【特別試合 其の七十五 狩野月詠:マーシャルアーツ】   紹介者:はぐれ観戦者様


 高級ホテルの一階にある喫茶店。ゆったりとしたスペースには雰囲気を壊さぬ高級な椅子やテーブルが並べられ、しかも客同士の目線がなるべく合わないように配置されている。

 その一角で、一人の少女とサングラス姿の黒服が向かい合っていた。対峙している、と言ったほうが正確だろうか。

「それで、そちらの希望は?」

 黒服の言葉に温かみはない。一方、銀髪のロングヘアーという珍しい髪の少女はあまり感情を出さずに言う。

「紗夜様とお会いしたい」

 しかし、思わず本音が零れていた。一度小さく咳をし、言い直す。

「紗夜様の無事を確認し、解放したい」

「それならば、条件はわかっているな?」

 黒服の問いに、少女は頷く。その鋭い視線は、目の前の黒服を射抜こうとするかのようだった。


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 犠牲者の名は「狩野(かのう)月詠(つくよ)」。16歳。身長148cm、B90(Gカップ)・W56・H80。

 連道(れんどう)紗夜(さや)のボディーガードの一員。紗夜の黒髪とは正反対の銀髪ロングヘアーに、16歳とは思えない鋭い目つきとメリハリのあるプロポーションが特徴。

 まだ高校生ながら男のボディーガードにも引けを取らず、紗夜の要望もあってリーダーを努める。その能力と忠誠心により紗夜からの信頼も厚い。

<地下闘艶場>に囚われた紗夜を救出するため奔走していた月詠に、極秘裏に接触があった。「主人と同じく<地下闘艶場>に出場し、勝利せよ。そうすれば連道紗夜に会わせ、解放する」。その条件を信じ、月詠は誰にも告げずに<地下闘艶場>への出場を決めた。


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 花道を進むガウン姿の月詠に、卑猥な野次や指笛が飛ばされる。

(紗夜様も、このような下品な場所で闘わされたのか)

 紗夜のことを思い、月詠は怒りを覚える。オープンフィンガーグローブを着けた両手を、強く握りしめた。


 月詠はリングで対戦相手と向かい合う。薄々そうではないかと思っていたが、男性選手が相手だった。

「赤コーナー、『ヘタレキング』、早矢仕杜丸!」

 月詠の相手は、早矢仕(はやし)杜丸(とまる)だった。しかし、何故か会場中からブーイングの嵐が巻き起こる。早矢仕本人はそれに慣れているのか、聞こえていないのか、月詠の顔を嬉しげに見ている。

「青コーナー、『白銀の閃光』、狩野月詠!」

 自分の名前がコールされ、教わった通りにガウンを脱ぐ。その下から現れたのは、セパレートタイプのメイド服だった。

 黒と白が基調のメイド服で、上着の丈は短く、腹部が丸見えとなっている。胸元は大きく開いているため、Gカップが形作る谷間が覗いている。下はふわりと広がったミニスカートだ。

 男の欲望を詰め込んだようなメイド服に、観客席も大いに沸く。

(紗夜お嬢様も、このような視線を浴びていたのか)

 月詠の目が更に鋭くなる。そして、勝利への思いを一層強くした。


 早矢仕のボディチェックを終え、レフェリーが月詠に向かってくる。

「では、ボディチェックを受けてもらおうか」

 自分の胸に伸びてきた手を、月詠は掴んで捻じり上げる。

「ボディチェックと言いつつ、どこに触ろうとしている?」

 ボディガードとしての訓練も積んでいる月詠だ、対人戦闘スキルは高い。

「ボ、ボディチェックは選手の義務だ! いいから放せ! 失格にするぞ!」

 失格、という単語に、月詠は技を解いてレフェリーを押しやる。

「・・・レフェリーに暴力行為を行うとは、なんて選手だ」

 極められていた腕を擦り、レフェリーが月詠を睨む。

「いいか、今度ボディチェックを拒んだら、試合は中止だ。当然、連道選手の解放もなくなると思え!」

 レフェリーの脅しに、月詠は唇を噛む。月詠の参戦は、あくまでも紗夜の解放が目的だ。それが果たされねば、何のための参戦かわからない。

「わかったか、狩野選手?」

 レフェリーの確認に、小さくこくりと頷く。

「次はないぞ」

 レフェリーは月詠の両胸を鷲掴みにすると、そのまま揉み込んでくる。

「まったく、小柄なくせにおっぱいだけは大きいな。いや、何か隠しているのか?」

 レフェリーに遠慮などと言うものはなく、月詠の小柄ながらGカップを誇るバストを好き勝手に揉み回している。月詠にできるのは、精々レフェリーを睨むくらいだ。

「そう恐い顔をするなよ、これはボディチェックだぞ?」

 にやりと笑ったレフェリーが、月詠の胸の中心を突く。

「っ」

 思わず肩を震わせた月詠だったが、すぐに表情を消す。

「わかったようだな」

 再びレフェリーが胸揉みを始める。月詠は耐えるしかない。試合をしなければ、紗夜の解放以前の問題だ。

「まったく、身体に合わないほど大きなおっぱいだな。これだけ大きいと、本物かどうかしっかりと調べないとな」

 レフェリーはボディチェックと言いながら、自分の好き勝手に月詠の胸を捏ね回す。レフェリーの手の中で月詠の胸は形を変え、男たちの欲望を誘う。

 レフェリーが一旦手を放したことで気を抜きかけた月詠だったが、レフェリーは両胸を支えるように持つと、下から弾ませてくる。

「重量も見た目通りあるな」

 何度か弾ませた後、胸の下側を揉み込んでくる。

(お嬢様を助けるためでなければ、叩きのめしているとろこだが・・・)

 紗夜の救出には、試合に勝たなければならない。そのためには、まず試合自体が成立しなければならない。ボディチェックを拒んだことで試合が中止になれば、紗夜は囚われたままだ。

 月詠は、如何にレフェリーから胸を好き勝手に揉まれようと、耐えるしかないのだ。

「うん、本物のおっぱいのようだ」

 そう言ってようやく胸から手を放したレフェリーは、剥き出しの腹部にも触ってくる。

(なぜお腹に触る!)

