【第十七話 九条雪那:薙刀】

 犠牲者の名は「九条雪那」。20歳。身長160cm、B94(Iカップ)・W58・H86。背中で一纏めにされた美しく長い黒髪。その名の通り雪を思わせる白皙の肌。優しい目元、すっと伸びた鼻梁、可愛らしい桃色の唇。愛らしい顔立ちは見る者を惹きつけずにはおかない。幼い頃から嗜みとして華道、茶道、乗馬、習字などを習い、護身の術として薙刀を習った。その腕前は師範クラス。
 九条グループ総帥を祖父に持ち、蝶よ花よと育てられた生粋のお嬢様。しかし祖父の薫陶を受け、芯の強い女性へと育った。祖父の権勢は「御前」に引けを取るものではなかったが、その祖父が昨年急逝し、九条グループは相続を原因とした身内争いで分裂、見る間に衰退して行った。「御前」は永年の仇敵だった男の美しき孫娘を見逃さず、甘言で<地下闘艶場>へと誘った。リングの上で嬲りつくすために。


 雪那は手強い契約相手だった。契約書の中身を隅々までチェックし、疑問点や納得できない点を論理的に追及してくる。衣装は雪那が自前を準備すること、ボディチェックは行わないこと、薙刀の使用を認めること(但し模造刀とする)など、雪那の要求はほとんど受け入れざるを得なかった。こうなれば実力で屈服させるしかない。雪那の対戦相手は何人かに絞られ、この男に決まった。


(なぜ、殿方が・・・)
 雪那は対戦相手が男性だとは聞かされていなかった。契約書には「運営委員会が用意する対戦相手と闘うこと」とはあったが、性別までは書かれていなかった。闘う相手は女性だとばかり思い込んでいたが、その辺りもきっちりと追求するべきだった。
 その対戦相手は顔を真っ白に塗り、目と口には黒いペイントを、鼻には黒い付け鼻をしている。服はだぼっとした黒いナイロン地のもので、頭には黒いシルクハットを被り、手には白手袋をはめている。
(サーカスで見た道化師、なのでしょうか)
 サーカスの道化師とリング上の対戦相手の取り合わせが頭の中で整理がつかず、雪那の頭の中で疑問符が踊る。しかも相手はステッキを持つのみ。こちらは薙刀を使うのだがいいのだろうか。

「赤コーナー、ジョーカー!」
 シルクハットを取って挨拶するジョーカーに、観客から盛大な拍手が送られる。前回の<地下闘艶場>で、我流ながらかなりの実力を持った天現寺久遠を失神KOで沈め、その評価を一気に高めた。今回は連戦となるが観客の期待は高い。
「青コーナー、『ホワイトスノー』、九条雪那!」
 自分の名前がコールされ、雪那は刃も木製の薙刀を抱えたまま一礼する。白い道衣に黒い袴を身に付け、額に鉢巻を巻いている。胸当てこそつけていないものの、薙刀を行う者の正装だ。
 柳を思わせる細身ながら彼女の胸は風船を入れたように道衣を押し上げ、その存在感を誇示している。道衣の下にはTシャツを着けているようだが、雪那が動くたびにバストが揺れ、観客の視線を釘付けにする。雪那も自分のバストへと浴びせられる周りからの視線に気付くが、不快感を押し殺して平静を保つ。
(なぜ殿方は私の胸ばかり気にするの)
 この大きすぎるバストは雪那のコンプレックスだった。街を歩けば、男性は殆どと言っていいほど雪那の胸へと視線を送ってくる。経費節約のために電車に乗れば痴漢が胸を触ってくる。自分の胸が男性の欲望の対象になるのはウンザリだった。でも、今は勝利のことだけを考えなければならない。

