【特別試合 其の六十一 藍園穂波:ボクシング】  紹介者:桜花様


 犠牲者の名は「藍園(あいぞの)穂波(ほなみ)」。22歳。身長163cm、B93(Gカップ)・W60・H89。

 ウェーブのかかった茶髪をロングヘアーにし、年齢に似合わぬあどけなさを残した可愛らしい顔が特徴。

 元はグラビアアイドルだったが、ロケ先で出会った男性と結婚し、現在は引退して幸せな新婚生活を送っている若奥様。グラビア時代から趣味で続けていたボクシングの腕前は中々のもので、今でも時折ジムに通って汗を流している。

 しかし、その結婚を快く思わないファンが<地下闘艶場>に穂波を推薦してしまう。裏の事情を知らない穂波はファイトマネーを得れば旦那の助けになると思い、夫に内緒で出場を決意する。そこで待っているのが、淫らな視線だとは知りもせずに。


▼△▼△▼△▼△▼△▼


<地下闘艶場>の花道に、ガウンを羽織った穂波が姿を現す。ガウンから覗く両手にはオープンフィンガーグローブが着けられ、左手の薬指には永遠の愛の証が光っている。それに気づいた観客の中には、剣呑な視線を投げる者も居た。しかし、圧倒的なのは卑猥な野次や指笛だ。穂波は顔を顰め、耳に人差し指を入れてその雑音を遮ったまま入場を続けた。


 リング近辺に来たとき、穂波はようやく気づく。

「えっ、男の人?」

 リングで待っていたのは、なんと男性選手だった。思わず動きを止めていた穂波だったが、リング下の黒服に促され、渋々リングへと上がる。

 元人気グラビアアイドルに向け、一層野次が激しさを増した。


「赤コーナー、マンハッタンブラザーズ1号2号!」

 リングで穂波を待っていたのはマンハッタンブラザーズ1号2号だった。二人の覆面選手は身に着けたマスクも、体格も、衣装も全てお揃いで、どちらが1号でどちらが2号なのかわからない。

「青コーナー、『戦え!若奥様!』、藍園穂波!」

 コールされた穂波がガウンを脱ぐ。その下から現れたのは、地味なTシャツとショートパンツだった。豊かなバストが胸元を押し上げ、その存在感を誇示している。ショートパンツからは現役時代そのままの脚線美が伸びている。その魅力的な肢体に向け、観客席から無数の視線が飛ばされる。

「おい待て、なんだそれは!」

 しかし、何故かレフェリーが叫ぶ。

「何故衣装を着てないんだ、用意された衣装の着用は選手の義務だぞ!」

「あんな恥ずかしいもの、着れないもん」

 穂波は<地下闘艶場>側が用意した衣装を身に着けず、私服で入場してきていたのだ。

「しかもなんだ、凶器までつけてるじゃないか!」

「えっ、凶器? そんなのないよ?」

 レフェリーの指摘に、穂波は小首を傾げる。

「指輪は凶器だぞ、没収する」

 レフェリーは左手薬指に光る結婚指輪を指差し、凶器だと断定する。

「だめだよ! ぜーったい、だめーーーっ!」

 しかし穂波にとって、愛する旦那の送ってくれた結婚指輪を外すなどとんでもないことだ。穂波の強い拒否に、レフェリーはわざとらしく腕を組む。

「そうだな・・・今から衣装に着替えるか? それなら見逃してやろう」

「・・・わかった、それでいいよ」

 だいぶ考えてから頷いた穂波だったが、レフェリーが信じられないことを言う。

「それじゃ、今ここで着替えてもらおうか」

「えーっ、ここで!?」

 当然一度控室に戻ってからだ、と考えていた穂波は驚きに叫ぶ。

「着替えないと言うなら、指輪を没収するだけだ」

「うー・・・わかった、着替える」

 渋々ながら了承した穂波はTシャツに手を掛ける。持ち上げる途中でGカップのバストに引っ掛かってしまったが、無理やり引っ張り上げることで胸が揺れ、なんとか通過する。最後に首から抜き、リングに落とす。上半身がピンクのブラのみとなった元グラビアアイドルのバストに、観客の視線が集中する。現役時代と変わらないボリュームは見事だった。

「あ、もー、みんな見すぎだよ!」

「いいから、さっさと脱げ。試合が始められないだろ」

 思わず胸元を隠す穂波だったが、レフェリーに促され、ショートパンツのボタンを外し、ファスナーも下ろす。尻の膨らみに引っ掛かっていたショートパンツも、穂波がずらすことでリングへと落ちた。それにより、ブラとお揃いのピンクのパンティも露わとなる。

 下着姿となった穂波に、更に視線の圧力が増す。ボクシングジム通いの成果か、脇腹から腹部、ヒップに続く曲線も滑らかだ。

「ブラまで外さなきゃ駄目だぞ、藍園選手」

「・・・わかってるもん」

 背中に手を回した穂波は、ブラのホックを外す。そのまま肩紐を腕から抜き、手で隠しながらブラを落とす。元グラビアアイドルの手ブラに、観客の視線が胸元に集中する。

「・・・外したよ」

「それじゃ、こっちにもらおうか」

「えーっ、拾えばいいじゃない」

「レフェリーに命令するのか? 指輪を没収するぞ」

 そう言われては拒むことができず、片手で乳房を隠したままTシャツ、ショートパンツ、ブラを拾う。

「・・・はい」

 穂波が差し出した衣服を掴んだレフェリーは、なんと観客席に放り投げた。

「あっ、なにしてるの!」

 思わず衣服を掴もうと両手を伸ばすが、穂波の先程まで身に着けていた衣服は観客席に落ち、観客たちの手によって争奪戦が起こる。

「いい眺めだな、藍園選手」

「? なに言って・・・あっ!」

 自分が乳房を丸出しにしていたことに気づき、穂波は慌てて両手で隠す。

「それじゃ、藍園選手が控室に残してきた衣装が届くまで、その格好で待っててもらおうか」

「えっ、ここにあるんじゃないの?」

「あるわけないだろ。衣装が来るまでおとなしく待ってろ」

「うー・・・早くしてよ」

 穂波はジト目でレフェリーを睨む。しかし、レフェリーは更に穂波を辱める指示を出す。

「逃げられたら困るからな、マンハッタンブラザーズ1号2号、よーく見張ってろよ」

 レフェリーの指示に、マンハッタンブラザーズの二人は穂波ににじり寄る。

「な、なに・・・?」

 手ブラをしたままの穂波は、危険を感じて後じさる。しかし、すぐにコーナーに追い詰められてしまう。

 マンハッタンブラザーズ1号と2号は、半裸の穂波をじっくりと見つめる。しかもそれだけでは終わらず、徐に手を伸ばしてくる。

「触んないでっ!」

 穂波は右手でマンハッタンブラザーズの手を振り払うが、そこにレフェリーの声が飛ぶ。

「見張りに手を出したら、その時点で失格だ。ファイトマネーは無し、その格好のまま帰ってもらうからな」

「そんなのずるい!」

「最初から衣装を着てれば、そこまではしなかったんだよ」

 レフェリーは穂波に取り合わず、にやにやと笑うだけだ。穂波がレフェリーを睨むその隙に、マンハッタンブラザーズが更に距離を詰めていた。

「もう一度言うぞ、見張りのマンハッタンブラザーズに手を出したら、その時点で失格だ。いいな?」

「うー・・・」

 唸ってもどうにもならず、下着一枚の穂波は胸を隠すしかできない。

(んもー、さっさと衣装持ってきて・・・えっ!)

 穂波が花道へと視線を投げた隙に、マンハッタンブラザーズのどちらかが乳房をつついたのだ。

「あっ、ちょっと、おっぱい触らないでよ」

 思わず手を払おうとして、寸前で止める。

(まずい、失格になっちゃう!)

