【特別試合 其の六十二 連道紗夜:合気道 & 笠姫玲於奈:我流】  紹介者:はぐれ観戦者様


 犠牲者の名は「連道(れんどう)紗夜(さや)」。18歳。身長160cm。B89(Fカップ)・W55・H81。

 長い黒髪に雪のような白い肌が特徴の大学生。スレンダーな体型だが、出ているところは出ているスタイルの良さ。育ちの良さを窺わせる美貌だが、優しさよりも冷たさが印象に残る。

「御前」を目の敵にする財閥の一人娘。非常にプライドが高く、父と自分以外を常に見下している。自分の実力には絶対の自信があり、ボディーガードとの組み手でも引けをとらない。

 前回の試合に敗北した紗夜は、「御前」に二度も逆らった罰として「御前」が管理する地下室に幽閉され、訪れた者たちに恥辱の限りを尽くされる。

 快楽と屈辱が繰り返される日々。しかし心までは折れていない紗夜に、「御前」から起死回生の機会が与えられる。再び<地下闘艶場>に出場し、勝った暁には地下室からの解放を約束するとのことだった。

<地下闘艶場>でのリベンジ、地下室からの解放を望む紗夜は迷うことなくそれを受け入れる。しかし、「御前」からは<地下闘艶場>に出場するためにある条件を出される。

 それは、紗夜が知る人間の中で紗夜が美しく、強いと認める女を推薦し、共に<地下闘艶場>に出場することだった。


 もう一人の犠牲者は「笠姫(かさひめ)玲於奈(れおな)」。18歳。身長162cm。B84(Eカップ)・W53・H83。

 真っ赤に染めた髪をツインテールに纏め、気の強さを表したような吊り上がり気味の目が特徴。

 連道紗夜の通うエリート大学の同級生にしてライバル。金持ちになりたいという野心と執念は強く、上流階級の人間が集まる大学に一般家庭出身ながら通っている。その口の悪さや振る舞いに品が無いため、紗夜とは会うたびに口喧嘩をする仲だが、紗夜は心の中ではその野心と執念、美しさを認めている。また、玲於奈自信も紗夜の気高さと美貌を認めている。

 金と地位に対する執着が強く、エリート大学に通うための金を得るためには手段を選ばない。また、男嫌いでもあり、金を得るためにセレブの男と一日デートをしても、心の中では馬鹿にしており、行為に及ぼうとするならば張り倒し、慰謝料を払わせるほどである。

 大学で見かけなくなった紗夜を気にしていた玲於奈に、紗夜からの推薦状が届く、莫大なファイトマネーや上流階級の人間が集まる場であることを知り、玲於奈は出場を決めた。


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 リングへと向かい、二人の美少女が並んで進む。ガウンを纏った二人は先頭を争うように歩を進める。その美貌に向かって、観客席からは卑猥な野次や指笛が飛ばされる。

「うっさい! ぶっ飛ばされたいの!?」

 髪を真っ赤に染めたほうの美少女が叫ぶ。しかしそれは観客の興奮を更に煽り、より酷い野次となって返ってくる。

「玲於奈、まともに取り合っても仕方がありませんわ。さっさと行きましょう」

「偉そうに言わないでくれる?」

 黒髪の美少女の発言に、赤髪の美少女が噛みつく。

 リングに上がる際にもどちらが先に上がるか一悶着あったものの、結局二人同時にリングインとなった。


 リングで二人を待ち受けていたのは、五人もの男たちだった。全員がにやけた笑みを浮かべ、美少女たちを見つめてくる。

「赤コーナー、『男連合軍』、マスク・ド・タランチュラ、早矢仕杜丸、小四郎、ミステリオ・レオパルド!」

 マスク・ド・タランチュラは異様に長い両腕を持ち、蜘蛛の意匠がされたマスクを被っている。

 早矢仕杜丸はリングタイツとリングシューズを身に着けているが、線の細さだけが目立つ。

 小四郎は白い忍者装束を身に着けており、佇まいもいかにもそれっぽい。

 ミステリオ・レオパルドは幾何学文様の入ったマスクを被り、中肉中背だが鍛えているのが一目でわかる。

 そして、蝶ネクタイと縦縞の服を着たレフェリーも居る。

「青コーナー、『エンプレス』、連道紗夜 & 笠姫玲於奈!」

 コールをされる中、何故か紗夜と玲於奈が言い合いをしている。

「なんであっち五人もいんの? おかしくない?」

「これが<地下闘艶場>のやり方ですわ。一応一人はレフェリーですが」

「おかしいってこんなの!」

 美少女二人の言い合いを余所に、リング下では一人の黒服がマイクを持っていた。

「今試合は、特殊ルールとなっております」

 黒服の説明が始まり、観客の野次が小さくなる。

「今回のルールですが、リングアウトがありません。加えてチームマッチとなっております」

 この説明に、観客席がざわめく。ならば、リングに上っている四人の男性選手すべてが責め手となるということではないか。しかもリングアウトがないということは、場外での責めが延々と続く可能性もあるということだ。

 発表されたルールに、紗夜は形の良い眉を寄せていた。

「相変わらず卑怯な手を使うのね」

 紗夜の独白に、玲於奈は鼻を鳴らすだけだった。

「全員ぶっ倒せば勝ち。でしょ?」

 既に気持ちを切り替えた玲於奈の主張は明快だった。

「油断しないことね。ここの卑怯さは筋金入りよ」

「相変わらず口うるさいな」

 言い合いながらも、紗夜と玲於奈はガウンに手を掛ける。ガウンを脱ぎ捨てた二人は、ドレスを纏っていた。

 紗夜は黒いロングスカートドレスだが、左右に深いスリットが入れられており、紗夜の脚線美が覗く。

 玲於奈は髪と同じ赤いドレスだが、丈が相当に詰められたミニスカートだ。こちらは美脚が完全に露わとなっている。

 紗夜も玲於奈もドレスの胸元にカットが入れられ、胸の谷間がはっきりと見えている。下手をすればブラまで見えてしまいそうだ。

 二人の美少女のドレス姿に、会場からは卑猥な野次や指笛が飛ばされる。

「キモいわね。どうにかなんないの? ゲス過ぎて耳が汚れるわ」

 そう吐き捨てた玲於奈に紗夜が冷たい視線を向ける。

「口が悪いわね。自分が下品に見えるわよ」

「なんですって?」

 これにカチンときた玲於奈は、身体ごと紗夜に向き直る。

「あんたね、このゲスい野次聞こえてる?」

「聞こえているに決まっているでしょう? 貴女の汚い言葉遣いもどうかと思いますわ」

「ふん、アタシに助けを求めてきた分際で」

「別に助けを求めたわけではありませんわ。それに、ファイトマネーに食いついてきたのは貴女でしょう?」

 美女二人の口喧嘩に、レフェリーが割って入る。

「まあまあ、言いたいことはわかるが、ボディチェックを受けてもらってだな・・・」

 レフェリーの手が二人の胸へと伸ばされる。その手が豊かな膨らみへと触れる前に、二つの拳がレフェリーの顔面を捉えていた。

「・・・き、貴様ら、レフェリーに暴行したな!」

 顔面を殴り飛ばされたレフェリーが、唾を飛ばす勢いで喚く。

「はん、アタシの胸に触ろうとした変態はどいつよ。殴られて当然」

「そこだけは同意しますわ」

 玲於奈の怒りに、紗夜も同調する。

「こんな反則認められないからな!」

 レフェリーの怒気にも、玲於奈は肩を竦めるだけだ。

「はん、知ったこっちゃないね」

「元々、セクハラそのもののボディチェックこそ認めらないものではありませんか?」

 紗夜も冷たくレフェリーを突き放す。

「この・・・」

 レフェリーは怒りの表情で紗夜と玲於奈を睨む。

 この間、何故か男性選手は顔を寄せ合っていた。

「よし、それじゃ作戦タイムだ」

「それじゃ、拙者は・・・」

「俺は・・・」

 男性選手四人が額を集めて相談し、円陣を解いたときには目が欲望に光っていた。

 紗夜と玲於奈を睨みつけていたレフェリーだったが、鼻を鳴らしてリング下に合図を出す。

「もういい、ゴング!」


<カーン!>


「よっしゃ、いくぜ!」

 ゴングと同時に、紗夜にはマスク・ド・タランチュラと小四郎が、玲於奈には早矢仕とミステリオ・レオパルドが襲い掛かった。

「良し、捕らえ・・・!」

 紗夜の右手首を掴んだ小四郎だったが、それは紗夜が握らせたのだ。

「ふっ!」

 気合一閃、紗夜の小手返しで小四郎がリングへと叩きつけられる。しかし、紗夜がいきなり甘い声を洩らす。

「んっ、あぁっ」

「聞いてた通り、紗夜ちゃんはおっぱいが敏感だな」

 マスク・ド・タランチュラが背後から胸を鷲掴みにしたのだ。

「だ、黙りなさ・・・んぁあっ!」

 胸を揉まれただけでなく、乳首の辺りを刺激されることで力が抜けてしまう。

「おっと、大丈夫か連道選手?」

「立っていられないのならば、我らが支えてやろう」

 レフェリーと小四郎が背後から紗夜を支える。否、背後から捕まえ、胸を揉む。

「それじゃ、俺はこっちを支えてやるよ」

 マスク・ド・タランチュラは紗夜の股間へと手を伸ばし、スカートの上から撫で回す。

「や、やめなさ・・・ああん!」

 言葉とは裏腹に、紗夜の声は甘い。

(こ、これしきのことで、感じるなんて・・・あっ、はぁん!)

