【特別試合 其の三十五 咲本優羽奈:空手】  紹介者:隅っこ観戦者様

 犠牲者の名は「咲本(さきもと)優羽奈(ゆうな)」。20歳。身長161cm。B87(Eカップ)・W60・H83。肩までかかるストレートの黒髪。黒目がちの優しい目元。整えられた眉はキリッとして印象的だが女性らしさも損なっていない。
 控えめな印象だが、芯が強く、困難にも逃げださない努力家の大学生。正義感が強く、卑怯な手段、悪事は見逃せない性格。そのため、外出先で何度も絡まれた女性や弱者を助けてきた。しかしそのことが、優羽奈を<地下闘艶場>へと招くこととなった。


 花道にガウン姿の優羽奈が姿を現す。優羽奈に向かって観客席から卑猥な野次が投げられ、優羽奈の柳眉が逆立つ。しかし観客に手を出すことはせず、優羽奈はリングへと上がった。男たちの欲望渦巻くリングへと。

「赤コーナー、『ヘタレキング』、早矢仕杜丸!」
 早矢仕(はやし)杜丸(とまる)には盛大なブーイングが送られた。「ヘタレキング」のキャッチコピーそのままに、実力はまるでなく、勝ち星も挙げたことがないほどの選手だから当り前かもしれない。しかし当の本人はそれにも慣れた様子で、観客席に手を振ってみせる。
「青コーナー、『熱血空手家』、咲本優羽奈!」
 名前がコールされた優羽奈だったが、何故かガウンを脱ぐのを躊躇う。しかし覚悟を決め、一気にガウンを脱ぎ去った。
 その下から現れたのは、濃いブルー基調の花柄三角ビキニだった。胸の大きさに対してやや面積がやや小さめで、ボトムは横を紐で結ぶタイプだった。
 この色っぽい恰好に、観客席からは卑猥な野次と指笛が飛んでくる。優羽奈はオープンフィンガーグローブを打ち合わせ、気を逸らそうと努めた。それがバストを揺らし、欲望の視線を更に煽っていることにも気づかずに。

 優羽奈が<地下闘艶場>に上がったのは、正義のための行動に仕掛けられた卑劣な罠だった。
 ある日、男たちに絡まれている女性を力づくで助け出した優羽奈だったが、後日優羽奈が通う道場にそのときの写真が送りつけられていた。写真だけ見れば、まるで優羽奈のほうが加害者のようだ。写真には手紙も同封されており、この写真を新聞社にも送りつける、というものだった。
 しかし、とある場所で闘えば写真は破棄し、新聞社にも送付はしない、とも書かれていた。師範の制止を振り切り、優羽奈は<地下闘艶場>への参戦を決めた。

(でも、こんな格好で闘わされるだなんて・・・しかも、対戦相手は男性か・・・)
 後悔する優羽奈の前に、早矢仕のボディチェックを終えたレフェリーが立つ。
「さ、それじゃ咲本選手もボディチェックを受けて貰おうか」
「お断りします」
 下品な笑みを浮かべたレフェリーを見て、優羽奈はボディチェックを拒否していた。
「なんだと、ボディチェックを受けないというのか?」
「当り前でしょう? こ、こんな厭らしい恰好をさせておいて、尚且つ触ろうだなんて。受け入れるわけにはいきません!」
「貴様・・・」
 言葉を続けようとしたレフェリーだったが、優羽奈の視線の険しさに続きを飲み込む。
「・・・後悔するなよ」
 捻りもない脅迫を吐き、ゴングを要請する。

<カーン!>

「よーし、まずはおっぱいターッ・・・」
 両手を胸の前に上げて突っ込もうとした早矢仕のどてっ腹に、優羽奈の前蹴りが突き刺さった。膝から崩れそうになった早矢仕のこめかみを、左前回し蹴りが打ち抜く。

<カンカンカン!>

 レフェリーの判断も待たずに試合終了のゴングが鳴らされる。
「まったく、このヘタレは・・・」
 歯噛みしたレフェリーだったが、リングを降りようとした優羽奈を呼び止める。
「ボディチェックを受けなかったんだ、罰として追加試合を受けて貰うぞ」
「なっ!?」
「当り前だろう、受けなきゃいけないものを受けなかったんだから。それとも、写真はいらないのか?」
 そう言われては帰るにはいかない。強張った表情のまま、優羽奈はリングへと戻った。