<カーン!>

(この闘いに勝ち、賞金を手に入れなければ!)
 雪那は二十歳の若さながら、会社の経営者だった。幼少の頃より祖父から帝王学を叩き込まれ、高校を卒業すると同時に九条グループ末端の会社社長となった。彼女の才は会社の業績を上向かせたものの、祖父の死は九条グループ全体の衰退を招き、彼女の会社もそれに引きずられ、不渡りを出す寸前にまで追い込まれた。社員を路頭に迷わせないためにも取り敢えずの運転資金がいる。今回勝てば三百万の融資が行われることになっているが、それくらいの額ならすぐに返せる自信がある。手の平を返したように態度を変えた銀行を見返すためにも、この闘いに勝たなくてはならない。
「はっ!」
 雪那が気合と共に薙刀を振った瞬間、独立した生き物のようにバストが大きく揺れた。その光景に観客が沸く。ジョーカーはステッキでその一撃を弾くが、雪那の攻撃はそれだけで終わらない。刃だけではなく柄の部分も使い、舞うように連続攻撃を仕掛けていく。その度にバストも揺れ、観客の目が引き付けられる。
 ジョーカーは雪那の攻撃をステッキで受けるが、雪那は手首の返しでステッキを跳ね上げ、その隙に突きを放つ。雪那の鋭い一撃をジョーカーが腕で払うと、高い音と共に薙刀が弾かれる。音と感触からすると、服の下に何か仕込んでいるらしい。雪那が薙刀を手元に掻い込んだ瞬間だった。
「!」
 僅かの隙にジョーカーのステッキが雪那のバストをつつく。雪那は反射的にバストを隠していた。
(こ、この方も私の胸を・・・!)
 契約書にはセクハラの禁止の項目はなかった。闘いを前提に考えていたため、自分が欲望の対象にされることは想像していなかった。
 沸きあがる怒りを堪え、胴を薙ぐと見せかけて脛を打つ。硬い感触はあったが薙刀を振り抜いたため、ジョーカーは派手に倒れて足を押さえる。雪那は上から刃を振り下ろすが、ジョーカーはリングを転がることでそれを避け、リング下まで転がり降りてしまう。そしてリング下で黒服に向かって脛を見せながら、何やらアピールをしている。
「審判、リング外に出たのですからカウントを数えてください!」
「ん? ああ、そうだな」
 のほほんと雪那のバストの揺れを眺めていたレフェリーが、漸くカウントを取り始める。しかしそのカウントはゆっくりとしたもので、雪那の苛立ちを誘う。
 カウントが18まで進んだとき、ジョーカーがやっとリングに戻る。わざとらしく脛を擦り、痛がって見せる。
「くっ!」
 挑発だとはわかっていたが、抑制が効かなかった。初めて上がったリング、観客から注がれる胸への視線、勝利への義務感などが雪那から余裕を奪っていた。
「いやぁぁぁっ!」
 気合とともに脛を狙って薙刀を振る。それに対してジョーカーは僅かに足を上げてかわし、刃の部分を踏みつけることで薙刀の動きを止める。と同時にステッキが雪那へと吸い込まれた。
「あぐぅっ!」
 ジョーカーのステッキは、正確に雪那の鳩尾を突いていた。息が止まり、薙刀を放した雪那が崩れ落ちる。ジョーカーは追い討ちとばかりに首筋を叩き、雪那は意識を失った。

