【第百三話 茨木美鈴:サンボ 其の二】


 犠牲者の名は「茨木(いばらぎ)美鈴(みすず)」。22歳。身長174cm。B92(Fカップ)・W66・H94。

 SMクラブの「女王様」であり、髪を真っ赤に染めた、きつめの顔立ちの美人。長身にFカップの巨乳、大きなヒップという迫力ボディの持ち主。女の子を責めるのが大好きと言い切る変態だ。

 女性ながら<地下闘艶場>で責め役を担い、何度もリングに上がっている。今回は変わった趣向での試合だと知らされ、胸を高鳴らせながらその日を待った。


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<地下闘艶場>の花道に、美鈴が姿を現す。今日は男奴隷三人に輿を担がせ、その上に据えられた椅子に腰掛け脚を組んでいる。胸元も露わな漆黒のレザーボンデージに包まれたバストが輿の動きに合わせて揺れ、観客の視線を奪う。

 輿がリングに到着するとゆっくりと立ち上がり、トップロープを軽々と飛び越えた。

 リングに待っていたのはレフェリーだけだった。訝しげな表情をつくる美鈴にレフェリーが声を掛ける。

「今日も盛り上げてもらうぞ、美鈴女王様」

「盛り上げてはいいけど、今日の対戦相手は?」

 美鈴の疑問も当然だろう。リングの上には対戦相手が居らず、入場してくる様子もない。

「まあそう慌てるなよ」

 まあまあと美鈴を抑える恰好をしたレフェリーが、リング下に合図を送る。

「赤コーナー、『スレイブズ』、奴隷A、奴隷B、奴隷C!」

 黒服のコールに呼び出され、美鈴を輿で運んできた男たちがリングにおどおどと上がる。上半身は裸で、下はレザー素材のズボン。顔は整い、筋肉もついているのに、卑屈な態度がそうと思わせない。