 ボディチェックとは凶器を隠していないか調べる行為であり、既に素肌が見えているのに触る必要はない。

 それでも我慢していた月詠だったが、思わずレフェリーの手を振り払っていた。更に下がったレフェリーの手が、秘部にまで触れてきたのだ。

「どこを触っている!」

「おいおい、女にしかない隠し場所を調べるんだよ。嫌だと言うのか?」

 レフェリーは月詠の左胸をつつきながら睨んでくる。

「ボディチェックを最後まで受けないのなら、試合は成立しない。となると、連道選手はずっと解放されないまま、ということになるぞ。冷たいボディガードだな」

「・・・」

 一度胸と股間を庇った月詠だったが、その手を下へと垂らす。

「・・・ボディチェックを、続けてくれ」

「わかったなら良い。今度は拒むんじゃないぞ?」

 レフェリーがしゃがみ込み、再び秘部に触れてくる。今度は月詠も手を振り払うこともなく、じっと耐える。

「ああ、別に声は我慢しなくても良いからな? 色っぽい声を出してくれたほうが、お客さんが喜ぶ」

 レフェリーは指を前後させ、秘裂をなぞってくる。それでもぐっと堪えていた月詠だったが、レフェリーが左手で右胸を揉んできたことで思わず口を開く。

「な、なぜまた胸を・・・!」

「仕方ないだろう? こんなに顔の前で揺らされたら、気が散ってしまうじゃないか」

 レフェリーが勝手な理屈を捏ね、月詠の右胸を揉み回す。当然反対の手で秘部を弄り続けている。

「まったく、ボディチェックの邪魔をするとは、困ったおっぱいだ」

 勝手なことを言いながら、レフェリーはセクハラボディチェックを続ける。月詠は必死に両手を握り、レフェリーを殴ってしまわないように耐える。

「アソコには何も隠していないようだな」

 ようやくレフェリーの手が秘部と胸を離れ、ヒップへと回り込む。

「尻はそこまで大きくないな」

 両手でヒップを揉み立てながら、レフェリーが笑う。

「うん、尻も大丈夫だ」

 そう言ったレフェリーだったが、またもや月詠の両胸を鷲掴みにしてくる。

「ま、また・・・!」

「ああ、もう一度おっぱいを調べたくなってな」

 いけしゃあしゃあと、レフェリーは膝立ちの状態のまま月詠のGカップバストを揉み回す。あまりに酷いセクハラぶりに、月詠の顔は強張っていた。


「うん、やっぱり何も隠していないようだ」

 そう言って、やっとレフェリーが立ち上がる。

「・・・っ」

 ようやく、屈辱的なボディチェックが終わった。普段は冷静な月詠も、感情の高ぶりを抑えられそうにない。

 そんな月詠の心情になど気づきもせず、レフェリーが試合開始の合図を出した。


<カーン!>


 ゴングと同時に、早矢仕が突進してくる。

「月詠ちゃん、紗夜ちゃんと同じように、素っ裸にしてあげる!」

 この早矢仕の発言に、月詠の顔から表情が消えた。自分の胸に伸ばされてきた早矢仕の左手首を掴むと同時に、足払いを掛けて早矢仕の体勢を崩す。

「うえっ!?」

 早矢仕が綺麗に前へと倒れる。月詠は握ったままの早矢仕の左手首を背中へと捩じり上げ、リングへと押さえつける。そのまま背中の中心を右膝で圧迫し、更に左手首を極める。

「いててて! ギブギブ、ギブアップゥ!」


<カンカンカン!>


 早矢仕の早過ぎるギブアップに、試合終了のゴングが鳴らされる。これには盛大なブーイングが投げつけられ、会場が騒然となる。

「お前・・・最悪だぞ」

 レフェリーの冷たい視線に、早矢仕が泣き言を返す。

「痛いっすレフェリー、折れてるかも」

「折れるか!」

 思わずレフェリーが早矢仕の左腕を蹴り、早矢仕が悲鳴を上げる。

「やかましい、とっとと退場しろ!」

「た、担架を・・・」

「歩け!」

 レフェリーが更にもう一発蹴りを入れ、早矢仕はリングを転げ落ちる。左腕を押さえたまま、早矢仕は半べそをかきながら退場していった。

「漫才はもういい、紗夜様はどこだ」

 月詠の冷えた声に、レフェリーが振り返る。

「約束だからな、すぐ来るさ。おっと、もう来ているぞ」

 レフェリーの指差した先に、待望の姿があった。


 その犠牲者の名は「連道(れんどう)紗夜(さや)」。18歳。身長160cm。B90(Gカップ)・W56・H82。

 長い黒髪に雪のような白い肌が特徴の大学生。スレンダーな体型だが、出ているところは出ているスタイルの良さ。育ちの良さを窺わせる美貌だが、優しさよりも冷たさが印象に残る。

「御前」を目の敵にする財閥の一人娘。非常にプライドが高く、父と自分以外を常に見下している。自分の実力には絶対の自信があり、ボディーガードとの組み手でも引けをとらない。

 三度<地下闘艶場>へと上がり、内二度はシングルマッチで、一度はタッグマッチで闘ったが、卑怯な手段によってすべての試合に敗北。地下室に幽閉され、処女を散らさぬように客を取らされるという、望まぬ官能の夜を過ごしてきた。


 花道を、ずっと案じていた主人が歩いてくる。しかし、その姿は痛々しいものだった。

 紗夜は黒いドレス姿だった。しかし、それをドレスと呼ぶのなら、という条件が付く。

 ドレスの生地は極端に面積が少なく、肩も、腕も、鎖骨も、胸の谷間も、腹側部も、太ももも、ほとんど露わとなっている。辛うじて隠れているのは、両脇、胸の下側、臍、尻、股間くらいのものだ。