 男たちに触られるたび、紛れもない快感が全身に奔る。逃げることもできず、紗夜はセクハラをされ続ける。


「ちっ、いきなりピンチになって!」

 舌打ちした玲於奈はそれでも紗夜を救出に向かうが、早矢仕とミステリオ・レオパルドに遮られる。

「玲於奈ちゃんは、こっちで遊ぼうね!」

 両手の指をわきわきとさせながら、早矢仕が玲於奈に飛びかかる。

「邪魔!」

 しかし玲於奈のカウンターの拳が早矢仕の顎を捉え、一撃で戦闘不能にする。

「このヘタレが!」

 ミステリオ・レオパルドがドロップキックを放つが、玲於奈はこれを躱し、躱すだけでなく背中に膝を打ち込む。

「おごっ!」

 容赦ない背中への攻撃に、鍛えている筈のミステリオ・レオパルドが悶絶する。

「っし」

 ガーツポーズも一瞬に、玲於奈は紗夜へと向かった。


「本当に紗夜ちゃんは敏感だな。ちょっと触っただけで・・・」

「ああん!」

「いい喘ぎ声を聞かせてくれるもんな」

「もっと鳴いてもらおうか」

「連道選手は、嫌らしいことが大好きだからな」

 男たちは口々に勝手なことを言いながら、紗夜の身体を弄り回す。

 そこに、早矢仕とミステリオ・レオパルドを蹴散らした玲於奈が駆けつける。

「退け!」

 玲於奈はレフェリーの尻を蹴飛ばし、小四郎の後頭部にも蹴りを入れる。

「あ、やべ」

 紗夜へのセクハラにのめり込んでいたマスク・ド・タランチュラは慌てて紗夜の秘部から手を放すが、そのときにはもう後頭部に玲於奈の蹴りが叩き込まれていた。

 倒れ込んだマスク・ド・タランチュラをもう見ることもなく、玲於奈は紗夜を見下ろす。

「まったく、手間取らせんじゃないわよ」

 玲於奈の皮肉に、紗夜はぷい、と顔を背ける。

「助けてもらって礼もなし? あんた、どういう教育受けてるの?」

「・・・誰も、助けてなんて言ってませんわ」

 まだ残る官能に息が荒いままだが、紗夜は玲於奈に言い返す。

「はん、アタシだってね、助けなくていいなら助けないわよ。でもね、あんたが負けたらアタシの負けにもなるでしょ? それはヤなの」

 玲於奈が紗夜に人差し指を突き出した、その瞬間だった。

「・・・隙あり!」

「あっ!?」

 玲於奈はいきなり背後から両胸を鷲掴みにされていた。

「な、なにして・・・んんぅ!」

「あれ、玲於奈ちゃん、おっぱい揉まれただけで感じちゃってるの?」

 玲於奈の両胸を揉みながら、早矢仕が嬉しそうに言う。

「うるさ・・・はぁん!」

 早矢仕に口で反撃しようとした玲於奈だったが、胸を揉まれることで遮られる。


 玲於奈も紗夜同様、胸が敏感だった。だからこそ触られることを忌避し、自分の胸へ欲望を向ける男には攻撃的になってしまうのだ。


「れ、玲於奈・・・あんっ!」

「連道選手、息が荒いぞ。大丈夫か?」

 立ち上がろうとした紗夜だったが、またもレフェリーが圧し掛かり、胸を揉みながら秘部を刺激してくる。

「地下室暮らしでかなり感度が上がっているな。気持ち良くて堪らないだろう?」

「あっ、はぁん、はふぅん!」


 紗夜は前回の敗戦の後、地下室へと監禁された。そこでは大金を払った男たちに嬲られ、処女を奪われることだけはなかったものの、毎晩凄まじいまでの性体験を受けさせられた。

 元々敏感な身体は更に開発され、僅かな刺激でも感じてしまうようになってしまったのだ。


 レフェリーの手を振り払うこともできず、紗夜の口からは喘ぎ声が零れる。

「感度だけじゃなくて、おっぱいも大きくなったんじゃないか?」

 レフェリーの指摘は正しく、85cmでEカップだったバストは、毎夜のごとく男たちから揉まれたためか、89cmのFカップへとサイズアップしていた。その美乳が衣装の上からとは言え、レフェリーの思うままに捏ね回され、淫らに歪む。

「よっぽど地下室暮らしが性に合ってたようだな、ええ?」

「だ、黙りなさ・・・はあん!」

 反論も快感責めに封じられる。屈辱を与えられながら、紗夜は官能へと浸されていた。


(紗夜の奴、何してんのよ! くぅっ!)

 苛立つ玲於奈だったが、自らも胸責めに喘ぎ、闘うことができない。

「いてて・・・腰が使えなくなったらどうしてくれるんだ」

 腰の後ろを叩きながら、ミステリオ・レオパルドが立ち上がる。

「ま、いつも通り、身体で返してもらうけどな」

 にやついたミステリオ・レオパルドは、早矢仕に胸を揉まれている玲於奈へと向かう。

(ゲスがもう一人! まずいって・・・あんっ!)

 早矢仕だけでなく、ミステリオ・レオパルドまでもが玲於奈にセクハラを加えてくる。

「玲於奈ちゃん、腰はまずいだろ? 子作りできなくなっちまうだろうが」

 ミステリオ・レオパルドは玲於奈の秘部を撫でる。

「お、お前みたいなのは、子作りしなくて・・・んんんっ!」

「なんだ、玲於奈ちゃんが相手してくれるってのか? 俺は構わないぜ」

 ミステリオ・レオパルドが淫核の辺りに振動を加えたことで、玲於奈は堪らず嬌声を噛み殺す。

「だ、誰がお前みたいな変態と・・・あっ、はぁん!」

「可愛く喘いでくれるなぁ。ツンデレってやつか?」

 玲於奈の秘裂と淫核を同時に弄りながら、ミステリオ・レオパルドがにやつく。

「・・・お前みたいな変態・・・あはぁん!」

「玲於奈ちゃん、おっぱいも気持ち良いでしょ?」

「アソコとどっちが良いんだい?」

 何かを言おうとしても、早矢仕に胸を揉まれ、ミステリオ・レオパルドに秘部を弄られて止められてしまう。

 玲於奈は早矢仕とミステリオ・レオパルドに玩具にされながら、喘ぎ声を耐えるしかできなかった。


「あはぁっ、はふぅ、ひぅん・・・っ!」

 紗夜は自らの身体に与えられる刺激に、弱々しく喘ぐしかできない。

(こ、こんなことくらいで・・・情けない・・・!)

 プライドの高い紗夜には屈辱だが、開発された身体は男たちの責めを快感として受け止めてしまう。

「連道選手、素直に気持ち良くなったらどうだ? 我慢は身体に毒だぞ」

「うむ、無理はいかんな」

「はひぃっ!」

 レフェリーから胸を捏ね回され、小四郎からは秘部を撫で回され、呆気なく昂らされる。

「そら、ここが良いんだろう?」

「ひああっ!」

 レフェリーから、ブラの上からでもわかるほどに立ち上がった乳首に振動を加えられる。

「ならば、ここもどうだ?」

「はひっ、はぁああんっ!」

 加えて小四郎からは下着の上から淫核に細かいつつき責めを与えられ、一気に快楽を生じさせられる。

 そして。

「そら、イッちまえよ!」

「あっ・・・あああんっ!」

 レフェリーの秘部責めと小四郎の胸責めに、紗夜は達してしまっていた。

「はぁぁぁぁぁぁ・・・んっ!」

 隠しようがないほどの嬌声を上げ、紗夜は絶頂に達した。

「くくっ、あっけなくイッたもんだな」

 含み笑いを洩らしたレフェリーは、紗夜から手を放す。

「どれ、そろそろ笠姫選手も楽しませてやろう」

 絶頂した紗夜から離れ、レフェリーも玲於奈へと近づく。

「さ、触るな、変態レフェリー・・・ああん!」

「レフェリーに対して暴言を吐くとはな。これは教育しないとな」

 レフェリーはミニスカートの上から秘部を撫でる。

「玲於奈ちゃんのおっぱい、ぷりっぷりで気持ち良いよ!」

 早矢仕は飽きることなく玲於奈の右胸を揉み続け、玲於奈を喘がせる。

「確かにな。ブラの上からでもわかるってかなりのもんだな」

 ミステリオ・レオパルドはドレスの中に手を突っ込み、ブラの上から左胸を揉む。

「あはぁっ、放せぇ、やめろぉ・・・!」

 玲於奈は必死に首を振るが、胸へと刺激を加えられると力が抜け、反撃まで辿り着けない。

「さすが淫乱お嬢さんの友人だ。随分と感じやすいじゃないか」

 レフェリーの揶揄にも、何も言い返せない。

「ほら、おっぱいと一緒にお尻も揉んでやるよ」

 ミステリオ・レオパルドは玲於奈の左胸を揉みながら、右手で玲於奈のヒップも揉みしだく。

(こいつら、人の身体を好き勝手にしやがって!)

 少しでも厭らしい責めから逃れようと、上半身と腰を捻る。

「お、玲於奈ちゃん、腰が動いてるぜ?」

 その行為に気づき、ミステリオ・レオパルドが勝手な解釈をする。

「だ、誰が・・・はぁん!」

「ほら見ろ、気持ち良いんだろ? 素直になれよ玲於奈ちゃん」

「そうそう、もっとおっぱい揉んであげるから!」

「笠姫選手、自分に正直になって良いんだからな」

 男たちはそれぞれ玲於奈の身体を弄りながら、勝手なことを言う。

(くそぉ・・・こんな馬鹿どもにぃ!)