「青コーナー、『女王様』、茨木美鈴!」

 自分のコールに応えるのも忘れ、美鈴はあんぐりと口を開けたままだ。

「・・・ちょっと! これはどういうことよ!」

 美鈴の剣幕に、レフェリーが及び腰で反論する。

「どういうことかと言われても、こういうことだとしか返せんよ。面白い試合を準備した、と言われてたんだろ?」

「こんな男どもいたぶったところで、何も面白くないわよ! いつもやってるんだから! 私が楽しみたいのは可愛い女の子! さっさと女の子を準備なさい!」

「・・・わかった、ちょっと待ってくれ」

 美鈴の言葉の洪水に溺れかけ、レフェリーが堪らず音を上げる。リング下の黒服と色々とやり取りをしていたが、ようやく戻ってくる。

「美鈴女王様がこの試合に勝てば、女性選手を用意する。だから、まずはこいつらに圧勝してくれ」

「・・・仕方ないわね。ま、たまにはこういう試合も新鮮でいいかもね」

 眉を顰めた美鈴だったが、自分に言い聞かせるように呟く。美鈴の気が変わらぬ内にと、レフェリーはすぐさまゴングを要請した。


<カーン!>


 ゴングを聞いた美鈴は、スレイブズを静かに見渡す。

「一つ聞いておくわ、お前たち。私に・・・本気で刃向う気?」

 美鈴の笑顔が逆に怖い。美鈴に「教育」されているスレイブズたちは、闘いの前から腰が引けていた。

「なら、二度とそんな気が起こせないように、きっちりと躾けをしてあげないと・・・ね?」

 美鈴の大柄な肉体が躍動した。奴隷Aをラリアートで、奴隷Bを裏拳で、奴隷Cを蹴りで吹き飛ばす。

「お前たち程度、三人掛かりでも苦戦するわけないでしょう?」

 美鈴が真っ赤に染めた髪を掻き上げる。スレイブズ三人のだらしなさに、観客席からはブーイングが巻き起こる。

「今日はお客さんの前で、たっぷりと・・・教育してあ・げ・る・わ!」

「あ、あああ・・・」

「教育」という言葉に反応し、奴隷Aが喘ぎ声を洩らす。しかし、そこには微量の熱が含まれていた。

「ほら、立ちなさい!」

 音高く頬を張られた奴隷Aは、おどおどと立ち上がる。

「遅い! 私が命令したらすぐに立ちなさい!」

 再び反対の頬を張られ、奴隷Aがよろめく。

「お前も立ちなさい!」

 奴隷Bも頬を張られ、震えながらも立ち上がる。

「愚図ね! さっさと立ちなさい!」

 奴隷Bも奴隷Aと同じように反対側の頬も張られ、尻もちをついてしまう。

「誰が座っていいと言ったのよ! さっさと立ちなさい!」

 まさしく「女王様」として振る舞う美鈴の背後から、何者かが襲いかかった。

「み、美鈴女王様ぁ!」

「えっ!?」

 いきなり背後から抱きつかれ、美鈴がバランスを崩す。そのままリングに倒れ込み、圧し掛かられる。

「ああ、美鈴女王様のおっぱい・・・」

 美鈴の背中に折り重なった奴隷Cは、背後から回した両手で美鈴のバストを揉みくちゃにする。

「痛いわね・・・奴隷の分際で、誰の胸を触っているのよ!」

 奴隷Cを跳ね除けようとした腕が掴まれた。

「お前たち!」

 先程頬を張られた奴隷Aと奴隷Bが、美鈴の両腕を掴んでいたのだ。

「お、俺たちも、美鈴女王様のおっぱい・・・触りたい、です」

 奴隷Aがつっかえながらも欲望を吐き出す。

「ふざけんじゃないわよ!」

 スレイブズを跳ね除けようとした美鈴だったが、さすがに男三人掛かりで押さえられた状況を引っ繰り返すのは難しかった。なにしろ女性一人、木製の椅子、更には輿自体の重さを担げる男たちなのだ。膂力は充分にある。美鈴の「教育」によって普段は逆らおうという気持ちすら沸かないが、リングという場、異常な熱気、観客たちの視線や野次、といった環境に少なからず興奮していた。

「そう言えば、ボディチェックがまだだったな。お前たち、美鈴女王様を押さえていてくれ」

 レフェリーの指示に従い、奴隷Cが渋々美鈴のバストから手を放し、美鈴を仰向けに寝かせ直す。奴隷Aが美鈴の両手首を、奴隷Bが右足を、奴隷Cが左足を押さえる。

「後でたっぷりと楽しんでもらうからな」

 そうスレイブズに告げたレフェリーは、美鈴に馬乗りになる。

「誰の上に乗ってるのよ! さっさと退きなさい!」

「いやいや、ボディチェックは大事だからな。それが終わったら退いてやるよ」

 早速美鈴のFカップバストを揉みながら、レフェリーがにやつく。

「誰の許しを得て胸を触ってるのよ!」

 美鈴はレフェリーを振り落そうとするが、四肢を押さえられ、腹の上に座られていてはただもがくしかできない。

「そんなに暴れるんだ、さては何か隠してるな?」

 そう言うが早いか、レフェリーはボンデージスーツを掴むと、カップ部分を摺り下ろしてしまう。

「んなっ!」

「相変わらず大きいな。だが、本物かな?」

「本物に決まってるでしょ!?」

 美鈴の怒りの声などまるで気にせず、レフェリーは乳房を揉み始める。

「どうした美鈴女王様? 楽勝なんじゃなかったのか?」

 美鈴の乳房を揉み回しながら、レフェリーがにやつく。

「・・・私にこんなことをして、ただで済むと・・・んあうっ!」

「ただで済まそうとは思ってないぞ。たっぷりと女王様を楽しませてやるからな」

 乳首を苛めることで美鈴の反論を封じ、レフェリーはボンデージスーツを掴む。

「貴方まさか・・・!」

「そのまさか、かな? 女王様のオールヌードを拝見させてもらおうと思ってね」

 レフェリーの宣言に、観客席が沸く。

「やめなさい! そんなこと、絶対に許さないわ!」

「許すも許さないも、今は俺の匙加減だよ」

 鼻で笑ったレフェリーは、ボンデージスーツの締め付けを解いていく。徐々にボンデージスーツの拘束が弱まり、美鈴を精神的に追い込んでいく。

 とうとう、最後の締め付け金具が緩められた。

「それじゃ、美鈴女王様のオールヌードを拝ませてもらおうか!」

 改めてボンデージスーツを掴んだレフェリーが叫び、観客が歓声でそれに答える。

「やめなさい! やめて・・・いやぁぁぁっ!」

 美鈴が身を捩るたび、剥き出しにされていた乳房が揺れる。レフェリーがボンデージスーツを下ろすことで、腹部も露わとなる。

「お、下の毛も見えてきたぞ」

 レフェリーが言葉でも美鈴を辱める。ボンデージスーツは骨盤を通過し、太ももを抜け、膝まで下ろされる。そこでも止まらず、脹脛、足首を通ると、スレイブズの協力もあって遂に完全に足から抜かれてしまう。

 レフェリーが漆黒のボンデージスーツを掲げると、観客席から盛大な拍手が起こる。まだ温もりの残るそれを観客席に投げ込むと、たちまち醜い奪い合いが起こる。

(この私が、リングの上でこんな醜態を晒されるなんて・・・!)

「女王様」は衣装を剥ぎ取られ、何も隠すものがない肢体を観客に晒された「裸の女王様」とされてしまった。

「お前たち! 私にこんな真似をして、ただで済むと思ってるの!」

「素っ裸で凄まれてもなぁ」

 にやにやと全裸の美鈴を見下ろしていたレフェリーが、またしゃがみ込む。

「おい、美鈴女王様の足を広げてくれ」

「くっ!」

 美鈴は瞬時に太ももに力を入れ、男の力に抗する。しかし、スレイブズの力のほうが強かった。しかも二人掛かりだ。ゆっくりとではあるが、股が開かれていく。

(ああっ・・・このままじゃ・・・っ!)