 更に、紗夜は後ろ手にされて手首を拘束され、首には首輪が巻かれて鎖が伸びている。

「ああ、紗夜様!」

 紗夜に駆け寄ろうとした月詠は、いつの間にか現れていた黒服の男たちに阻まれる。

「そこを退くんだ、私が勝ったことで、紗夜様は解放された筈だ」

「何を言っているんだ?」

 背後からレフェリーが声を掛けてくる。

「私は今勝利を挙げた。見ていただろう?」

「ああ、だから約束は守っているじゃないか」

「約束を守るというのなら、今すぐ紗夜様を解放しろ!」

 激昂する月詠に、レフェリーは下卑た笑みを浮かべる。

「約束は守っているぞ。そっちの条件は、連道選手と『再会したい』、連道選手を『解放して欲しい』だっただろう?」

「ああ、だから・・・」

「だから、まずは再会させてやったじゃないか。連道選手を解放して欲しければ、もう一戦して勝ってもらおうか」

 あまりの理屈に、月詠は絶句していた。

「さあ、どうする?」

 わざわざレフェリーが確認してくる。月詠が、受け入れるしかないと知っていながら。


 第二戦の相手が、花道を進んでくる。歩いてではなく、屈強な男たちの担いだ輿に乗って。そのド派手な登場に、月詠も思わず目を見張っていた。


「赤コーナー、『女王様』、茨木美鈴!」

 新たな対戦相手は、茨木(いばらぎ)美鈴(みすず)だった。

 22歳。身長174cm、B92(Fカップ)・W66・H94。髪を真っ赤に染めた、きつめの顔立ちの美人。長身にFカップの巨乳、大きなヒップという迫力ボディ。普段はSMクラブで「女王様」として働いている。

 今日も漆黒のボンデージスーツを身に纏い、豊かな胸の下で腕組みをしたまま月詠を見つめている。

「青コーナー、『白銀の閃光』、狩野月詠!」

 名前をコールされても、月詠の視線は紗夜に向けられていた。しかし、紗夜の視線は伏せられ、月詠と目を合わそうとはしない。

 紗夜を案じる月詠の背に、レフェリーから声が掛けられる。

「さあ、ボディチェックを受けてもらおうか」

「またボディチェック、だと?」

 思わず月詠はレフェリーを睨みつけるが、レフェリーは肩を竦めるだけだ。

「当然だろう? 試合ごとのボディチェックは選手の義務だぞ」

「そう言いながら、また私に触りたいだけだろ」

「おいおい、レフェリーを侮辱するのか? それなら・・・っておい?」

 レフェリーを遮ったのは、なんと美鈴だった。

「それなら、私がしてあげるわ。貴女も私にボディチェックすれば公平でしょ?」

 美鈴の提案に、月詠は頷く。レフェリーに厭らしく触られるよりは、女性の手で調べられるほうがまだましだ。それに、まさか女性がセクハラをしてくることもないだろう。

 その月詠の考えは、いきなり裏切られた。美鈴がいきなり胸を撫でてきたのだ。

「小柄なのにこのおっぱい、そそるわね」

「えっ、なっ・・・」

 予想外のことに、月詠は狼狽えるしかできない。

「かなり大きいわね。ふふっ、楽しみが増したわ」

 美鈴は触るだけでなく、左胸を揉みだす。しかも美鈴の指が乳首まで刺激してくる。

「んんんっ!」

 衣装の上からだとは言え、月詠は思わず声を洩らしてしまう。

「あら、乳首が弱いのね。紗夜と同じじゃない」

「なっ、何を言っ・・・ひやぁん!」

 月詠の弱点を見つけた美鈴は、容赦なく乳首を責める。美鈴の巧みな愛撫は衣装越しとは言え、月詠の官能を掻き立てていく。

「うふふ、厭らしいメイドさんね。ボディーガードだったかしら? まあどちらでも構わないけど」

 月詠の反応に気を良くした美鈴が、左手を秘部へと伸ばす。

「んんん・・・っ!」

 女性の敏感な箇所を偽りの優しさで撫でられ、月詠が呻く。

「一々可愛い反応してくれるわね。ほんと、そそられちゃうわぁ」

 美鈴は赤い舌で自らの唇を舐め、興奮を表す。

「ちゃんとここも調べて、あ・げ・る」

「ひうっ!」

 美鈴の絶妙な力加減での秘部責めに、月詠はあっさりと喘ぎ声を上げてしまう。

「あらあら、これくらいで喘いじゃうなんて。こっちの経験は浅いのかしら?」

 今度は月詠のヒップを撫で回しながら、美鈴は小首を傾げる。

「後は、試合のお楽しみにとっておこうかしら」

 美鈴が月詠を解放した途端、月詠は膝から崩れ落ちる。

「あらあら、力が入らないのかしら? 仕方ないわねぇ」

 美鈴は月詠の右手を持つと、自分の胸やお腹を触らせていく。

「ふふっ、ここも調べなきゃいけないわよね?」

 最後に自らの秘部へと触れさせ、仕上げとする。

「それじゃ、試合を始めましょうか?」

「まったく、勝手なことをしやがって・・・ゴング!」


<カーン!>


 美鈴が月詠の手を握ったままで試合が始まった。

「ふふっ、今からが本番だからね、月詠ちゃん?」

 美鈴は月詠の頬を舐めると、また胸を揉み始める。左手で月詠の左胸を揉みながら、見えている乳肌を右手でそっと撫でる。

「ひぅっ」

「うふふ、やっぱり敏感ね、月詠ちゃんは。こっちは楽しめるから嬉しいけれど」

 美鈴は何度も自分の唇を舐め、興奮を現す。

「い、いつまで人の胸に触って・・・ぐむっ!?」

「月詠ちゃん、声を出すのは喘ぎ声のときだけにしてね?」

 美鈴は20cm以上の身長差を利用し、月詠を抑え込む。

「ふざけ・・・んんっ!」

 抑え込まれ、胸を責められ、月詠は望まぬ喘ぎ声を洩らす。それに気を良くしたのか、それとも更なる被虐のためか、美鈴が舌舐めずりする。

「ふふっ、あっちを見てみなさい?」

 月詠の左胸を揉みながら、美鈴が月詠の顔を右向かせる。

「・・・お嬢様!」

 その光景に、思わず叫ぶ。紗夜が観客席に入れられ、男たちに辱められていたのだ。


 紗夜はドレスを脱がされ、下着姿のまま嬲られている。黒の上下の下着が紗夜の肌の白さを際立たせており、歳に似合わぬ妖艶さまでも醸し出している。それが更に男たちの欲望を煽り、一層の責めを呼んでしまう。


「言い忘れていたが、この試合が終わるまで、連道選手にはまだ『お仕事』をしてもらうからな」

(なんだって!?)