 暫く時間が経過し、花道に男性選手が姿を現す。そのマスクを被った選手に、観客席から野次交じりの応援が投げられる。男は手を突き上げながらそれに応える。男の腕は、人間離れした長さで天井へと向かって伸びていた。

「赤コーナー、『地に潜む蜘蛛』、マスク・ド・タランチュラ!」
 新たな対戦相手は、<地下闘艶場>では知らぬ者のないマスク・ド・タランチュラだった。蜘蛛の描かれたマスクを被り、自分の膝に優に届くほど長い両腕だ。
「青コーナー、『熱血空手家』、咲本優羽奈!」
 硬い表情のまま、優羽奈はマスク・ド・タランチュラを睨みつける。そこにレフェリーが近づく。
「ボディチェックを受けるんだ、咲本選手。ボディチェックは出場選手の義務だぞ」
「さっきも断ったでしょう? 絶対に受けません!」
「そうか、なら・・・」
 レフェリーの合図に、いつの間にか優羽奈の背後に回っていたマスク・ド・タランチュラが優羽奈を捕まえようとする。
「っ!」
 事前に危機を察知した優羽奈が背後に肘打ちを出し、さっと距離を取る。
「貴様、試合開始前に選手に攻撃するな!」
「先に手を出そうとしたのはそっちでしょう!? どれだけ卑怯なんですか!」
「ああ言えばこう言いやがって、もういい、ゴング!」

<カーン!>

 済し崩し的に試合が始まった。
「反応がいいなぁ優羽奈ちゃん。こいつは楽しめそうだ」
 舌舐めずりしたマスク・ド・タランチュラが距離を詰め、優羽奈の間合いに入る。その瞬間、凄まじい連撃が襲い掛かった。
「ぬおっ!?」
 ガードするマスク・ド・タランチュラだったが、優羽奈はお構いなしにガードの上から突きや蹴りを叩きつけていく。
「いてて! ったく早矢仕の野郎、早過ぎだ! ウォーミングアップもできなかったじゃねぇか!」
 動きの鈍さを早矢仕のせいにするマスク・ド・タランチュラの目が、一点に吸い寄せられる。優羽奈の連打が放たれるたび、水着に包まれただけのEカップバストが派手に揺れているためだ。
「おっほぉ、揺れてる揺れてる・・・ぬごっ!?」
 思わずバストの揺れに目を奪われた瞬間、どてっ腹に前蹴りがめり込んでいた。
「こなくそっ!」
 痛みを堪えて放った裏拳は空を切り、左脇腹に右回し蹴りが叩き込まれる。
「ぐぅっ・・・」
 幾らプロレスラーと言えど、内臓に響く一撃を連続で貰うと片膝をついてしまう。
「とどめ、行きま・・・す・・・・?」
 前に出ようとした優羽奈だったが、胸の圧力がなくなったことに気づいた。
「えっ?」
 なんと、首と背中の紐が同時に解かれていた。
「きゃっ!」
 可愛い悲鳴を上げ、優羽奈が慌ててブラを押さえる。
「おっ、チャ〜ンス!」
 マスク・ド・タランチュラが立ち上がり、優羽奈目掛けて突進する。そのこめかみに、容赦ない膝蹴りが死角から叩き込まれた。マスク・ド・タランチュラがそのままリングに崩れ落ち、ぴくりとも動かなくなる。

<カンカンカン!>

 危険な倒れ方に、ゴングが乱打される。震える指でブラの紐を結び直した優羽奈が、鋭い視線をレフェリーに送る。
「な、なんだよ」
 その気迫に、レフェリーは一歩退いていた。
「試合途中に紐を解くなんて・・・貴方は・・・一体、何を考えているんですか!」
 優羽奈の怒りを乗せた拳が、凄まじい速度でレフェリーに襲い掛かる。激突する寸前、横合いから優羽奈の手首が掴まれていた。
「っ!?」
 まるで気配もなかった。慌てて振り払った拳を元に戻し、相手を見据える。
 優羽奈の前に立って居たのは、顔を黒と白に塗り分け、ディーラーのような白のワイシャツと黒のベストとスラックスを身に着けた男だった。ただ立っているだけなのに、優羽奈の背筋を冷たいものが這った。
「レ、レフェリーに手を出そうとしたんだ、もう一試合追加だ!」
 その男の背後に隠れ、レフェリーが叫ぶ。
(・・・卑怯な)
 それでも、優羽奈には追加試合を受け入れるしか方法はなかった。