 遂には、水平に近い角度まで開かれてしまった。美鈴の秘部に、レフェリー、奴隷B、奴隷C、観客たちの視線が突き刺さる。

「じゃあ、女王様にご奉仕させてもらおうか」

 美鈴の剥き出しの秘所をじっくりと視姦したレフェリーは、そのまま顔を近づけていく。

「やめなさい! そんなことしたら・・・いうっ!?」

 レフェリーの舌が美鈴の秘裂を襲う。いきなり敏感な淫核も舐められ、美鈴は息を飲む。

「こんなことしたらどうなるんだ? ええ、女王様」

 一度口を離し、秘裂に指を埋めながら、レフェリーがにやつく。

「おっと、これもボディチェックだけどな。中に何も隠してないだろうな?」

 今更のように付け足し、レフェリーは膣内を指で弄る。

「女王様の中はあったかいな」

 指を出し入れし、膣内を責める。美鈴には屈辱以外の何物でもなかった。

「貴方・・・絶対に許さない。ぶっ殺してやるわ」

 美鈴の凄まじい視線を避けるかのように、秘裂から指を抜いたレフェリーが立ち上がる。

「よし、お前たち待たせたな。女王様の肉体、好きにしていいぞ」

 その言葉が終わらぬ内に、スレイブズたちが美鈴に圧し掛かっていく。

「ああ、美鈴女王様のおっぱい・・・」

「美鈴女王様、乳首がこんなになってる」

「み、美鈴女王様のあそこだ・・・」

 奴隷Aは美鈴の右乳房を、奴隷Bは美鈴の左乳首を、奴隷Cは美鈴の秘部を。スレイブズたちは憧れの女王様の肢体に取り付き、好き勝手に弄り回す。

「くっ、退きなさい! 私に触るな!」

 美鈴が怒鳴れば普段は震えあがっていたスレイブズも、美鈴の魅力的な肉体にのめり込み、まるで聞こうとはしない。

「・・・ああっ!」

 美鈴の秘部を弄っていた奴隷Cが驚きの声を上げる。

「み、美鈴女王様が悦んでくれてる・・・」

「本当か?」

 奴隷Aの問いかけに頷いた奴隷Cは秘部から手を放し、その手を広げて見せると、美鈴の愛液に濡れて光っていた。

(う、嘘よ! こいつらみたいな下手くそに触られて、感じるなんてことがあるわけない!)

 必死に心の中で否定する美鈴だったが、秘部からは愛液が零れている。

「本当だ・・・俺たちのご奉仕で、美鈴女王様が悦んでくれたんだ」

「ああ、もっと、もっと美鈴女王様に悦んでもらおう!」

 目を輝かせたスレイブズたちが、更に美鈴の責めを強くしていく。奴隷Aは乳房に執着し、奴隷Bはヒップに狙いを移し、奴隷Cは美鈴の腕を舐め始める。

「くううっ!」

 奴隷と蔑んでいた男三人に責められ、美鈴は快感に背を反らせる。

「いいんだぞ、美鈴女王様。今日は感じる側に回っても」

 美鈴が責められる姿を見て楽しんでいたレフェリーが、わざとらしく優しい声で美鈴に告げる。

「だ、誰が・・・ううんっ!」

 否定しようとした途端、喘ぎ声を洩らしてしまう。

「そら、本当は気持ちいいんだろう? 隠さなくてもいいんだぞ」

 レフェリーの指摘に、唇を噛んで声を出すまいとする。

「美鈴女王様・・・」

 いきなり奴隷Cが美鈴の顎を持ち、唇を重ねてくる。その恋人染みた真似に、美鈴の奥で何かが切れた。

「・・・いいかげんに、しろっ!」

 奴隷Cの鼻頭に頭突きをぶち込む。

「ぱぎゅっ!」

 鼻の骨が折れた奴隷Cが仰け反り、顔を押さえて転げ回る。

「お前も!」

 乳房を揉んでいた奴隷Aを殴り飛ばす。

「お前も!」

 ヒップを撫で回していた奴隷Bを蹴りつける。

「誰が許しを出した! 誰が私の身体に触っていいと許しを出した!」

 美鈴が咆哮しながら、スレイブズたちに容赦ない蹴りを入れていく。

「も、申し訳あり・・・ぎゃぴぃ!」

「やかましい!」

 謝罪の言葉もぶった切り、美鈴は怒りのままに暴れ回る。奴隷たちが動きを止めても、尚も足蹴にし、鬱憤をぶつけていく。

 その吊り上がった目が、動くものを捉えた。

「お前もだっ!」

 逃げ出そうとしたレフェリーの背中に、喧嘩キックを叩き込む。

「げぼぉっ!」

 逆海老に反ったレフェリーの体が吹っ飛び、ロープの間からリング下へと転落する。


<カンカンカン!>


 男性選手だけでなくレフェリーまで行動不能となり、試合終了のゴングが鳴らされる。

「誰がお前たちのご主人様だ! 言ってみなさい!」

 それでも美鈴の怒りは尚も猛り狂い、スレイブズを痛めつけ続けていた。それは黒服がリングに飛び込むまで、否、飛び込んで羽交い絞めにしても尚スレイブズを足蹴にし続けるほど激しいものだった。

 それほど激しい折檻を受けたスレイブズだったが、何故かその顔には揃って笑みが浮かんでいた。



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