【特別試合 其の三十一 天津命:古武術】  紹介者:サイエンサー様

 犠牲者の名は「天津(あまつ)命(みこと)」。20歳。身長162cm。B90(Eカップ)・W58・H85。可愛らしさと美しさを兼ね備えた大和撫子。腰まで伸ばした長く美しい黒髪をうなじ付近で括っている。性格は素直で元気一杯、そして気が強い。
 ある神社の娘で、大学に通いながら巫女として家業を手伝っている。小さな頃から護身のために通わされていた武道場で才能を開花させ、この若さで師範の一人となった。
 ある日、勘当された兄が真っ青な顔で帰ってきた。事業に失敗して多額の借金を抱えており、父親に助けを求めてきたのだ。家計は火の車となり、命も大学の休学まで考えていた。
 そんな時、<地下闘艶場>から悪魔の囁きが聞こえてきた。


 花道を進むガウン姿の命に対し、観客席からは卑猥な野次が飛んでくる。命は眉根をぎゅっと寄せ、それでも言葉には何もせずに花道を進む。
 リングへと続く階段を早足で昇り、ロープを潜って淫虐のリングへと足を踏み入れた。

「赤コーナー、マンハッタンブラザーズ1号!」
 命の対戦相手はマンハッタンブラザーズ1号だった。中肉中背のマスクマンで、隣にはまったく同じ格好をした覆面レスラーが居る。
「青コーナー、『武闘派巫女』、天津命!」
 自らの名前がコールされ、命は教えられたとおりにガウンを脱いだ。

(ぉぉぉぉっ・・・!)

 その途端、会場が沸いた。ガウンの下にあったのが、巫女服と呼ぶには浅ましいほどに改造されたものだったためだ。
 上はサイズの所為か、合わせ目からEカップの谷間がはっきりと見えてしまっている。また、肩口、肘の辺りに切れ目が入れられ、命の肌が覗いている。下は一応袴に見えるが、緋色の袴はミニスカート仕様となっており、命の脚線美がよくわかる。
 観客席から飛んでくる視線が不快なのか、命は眉を寄せ、胸元を隠した。

 マンハッタンブラザーズ1号のボディチェックを簡単に終えたレフェリーが、今度は命に向かってくる。
「よーし天津選手、ボディチェックを・・・」
「ちょっと待ってください、こんな衣装を着させられているのに、まだ更にボディチェックを受けろと言うんですか?」
 レフェリーを睨み、命は身体を庇う。
「ボディチェックを受けないと言うんだな? なら、マンハッタンブラザーズの二人を同時に相手して貰う」
「そんな、それはあまりに酷い・・・」
「ごちゃごちゃ言うな、ゴング!」

<カーン!>

 命は承諾していないというのに、済し崩しに一対二のハンディマッチが始まった。マンハッタンブラザーズの二人は命を挟むような位置取りで、じりじりと距離を詰めてくる。
 それは、マンハッタンブラザーズが得意の同時攻撃に出ようとした瞬間だった。命が気配も見せずにマンハッタンブラザーズ1号へと飛び、その咽喉仏に手刀を叩き込んだ。すかさずマンハッタンブラザーズ2号を肘打ちの一撃でダウンさせ、更に1号の頭を掴み、膝蹴りで止めを刺す。
 倒れ込んだまま動かない二人を見て、レフェリーが慌ててゴングを要請する。