 レフェリーの補足に、月詠は一瞬快感を忘れる。

「くぅっ・・・どけぇっ!」

「えっ!?」

 月詠は美鈴の手首を掴むと、そのまま外側へと捻る。てこの原理で美鈴の身体が月詠の上から落ち、その隙に月詠は立ち上がる。そのまま一旦美鈴から離れ、体力回復を狙う。

「油断したわ。月詠ちゃん、意外とやるのね」

 美鈴は右手首を振りながら立ち上がり、赤い髪を掻き上げる。

「でもね、しっかりと可愛がってあげて、紗夜ちゃんと同じ境遇に堕としてあげるから」

(ふざけたことを・・・!)

 美鈴の言い様に腹が立つが、場外で嬲られる紗夜がどうしても気になってしまう。

「ふふっ、いいの? 紗夜ちゃんばっかり気にして」

「う、うるさい!」

 苛立ちを抑え、前に出る。美鈴との体格差では、接近するしかないのだ。

(早く勝負を決めねば、紗夜様が・・・!)

 焦る月詠だったが、焦りは技を狂わせる。美鈴の腕を掴もうとするが、するりと逃げられてしまう。そしてつい追ってしまった視線の先では、紗夜が下着の上から両胸を揉まれ、下腹部までも触られている。

(あっ!)

 紗夜の顔が掴まれ、唇までも奪われた。思わずその光景に釘付けとなる。

「余所見厳禁よ!」

 美鈴のタックルで、腹部に美鈴の左肩が食い込む。そのまま担ぎ上げられ、リングへと落とされる。

「がふっ!」

「これでおとなしくなってくれたかしら?」

 美鈴はそのまま月詠の上に馬乗りとなり、両胸を揉み始める。

「ほぉら、紗夜ちゃんと同じ、おっぱい揉んであげてるわよ?」

「ううっ、さ、触るな・・・ひあぁっ」

「なんだかんだ言っても、乳首で感じちゃうのよね、月詠ちゃんは」

 衣装の上から乳首を弄りながら、美鈴が笑う。

「ああそうだ、ご主人である紗夜ちゃんが下着姿なのに、月詠ちゃんが服を着てる、ってのもおかしいわよね」

 美鈴が邪な笑みを漏らす。

「それじゃ、服を脱ぎ脱ぎしちゃいましょうね?」

 美鈴が衣装に手を掛けた瞬間、月詠が動いた。衣服ごと美鈴の指を掴み、捻りながら手首を極める。

「こ、このチビ・・・っ!」

 力で技を解こうとした美鈴だったが、力んだ瞬間、背後へと回り込んだ月詠からチョークスリーパーに捕らえられていた。

「ぬっ、ぐぐっ・・・!」

 それでも膝をつき、立ち上がろうとした美鈴だったが、抵抗もそこまでだった。脳への酸素供給を断たれたことで力が抜け、ぐにゃりと倒れ込む。

 その様子を見たレフェリーが、急いで試合を止めた。


<カンカンカン!>


 ようやく勝負が決した。それと同時に、紗夜への責めも止められていた。

 それを確認した月詠は、疲労を隠してレフェリーを睨みつける。

「今度こそ、紗夜様を解放しろ!」

 疲労を押し隠し、レフェリーに叫ぶ。

「それなんだがなぁ、狩野選手」

 レフェリーは困ったように頭を掻く。

「連道選手はお客様から大人気でな、まだ予約がたっぷりと残っているんだよ」

 それが何の予約なのかは、月詠にも微かに想像がつく。

「だから・・・今から、その予約分取り消しのための試合をしてもらう」

(・・・どこまで屁理屈を捏ねれば・・・!)

 怒りに握った拳が震える。しかし、紗夜が解放されていない現状、今は耐えるしかない。否、耐えるしかできない。

「・・・では、誰と闘えばいい」

 正直に言えば、残り体力は少ない。だが、紗夜のために勝つ。そう決意し、レフェリーに確認する。

「対戦相手は・・・連道選手だ」

「・・・えっ?」

 驚く月詠の前に、下着姿の紗夜が連れて来られていた。その頬は上気し、普段は鋭い視線を放つ目は潤んでいる。

「そして、負けた選手だけを解放する。自分が解放されたければ、負ければ良いだけだ」

「な・・・」

 と言うことは、紗夜を解放させるためには紗夜に勝たねばならない。

(なんというルールを考えるんだ・・・!)

 己が助けるべき主人と闘わなければならないとは。しかも、決着がついたときに約束は守られるのかどうか、素直に信じることができない。

「連道選手自身はやる気のようだぞ? ヤル気、の間違いかもしれないがな」

 レフェリーの声を合図としたのか、紗夜が月詠に襲い掛かった。


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 一方、孤独な淫闘でもがいている者も居た。

 とある一室。大型のモニターの前に、一組の男女が居る。

「連道紗夜には、助けに来てくれる人間も居るのになぁ」

「うっ、はぁん・・・」

 男の戯言に、女の口からは罵りではなく喘ぎ声が零れる。

 女が身に着けているのは赤い上下の下着のみで、その瑞々しい肢体の上を男の手が這いずり回っている。


 その犠牲者は「笠姫(かさひめ)玲於奈(れおな)」。18歳。身長162cm。B86(Eカップ)・W53・H85。

 真っ赤に染めた髪をツインテールに纏め、気の強さを表したような釣り上がり気味の目が特徴。

 連道紗夜の通うエリート大学の同級生にしてライバル。金持ちになりたいという野心と執念は強く、上流階級の人間が集まる大学に一般家庭出身ながら通っている。その口の悪さや振る舞いに品が無いため、紗夜とは会うたびに口喧嘩をする仲だが、紗夜は心の中ではその野心と執念、美しさを認めている。また、玲於奈自信も紗夜の気高さと美貌を認めている。