 雪那が意識を取り戻したとき、その体はコーナーポストに持たれかけさせられ、両手はガムテープで薙刀に縛り付けられていた。
「くっ!」
 両手を大きく広げた格好で薙刀に括りつけられ、反撃どころか動くことすら容易ではない。ジョーカーは雪那に手を伸ばし、大きく迫り出したバストを鷲掴みにする。
「!!」
 自然と体が動き、ジョーカーの金的に膝を入れていた。これには堪らず、ジョーカーは股間を押さえてのたうつ。
「おい、金的は反則だ!」
 そう叫ぶと、レフェリーが後ろから羽交い絞めにしてくる。それだけではなく、両手をバストに当て、ゆっくりと揉み込んでくる。
「な、なにをするんですか!」
「反則を止めてるんだよ。しかしでかいな、何センチあるんだ?」
 レフェリーは両手に余るほどのサイズのバストを味わう。
「お嬢様育ちだからいいものばっかり食ってたんだろ? その栄養が全部乳に行ったんだな、それならしょうがない」
「か、勝手なことを言ってないでその手を放しなさい!」
(この人も私の胸を・・・なぜ殿方ってこうなの!)
 逃げ出そうと身をよじるが、両手が拘束された状態では難しかった。
(それならば!)
 逆に思い切り上体を捻り、その勢いを利用してレフェリーを跳ね飛ばす。しかしその反動で背中からリングに倒れてしまう。
「ぐふぅっ!」
 受身を取れず、背中を打ったことで肺から呼気が押し出される。
「おいおい、大丈夫か? どこか痛めてないか調べてやるよ」
 下卑た笑いを浮かべながらレフェリーが近寄り、先程の続きとばかりに、横になっても高く上を向いた雪那のバストを揉み始める。
「そ、そこは痛めてなどいません! 放して!」
「いやいや、痛めた場所を本人はわからないってこともよくあるんだよ。遠慮するな」
 雪那の拒否など気にも留めず、レフェリーはバストを揉み続ける。
「くっ!」
 雪那が自由な脚でレフェリーを蹴ろうとした瞬間、その両脚を押さえられる。思わず目をやると、股間の痛みから回復したジョーカーだった。ジョーカーは雪那の膝の辺りに座って動きを封じると、袴の隙間から両手を突っ込み、ヒップの側面を揉み始める。
「ひぁっ!」
 雪那はその感触に驚いて腰を浮かしてしまう。その瞬間ジョーカーの手が雪那のヒップの下に潜り込み、蜘蛛が蠢くような愛撫を開始する。
「い、いや・・・」
 電車の中ではお尻を触ってくる者もいた。そのことを思い出し、不快感を掻き立てられる。なんとか逃れようと暴れるものの、両腕は拘束され、両脚の上に乗られては身動きができない。
「やっぱり道衣の上からじゃよくわからんなぁ」
 レフェリーは道衣の前を開け、Tシャツの上からバストを揉む。
「ああっ、なにをするんですか!」
「道衣越しだと痛めているかどうか判断しにくいんだよ。しょうがないだろ? でも、Tシャツ越しでもやっぱりわかりにくいなぁ」
「そんな・・・」
「そらっ!」
 レフェリーはTシャツを引っ張り上げ、雪那の飾り気のない白いブラを晒す。
「ほっほぉ・・・メロン並みの大きさだな」
「な、なんてことを・・・!」
 怒りの表情の雪那に、レフェリーはやれやれと首を振る。
「おいおい、俺は親切でやってるんだぜ? 非難するのは筋違いってもんだ」
「勝手なことを言わないでください! あ、駄目です、いやぁぁぁっ!」
 レフェリーは雪那のブラに包まれたバストをじっくり眺めたあと、ゆっくりと揉みしだく。雪那の巨乳は手に収まらず、両手で片乳を揉んで丁度良いくらいだ。
「色気のないブラだが、サイズがないからしょうがないってパターンか? 日本人離れしてるサイズだから仕方ないけどな」
 レフェリーの言葉は図星だったが雪那は口を噤み、バストを揉まれ、ヒップを触られる不快感に耐える。と、ジョーカーは袴から手を抜いて袴の紐を外し、袴を膝までずり下ろす。
「きゃぁぁぁっ!」
