【第二十八話 夏海・マウルシア・エスカーナ:カポエラ+ダンス】

 犠牲者の名は「夏海・マウルシア・エスカーナ」。19歳。身長169cm、B93(Gカップ)・W66・H94。日系ブラジル人の父と日本人の母を持つハーフ。緩いウェーブのかかった長髪をうなじで纏め、彫りの深いくっきりとした目鼻立ちが彼女の魅力を際立てている。
 明るい性格で誰からも好かれ、普段は飲食店で働きながら、スターダムを夢見て夜な夜なストリートで踊る毎日を送っている。肉感的なプロポーションの彼女が踊る姿を邪まな目的で見る者も多いが、もし下心丸出しで絡んでくる男がいれば、父直伝のカポエラの技で撃退している。
 彼女の身体能力の高さに目を付けた<地下闘艶場>からの誘いは、彼女を淫らなリングへと導いた。


「まったく・・・こんな衣装ってないよね」
 夏海に用意された衣装は、リオのカーニバルもかくやというゴールドの極小ビキニだった。カップ部分は乳首を隠すくらいの面積しかなく、ほとんどが紐で構成されている。ボトム部分の前面は普通のビキニ使用に見えるが、後面は紐のTバックだった。サイド部分も当然のように二本の紐で、全体を見ても体を隠す面積が驚くほど小さい。それなのに、ビキニは金色の飾り紐で飾り立てられ、無駄なゴージャス感を醸し出している。これを着れば殆ど裸体に近いが、大事な部分が隠れている分、逆に卑猥さが強調されるのではないか。
 夏海は彫りの深い顔をしかめ、頭を一つ振った。
「でも、これ着ないとファイトマネー貰えないし・・・」
 紐と飾りの組み合わせとしか思えない衣装を持ち、夏海は途方に暮れる。ファイトマネーだけで五十万円、勝利すればさらに五十万円をプラスし、オーディションの斡旋、ダンスコンテストへ参加するときは援助してくれる、という条件は途轍もなく魅力的だった。今思えば、これだけの卑猥な衣装を着させて闘わせるのが目的なのだから、あれだけの好条件を出してきたのだろう。
「今更帰れない、よね」
 盛大なため息をつき、夏海は嫌々ビキニを身に着け、ガウンを羽織った。

 花道を進む夏海を迎えてくれたのは、観客席に座る男達の粘つくような視線だった。ダンスを踊っているときに浴びる視線とは違い、嫌悪感で肌が粟立つ。
 厭らしい視線を堪えてリングに上がると、待っていたのはレフェリーと屈強な男だった。
(え、対戦相手って・・・男!?)
 対戦相手は野獣を思わせる風貌で、時折歪める口元からは鋭い犬歯が覗く。観客の視線といい、対戦相手といい、どういった目的で夏海を招いたのかは明らかだ。
(でも・・・もし勝てば賞金と援助が受けられる。やるしかないわ)
 覚悟を決め、相手を睨む。例え相手が男だとしても、自分の実力ならば勝てる筈だ。

「赤コーナー、ジグ・ソリタード!」
 ジグと呼ばれた男は、狼を思わせる遠吠えをしたあと、夏海を見て舌舐めずりする。
「青コーナー、『カルメン』、夏海・マウルシア・エスカーナ!」
 自分の名前がコールされ、夏海は諦めてガウンを脱いだ。

(ぉぉぉぉぉ・・・っ!)