 金と地位に対する執着が強く、エリート大学に通うための金を得るためには手段を選ばない。また、男嫌いでもあり、金を得るためにセレブの男と一日デートをしても、心の中では馬鹿にしており、行為に及ぼうとするならば張り倒し、慰謝料を払わせるほどである。

 前回の試合で連道紗夜と共に<地下闘艶場>に参戦し、卑怯な手段の数々に敗北。紗夜共々地下室に監禁され、毎夜のように「仕事」を受けさせられている。


 月詠と紗夜の試合が始まったと同時に、玲於奈への責めが始まった。

「うぅっ・・・こ、この試合が終わるまで、耐え抜けば・・・あぁっ、解放して、くれるんだよな・・・あはぁあっ!」

「ああ、そう決定してるぜ」

 玲於奈を責めているのは、コンテ・大倉だった。試合で闘うようなレスリングタイツ姿のまま、背後から下着姿の玲於奈の右胸を揉み、秘部を撫で回している。

「あっ、あっ、ああっ・・・!」

 たったそれだけの刺激で、玲於奈は切なく喘いでいた。


 前回の試合で、玲於奈は紗夜共々徹底的な嬲り責めを受け、元々敏感な身体をより一層感度が上がるように開発されてしまった。しかも「仕事」をこなすことで、更に感度が上がっている。そのため、大倉がただ身体を撫でるだけで快感を得てしまっている。


「ただし、五回イッちまったら負け。これも決定してるからな」

「わ、わかってる、よ・・・あううっ!」

 乳首の辺りをぐりぐりと押し込まれ、玲於奈は高く喘ぐ。元々弱い乳首は、<地下闘艶場>での試合と毎夜の嬲り責めで、更なる敏感さを得てしまっていた。

「乳首とアソコ、どっちが気持ち良いんだ?」

 玲於奈の反応に気を良くした大倉は、左乳首と秘部を下着の上からノックする。

「あひいいっ!」

「その反応だと、どっちも気持ち良い、ってことでいいな? なら、もっとしてやるよ!」

「あっ、あっ、あっ・・・はぁぁぁぁぁぁっ!」

 大倉が責める手の動きを速め、振動を何度も送り込んだことで、玲於奈はあっさりと達してしまった。

「なんだ、もう一回イッたのか? 早過ぎるだろ」

 玲於奈の絶頂に、大倉はにやつく。そして、玲於奈の真紅のブラを上にずらした。途端に、DカップからEカップへと成長した乳房がまろび出る。

「くくっ、もう乳首も立ってるじゃねぇかよ」

「はふぅぅっ!」

 ただでさえ敏感な乳首を直接転がされ、玲於奈の腰が震える。

「そらそら、乳首が好きなんだろ? 好きなところをたっぷりと弄ってやるからな」

 大倉が両方の乳首を摘み、扱き上げる。

「はっ、あっ、やっ・・・あっ、はああああぁぁん!」

 両乳首への同時責めに、玲於奈はまたも達していた。

「相変わらず乳首弄られるのが大好きだな。なら、ここと直に同時はどうだ?」

 大倉の左手が左の乳首を扱き、右手がパンティの中へと入り込む。そのまま、直接秘裂を愛撫し始めた。

「うわぁ、ああぁっ!」

「もうビチョビチョじゃねぇか、ええ?」

 秘裂だけでなく、淫核までも弄りながら、大倉が言葉でも辱める。

「随分と感じやすくなったな、そら、またイッちまいな!」

「はぁあああぁぁあああん!」

 またも玲於奈は背を逸らし、甘い声で絶叫する。

「三回目だ、そろそろ拙いんじゃないか?」

 そう言いながらも、大倉は玲於奈の両乳首を引っ張り、転がす。

「くううっ!」

 たったそれだけの刺激で、玲於奈の腰が震える。

「どうした? 乳首が感じやすいエロ女さんよ」

 大倉は玲於奈の乳首を扱き、押し潰し、振動を加える。

「ああ、うわぁっ!」

 しかも乳肌にも指を這わせ、切ない刺激までも加える。乳首に直接加えられる強い刺激と、乳肌に加えられる弱い刺激。強弱のあるコントラストに、玲於奈は叫ぶ。叫んでしまう。

「それじゃ、こんなのはどうだ?」

 大倉は玲於奈の乳首を寄せ、左手で同時に弄る。右手は下着の中に突っ込み、淫核と秘裂を同時に弄る。

「あっは、うわっ、ひぎぃぃっ!」

 敏感な箇所への同時責めに、玲於奈は喘ぐことしかできない。

 そして。

「あっ・・・ああっ、はふわあああぁああああっ・・・!」

 またも、絶頂へと達した。達してしまった。

「おいおい、もう後がないぜ?」

 四度目の絶頂を迎えた玲於奈に対し、大倉は一旦責めを止めて太ももを撫でる。最後の絶頂までたっぷりと楽しむため、玲於奈に休息を与えようというのだ。

 すると、玲於奈が荒い息を吐きながら言葉を発する。

「・・・お、お願いが・・・あるんだ・・・」

 玲於奈は瞳を潤ませ、大倉の股間に手を這わせる。

「お、おいおい、何を・・・」

 驚きの声を上げる大倉だったが、その顔は緩んでいる。

「アンタも楽しませてあげるからさ、手心を加えてよ・・・」

 そう言いながら、玲於奈は大倉の硬くなった股間のモノを、レスリングパンツの上から撫で回す。地下室での「仕事」によって、男のモノを扱うことには慣れてしまっている。

「黙ってればわからない・・・だろ?」

 大倉の硬くなったモノを掴み、笑みを浮かべる。その蠱惑的な笑みに、大倉が生唾を呑み込む。

「・・・そ、そう、だな。折角誘ってくれたんだ、据え膳食わぬはなんとやら、だな」

 唇を湿した大倉は、レスリングパンツに手を掛ける。

 その瞬間、玲於奈の膝が大倉のどてっ腹へとめり込んでいた。痛みに前屈みとなった大倉の後頭部へと、更に肘が打ち落とされる。

「・・・誰がテメェなんぞと、ヤッてやるかよ!」

 大倉が顔面から床に倒れ込み、痙攣を始める。それを目の端で確認しながら、玲於奈はずらされた下着を直す。

「この下衆が!」

 大倉の頭を蹴り飛ばし、唾を吐きかけ、一度モニターを見遣る。そこでは、美少女の主従が闘っていた。

「・・・けっ」

 舌打ちした玲於奈は、とにかく部屋を出ようとドアノブを回す。そっと周囲を伺い、人影がないことを確認して静かに走り出す。

(このまま逃げ出せば・・・)