 玲於奈の屈辱も、快感を退けることはできなかった。


「ここまで感度の良いおなごも珍しい。なに、まだまだたっぷりと喘がせてやろう」

 紗夜の肢体を独り占めする形となった小四郎は、更に嬲るため紗夜を立たせようとする。

「・・・いつまで、セクハラしているの!」

 怒りの声と共に、小四郎の体が回転してリングに叩きつけられる。

「ぐへっ」

 後頭部から落ちた小四郎が、潰れた蛙のような声を上げる。

「立ちなさい!」

 紗夜が手首を極めることで、小四郎は痛みによって立ち上がらざるを得ない。

「ふっ!」

 紗夜は小四郎の体を投げ飛ばすことで、玲於奈を捕えていたミステリオ・レオパルドへの攻撃とする。

「うごっ!」「うわっ、なんだ?」

 男性選手たちの焦りに、玲於奈の拘束が緩む。

「ざっけんなよ!」

 その瞬間、玲於奈の怒りが拳に乗り、男たちを叩きのめす。紗夜も加勢し、あっという間に男たちをリングに這わせる。

「ストップだ! 試合を止めろ!」

 しれっと逃げていたレフェリーが、大きく両手を交差させる。


<カンカンカン!>


 男性選手がすべて戦闘不能となり、試合終了のゴングが鳴らされる。

「ったく、好き勝手してくれちゃって」

 玲於奈は真っ赤な髪を掻き上げて毒づく。

「なんにせよ、勝てて良かったですわ」

 心なしか頬を染めた紗夜は小さく息を吐く。

「おい、まさかこれで終わりだとは思ってないよな?」

 そこに、レフェリーから怒りの声が投げられる。

「ボディチェックを受けないだけじゃなく、レフェリーに危害を加え、暴言まで吐いた。もう一試合してもらうぞ。連道選手には懐かしい相手に、な」

「当然、受けますわ」

 紗夜には次の対戦相手が誰だかわかる。自分を屈辱と羞恥に塗れさせ、地下室に陥れた相手だ。

「やるに決まってるわよ」

 玲於奈も追加試合を承諾する。自分の身体を玩具にされた屈辱に、腸が煮えくり返っているのだ。それをどこかにぶつけないとぐっすり眠れない。

 二人の返答に、レフェリーがにやりと笑う。

「それじゃ、少しだけ待っていてくれ」

 そう言い残し、レフェリーはリング下の黒服に何かを告げた。


 暫し時間が過ぎ、花道に人影が現れる。リングに上がった人影は、先程の試合とは違い、三人の美女だった。

 三人全員がリングに上がったところで、それぞれのコールが行われる。

「赤コーナー、『女連合軍』、茨木美鈴、唐辻巳詩夜、朱花紫壇!」

 茨木美鈴は漆黒のレザーボンデージに長身を包み、その豊かなポロポーションを惜しみなく晒している。

 唐辻巳詩夜も同様に漆黒のレザーボンデージ姿で、下ろした前髪で目元が見えない。しかし、何故か淫靡な空気を纏っていることはわかる。

 朱花紫壇はボンデージ姿の二人から少し距離を取り、緋牡丹の咲いた着流し姿を隠すように両手を胸元の辺りに置いている。

「青コーナー、『エンプレス』、連道紗夜 & 笠姫玲於奈!」

 コールされる間に、紗夜と玲於奈の二人は改めて服装を整える。そのとき、リング下の黒服がマイクを通して話し出す。

「この試合は、ルールが変更になります」

「ルール変更?」

「しっ」

 玲於奈の呟きを紗夜が嗜める。玲於奈は紗夜を睨みつけるが、口は閉じる。

「一対三のハンディキャップマッチとなります。連道紗夜、笠姫玲於奈組は一人で、茨木美鈴、唐辻巳詩夜、朱花紫壇組は三人での闘いとなります」

 黒服の説明に、玲於奈は眉を上げる。

「一対三とか・・・卑怯なことばっか」

「これが<地下闘艶場>ですわ」

 吐き捨てる玲於奈に、紗夜が投げやりに返す。

「アタシが先に出る。ムカついてたまんないから」

 玲於奈は両拳を打ちつけ、一歩前に出る。

「ええ、どうぞ」

 先程絶頂させられた紗夜は体力回復のため、玲於奈に先陣を譲る。

「女相手でも、手は抜かないからね」

 玲於奈の視線が、対面のコーナーに居る三人の女性選手を射抜いた。


<カーン!>


 ゴングを合図に、玲於奈は油断なく距離を詰めていく。

「ふふっ、新しい子猫ちゃん、たっぷりと可愛がってあ・げ・る・わ!」

「うふふ・・・楽しみ・・・」

 舌なめずりして待ち受けるのは、美鈴と巳詩夜だった。紫檀は口を開くことなく、緩く握った右手を突き出す独特な構えを取る。

(さあってと・・・どいつからぶっ飛ばせばいいかな?)

 玲於奈は油断なく構えながら、目線だけを動かし三人を値踏みする。

「・・・うふふ」

 しかしそれも僅かの間だった。巳詩夜が低い姿勢からタックルの体勢で突っ込んできたのだ。

「食らうかっての!」

 バックステップから真横に飛ぶことで回避した玲於奈だったが、そこには美鈴が待ち構えていた。

「いらっしゃい!」

「くっ!」

 美鈴のベアハッグを寸前でしゃがむことで躱し、更に前転で距離を取る。

(やっぱ相手のほうが多いと・・・っ!?)

 立ち上がった瞬間、腹部で痛みが弾けていた。紫檀の狙い澄ました肘打ちがめり込んでいたのだ。

「ぐううっ!」

 痛みを堪えて裏拳を放つ。しかしもうそこには紫檀の頭部はなく、盛大に空振る。

「隙・・・見つけた・・・」

「あぐぅっ!」

 巳詩夜のタックルがまたも腹部を襲い、その勢いのまま相手コーナーまで押し込まれてしまう。

「がっ!」

 背中をコーナーポストで強打し、一瞬息が詰まる。

「良くやったわね、巳詩夜」

「ああ・・・女王様の、お褒めの・・・言葉・・・」

「紫檀、捕まえなさい」

「・・・はい」

 紫檀が玲於奈の背後に回り、玲於奈の脇の下から両手を入れ、玲於奈の首の後ろで両手を組む。

「ああ、巳詩夜は足を押さえておきなさい。豚みたいに四つん這いになって、ね」

「そんな・・・女王様・・・酷い・・・」

 酷いと言いつつ、巳詩夜は頬を上気させて玲於奈の両足を抱え込む。きちんと四つん這いになりつつだ。

「ご苦労様」

 美鈴はヒールで巳詩夜の頭を踏みつけ、更にぐりぐりと踏みにじる。

「あっ、はぁん・・・」

 それなのに、巳詩夜が上げるのは痛みの声ではなく嬌声だ。

(こいつら・・・ホントに変態だ・・・)

 痛みと拘束で身動きできない玲於奈の背を、悪寒が奔る。

「さて、と・・・」

 巳詩夜の頭を踏みつけていた美鈴の視線が、玲於奈の顔へと向けられる。

「子猫ちゃんは、おっぱいが弱いのね?」

 美鈴の指が踊り、玲於奈の胸を愛撫する。

「さ、触んな変態・・・んんっ!」

「ふふっ、おっぱいで気持ち良くなる子猫ちゃんは、変態じゃないとでも言うのかしら?」

 美鈴の指が蠢き、服の上からとは言え玲於奈の両胸と乳首を刺激する。

「やめ・・・あっ、んんぅ!」

「ほぉら、ここはどうかしら?」

「あっ、はっ、はぁぅ・・・」

 美鈴の巧みな責めに、拘束された玲於奈は喘ぐしかできない。逃れようとしても、三人から押さえつけられている。自分の胸を玩具にされる屈辱を耐えるしかないのだ。


(このままでは!)

 嬲られる玲於奈を見ておれず、救出に向かおうとした瞬間だった。

「おいおい紗夜ちゃん、勝手な乱入は駄目だぜ?」

 背後から紗夜の両胸を掴み、揉み回すことで紗夜を止めたのはマスク・ド・タランチュラだった。しかもリング下に引き摺り下ろされてしまう。

「はぁん、は、放しなさ・・・はああっ!」

「そう言わず、我らに付き合ってもらおう」

「紗夜ちゃんの身体、気持ち良いしね!」

 小四郎と早矢仕も紗夜の身体に群がり、胸、尻、太もも、秘部などを弄(まさぐ)る。

(ああっ、玲於奈を助けに行かないと、いけない、のにぃ・・・!)

<地下闘艶場>での数々の嬲り責め、地下室での玩びと奉仕により、元々敏感な紗夜の身体は恐ろしいほどの感度を備えてしまった。今男たちに服の上から身体を弄られるだけで、簡単に昂ってしまう。

「ま、暫く俺らと遊ぼうぜ」

「お断り・・・あっ、あぁぁっ!」

 玲於奈を助けに行くことはできず、紗夜は男たちの玩具にされ続けた。


「随分とおっぱいが好きなのね」

 玲於奈の両胸を揉み、乳首を刺激しながら、美鈴が艶美に笑う。

「・・・だ、誰が・・・くぅっ!」

「ふふっ、ほら、声が甘いわよ?」

 更に乳首へと振動を加えながら、美鈴は淫らに囁く。

「ほら、言ってごらんなさい? 『もっと気持ち良くしてください、女王様』とね」

「・・・年増のおばさんのくせに、何言ってんの?」

 快感を堪え、玲於奈は美鈴を睨みつける。

「・・・生意気な小娘ね。パートナーと同じ目に遭わせてあげる」

 美鈴が顎で紫檀に命じ、紫檀は玲於奈をリング下に下ろそうとする。そのときだった。

「・・・放せっ!」

 紫檀の視線が自分から外れた瞬間、玲於奈は紫檀を蹴り放し距離を取る。

(一度場外に出て、紗夜を助けておかないと。まったく世話がやけるっての!)

 転がってリング下に降りた玲於奈だったが、いきなり動きを止められていた。

「うふふ・・・逃がさ、ない」

 玲於奈の胴にぬるりと巻きついたのは、巳詩夜の両腕だった。しかも玲於奈の両胸を掴み、ねとりと刺激してくる。

「あふぅっ!」

「うふふ・・・玲於奈ちゃん、いい声・・・」

 服の上からだと言うのに、巳詩夜の巧みな責めに玲於奈は喘いでしまう。

「逃げようとした、罰・・・脱ぎ脱ぎ、しよ・・・?」

 巳詩夜は玲於奈のドレスに手を掛けると、まずは肩紐をずらす。

「あっ・・・」

 ドレスが肩から滑り落ち、ブラが露わになる。紫色で細かい装飾が入った大人っぽいものだった。

「うふふ・・・色っぽいの、着けてる・・・ね」

 ブラの上から乳首を刺激しながら、巳詩夜は玲於奈の首を舐める。

「うっさい! 何着ようが勝手・・・んっ!」

 反攻しようにも、胸責めによって力が抜けてしまう。

「やめろ変態!」

「ありがとう・・・うふふ・・・」

「褒めてなんかな・・・はうっ!」

 玲於奈は巳詩夜の手管に翻弄され、喘ぐばかりだ。

「それじゃ・・・おパンツ、拝見・・・」

 巳詩夜は左手で玲於奈の左胸を揉みながら、右手だけで器用にドレスを脱がしていく。

「・・・うふふ・・・これが、玲於奈ちゃんの・・・おパンツ・・・」

 玲於奈が穿いていたのは、なんと紫色の紐パンだった。

「うふふ・・・玲於奈ちゃん、エッチなんだ、ね・・・」

「違うって、そんなんじゃ・・・あっ、はぁうっ!」

「ほら・・・エッチな声が、出ちゃう・・・」

 巳詩夜の巧みな秘部への愛撫に、玲於奈は喘ぎ続ける。

「・・・このままだと、飽きちゃう・・・ね・・・」

 玲於奈の両胸を揉みながら、巳詩夜は小首を傾げる。その目が妖しく光る。

「それじゃ・・・行ってらっしゃい・・・」

 なんと次の瞬間、巳詩夜は玲於奈を観客席に突き飛ばしていた。色責めに力が入らない玲於奈の身体は鉄柵を乗り越え、観客たちに抱き止められていた。

「玲於奈だ!」

「玲於奈が来たぜ、来やがった!」

 忽ち男たちの手が伸び、玲於奈の肢体を揉みくちゃにする。

「なにすんだよあんたたち! 触るな・・・あうっ!」

 気丈にも叫ぶ玲於奈だったが、乳首の辺りに触れられると力が抜けてしまう。

「玲於奈、お前が忘れても、俺は忘れてないぞ」

「お前からふんだくられた慰謝料の分、たっぷりと身体で返してもらうからな」

 玲於奈が放り込まれたのは、玲於奈に恨みを持つ男たちだった。


 玲於奈はデートをすれば相手にデート代の全てを払わせ、高いプレゼントを買わせ、そのくせ手出しは一切許さなかった。もし手を出して来ようものならば実力で叩きのめし、高い慰謝料を分捕ってきたのだ。


「う、うるさい、アタシに手を出すのが悪い・・・ちょっと!」

 いきなりブラが外され、引き締まった身体とは裏腹に膨らんだ乳房が解放される。

「こんだけのおっぱい隠してやがって、生意気な奴だ」

 早速男たちの手が伸び、乳房を揉みくちゃにする。

「さ、触るな・・・あっ、はぁん!」

 元々敏感な乳房だ。服の上からでも感じていたのに、直接触られると更に官能を掻き立てられてしまう。

「おっと、もう乳首がビンビンだぞ」

「ぁっ、ぁあっ、はぁあっ!」

 乳房だけでも感じてしまうのに、更に敏感な乳首を直接弄られ、あられもなく嬌声をあげてしまう。

(くそぉ、男なんかに、アタシの身体を好き勝手にされるなんてぇ!)