<カンカンカン!>

「・・・ふう」
 練習を積んでいるとは言え、慣れない環境での試合は命を緊張させていた。しかも相手は男二人だったのだ。しかし、それも終わった。事前に提示されたファイトマネーの額ならば、取り敢えずではあるが一息つける。そう考えてリングを降りようとした命の前に、いつの間にか新たな男性選手が立ち塞がっていた。
「ええ動きしとるのぉ、姉ちゃん。ちぃとは本気出しても良さそうじゃぁ」
「退いてください、もう試合は終わりました」
 男を睨んだ命の背後からレフェリーが声を掛けてくる。
「何を言ってるんだ、天津選手。ボディチェックを受けなかったんだ、罰としてもう一試合受けて貰うぞ」
「ええ!? さっき男性二人と闘わされたじゃないですか! 罰はそれでもう・・・」
「うるさい、俺がやると言ったらやるんだよ! もし試合を放棄するというなら、さっきの試合の分のファイトマネーも払わんからな!」
「・・・」
「安心しろ。今から闘うなら、ちゃんと二試合分のファイトマネーを支払ってやるから」
 そうまで言われては、命も引き下がらずを得なかった。こんな怪しい催しに参戦したのは、偏にファイトマネーが魅力的だったからだ。そのファイトマネーが払われないのならば、何のための参戦なのか。
 唇を噛み締めた命は、レフェリーが指差した青コーナーへと下がった。

「赤コーナー、"クラーケン"伊柄克彦!」
 二戦目の相手は伊柄(いがら)克彦(かつひこ)だった。女性受けするような優しい顔立ちだが、どこか荒んだ印象を受ける。青いレスリングタイツから伸びた手足は細長く、一見すると強さを感じられない。しかし細いと見えた手足は鍛えて絞り込んだ肉体であり、見る者が見れば感心するほど見事なものだった。
「青コーナー、『武闘派巫女』、天津命!」
 二度目のコールを受けた命だったが、何の反応も見せずに呼吸を整える。
(大丈夫、さっきもきちんと闘えたんだから)

