
「こいつ、どこを触っても感じるみてぇだな」
腕に座った男も本格的に動き始めた。両の乳房を揉みながら、人差し指と中指で乳首を挟み振動を加えてくる。
「あぅっ、やめ、ひぁ、ああああああっ!!!」
もうどうにもならない。嶺火たちに責められた残り火が燻っているところにさらに男たちに油を注がれる。燃え上がった快感の炎は暁子の神経を焼く。
「おい、タオル噛ませとけ。人が来ると面倒だ」
「そうだな」
ポケットから取り出したタオルを暁子に噛ませると、二人はまた責めを再開した。
「んんっ、んぐぐぅぅっ!」
時間感覚もなくなり、義姉と別れてからどれだけたったのだろうか。早くいかなければいけない。しかしどうにもできない。
「へへっ、またイカせてやんぜ!」
二人の責めが妙にシンクロする。乳房を、乳首を、淫核を、膣内を。どこもかしこも責められ、どこからも快感を感じてしまう。
「んっ、んんんっっ・・・!」
激しすぎる絶頂に身体の痙攣が止まらない。その反応に気をよくしたのか、ついに脚に座る男が暁子の両脚を開き、腰を抱え込んだ。
「じゃ、次の段階にいくか」
「おう、早くしろよ?」
それは瞬間的な閃きだった。腕に座る男の重心がほんの少し前にずれた気がした。
(ここしかない・・・! 頼む、動け!)
震える身体を叱咤し、右脚を振り上げると、腕に座る男の顔に爪先が刺さった。
「ぐあっ!!」
二人には不意打ちだった。なにしろ動けないと思っていた暁子が反撃したのだから。蹴られた男は床を転がっている。
そのまま腰を抱える男の右頬に蹴り込もうとしたが、それはかわされてしまった。何とか拘束からは逃れ、机をつかんで立ち上がると転がっていた男に踵落としをくらわせ、動きを止める。
「くそっ、まだ動けたか!」
「あっ、うんんっ!」
その直後、またも後ろから抱きつかれ、秘部と乳房を弄られる。さっきまで責められていたせいで少し弄られただけで膝から崩れ落ちてしまう。なんとか拘束をはずそうと手を男の腕にかけるが、力を入れることができない。
「もういい、壊れるまで啼かせてやる!」
「ひあああああっ!」
男の手が動く度に暁子の悲鳴に似た喘ぎが奏でられる。抵抗もできず、快感に流されるだけになってしまう。
「もうここでヤッてやるぜ、覚悟しな!」
男が暁子の身体を責めながら、膨らんだ股間を暁子の尻に擦りつける。
(それは、ダメ・・・なんとか・・・義姉さん・・・!)
義姉と合流しなければ。その思いが、一時的に快感を吹き飛ばした。
「はな・・・れろぉっ!」
「ぐあああっ!」
乳房と秘部をいじっていた両手の指を折り、なんとか拘束を脱する。
「てめぇ、ふざ」
男の手が暁子に伸ばされる。それが視界に入り一瞬怯んでしまう。しかしその弱さを唇ごと噛み締め、身体を叱咤してかわし懐に入り込む。
「しっ!」
正拳、ではなく、相手の腰を抱え込み急所に膝蹴りを喰らわした。たまらず意識を飛ばして崩れ落ちた男の横に暁子も倒れ込んでしまう。
「はぁ・・・はぁ・・・」
息は上がり、スタミナもない。ただそのまま休んでいるわけにもいかない。暁子は自分の机の上にあった鞄から薬紙と竹筒を取り出すと、口のなかに紙の中の粉を入れ竹筒の水を飲む。中身は気付け薬だ。
(・・・ふぅ)
一息入れ、着衣の乱れを直すと、壁を伝いながら準備室に向かった。
* * *
トントン
「先生・・・いらっしゃるんでしょう? 空けてください・・・」
「開いてますよ、どうぞ」
中から誘う声がする。
「綾乃さんは、どこへ・・・」
「霧生さんならここにいますよ」
教師のすぐそばに、椅子に座らされ、手足を拘束され、タオルを猿轡のようにかまされている綾乃がいた。スカートは捲られ、下着が愛液に濡れているのが見える。ぐったりとした様子から、長時間嬲られたことが一目でわかる。
(この男・・・!)