 与えられる快感と屈辱に、玲於奈は歯を食い縛った。


「・・・困るのよねぇ、簡単な命令で失敗されると」

 リングの上では、美鈴が紫檀を冷たい視線で問い詰めていた。そのままゆっくりとした足取りで紫檀の周囲を回る。

「反省しているのかしら?」

 美鈴は背後から紫檀の胸を揉む。

「まったく、巳詩夜が捕まえたからいいものの、逃がすなんて何を考えているのかしら?」

 美鈴は紫檀の胸を揉みながら、言葉でも責め立てる。

「・・・すみませんでした」

 それでも紫檀は逃げることもせず、美鈴のセクハラを耐える。

「そうねぇ・・・罰として、ストリップでもしてもらおうかしら?」

「っ!」

 驚きに身を硬くする紫檀だったが、それでもこくりと頷く。

「それじゃ、早速脱ぎなさい」

 美鈴が離れると、紫檀は帯の結び目を解く。帯がリングに落ちて着流しの前が開き、下着の上下とブラに包まれた谷間が覗く。恥ずかしげに顔を伏せる紫檀だったが、美鈴が冷たく問い詰める。

「あら、それでストリップをしたつもり? まだ脱ぐものが残ってるわよ」

 びくりと身体を震わせた紫檀だったが、着流しに手を掛け、肩から滑り落とす。そして、膨らんだ胸元、鍛えられて引き締まった腹部、張り出した臀部という、下着に包まれながらも魅力的な肢体が現れる。

「・・・これで、許してください」

「ふぅん。私に意見するのね?」

「い、いえ、そういう訳では・・・んっ!」

 いきなり秘部を撫でられ、紫檀は息を呑む。

「口応えは許さないわ」

「は、はい・・・っ」

 半裸の美女が女王様に嬲られる光景に、観客席からは野次や厭らしい視線が飛ばされていた。


 一方、紗夜は男性選手たちに嬲られ続けている。

「あっ、あぁっ、ああん!」

「紗夜ちゃんはどこ触っても感じちゃうんだな」

 紗夜の胸を揉みながら、マスク・ド・タランチュラがにやつく。

「あっちも面白いことになっているな」

 紗夜の秘部を弄りっていたレフェリーは、観客たちにセクハラされている玲於奈のほうを見ていた。

「お前たち、一旦ストップだ」

 レフェリーはマスク・ド・タランチュラ、早矢仕、小四郎に声を掛け、紗夜への責めを止めさせる。

「なんでだよ、まったく」

「まだ早いっすよ」

「どういうつもりだ?」

 口々に文句を言いながら、それでも男たちは紗夜から離れる。

「まあ見ていろ」

 見得を切ったレフェリーは、紗夜へと視線を向ける。

「それじゃ連道選手、自分でドレスを脱いでもらおうか」

「・・・お断り、ですわ」

 レフェリーの命令を、紗夜はきっぱりと拒む。レフェリーの狙いはわからないが、自分から服を脱ぐなどという恥ずかしい行為をする筈がない。

「嫌なら嫌でいいが、笠姫選手が失格になるぞ。それでもいいのか?」

「そんな・・・」

 もし玲於奈が失格となれば、<地下闘艶場>側の女性選手三人との闘いを一人で勝ち抜かなければならない。それだけではない、レフェリーや男性選手が手を出してくる可能性もあるのだ。

 それを考えれば、ここで玲於奈を失うわけにはいかない。

「・・・」

 それでも、自ら服を脱ぐことに羞恥が沸く。

「脱がないのか? それなら笠姫選手は失格に・・・」

「ま、待ちなさい!」

「待ちなさい?」

「・・・待ってください」

 言い直した紗夜は、レフェリーの目を見る。

「・・・脱ぎますわ。なので、玲於奈を失格にはしないでください」

「ああ、わかった。それじゃ早速脱いでもらおうか」

 レフェリーの命令に、立ち上がった紗夜は一度深呼吸する。

(あくまで・・・あくまで勝利のためですわ)

 そう自分に言い聞かせるが、手は動いてくれない。

「やっぱり脱がないのか、それなら笠姫選手は・・・」

「ぬ、脱ぎますわ」

 覚悟を決めた紗夜は黒のドレスに手を掛け、肩紐を滑り落とす。紗夜の滑らかな曲線に沿って、ドレスは床へと落ちた。


(ぉぉぉ・・・っ!)


 メリハリの利いた紗夜の肢体は、漆黒の下着にのみ守られている。観客の視線が釘付けになり、生唾を飲む音も聞こえる。

「・・・脱ぎましたわよ」

 紗夜は羞恥を堪え、わざと腰に手を当ててレフェリーを睨みつける。

「やっぱりいい身体をしているな」

 紗夜の全身を眺め回し、レフェリーがにやつく。

「だが、まだ下着が残っているぞ」

「な、何を言って・・・!」

「おいおい、ドレスだけでいいと思ったのか? そんなわけがないだろう?」

 レフェリーがにやつく。

「それとも、笠姫選手が失格でいいと言うことか?」

(この男、相変わらず卑怯なことを・・・!)

 唇を噛んだ紗夜だったが、両手を背後に回す。ホックを外してから肩紐を抜き、乳房を隠しながらブラを脱ぎ去る。美少女のストリップに観客が沸く。しかし、それでも終わらなかった。レフェリーが黒のパンティを指差したのだ。

「それじゃ、最後の一枚も脱いでもらおうか」

「そ、そこまでしないといけませんの!?」

 乳房を隠したまま紗夜が叫ぶ。

「ああ、そこまでしてもらう。嫌なら、笠姫選手が失格になるだけだ」

「そんな・・・」

 受け入れられない条件を突きつけられ、紗夜は乳房を隠したまま下を向く。それでもレフェリーは容赦しない。

「さあ、どうする? 失格でいいんだな?」

「・・・脱ぎますわ」

 玲於奈を失格で失うわけにはいかないのだ。紗夜は左手で乳房を隠したまま、右手をパンティに掛ける。だが、そこで動きが止まってしまう。

(これを脱げば、全裸となってしまう・・・)

 羞恥が紗夜を縛る。

「客の前で何度も素っ裸にされているんだろう? 何を今更恥ずかしがっているんだ?」

「そ、そんなことは関係ありませんわ!」

 レフェリーの言葉を否定しても、状況が変わるわけでもない。しかし、どうしても最後の一枚を脱ぐことができない。

「仕方ない、お前たち、手伝ってやれ!」

 レフェリーの合図に、忽ち男性選手たちが襲い掛かってくる。

「お仲間を守りたいんだろ? さっさと脱ぎなよ」

「そうだぞ、ここは羞恥を堪えて脱ぐのだ」

「紗夜ちゃんのおっぱい、気持ち良いね!」

 勝手なことを言いながら、男たちはまたも紗夜の身体を弄り回す。しかもパンティには手を触れず、セクハラを続ける。

「あっ、あぁっ! て、手を・・・はあん!」

「ん? 手がどうした?」

「ああ、手を動かして欲しいんだな、わかったわかった」

「ち、ちが・・・ああん!」

 抵抗しようにも、敏感な身体を弄られると力が抜けてしまう。乳房を、乳首を揉まれ、扱かれ、喘ぐしかできない。

「おいレフェリー、そろそろいいか?」

 マスク・ド・タランチュラの問いに、レフェリーは自分の顎に手をやる。

「そうだな・・・いや、待て」

 何を思いついたのか、レフェリーが下卑た笑みを浮かべる。

「最後の一枚は、お客さんに脱がせてもらおうか」

 レフェリーの提案に、観客席が沸く。

「えーっ、紗夜ちゃんのパンツ脱がしたいっすよー」

「客を喜ばせるのも我らの仕事だ、諦めろ」

 早矢仕のぼやきを小四郎が嗜める。その間にマスク・ド・タランチュラは紗夜を立たせ、秘部に手を入れる。

「それじゃ紗夜ちゃん、行ってらっしゃい!」

 そのまま抱え上げ、観客席へと投げ込んだ。

「おおっ、来たぞ!」

「どれ、早速!」

 忽ち何本もの手が伸び、漆黒のパンティを掴む。あぶれた手は乳房を、乳首を、太ももを弄(まさぐ)り、欲望を満たそうとする。

「ああっ、やめっ、んっ、だめぇ、はぁん!」

 敏感な身体は僅かな刺激でも快楽を生じ、意味のある言葉を発することができない。

「ああっ!」

 次の瞬間には、パンティが幾つもの布切れへと引き千切れ、紗夜はまたも全裸とされていた。そのことを恥ずかしく思う間もなく、秘部へも新たな手が殺到してくる。

「あっ、やっ、はんっ、ひぐぅっ!」

 乳房を揉まれ、乳首を潰され、秘裂を弄られ、包皮を剥かれ、淫核を撫でられる。敏感な箇所を同時に責められることで、官能が一気に爆発する。

「・・・ちょっと待ったぁ!」

 観客の手に喘ぐ紗夜に興奮したのか、マスク・ド・タランチュラが観客席へと乱入していた。

「はいはいお客さん、ちょっとごめんな」

 言葉だけで謝りながら、マスク・ド・タランチュラは観客の手から紗夜を奪う。これには当然不満の声が上がる。

「まあ待ちなって、ちゃんと訳があるからよ」

 早速紗夜の右乳房を揉みながら、マスク・ド・タランチュラが含み笑いをする。

「これからファンサービスだ。お客さんの見たいもの、目の前でみせてやるよ!」

 このマスク・ド・タランチュラの宣言に、観客席が大きく沸く。

(この男、一体何を・・・)

 紗夜の疑問に答えるように、マスク・ド・タランチュラは長い左腕を紗夜の両腕に巻きつけ、頭上に上げさせる。しかも両足を紗夜の太ももの間に入れ、無理やり抉じ開けようとしてくる。

「なっ、やっ、やめなさい!」

「諦めろよ紗夜ちゃん、おとなしくしな」

「ひぃん!」

 マスク・ド・タランチュラの乳首責めに、脆くも腰砕けになってしまう。

「そぉら、開脚完了!」

 次の瞬間、マスク・ド・タランチュラの得意技<タランチュラホールド>が完成していた。紗夜は両腕を縛められただけでなく、開脚までも強いられていた。

「ああっ、やめなさい! こんな恥ずかしい格好・・・!」

 必死に首を振って逃れようとする紗夜だったが、タランチュラホールドは外れず、徒に乳房を揺らすだけだ。観客たちもじっとその様を見つめていたが、一人の観客が口を開く。

「・・・触ってもいいかな?」

「紗夜ちゃんには触ってもいいけど、俺の〇〇〇は触らないでくれよ?」

 マスク・ド・タランチュラの下品な冗談に、観客たちも下卑た笑みで応えながら紗夜の肢体を撫で回していく。

(こんな大股開きで、厭らしいことをされ続けられるなんて・・・!)