 突然のことに悲鳴を上げていた。ジョーカーは膝の位置で袴の紐を改めて強く締め、簡単には解けないようにまめ結びにした。その次に道衣の紐を外し、前を大きく開く。白い上下の下着が晒され、観客から歓声が起こる。
「あ、ああ・・・」
「なんだ、驚きの余り声が出ないってか? どんだけお嬢様なんだよ」
 レフェリーはバストを、ジョーカーは秘部を、それぞれ下着越しに責める。男二人のセクハラから逃れようとしていた雪那は、左手を拘束していたガムテープが弛んでいることに気付く。なんとか外せないかと力を込めてみたが、道衣からは剥がれそうにない。
(そうだ、道衣から腕を抜けば逃げられるかも)
 だが、それは道衣と薙刀を捨てることを意味する。
(それでも、このまま嬲られるよりは!)
 意を決し、左手を道衣から抜くと同時にレフェリーの手を払い、右手も抜いてジョーカーを突き飛ばして立ち上がる。首まで上がったTシャツを下ろし、ブラを隠す。しかし袴が膝まで下ろされているため、下着までは隠せない。しかも膝を縛られたような状態のため、大きく動くことができない。
(袴をなんとかしないと)
 結び目を解こうとする雪那だったが、豆結びにされた紐は簡単には解けない。焦る雪那を見遣りながらジョーカーはステッキを拾い、雪那のバストをつつく。
「!」
 つい反射でバストを隠す。するとジョーカーは股間をつつく。
「なっ!」
 バストを隠せば股間をつつかれる。股間を隠せばバストをつつかれる。両方を隠せば紐を外せない。暫くそうやって玩ばれていた。
(くっ、こうなったら・・・)
 無理やり袴から右足を抜き、左足も抜く。やっと自由を回復したものの、下着の上にTシャツを羽織っただけという姿に羞恥心が込み上げる。観客からは指笛が鳴らされ、上気した顔、呼吸するたびに震える胸、Tシャツから覗く白い下着、剥きだしとなった美脚へと欲望に満ちた視線が注がれる。
 この状況になって、雪那は漸く自分が嬲りの対象としてリングへと招かれたことを悟った。客が望んでいるのは命削るような闘いではなく、雪那がセクハラで堕ちていく姿なのだろう。
(薙刀もない、道衣も袴もない、この状況でどう闘えばいいの・・・!)
 Tシャツを引っ張って下着を隠そうとするが、そんなことで隠れるはずもなく、その行為が逆に観客の興奮を誘う。そんな雪那へと、ジョーカーがステッキを伸ばす。素手で払いながら逃げる雪那だったが、動くたびに揺れる巨乳に観客から声援が飛ぶ。
(仕方ない、薙刀だけでも・・・)
 雪那は身を翻して薙刀を拾おうとするが、ジョーカーが突き出したステッキに足を取られる。
「あぅっ!」
 前のめりでリングに倒れ、その巨乳を打ちつけてしまう。
「い、痛い・・・!」
 その痛みに動きが止まる。ジョーカーは雪那に跨り、キャメルクラッチを極める。
「あぐぅっ!」
 痛みに喘ぎ、ジョーカーの容赦ない締め上げに意識が薄れかかる。雪那の抵抗が弱くなったのを見て取ったジョーカーは、両手を雪那のバストへと伸ばす。
「あぁっ、やめて、触らないで!」
 足をバタつかせてもがく雪那だったが、まるで効果がなかった。その日本人離れしたサイズのバストを揉みくちゃにされてしまう。
「九条選手、ギブアップか?」
 雪那がバストを揉まれているのをにやけながら見ていたレフェリーがギブアップの確認をしてくる。
「し、しません、ギブアップはしません・・・!」
 ここで負ければ会社は不渡りで倒産してしまう。若輩者の雪那を支えて頑張ってくれている年上の社員のためにもギブアップなどできない。
「ふん、会社のためには負けられないってか。それともそうやって巨乳を弄られるのが気持ち良いのか?」
「こ、こんなことをされて気持ち良いわけないでしょう!」
「まあ感じてるなんて認めたくはないわなぁ。その気持ちはわかるぞ」
「か、勝手なことを・・・あぅぅっ!」
 レフェリーとやりあっている間にも雪那のバストはジョーカーに揉まれ続けている。だが、その責めが不意に止んだ。次の瞬間ジョーカーはTシャツを掴み、力を込めて布地を左右に破る。