 穂波が阻止できないのをいいことに、マンハッタンブラザーズの二人は乳房だけでなく、太ももやヒップまで触ってくる。

「レフェリー! この人たち、触ってくるよ!」

「藍園選手が動くからだろう? 逃げられたら困るからな」

 穂波の当然の抗議にも、レフェリーはまるで取り合わない。

「穂波、逃げたりしないもん!」

「口ではなんとでも言えるんだよ」

「ほんとだもん! だって・・・えっ!」

 更に言い募ろうとした穂波だったが、突然驚きの声を上げる。

「ちょ、ちょっとぉ!」

 触ってくるだけでなく、マンハッタンブラザーズ1号が穂波の腕をずらし、ちょこんと出た乳首をマンハッタンブラザーズ2号が弄ったのだ。

「レフェリー! この人今、ち、乳首触った!」

「藍園選手が逃げようとしたからだよ」

 穂波の抗議もレフェリーは取り合わず、一人にやついている。

 マンハッタンブラザーズは乳房や乳首を触るだけではなく、腹を、太ももを、尻まで触ってくる。

「あん、もう、へんたーい!」

 穂波の嫌悪の声も、観客へのスパイスにしかならなかった。


 穂波がマンハッタンブラザーズから悪戯を受ける中、レフェリーが声を掛けてくる。

「お、衣装が届いたようだぞ」

 レフェリーの言う通り、黒服の手によってようやく衣装が届けられた。なんと、黒服の手にあるのはエプロンが一枚だけだった。この事実を知った観客が、思わず指笛を鳴らす。

「よし、それじゃレフェリー直々にエプロンを着けてやろう。マンハッタンブラザーズ、手伝ってくれ」

 レフェリーの指示にマンハッタンブラザーズが頷き、穂波の腕を掴んで大きく広げさせ、剥き出しのGカップの乳房を揉み回していく。

「あっ、やだよ、おっぱい揉まないでよ!」

「暴れたらエプロンを着けられないぞ、藍園選手。試合が始められなくてもいいのか?」

「だって・・・あ、やだぁ!」

 マンハッタンブラザーズの二人は乳房を揉むだけではなく、乳首を転がし、弄り回す。

 暫くそれを眺めていたレフェリーだったが、マンハッタンブラザーズが乳房を揉む上からエプロンを着けていく。

「せ、せめておっぱい触るのやめさせてよぉ」

「マンハッタンブラザーズはただ手伝ってくれているだけだぞ? 文句を言うな」

 レフェリーは首の後ろの紐を結び、エプロンが落ちないようにする。

「よし、二人とも一旦ストップだ」

 レフェリーの指示に、マンハッタンブラザーズの二人は素直に乳房から手を放す。勿論穂波の腕は捕まえたままだ。

「それじゃ、腰紐を結ばないとな」

 そう言いながら、レフェリーはエプロンの上から穂波の胸に顔を埋め、豊かな感触を味わう。

「いやぁ!」

 逃れようとしても、レフェリーに抱きつかれ、両腕はマンハッタンブラザーズに掴まれている。

「こいつはいい。エプロン越しでもたっぷりとした重量感が良くわかるぞ」

「そんなのわからなくていいの!」

 不快感から逃れようと身を捩る穂波だったが、逆にレフェリーを喜ばせてしまう。

「おいおい、そんなにおっぱいを擦りつけないでくれよ」

「そんなつもりじゃないもん!」

 どんなつもりであろうと、逃げることができない。それが穂波には悔しかった。


「・・・良し、できたぞ」

 レフェリーがようやくエプロンの紐を結び、穂波から離れる。穂波の格好は白いエプロンにピンクのパンティという、男の夢見る裸エプロンだった。

「ううっ・・・おっぱいたっぷり触られちゃった・・・」

 胸元を庇い、泣きそうな表情になる穂波だったが、淫らなイベントはまだ序盤に過ぎなかった。

「それじゃ、ボディチェックだ」

 下卑た笑みを浮かべたまま、レフェリーがとんでもないことを言う。

「ええっ! さっき散々触られたのに!」

「何を言ってるんだ? 今のはエプロンを着けてやっただけじゃないか。ボディチェックを受けないなら、指輪を没収するぞ」

「で、でも・・・」

 指輪の没収を仄めかされると、穂波は強くも言い返せない。

「ここで逃げたら、違約金が発生するからな」

 レフェリーは違約金の存在で更に穂波を縛り、セクハラボディチェックを開始する。

(んもう、なんだかんだ言って触ってくるんだから!)

 穂波の内心など気にもせず、レフェリーはまたも穂波の胸を掴み、そのまま両胸を捏ね回してくる。

「気持ち良くなったら、正直にそう言って良いからな」

「気持ち良くなるわけないもん!」

 穂波がそう言ったときだった。

(あっ!)

 今まで受けたセクハラにより、乳首が硬く立ち上がってしまったのだ。

「うん? おい、やっぱり凶器を隠してるじゃないか!」

 レフェリーはエプロンの上から乳首を弄り、穂波を咎める。にやついた表情から、レフェリーは乳首が硬くなったことをわかっている筈だ。それなのに、わざとらしく凶器だと言い募り、穂波を責める。

「ち、違うもん、穂波、凶器なんか隠してないもん」

「それじゃこの硬い物はなんだ? 言ってみろ」

「それは・・・」

 まさか乳首が硬くなったなどとは言えず、穂波は言いよどむ。

「言えないのか? やっぱり凶器を隠してるだろう?」

 レフェリーは穂波の乳首を人差し指と親指で挟み、軽く捻じることで刺激する。頬を赤く染めて耐えていた穂波だったが、小さく唇を開く。

「・・・び」

「うん? なんだって?」

 穂波の小声に問い返したレフェリーだったが、その間も乳首を弄ることはやめない。

「ち、乳首が、硬くなっちゃってるの! だからもういいでしょ?」

「最初からそう言えばいいんだよ」

 乳首から手を放したレフェリーは穂波の胸を一揉みし、ようやく穂波から手を放す。ほっとしかけた穂波だったが、マンハッタンブラザーズは穂波の手首を捕まえたままだ。しかもレフェリーが背後に回り、またも穂波の胸を揉み始めた。

「ちょっと待って、なんで・・・!」

「今から試合の説明が始まるからな、きちんと聞いておくんだ」

「そうじゃなくて、なんでおっぱい触って・・・あんっ!」

「まだボディチェックが終わってないからだよ」

 穂波の文句には取り合わず、レフェリーは穂波の胸への悪戯を続ける。その間に黒服の説明が始まる。

「この試合は特殊試合となっております」

 黒服の説明に、観客は耳を傾ける。視線はレフェリーから胸を揉まれる穂波から離れない。

「俗に言うローションマッチです。リングに近いお客様は、ローションを選手に掛けることも可能です」

 黒服の説明の最中、リング内外にローションが巻かれていく。当然観客にもローションが掛かるのだが、それに文句を言うような観客は居ない。

 今回は鉄柵がなく、リングと観客席の距離も近い。観客がローションを掬い、選手に掛けようと思えば充分届く。

 観客はルールを聞きながら、レフェリーに胸を好きなように弄られる穂波を見つめていた。


 説明が終わっても、レフェリーは穂波の身体を弄り、離れようとしない。

「も、もう、説明終わったから!」

「ああそうか? しかし、ここは硬いままだがな」

 レフェリーは最後に穂波の両乳首へと振動責めを加えると、ようやく穂波から離れ、ゴングを要請する。


<カーン!>


(えーん、おっぱい揉まれて、乳首まで弄られちゃった! 恥ずかしい・・・!)

 グラビアアイドルをしていたときとは違い、観客の視線に羞恥を覚える。

(いやーん、なんかヌルヌルするー)

 足元のローションの感触も気色悪い。

「えっ、なんで!?」

 しかも、マンハッタンブラザーズが二人共リングに残り、穂波に向かってくる。それでも反射的にジャブを放とうとするが、踏み込んだ瞬間足元が滑る。

「あっ!」

 ローションの存在を忘れ、バランスを崩してしまったのだ。なんとか転倒は免れたものの、マンハッタンブラザーズにロープまで押し込まれてしまう。

 本来ならばロープブレイクの筈だが、プロレスのルールを良く知らない穂波は逃げようとするだけだ。

「ちょっとぉ、放してよ・・・あっ、またおっぱい触ってきたぁ!」

 マンハッタンブラザーズの二人は左右から手を伸ばし、穂波の胸を揉んでいく。リング際に座る観客からは、穂波目掛けてローションが掛けられる。

 マンハッタンブラザーズは、ローションを塗り込むように胸を揉んでいく。

「おっ、乳首が透けてきたぞ」

「あっ、やだ、見ないでよー!」

 ローションに濡れたエプロンは乳房に張りつき、その巨乳と乳首の形を浮かび上がらせていた。

「見られたくないなら触ってやろう」

 レフェリーは乳首に狙いをつけ、エプロンの上から乳首を弄る。マンハッタンブラザーズの二人は左右の乳房を同時に揉み、弾ませ、捏ねていく。

「くくっ、藍園選手、また乳首が立ってきたぞ」

「ち、違うの、それはぁ・・・」

「何が違うんだ? ここは硬くなってるぞ?」

 レフェリーは穂波の乳首を弄り、言葉でも責める。

「だ、だって・・・あぁん、触んないでー!」

 男たち三人掛かりで胸と乳首を甚振られ、尚も乳首は硬くなっていく。

「藍園選手、正直に言ったらどうだ? おっぱいを触られて、気持ち良くなってしまいました、ってな」

「違うぅ、そんなんじゃないのぉ!」

「なら、乳首が硬くなっているのはなぜだろうな?」

「いやだぁ、触んないでよぉ!」

 必死にもがく穂波の左手が拘束から外れ、穂波の左手が当たったマンハッタンブラザーズ1号の頬骨が硬い音を出す。穂波の結婚指輪が原因だった。

「やっぱり指輪は危ないな。おい1号、外しておくんだ」

 レフェリーの指示に、マンハッタンブラザーズ1号が指輪に手を掛けた瞬間だった。

「そんなの、だめっ!」

 大事な指輪を奪われそうになったことで、穂波の怒りが噴出する。

「絶対、指輪は渡さないんだからっ!」

 マンハッタンブラザーズの手を振り払った穂波は、1号の顎にアッパーを、2号の顔面にストレートを叩き込む。仰け反りながら倒れたマンハッタンブラザーズの二人だったが、なんとか立ち上がってくる。

「ダーリンからもらった指輪に触った罰!」

 穂波の拳が唸ると、マンハッタンブラザーズの頭部に打ち下ろしのチョッビングライトを突き刺す。この攻撃に、もうマンハッタンブラザーズの二人は立ち上がることができなかった。二人の反応のなさに、レフェリーは両手を大きく振った。