 地下室での経験からか、恥ずかしい姿勢で嬲られることで、紗夜は一層感じやすくなっていた。

「はぁあん! いやぁ、あっ、あはぁん!」

 屈辱と羞恥に身悶える紗夜だったが、びくりと一際強く身体を震わせる。

「ああっ、駄目ぇ、いや・・・・」

 紗夜が弱々しく首を振ったのは、ある予兆への恐怖だった。

「はっ・・・はぁぁぁぁぁぁぁん!」

 全裸のままタランチュラホールドに捕らえられ、観客にまで身体を弄られ続けた紗夜は、今日一番の絶頂に達してしまった。


「くそぉ・・・あうっ! はぁん!」

「悔しいか? 悔しいのか?」

「俺たちが受けた屈辱は、こんなもんじゃないぞ」

 玲於奈もまた男たちから全身を弄り回されていた。特に乳房と乳首には男たちの手が集中し、弱点を責められるたびに喘いでしまう。

(こんな・・・こんな下らない男どもに、好き勝手にされるなんて!)

 屈辱に身悶える中、更なる屈辱が与えられる。

「そろそろ、パンツも脱いでもらおうか」

 男の手がパンティにかかる。

「ふふふ、唇はどんな味かな?」

 別の男が玲於奈の顎を摘み、口を寄せてくる。

「・・・ざけんなっ!」

 ここまでするのかという怒りが、玲於奈を突き動かす。

「退けゲスども!」

 辺り構わず殴りつけ、蹴りを入れ、怯んだところで鉄柵を乗り越えてリング下へと戻る。

「く・・・くそぉ・・・」

 しかし、そこが限界だった。セクハラを受け続け、もがき、脱出するために体力を使ってしまった。

「うふふ・・・ここでお寝んねしちゃ・・・駄目・・・」

「はふぅん!」

 いきなり乳首に電流が奔る。いつの間にか背後を取っていた巳詩夜が、抱きつきながら乳首を転がしたのだ。そのまま一緒にリングへと転がり入る。

「や、やめろ、変態・・・!」

「うふふ・・・誉め言葉、ありがとう・・・」

 玲於奈の言葉に、巳詩夜は逆に喜ぶ。

(くそっ、こいつ本物の変態だった・・・)

 唇を噛んで乳首への刺激に耐える玲於奈の上に、影が落ちた。

「お帰り、子猫ちゃん」

 猫撫で声は美鈴だった。

「ほら、立ちなさい?」

「あんっ!」

 敏感な乳首を転がされ、更に引っ張られることで無理やり立ち上がらせられる。

「巳詩夜」

「はい・・・女王様・・・」

 名を呼ばれた巳詩夜は、玲於奈の背後に回ってフルネルソンに捕える。

「ふふっ、厭らしい子猫ちゃんねぇ。乳首を触られるだけで感じちゃうなんて」

「あうぅっ!」

 美鈴は乳首を捏ね繰り回しながら、玲於奈を喘がせる。

「厭らしい子猫ちゃんに、下着なんて必要ないわよねぇ?」

 わざとらしく訊いた美鈴は、玲於奈の紐パンへ手を伸ばす。

「ば、馬鹿、止めろ! 脱げちゃうだろ!」

「誰にそんな口を利いているのかしら?」

 美鈴の表情が冷たく変わる。そのまま、一気に紐を解いた。

「ああっ!」

 玲於奈の秘部を守っていた最後の一枚が、リングに落ちた。玲於奈の裸体を、リング内外からの視線が犯す。勿論、それだけで済むはずがない。

「まずは・・・こうよっ!」

「ぐふっ!」

 美鈴が巳詩夜を顎の動き一つで離れさせ、玲於奈をコーナーポストへと叩きつけたのだ。

「ぐぅぅ・・・」

「さあ、子猫ちゃんの性教育を始めるわよ?」

 悠々と近づいた美鈴は、玲於奈の両乳房を弾ませ、敏感な乳首を転がす。

「くふぅっ!」

「ふふっ、気持ち良いのね? 子猫ちゃんはおっぱいが好きねぇ」

 美鈴は両足を広げて玲於奈の胸の感触を楽しみ、その足の間から巳詩夜が四つん這いで玲於奈に近づく。

「うふふ・・・玲於奈ちゃんの、○○○○・・・舐めてあげるね・・・?」

 守るものが無くなった玲於奈の秘部へ、巳詩夜が吸いつく。

「ふやぁっ?」

 初めて受ける秘部への舐め責めに、玲於奈の腰がひくつく。

「うふふ・・・気持ち、良い・・・?」

「気持ち良いに決まってるわよ、ねえ?」

「はふぅん!」

 全裸とされた玲於奈は、美女二人に敏感な箇所を責められ、ただ喘ぐしかできない。

「気持ち良さそうだな、笠姫選手」

 いつの間にかリングに戻っていたレフェリーが、全裸で嬲られる玲於奈の肢体を見つめる。

「レフェリー、手出しは無用よ」

「お、おい、そんな意地悪を・・・」

 レフェリーの言葉など無視し、美鈴と巳詩夜は玲於奈の「教育」を続けていく。

「くそぉ・・・ああん!」

 屈辱に歯噛みしながらも、玲於奈は腰をびくつかせた。


「あっ、はぁん、あはぁあん!」

 達したばかりの紗夜の身体を、観客たちの手が這い回る。それだけで紗夜の息が荒くなり、頬は染まる。美少女の恥辱に塗れた反応に、観客の興奮も高まる。そのため、更に手の動きが激しくなる。激しくなり過ぎた。

「おい待て、男に触られる趣味はないんだよ! やめろ、触るなって!」

 興奮した観客が手を伸ばし、マスク・ド・タランチュラの腕や足、それ以外にまで触れてきたことで、マスク・ド・タランチュラは<タランチュラホールド>を解いてしまう。

(い・・・今しか、ない・・・!)

 紗夜は死力を振り絞り、マスク・ド・タランチュラと観客を振り払い、鉄柵を乗り越える。

「ほら見ろ、紗夜ちゃんに逃げられ・・・うわぁっ!?」

 紗夜が居なくなったことで、そのスペースに観客が折り重なり、マスク・ド・タランチュラの上に落ちてくる。

「あぐえっ」

 気絶まではしなかったものの、マスク・ド・タランチュラも身動きが取れなくなってしまった。

「はあ・・・はあ・・・」

 荒い息を吐きながらも、紗夜はリング下にまで戻ってくる。

「待った、紗夜ちゃん」

「今度は我らと遊んでもらおうか」

 しかし、その前に早矢仕と小四郎が立ち塞がる。

「・・・」

 しかもその背後に、下着姿の紫檀までもが現れる。

(男二人でも厳しいのに、手練れの彼女まで・・・)

 それでも、勝利のためには足掻くしかない。構えを取ろうとした瞬間、早矢仕が崩れ落ちた。

「・・・え?」

 理解が追いつかない紗夜の目の前で、小四郎が慌てて避ける姿が目に入る。しかしその喉に、嫋やかに曲げられた人差し指の第二関節が叩き込まれ、小四郎も地に這った。喉を押さえて転げ回る小四郎は黒服に押さえつけられ、担架に乗せられて退場していった。

「なぜ・・・」

 紗夜は、敵である筈の女性を見つめていた。その視線の先で、下着姿の紫檀はリングを指差す。その理由はわからないが、狙いはわかった。頷いた紗夜は、ロープの下からリングに転がり入る。

「?」

 その行動に気づいた美鈴が振り向く。

「・・・オラァッ!」

 美鈴の責めが一瞬止んだことで、玲於奈は美鈴を突き飛ばし、巳詩夜の背に鉄槌を入れ、転がりながら距離を取る。

「・・・いつまで遊んでんの、こっちは大変だったんだからね」

「それはこちらの科白ですわ。貴女が観客に捕らわれたおかげで・・・」

 またも言い合う美少女二人だったが、今の状況ではすぐに打ち切る。

「玲於奈、ここは力を合わせますわよ」

「・・・あんたとなんか、お断り・・・と言いたいとこだけど、勝つためだもんね」

 全裸とされた美少女二人の視線がぶつかり、小さく頷く。

「油断したわね。まあいいわ、巳詩夜、また捕まえてきなさい」

「はい・・・美鈴女王様・・・あんっ」

 美鈴に尻を叩かれ、巳詩夜がゆらりと前に出る。

「うふふ・・・玲於奈ちゃん、また・・・捕まえてあげる・・・」

 前髪の下で巳詩夜の瞳が光る。

「寝言は寝て言えっての変態女」

 散々辱められた怒りに、玲於奈の目も剣呑な光を放っている。

「うふふ・・・!」

 巳詩夜が腰高のタックルで玲於奈に迫る。玲於奈を捕らえたかに見えた瞬間、巳詩夜の顎が跳ね上がっていた。玲於奈の右アッパーが巳詩夜の顎を打ち抜いていたのだ。

「ふっ!」

 更に紗夜が、巳詩夜の右腕を引き、肩を支点にしてロープの向こう側へと放り投げる。

「あんたみたいな変態女は、変態客と遊んでなよ!」

 ぎりぎりでロープを掴んだ巳詩夜に、玲於奈の飛び蹴りが直撃する。トップロープを越えて落ちていく巳詩夜に、更に玲於奈の横蹴りが突き刺さった。その勢いで吹っ飛んだ巳詩夜は、観客席へと落ち込んだ。