 出口へと向かいかけた玲於奈の脳裏に、リングで闘っている二人の美少女の顔が浮かぶ。

(・・・アイツらのことなんざ、知ったことか)

 玲於奈は舌打ちして、素足のまま廊下を駆けていった。


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「紗夜様、何を!」

 いきなり飛びかかってきた紗夜を、危うく躱す。普段の紗夜ならば月詠は即座に投げられていたかもしれないが、今の紗夜の動きに鋭さはなかった。しかし、その速度は脅威だ。

(それでも・・・)

 そう、それでも。

(紗夜様を、必ず解放する!)

 そのためには、紗夜に勝たねばならない。決意した瞬間にも、紗夜は攻撃を止めない。

(この速さ!)

 捌きが間に合わない。

「っ!」

 急に動きを変えた紗夜に両足を刈られ、倒れ込んでしまう。

(しまった!)

 そのまま紗夜が月詠の腹の上に跨る。すると、濡れた感触が月詠の肌に伝わる。

(・・・お嬢様)

 それが紗夜の愛液だと気づき、月詠は唇を噛む。紗夜を責めた男たちへの怒り、紗夜が快感を得てしまったことに対する混乱、そして紗夜がそんな身体へと変えられてしまった悲しみ。その幾つもの強い感情が、月詠の心を掻き乱す。

 と、紗夜の手がメイド衣装に掛かる。次の瞬間、大きく引き裂かれていた。

「なっ・・・!」

 紗夜に憧れて身に着けた、大人っぽい刺繍が入った黒いブラが露わとなる。

「うふふ・・・月詠、ご褒美をあげるわ・・・」

 紗夜が熱い吐息を零しながら、ブラの上から乳首を摩ってくる。

「ふわぁっ!」

 元々弱い乳首を、敬愛する紗夜に触られている。その事実が一層興奮を高める。

「これも、邪魔でしょう・・・?」

「あっ!」

 スカートまでも破り取られた。これで、月詠は紗夜と同じく下着姿とされてしまった。

「さあ月詠、気持ち良くしてあげるからね・・・?」

「でも、そんな・・・んんっ、くふぅ・・・」

 紗夜が、ブラの上から月詠の乳首を擽ってくる。それだけで月詠は喘いでしまう。

「ふふふ、乳首が弱いのね。私と一緒ね」

「紗夜様と、一緒・・・んああ!」

 紗夜に責められるたび、喘ぐことしかできない。このまま紗夜に身を任せたい。たとえ、自らが敗北しようと・・・

(今、私は何を考えていた?)

 月詠が<地下闘艶場>に参戦したのは、紗夜を解放するためだ。

(ならば・・・私は、紗夜様に、勝たないと・・・!)

 紗夜を振り払おうとした手が、ブラの上から紗夜の乳首を掠めた。

「はぁん!」

 いきなり、紗夜の唇から吐息が零れた。

(今の、紗夜様の反応・・・)

 月詠は気づいてしまった。この状態となった紗夜には、色責めこそが有効なのだと。

(紗夜様に勝つため・・・紗夜様に厭らしい責めをするのは、仕方のないこと・・・)

 そう自分に言い訳しながら、下から紗夜の両胸を掴む。

「ああん、揉むのね? 私の胸が、月詠に、揉まれてしまうのね・・・?」

 それは期待の言葉なのか、紗夜の頬が赤みを増す。

「ふわぁっ!」

 月詠が僅かな躊躇を滲ませながら、紗夜の胸を揉む。それだけでも紗夜は嬌声をあげている。

「紗夜、様・・・」

 狙い通りだったと言うのに、月詠の胸中に重いものが生じる。

(・・・でも、これが、紗夜様を救う一番の近道なんだから)

 そう心に呟き、月詠は紗夜の両胸を揉み、乳首の辺りを刺激する。紗夜の乳首は、ブラの上からわかるほどに立ち上がっていた。

「ああん! 月詠、良いわ、良いですわぁ・・・!」

 紗夜が馬乗りになったまま、淫らに腰をくねらせる。しかしそれだけでは終わらず、月詠の胸を揉み返す。

「ああっ、さ、紗夜様・・・!」

 月詠は唇を噛み、紗夜の胸を揉みながら、乳首辺りを擦る。

「あふぅ・・・」

 紗夜の体勢が崩れ、月詠へと倒れかかる。

(このまま、ここを・・・)