<カンカンカン!>


「・・・やっと終わったー」

 生着替えから始まり、セクハラボディチェック、セクハラ試合とセクハラ続きだったが、ようやく終了した。否、そう思っているのは穂波だけだった。

「それじゃ、すぐに次の試合を始めるぞ」

「えっ、なんで? 穂波、勝ったよ?」

「最初から衣装を着て来なかったペナルティだ。もう一試合してもらうぞ」

「えー、なにそれー! ずるーい!」

「ずるくない! 嫌だと言っても、そら、もう次の選手が来ているぞ」

 レフェリーの指差した先に、ふらふらと歩いてくる人影があった。穂波と同じくエプロンを身に着けており、リングに入るときに紫のパンティを穿いているのがわかる。

「うふふ・・・」

 前髪に隠れたその表情に、何故か穂波は寒気を覚えた。


「赤コーナー、『M』、唐辻巳詩夜!」

 穂波の次戦の相手は、「唐辻(からつじ)巳詩夜(みしよ)」だった。20歳。身長164cm、B89(Eカップ)・W61・H84。前髪ともみあげは長く伸ばし、後ろは首まででカットしている。前髪で目線を隠しているが、淫靡で陰気な空気を纏っている。

 穂波とは違い、エプロンにパンティのみという格好にもまるで動じていない。

「青コーナー、『戦え!若奥様!』、藍園穂波!」

 二度目のコールをされても、穂波は胸の前を隠したままだ。手を離せば乳首が透けて見えるのだから、それも当然だろう。観客席からはブーイングも起こるが、穂波は胸元を庇ったままだ。

 その間、レフェリーは巳詩夜のボディチェックを行なっていた。当たり前のように衣装の上から胸を揉み、秘部にまで手を伸ばす。

「あん・・・レフェリー・・・触り方が、厭らしい・・・」

「何を言ってるんだ、これはボディチェックだぞ? 勘違いするんじゃない」

 巳詩夜はレフェリーからセクハラを受けているというのに、どこか媚びるような、悦ぶような反応を見せている。

「ほら、ここもいいんだろう?」

「ぜんぜん・・・よく、ない・・・うふふ・・・」

 レフェリーが秘部まで撫で回しだす。巳詩夜は言葉だけは否定しているものの、笑みを浮かべている。

「まったく、好きモノのボディチェックは大変だ」

 口ではそう言いながらも、レフェリーはにやけ顔で巳詩夜の肢体を弄り回していた。


「ま、ここまでにしておくか」

 レフェリーが巳詩夜から離れ、ボディチェックを終える。それを見ていた穂波は内心ため息を吐く。

(うー、今からまた、厭らしい試合しないといけないの? やだなぁ)

 眉を顰めていた穂波に、何故かレフェリーが近づいてくる。

「それじゃ藍園選手、ボディチェックだ」

「えっ、なに言ってるの? 穂波、さっき受けたよ?」

「そっちこそ何を言っているんだ。唐辻選手がボディチェックを受けたんだから、藍園選手もボディチェックを受けないと駄目だろう」

「でも・・・!

 レフェリーのごり押しに、尚も言い募ろうとした穂波だったが、次の言葉で黙ってしまう。

「なんだ、ボディチェックを受けないと言うのか? それなら、ファイトマネーは払えないぞ。とっとと帰るんだな」

「そんなぁ・・・」

 高額なファイトマネーが目当てで試合に出たのに、ファイトマネーが出ないとセクハラのされ損だ。

「さあ、どうする? ここで帰るか、ボディチェックを受けるかの二択だ」

 レフェリーが急かしてくる。

「うー・・・」

 唸る穂波だったが、答えは一つしかなかった。

「・・・わかった、受ければいいんでしょ」

「そうか、わかってくれたか。それじゃあ、動くんじゃないぞ」

 言うが早いか、レフェリーはまた両胸を鷲掴みにしてくる。

「あっ、またおっぱい触ってきた!」

「触られるのが嫌なら、直接見せてくれてもいいんだぞ?」

「・・・それは、嫌」

「なら、黙ってボディチェックを受けるんだ」

 レフェリーは穂波の胸を揉みながら、にやにやと笑う。

「これだけ大きいんだ、唐辻選手のボディチェックの間に何か隠したかもしれないからな」

 勝手な理屈を捏ねながら、レフェリーは穂波の両胸を揉み、持ち上げ、弾ませる。

(んもー、穂波のおっぱい玩具にしてるー!)

 こうなるのはわかっていたが、ファイトマネーのためだと我慢する。

「ボディチェックが嫌そうだな、藍園選手」

 レフェリーは穂波の胸で遊びながら嫌味を言う。

「うー、嫌に決まってるじゃん」

「なら、エプロンを脱いで直接おっぱいを見せてくれるか? そのほうがお客さんも喜ぶしな」

「い、や!」

「まあ、乳首はもう透けて見えているけどな」

「見ないで!」

 穂波はレフェリーの手を振り払い、乳首を隠す。

「おいおい、ボディチェックを拒むのか? 試合ができないぞ」

「だって・・・」

「違約金を払うんだな?」

 レフェリーの脅迫に、穂波は俯く。

「・・・そんなの、払えないもん」

「なら、ボディチェックの途中で邪魔するんじゃない」

 レフェリーはまたも穂波の胸を揉みだす。

「折角だ、透け乳首も調べてやろう」

 レフェリーはエプロンに張りついた乳首を両方とも摘み、こりこりと刺激してくる。

「あっ、やだぁ、そんなの!」

 それでも穂波は逃げたいのを我慢し、セクハラボディチェックを耐える。そんな穂波の態度を逆撫でするかのように、レフェリーは胸を揉み回し、乳首を弄り、好き勝手に玩ぶ。

(うー、おっぱいも乳首も目茶苦茶触ってきてー・・・腹立つーっ!)

 セクハラボディチェックに苛立つ穂波だったが、それだけで終わるレフェリーではない。

「こっちも調べないとな」

「きゃっ!」

 なんと、レフェリーが股間にまで手を伸ばしてきたのだ。

「どこ触ってんのっ!」

 穂波は思わずレフェリーを突き飛ばしていた。

「・・・痛いな」

 わざとらしく胸を払ったレフェリーの目が細められる。

「だって、今・・・」

「違約金を払うんだな?」

 レフェリーが言葉を被せるようにして遮る。

「・・・払えないもん、無理だよ」

「なら、ボディチェックを受けないとな」

 そう言いながらも、レフェリーは動こうとしない。

(・・・もう飽きたのかな?)

 穂波は自分の都合の良いように考えるが、そんな筈はなかった。

「おいおい、レフェリーに手を上げたんだ。何か言うことはないのか?」

 この言葉で、穂波はようやくレフェリーの狙いに気づく。

「・・・さっきは、ごめんなさい」

「それだけか?」

 レフェリーの催促に、穂波は唇を尖らす。

「・・・ボディチェック、してください」

「まったく、最初からそう言わなきゃな」

 レフェリーは先程の続きとばかり、秘部を弄ってくる。

(あーん、もー、エッチぃ!)

 心の中で叫ぶ穂波だったが、レフェリーに何を言っても無駄だとわかったので叫ぶようなことはもうしない。

(んもー、穂波の身体はダーリンのものなのにー! エロレフェリーのバカー!)

 穂波が如何に嫌がっても、レフェリーは欲望のボディチェックを続ける。胸を揉み、乳首をつつき、秘部を撫で、ヒップを掴む。

 厭らしいことの連続に、穂波は自然と下がろうとしていた。

「まだボディチェックは続くからな、逃げるんじゃない」

 しかしレフェリーが距離を詰め、後から抱きつくようにして両胸を揉みしだいてくる。

「は、早く終わってよー」

「何を言ってるんだ? さては、何か凶器を隠しているな?」

 穂波の発言に勝手な解釈をし、レフェリーは左手で胸を揉みながら右手で秘部を弄る。

(もー! ホントに最悪!)

 穂波が如何に嫌がろうとも、レフェリーのボディチェックから逃げることも止めることもできなかった。


「あんなことを言ってたが、何も隠していないようだな」

 穂波の身体を長々と弄り回したレフェリーが、ようやく穂波から離れる。

「二度とレフェリーに逆らわないようにな」

 最後に穂波の乳首をつつき、レフェリーが第二戦開始の合図を出す。


<カーン!>


「うふふ・・・穂波ちゃん、宜しくね・・・」

「うー、よろしくなーい」

 ボディチェックと言いながら、レフェリーに散々身体を好き勝手にされたのだ。機嫌が良いわけもない。

「さっさと終わらせるから!」

 ボディチェックの苛々を巳詩夜にぶつけようと、前に出る直前だった。

「うふふ!」

 巳詩夜のタックルのほうが速かった。胴に食らった衝撃でたたらを踏む。

「えっ」

 リングに撒かれたローションに足が取られ、バランスを崩す。

「あっ!」

 次の瞬間、リング下へと転落していた。

「いったーい・・・」

 痛みに呻きながらゆっくり起き上がると、背後から不気味な声が聞こえた。

「うふふ・・・」

 自分もリング下に降りた巳詩夜が背後から穂波を羽交い絞めにし、観客席へと向けたのだ。すると、ここぞとばかりに観客はローションを掬い、美女二人に掛けていく。

「やだ、やめて、気持ちわるーい!」

 ローションの感触に嫌悪感を示す穂波だったが、それだけでは終わらなかった。

「ほお、乳首が透けてきたな」

「ああっ!」

 リング下に降りていたレフェリーの揶揄に視線を落とすと、ローションに濡れたエプロンが透け、乳首がくっきりと浮かび上がっていた。

「あ、やだ、見ちゃだめ!」

「そうか、見られたくないなら隠してやろう」

 レフェリーは穂波の右側から手を伸ばし、穂波の右胸を鷲掴みにして揉み込んでいく。ローションで滑る普段とは違う感覚に、レフェリーの鼻下が伸びる。

「やめてよぉ!」

「あっ・・・」

 穂波の抵抗に巳詩夜がバランスを崩し、拘束も緩む。

「放してっ!」

 その隙に振り解き、

「えいっ!」

「うおっ!?」

 胸を触りまくっていたレフェリーを突き飛ばす。

「こんのぉ・・・っ!?」

 振り向き様に右ストレートを放とうとしたが、ローションで回転がつき過ぎ、バランスを崩して観客席に倒れ込んでしまう。

「なんで俺たちを捨てて結婚したんだよ!」

「ずっとグラビアして欲しかったのによ!」

 穂波が倒れ込んでしまったのは、結婚に悔しい思いをしていた穂波のファンたちの席だった。

 忽ち多くの手が伸ばされ、胸を揉みくちゃにする。否、胸だけではなく、脇腹、頬、唇、腹、太もも、尻など、身体のいたるところに観客の指が這う。

「あっ、ちょっとー、やめてよぉ!」

 緊張感の乏しい声で叫ぶ穂波だったが、そんなことで男たちの欲望は止まらない。

「エプロン脱がしちまえ!」

「そうだ、裏切った罰だ、生乳首見せろ!」

 誰の叫びかはわからなかったが、ファンたちは我先にとエプロンを掴み、一気に引っ張る。

「待ってよ、そんなに引っ張ったら・・・!)