怒りに身が震える。しかし、怒りのままに教師に飛びかかれば綾乃にどんな危害が加えられるかわからない。しかも嶺火や男たちに責められ続けた暁子の体力は既に限界を超えている。
「そろそろかと思っていました。さぁ、こちらへどうぞ。そのブラウスをみるに、だいぶ大変だったようですね」
教師は暁子をソファへ座るように促す。綾乃という切り札が相手の手の内にある以上、従わない訳にはいかない。警戒しながら、目を離さないようにしながらソファへと腰掛ける。
(んっ・・・この匂いは、まさか・・・?)
部屋の隅にある香炉から漂う香草の匂い。これは昔、養父から教わった男女を狂わせる媚薬の効果があるもの。しかも、記憶にあるよりも匂いが強い気がした。
(あまり長く居続けるわけにはいかない)
先程まで嬲られていた所為もあり、普段よりも快感が高まる速度が速い。
とはいえ、二人で脱出する手立ても見つからない。
「さて」
教師は最早勝負が決まったとでもいうように勝ち誇った顔で暁子を見る。
「霧生さんはあまりこの部屋を御気に召さなかったようで、逃げ出そうとしたんですよ。ひどいですよね」
大仰な身振り手振りで暁子に話しかける。
「ですから、こういう風にしましたよ」
そういって綾乃の股間に指を這わせた。綾乃はそれだけで体を震わせてしまう。
「なっ、やめ」
「近づかないでください」
思わず立ち上がった暁子だったが、教師に制止された。
「霧生さんが大事なら、私の言うことを聞きなさい。いいですね?」
教師には余裕しかない。綾乃が手元にあれば暁子を操れる、そこまで情報を得ているかのような振る舞いだった。
暁子の視線の端に綾乃が写っている。綾乃は大きく首を振っている。屈してはならない、私のことは気にするな、そう言いたそうな顔だった。
「返事は?」
「わかり、ました」
それでも暁子にとって、守るべきは綾乃だ。項垂れて体を悔しさに震わせながら、暁子には降伏するしか手立てが思い浮かばなかった。
「んんんっ!!!!」
その暁子の返事を聞いて、綾乃が暴れだす。暴れては体が着衣に擦れて身悶えし、暁子の足を引っ張らないようになんとか脱出をしようと必死に体を動かそうとしている。
「少し静かにしてください」
「・・・!」
その綾乃の鳩尾に拳を叩き込む。声も無く綾乃は悶絶し、体を震わせるだけになった。
「では静かになったところで早速ですが、服を脱ぎなさい。もう脱いでいるようなものですけどね」
「・・・っ」
本気であることを悟った暁子は、仕方なく悔しさに震える手を自分の制服にかけた。
自分が撒いた種である以上、自分で処理しなければならない。間違っても、これ以上綾乃に何かあっては困る。
(私とお嬢様は、所詮住む世界が違う)
前の開いたままのブラウスを脱ぎ、スカートのファスナーを降ろし、下に落とす。
本紫の下着姿になった暁子は、流石に羞恥心から胸元と股間を手で隠してしまう。
「何をしているのですか? 試合で全裸を披露するような下賎な女がその程度で恥ずかしがっていて良いのですか?」
「なっ・・・!」
パン!
そこまで言った時、教師は綾乃に平手打ちをした。痛みに涙を流しながらもその目は教師を睨みつけていた。
「気に入らないが、調教は後にしましょう。それで真里谷さん、何か言いましたか?」
「・・・」
今にも綾乃に襲い掛かりそうな教師が怒りを暁子に向けている。
「真里谷さん、二択ですよ。あなたが服を全て脱ぐか、綾乃さんを生贄にするか。どちらにしますか?」
この脅迫には暁子も屈さざるをえなかった。開き直ってローファー、靴下、下着を脱ぎ捨てる。
「これでよろしいですか?」
「ふふっ、やはりいい身体をしていますね。おや、そのおっぱい、だいぶ遊んでもらったようてすね。しかも太腿にも水跡が見えますよ」
胸に歯形をつけられたこと、愛液の跡を指摘され、頬が紅潮してしまう。
「では失礼して」
教師は机の中にあったデジカメを取り出すと、暁子の裸体を取り始めた。