「赤コーナー、『マジシャンズ・ブラック』、ジョーカー!」
 ジョーカーとコールされた男は、白手袋を嵌めた両手で構えも取らずに佇んでいる。
「青コーナー、『熱血空手家』、咲本優羽奈!」
 優羽奈は無意識の内に息吹で呼吸を整えていた。目の前の男が醸し出す空気。それが、優羽奈の防衛本能に凄まじい警鐘を鳴らす。
「ボディチェックを受けるか?」
「受けません!」
 レフェリーの問いに反射的に答え、構えを取る。レフェリーもそれ以上は訊かず、ゴングを要請する。

<カーン!>

(・・・どうやって攻撃しよう)
 ジョーカーにはまるで隙がない。優羽奈はジョーカーの周囲に円を描くように動きながらも、間合いを詰めることができなかった。
「えっ!?」
 気づいたときにはジョーカーが目の前に居た。いつ距離を詰められたのか、まるでわからない。動揺のままに横殴りの手刀を振るう。当然のようにジョーカーには届かず、逆に白手袋を嵌めたジョーカーの手刀が下から上へと一閃する。
「っ!?」
 次の瞬間、ブラのカップを繋ぐ紐が断ち切られていた。胸の前を隠し、一旦距離を取る。
(うそ!)
 否、距離を取った筈なのに、ジョーカーがぴったりとついてきていた。
「くっ!」
 苦し紛れの膝蹴りは空を切り、ボトムの左脇紐が切られた。
「ああっ!」
 落ちかけた水着のボトムを慌てて押さえる。
(ど、どうしよう・・・)
 ブラも押さえたままボトムも押さえようとすれば、下手な身動きができない。優羽奈は両手で水着を押さえ、ただ立ち尽くすしかできなかった。
 その背後に人影が立った。
「どうしたんだい優羽奈ちゃん、棒立ちになって」
 そのままバストを揉んでくる。
「あっ!?」
 意識を取り戻したマスク・ド・タランチュラだった。優羽奈が動けないと見て、セクハラのチャンスと見たのだ。
「ずるいっすよタラさん、俺も俺も!」
「だからタラさんと呼ぶな!」
 目を覚ました早矢仕もセクハラに加わり、太ももを撫で回してくる。
「な、何をしてるの!」
 水着を押さえたまま、背後の男たちを蹴ろうとする。しかしそんな体勢で体重の乗った蹴りなど出せず、精々踵を当てるくらいだ。
「あたた、痛いよ優羽奈ちゃん!」
 それでも早矢仕が怯んだときだった。
「んうっ!」
 突然優羽奈が鼻に掛かった声を上げる。水着越しとはいえ、マスク・ド・タランチュラが正確に乳首への一撃を与えてきたのだ。
「なんだ、随分反応がいいな」
「優羽奈ちゃん、感じやすかったりするんですかね?」
 元気を取り戻した早矢仕も再び太ももを撫で、ヒップにまで手を伸ばす。
「こらぁ、変なとこに・・・んんっ、触るなぁ」
「そう言う割には声が弱いぜ」
「そうそう、こんなとこに触ったら・・・」
「ひあっ!」
「甘い声が出ちゃうよね?」
 マスク・ド・タランチュラと早矢仕がセクハラをしているところに、レフェリーまでもが近づく。
「やっとボディチェックができるな、咲本選手」
「なっ!」
 レフェリーが左バストを揉み、マスク・ド・タランチュラが右バストと乳首を責め、早矢仕が秘部を弄る。何故かジョーカーは男たちのセクハラには加わらず、じっと立ち尽くしている。
(こいつら、人の身体を好き勝手に!)
「い、いいかげんに・・・!」
「いいのかい? 手を放しちゃって」
「!」
 慌てて落ちかけた水着のボトムを押さえ直す。
 恥ずかしい場所を見られまいとすれば、男たちの責めを耐えるしかない。男たちの責めをやめさせようとすれば、肌を露わにするしかない。二律背反に追い込まれた優羽奈を、男たちは好き勝手に弄り回す。