 穂波の声も空しく、ローションに塗れたエプロンがボロボロに引き裂かれる。露わとなった魅惑的な乳房に、男たちの手が殺到する。

「ほ、穂波ちゃんのおっぱい!」

「生乳だ生乳!」

 写真集や握手会では、隠された部分を想像することしかできなかった。しかし今、隠すもののない乳房を実際に見て、触れることまでできている。ファンたちの興奮は凄まじいものだった。

「やだぁ、見ないでぇ、触らないでよぉ!」

 穂波も両手で押し寄せる手を払いのけようとするが、数の暴力にあっさりと跳ね飛ばされる。それどころか両手首を掴まれ、身動きすらできなくなってしまう。

「もっとローション掛けてやれ!」

「テッカテカにしてやろうぜ!」

 誰の叫びかわからないが、これを合図に観客たちは素手でローションを掬い、穂波にぶっ掛けていく。

「あん、やだぁ」

 勢い余って顔にまで掛けられ、穂波は顔を左右に振る。

「ローション塗れの穂波ちゃん、やらしいな」

「ああ、たまんねぇ!」

 ローションを浴びた穂波の身体は、淫らに光っている。暫し目を奪われた男たちは、一斉に手を伸ばす。

「ああん、やだやだぁ!」

 Gカップを誇る乳房は揉みくちゃにされ、乳首をつつかれ、脇を撫でられ、腹を触られ、尻を揉みしだかれ、秘部を弄られる。パンティもローションに濡れ、薄っすらと秘裂が透けて見えるのがまたエロティックだ。

「・・・ほ、穂波ちゃん!」

 ファンの男の一人が、いきなり穂波の唇を奪う。

「んんんっ!?」

 驚きに目を開く穂波だったが、何人もの男に押さえ込まれているのだ。抵抗などできない。

「お、お前ずるいぞ!」

「次は俺だ!」

 一人が始めると、後は済し崩しだった。代わる代わる穂波の唇を奪い、乳房を揉み、ローションを塗り込み、乳首を扱き、ローションを塗り込み、秘部を弄り、ローションを塗り込む。

 それを至近距離で見ていたレフェリーだったが、巳詩夜に顎をしゃくる。

「暫くお客さんのサービスタイムだ。仕方ない、お前で遊ばせてもらう・・・いやいや、リングでボディチェックの続きをさせてもらうぞ」

「うふふ・・・エッチ」

 口ではそう言いながらも、巳詩夜はまるで嫌がる素振りは見せない。レフェリーに続いてリングに戻り、穂波が見える位置でレフェリーに尻を向ける。

「うふふ・・・どうぞ・・・」

「まったく、厭らしい奴だ」

 口ではそう言いながらも、レフェリーはにやつきながら巳詩夜の肢体に両手を這わす。

「うふふ・・・」

 巳詩夜は妖しく微笑みながら、レフェリーのセクハラを受け入れていた。その視線は、観客から嬲られる穂波をしっかりと見つめていた。


「あぁん、やめてよぉ! んんぅ」

 穂波が如何に身を捩ろうとも、何人もの男たちの手に押さえ込まれているのだ。好き勝手に身体を弄り回してくるのを止めることはできない。

 唇を男たちの唇で塞がれ、豊かな乳房は揉み回され、硬くなった乳首は転がされ、下着に包まれたヒップは撫でられ、下着に隠されているとは言え秘部を弄られる。

 それだけでは終わらず、男の一人が下着を掴む。

「最後の一枚だ・・・」

「だ、だめぇっ!」

 パンティまで脱がされそうになり、穂波は一層暴れる。観客から掛けられたローションで身体が滑ることで抜け出せ、ようやく脱出に成功する。

「はぁ・・・はぁ・・・」

 嬲られたこと、逃れようと暴れたことで体力を失い、穂波は床に寝そべり、荒い機を吐く。

「早く戻らないとリングアウト負けになるぞ。ワンツースリーフォー・・・」

「待って待って、すぐ戻るからぁ!」

 しかしレフェリーの場外カウントに焦り、慌ててリングへと戻る。

「うふふ・・・お帰り・・・」

 しかし、待ち構えていた巳詩夜に押さえ込まれる。

「うふふ・・・穂波ちゃんのおっぱい、ローションで・・・べちょべちょ・・・乳首も・・・こんなに、なってる・・・」

 穂波を寝技に捕らえたまま、巳詩夜は左手で穂波の乳房と乳首を愛撫する。

「えっ、えっ? なんでおっぱい触ってるの?」

 女性である巳詩夜がセクハラしてくることに理解が追いつかず、穂波は間の抜けたことを言ってしまう。

「うふふ・・・気持ち、いい・・・?」

「そんなこと・・・あっ、あぁん」

 否定しようとした穂波の口からは、喘ぎ声が洩れてしまう。男たちの自分勝手な触り方ではなく、同性のツボを押さえた責めは理性を蕩かしそうだ。

「うふふ・・・穂波ちゃん、可愛い・・・」

 巳詩夜は自分の唇を舐め、前髪の奥の目を光らせる。その間にも巳詩夜の指は妖しく蠢き、穂波の乳首を擽り、痛みを感じないぎりぎりの強さで押し潰す。

「あぁん、やめてよぉ・・・はふぅん!」

 穂波の言葉もどこか弱々しく、乳首は硬く張り詰める。

「唐辻選手、そろそろ良いか?」

 それまでじっと女性同士の絡み合いを見つめていたレフェリーが、巳詩夜に声を掛ける。

「まだ・・・足りない、のに・・・」

 そう言いながらも、巳詩夜の指の動きがゆっくりとなる。

「それじゃ唐辻選手、おっぱいを見えやすくしてくれ」

「うふふ・・・エッチ・・・」

 そう笑いながらも、巳詩夜は穂波をフルネルソンに極める。両脚は穂波の胴に絡ませ、脱出を封じる。

「藍園選手、ギブアップか?」

 ギブアップの確認をしながら、レフェリーは穂波の両乳房を揉む。

「しないからぁ、おっぱい触らないでよぉ!」

 両手が動かせない穂波は足をばたつかせるが、抵抗にもならない。

「おっぱいを触られたくないのか、それならこっちだな」

 レフェリーは穂波の乳房から手を放すと、下着の中に手を突っ込む。

「あっ、ちょっとぉ!」

「なんだ、文句でもあるのか?」

 穂波の秘裂を直接弄りながら、レフェリーがにやつく。

「へ、変なとこ触ってるから! やめてよぉ!」

「これはボディチェックだよ。観客席に居る間に、凶器を隠していたら困るからな」

「そんなことするわけないじゃん! エッチなことしないでよぉ!」

 穂波の抵抗が強くなり、レフェリーは下着から手を抜き、リング下に視線を送る。

「仕方ない、お前ら手伝ってくれ」

 するとレフェリーの声に反応し、先程敗北した筈のマンハッタンブラザーズが二人ともリングへと上がってくる。

「え、なんで? この人たち、さっき負けたのに」

「藍園選手が暴れてボディチェックができないからな、手伝ってもらうだけだ」

 穂波の当然の疑問をあっさりと受け流し、レフェリーは一度穂波から離れる。マンハッタンブラザーズの二人はレフェリーの代わりに、穂波の両足へと手を伸ばす。

「だめだよ、持たないでよぉ!」

 穂波は足をばたつかせようとするが、男二人の力に敵う筈もない。

 穂波は巳詩夜に肩関節を極められ、マンハッタンブラザーズの二人に両足を押さえられる。

「さあ、ボディチェックの続きだ」

 レフェリーは穂波の腹の上に跨ると、改めて93cmGカップを誇る乳房を鷲掴みにする。ローションに塗れて濡れ光る乳房を両手で揉み回し、すでに硬くなっている乳首を転がす。

「お、おっぱい何度も触らないでよぉ」

「何を言っているんだ。こんなに大きいんだから、隙間に何か隠しているかもしれないだろう?」

 穂波にはまともに取り合わず、レフェリーは乳房の感触を堪能する。

「おっぱいの間に、隠せるわけないじゃん! バカなの?」

 穂波の発言に、レフェリーの頬が引き攣る。

「・・・レフェリーを馬鹿呼ばわりとは、いい根性だ」

 立ち上がったレフェリーは、穂波の頭上側へと移動する。

「これが藍園選手の大切なものだったな」

 レフェリーは穂波の左手を掴むと、結婚指輪をつつく。

「そうだよ! 触んないで!」

「いや、これは凶器だからな。没収しないと」

(だめっ、指輪は絶対渡さないんだからっ!)