「M女がきたぞ!」

「構うものか、ひん剥いてやれ!」

 途端に観客たちは巳詩夜へと手を伸ばし、レザーボンデージを剥ぎ取っていく。

「ああん・・・駄目、そんなこと・・・あぁん・・・」

 駄目だと言いながらも、巳詩夜は観客を止めようとはしない。それどころか、悦びの声を上げていく。

「やってくれるじゃない」

 巳詩夜がこれほどあっさりと戦闘不能にされるとは思わず、美鈴が鋭い目で紗夜と玲於奈を睨みつける。

「次はあんたの番だからね」

 玲於奈は自分が全裸であることも忘れ、美鈴へと啖呵を切る。

「誰に口を利いているの!」

 激高した美鈴が低いタックルで玲於奈へと突進する。と、美鈴のタックルが寸前で紗夜へと方向転換していた。フェイントを掛け、紗夜を観客席まで放り込んでやろうという狙いだった。

「舐められたものですわね」

 美鈴のタックルを、紗夜の合気道の技術が投げ技へと捉えていた。美鈴の大柄な身体が宙を舞う。

「フッ!」

 空中で身動きが取れない美鈴のどてっ腹へ、玲於奈の爪先がめり込む。

「ぐへっ」

 正確に急所を打ち抜かれた美鈴はリングに落ち、完全に動きを止める。危険だと判断されたのか、黒服が素早く美鈴をリング下に引っ張り落ろし、担架で運び出していく。

 その様を見ることもなく、下着姿の紫檀は右手を突き出した独特の構えを取る。

「・・・最後の一人ね」

「一番手強いのが残ったね」

 玲於奈も、紫檀の実力は見抜いている。

(私を助けてくれたこと、感謝はしますが、勝ちは譲れませんわ)

 紫檀は先程紗夜を守ってくれた。しかし、勝負はまた別の話だ。紫檀を、最後の一人を倒すため、紗夜は構えを取る。

 全裸の美少女が二人と、下着姿の美女が向かい合う。

 先手は玲於奈だった。軽いステップから鋭い踏み込み、そこからロングジャブを放つ。

 しかし紫檀は冷静にジャブを払い、払っただけでなくカウンターの突き込みを返す。

「くっ!」

 喉に迫る折り曲げられた右人差し指を、玲於奈は辛くも躱す。

「・・・」

 紗夜は静かに勝機を伺っていた。合気道の技術で闘う紗夜は、打撃技が得意ではない。逆に言えば、紫檀のどこでも良い、掴むことさえできれば投げる自信がある。ただ、紫檀には隙が無い。

「こんのっ!」

 玲於奈が苛立ちのままに拳を振るう。しかしその全てが紫檀の右手に叩き落とされていく。

「ちぃっ!」

 玲於奈が右フックを放った瞬間だった。紫檀の指が、玲於奈の鳩尾を抉っていた。

「がふっ・・・」

 玲於奈の身体が崩れ落ちる。否、崩れ落ちようとする瞬間、左拳が紫檀の頬へと向かっていた。

 しかし、それにも紫檀は反応して見せた。僅かに頭部を傾け、左フックの軌道から外したのだ。

「・・・やっと捕らえましたわ」

 柔らかくも確かに、紗夜は背後から紫檀の右手首を掴んでいた。玲於奈の左フックで、僅かに紫檀の姿勢が崩れていたのだ。

「せいっ!」

 紗夜の小手返しで紫檀の身体が一回転する。

「あぐっ!」

 背中から落ちた紫檀だったが、紗夜は紫檀の手首を離さず、そのまま極める。

「玲於奈!」

「わかってるっての!」

 手首を極められて動けない紫檀の鳩尾に、玲於奈の肘打ちが突き刺さる。逃れようのない急所への一撃に、紫檀の動きが完全に止まった。


<カンカンカン!>


<地下闘艶場>側の女性選手が全て戦闘不能になったことで、レフェリーが試合を止めた。下着姿の紫檀はリング下に下ろされ、担架で運ばれていく。

「ったく・・・変態女にも、変態観客にも、腹が立つ!」

 全裸とされた玲於奈が悪態を吐く。

「勝ったのですから、さっさと帰りますわよ」

 同じく全裸とされた紗夜が玲於奈を促す。しかし、その二人の前をレフェリーが塞ぐ。

「待て。これからペナルティを受けてもらう」

「はあ? 何言ってんの?」

 乳首と秘部を隠しながら、玲於奈が不快感を露わにする。

「勝利を挙げましたわ。しかも二回も。これで終わりでなければおかしいですわ」

 紗夜も自分の大事な部分を隠し、レフェリーの言葉を否定する。

「試合権利がないのに乱入する、レフェリーに攻撃する、数え上げればキリがない。ペナルティは当然だ」

 しかしレフェリーは引き下がらない。

「ですが・・・」

「いいのか? 連道選手は、あの権利がなくなるぞ?」

「あの権利?」

 なんのことが判らず問い返す玲於奈だったが、紗夜はただ唇を噛み締めるだけだった。

「笠姫選手は、ファイトマネーがゼロになるぞ」

「ふざけてんの? そんなの認められるわけないでしょ!」

 ファイトマネーのために参戦している玲於奈にとって、レフェリーの発言はとんでもないものだった。

「そう言うと思ったよ。最終戦をしなければファイトマネーなしだが、勝てば倍のファイトマネーを支払うぞ?」

 一瞬考えた玲於奈だったが、それでも頷く。

「・・・三倍。三倍ならやってもいいよ」

「ああ、わかった。ファイトマネーは三倍出そう。それでいいな?」

 レフェリーもあっさり承諾し、第三戦が決定する。

「それじゃ、早速・・・」

「ちょっと、服を返しなさいよ」

 身体を隠したまま、玲於奈はレフェリーを睨みつける。

「おいおい、一度取られた衣装は返せないぞ? ファイトマネーなしでもいいなら返してやるけどな」

「はあ? 意味がわかんない」

「ファイトマネーがなくてもいいと言うなら、服を用意してやってもいい、という意味だよ」

「んな条件認められないってーの!」

「なら、素っ裸のままで闘うんだな」

 レフェリーは衣装を返す気も新しい衣装を準備する気もなく、全裸のままでの試合を命じる。

「玲於奈、このままで闘うしかありませんわ」

<地下闘艶場>の不条理さを知っている紗夜は玲於奈を宥める。

「・・・ファイトマネー、絶対三倍払わせてやるから」

 そう負け惜しみを言う玲於奈は気づいていなかった。レフェリーから、負けた場合の条件が出されていないことに。


 次の対戦相手はまだ姿を現さない。

「まだ来ないの? 風邪ひいちゃうよ」

 全裸の身体を庇ったまま、玲於奈が文句を言う。しかも周囲からは厭らしい視線、野次、指笛などが引っ切りなしに飛んでくるのだ。苛立つことこの上ない。

「もうすぐ来るさ、もうちょっと待つんだな」

 美少女二人の裸体を眺めながら、レフェリーがにやつく。

「さっきから何回同じこと・・・!」

「お、来たようだ」

 そのとき、会場中の人間が新たな人影に気づく。

 花道に姿を現した選手に、会場がどよめく。ショートカットの銀髪と冷酷な美貌は間違いなく、「御前」の側近の一人であるナスターシャ・ウォレンスキーだった。白いワイシャツと黒いズボンに身を固めたナスターシャは、乱れることのない足取りでリングへと向かう。

「女性選手が一人とは、驚きましたわね」

「でも・・・油断できないね。あの面構え、普通じゃない」

 紗夜も玲於奈も、ナスターシャの実力を見抜いた。二人の視線を受けても、ナスターシャの歩調は変わらない。

 エプロンサイドまで上がったナスターシャは、トップロープに手を掛けると軽やかに飛び越える。体重を感じさせずに着地した姿に、その実力が垣間見える。

「心がけが良いな。素っ裸でお客の目を楽しませて間を繋ぐとは、感心だ」

「・・・いきなりかましてくれるじゃない」

 ナスターシャの皮肉に、玲於奈の声が低くなる。

「それじゃナスターシャ、ボディチェックを・・・」

 ナスターシャの一睨みで、レフェリーの口が止まる。

「あ、いや、もうお客さんを待たせるのも良くないな」

 冷や汗を流しながら、レフェリーはゴングの要請をした。


<カーン!>


「無能レフェリー!」

「う、うるさい、さっさと闘え!」

 玲於奈の罵声に、レフェリーが苛立たしげに返す。

「それじゃ、任せますわ」

 紗夜はすっとコーナーへと下がり、必然的に玲於奈対ナスターシャとなる。

(まったく、素っ裸で闘え、なんてさ)

 自然と玲於奈の構えは小さくなる。先程の試合の終盤は怒りで羞恥を忘れていたが、時間が経ったことでそれが蘇っていた。

「なんだ、来ないのか?」

 豊かな胸を支えるように腕を組んでいたナスターシャが、手招きをしてくる。

「言われなくても!」

 闘争心を燃やした玲於奈は、ステップを踏みながらナスターシャに迫る。

「シッ!」

 鋭く呼気を吐きながら、左ジャブのダブルから右ストレート。しかしどれもナスターシャに掠りもしない。

「もうお疲れか?」

「こんの!」

 ナスターシャの挑発に、玲於奈はダッキングから左ボディ、右ショートアッパー、左のロングフックを放つ。しかしこのコンビネーションもナスターシャを捉えられない。

「鈍(のろ)いんだよ、お嬢ちゃん」

「うっさい!」

 踏み込みからのフルスイング。

「えっ・・・!」

 振り抜いた拳に、身体ごと持っていかれた。

「ぐはっ!」

 次の瞬間、背中に衝撃が奔った。玲於奈の右ストレートはナスターシャにいなされ、その力を利用されて自軍のコーナーポストにまで投げ飛ばされていたのだ。

「二人同時にきな」

 ナスターシャの手招きに、紗夜もコーナーからリングインする。

「玲於奈、一緒に行きますわよ」

「・・・気に入らないけど、それしかないか・・・」

 ナスターシャの実力は本物だ。一人ずつ闘っても勝機は見えない。

 全裸の美少女が二人、銀髪の美女へと挑む。この光景に、またも観客席が大きく沸く。

 ほとんどの者がナスターシャの実力を知っている。だが、美少女二人のコンビネーションなら或いは。そう考える観客は紗夜と玲於奈へと声援を飛ばす。勿論、多くの観客はナスターシャの勝利を疑っていないが。

「玲於奈、恥ずかしさを感じている場合ではありませんわよ」

「それはこっちの科白だっての! そっちこそ、トロい動きしたら承知しないからね!」

 言い合いをしながらも、二人はナスターシャを挟み込むように位置取りしていく。その僅かな動きでも、守るもののない豊かな乳房は存在感を示して揺れる。

「・・・」

 しかしナスターシャは動かない。こちらも豊かな胸の下で腕組みしたままだ。その自信に満ちた佇まいに、紗夜も玲於奈も迂闊に飛び込めない。

「来ないのかい?」

 ナスターシャが両手を広げ、大きく手招きする。

「ハンデだ。先に攻撃させてやるよ」

「・・・なめんなっての!」

 玲於奈がジャブ二発で距離を詰めながら、右ストレートを放つ。鋭いコンビネーションだったが、ナスターシャには届かない。しかし、それでも僅かな隙はできた。

(今!)