「やっ、やめ・・・!」
光るフラッシュから逃げるように身体をくねらせて隠そうとするが、
「んんんっ!!!」
教師に股間をいじられた綾乃の呻き声を聞いて我に返る。
「そうそう、ちゃんと立っていてください。そうしないと霧生さんが、ね」
「・・・」
綾乃を盾に取られると、教師に従うしかない。
教師は綾乃の際どい部分も何枚も撮ると、デジカメからパソコンへデータを送る。
「下手に抵抗した場合、二人の画像をインターネットにばらまきますよ」
隙を衝いて教師を叩きのめそうと考えていた暁子だったが、これで反撃は封じられた。画像がばらまかれた際、『御前』の組織力ならばどうにかなるかもしれないが、綾乃の淫らな画像を流されるようなことは避けねばならない。
暁子も覚悟を決めなくてはならなかった。どれだけ辱められようと、自分が少しでも意に背けば綾乃に累が及んでしまう。
「わかってくれたみたいですね」
またも教師が全裸の暁子を撮り始める。
「それじゃ、ポーズを取ってもらいましょうか。まずは定番の女豹のポーズをしてください」
四つん這いになった暁子は、お尻を教師に向ける。
「顔が見えませんよ」
教師の指示に、睨みつけるようにして教師を見る。
「怖い表情もいいですね。次は、こっちを向いて頭の上で腕を組んでください」
グラビアで良くあるポーズを指定され、暁子はおとなしくポーズを取る。
「いいですね、そそりますよ」
教師は右手でデジカメのシャッターを押し、左手で綾乃の胸を揉む。
「ふぅんっ!」
それだけで綾乃は反応を返してしまう。
「それじゃ次は、M字開脚をしてもらいましょうか」
「くっ・・・」
屈辱の指定だったが、暁子はしゃがみ込み、膝を大きく開く。さすがに羞恥から顔を背ける。
「いいですねぇ。そうだ、アソコを開いて見せてくださいよ。奥まで見えるようにね」
教師は綾乃の秘部を弄りながら、暁子に強要する。
(お嬢様のため・・・)
暁子は右手を秘裂に添え、自らの指で秘裂を開く。
「ツルツルのアソコだから、丸見えですね」
教師の嘲笑に唇を噛む。
デジカメのシャッター音が響き、屈辱の撮影会は続いた。
しばらく暁子を撮り続けていた教師だったが、飽きたのか満足したのか、カメラを置いて立たせていた暁子に近づいていく。
「撮るだけではもったいない良い肉体ですね」
「くうんっ・・・!」
両手で乳房を捏ね回しながら、乳首を人差し指でノックする。それだけで、暁子の身体は反応を返してしまっていた。
「もう乳首が硬くなってきましたよ。いい感度ですね」
右乳房を揉んでいた教師の指が、噛み跡をなぞる。
「それとも、さっきまで遊んでもらった名残でしょうか?」
その言葉に顔を赤らめて背ける暁子に満足げな表情を浮かべつつ、ゆっくりと左手が下へ降りていく。
「ここに触れたらどうなるのかな?」
そういいながら、教師は暁子の秘裂を優しくなぞる。
「んぁ・・・っ!」
強い電撃に打たれ、暁子の口から喘ぎ声が漏れる。その瞬間、暁子を抱き寄せた教師はポケットから布を取り出し、暁子の鼻と口を覆った。
「ん・・・! ・・・んんん!!!」
部屋に充満しているものとは比べ物にならないほど、強い匂い。修練のおかげで人より毒物には若干耐性がある暁子と言えども、鼻と口をふさがれて呼吸が出来るわけではない。ただの布ではなく、これにも媚薬成分を染み込ませてあるようだった。出来るだけ吸わないようにしてはいたが、やはり耐え切れなかった。空気と一緒に思い切り吸い込んでしまう。
(暁子・・・)
綾乃からみても分かるほどの大きい変化が、たった一息で起こった。耐え切れずに仰け反るようにして暁子が空気を吸い込んだ瞬間。暁子の釣りあがっていた目尻が下がり、身体が震え始めた。
「さ、これで君はただの女の子だね。もう逃げられないよ」
教師は崩れ落ちそうになる身体を必死に支える暁子に後ろから抱きつき、左手で右の乳房と乳首、右手で秘裂と淫豆を弄る。
(耐えろ、耐えなければ・・・!)