 これだけは奪わせまいと、穂波は拳を握り込む。

「余計な手間を。唐辻選手」

「うふふ・・・」

 レフェリーの呼びかけに、巳詩夜はフルネルソンを外し、両手で穂波の乳首を愛撫し始める。

「あっ、やだ・・・あんっ!」

 巳詩夜の責めの技量に、穂波の手から力が抜ける。

「それじゃ、指輪をもらおうか」

 結婚指輪を左手の薬指から抜こうとしたレフェリーだったが、ローションの滑りとオープンフィンガーグローブに苦戦する。

「ちっ、邪魔くさいな」

 レフェリーは左のオープンフィンガーグローブを外し、放り出す。

「どうせだ、こっちも・・・」

 レフェリーは右のオープンフィンガーグローブも外し、リング下に投げ落とす。これで、穂波は結婚指輪と下着一枚のみの格好となる。

「それじゃ改めて、凶器の指輪を没収しようか」

「あぁん、だめ・・・ひぃん!」

 穂波は左手を握ろうとするが、巳詩夜の胸責めに力が抜けてしまう。

「・・・そんなに結婚指輪を取られたくないのか?」

 何故かレフェリーが穂波の左手から手を放し、確認してくる。巳詩夜は何かに気づいたのか、再び穂波をフルネルソンに極める。

「あ、当たり前だよ。指輪は、ダーリンとの愛の証なんだから」

「そうか、それなら・・・」

 そこで、レフェリーが下卑た笑みを浮かべる。

「指輪を取られるのとおっぱいを揉まれるの、どっちが良い?」

「・・・え?」

 意味がわからず、穂波は問い返すしかできない。

「言葉通りの意味だよ。指輪が没収されるのを選ぶか、おっぱいを揉まれることを選ぶのか」

「そんな・・・」

 指輪は奪われたくない。しかし、自分から乳房を揉んで欲しいなどとは言えない。

「選べないのなら、指輪を没収するだけだ」

 レフェリーがわざとらしく結婚指輪へと手を伸ばす。

「ま、待って!」

 穂波が叫ぶと、レフェリーの手が止まる。

「どっちがいいんだ?」

「お、おっぱい・・・」

 指輪を奪われるよりはと、まだましなほうを選ぶ。

「おっぱいをどうして欲しいんだ? はっきり言わないとわからないぞ」

「お・・・おっぱい、揉んで・・・」

 元人気グラビアアイドルの淫らなお願いに、観客席から歓声が沸く。

「そうか、藍園選手はおっぱいを揉んで欲しいのか。お願いされたら応えなきゃなぁ」

「じ、自分が言わせたくせにぃ・・・あんっ!」

 身動きができない体勢で、穂波は乳房を揉まれてしまう。

「まったく、厭らしいなぁ藍園選手は」

 穂波の腹部に跨ったレフェリーは、Gカップの乳房を両方鷲掴みにし、大きく揉み回す。

「まあ、揉み甲斐がある大きさだからな、こっちは構わないがな」

(勝手なことばっかり言ってぇ・・・んんっ、おっぱい揉まれるの、恥ずかしいのにぃ)

 下着一枚の格好で、幾つもの視線に晒されたまま、自ら求めることで乳房を揉まれ続ける。それが悔しく、恥ずかしく、穂波は横を向き、目を閉じて必死に耐える。

「おいおい藍園選手、自分がおっぱいを揉んで欲しいと言ったんだぞ?」

 レフェリーは穂波の巨乳を揉み、乳首を転がしながらにやつく。

「だって・・・あんっ!」

「そら、藍園選手も気持ち良いんだろう?」

 否定しようとした瞬間に喘いでしまい、レフェリーに揶揄されてしまう。

「も、もう、おっぱい揉まな・・・ひうんっ」

「なんだ、おっぱいじゃなくて乳首が良いのか? リクエストが多いなぁ藍園選手は」

 レフェリーは両乳首を引っ張り上げ、更に扱き責めまで加える。

「あひぃぃっ!」

 逃げることもできない穂波は、自らの胸を玩具にされるしかなかった。


「よし、おっぱいを揉むのもこれくらいでいいだろう」

 ようやくレフェリーが乳房から手を放す。

「さて、次の質問だ」

「・・・え?」

 戸惑う穂波など気にもせず、レフェリーは更に問いを続ける。

「指輪を没収されるのとパンティを脱がされるの、どちらがいい?」

「そ、そんなの、どっちも嫌に決まってるもん」

 愛の証である結婚指輪を奪われるのも、全裸となるのも、どちらも選択できるわけがない。

「相変わらず我儘だな、藍園選手」

 立ち上がったレフェリーは、穂波のパンティに手を伸ばす。

「それじゃ、最後の一枚をもらおうか」

「だめぇ、パンティ脱がすのだめぇ!」

 穂波が拒むと、今度は穂波の左手へと手を伸ばす。

「それじゃ、結婚指輪をもらおうか」

「絶対だめ! 指輪はだめ! ダーリンとの愛の証なんだから!」

 結婚指輪を死守しようと、穂波は両手を強く握り込む。

「あれも駄目、これも駄目は通用しないぞ、藍園選手」

 レフェリーはわざとらしく肩を竦めると、穂波の乳首を弾く。

「んっ! ・・・乳首、触んないでよ」

「そうか。それなら、藍園選手がどちらを選ぶか決まるまで、ここで時間潰しをさせたもらおうか」

 レフェリーが手を伸ばすと、下着の上から秘部を触りだす。

「ええっ! んっ、なんで、そこ触るの?」

「別に理由はないさ。さあ、どっちを選ぶんだ? 指輪か? パンティか?」

 既に愛液で濡れている下着越しに秘部を弄りながら、レフェリーが決断を迫る。

(そんなぁ・・・そんなの、選べないよ・・・んんぅっ!)

 しかし、選ばなければ恥ずかしい箇所を延々と触られてしまう。

(でも・・・決めないと・・・)

 穂波は頬を染め、ようやく唇を開く。

「ぱ・・・」

 恥ずかしさに唾を飲み込む。

「決められないなら、指輪を・・・」

「だめぇ! ぱ、パンティ脱がせてぇ!」

 指輪を奪われる恐怖に、穂波はとうとう最後の一枚を奪われることを望んでしまう。

「藍園選手のご希望だ、パンティをもらおうか」

 自分がそう仕向けたにも関わらず、レフェリーは穂波の要望だとパンティに手を掛ける。

「ああっ、やっぱりだめぇ!」

 恥ずかしさに、穂波は必死に股を閉じる。

「無駄な抵抗を。おい、マンハッタンブラザーズ」

 レフェリーの命令に、マンハッタンブラザーズの二人は息を合わせ、穂波の両足をぐいと開く。

「あっ、やだぁ!」

 開かれまいと力を入れるものの、二人の男の力に敵う筈もなく、拳二つ分ほど太ももの間に隙間を作られてしまう。レフェリーの手が動き、パンティが一気に膝までずり下ろされてしまう。

「そら、あと少しで脱げるからな」

「そんなぁ・・・!」

 ばたつかせようとしても、両足はしっかりと押さえ込まれている。パンティは膝を越え、足首まで到達する。

 そして。

「・・・これで、元グラビアアイドルのオールヌードだ!」

 レフェリーが脱がしたパンティを高く掲げた瞬間、観客席から盛大な歓声が沸き起こる。レフェリーがパンティを観客席に放り投げると、更なる歓声と争奪戦が巻き起こる。

(そんなぁ・・・穂波、素っ裸にされちゃった・・・)

 遂に最後の一枚まで脱がされ、穂波は生まれたままの姿とされた。グラビア撮影のときに際どい格好やポーズを取ったことはあるが、全裸となったことはない。しかもリングの上、様々な視線が突き刺さってくる。

「なにを落ち込んだ振りをしているんだ。どうせ、毎晩旦那に可愛がってもらってるんだろう?」

 穂波のそばに戻ってきたレフェリーが秘裂を割り、指を突っ込もうとする。

「・・・ん?」

 しかし訝しげな表情を浮かべ、マンハッタンブラザーズに大きく足を開くように指示する。

「あっ、やだっ、見えちゃう、全部見えちゃう!」

 首を振る穂波だったが、男の力には敵わず、どんどんと足を広げられていく。

「だめだってばぁ・・・ああん、だめぇ!」

 そして、遂に両脚を大きく広げられてしまう。元グラビアアイドルの全裸での大開脚に、観客席が沸く。

「それじゃ、直接確認だ」

 レフェリーは穂波の股間の前に陣取り、穂波の秘部を覗き込む。

「・・・やっぱり処女膜があるな。藍園選手、結婚してるのにまだ処女か!」

 レフェリーの声が前列の観客席に届き、驚きの声が会場に広がっていく。

(ばれちゃった・・・穂波がヴァージンだってこと、みんなにばれちゃった・・・!)