 そのあまりの露出度に、観客席からどよめきが起こる。女体の隠された部分が極端に少なく、離れて見ている者には、夏海が裸に見えるのではないだろうか。
 男達の視線を感じ、夏海は前を隠す。しかしリングの周り全てに観客は居り、隠しおおせるものではなかった。

「夏海選手、ボディチェックを受けてもらおうか」
 ジグのボディチェックを終えたレフェリーは夏海の全身を眺め、にやにやと笑う。
「こ、こんな格好させていて、ボディチェックもないでしょ!?」
 体を腕で庇い、夏海はレフェリーを睨みつける。
「そんなこと言われても、ボディチェックを受けてもらわないと試合が始められないだろ?」
「嫌よ、絶対に、嫌っ!」
 強い口調で拒否する夏海に、レフェリーは大袈裟にため息をつく。
「それじゃあ仕方ないな。本当はこんなことしたくないんだが・・・」
 レフェリーの言葉が合図だったのか、ジグが後ろから夏海を羽交い絞めにした。
「ちょ、ちょっと! 放してよ!」
「大人しくボディチェックを受けてくれたなら、こんなことしなくて済んだんだけどなぁ」
 レフェリーはにやつきながら密着し、夏海のほぼ剥き出しのバストを触る。
「どこ触ってんのよ! エロ親父!」
「・・・ボディチェックだって言ってるだろうが。わからない奴だな」
 レフェリーは両手でバストを鷲掴みにし、ゆっくりと揉みしだく。ジグは夏海の匂いを嗅ぎ、耳や頬を舐め回す。
「んんっ、嫌っ!」
 上半身はジグにがっちりと捕らえられているため、首を振るくらいしかできない。膝でレフェリーの金的を蹴ってやろうとしても、下半身を密着させられているため膝を入れる隙間がない。
「殆ど直に触ってるのと替わらないな。大きいのに張りがあって、男が放って置かないんじゃないか? ダンスのときは皆この巨乳が揺れる様を楽しんでるんだろ?」
 どう考えてもボディチェックとは思えない手つきで、レフェリーは夏海のバストを揉む。指を蠢かせ、厭らしく揉み込んでくる。暫くそうやって夏海のバストを揉んでいたが、右手をそろそろと下ろしていく。
「それじゃあ、今度はこっちを・・・」
「いい加減に、しろっ!」
 夏海はジグに体を預けるようにして体を浮かせ、両足でレフェリーを蹴り飛ばす。その勢いでジグに体重をかけてリングに倒し、拘束が緩んだところで転がって立ち上がる。
「痛ぅ・・・ボディチェックの最中にレフェリーを蹴り飛ばすとは、やってくれたな!」
「うるさいエロレフェリー! あんなボディチェックがあるわけないでしょ!」
「もういい、後で後悔するなよ!」
 お互いに怒りに満ちた視線を交錯させ、レフェリーはゴングを要請する。

<カーン!>

(あんの最低男、絶対後でシメてやる!)
 夏海はレフェリーへの怒りで頭に血が上り、自分の格好を忘れてしまう。カポエラのリズムを刻むことで、僅かな布に守られたGカップの巨乳が揺れる。丸出しに近いヒップが弾む。ジグの動きに細かく位置取りを変えながら、攻撃の機を窺う。
 ジグが無造作に間合いを詰めてきた瞬間、背を低くし、左足を軸に体ごと回転させるようにして足払いを放つ。これがジグの両脚を刈り、見事にダウンを奪う。
「どうよ!」
 顔にかかった髪をかき上げる。ジグからダウンを奪ったことで頭に上がった血が下がり、冷静さが戻ってくる。冷静になると観客の歓声が耳に聞こえ、観客の歓声と視線で、自分の無防備な姿を思い出させられる。意識してしまうことで、恥ずかしさが込み上げる。
 両手で胸元とヒップを隠すが、豊かなプロポーションは完全には隠れない。
「くくっ、それで隠したつもりか? おっぱいもお尻も顔を出してるぞ」
 レフェリーの嘲るような言葉に、夏海がきつい視線を投げる。しかし体を隠したままでは迫力も半減してしまう。
 その間にジグがヘッドスプリングで起き上がり、夏海をねめつける。ダウンを奪われたことに腹を立てているのか、喉の奥でうなり声をあげている。