 いきなり、リングに柏手が響いた。男たち、そして優羽奈も動きを止めてしまう。
 柏手を打ったのはジョーカーだった。自分の以外の男たちに向かい、蠅でも払うように手を振る。慌ててレフェリー、マスク・ド・タランチュラ、早矢仕が逃げた瞬間、またもジョーカーの手刀が閃く。水着の残骸がリングに落ち、優羽奈は全裸とされてしまった。
「・・・きゃあああああっ!」
 今度はリングに優羽奈の悲鳴が響く。オープンフィンガーグローブで胸元と股間を隠し、座り込んでしまう。そんな優羽奈を尻目に、ジョーカーは無言でリングを後にした。
「大丈夫かい優羽奈ちゃん?」
「すっぽんぽんになって可哀想だよね。俺たちが隠してあげるよ!」
「遠慮しなくていいからな、咲本選手」
 男たちが口々に勝手なことを言いながら、優羽奈を取り囲む。
(不味いわ、このままじゃ・・・)
 全裸のまま立ち上がるが、素肌を晒す決意はつかず、胸元と股間は隠したままだ。
「ほら、捕まえた」
「あっ!」
 胸元を隠していた左腕を掴まれ、引き剥がされる。
「やだ、やめて!」
 左腕を戻そうとしても、パワーではまるで敵わなかった。それだけでは終わらず、左乳房を揉まれてしまう。
「水着越しも良かったけど、生のおっぱいはやっぱり格別だなぁ」
「だから! 触らないで!」
 覚悟を決め、右手で拳を作る。マスク・ド・タランチュラのどてっ腹へと叩き込んでやろうと思った瞬間だった。
「じゃあ、俺はこっちを!」
「ひあっ!?」
 右乳房を早矢仕に掴まれ、思わず力が緩む。
「おい早矢仕、右腕を持て」
「アイアイサー!」
 レフェリーの指示に従い、早矢仕が優羽奈の右手首を持つ。右乳房は掴んだままだ。
(しまった・・・!)
 早矢仕の手を振り払おうとするが、両乳房を揉まれることで力が抜けてしまう。
(せ、せめて大事なところは!)
 内股で秘部を守ろうとするところに、レフェリーが眼前に立った。
「何か隠そうとしているな。レフェリーとして見逃せないなぁ」
 いきなり秘部を触られた。
「んっ!」
 太ももに力を入れ、レフェリーの手を拒む。
「無駄な足掻きを・・・おい二人とも、今から咲本選手にボディチェック・・・いや、レフェリーに攻撃しようとした罰を与えるから、脚も押さえていてくれ」
「ちっ、おっぱいを楽しんでるのによ」
「しょうがないっすね、ちょっとだけですよ?」
 マスク・ド・タランチュラと早矢仕は文句を言いながらも、優羽奈の手首と太ももを押さえ、脚を開いていく。
「あっ、そんな!」
「まず最初はおっぱいだな」
 両手を伸ばしたレフェリーが、優羽奈の乳房を鷲掴みにし、揉み回す。
「負けを認めるなら今のうちだぞ?」
 優羽奈の乳房を揉みながら、レフェリーがにやつく。
「まだ負けてない!」
 反射的に答えていた。
「そうか。なら、レフェリーへ攻撃しようとした罰を続けようか」
 そう宣言したレフェリーは、左手で乳房を揉みながら右手をゆっくりと下していく。そのまま叢を掻き分け、秘裂を撫でる。
「んっ・・・」
「どうした、声が出るのか?」
 秘裂に振動を送り込みながら、レフェリーが下卑た笑みを浮かべる。
「だ、誰が・・・あうんっ!」
「随分反応がいいじゃないか。咲本選手は感じやすいみたいだな」
 乳首を捏ねながら、レフェリーが笑う。
(嘘よ・・・こんなこと、嘘よ・・・ふぁぁぁん!)
 信じられないことに、優羽奈はレフェリーの責めに快感を覚えていた。優羽奈自身は気づいていなかったが、優羽奈は敏感な身体に生まれついていた。それを本能的に察知していたからこそ、優羽奈はセクハラを憎み、セクハラを行う男を目の敵にしてきたのだ。