 恋愛結婚した穂波だったが、優しい夫は性に奥手すぎた。いつもキスとハグだけで終わり、性行為は一度としてない。そのため、穂波は結婚をした今も未だに処女のままだ。


「なるほどな。旦那のモノが役立たずで、一度もセックスしてないのか」

「ダーリンのことそんな風に言わないで・・・ああん!」

「欲求不満なんだろう? 今日はたっぷりと感じさせてやるからな」

 レフェリーの指が秘裂を撫で回し、快感を生じさせる。

(き、気持ち良くなっちゃ、だめなのにぃ・・・あぁん、でも、穂波・・・感じちゃってるぅ・・・!)

 未だに処女の身だと言うのに、夫以外の男たちに好き勝手にされ、あまつさえ快感さえ得てしまう。

「藍園選手、折角だからリクエストを聞こうじゃないか」

 秘部を弄りながら、レフェリーが鷹揚なところを見せる。

「そ、それなら・・・あんっ、触るのやめて・・・あうんっ!」

「なにか勘違いしているようだな。リクエストというのは『どこを触られたいか』ということだよ」

「そんなぁ・・・はぁん!」

 先程の二者択一でも中々選べなかったのだ。自分の身体のどこを責められたいかなど、選べるわけもない。

「選べないのなら、指輪は没収だな」

「ずるい! そんなの・・・ひうぅっ!」

「指輪を取られたくないなら、正直に言うんだ。どこをどう責められたいんだ?」

 レフェリーは秘部責めをやめず、穂波から無理やり答えを引き出そうとする。

「んんぅ・・・じゃあ、お腹・・・」

「そこは選択肢にないな。口か、おっぱいか、乳首か、お尻か、ここか。さあ、どうする?」

「・・・お尻」

 レフェリーが提示した中では、一番ましだと思えるヒップを選ぶ。

「そうか、藍園選手はお尻が好きなんだな」

 レフェリーは秘部から手を放し、愛液のついたままの両手でヒップを掴む。下から押し上げるように揉み込みながら、愛液に煌めく秘部を凝視する。

「折角だ、サービスしてやろう」

 レフェリーはヒップを揉みながら、穂波の秘部に吸いつく。

「ひぃぃん! そ、そんなサービス、いらな・・・ああん!」

 思い切り愛液を啜り上げられ、穂波は仰け反る。

 レフェリーの指がヒップを揉みたて、レフェリーの唇が秘裂を上下し、レフェリーの舌が秘裂の中に浅くではあるが潜り込み、レフェリーの鼻が淫核をつつく。大股開きのまま拘束されている穂波に防ぐ術も逃れる術もなく、レフェリーの欲望のままに股間を嬲られる。

「・・・ぷはっ」

 ようやくレフェリーが穂波の股間から顔を上げ、口についた愛液を拭う。

「よし、お前たちも好きにしていいぞ」

 レフェリーの合図に、巳詩夜とマンハッタンブラザーズまでもが穂波の身体を弄り始める。

「うふふ・・・穂波ちゃん・・・あむっ」

「んむっ? んむむっ!」

 いきなり口づけを受け、穂波は混乱する。その混乱に乗じ、巳詩夜の舌が穂波の唇を割り、口の中にまで潜り込んでくる。

「あむっ、んむっ、んんんっ!」

 巳詩夜の舌は蛇のようにのたくり、穂波の歯を、穂波の歯茎を、穂波の頬肉の内側を、穂波の舌を、次々に蹂躙していく。それなのに、穂波の口内からは明らかに官能が立ち昇ってくる。

(あぁん、おっぱいも、またぁ・・・!)

 穂波の乳房にはマンハッタンブラザーズの手が伸ばされ、揉まれ、捏ねられ、乳首を転がされる。

(あ、アソコまでぇ!)

 穂波の秘部はレフェリーに弄られ、愛液を生じさせられる。

(ほんとなら、ダーリンだけが触っていいとこなのに・・・はぁん!)

 先程まで舐め責めを受けていた秘部を指で弄られることで、またも快感が生じる。

(い、いやなのにぃ・・・なんで・・・)

 自らの身体が快楽を生むことに、穂波は混乱してしまう。

「藍園選手は嫌だ嫌だと言いながら、随分と気持ち良くなってくれるじゃないか、ええ?」

 レフェリーは穂波の秘部から手を放すと、穂波の股間に自分の股間を密着させる。

「ほら、旦那からこういう風に抱かれたいんだろう?」

「ああっ、いやだぁ! んむぅっ」

 レフェリーから正常位の体勢で腰を振られ、マンハッタンブラザーズから両乳房と乳首を玩ばれ、巳詩夜からは濃厚な口づけを受ける。

(ああん、ダーリン・・・助けてぇ)

 心の声が夫に届く筈もなく、レフェリーたちに玩ばれ続ける。嫌悪感も当然あるが、それ以上に官能が勝る。

(だめ、なのにぃ・・・なんでぇ、穂波・・・気持ち良く・・・なっちゃうの・・・!)

 レフェリー、巳詩夜、マンハッタンブラザーズたちから身体中を弄り回され、不快感ではなく快感が全身を覆う。

(いやぁ、どんどん・・・気持ち良く、なっちゃって・・・)

 汗とローションが入り混じり、それに愛液も加わる。穂波の息は荒くなり、鼓動は速まり、腰は勝手に動いてしまう。

「やっぱり欲求不満だな、藍園選手。腰まで振ってくるとはな」

 それに気づいたレフェリーがにやりと笑い、自らの腰振り速度を上げる。

「やぁん、やめ・・・んむむっ!」

「うふふ・・・穂波ちゃん・・・んちゅぅ、あむぅ・・・」

 叫ぼうとした唇は再び巳詩夜に塞がれ、快感を紛らわせることもできない。

(いやぁん、お口もぉ、おっぱいもぉ、アソコもぉ・・・もう、限界だよぉ!)

 身体に溜め込まれた快感は爆発寸前で、出口を求めて暴れ狂う。

 そして、遂に限界を突破する。

「ああん! イッちゃう、穂波、イッちゃうぅぅ!」

 衆人環視の中、穂波は絶頂を宣言し、言葉通りに達してしまう。

「あああーーーーーん!」

 穂波はこれ以上ないほどに胸を反らし、絶叫し、足の指をぴんと張り、腰を震わせる。

「・・・あふぅん・・・」

 最後に吐息を洩らし、脱力する。

(・・・すごい・・・こんなに、気持ち良くなっちゃうなんて・・・)

 達してしまった羞恥より、驚きのほうが勝る。しかし、すぐに罪悪感が胸を塞ぐ。

(ダーリン以外の人に、感じさせられちゃった・・・ダーリン、ごめんなさい・・・)

 しかし、感傷に浸る間も与えられなかった。

「欲求不満なんだろう? 一度と言わず、何度でもイカせてやるからな!」

 レフェリーが秘部に口をつけ、舐め責めを再開したのだ。

「ま、待ってよぉ、イッたばっかり・・・あはぁん!」

 秘部だけでなく、乳房と乳首にはマンハッタンブラザーズから刺激が加えられ、巳詩夜の舌が耳の穴に潜り込む。

「あぁん! そ、そんなとこぉ・・・はぁぁん!」

「うふふ・・・穂波ちゃん、耳も・・・弱い、ね・・・れろっ」

「あひぃん!」

 耳朶を舐めしゃぶられ、甘噛みされ、耳の穴まで舐め回される。今まで想像もしなかった箇所から快感を生み出され、またも快感が爆発的に膨れ上がる。

 そして、また。

「ふあああーーーん!」

 穂波は派手に背を反らせ、何度も身体を震わせる。

「二回目だな、藍園選手。だが、まだ足りないだろう?」

 顔をだらしなく崩したレフェリーが、またも秘裂を撫で回してくる。

「あぁん、ふわぁん! も、もう・・・ひやぁぁああああん!」

 三度目は、あっさりと訪れた。それでもレフェリーもマンハッタンブラザーズも巳詩夜も責めを止めることはなく、穂波の身体を堪能し続ける。

(こ、こんなに、何度も・・・ああん、イッちゃうなんて、身体が、もたないよぉ・・・ひぃんっ!)

 絶頂も、何度も繰り返されれば拷問だ。そう思うのも僅かな間で、またも達してしまう。

「ああああんっ! はぁっ、あはぁぁぁーーーっ!」

 何度も身体を跳ねさせ、絶頂を紛らわそうとする。しかし穂波の肢体には四人もの人間が取りついており、更なる快感を掻き立てられる。

(も、もう無理だよぉ・・・!)