「きゃあぁぁぁっ!」
 Tシャツは音を立てて破れ、ブラが再び男達の目に晒される。雪那は反射的に胸を隠そうとするが、腕も極められており満足に動かせない。ジョーカーはブラに包まれたバスト責めを再び開始する。
「いやぁっ、やめて、気持ち悪い!」
 なんとか阻止したい雪那だったが、頭を振ることくらいしかできない。暫くそうやってバストを揉まれていたが、ジョーカーが技を解き、雪那から離れる。
(・・・なぜ?)
 本気で技を極めれば、簡単にギブアップが奪えた筈だ。訝りながらも立ち上がる。ジョーカーはステッキを拾うと、雪那のバストへと向けてくる。
「くっ!」
 ステッキの先端を掴む。しかし雪那がステッキを掴んだ瞬間、ジョーカーはステッキを手放して雪那を抱え上げ、ボディスラムで叩きつける。
「あぐぅっ!」
 その衝撃に息がつまり、完全に動きが止まる。ジョーカーは雪那を無理やり立たせ、雪那の頭を自分の肩と頭で挟み、雪那の両足を掴んで一気に頭上に差し上げる。
「あぁぁ・・・や、やめてぇ・・・!」
 雪那は下着姿で大股開きを披露された格好になった。その光景に観客から大きな歓声が起こる。
「おっほおぅ、これはいい眺めだな」
 レフェリーが近寄ってしげしげと眺めてくる。ジョーカーは小刻みに体を揺すり、その度に雪那のバストも弾む。その光景に観客から「揺・ら・せ!」コールが巻き起こる。それに応えたジョーカーが、少しずつ動きを変える。雪那のバストはそのたびに淫らに弾む。
「はっ、あくっ、やぁぁぁっ!」
 自分が取らされた格好と逆さまの体勢が雪那を追い込んでいく。そのとき、ジョーカーが頭のフックを外した。当然、雪那の体は重力に引かれてリングへと落ちる。
「きゃぁぁぁっ!」
 落下の恐怖に叫ぶ雪那。だがジョーカーは両足を引っ張ることで落下を止め、素早く太ももを抱え込む。そのまま下着越しに秘部を舐める。
「ど、どこを舐めてるのっ!」
 叩いて止めようとした雪那だったが、ジョーカーは巧みにそれをかわす。何度かそれを繰り返したとき、レフェリーが両手で雪那のバストを鷲掴みにする。
「!」
「九条選手、ギブアップか?」
 わざとらしく確認しながらレフェリーは巨乳の感触を味わう。止めさせようとレフェリーの手首を掴むと、今度はジョーカーに秘部を舐められる。それを阻止しようとするとバストを弄られる。
 その状態で散々嬲られた後、ジョーカーに逆エビ固めに捕らえられる。
「あぅぅっ!」
 腰に痛みが走り、悲鳴を上げる。ジョーカーは右手を放すと、雪那の秘部を筋に沿って愛撫する。
「な、ど、どこを触って・・・ひっ、いやぁぁぁっ!」
 優しい責めだが気色悪さが上回り、悲鳴を上げてバタつく。ふと横を見たとき、視界に道衣が貼りついた薙刀が飛び込む。
「!」
 本能的に手を伸ばし、掴むと同時に振る。その一撃はジョーカーの頭部を捕らえ、技を解かせることに成功した。
 薙刀を杖代わりに立ち上がり、ジョーカーがまだ蹲っているのを確認すると、薙刀から道衣を外し、手早く羽織る。紐を結び終えたところでジョーカーが後頭部を擦りながら立ち上がる。しかし、立った瞬間によろけた。
(好機!)
 ジョーカーの頭部目掛けて突きを放つ。しかしそれはジョーカーの誘いだった。雪那の突きをすれすれでかわし、身を屈めながら素早く間合いを詰め、鳩尾に掌打を叩き込む。
「あがぁっ」
 薙刀を落とし、お腹を押さえて咳き込む。ジョーカーは道衣の紐を外して前を開くと肘まで下ろし、雪那の背中側で紐を結びなおすことで上半身の自由を奪う。ジョーカーは後ろから雪那を抱くようにし、ブラの上から愛撫を始める。
 暫く雪那の巨乳を揉んでいたジョーカーがフロントホックの金具を見つけ、淀みなく外す。その瞬間、内側からブラを弾き飛ばすようにして乳房が解放される。
「きゃぁぁぁぁぁぁっ!」