ただただ必死だった。教師の両手の動きを止めようと手を掛けるが、刺激が強すぎて力が入らない。
「ふうん・・・なかなか粘るね。普通の子なら、簡単に登りつめるのに」
そう言いつつも、教師は余裕の手つきで暁子を追い詰めていく。
「こんなに大きなおっぱいも・・・」
「ふぅっ!」
「こんなに硬くなった乳首も・・・」
「ふぐぅ!」
「顔を出したお豆さんも・・・」
「あぐっ!」
「こんなに濡れたアソコも・・・」
「あはぁぁっ!」
「気持ち良すぎてしょうがない、って言ってるのにね」
教師の手が動くたび、官能しか生まれない。
(マズイ・・・一度登りつめたら、溺れてしまうやも・・・)
媚薬効果のある匂いで、徐々に暁子の頭の中もぐちゃぐちゃになっていく。ただこれ以上責められれば危険だ。自分の体も、思考も、どうなってしまうかわからない。そこまでわかっているのに、体は言うことを聞かず教師の手に翻弄されて望むとおりに感じてしまう。
「それじゃ、まず一回目、だね」
その言葉と共に、教師の左手が乳房を握り、その人差し指が乳首を押しつぶし、そして右手の親指が淫核を潰し、中指が、秘裂を割って突きこまれた。
「〜〜〜〜〜〜!!!」
同時に来たとてつもなく強い刺激に暁子の一瞬意識が飛ぶ。背中を思い切り仰け反り、舌が口から見えるほど伸ばし、涙を流しながら絶頂に達してしまった。
「っぁ、っっ・・・」
とうとう耐えていた暁子の膝が崩れ落ち、両膝とも床についてしまう。今日何度目かもわからない激しい絶頂に体を震わせ、両手を床について四つん這いになってしまう。尚も教師には責められているが、体を支えるだけで精一杯になってしまい抵抗どころではなくなってしまった。愛液が太腿から伝っておち、床に零れる。
「さてさて、それでは、と」
教師は暁子の手足を素早く縛り上げると、マスクをかぶせた。そのマスクに向かって瓶から液体を一滴落とすと、さらに暁子の身体が震え始めた。
「これ、強力なんだ。見ててね、霧生さん」
その液体を暁子の右の乳首に一滴垂らした。
「〜〜〜〜!!!」
それだけで目を見開いた暁子が全身を動かして暴れている。一頻り暴れると、背中を逸らして痙攣していた。
「霧生さん、このままだと真里谷さんが壊れちゃうよ」
そういいつつ教師は綾乃に近づくと、噛ませたタオルを外し、綾乃のブラウスのボタンをはずし胸を揉み始めた。
「あっ!」
「さて、聞かせていただきましょうか。『御前』についてね」
綾乃の胸を下から掬うように揉みこむ。
「『御前』とはいったいどんな人なんだい?」
「知りません! やめてください!」
首を振って抵抗していたが、教師は責めをより激しくする。右手で綾乃の秘裂を擦り始めた。
「ひあうっ!」
「辛いでしょ? 話せば楽になれるよ?」
何とか逃げ出そうと体を動かそうとするが、拘束はビクともしない。
(どうしよう・・・どうすれば・・・)
無意識のうちに綾乃は助けを求めて視線を動かしていた時、暁子の姿が目に入った。
(暁子・・・)
媚薬を垂らされ、吸わされて、徐々に痙攣が大きくなっているように見える。
「さぁ、どうするの? 話してくれれば解放されるよ?」
その間も、責めは止まるどころか徐々に激しくなり、胸元を動き回る手がブラのフロントホックを外してしまう。
「あっ、ダメ・・・」
「時間切れだね、覚悟しなよ?」
言葉と共に乳房を強く握られ、乳首を押しつぶされる。
「ふわああああっ!!!」
蓄積された媚薬の効果が綾乃の中で一度に爆発した。何とか快感を逃がそうとするが、拘束されてはそれもままならず、教師の手が動くたびに脳を焼かれてしまう。
「あっ、ふわ! んあっ! ああんっ!」
綾乃はもう限界だった。
(もう・・・ダメ・・・早く、終わらせて・・・)
崩壊寸前の綾乃に更なる責めが加えられる。教師の右手の人差し指が淫核を転がした。
「あっ、ああああああっ!!!」
悲鳴にも似た喘ぎ声を張り上げ、綾乃は絶頂に達した。脱力しきり、背もたれに寄りかかって体を震わせている。
「うーん・・・霧生さんの方が簡単そうなんだけどなぁ。仕方ない、最後の手段だな」
そういうと教師はまた暁子のほうに近づいていく。
(・・・?)