 延々と続く色責めに、穂波の精神力は限界だった。

「・・・ギブアップ、ギブアップするからぁ、もう・・・やめてよぉぉっ!」


<カンカンカン!>


 穂波の敗北宣言に、試合終了のゴングが鳴らされる。

「・・・ぁ・・・ぁぁ・・・」

 ギブアップを宣言するのが精一杯で、穂波は荒い息を吐くしかできない。その穂波にレフェリーが顔を近づける。

「ふん、リングに凶器を持ち込む、レフェリーに文句を言う、レフェリーを突き飛ばす、しかも最後はギブアップとはな。ペナルティとして、こいつは没収だ!」

 絶頂に力の入らない穂波の左薬指から、レフェリーはとうとう結婚指輪を抜き取ってしまう。

「・・・か、返して・・・」

 朦朧とした意識の中、それでも穂波は手を伸ばす。

「返してやってもいいが、罰ゲームを受けてもらう」

「・・・罰、ゲーム・・・?」

 穂波の疑問など気にも留めず、レフェリーは穂波に手を伸ばす。

「そら、まずは立つんだ」

「あぁん!」

 レフェリーに乳首を弄られ、穂波は喘ぎながら立ち上がる。何度も絶頂に達した身体は怠く、重たかったが、結婚指輪を返してもらうために力を振り絞る。

「それじゃリング下に降りてくれ」

 レフェリーは牛の鼻輪のように、穂波の乳首を引っ張る。

「わ、わかった、からぁ・・・乳首、引っ張らないでぇ・・・」

 どうにかレフェリーの手から逃れ、リング下に転がるように降りる。

「・・・降りた、よ」

「それじゃあ、罰ゲームだが・・・グラビアポーズをとってもらおう」

「えっ・・・!」

 レフェリーから告げられた罰ゲームが信じられず、ぺたりと座り込んでいた穂波は一層裸体を庇う。

「昔カメラの前でしてたようなポーズだよ。今更恥ずかしがることか?」

「だ、だって・・・今、何も着てない・・・」

「だから罰ゲームになるんだろう? それとも、指輪は要らないのか?」

「いるに決まってるじゃん!」

「それじゃ、どうする?」

 レフェリーのにやつきは腹が立つが、それでも答えは決まっている。

「・・・やればいいんでしょ、やれば」

 ふてくされた表情で、穂波は罰ゲームを承諾する。

「罰ゲームを受けるんだな? ならさっさと立つんだ」

「ひゃん!」

 レフェリーからヒップを撫でられ、穂波は震える足で立ち上がる。

「それじゃ、まずは定番の乳寄せポーズからだ」

「・・・」

 穂波は黙ったまま、両手を乳房の下で組み、現役のときのようにぎゅっと寄せる。


(ぉぉぉ・・・っ!)


 Gカップが作り出す魅惑の谷間に、観客の視線が集中する。羞恥に頬を染めたまま、穂波は唇を固く結ぶ。

「そのまま次の場所に移動だ」

 レフェリーが穂波の尻を揉むようにしながら押してくる。穂波は乳寄せをしたまま歩き、他の観客の前へと進んでいく。寄せられた乳房は歩くだけで揺れ、男たちの視線が圧迫感を増す。

「よし、ここで止まれ」

 レフェリーは穂波の乳房を押さえながら揉み、穂波を制止する。

「次は、両手を頭の後ろに組むんだ。当然、おっぱいを突き出してな」

「・・・」

 唇を噛む穂波だったが、それでも指示通りに両手を頭の後ろに回し、胸を張る。その一瞬大きく乳房が揺れ、感嘆のため息が零れた。


「うふふ・・・穂波ちゃんの、生グラビアポーズ・・・」

 リングの上で穂波を見つめていた巳詩夜は、頬を赤くしていた。それだけでは終わらず、エプロンの上から自分の胸を掴む。

「あはぁ・・・穂波ちゃんが、あんな格好で・・・」

 そのまま自分の胸を揉みたて、乳首を押し込む。

 突如始まった自慰行為に、観客席から歓声と野次が起こる。それが更に巳詩夜を昂らせ、リング上の自慰は更に熱が篭っていく。


 穂波はレフェリーに尻をぺたぺたと叩かれながら、次の場所へと向かう。

「よし、ここでお尻をお客さんに向けるんだ」

「・・・」

 穂波は言われた通りに観客席へと尻を向ける。

「おいおい、そうじゃないだろう? グラビアポーズだぞ?」

「あぃっ!」

 レフェリーがいきなり乳首を抓ってくる。

「今度はお尻を突き出して、そのまま振り返るんだよ」

「・・・っ」

 穂波は息を呑むが、それでも観客席へと尻を向ける。秘部が見えないように右手で隠しながら、尻を突き出し、上半身を倒し、観客へと顔を向ける。羞恥に頬を染めた穂波の風情に、観客席からは卑猥な野次が飛ばされる。

(ううっ、恥ずかしいよぉ)

 それでも羞恥を耐え、見返りポーズを続ける。

「・・・も、もぉいいでしょ?」

「ああ、そうだな」

 穂波の催促に、レフェリーも頷く。ほっとした穂波はヒップ突き出しポーズをやめ、胸と秘部を隠しながら座り込む。しかし、レフェリーの次の言葉に驚愕する。

「それじゃ・・・M字開脚をしてもらおうか。当然、両手は後ろに回して、な」

「え、M字!?」

 M字開脚とは、両脚で「M」を形作るような開脚ポーズだ。全裸でそのようなポーズを取れば、恥ずかしい箇所が丸見えとなってしまう。

「無理・・・そんなの、無理だよぉ」

「なんだって?」

 首を左右に振る穂波に、レフェリーが冷たく問う。

「何も着てないのに、M字は無理ぃ!」

「罰ゲームを拒むとは・・・お仕置きが必要だな!」

 レフェリーが叫ぶと同時に、マンハッタンブラザーズの二人が穂波に飛びかかる。

「あっ、やぁっ!」

 あっと言う間に取り押さえられ、穂波は両手両足を伸ばしたX字で押さえつけられる。

「罰ゲームもまともにできないとはな」

 そう言いながらも顔はだらしなく緩め、馬乗りになったレフェリーは両方の乳房を揉み始める。

「や・・・やめて、よぉ・・・」

「これは、罰ゲームをできなかったことに対する罰だ。やめられるわけがないだろう?」

 乳首を引っ掻きながら、レフェリーがにやつく。

「だって・・・あぁん!」

 逃れることもできず、穂波は全裸で押さえつけられたまま、乳房と乳首を玩具にされていた。


「あはぁ・・・穂波ちゃん・・・また、苛められてる・・・」

 リングの上での自慰ショーはまだ続いていた。巳詩夜は尻を下ろしたまま大きく足を開いた体勢で、下着の中に手を入れて直接秘部を慰めている。巳詩夜の指が蠢くたびに、リングを卑猥な水音が支配する。

 リングの中とリングの外。美女二人の競艶に、観客からは野次や指笛が飛ばされていた。


「さて、次は・・・」

 穂波の乳房から手を放したレフェリーは、今度は秘部へと手を伸ばそうとする。

「ま、待って・・・」

 穂波は思わずレフェリーを制止していた。

「・・・す、するからぁ・・・」

「うん? 何をするんだ?」

 わかっているだろうに、レフェリーはわざわざ聞き返す。

「M字・・・する、から・・・あぁん!」

「するから、じゃないだろう? させてくださいと言わなきゃな」

 レフェリーは穂波の乳首を潰し、言い直させる。

「し、しますぅ! M字開脚、させてくださいぃ!」

「わかればいいんだ」

 レフェリーが穂波から手を放し、マンハッタンブラザーズも離れる。

(するって言っちゃったけど・・・どうしよう・・・)

 男たちが退き、穂波は再び身体の自由を取り戻す。しかし、引き替えにM字開脚を見せなければならない。

(ちょっとだけ、ちょっとだけ我慢すればいいんだもん・・・)

 そう自分に言い聞かせ、一度身体を起こす。

(でも・・・見えちゃうよ・・・はっきり、見えちゃう・・・!)

 最後の踏ん切りがつかず、穂波は座り込んだまま両膝を閉じたままだ。

「時間切れだ。マンハッタンブラザーズ、手伝ってやれ!」

「やぁん!」

 穂波はマンハッタンブラザーズの二人に抱え上げられ、両手を掴まれ、両膝を持たれ、左右に一気に開かれる。

「だ、だめぇ! 開いちゃだめぇっ! いやぁぁっ!」

 必死に脚を閉じようとしても、男二人の力に敵うわけもない。穂波は秘部も露わに大きく脚を広げられ、あられもない姿を晒されていた。


(おおお・・・っ!)


 観客席がどよめく。元とは言え、人気のグラビアアイドルだった穂波が乳房も、乳首も、そして秘部までも露わとされたのだ。それも当然だろう。

(ああん! 穂波の大事なとこ、しっかり見られちゃってるぅ!)

 元グラビアアイドルとして数々の撮影をこなしてきた穂波は、男たちの視線には敏感だ。男たちの視線から、拘束から逃れようと身を捩るが、体力を失った状態で逃れられるわけもない。結果として乳房を揺らすだけとなり、益々男たちの視線を集めてしまう。

「困ったものだなぁ、藍園選手。自分からさせてください、とお願いしたんだぞ?」

 レフェリーが穂波の顔を覗き込んでくる。

「結局、自分ではM字開脚をできなかったんだ。また罰を与えなきゃなぁ」

 厭らしい笑みを浮かべたレフェリーの顔が、ゆっくりと下ろされていく。

「まさか・・・待ってよ、それは駄目だからぁ!」

 レフェリーの狙いに気づいた穂波が青ざめる。

「いや・・・いやああああん!」

 レフェリーの口が、穂波の秘部に吸いついた。更に舌が動き、穂波の秘裂を舐め回す。レフェリーの両手は穂波の尻を掴み、揉み回す。

「やだぁ、こんなのやだぁ、舐めないでよぉ!」

 穂波が嫌がっても、否、嫌がれば嫌がるほど、レフェリーは興奮のままに穂波の秘部を舐め回す。

 穂波の悲鳴とぺちゃぺちゃという濡れた音がしばらく続いたが、やがてレフェリーが顔を上げる。

「よーし、そろそろ良いだろう。藍園選手をリングに上げろ」

 口を拭ったレフェリーがマンハッタンブラザーズに告げ、二人は息の揃った動きで穂波をリングへと転がし入れる。穂波は逃げるどころか立つことさえできず、うつ伏せのまま荒い呼吸を繰り返す。