<カーン!>

 二度目のゴングが鳴らされた。慌てて構えを取ろうとした命に、伊柄の拳が襲い掛かる。
(速い!)
 驚きを隠せない命だったが、それでも伊柄の拳をかわし、裏拳での反撃を試みる。しかしもうそこに伊柄は居ない。
(この人、強い!)
 命が通う道場に、ここまでの実力者は居なかった。しかも、伊柄はまだ本気を出していないのではないか。それほど動きに余裕が感じられる。
(でも)
 それはそれで、心に隙があるということだ。ならば、その隙を衝いて一撃で仕留める。しかし、相手の実力は明らかに命より上だ。チャンスは一度しかないと考えるべきだろう。命の集中力が研ぎ澄まされていく。
「なんやぁ、やる気が有るんかないんか、はっきりせぃやぁ」
 伊柄が無造作に距離を詰めてくる。
(今っ!)
 命が両手を半開きにして突進する。
「まっすぐ突っ込んでくるかぃや!」
 伊柄が腹部へ拳を叩き込もうとした瞬間だった。眼前で強烈な破裂音がした。動き出す直前だったことで、伊柄の動きが一瞬止まる。それこそ命の狙いだった。
 猫だましから伊柄の左に半身で入り、しゃがみ込みながら膝裏を払う。浮いた伊柄の頭部を押さえ、後頭部からリングへと叩きつける。
 勢いがつき過ぎ、命は体勢を崩して前転していた。緋色の袴型ミニスカートが翻り、僅かな間ではあったが下着が覗く。
(よし、ここで追撃を・・・)
 伊柄に止めを刺すために前に出ようとした瞬間、レフェリーが立ち塞がった。
「ダウンを取る、下がれ」
 しかも命のバストをぐいぐいと押してくる。
「いやっ、もう!」
 胸元を庇った命は、已む無く距離を取る。
「いいか、カウントを取っている間は攻撃禁止だからな」
「わかったから、早くカウントを取ってください」
「生意気な口を利くな」
 このレフェリーと命とのやり取りの間に、伊柄がふらりと立ち上がる。
「っ!」
「おい、まだだ」
 前に出ようとした命だったが、またもレフェリーがバストを押す。
「あっ、もう!」
 レフェリーを睨みながら下がり、伊柄の様子を伺う。
「おい伊柄、大丈夫か?」
「・・・何がじゃぃ」
 レフェリーの問いかけに、伊柄がどこか力の入らない答えを返す。
「お前今、ダウンしてたんだぞ」
「・・・わしが、ダウンじゃと?」
 ようやく状況が飲み込めたのか、伊柄の目が血走っていく。
「くそがあああァァァァアッ!」
 伊柄の咆哮に、リングの空気が震える。咆哮と共に振り撒かれた殺気に、観客たちも息を呑む。
(な、なに、この人・・・)
 初めて浴びせられる本物の殺気に、命は本能的に体を庇っていた。
 突然、腹部で痛みが爆発した。命の反射神経を超えた動きで、伊柄の拳が腹部を抉っていたのだ。痛みに呻く間もなく、背中への鉄槌でリングに這わされる。
「あっ・・・がはっ・・・」
 今まで経験したことのないほどの痛みが、腹腔内と背中で暴れまわる。
「立てやぁ」
 伊柄は命の綺麗な黒髪を掴み、無理やり立たせる。
「おらぁっ!」
 そのまま背負い投げを打ち、一回転しながら自分の体重も浴びせる。
「あぐっ、うあ・・・う」
 容赦のない連続攻撃に、命の動きが止まっていた。
「油断しとったのも事実じゃが・・・ムカつくのぉ」
 両目を怒りにぎらつかせた伊柄が命を見下ろす。
「腹の虫が治まらんが、姉ちゃんの身体で鬱憤を晴らさせて貰うでぇ」
 伊柄は命の両腕を押さえるように両脚を置き、命の頭部を自分の腹の上に乗せる。
「まずは、おっぱい観賞じゃぁ」
 襟元を大きく開くと、Eカップを誇るバストがまろび出る。
「なかなかいいもんを持っとるのぉ」
 唇の端を薄く上げた伊柄は、命のバストを両手で鷲掴みにする。勿論それだけでは終わらず、ゆっくりと揉み込んでいく。
「ひ・・・人の胸を、触らないで、よ・・・!」