朦朧とした意識の中で、教師から何としても綾乃を逃がさなければ、という思いは沸いてくるが、強い絶頂を迎え入れた体はまだピクリとも動かせない。
「さて、と・・・」
暁子を仰向けに寝かせると、先ほどの瓶を取り出した。
「ここから先は拷問だよ。依頼主には、『真里谷さんは壊してもかまわない』と言われてるんでね」
そういうと、暁子の秘裂を指で開き、そこへ先ほどの液体を一滴垂らした。
「んんっ! んんんんっ!!!!」
体は動かないが、目を見開きビクビクと体を震わせる。
「霧生さん、真里谷さんが壊れる前に話したほうが良いよ?」
教師は右手に薄手のビニール手袋をはめると、中指の先に瓶の液体を垂らした。
「霧生さんが強情だから、ごめんね」
そう言いつつ、顔は満面の笑みで、美少女を好き放題できる雄の顔で、中指を秘裂に擦り付けた。
「!!!!!」
それだけで暁子は絶頂に達した。しかもその波がまったく引かず、頂から降りられない。
教師は秘裂に液体をよく塗すと、そのまま中指をゆっくりと中に進入させる。中の粘膜にもよく塗すように弄り回す。
「!!・・・!!!!」
声すら出せず、指が肉に触れるだけで絶頂してしまう。それが楽しいのか、教師も念入りにかき回す。そのたびに暁子の腰が跳ね、大量の愛液が噴き出し、床に落ちて広がっていく。
「・・・・・・」
激しい絶頂地獄に、暁子は既に意識を失っていた。それでも教師が手を少し動かすだけで、ビクリと体がはねる。顔にはいつもの凛々しさはなく、蕩けきった雌の顔になってしまっている。
「どう、霧生さん。真里谷さんは意識を飛ばすくらいとても喜んでくれたけどね」
綾乃に話す間も暁子を弄る手は止まらない。暁子の反応が堪らないのか、教師はひたすら膣を責め、無理やり官能を引き出していく。
教師の顔が、再び綾乃に向いた。
「どう、話す気になった?」
「わ・・・わかり・・・まし・・・た」
「話してくれるの?」
「は、はい・・・だから・・・暁子を・・・」
「それはダメだよ。君に権利はないんだからね」
尚も暁子への責めは止まらず、肉体的にも、精神的にも二人を苛み続ける。
「で、『御前』ってどんな人?」
「『御前』は・・・」
どうしても、躊躇してしまう。このままでは無二の親友は壊れてしまうかもしれない。しかし助ける為に全て話してしまえば、『御前』は容赦なく父親を処分するだろう。自分は肉親を見捨てることになるのだ。
「・・・そう、まぁいいや」
突然教師が手を止めて、仰向けで震える暁子の両足を開いた。
「あとはこれしかないね」
そういうと、教師はズボンを降ろし、逸物を取り出した。薬の影響と美少女二人を玩んだ結果、逸物は既に硬く反り返り、先走りを垂らしている。思わず綾乃は視線を逸らした。
「この薬の量で突っ込んじゃうと、廃人になっちゃうかもね。いやいや、もしかしたら、セックスなしでは生きられない身体になるかも」
それは脅しかもしれないが、嘘だと決めつけられない。
「それにね、この薬は僕自身も歯止めが利かなくなるんだよ。前のときには、確か一日中ヤッてたっけ。気持ち良かったなぁ」
教師の目がどろりと濁る。その目に綾乃は恐怖を覚える。
「最後だよ。『御前』ってどんな人?」
逸物を暁子の秘裂に宛がいながら、教師が質問を投げかける。そのまま入口に亀頭を擦りつける。亀頭に暁子の愛液が絡みつき、淫らな水音がする。
(どうすれば、どうすればいいの・・・)
「家族」のことを考えれば『御前』を売ると言う選択肢はありえない。だからといって「親友」を切り捨てるわけにもいかない。
「霧生さんは、真里谷さんが壊れても平気なんだ。冷たいんだね」
「っ!」
暁子を責めているのは教師本人なのに、教師は綾乃に責任転嫁して精神的に嬲ってくる。
「返事がないなら、そろそろ・・・」
遂に教師が腰を進めようとした、そのときだった。
「・・・」
「え、何だって?」
口を開いたのは暁子だった。普段ならありえないほどか細い声だった。そのため綾乃の耳には暁子の声が届かなかった。
「汝を・・・引き込んだのは・・・『小弓華絵』・・・かや?」
「!」
責められ過ぎて動かなくなった頭を必死に回して、注意を暁子自身にひきつけようとする。