 しかし今、淫闘のリングで全裸に剥かれ、男たちに捕らわれ、嬲られている。
「ほれ、こんなのはどうだ?」
「あっ、くぅぅ・・・んっ!」
 左乳首と淫核へと同時に振動を送り込まれ、上げかけた嬌声を危うく飲み込む。
(こいつらの前で、恥ずかしい恰好は晒してやらない!)
 その意地だけで唇を噛み締める。だが、敏感な身体はレフェリーの責めをまともに受け止めてしまった。勝手に腰が跳ね、頭の中が真っ白になる。
「んっ・・・んんんんんっ・・・っ、っ!」
 達してしまったというのに、唇を噤んだ優羽奈は嬌声を噛み殺した。しかし、力が抜けた身体は前のめりに倒れていく。
「おっと」
 レフェリーが優羽奈の身体を支える。否、両手で乳房を持ち、揉み込んでくる。
「ああっ、いやぁ・・・」
 絶頂に達した直後の敏感な乳首がレフェリーの掌で潰され、快感を生んでしまう。
「もうおっぱいだけで気持ち良くなれるじゃないか。我慢しなくていいんだぞ?」
「だ、誰が我慢なんか・・・あぅん!」
 否定しようとした直後、鼻に掛かった声を洩らしてしまう。
「そうそう、我慢はしなくていいからな。そのほうがお客さんも喜んでくれる」
 両方の乳房を揉みしだきながら、レフェリーがにやつく。
「おいレフェリー、もう交代だ」
 今まで黙っていたマスク・ド・タランチュラが苛立ちの声を出す。
「そう言うな、もうちょっと・・・」
「駄目だって、交代しな」
「そうっすよ、交代交代!」
 早矢仕にもうるさく言われ、舌打ちしたレフェリーは最後とばかりに優羽奈の両乳首を弾く。
「あはうっ!」
 それだけでも優羽奈には堪らなかった。マスク・ド・タランチュラと早矢仕が手を放したことで、リングに四つん這いになってしまう。
「さぁて、始めるぜぇ」
 そう呟いたマスク・ド・タランチュラが、優羽奈の両足首を掴む。
「な、なにを・・・まさか・・・!」
「いや、多分正解だぜ。優羽奈ちゃんの大股開き、お客さんに見て貰おうと思ってな」
「やめて、やめなさいそんなこと!」
 首を振って拒んでも、マスク・ド・タランチュラはにやにやと笑うだけだ。
「ギブアップするならやめてもいいけどな。負けを認めるかい?」
「だ、誰が貴方たちみたいな卑怯者に!」
「ああそう? なら・・・優羽奈ちゃんの大股開き、大公開だ!」
 そう宣誓したマスク・ド・タランチュラが、優羽奈の足首を掴んだまま一気に持ち上げる。
「いやぁぁぁぁあああっ!」
 隠そうとした両手は、レフェリーと早矢仕に掴まれてしまう。大股開きで逆さ吊りにされた優羽奈の身体は、逆大の字を形作っていた。
「おっほぉ、こいつは絶景絶景」
 優羽奈の足首を掴んで広げているマスク・ド・タランチュラのすぐ眼前に、優羽奈の秘部が晒されている。
「いやっ、見ないで、そんなところ!」
 身を捩る優羽奈の言葉など耳に入らず、マスク・ド・タランチュラは優羽奈の秘部に見入っていた。
「へへっ」
 舌舐めずりしたマスク・ド・タランチュラは、目の前の秘部に吸いついた。
「いやぁぁぁっ! な、なにをして・・・やめてぇぇっ!」
 秘部を舐められるだけではなかった。レフェリーと早矢仕は優羽奈の手首を掴んだまま、逆の手で乳房を揉み始めたのだ。秘部と両乳房を同時に責められ、望まぬ快感が生じてしまう。
「くっ、ううっ・・・!」
(駄目・・・このままじゃ、また・・・っ!)
 絶頂への予感が優羽奈を慄かせる。しかし、予感は現実へと変わった。