 そのまま飛びかかって来るジグに蹴りを入れた夏海だったが、中途半端な姿勢からの蹴りのため威力は出ず、ジグに押し倒されてしまう。
「しまった・・・!」
 ジグは夏海に馬乗りになり、両手を押さえ込んで顔を舐め回す。夏海は舐められまいと顔を背けるが、ジグは気にせずに頬や鼻の頭、耳たぶなどを舐めしゃぶる。顔の次は喉を舐め、そのまま舌を下げていく。
「ちょっと、そこは!」
 ジグはほぼ剥き出しのバストに舌を這わせ、その感触を楽しむ。散々舐め回した後、今度は両手で唾液に塗れたバストを鷲掴みにし、強めに揉む。
「痛いでしょっ! こんのっ!」
 夏海は下から強烈なビンタをお見舞いし、ジグが怯んだ隙にマウントポジションから抜け出す。素早く立ち上がると、ジグに舐め回されたバストを手で拭い、少しでも唾液を落とそうとする。ジグは打たれた頬を押さえて夏海を睨むと、怒りの咆哮をあげる。
「そんなに吠えたところで、恐くなんかないわよ!」
 夏海は左足を軸に上半身を左に捻り、その反動で右脚の蹴りを放つ。だがジグは四つん這いになって蹴りをかわすと、両手両脚を使って前方に低く飛び、夏海の背後を取る。
「え、ウソっ!」
 夏海が気づいたときには身体が宙を舞い、リングに背中から落とされていた。
「いったぁ・・・」
 痛みに呻く夏海をうつ伏せに引っくり返し、ジグはフルネルソンに極めた状態のまま再び仰向けになり、さらに両脚で夏海に開脚を強いる。
「ちょっと、なんて格好させるのよ!」
 叫びながらもがく夏海だったが、男性にがっちりと捕らえられては脱出できない。ひっくり返された亀のような姿勢からなんとか逃れようとする夏海に、レフェリーが近寄る。
「いい格好だなぁ夏海選手。無防備ってのはこういうのを言うんだろうな」
「う、うるさいエロレフェリー! 近寄ってこないでよ!」
「そういうわけにはいかないさ・・・ボディチェックが、途中だっただろ?」
 レフェリーはにやつきながら夏海のバストへと左手を伸ばし、ゆっくりしたリズムで揉む。
「やめなさいよ変態! ドエロ! ドスケベ!」
「酷い言われようだな・・・ジグ、夏海選手のおっぱい揉んでいいぞ。俺はこっちで楽しませて貰うからな」
 レフェリーの許可にジグは嬉しそうに吠えると、フルネルソンを外して夏海のバストを鷲掴みにする。レフェリーは夏海の股間に手をやると、衣装の上から撫で回す。
「いやぁっ! 放して! 放せっ!」
 夏海は自由になった両手で男達の手を振り払おうとするが、バストから手を放させようとすると股間を撫でられ、股間の責めを止めようとするとバストを揉まれる。バストと股間の両方を守ろうとすると、耳を舐められ、ヒップや太ももを撫でられる。男達の手に翻弄され、結局はバストと股間に刺激を加えられてしまう。
「少しは観客の皆さんにもサービスしないとなぁ。ジグ、もっと足を広げてやれ」
 レフェリーは夏海の股間を弄りながらジグに指示を出す。ジグは夏海のバストを揉みながら、言われたとおりに夏海の足を左右に広げていく。
「ちょっとやだ、やめてよ!」
 夏海は太ももに力を込めて開脚を阻止しようとするが、ジグの力には敵わず、じりじりと足を広げられていく。
「おおっ、布地が少ないから、大事なところがこぼれそうだぜ」
 レフェリーの揶揄に夏海は慌てて両手で股間を隠すが、左右のバストをジグの好きなように弄られてしまう。
 暫く耐えていた夏海だったが、我慢できずに左手で股間を隠したまま右手でジグの手を払おうとする。しかしその手首をジグに掴まれ、バストを守ることができなくなってしまう。ジグはそのまま夏海の足を広げ続け、M字の形に広げ切ってしまう。
「いやぁっ! やめてよ、足を放して! この変態!」
 バストをジグに揉まれながらも、それに耐えて夏海は左手で股間を隠す。柔軟な夏海の足は殆ど180度開いていた。
「夏海選手、手で隠してたら観客の皆さんが見えないだろ? ダンサーならダンサーらしく、ちゃんとサービスしなきゃ駄目だぞ」
 レフェリーは夏海の左手首を持ち、わざとゆっくりと股間から引き剥がしていく。