「なんやぁ、カマトトぶんなや、姉ちゃん」
 言葉での反抗など伊柄には届かず、バストを揉まれてしまう。
「ようやくボディチェックができるなぁ天津選手」
 命の足元に回り込んだレフェリーが、袴に似せたミニスカートを覗き込む。
「下も白か」
 パンティの色を確認したレフェリーは、勿論それだけでは終わらず、右手を秘部へと伸ばす。
「ど、どこを触って・・・!」
「女の隠し場所だ。さっきはボディチェックを拒んだからなぁ、よぉく調べてやる」
 パンティの上から秘部を弄りながら、レフェリーが嬉しそうに笑う。
「声を出してもいいんだぞ?」
 レフェリーが命の顔を覗き込んだそのときだった。命は両脚をレフェリーの胴に巻きつけ、無理やり引っこ抜いたのだ。油断していたレフェリーは伊柄とぶつけられ、伊柄は命の拘束を解いてしまう。
「こんのクソレフェリーがぁ」
 立ち上がった伊柄が、それだけで殺せそうな視線を突き刺す。
「わしの邪魔をするかぃや!」
 レフェリーの胸元を掴んだ伊柄は、左腕だけで釣り上げた。
「ま、待て・・・今度から、気をつける・・・だから・・・!」
「次はないでぇ」
 レフェリーを投げ出した伊柄は、ぎらつく視線を命に向ける。衣服の乱れを正し、伊柄への突進から肘打ちを出そうとしていた命に、遠慮のない前蹴りを叩き込む。
「あぐっ、うげぇっ!」
 お腹を抱えて転げ回る命を、伊柄が冷たく見下ろす。
「往生際が悪い姉ちゃんじゃぁ。こうなりゃぁ、徹底的に身体に教え込んだるわぃ」
 巫女服の襟を掴んだ伊柄は、紐の結び目も解かずに一気に脱がす。紐は根元から千切れ、伊柄の手に移った。
「なに・・・を・・・」
「こうするんじゃぃ」
 伊柄は脱がした上衣で、後ろに回した命の肘を拘束する。そのため、命は胸を突き出すような姿勢にさせられ、ブラに包まれたEカップのバストが更に大きく見える。
「ほれ、色っぽくなったじゃろぉが。感謝せぃや」
 鼻であざらわった伊柄は、仰向けに寝かせた命に馬乗りになった。そのままブラに包まれたバストを揉み始める。
(また、人の胸を触るなんて・・・)
 痛みと衣装が命を縛る。弱々しく身を捩ることくらいしかできない。
 暫くバストを揉んでいた伊柄だったが、ふと呟く。
「ブラが邪魔じゃのぉ」
 言うが早いか、伊柄がブラに手を掛け、軽々と引き千切った。
「きゃあぁぁぁっ!!」
 乳房を丸出しにされた命が大きく悲鳴を上げる。
「耳が痛いのぉ。じゃが、その声を色っぽく変えてやるわぃ」
 口調とは裏腹に、伊柄の指が優しく乳房を愛撫する。
「んぅっ」
 命の口から喘ぎ声が洩れた。先程まで拒んでいた響きとはまるで違う、艶っぽさが混じった吐息だった。
「ほぉ、反応がええのぉ」
 唇を歪めた伊柄は、更に優しげな手つきで乳房に触れる。
「はぁっ」
 意図せぬ吐息がまたも零れる。伊柄が乳房を弄るたび、命は喘ぎ声を零してしまう。
「もぉこがぁになっとるでぇ」
「んっ、くっ、あひっ!」
 乳首が痛いくらいに立ち上がり、触れられるたびに快楽の電流が奔る。
 命の乳房と乳首を嬲りながら、伊柄が命の耳元に口を寄せる。
「どぉじゃ、気持ちええじゃろぉが」
 そのまま、伊柄の舌が首筋を浅く舐める。
「はひゃぁ!」
 思ってもみなかった場所への責めに、命は艶のある声を零す。
「やっぱり姉ちゃん、敏感じゃのぉ。反応がええわぃ」
 含み笑いを洩らした伊柄は今度は耳に狙いを定め、舐め、ねぶり、甘噛みする。
(おかしいわ、こんなこと・・・! おかしい、のにぃ・・・!)
 厳しい家庭に育った命は、性的な知識もほぼなかった。寧ろ禁忌に近い知識だったのだ。
「これだけ敏感なのも珍しいわぃ。折角じゃぁ、感じる場所を探し出してやるわぃ」
 そう宣言した伊柄が、命の身体の敏感な箇所の探索を始める。