「あっ・・・あああぁぁぁあぁあああっ!」
 本能的に思い切り声を放ち、少しでも快感を逃そうとする。しかし一旦散った快感も、男たちの責めですぐに集まり、新たに生まれる。
「もうそろそろギブアップしたらどうだ?」
 レフェリーが優羽奈の顔を覗き込み、乳房を揉みながら敗北を認めさせようとする。
「負けない! あああっ! 私は、貴方たちみたいな卑怯者に・・・んんっ、絶対、負けない!」
 それでも優羽奈は必死に首を振る。
「しぶといなぁ、優羽奈ちゃんは。それじゃ早矢仕、例の技行くぞ」
「アイアイサー!」
 優羽奈の手を放した早矢仕は、どいたレフェリーの代わりに両乳房を鷲掴みにする。
(い、今なら、反撃を・・・)
「ひやぁぁっ!」
 拳を握ろうとした瞬間、乳首を弾かれた。そのまま乳房も揉み込まれる。しかも再びマスク・ド・タランチュラの舌が秘部を舐め回す。
「駄目、ダメ、だめぇ・・・っ!」
 両乳房、両乳首、秘部への責めが優羽奈を喘がせる。そのとき、マスク・ド・タランチュラの舌が淫核に強烈な振動を送り込んできた。
「ひぁあああぁあぁああああぁぁっ!」
 またも絶頂に達し、腰を仰け反らせる。しかし男たちは責めを止めず、更に絶頂を味わわされる。
「・・・良し。それじゃ、行くぜ早矢仕!」
「アイアイサー!」
 マスク・ド・タランチュラは優羽奈の足首を掴んだまま、パワーボムの体勢に入る。早矢仕は優羽奈の両乳房を掴んだまま加速をつける。絶頂で力が入らない優羽奈は、まともにリングへと叩きつけられた。
「はっ・・・がはっ・・・」
 衝撃を全て背中で受け止めさせられ、吐き出してしまった空気をなんとか吸い込む。そこに、男たちが圧し掛かってくる。
(反撃を、しなきゃ・・・!)
 まだ闘志は失っていない。しかし、望まぬ快感の疲労と投げの衝撃が身体を縛る。満足に動けない優羽奈は男たちに抑え込まれ、乳房、乳首、太もも、ヒップ、秘部、淫核を責められる。
「くぁぁぁん!」
 ただでさえ敏感な身体なのに、更に敏感な部分を同時に責められ、自然と身を捩っていた。
「咲本選手、本当は気持ちいいんだろう? 隠さなくてもいいんだぞ?」
「そんな、わけ・・・ないぃ・・・ああん!」
 否定しようとしても、喘ぎ声で認めてしまう。
「なんだ、違うのか? なら、ギブアップしてもいいんだぞ」
「・・・貴方たち、なんかに・・・負け、ない!」
 それでも。優羽奈はギブアップを拒んだ。こんな卑怯な男共に負けられない。その一心での拒絶だった。
「そうか。それじゃあ咲本選手は、すっぽんぽんで責められ続けたい、ってことだな」
「だ、誰がそんな・・・あああっ!」
「ほれ、こんだけ喜んでくれるじゃないか」
 しかし、そんな決心も快感にあっさり封じられる。レフェリーには右乳房と右乳首、早矢仕には左乳房と左乳首、マスク・ド・タランチュラには秘部、淫核、秘裂を嬲られ、声が勝手に出てしまう。
「咲本選手、素直になってもいいんだぞ?」
「優羽奈ちゃんのおっぱい、感触サイコー!」
「ほら、ここはどうだい?」
「あっ、んあっ、ひあぁああああああっ!」
 快感が次なる快感に塗り潰され、更に感度を高めていく。何度も絶頂に達し、視界が白く霞んでいく。
「咲本選手、ギブアップか?」
 乳首を転がしながらのレフェリーの確認に、なんとか首を振る。もう言葉も発せず、喘ぐばかりだ。
(私は・・・負け、ない・・・)
 心の中での呟きは、表に出ることなく消えた。がくりと首を折った優羽奈の姿に、ゴングが打ち鳴らされた。