「うふふ・・・穂波ちゃん、お帰り・・・」

 自慰を止めた巳詩夜が穂波を仰向けにし、穂波の頬に舌を這わせながら左乳房を愛撫する。

「うっ、うぅっ・・・」

 巳詩夜を跳ね除けることもできず、穂波は同性である巳詩夜の愛撫に喘ぐだけだ。

「結局、罰ゲームをやり遂げられなかったな」

 遅れてリングに上がったレフェリーがしゃがみ込み、穂波の右乳房と巳詩夜の左胸を同時に揉む。

「あんっ・・・レフェリー、悪戯は・・・駄目・・・」

「まあそう言うな」

 巳詩夜の誘うような抗議に口の端を上げながら、レフェリーは二人の美女の乳房を玩ぶ。

「このままじゃ結婚指輪は返せないなぁ」

「な、なんで・・・穂波、あんなに恥ずかしいことしたのに・・・」

「最後までやり切ることができなかったんだ。罰ゲーム失敗だよ」

 レフェリーが蔑むように鼻を鳴らし、乳首を抓る。

「いたっ! いたいよぉ!」

 痛みを訴える穂波に満足したのか、レフェリーは乳首への責めを止める。

「だが、俺も鬼じゃない。最後にチャンスを与えようじゃないか」

 一転して乳首を転がしながら、レフェリーは優しい声を出す。

「グラビアポーズを全部は見られなかったお客さんに、ご奉仕してもらう。それが指輪を返す条件だ」

「そ、そんなぁ・・・」

 レフェリーの言う「奉仕」が、厭らしいものだというのは穂波にもわかる。

「嫌ならいいんだぞ? 指輪はお客さんへのプレゼントにさせてもらう」

「だめぇ! そんなの、絶対だめっ!」

「なら、やるんだな?」

 穂波の噛みつくような剣幕にも、レフェリーは下卑た笑みで応える。

「・・・やれば、返してくれるんだよね?」

「ああ、勿論だ」

 わざとらしいほどに大きく頷いたレフェリーが、リング下へと合図を出した。


「穂波ちゃんだ・・・」

「穂波ちゃんが、目の前に居る・・・!」

 五分後、巳詩夜の退場と入れ替わりで、抽選に当たったファンの男たちがリングへと上がっていた。穂波の裸体に視線を這わせ、興奮を抑えきれない。

「お待たせしました。罰ゲームを完遂できなかったペナルティは、藍園選手の身体でお晴らしください!」

 レフェリーが言い終わるよりも早く、男たちは全裸の穂波に群がっていた。

「あっ、やだぁ、触んないで・・・ああん!」

 幾本もの手が穂波の身体を這い回り、愛撫してくる。

「こんなにいっぱい来ても無理だよぉ!」

 乳房に伸びる手を払っても、また別の手が乳首を触る。

「あんっ!」

 敏感な乳首に触れられると、抑えきれない甘い声が洩れる。

「だ、だめぇ・・・あんっ、ふやぁっ!」

 夫以外の男たちに触られ、快感を得てしまうことは穂波の背徳感を抉る。

「穂波ちゃん、気持ち良い?」

 男の一人の問いに、穂波は激しく首を振る。そんな穂波に、レフェリーが悪魔の囁きを投げかける。

「おいおい、結婚指輪を欲しくないのか? 素直にならないと返せないぞ?」

(・・・指輪、返してもらわないと。仕方ない、よね)

 レフェリーの言葉に、穂波の心は僅かずつ障壁を下げていく。

「・・・穂波ちゃん、どこを触るのが気持ち良い?」

 ここぞとばかりに、男の一人が耳元で囁く。

「・・・ち、乳首」

 一度唾を飲み込んだ穂波は、羞恥の言葉を吐き出す。

「乳首だね?」

「ひぃん!」

 その男だけでなく、何人もの男が穂波の乳首へと指を伸ばし、硬いままの穂波の両乳首を奪い合うように弾く。

「ここはどうなんだい穂波ちゃん?」

 穂波の太ももの間を占拠したでっぷりとした男が、秘裂を優しく擽りながら問いかける。

「ああんっ! そ、そこも・・・」

 何かを言いかけた穂波だったが、寸前で口を噤む。

「穂波ちゃん、はっきりと言ってもらわなきゃわかんないよ?」

「そうだそうだ!」

「はっきり言ってよ!」

 他の部分を触っていた男たちも、急かすように囃し立てる。その間にも乳房、乳首、秘裂には刺激が加え続けられている。

「そ、そこも、気持ちいいよぉ!」

 思わず出した大きな声に、自分自身が引き摺られる。

「ああんっ、き、気持ちいい・・・もっと・・・もっとぉ・・・!」

 そう。

 結婚してからずっと、本当は夫にこうして欲しかった。キスだけではなく、こうして快感を与えて欲しかった。心が一旦快楽に引き摺られ始めると、歯止めが効かなくなっていく。

「おっぱいも、乳首も、アソコも、とっても気持ちいいのぉ!」

 例え快感を与えてくれるのが夫ではなくても、身体は昂る。身体の昂りに合わせ、心も一緒に。

「そうそう、素直になれば良いんだよ。わかってきたじゃないか、藍園選手。その調子で頑張ったら指輪を返してもいいぞ?」

(そうだよ・・・ダーリンからもらった愛の指輪を返してもらうためだもん、仕方ないもん)

 レフェリーの言葉を免罪符とし、穂波は観客たちから与えられる快楽を受け入れていく。

「ああん、あはぁん! あふぅん!」

 感じてもいいんだ、と思ってしまえば、欲求不満ではち切れそうだった若い肉体は快楽へと呑み込まれていく。

 次の瞬間、更なる悪魔の提案が投げ落とされる。

「結婚指輪を取り戻したいんだろう? なら、お客さんにもサービスしないとな」

(そう、なんだ・・・穂波、サービスしなきゃ・・・)

 快感に朦朧としてきた意識は、レフェリーの言葉を疑うこともなく受け入れる。

「えっと・・・おっぱい、触って?」

 近くにあった男の手を取り、豊満な右乳房へと押し当てる。

「ほっ、穂波ちゃん!」

 穂波自らに導かれた男は、乳房を揉み込む。

「お、俺だって!」

「穂波ちゃん、もっと感じてよ!」

「あはあぁぁん!」

 穂波が積極的になったことで、男たちの責めが激しさを増す。

(ああん、気持ちいいよぉ・・・みんなに触られて、穂波、気持ちいいよぉ!)

 一旦箍が外れてしまえば、欲求不満が溜まっていた若い身体は素直に官能へと転がり落ちていく。

(もしこれが、ダーリンとだったら・・・)

 ふと湧いた願望が、桃色の霧となって穂波の心を覆っていく。

(ああっ、ダーリン!)

 心の赴くまま、手近な手を掴む。

「穂波、おっぱいで感じちゃうの!」

 ファンの一人に豊かな乳房を押し当て、口づけまで行う。

「ほらほら、ここも触って? あんっ、穂波ぃ、気持ち良くなっちゃうからぁ」

 指輪を返してもらうためだという言い訳が、穂波を大胆にさせる。更に快感を得ようと、股も大きく開く。

「アソコも、アソコのお豆も、どんどん触ってぇ!」

 夫にこうして欲しかった。ずっと抱いていた望みのままに、穂波は羞恥も忘れて叫ぶ。

 そのとき、二人の黒服が目隠しされた一人の男性を引き摺るように連れてきていた。

「見ろ」

 リング下で、黒服が目隠しを外して端的に命令する。暫くリングの照明の眩しさに目を瞬かせていた男性だったが、大きく目を開いて固まる。

「ほ、穂波・・・」

 それは、穂波の夫本人だった。愛妻の痴態に信じられないという表情を浮かべ、視線は外せないままゆっくりと首を振る。


 穂波のファンによる復讐は、穂波を<地下闘艶場>に上げることだけではなかった。穂波を奪った張本人である穂波の夫、彼自身に精神的な衝撃を与えることこそがファンの復讐心を満足させるものなのだ。


「あれは間違いなく藍園穂波だ。わかるな?」

 黒服の確認にも、穂波の夫は首を横に振り続ける。そうしていれば、目の前の光景が消えてくれるとでも言うように。

「ああん、おっぱい、乳首ぃ! アソコも、感じちゃうのぉ! 穂波、気持ちいいのぉ!」

 その視線の先で、夫にも気づかぬまま穂波は痴態を晒す。幾本もの男の手を受け入れ、処女の身を弄られながら、頬を上気させて身を捩る。

「・・・放してくれ」

 夫は黒服の手を振り払い、力なく俯く。

「・・・君が、こんなに厭らしい本性を隠してたなんて。もう僕は、君を愛せない」

 夫がリングに、穂波に背を向けて花道を下がっていく。その頬を伝うものにも気づくことなく、穂波はリングの上で感じ、喘ぎ、絶頂し続けていた。

「あぁん、おっぱい気持ちいい! 乳首気持ちいい! アソコ気持ちいい! ダーリン、もっとぉ、もっとしてぇ!」

 快楽の故か、穂波の心は今、快感を与えてくるのは愛する夫だと思い込んでいた。

「はふぅん、ダーリン、もっと、もっと、もっとぉ・・・!」

 夫の幻から愛撫を受けながら、穂波はまたも絶頂へと達していた。

「ダーリン・・・愛して・・・る・・・からぁ・・・!」

 その愛の言葉が、夫に届くことはなかった。



特別試合 其の六十へ   番外編 目次へ   特別試合 其の六十二へ

TOPへ
inserted by FC2 system