「いや、そんなの要らない・・・ひやぁあっ!」
 太ももに軽く爪を立てられ、くすぐったさを感じるくらいの強さで上下になぞられる。
 鎖骨をくすぐるように触れられ、じわりと汗が流れる。
 ヒップを優しく撫でられ、そこからも徐々に快感が立ち昇ってくる。
(おかしい・・・私の身体が、おかしい・・・!)
 伊柄の手によって命の全身が性的に開発され、淫らな反応を返していく。
 元々、命の身体は敏感さを隠し持っていた。それに命は気づくことなく、気づこうともせず、今日という日を迎えた。
 そして今。命の身体は伊柄の手によって、奥底から快感の水脈を掘り出されていく。伊柄の手に、掌に、舌に、吐息によって、快楽が引きずり出されていく。
(嘘・・・こんなのは、嘘よ・・・)
 自分の身体に裏切られ、命は絶望に浸りそうになる。
「さぁて、待たせたのぉ。またおっぱいを可愛がってやるけぇのぉ」
 伊柄の手が再び乳房へと戻ってくる。
「あ、ああ・・・」
 先程感じた快感をまた味わわされてしまうのか。慄く命の乳房に、伊柄の両手が触れた。そのままゆっくりと揉み立ててくる。
「ふあっ!」
 乳房への責めだけで、軽く達してしまっていた。
「おっぱいが好きなんじゃのぉ姉ちゃん。ほれ、乳首もこがぁに硬くしてもぉて」
 伊柄は乳房を揉みながら人差し指を伸ばし、大きく立ち上がった乳首に振動を送り込む。
「あいぃぃっ!」
 思わず仰け反るほどの快感が迸る。
「あっ、あうあっ!・・・んぐっ、んんうっ!」
 伊柄の乳房責めに声が抑えられない。揉まれ、弾まされ、擦られ、乳首を弄られ、転がされ、押し込まれる。そのたびに緋色の電流が奔り、全身と脳を犯していく。
「さて、こっちはどぉかぃのぉ」
 伊柄の指が乳房から離れ、袴型のミニスカートの中に潜り込み、蠢く。
「なんやぁ、もう濡れ濡れじゃぁ」
 含み笑いをした伊柄は、わざと音が立つように秘部を弄る。
「違う、こんなこと、違うわ!」
 命が言葉で否定しても、自らの秘部から聞こえてくる音が裏切っている。
「違うと言うんかぃ。なら、直接確かめてみるとするかのぉ」
 秘部を責めていた伊柄の指が、ゆっくりと上へと移動する。
「さぁて、ここを直に触ると・・・どがぁな反応するか、楽しみじゃのぉ」
「いや・・・やめて・・・怖い・・・!」
 伊柄の指がパンティの縁をなぞる。そのまま、ゆっくりと侵入した。
「あ・・・ああ・・・」
 わざとゆっくりとした速度で進む伊柄の指が、叢を掻き分けて秘部に到達する。
「さぁて・・・覚悟を決めぇや」
 伊柄の指が、浅くではあるが秘裂の中に潜り込んだ。
「うひううううううううっ!」
 命の口からあられもない叫びが放たれる。
(なにこれ、いや、だめ、こんなのぉ!)
 今までとは段違いだった。快感の火柱が秘部から噴き上がり、全身に火を点ける。命の腰が何度も跳ね、それでも治まらずに絶叫を放つ。
「お? こがぁに反応がええのに、姉ちゃんおぼこ娘かぃや」
 指先に処女膜の存在を感じ取り、伊柄が薄く笑う。
「う、うう・・・」
 処女であることを暴露された命だったが、それどころではなかった。膣の浅い部分を責められただけで、今までの何倍にもなる快感に襲われたのだ。
「も、もう・・・あああっ、もうやめて・・・くださいぃ! あああ〜〜〜っ!」
 どんなに命が叫ぼうとも、伊柄の手は止まることなく、否、命の嬌声を追い風として尚も責めを激しくしていく。
「ひああぁぁあああっ! だめぇぇっっ!」
 叫ばずにはおられない。叫ばなければ快楽に飲み込まれてしまう。
「ひあっ・・・あふぁあああ〜〜〜〜〜っ!」
 脳が快感で焼きついた。初めて達する性の高みに、命の身体、否、精神が耐えきれなかった。全身を細かく震わせ、気絶にも似た状態へと陥っていた。