 月詠は自分でも気づかないまま、生唾を呑み込んでいた。しかし指は勝手に動き、紗夜の秘部へと触れる。

「ひあぁん!」

 その途端、紗夜があられもなく喘ぐ。

「あふぅ・・・月詠も、気持ち良く・・・なりなさいな・・・」

「あっ、紗夜様、そんな・・・ひあっ!」

 月詠に負けじと、紗夜は月詠の秘部を撫で回す。

「ああ、月詠・・・」

「紗夜様ぁ・・・」

 指が、手が、唇が、舌が、互いの身体を弄(まさぐ)り、感触を、熱を確かめ合う。

 黒い下着を着た二人の美少女が、リングの上で絡み合う。ブラの肩紐はずれ、頬は上気し、お互いの敏感な箇所を責め合っている。

「はぁ、はぁ・・・月詠、こちらを・・・向いて・・・」

「ああ、紗夜お嬢様・・・」

 顔と顔が寄せられ、紗夜と月詠の唇が重なる。しかもお互いの唇を割り、舌同士が絡み合う。美少女の濃厚なキスシーンに、観客たちも一層熱狂する。

 次の瞬間だった。リングに上がった影が、紗夜を、月詠を蹴散らす。

「ったく、盛ってんじゃねぇよ」

 赤い髪に赤い上下の下着。先程まで大倉に嬲られていた玲於奈だった。

「おとなしく、寝てな!」

 紗夜の、月詠の腹部へと、玲於奈の爪先が食い込む。容赦なく鳩尾を蹴られた黒い下着の美少女二人が、リングの上で蹲る。

「よ、っと」

 玲於奈が二人を同時に押さえ込み、

「ワン、ツー、スリー」

 自分でカウントを取った。

「これで両方共負け。だろ?」

「い、嫌、それは・・・」

 突然の事態に茫然としていたレフェリーが口ごもる。

「アタシが乱入して、二人をぶっ倒した。見てたよね?」

 玲於奈はレフェリーの襟元を掴み上げ、締め上げる。頸動脈が締められ、レフェリーの顔が赤くなっていく。

「違うってのかい!?」

「・・・ち、違わない、わかった」

 がくがくと頷いたレフェリーが、試合終了の合図を出す。


<カンカンカン!>


 ゴングが鳴らされた瞬間、観客席からは凄まじいブーイングが鳴らされる。それも当然だろう。観客が望んでいたのは救出劇ではなく、紗夜か月詠のどちらかが、もしくは両方が淫獄へと堕とされることだったのだから。

 しかし、そんなことは玲於奈に響かない。玲於奈には関係ない。

「アタシはアタシで、責めを耐えたぜ。全員解放しろよ」

 玲於奈の更なる容赦ない締め上げに、レフェリーはとうとう頷く。

「わ、わかった、三人とも解放でいい」

「もう取り消しはきかねぇからな!」

 玲於奈はレフェリーを放り出し、月詠と紗夜へと振り向く。

「やっぱり、アタシが居ないとなんにもできねぇんだな」

「・・・紗夜様に、無礼な口を利くな」

 下着の乱れを直した月詠は、玲於奈に鋭い視線を向ける。

「助けられたくせに、よくまあ生意気な口が利けるな」

「・・・貴女が助けに来るなんて、明日は暴風雨、ですわね」

 こちらも下着を整えた紗夜が皮肉を言う。

「助けたわけじゃねぇよ! このクソレフェリーに、アタシの解放を念押ししたかっただけだ」

 玲於奈はガシガシと頭を掻くと、紗夜と月詠を睨みつける。

「ったく、部下も部下なら雇い主も雇い主だね。お礼一つも言えないなんてね」

「あら、お礼を言うような間柄でもないでしょう?」

 赤髪の美少女と睨み合う主に、月詠がおずおずと声を掛ける。

「紗夜様、さっさと退場をしましょう。いつまでもここに居ては・・・」

 しかし、その忠告も遅かった。いつの間にか、リングに複数の選手が上がっていた。

 以前の試合で紗夜と玲於奈と闘った、蜘蛛のマスクを被ったマスク・ド・タランチュラ。

 第一試合で月詠に負けた早矢仕杜丸。

 以前の試合で紗夜と玲於奈と闘い、今日の第二試合で月詠に負けた茨木美鈴。

 何れも美少女三人と因縁のある選手だ。

「折角だから、最後に一仕事していってくれ」

 選手達の後ろに隠れたレフェリーが、忌々しい言葉を投げてくる。

「こいつら蹴散らして、脱出するしかないね」

「偉そうに指図しないでくださいな」

 こんなときでも、玲於奈と紗夜の憎まれ口は減らない。しかし、二人共気づいている。自分たちの体力がほとんど残っていないことを。

 そして、それは月詠も同じだ。二戦を勝ち抜き、たった今まで紗夜と闘っていたのだ。

「紗夜ちゃん、今日もまたエロモードにしてやるからな」

 マスク・ド・タランチュラが肩を回す。

「・・・今日は、その長い腕をへし折って見せますわ」

 紗夜が睨む。

「ちっ、変態女かよ、会いたくなかったぜ」

 玲於奈が吐き捨てる。

「ふふっ、その生意気さが懐かしいわ」

 美鈴が髪を掻き上げる。

「月詠ちゃん、さっきは痛かったんだよ? 責任取ってね!」

 早矢仕が月詠を指差す。

「今度はきっちりと折ってやる」

 月詠が構える。

 リングの上、六人が相手を決め、じっと睨み合う。その均衡を破ったのは。

「笠姫選手、レフェリーを脅すものじゃないぞ?」

 なんと、レフェリーだった。いきなり、玲於奈の背後から抱きついたのだ。

「テメェ、なにして・・・はぁん!」

 ブラの上から乳首を弄られ、玲於奈は甘い声を洩らしてしまう。

 先程まで、四度の絶頂を味わわされているのだ。しかも紗夜同様に、<地下闘艶場>での敗北後、地下室で淫猥な「仕事」を受け続けさせられてきた。処女でありながら、悲しいほどに感じてしまう身体となってしまっていた。

 そして、その隙を見逃す美鈴ではなかった。

「ほらっ!」

「ぐはっ!」

 美鈴のヒールの爪先が、玲於奈の腹部へと食い込む。前屈みになった玲於奈からレフェリーが離れ、追い打ちの膝蹴りが叩き込まれる。

「もう一つ、おまけよ!」

 美鈴が玲於奈に抱きつくようにして、リングの上へと浴びせ倒す。

「あがぁっ!」

 大柄な美鈴の体重を受け止める形となり、玲於奈が叫ぶ。

「貴女はしぶといからね、これくらいはしなきゃ」

 美鈴は玲於奈のブラを上にずらし、左乳首へと吸いつく。

「くぅっ、退けよ、変態・・・ふわぁっ!」

 左乳首を舌で転がされ、玲於奈は喘ぐ。

「ふふっ、この間から今日まで、たっぷりと『お仕事』してきたんでしょう? 乳首だって、何度も何度も弄られてきたに違いないし。ほぉら、こんなに硬くなって」

「るせぇ・・・ひああっ!」

 乳首を優しく転がされ、玲於奈はあえなく喘いでしまう。

 玲於奈があっさりと捕まったことで、月詠は紗夜の背後を守る。

「紗夜様、ここは協力して対応しましょう」

「ええ、そうね」

 そう言いながらも、紗夜の視線は、責められる玲於奈に釘付けとなっていた。

「タラさん、こうなったら一緒に頑張りましょう!」

「勝手に仲間にすんなよ。一人で頑張れよ」

「冷たいっすよ!」

 一方、早矢仕とマスク・ド・タランチュラは軽口を叩くほどの余裕だ。

(紗夜様の消耗具合も気になる。ならば、数を減らすことを優先すべきか?)