 派手な悲鳴をあげ、雪那が身を捩る。雪那が身動きする度、巨乳がふるふると揺れる。
「おいおい、凄いな。サイズ合ってなかったんじゃないのか?」
「よ、余計なお世話です! 放して、放しなさい!」
 乳房を晒されたことで暴れる雪那だったが、ジョーカーが乳首を触ると動きが止まる。初めて異性に触られることは、雪那にとっては余りにも衝撃だった。
(あ、あんまりだわ・・・死にたい・・・!)
 恥ずかしさの余り涙が目の端に溜まっていく。ジョーカーは乳首への責めをやめることはなく、何かを導こうとするかのように愛撫を続ける。それまで見ているだけだったレフェリーは、下着の上から股間を触る。
「もうやめて、お願い、こんなのいやぁ・・・!」
「なんだ、もう音を上げるのか? お前さんの会社への情熱ってのはそんなものだったのか?」
(そうだ、私は会社と皆のために勝たなくては! でも・・・はぁぁぁっ!)
 汚れを知らない女の急所を弄られることで、雪那の思いとは裏腹に、乳首が硬くなっていく。それに気付いたのか、ジョーカーの責めが乳首をしごくような動きに変わる。
「う、ううっ、うぅぅ・・・」
 自分の体を好きなように嬲られる悔しさが涙となって溢れる。ジョーカーは左手を乳首から下ろし、下着の中へと潜り込ませる。
「なっ・・・」
 驚きのあまり、雪那は言葉を失くした。ジョーカーの手は止まることなく進み、秘部を直接擦る。
「いやっ、いやっ、いやぁぁぁっ!」
(こんな、直接そんな、なんてことを!)
 乙女の秘所を触られたことでパニックとなり、思考がまとまらない。ジョーカーの手に秘部を奪われた格好となったレフェリーは、雪那が身動きするたびに揺れる乳房に手を伸ばす。
「これは・・・直接触ると柔らかさがまた凄いな。つきたての餅ってのはこれくらい柔らかいんだろうな」
 レフェリーは何度か指でつつくと、掌で右の乳房を弾ませる。その後掬うように刺激していく。
「もう、やめてください、やめてぇ・・・!」
「ほおぅ、それはギブアップの宣言と取っていいのかな?」
 泣きながら頼む雪那に、レフェリーが確認してくる。しかし、雪那にとってギブアップは会社の倒産を意味する。
(なんとか、なんとかしなきゃ、ここで負けたら皆が・・・)
 脳裏に浮かぶ社員の顔が、雪那の諦めかけた心を奮い立たせる。体に与えられる刺激を耐え、脱出しようともがく。しかし、ジョーカーの淫核への刺激がそれを封じる。
「あ、かはっ、ひぐぅぅぅっ!」
 強過ぎる刺激に腰を跳ねさせ、苦鳴を洩らす。ジョーカーの指は淫核を責めながら秘部へも刺激を送る。
「つ、強過ぎる、もう駄目よ、それ以上は・・・あかぁぁぁっ!」
 乳房を揉まれ、乳首を弄られ、秘部と淫核を同時に責められ、喘ぐ雪那。それでもギブアップの言葉だけは口にしなかった。
「よく耐えるなぁ九条選手。そこまで頑張るんだ、もうちょっと恥ずかしい思いをして貰おうか」
 レフェリーはそう言うと乳房から手を放し、雪那の下着に手をかける。
(え・・・嘘、でしょう?)
 レフェリーは羞恥を煽るように下着をゆっくりと下ろしていく。アンダーヘアが見えそうになったとき、雪那の忍耐にも限界が来た。
「やめて、ギブアップします、ギブアップです! それだけは勘弁してくださいっ!」
 雪那の絶叫に、レフェリーの手が止まる。
「もうちょっとで全部見えたのにな、残念。雪那お嬢様は社員よりも、自分の貞操を守ることのほうが大事だったってことだな」

<カンカンカンカン!>

 最後は言葉でいたぶり、レフェリーがゴングを要請する。嬲られたショックと融資の消失で呆然となった雪那は、半裸の状態で放置され、観客の淫らな視線に晒されていた。
(私・・・皆、ごめんなさい・・・融資、受けられなくなっちゃった・・・)
 体を震わせ泣き崩れる雪那に、観客からは粘つく視線が送られ続けた。


第十六話へ   目次へ   第十八話へ

TOPへ
inserted by FC2 system