 玲於奈の意図を汲み、紗夜が死角から接近し、ナスターシャの左手首を掴んでいた。

「くらえっ!」

 紗夜がナスターシャの左手首を捕えた瞬間、玲於奈が踏み込みながらの右アッパーを放つ。

「ちぃっ!」

 ナスターシャは紗夜の投げをいなしつつ、バックステップで距離を取る。しかし完全に躱しきることはできず、玲於奈のアッパーでワイシャツの前が大きく開く。ダークパープルのブラが露わになった。

「・・・やってくれるね」

 ナスターシャの瞳が色を消す。何かが変わったというわけでもないのに、凄まじい殺気が噴出する。その殺気は、紗夜と玲於奈を縫いつけた。

「あぐっ!」「ぐはっ!」

 ほぼ同時に紗夜と玲於奈がロープまで吹き飛んだ。ロープの反動で戻ってきた二人の身体はリングに打ちつけられ、仰向けで止まった。

「あ・・・」「ぐ・・・」

 連戦をこなしていたとはいえ、あまりにもあっさりと打ち倒されたことに紗夜も玲於奈も自分が信じられない。しかし立ち上がるどころか、痛みで動くことすらできない。

「もう立てないのかい?」

 破かれた衣服から見えるブラなど気にも留めず、ナスターシャは紗夜と玲於奈を見下ろす。

「なら・・・終わりだ」

 ナスターシャの拳が、倒れ伏す二人の美少女の鳩尾を正確に抉る。人体の急所への凄まじい衝撃と痛みに、紗夜、玲於奈は意識を失っていた。二人の様子を伺ったレフェリーは、即座に試合を止める。


<カンカンカン!>


 この瞬間、二人の美少女の運命が決まった。しかし、気を失ったままの本人たちはまだ知らない。

「・・・試合は終わったな」

 ちらちらと胸の谷間を見ながらナスターシャに話しかけるレフェリーだったが、ナスターシャは何も返さない。顔すら見ようとしない。

「な、なあナスターシャ選手。お客さんは、だな・・・」

 もごもごとはっきりしない物言いをするレフェリーを、ナスターシャが睨みつける。

「・・・い、いや・・・だからな・・・」

 その眼光の鋭さに怯むレフェリーだったが、ナスターシャは大きくため息を吐く。

「後は勝手にするんだな」

 そう吐き捨て、ナスターシャはリングを降りて退場して行った。

「・・・最初からそう言えばいいんだよ」

 花道を進むナスターシャの背を見ながら、それでも小声でレフェリーがごちる。

「さて、それじゃ・・・お楽しみの時間の始まりだ」

 倒れ伏す全裸の美少女二人の肢体を見つめ、レフェリーが厭らしい笑みを零す。

「おいおい、まさか一人で楽しむつもりか?」

「俺らも混ぜてくださいよ!」

 マスク・ド・タランチュラと早矢仕もリングに上がり、欲望の言葉を口にする。

「まあいいだろう。それじゃ、艶長戦といこうか」

 レフェリーの宣言に、男たちと観客の熱量が一気に上がった。


「それじゃ、俺は玲於奈ちゃんとラブラブします!」

 早矢仕は玲於奈に覆い被さり、両乳房に手を伸ばす。

「玲於奈ちゃんのおっぱい、おっぱい、おっぱい・・・」

 妙なリズムで口ずさみながら、早矢仕は玲於奈の乳房を揉む。

「んっ、んっ、んっ・・・んんっ?」

 気絶したまま、細かい喘ぎ声を洩らしていた玲於奈の目が開く。

「あ、玲於奈ちゃん目が覚めた?」

「・・・な、なにしてんのよ!」

 事態が良く呑み込めない玲於奈の叫びだったが、早矢仕は気にせず乳房を揉み続ける。

「玲於奈ちゃん、また大好きなおっぱい責めしてあげるからね!」

「ふ、ふざけ・・・あっ、はぁん!」

 早矢仕に乳房を揉まれながら乳首を舐められ、玲於奈は喘ぎ声を上げてしまう。まともに闘えば一撃で倒せる相手から嬲られる屈辱に、玲於奈は唇を噛む。しかし、すぐに喘いで口を開けてしまう。

「うわぁ、乳首ビンビンだね。反対の乳首も舐めてあげる!」

「やめろバカ・・・あううっ!」

 早矢仕が止める筈もなく、右乳首も舐められてしまう。

「ベロベロベロ・・・ほーら、こっちもビンビンになったよ!」

 硬く立ち上がった両乳首を今度は指で挟まれ、引っ張り上げられる。

「ああん! やめ・・・ひぅうん!」

 早矢仕の乳首責めに、玲於奈は更に追い込まれていった。


 一方、紗夜にはレフェリーとマスク・ド・タランチュラが向かう。

「連道選手は、アソコを可愛がってやろう」

「それじゃ、俺は紗夜ちゃんのおっぱいだな」

 レフェリーは紗夜の右太ももに乗り、秘裂を撫でる。マスク・ド・タランチュラは紗夜の両手を膝で押さえつけ、両方の乳房を揉む。

「ひんっ!」

 それだけで紗夜の口からは喘ぎ声が飛び出る。

「おい、わかってるな?」

「ああ、わかってるって」

 レフェリーとマスク・ド・タランチュラが何事かを言い交わす。その間にもレフェリーは紗夜の秘裂を撫で続け、マスク・ド・タランチュラは紗夜の両乳房を揉み続ける。

「んっ・・・くぅっ・・・」

 紗夜の喘ぎ声が止まることはないが、大きくなることもない。

(この男、まさか・・・!)

 マスク・ド・タランチュラは紗夜の乳首に触れようとしない。

「どうしたんだい、紗夜ちゃん?」

 にやにやと笑いながら、マスク・ド・タランチュラは紗夜の乳房を揉み続ける。

「さ、触るのを・・・んんっ、やめなさい・・・ああん!」

「そう言いながら、気持ち良さそうな声が出てるじゃないか連道選手。我慢しなくていいんだぞ?」

 レフェリーも絶妙な力加減で秘裂を弄りながら、紗夜を言葉でも嬲る。

(この男たち、わざと昂らせないつもりですわ!)

 その狙いに気づき、紗夜は愕然とする。絶頂させ続けられるのは勿論辛い。しかし、絶頂に届かないよう快感をコントロールされるのは更に辛い。絶頂はそこで一旦ゴールであるが、焦らし責めはゴールがない。しかも、男たちが責めを止めることなど考えられないのだ。

「紗夜ちゃん、イキたくなったらいつでも言ってくれよな」

「そんなこと、言うわけが・・・ああん!」

 紗夜が何かを言おうとすれば、軽い乳首への引っ掻きで止められてしまう。

(間違いありませんわ、この男たち・・・私に浅ましく請わせるつもりですわ)

 男たちは、紗夜がはしたなく絶頂を望むのを待っているのだ。

(そんなこと、絶対に・・・ああん! い、致しません・・・あっ、はああん!)

 心にそう誓いながら、紗夜の身体は快楽の焦らし責めに震え続けた。


「・・・ぷはっ。玲於奈ちゃんの乳首、美味しいね!」

「だ、黙れ・・・あうううん!」

 またも乳首を扱かれ、玲於奈は大きく喘ぐ。何度も舐められた乳首は唾液に光り、硬く立ち上がっている。

「おっぱいと乳首は感じやすいけど、こっちはどうかな?」

 玲於奈の右乳首を扱いたまま、早矢仕は秘部へと右手を伸ばす。

「んんっ・・・」

「あれっ、こっちは反応が良くないね」

 首を傾げた早矢仕だったが、一つ頷く。

「それじゃ、俺が開発してあげる!」

 早矢仕は秘部を撫でながら、乳首を強めに扱いていく。

「や、やめないと・・・あっ、あぁん!」

「え、やめないと気持ち良くなり過ぎちゃう? いいんだよ玲於奈ちゃん、どんどん気持ち良くなっちゃおう!」

 早矢仕が乳首と秘裂を同時に弄ることで、乳首からの快感が導火線となり、秘裂からも徐々に快感が立ち昇ってくる。

「あっ・・・はわぁん!」

「おっ、声が大きくなってきたね。アソコでも感じちゃうようになってきたかな?」

 早矢仕は一旦乳首責めを止め、秘裂だけを弄っていく。

「あっ、あぁん、あああん!」

「玲於奈ちゃん、声がもっと大きくなってきたね。アソコ触られるとたまんないでしょ?」

 玲於奈の反応に気を良くし、早矢仕は秘裂への刺激を徐々に強めていく。

「だ・・・れ・・・が・・・ひぃぃん!」

 一度導線ができてしまうと、後はなし崩しだった。秘裂へと刺激が加えられるたび、勝手に声が洩れ、腰が動く。

 屈辱を感じながらも、それを上回る快楽によって玲於奈は羞恥の時間を耐えねばならなかった。


「あっ、はふぅ、ふぅん・・・!」

 一方、紗夜はひたすら焦らされ続けていた。弱い刺激によって官能が治まることはなく、かと言って達するわけでもない。弾けることのない快感が精神に圧し掛かり、撓ませていく。

 紗夜の右耳を舐めながら、マスク・ド・タランチュラが囁く。

「さあ、お願いしないといつまでもイケないぜ?」

「そん、な・・・あううっ!」

 ずっと責められ続けてはいるが、最後の一線を越えるほどの刺激は与えられない。ひたすら焦らされ、ひたすら快感を溜め続けられてしまう。

(それでも・・・んんっ、私は、連道紗夜・・・ああっ、連道家の者、ですわ・・・っ! 耐え抜いて・・・みせます・・・はあん!)

 男たちが諦めるまで、この淫獄からの脱出目指してあがき続ける。

 そのときだった。

「・・・イカせてぇ」

(・・・えっ?)

 今の言葉は誰が言った? 紗夜が言う筈がない。そんな恥ずかしい言葉を発するわけもない。

 しかし、その言葉は更に聞こえてしまう。

「イカせてください、お願いしますぅ」

(違いますわ、私がこのような浅ましいことを言う筈がありませんわ!)

 心は否定しても、口は勝手に動く。動いてしまう。

「もっとぉ、気持ち良くなりたいですわぁ」

 雄に媚びる雌の声。それが自分の口から発せられている事実が精神を抉る。

「やっと素直になったか。気持ち良くして欲しいなら、ちゃんとそういうポーズを取らないとなぁ」

(な、何を馬鹿なことを!)