「ああっ、そんな・・・」
 両手を別々の男に捕らえられ、もう大事なところを隠すことができない。夏海はなんとか両手を股間に持っていこうとするが、男の力には敵わず逆に引き離されてしまう。
「見えそうで見えないな・・・まぁ、逆にそれがそそるけどな」
 レフェリーは夏海の太ももを撫で回しながら、水着の上から秘部をじっくりと眺める。
「このエロレフェリー! いい加減やめなさいよ! 今なら・・・あうっ!」
「今なら・・・なんだ?」
 レフェリーは水着越しに秘部を強く押さえ、夏海の言葉を遮る。
「ボディチェックの最中にレフェリーを蹴飛ばすような選手が、何を言いたかったんだ? ん? まさか、今なら許してやるとかそんな科白か?」
 レフェリーはそのまま揉み込むように秘部を刺激しながら、夏海の顔を覗き込む。M字開脚を強いられた格好でバストと秘部を弄られている夏海は、悔しさと恥ずかしさに頬を染め、レフェリーを睨みつける。
「絶対、絶対叩きのめしてやるんだから! あっ、いやぁっ!」
 幾ら夏海が強がろうと、拘束された体勢では逆効果だった。レフェリーとジグに身体を良いように弄られ、羞恥心を掻き立てられてしまう。
「さっきできなかったボディチェックの続きをしてるだけなのに、レフェリーに暴言を吐くとは・・・これはお仕置きが必要だな」
 レフェリーはジグに夏海の両手を掴ませ、動きを封じる。舌舐めずりをした後、わざとゆっくりとお腹を擦り、鳩尾を通ってバストへと到着する。そのままじわりと指を動かし、バストの裾野から頂点へと向かわせる。水着に到着すると、軽く撫で回し、その下へと潜り込む。
「ちょっと、そこは・・・!」
 拘束から逃れようともがいていた夏海の動きが止まる。
「やっぱり直接触ると違うな。少し硬くなってるんじゃないか?」
 レフェリーは人差し指で乳首を捏ね、残りの指で乳房を揉む。
「やめてやめてやめてぇっ! いやぁぁぁっ!」
 夏海は悲鳴と共に身を捩るが、ジグの拘束から逃れられない。しかしジグは自分がお預けを食っているのが堪らなくなったのか、夏海の両手を放してバストと秘部へと手を伸ばす。
(手が動く!)
 夏海の怒りは、目の前のレフェリーに向けられた。
「こんの・・・ドエロレフェリー!」
 解放された両手でレフェリーの頭を掴み、頭突きをかます。
「ごぶほっ!」
 この不意打ちにレフェリーは鼻を押さえ、リングに倒れ込む。それには目もくれず、夏海はバストを掴むジグの両手を引っ掻いて放させる。上体を起こしてジグの両足も引っ掻き、漸く立ち上がる。
 かなりの時間セクハラを受け、思った以上にスタミナを消耗しているのがわかる。荒い息を深呼吸で収めながらジグを見ると、ジグは引っ掻かれた手の甲を舐め、犬歯が剥き出しになる程の笑みを見せる。
「鼻、鼻が・・・」
 レフェリーは鼻血を止めるために一旦リングを降り、リングドクターの下に向かう。
(邪魔者がいない今がチャンスだわ、こいつの息の根止めてやるんだから!)
 再び夏海はカポエラのリズムを取り始める。バストが揺れ、観客から揶揄するような声が上がるが、もう恥ずかしいなどとは言っていられない。全身を回すようなローキックから体ごとぶつかるようなハイキックを放つが、ハイキックをかわしたジグから秘部を撫でられる。
「!」
 怯んだのも一瞬で、蹴りの連打を放つ。しかし鋭い蹴りもジグには当たらない。野生の獣を思わせる身のこなしで尽くかわされていく。
「こんのっ!」
 蹴りが当たらない苛立ちから、夏海の蹴りの精度が落ちる。そのため益々ジグに当たらない。ジグは夏海の蹴りを避けながら、夏見のバストをつついたり弾ませたり、ヒップを撫でたりする余裕を見せる。
「なんで当たらないのよっ!」
 夏海は大振りのハイキックの隙を突かれ、ジグに後ろから捕まえられ、バストを乱暴に揉まれる。
「また胸を・・・あ、やだっ!」
 ジグの指が水着の下に潜り込み、直に乳首を弄る。素早く指を往復させ刺激を与えると、それに応えて夏海の乳首が硬くなっていく。