<カンカンカン!>

 男たちの淫らな責めを耐えに耐えていた優羽奈だったが、遂に失神KOを喫した。オープンフィンガーグローブだけで身を飾ったその肢体に、観客席からは粘ついた視線が飛ばされていた。
「あらら、優羽奈ちゃん気絶しちゃいましたよ」
「そうなんだよなぁ。でも、あんなに喜んでくれてただろ?」
「そうだな、ここで終わるのも咲本選手に悪いな」
 お互い頷きあった三人は、全裸の優羽奈に再び圧し掛かった。優羽奈の乳房を、乳首を、秘部を、ヒップを、太ももを、好きなように触り、揉み、撫で回していく。
「おい、お前の得意技を掛けてやったらどうだ? お客さんも喜ぶぞ」
「それだと俺があまり楽しめなくなるんだが・・・まあいいか、お客さんのためだ。いつものやつ、いくぜ!」
 マスク・ド・タランチュラのアピールに観客が大歓声で応える。今からマスク・ド・タランチュラがどんな技を出すのか、優羽奈がどんな格好を取らされるのか、充分にわかっているからだ。
「それじゃ優羽奈ちゃん、覚悟しろよ」
 気絶したままの優羽奈に声を掛け、マスク・ド・タランチュラは優羽奈を自分に寄り掛からせるようにする。優羽奈の両腕を上に上げさせると長い左腕一本で纏めて抱え込む。今度は両脚を優羽奈の太ももに絡め、大きく開脚させる。マスク・ド・タランチュラのフェイバリットホールドの一つである変形グランドコブラツイスト・<タランチュラ・ホールド>が完成していた。
 未だ目を瞑ったままの全裸の優羽奈は、両腕を上げ、大股を開いた卑猥な格好で隠すもののない秘部を晒している。
「・・・いやー、タラさんのエロ技、見てるだけでもエロいっすよ!」
「だからタラさんって呼ぶなって言ってんだろうが! 学習しない奴だな!」
 早速優羽奈の乳房を揉みながら、マスク・ド・タランチュラが早矢仕を怒る。
「いいじゃないっすか、親しみの表現ってやつですよ」
「言い合いはそれくらいにして、咲本選手で遊ぶ・・・じゃない、咲本選手を楽しませてやろうじゃないか」
 優羽奈の股間の前に座り込んだレフェリーは、秘部を弄り始める。
「あっ、今度は俺が優羽奈ちゃんのあそこ弄りたかったのに!」
「早い者勝ちだ」
「仕方ない、それじゃこっちのおっぱいを、と」
 男たちは大股開きで縛められた優羽奈の肢体を、欲望のままに嬲っていく。その刺激に反応してか、優羽奈が身動きを始める。
「んっ・・・んんっ・・・」
 呻き声を上げた優羽奈が、瞼をひっそりと開ける。
「あ、優羽奈ちゃんおはよ〜」
「・・・?」
 早矢仕の間抜けな挨拶が腑に落ちなかった様子だったが、やがて、自分の状況と取らされた格好に気づく。
「な、な、なんて恰好を・・・!」
 両腕は動かせず、大きく脚を開かれている。しかも水着は既になく、乳房も秘部も男たちの目に晒され、弄られている。
「おかげで、咲本選手の大事なところがよーく見えるぞ」
 優羽奈の秘裂をなぞりながら、レフェリーが厭らしく笑う。
「み、見ないで! 触らないで!」
 どうにかレフェリーの手から逃れようと身を捩っても、マスク・ド・タランチュラの<タランチュラ・ホールド>からは逃れられず、乳房が揺れるだけだ。
「見るな触るなと言う割には、おっぱい揺らして挑発してくるじゃないか」
「そうか、優羽奈ちゃんはもっとおっぱい揉まれたいのか」
「こんなこともしちゃおっかな!」
 マスク・ド・タランチュラは右乳房を揉みくちゃにし、早矢仕は左乳首を摘んで振動を送り込む。
「あひっ、ひぃあっ!」
「そら、ここもいいんだろ?」
「あっ、あっ、あうああああ〜〜〜っ!」