 命の状態を見て取った伊柄が、命を横たえる。
「そろそろええじゃろぉ」
 伊柄は何故か肘を拘束していた上衣を外し、命の両腕を自由にする。しかし命は伊柄を突き飛ばすこともなく、荒い息を吐くだけだ。
「ほれ、この辺はどぉじゃ?」
 伊柄が繊細な動きで肩甲骨の下を撫でる。
「あっ、はああっ!」
 絶頂に達したばかりの上に、元々敏感な身体だ。それだけであられもない叫びを上げてしまう。
「どこを触っても反応がええのぉ。エロい姉ちゃんじゃぁ」
 袴の上から尻肉を揉みたてながら、伊柄が言葉でも乏しめる。
「どれ、俺も・・・」
 舌舐めずりしたレフェリーが、自分も淫落の責めに加わろうとする。
「それ以上近づくなやクソレフェリー」
 伊柄の鋭い視線と語気に、レフェリーが動きを止める。
「・・・ちょ、ちょっと確認することがあるだけだ。そう目くじら立てるなよ」
 一度咳払いしたレフェリーは、それ以上は近づこうとせずに命に問いかける。
「随分気持ち良さそうだなぁ、天津選手」
 しかし命は必死に首を振り、否定する。それでも、つい弱気が口を突く。
「こんなの、もういやぁ・・・もう、許し、てぇ・・・」
「おいおい、それはギブアップってことか? 勝たなきゃファイトマネーは払えないぞ?」
「そ、そんな・・・ひぃぃぃっ!」
 ファイトマネーは必要なのだ。兄の持ち帰った借金は、命の一家を確実に不幸へと叩き落とす。それを未然に防ぐチャンスなのだ。
(耐えなきゃ・・・こ、こんなことは我慢して、反撃して、勝たなきゃ・・・!)
 なんとか心を立て直す。否、立て直そうとしても、伊柄の巧妙な責めに喘ぎ声を洩らし続ける。
「頑張るのぉ、姉ちゃん。じゃが、その分わしが楽しめるがのぉ。ほれ」
「ひあっ、あっ・・・あふわぁぁぁぁ〜〜〜っ!」
 またも絶頂へと送り込まれた。しかしそこで伊柄の責めは終わらず、尚も敏感な部分を責め、いたぶってくる。絶え間なく嬌声を上げる命を、伊柄はひたすら責め続ける。
「こんだけおっ立っとるんじゃぁ、さぞ気持ちええんじゃろぉのぉ」
 両乳首が伊柄の指に捕えられ、一気に扱き上げられる。
「あああぅぁっ! だめ、それだめぇぇぇっ!」
 乳首に送り込まれる振動に、腰が勝手に跳ね回る。
「ああ、これじゃ足りんのかぃ。悪かったのぉ」
 含み笑いを洩らした伊柄が、右手で乳首を苛めたまま、左の乳首に吸いつく。そして空いた左手をパンティの中に突っ込み、淫核に直接振動を叩き込む。
「あぎひぃいいぃぃっ!」
 特に敏感な三点への同時責めに、命の口からあられもない叫びが迸る。そのまま絶頂へと達し、くたりと首を折る。
「おいおい姉ちゃん、試合中じゃぞ。寝るのはいかんじゃろぉが」
「ひいいいっ!」
 しかし、秘裂への責めですぐに現実へと引き戻される。
「良く頑張るなぁ天津選手。そんなに気持ち良くなるのが好きなのか?」
 レフェリーの嘲りにも、命は上手く反応を返せなかった。
「別にギブアップしてもいいんだぞ? ん?」
 もう首を振ることもできない。否、首を振って、ギブアップできないことが怖い。
(今、私は何を・・・)
 自分が考えてしまったことに、命は戦慄を覚えた。ギブアップへと縋ろうとした自分の心に恐れ慄いた。
「ひあああーーーっ!」
 しかしそれも一瞬だった。伊柄の淫攻に、身体が官能の底へと叩き落とされる。否、絶頂の高みへと昇らされる。しかも責めを受ければ受けるほど、一度に生じる快感の量が増加しているのだ。それだけではない。身体が快楽を欲するようになっていっている。
(も、もう、これ以上は耐えられない! こんなの・・・もういやぁぁぁぁぁっ!)
 絶頂への恐怖が、自らの変貌への恐怖が、命を追い詰めていた。嬌声を上げ続けていた唇が、敗北の言葉を紡ぐ。
「ギブアップ・・・」