「あんっ、放して! やっ、はぅっ」
 乳首への責めをやめさせるためジグの手を押さえようとすると、ジグは秘部も弄ってくる。
「あああぁぁぁっ!」
 いきなりの刺激に嬌声が洩れる。水着越しとはいえ、敏感な部分を弄られるのは堪らなかった。乳首と秘部に与えられる刺激を耐えてジグの足を踏みつけ、やっと責めから逃れる。
 夏海は胸元と股間を隠しジグを睨むが、腰が微妙な角度で後ろへ引かれている。ジグは鼻を鳴らした後なぜか喉の奥で嬉しそうな声をあげると、両手を上げて夏海に飛びかかる。
「! チャンス!」
 ジグの見せた隙に、夏海はバク転の要領でサマーソルトキックを放つ。この一撃でジグの顎が跳ね上がり、そのままリングへとダウンする。
「お仕置き完了!」
 Vサインを決める夏海の後ろに、人影が立った。
「いや、これからがお仕置きの時間だよ」
 鼻血を止め、リングに戻ったレフェリーだった。後ろから夏海に抱きつき、両手でバストを鷲掴みにする。
「ま、またエロレフェリー! しつこいわよっ!」
 その手を持ってバストから放そうとするが、レフェリーが水着も掴んでいるため無理に引っ張ると乳首が見えてしまいそうになる。
「この手を放せっ! あん、いやっ!」
「レフェリーに頭突きかました選手が、おっぱい揉まれる位のお仕置きで済んでるんだ、感謝されてもいいと思うがな」
「勝手なこと言わないでよ! スケベ、変態、セクハラ大王!」
 夏海がもがいている間にジグが立ち上がり、ゆっくりと歩み寄ってくる。
「寄らないでよっ!」
 ボディチェックの時と同じようにレフェリーに体を預け、ジグを蹴飛ばそうとした夏海だったが、ジグは素早く夏海の両脚の間に体を入れると水着越しに秘部を擦る。
「またそんなとこ触って・・・やだってば、触らないでよ! 胸もあそこも触らないで!」
「触らないで? おかしいな、乳首がこんなに硬くなってるってのに。俺の聞き違いか?」
 レフェリーは含み笑いをしながら水着の中で乳首を摘む。夏海の乳首はレフェリーの指で摘めるほどに固くしこり、レフェリーが刺激することで更に固さを増していく。秘部もジグに弄られることで水音をさせ始める。
「やっ、もういやっ、もうやめてぇっ!」
「やめて? 正直に言えよ、身体はしっかり反応してるじゃないか。もっとしてくれ、の間違いだろ?」
 レフェリーは乳首を弄りながら、夏海の耳元に囁く。親指と人差し指で乳首を挟み、残りの指で乳房を揉んでくる。
「あ、貴方達なんかに、好き勝手にさせないんだから!」
 夏海はレフェリーの手の甲を思い切り抓り、レフェリーの手が放れた瞬間ジグの頭を力一杯叩く。ジグが足を放した瞬間に、レフェリーを突き飛ばして距離を取る。胸と股間を隠して男達を睨むが、頬が上気し、息が荒い。
(まずいわ・・・身体が感じてきちゃってる。乳首が立ってるし、あそこが濡れて・・・)
 快楽を知る体はしつこく刺激を加えられることで、男達の乱暴な愛撫でも快感へと変えていた。
「お前、またレフェリーに手を上げやがったな! 絶対に許さんぞ!」
 レフェリーは抓られた手の甲を押さえ、凶暴な光を灯す目で夏海を睨みつける。もう口元ににやけた笑みはない。
「ジグ、もう遠慮しなくて良いぞ、思う存分嬲ってやれ!」
 ジグは天井に向かって大きく吠える。吠え終わった後、夏海に向けた視線は獣欲に満ちたものだった。
「貴方達みたいなド変態に、絶対に好き勝手させないんだから!」
 明らかな強がりに、ジグは反応もしなかった。両手をだらりと垂らし、口元を舐めながらじりじりと距離を詰めてくる。
(私の蹴りは当たらない・・・どうしよう、どうすればこいつを倒せるかしら)
 焦る夏海の脳裏に、ふっと自分が踊る光景が浮かぶ。
(こんなときにまでダンスのことが浮かぶなんて、私ってほんとにダンスが好きなのね)
 苦笑しかけた夏海だったが、天啓のように脳裏に閃くものがあった。
(そうよ、蹴りが当たらないとしても、私にはダンスがあるじゃない!)