 胸への責めに加え、レフェリーが秘裂を弄ってくる。敏感な箇所への同時攻撃に、優羽奈は容易く絶頂した。
「気持ちいいことに負けて、試合にも負けて、負けっぱなしだなぁ優羽奈ちゃん」
 マスク・ド・タランチュラがいまだに右乳房を揉みながら、優羽奈を笑う。
「わ、私は・・・負けて、ない・・・んんっ!」
 それでも、優羽奈は負けを認めなかった。敗北を拒んだ。
「咲本選手は負けたんだよ。だから、こうやって俺たちに遊ばれてるんじゃないか」
「わ、私は・・・んんっ、負けを認めてない! ふあぁっ!」
「優羽奈ちゃん気絶してたもんね。なら、ギブアップって言わせて見せるよ!」
 言うが早いか、早矢仕は優羽奈の左乳首に吸いついた。
「あふぅっ!」
 男の舌が、敏感な乳首を転がしてくる。
「そら、こっちの乳首は振動責めだ!」
「ひああっ!」
 男の指が、硬く尖った乳首に振動を送り込んでくる。
「こっちが一番いいだろ? ええ?」
「うああぁあぁぁっ!」
 男の親指と人差し指が、淫核と秘裂を同時に責めてくる。またも無理やり快感を高められ、絶叫する。
「どうだ? 改めてギブアップするか? ん?」
 優羽奈の秘裂を弄りながら、レフェリーが敗北を迫る。
「貴方たちになんか・・・負けないぃっ!」
 それでも優羽奈は必死に息を整え、男たちを睨みつける。
「負けない負けないって言いながら、こうしてセクハラされてるじゃない」
「やっぱり、咲本選手はこういう風にされるのが好きなんだろう? 素直にしてくれって言えないから、そうやって反発する振りをして誘ってるんだろ」
「誰、が・・・はぁ、んっ・・・そんな、こと、を・・・っ!」
 男たちへと向けた怒りも、セクハラ責めで霧散させられてしまう。
(悔しい・・・っ、こんな卑怯な奴らに、好き勝手されて・・・!)
 意志とは裏腹に、身体は容易く快楽に溶け、絶頂へと昇ってしまう。それでも首を振り、必死に堕落を拒む。
「乳首も立ち上がって、あそこもびちゃびちゃ、お豆も顔を出してる。もう限界だろう? いい加減に諦めたらどうだ? ええ?」
 レフェリーが偽りの優しさと共に、秘裂と淫核を同時にいたぶる。
「あっ、はぁぁっ・・・誰が、そんなこと・・・んんっ、認めるものですかっ!」
 既に限界を超えているだろうに、優羽奈はレフェリーを睨みつけた。
「まだ諦めないのか。仕方ない、咲本選手の身体にしっかりと教え込んでやるとするか!」
 レフェリーの合図に、マスク・ド・タランチュラと早矢仕も責めを激しくする。
「あっ、やっ、はっ・・・やはあぅぅぅぅぅぅぅっ!」
 両乳首、両乳房、淫核、秘部。六点への同時攻撃に、優羽奈は一気に快感の果てへと飛ばされた。
(ま、また・・・ぁっ!)
 再び優羽奈が震え、絶頂へと落ち込む。同時に優羽奈の意識も途切れた。
「ありゃりゃ、優羽奈ちゃん、また気絶しちゃいましたよ」
「そっか、感じやすい子だなぁホントに。それじゃ、そろそろ別の責め方で楽しませてやろうぜ」
 マスク・ド・タランチュラが<タランチュラ・ホールド>を解き、優羽奈をリングに寝かせる。
「そうだな。これだけ悦んでくれるんだ、咲本選手も本望だろう」
 再び男たちが優羽奈に圧し掛かる。Eカップの乳房を、痛いくらいに立ち上がった乳首を、引き締まり張りのある尻を、顔を出した淫核を、愛液に塗れた秘部を、好き勝手に弄り回す。
 淫虐は、まだまだこれからだった。


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