<カンカンカン!>

 命の敗北宣言に、ゴングの音が響き渡る。続けて、更に残酷な事実を告げられる。
「残念だったなぁ天津選手。ギブアップしたからには、ファイトマネーはなしだ」
「そん・・・な・・・」
 ファイトマネーが支払われない。ならば、自分は何のためにこのような淫らなリングで闘ったのか。
「お、お願い・・・ファイトマネーがない、と・・・困る、の・・・」
 必死に言い募る命に応えたのはレフェリーではなく、伊柄だった。
「姉ちゃん、そこまで金が要るんかぃ。なら、わしが協力したるけぇの」
「あひぃっ!」
 伊柄は一度命の淫核を苛めると、リング下の黒服に声を掛け、ロープ越しに何事かを告げる。何度か頷いた黒服がマイクを手に取った。
「只今より、天津選手の絶頂シーン鑑賞ショーを開催致します。もし宜しければ、天津選手へのお賽銭をお願い致します」
(どういう、こと?)
 黒服の言った意味がわからず、どう反応すればいいのか戸惑う。
「なんじゃぃ、よぉわからんかったか? 要するにのぉ、姉ちゃんが気持ち良くなる姿をお客さんに見せて、お賽銭を貰おう、っちゅうことじゃぁ」
 伊柄の説明で初めてわかる。自分がこれから、どんなに淫らな姿を取らされるのかを。
「い、いや・・・そんなのぉ・・・いやぁ・・・」
「何が嫌じゃぁ、折角わしが協力してやる言うとるんじゃぞ。感謝せぃや!」
「あひあああっ!」
 伊柄から秘部へと振動を送り込まれ、嬌声を上げてしまう。
「とはいえ、このままじゃぁサービスが足らんのぉ」
 顎を撫でた伊柄は、命の袴に手を伸ばす。
「あ・・・だめぇ・・・」
 命の弱々しい抵抗はまるで役に立たなかった。袴を脱がされ、白足袋も脱がされる。これで、命の身を守るのは汗と白いパンティ一枚となった。
「覚悟決めぇや、姉ちゃん」
 とうとう、パンティにまで手が掛けられた。
「こ、これだけはぁ・・・」
 必死に力を振り絞り、パンティの端を掴む。
「往生際が悪いでぇ」
 伊柄の左手がパンティの上から淫核を押さえ、振動を送り込む。
「ひううんっ!」
 その刺激に力が抜けた瞬間、あっという間にパンティが足首から抜かれていた。

(ぅぉぉぉぉぉぉっ!)

 一糸纏わぬ命の裸体に、会場中の視線が突き刺さる。
「パンツがびしょびしょじゃぞ。素直になれやぁ、のぉ」
 愛液に塗れたパンティを眼前にかざし、伊柄が皮肉な笑みを浮かべる。命は視線を逸らし、身体を隠すことが精一杯だった。伊柄はパンティをリング下の黒服に渡す。
「天津選手の下着は後程、最高額の賽銭を頂いた方への贈り物とさせて頂きます」
 この黒服の勝手な発表に、観客席が更に沸く。
「それじゃ、巫女さんの絶頂ショー・・・始めるでぇ!」
 伊柄の宣言に、観客たちが怒号染みた歓声で応じる。
「ああぁ・・・いやよ、そんなことぉ・・・ひあーーーっ!」
 いきなり秘裂と膣の入口を指で弄られ、命は嬌声を上げる。
「ほれ、立てやぁ。寝とったらお客さんが見辛いじゃろぉが」
 命を背後から抱えた伊柄は、乳房を揉みながら無理やり立たせる。
「あ・・・はあぁ・・・」
 たったそれだけのことで、命は息も絶え絶えだった。観客席に裸体を向けられ、ロープに寄り掛からせられる。観客の視線が、命の裸体に突き刺さる。
「ちょぃとサービスじゃぁ」
 伊柄が命の右膝を抱え、軽くではあるが持ち上げ、股を開かせる。

(ぉぉぉぉぉっ・・・!)