 来る日も来る日もダンスに明け暮れる毎日。カポエラよりも体に染み込んでいる動きだ。ダンスでいいんだ、そう思った瞬間、ジグが飛び掛ってくる。
「甘いっ!」
 上半身を前に倒しながら捻じり、同時にステップを踏んで軽やかにかわす。ジグは次々に飛び掛ってくるが、ときにはしゃがみ、ときにはジャンプしてかわしていく。徐々にジグの動きに慣れ、攻撃を最小限でかわせるようになってきた。
「今度はこっちの番よ!」
 ターンでジグをかわし、空いたお腹に右脚を振り上げてやる。ジャストミートはしなかったものの、ジグが怯む。
「ふふっ♪」
 夏海は自らの動きに高揚していった。こんなに動けるなんて、思ってもみなかった。
(ほら、こう来た。読んでたわよ、これをお返し!)
 ジグの動きがわかる。自分がどう動けばいいかわかる。夏海は自分に酔いしれるあまり、自然と口元に笑みが浮かび、性的興奮に息があがっていくのに気づかなかった。乳首は立ち上がり、秘部は潤いを増していく。
「これで、とどめっ!」
 夏海は脚を前後に大きく開き、リングに股間がつきそうなほどに体を沈ませる。そのままサマーソルトキックを放とうとしたが、あまりに大きく脚を広げ、激しく動いたことで水着が秘部を刺激してしまう。
「あっ、くぅぅっ!」
 夏海の動きが止まったのは一瞬だったが、その隙を突かれ、ジグに抱え上げられてしまう。ジグはそのままパワースラムで夏海をリングに叩きつける。
「ぐはっ!」
 その威力に、肺の空気が搾り出される。ジグは動きの止まった夏海を再度抱え、コーナーへと逆さ吊りにすると秘部へ鼻を寄せ、匂いを嗅ぐ。満足気に頷くと、秘部に口を寄せ、舐め始める。
「いやぁぁぁっ!」
 夏海は両手を振り回すが、逆さ吊りの状態からでは威力も無い。
「夏海選手、ギブアップするかい?」
 レフェリーが夏海の手の届かない範囲からギブアップの確認をしてくる。
「嫌よ! 絶対、貴方達になんか負けないんだから!」
 ジグから秘部を責められても、必死に刺激を堪えてギブアップを拒む。
「ああそうかい。それならお仕置きの続きだ」
 レフェリーは夏海の両手を膝で押さえると、夏海のバストを鷲掴みにする。
「まったく、レフェリーに蹴りを入れる、頭突きをかます、手を抓る・・・とんだじゃじゃ馬だな」
「ぜ、全部貴方が原因でしょ!?」
 逆さ吊りにされ、バストをレフェリーに揉まれ、秘部をジグに舐められ、それでも夏海は強気を崩さない。しかし、レフェリーの手が水着の紐にかかると表情が変わる。
「ここまでするつもりはなかったんだが、レフェリーに対する数々の暴力は目に余るからな」
「ちょっと、まさか・・・」
「ああ、多分お前の考えてる通りだ。夏海選手のストリップショー、楽しんで貰いな!」
 レフェリーは夏海のブラを一気に剥ぎ取る。解放された乳房がぶるりと揺れ、硬くなった乳首も観客の目に晒される。
「いやっ、やだっ、返して、ブラ返してぇっ!」
 夏海は半狂乱になって暴れるが、両手をレフェリーに押さえられ、両脚もジグに抱えられていては逃れることができない。暴れるたびに剥き出しとなった乳房が揺れ、観客の歓声が大きくなる。
「ははっ、こいつは後で観客の皆さんに競りに出すからな」
 レフェリーはブラを大きく振り回すと、黒服に渡すために夏海から離れる。
(今なら手が動かせる・・・それなら!)