「何故その・・・」
その瞬間。ドアが思い切り開かれ、同じ高校の制服を着た男子が入ってきた。
「まったく、遅いと思ったら面白い状況だな。もう少し待てばよかったか」
そう言いつつもその左目は笑っていなかった。右目は眼帯に隠されている。
「だ、誰だ君は?」
「二人の白馬の王子様だ。お姫様たちを返してもらおうか?」
男が笑みを浮かべた瞬間には距離が詰められ、掌底が教師の鼻に叩き込まれていた。
「ぶあっ!」
派手に吹っ飛び壁に叩きつけられ、意識を飛ばしてしまった。
直後に高校の制服を着た女性が二人、入ってくる。黒髪と銀髪の、鬼島洋子とナスターシャ・ウォレンスキーだ。
「まったくいつまで・・・」
「余計な仕事が増えたな」
二人とも入ってくるなり全てを察したのか、面倒臭そうに溜息をついた。
「なんて格好してるんだよ、ここはコスプレキャバクラじゃないんだぜ」
「自分が『高校に潜入するんだから、制服姿じゃなきゃ駄目だ』と抜かしたんだろうが。お前こそいい年してなんて格好だ」
無業の軽口に、ナスターシャがやり返す。
「綾乃さん、大丈夫?」
二人の漫才染みたやり取りをまったく無視し、洋子は手早く綾乃の拘束を解くと、肩を貸しながら部屋を出て行く。ナスターシャも暁子の拘束を解くが、
「うわああああああっ!!!!」
少しでも体に触れると、媚薬のせいで暁子が暴れだしてしまう。
「ええい面倒だ、我慢しろ!」
それでも無理矢理暁子を押さえつけ、下着と制服を纏わせた。
「あっ、ふわあ〜〜〜〜!!!」
衣類が肌に当たる度に声が出てしまい、絶頂してしまう。
「まったく、堪え性がないな、うるさくてかなわん。無業、何とかしろ」
「はいはい、んじゃこっちの荷物を何とかしろ」
言われたナスターシャが連絡を取ると、どこにいたのか高校の制服を着た男たちが物音も立てずに部屋へと入ってくる。そして教師という荷物とめぼしい資料やパソコン、デジカメなどを回収して去っていった。
「ではな、先に行くぞ」
そう言い残し、ナスターシャは先に出て行ってしまった。
「じゃ、俺たちも行くぞ、暁子ちゃん」
「ま・・・待って・・・」
引き上げようとした無業を止める。
「なんだよ?」
「いらない・・・ハンカチか、タオル・・・」
一瞬無業の動きが止まったが、何かを察したのかタオルを取り出す。
「ほら、使いな」
「あり、がと・・・」
思い切りタオルの端を噛むと、どこからか鉄扇を取り出し、力を振り絞って鉄扇の先の小さな刃を左腕に突き刺した。
「〜〜〜〜!!!!!!」
人間が五体満足に生きるうえで重要な部分は暁子の頭の中に入っている。刃を抜いた時に血は出たが、暁子は動脈や静脈、筋肉を必要以上に傷つけないように調整していた。
傷口をタオルで縛ると、暁子はゆっくりと立ち上がった。しかし足元がおぼつかないのか、無業にしなだれかかってしまう。
「おいおい、大丈夫か?」
「んぅぅっ!!」
そう言いつつ暁子の胸を揉みながら立たせた。しかし先ほどよりも明らかに楽になっているようだった。
「ほら、いくぞ」
暁子の右手を肩に回すと、無業は左手を暁子の左脇を通して胸の辺りに置いた。
「くっ・・・触るな・・・んあっ!」
抵抗しようと無業の左腕に手を掛けるが、胸を揉まれる度に下着の中で乳首が擦れ、また電流が走り、引き剥がすことはできなかった。
「助けてやった報酬だ、少しくらいいいじゃないか」
無業が笑いながら、胸を揉み、尻を触る。
「ふわ、ぁ・・・んんっ・・・くふっ、あああっ!」
途中、何度も腰が砕け、その度に無業は暁子の胸を掴み、揉みながら立たせる。
「ほらほら、しっかり歩いてくれよ」
「だ、から・・・ふぁっ、触らない、で・・・あはぁ!」
「肩を貸さなきゃ歩けないだろ?」
「触って、るの・・・んんっ、肩、じゃ・・・ない・・・くぁあん!」
「ああ、どうりで柔らかいと思った。悪い悪い」
「あふぅ! そ、こは・・・っ!」
「もうビチョビチョだな」
結局、暁子は車につくまで無業に体を触られ続けた。車についた時には暁子は何度も絶頂させられ、下着が吸収できなかった愛液が太ももや靴下を濡らしていた。