 心では怒りを覚えるが、身体は勝手に動く。動いてしまう。

「こう、ですかぁ?」

 紗夜は膝立ちとなり、乳房を両側から寄せ、深い谷間を作って小首を傾げる。

「そうか、連道選手はおっぱいを苛めて欲しいんだな?」

 レフェリーがにやりと笑い、乳首をつつく。

「あんっ、そうですわぁ、おっぱいを苛めて欲しいんですぅ」

(やめて! そんなことを言わないで!)

 自らの手綱を外れた身体は、淫らな言葉をも発してしまう。

「ようやく素直になったな、連道選手。それじゃ、お望み通りイカせてやろう!」

 レフェリーが紗夜の秘部に吸いつき、マスク・ド・タランチュラが紗夜の乳首を潰しながら扱く。

「あっ・・・」

 ようやく与えられた強烈な快感に、身体の奥から震える。

「ああっ・・・」

 溜めに溜められた官能の波が、今与えられる刺激に反応する。

「ああぁっ・・・」

 快感と官能がぶつかり、爆発する。

「ああああああああああああああっ・・・!」

 紗夜の口から絶叫が放たれ、何度も腰が跳ねる。

「こいつはすげぇ。こんなイキっぷりを見せてくれるとはな」

 紗夜のあまりの絶頂に驚き、マスク・ド・タランチュラは紗夜の乳首から手を放す。

「げはっ、ごほっ・・・こっちは凄い潮吹きだ。溺れ死ぬかと思った」

 レフェリーは紗夜の秘部から転がり離れ、盛大に咽る。

「そのまま死んでも良かったんだぜ? 本望だろうが」

「馬鹿言うな、まだ死ねるか・・・ごほっ!」

 男たちの言い合いの最中、桃色の吐息が落とされる。

「・・・ま、まだ・・・」

 紗夜が目を見開き、一度艶やかな唇を舐める。

「まだ・・・足りませんわ・・・」

(な、何を言っているの!)

 紗夜が心で叫んでも、紗夜の身体は唇を舐め、唾液で淫らに湿らす。

「自分ばかり気持ち良くなるのは良くないぞ、連道選手。笠姫選手も気持ち良くしてやらないとな」

 そこにレフェリーの言葉が投げられる。

「ふふっ・・・そうですわね、玲於奈にも気持ち良くなってもらわないと・・・」

 全裸の紗夜は、四つん這いで尻を振りながら玲於奈へと進む。そして、玲於奈を責めていた早矢仕を脇に退かし、代わりに玲於奈へと覆い被さる。

「あれ、え? 紗夜ちゃんがなんで・・・」

「いいから、連道選手に任せておけ」

 焦る早矢仕をレフェリーが止める。そんな男たちの遣り取りなど気にも留めず、紗夜は玲於奈の肌に手を這わせる。

「玲於奈・・・気持ち良くして、差し上げますから・・・ね?」

「ば、ばか、何言って・・・んんっ!?」

 反論しようとした玲於奈の唇を、紗夜の唇が塞ぐ。美少女同士の口づけに、観客席が沸く。

「玲於奈も、おっぱいが弱いんですのね?」

「あっ、やっ・・・はふぅん!」

 乳房を優しく撫でられ、乳首を擽られ、玲於奈は大きく喘ぐ。

「さ、紗夜、さっさとやめ・・・ひぃぅっ!」

 男たちの自分勝手な責めとは違い、微妙な力加減で的確な箇所を愛撫してくる。

「おっぱいよりも、もっと気持ち良いところ・・・ここ、ですわよね?」

「ああっ、はぁぁあん!」

 紗夜の白い指が玲於奈の秘部を撫で回し、より一層喘がせる。


 地下室での「教育」の結果、紗夜は性技の目覚ましい上達を遂げていた。その成果が玲於奈を蕩けさせ、喘がせている。それが、例え紗夜本人の望まない結果だとしても。


「・・・もう辛抱堪らないっす!」

 美少女二人の絡む姿に興奮を耐えていた早矢仕だったが、我慢の限界に二人に飛びかかる。

「おっぱいダブル揉み!」

「ああん!」「あはぁん!」

 突然の刺激に、紗夜も玲於奈も喘ぎ声を上げる。

「この馬鹿、いいところだってのに!」

「ヘタレのくせに、手だけは早いな」

 マスク・ド・タランチュラとレフェリーが呆れながら、早矢仕に遅れまじと二人の美少女に圧し掛かる。

 男たちは乳房を揉み、乳首を抓み、秘裂を擦り、ヒップを撫で、淫核をつつく。そのたびに裸体はくねり、淫らな反応を返してくる。

「ううっ・・・や、やめなさい・・・ああん!」

「あら、紗夜ちゃんエロモード解除されちゃったか。まあ、お嬢様モードも楽しいからいいけどな」

 紗夜の耳を舐めながら乳房を揉んでいたマスク・ド・タランチュラがにやつく。

「嫌がってても、おっぱいとここを弄ってあげると・・・」

「あふぅん!」

「ほーら、素直に感じてくれるんだよなー」

 乳首と淫核を同時に弾かれた紗夜は嬌声を上げ、マスク・ド・タランチュラを喜ばせてしまう。

「さーて、どこまで鳴いてくれるか、試させてもらうぜ」

「あああ・・・っ!」

 更にマスク・ド・タランチュラの手が激しさを増し、紗夜の嬌声も大きさを増した。


「糞野郎ども、触るな・・・くぅうっ!」

 凄む玲於奈だったが、身体を弄(まさぐ)られて喘いでしまう。

「口が悪いな、笠姫選手は」

「でも、玲於奈ちゃんはおっぱいが大好きだもんね!」

「はふぅっ!」

 早矢仕が玲於奈の乳首を弄ると、それだけで反抗心が溶かされてしまう。

「まったく、淫乱だな笠姫選手は」

 レフェリーは玲於奈の秘部を撫でながら、言葉でもいたぶる。

「そうだ・・・おい蜘蛛マスク」

「なんだよエロレフェリー」

 マスク・ド・タランチュラの返答に、レフェリーの眉が上がる。

「お前・・・まあいい、連道選手と笠姫選手、どちらが淫乱か試してみないか?」

「試す?」

「先にイッたほうが淫乱、ってことだ」

「へえ、そいつは面白そうだ」

 にやりと笑ったマスク・ド・タランチュラが、紗夜の両乳房を揉みながら乳首を転がす。

「あっ、あはぁ、はふぅん・・・」

「さあ紗夜ちゃん、イクまで頑張ろうな」

「い、いやぁ・・・あはぁっ! はあん!」

「ほーら、気持ち良いんだろ? 無理せずイッちまおうぜ」

 マスク・ド・タランチュラは右手で紗夜の両乳首を寄せ、同時に刺激する。しかも左手を伸ばし、淫核も同時に弄る。

「あぁっ、あっ、あはぁん!」

「お、もうイキそうかい?」

 敏感な突起の三点同時責めに、紗夜の息が荒くなる。

「ほら、玲於奈ちゃんも負けてられないよ!」

「そうだぞ笠姫選手。連道選手はライバルなんだろう?」

「こ、こんなライバル関係が・・・はふぅん!」

 玲於奈は早矢仕から敏感な両乳首を苛められ、レフェリーには秘裂を弄られる。

「ほらほら、乳首高速弾き!」

「ひぃううっ!」

 早矢仕に両方の乳首を素早く上下に弾き責めをされ、玲於奈は顎を仰け反らせる。

「それじゃ、俺はここを・・・」

 腹這いになったレフェリーは、玲於奈の淫核へと吸いつく。

「あふうっ!」

 しかも秘裂は指で刺激しつつだ。

「あっ、あっ、はっ、ひあぁん!」

 新たな刺激に、玲於奈の中で官能が爆発的に膨れ上がる。

(このままじゃ・・・)

(このままでは・・・)

 裸体の美少女は、二人とも絶頂へと転がり落ちていく。

 そして。

「あ・・・」「あ・・・」

「「あああーーーーーー・・・っ・・・!」」

 紗夜と玲於奈は、同時に絶頂へと達した。

「どうやら、お友達同士で仲良くイッたようだな」

「どっちも淫乱、ってことだな」

 レフェリーも男たちも手を止め、美少女二人を見下ろす。

「淫乱なお二人さんだ。まだまだ、たっぷりと楽しませてやるからな?」

 レフェリーの舌舐めずりと共に、淫虐が再開された。


 照明を照り返す二つの裸体は、男たちの玩具のままだった。乳房、乳首、秘裂、淫核など、敏感な箇所を弄られるたびに喘ぎ、腰を揺らめかせ、愛液を零す。

「あ・・・ああぁ・・・」

 リングの上に、美少女二人の喘ぎ声が零れる。しかし、その声ももう大きくはない。

「そこまでだ」

 リング下から、黒服の冷たい言葉が投げられる。

「なんだ、もう終わりかよ」

「ちぇーっ、もっと楽しみたかったのに」

 文句を言いながらも、男たちは紗夜と玲於奈の魅力的な肢体から離れる。

 するりとリングに上がった黒服たちは、美少女二人を無理やり立たせる。

「・・・放せよ、くそぉ・・・」

 玲於奈は弱々しくもがくが、長時間の試合と嬲り責めで体力など残ってはいない。

「負けたんだ。賭けに負けたんだよ。お前も、連道紗夜と同じ境遇に堕ちてもらう」

「同じ・・・境遇・・・?」

 意味の分からない言葉に、玲於奈は自然と呟いていた。

「そうか、お前は連道紗夜が何をしていたのか知らなかったな」

 黒服は一度言葉を切り、玲於奈の耳に静かに届かせる。

「娼婦、だ。客の慰み者になるんだよ。安心しろ、処女だけは守られるからな」

 黒服は冷酷に告げる。お前も生贄になるのだ、と。

「・・・ふざけんじゃ・・・あふぅ、ひやぁん!」

 玲於奈の強気な視線も、乳首への愛撫で容易く蕩けてしまう。

「それじゃ名残惜しいが、連れて行ってくれ」

 レフェリーの合図に、黒服たちが動き出す。二人掛かりで紗夜を、玲於奈を両脇から抱え上げ、乳首を弄りながら運んでいく。

「また、あそこに戻れるんだ。嬉しいだろう?」

「い、いや・・・もう、戻りたくない・・・あはぁん!」

 弱々しく首を振る紗夜だったが、黒服から乳首を弄られるとそれだけで喘いでしまう。

「あっ、はぁん!」

「やっ、やめ・・・あふぅっ!」

 敏感な箇所を責められながら、二人の美少女が全裸のまま運ばれていく。その運命を知る観客たちは、淫らな想像と共にその姿を見送った。


 この夜から、地下室にまた一人の美少女が戻り、新たな一人の美少女が加わった。ときには一人で、ときには二人同時に、美少女は地下室へと訪れた客たちに魅力的な肢体を玩ばれ続けるのだった。



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