 夏海は右手を握ると、思い切り振り上げる。その拳は狙い通りにジグの股間を打ち、ジグは声も無く悶絶する。夏海はリングに両手をついた反動と腹筋の力で上体を起こし、やっと逆さ吊りの状態から脱出する。
「ブラを返しなさいよっ!」
 夏海は片手で胸元を隠しながらレフェリーの後ろから手を伸ばし、先程まで自分の乳首を隠してくれていたブラを掴む。
「お、お前、いつの間に抜け出した!?」
「いいから返しなさいよ!」
 引っ張り合う二人の手の中で、ブラが左右へと移動する。しかし、ぶちっという音と共に、夏海とレフェリーの手に別れてしまう。
「「あ・・・」」
 二人とも自分の手の中に残ったブラの残骸を見て呆然となる。
 動きが止まった夏海の後ろから、股間の痛みから回復したジグが襲い掛かった。夏海を背中側から押し倒し、両脚をフックすると両手首を掴み、そのまま後方へと倒れ込んでロメロスペシャルに極める。
「きゃぁぁぁっ!」
 四肢を捕らえられては胸元を隠すこともできず、夏海はGカップの巨乳と立ち上がった乳首を全周囲の観客に見られてしまう。
「お前が引っ張るから、ブラが壊れちまったじゃないか!」
 レフェリーが怒りをぶつけるように乱暴に夏海の乳房を掴む。
「痛いっ!」
 痛みを訴える夏海だったが、レフェリーは尚も強く乳房を絞り上げる。
「折角観客に楽しんでもらおうと思ったのに、なんてことしてくれるんだ? んん?」
 レフェリーの乱暴な責めに、夏海は眉をぎゅっと寄せて耐える。レフェリーは怒りの表情のまま、牛の搾乳をするように夏海の乳房を強く揉む。
 夏海の乳房を揉むうちに落ち着いてきたのか、乳首を弾きながらのゆったりとした責めに変わっていく。
「レフェリーに手を上げた罪、ブラを引っ張って壊した罪。両方重罪だな」
「あ、貴方がブラを取ったりするから、あんっ、いけないんでしょっ!?」
 痛みと乳房を捏ね回される屈辱を堪え、夏海はレフェリーに反論する。
「ったく、こんな状態でも減らず口はやめないんだな」
 夏海の乳房を揉み続けていたレフェリーだったが、夏海のボトムが目に入るとニヤリと笑う。
「なんだ、まだ残ってるものがあるじゃないか」
「え?」
 レフェリーはにやつきながら秘部に手を伸ばし、そのまま撫で回す。
「いやぁっ! はぅっ!」
「染みつきのボトムなら、ブラよりも喜んで貰えるだろ。こいつは没収だ」
「やめてっ! それだけはやめて! お願い、お願いします!」
 自分の秘部が男達に晒される恐怖に、気の強い夏海もレフェリーに懇願してしまう。
「今頃お願いされてもなぁ。それじゃ、自分が淫乱ダンサーですって認めるか? そうすれば考えてもいいぞ」
「そ、そんな・・・」
 夏海の秘部を弄りながらのレフェリーの提案に、夏海は声をおとす。ボトムを取られるのは嫌だが、自分が淫乱だなどと言うのも耐えられない。
 そのとき、ジグが両手を伸ばし、夏海のGカップの乳房を鷲掴みにした。
「!」
 おそらくレフェリーのみが夏海を嬲っているのに我慢できなくなったのだろうが、夏海にとってはチャンスだった。ジグの左手を押さえ、そこを支点にして思い切りビンタを放つ。
「こんのドエロドスケベド変態レフェリーッ!!」
 レフェリーの頬からビンタとは思えないような音が鳴り、レフェリーはそのままぐにゃりと後ろに倒れ込む。その姿には目もくれず、夏海はジグの手を抓り上げる。その痛みにジグの手が乳房から放れた瞬間にロメロスペシャルから脱出する。
「よくも、よくもここまでやってくれたわね・・・」
 殺気に満ちた視線でジグを睨む。乳房を隠すことすら忘れ、炎のような視線でジグを射る。夏海の視線にも怯むことなく飛び掛ったジグだったが、夏海はもうジグの動きを見切っていた。
「これで、どうよっ!」
 体を沈め、伸び上がる力を全て肘に集めてジグの顎に叩き込む。夏海の怒りの一撃は、ジグの意識を根元から刈り取った。ジグは受身も取れず、リングへと落下する。

<カンカンカン!>

 ジグが意識を失ったとみて、試合終了のゴングが鳴らされる。ゴングの音に我に返った夏海は慌てて胸元を隠し、逃げるようにリングから走り去った。
 一度思い切りレフェリーを踏みつけてから、であったが。


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