 その扇情的なポーズに、観客席が沸く。
「い、いや・・・こんな、ことぉ・・・」
 微かに首を振るが、抵抗と言ってもその程度だった。
「いやじゃと言うくせに、ここをこぉすると・・・」
「ひああああっ!」
「のぉ? 悦ぶじゃろぉが」
 秘裂を、淫核を、膣を責められると、はしたなく喘ぎ、嬌声を上げてしまう。
「あっ、あっ、あっ・・・あああああーーーっ!」
 容易く絶頂に達し、ロープにぐたりともたれかかる。
「それじゃ、次に行くかのぉ」
 伊柄は命を背後から抱えると、右隣のロープへと移動し、先程同様に命をロープへと寄りかからせる。
「ま、また・・・こんなぁ・・・」
「本当は嬉しいんじゃろぉが。素直になれやぁ、のぉ」
 硬くしこったままの乳首を弄られ、反論を容易く封じられる。
「ほれ、今度はこっちのお客さんに見せたれやぁ。巫女さんの絶頂シーンをのぉ!」
 再び伊柄の指が踊り、命の秘部を弄り回す。
「あああーーーっ! もうだめ、そこはぁ・・・ひぁーーーっ!」
 またも絶頂に達した命に、観客席が沸いた。
 伊柄は命が絶頂へと達するたびに移動し、四方の観客に命の絶頂を見せつける。そのたびに紙幣が舞い、観客席の熱気も跳ね上がる。
「これで一周回ったのぉ」
 最早伊柄にぐったりと寄りかかるしかできない命を、伊柄は乱暴にリング中央に放り投げた。
「あうっ」
 奇跡的にも頭は打たず、命はリングの上に転がった。
 性の高みに数え切れぬほど無理やり達せられ、命はただ喘ぐしかできなかった。荒い息を吐くたび、豊かな胸が上下する。スポットライトに映える肢体に、観客の視線が突き刺さり、這いずり回る。
 どれだけ視姦のときが流れただろうか。伊柄が自分を見下ろしていることに命は気づいた。
「休憩時間は終わりじゃぁ」
「・・・え・・・?」
 この男は今何と言った? まさか、まだこれからこの身を嬲ろうと言うのか?
「それじゃ、最後の見世物といくかぃのぉ」
 リングの中央、命の上半身を抱き起こしながら背後に回った伊柄は、命の太ももに足を絡め、大きく開いた。露わになった巫女処女の秘部に、運の良い観客からの視線が突き刺さる。
「いやぁ・・・こん、なのぉ・・・」
「なんやぁ、見られるだけじゃ足らんのかぃ」
 伊柄が優しい手つきで乳首を下から掬う。それだけで命の口から喘ぎが零れる。
「安心せぃやぁ、今からたぁっぷりと・・・イカせ、狂わせてやるわぃ!」
「待って、違・・・あひああああっ!」
 否定しようとした口は、甲高い喘ぎ声を放ってしまった。この日、伊柄によって徹底的に開発された身体は、伊柄の指の、掌の、舌の感触に、快感を引きずり出された。
「ほれ見ろやぁ、こんなに喜んでくれとるじゃなぃかぁ。まったく、嘘はいかんのぉ!」
 その言葉の直後、命の右耳が甘噛みされ、左乳房が揉まれ、左乳首が潰され、淫核が振動を送り込まれ、秘裂を割った指に膣が激しく嬲られた。
「はっ、あぁ・・・あはあああぁああぁぁぁああああっ!」
 今日一番の絶頂の叫びを上げた命の秘裂から、透明な液体が迸る。会場から意味をなさない怒号じみた歓声が上がり、高額紙幣が舞い込んでくる。
「・・・あはぅ」
 許容度を超える快楽を与えられ、人生初めての潮吹きを経験した命は、伊柄の胸の中で失神した。快感の余韻に身を震わせる姿を視姦されながら、命はその身を投げ入れられた大金で飾っていた。


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