 面には出さずに早矢仕へと狙いを定め、月詠は無理やり身体を動かす。

「ふっ!」

「えっ、ぷぎゃっ!?」

「あっ、この馬鹿!」

 肩での当身で早矢仕をマスク・ド・タランチュラへと吹っ飛ばし、僅かに道を作る。

「紗夜様!」

「・・・えっ?」

 そこから紗夜を逃がしたかったが、肝心の紗夜自身の反応が鈍い。

「ふいー、なんとかセーフか」

 そのため、マスク・ド・タランチュラが早矢仕を跳ね除け、体勢を立て直してしまう。

「おいおい月詠ちゃん、膝が笑ってるぜ? 諦めて気持ち良くなろうぜ?」

 しかも、月詠の体力が底を突きかけていることに気づかれてしまう。

(どうする。リーチはまるで違う。それに、残った体力も・・・)

 マスク・ド・タランチュラは、今日はまだ試合をしていない。体力差を考えると相当厳しい。

(せめて、紗夜お嬢様だけでも!)

 月詠は紗夜を逃そうと、マスク・ド・タランチュラに突っ込む。

「おっ、月詠ちゃんは俺をご希望かい?」

 マスク・ド・タランチュラの長い両腕が、月詠に向かって伸ばされる。

「っ!」

 月詠は自らマスク・ド・タランチュラの右腕に身を寄せ、右肘を極めていく。

「おっとっと」

 しかし、長すぎるマスク・ド・タランチュラの腕は一気に極めることができない。そのとき、股間から刺激が奔った。

「ふわあぁぁっ!」

「なんだ月詠ちゃん、紗夜ちゃんとのイチャつきで濡れちゃったのか?」

 マスク・ド・タランチュラに秘部を触られ、思わず腰が崩れる。

「月詠!」

 自らのボディガードの危機に、ようやく紗夜は前に出る。その瞬間だった。

「連道選手、こうして欲しいんだろう?」

「あふうぅぅっ!」

 背後から胸と秘部を同時に弄られ、紗夜は腰を震わせる。先程玲於奈の邪魔をしたレフェリーが、今度は紗夜へと触れてきたのだ。

「ああ、わかっているよ、連道選手は、直接触られるほうが好きだよな?」

「あっ、はぁん!」

 レフェリーの手が下着の中へと潜り込み、乳首を、秘部を直接弄る。

「ナイスエロレフェリー、こういうときだけは良い働きするよな」

「こういうときだけは余計だ!」

 互いに美少女の身体を触りながら、マスク・ド・タランチュラとレフェリーが言い合う。

「いってって・・・月詠ちゃん、やっぱ強いね」

 月詠の肩をぶつけられた箇所を撫でつつ、早矢仕が立ち上がる。

「うるさいヘタレ、もう少しで逃げられるところだったぞ」

「うへぇ、すんません」

 首を竦めながらも、早矢仕は月詠の胸を揉み始める。

「さらっと混じるなよ」

 月詠の秘部を弄りながら、マスク・ド・タランチュラが呆れる。

「いいじゃないっすか、俺にも楽しませてくださいよ・・・うわっ、月詠ちゃんのおっぱいすごい!」

 小柄な身体ながらGカップを誇るバストに、早矢仕が改めて驚く。

「どれどれ。おほっ、こいつはすごいな!」

 マスク・ド・タランチュラは早矢仕の左手を弾き飛ばし、右手で月詠の右胸を揉み回す。

「見た目からすごいけど、揉むともっと驚きますね!」

「ああ、いいおっぱいだぜ」

 早矢仕が月詠の左胸を揉み、マスク・ド・タランチュラが月詠の右胸を揉む。月詠の両胸は、違う男たちの手によって変形させられている。

「貴様ら、いつまで触って・・・ひぃうっ!」

 男たちの手を引き離そうとした月詠だったが、ブラの上から乳首を両方とも弄られ、思わず喘ぐ。

「紗夜ちゃんといい、月詠ちゃんといい、おっぱいも乳首も弱いんだな」

「玲於奈ちゃんも乳首弱いですよ」

「ああ、そうだったな。紗夜ちゃんの周りには、おっぱいが弱い女の子が集まるのかな?」

(こいつら・・・くっ、ううぅっ!)

 紗夜を貶めるようなことを言う男たちを制裁したい月詠だったが、乳首への責めに力が抜けてしまう。

(どうにか・・・ひうっ、こいつらを、倒して・・・ふあっ、紗夜様を、助けないと・・・ひあぁっ!)

 思いとは裏腹に、月詠の身体はどこまでも反応してしまっていた。


「あはぁっ!」

「くそぉ、やめ・・・ふわぁっ!」

「うぅっ、ひぅっ、ふぅぅっ・・・!」

 紗夜、玲於奈、月詠。<地下闘艶場>から解放された筈の三人の美少女は、未だにリングの上で責められ続けている。

「それじゃ、今度は俺が紗夜ちゃんを楽しませてやるか」

「なら、狩野選手に交代だな」

「俺はこのまま月詠ちゃんを!」

 マスク・ド・タランチュラとレフェリーが入れ替わり、紗夜にはマスク・ド・タランチュラが、月詠にはレフェリーと早矢仕が責めを加えていく。

「どうだい紗夜ちゃん? おっぱいと乳首を一緒に苛めてやると気持ち良いだろ?」

「あはぁ・・・気持ち良い・・・もっと、してください・・・」

「安心しろよ、ここも弄ってやるからな」

「はひぃっ!」

 下着の上から乳房、乳首に加えて秘部まで刺激を加えられ、紗夜は高く喘ぐ。

「相変わらず感度が良いなぁ、紗夜ちゃんは。そらそら、ここはどうだ?」

「ああっ、い、いいです、気持ち良くなって・・・!」

「素直な紗夜ちゃんは好きだぜ」

「あ、ありがとう・・・ございます・・・ふわぁぁっ!」

 マスク・ド・タランチュラに責められ、紗夜は悦びの声を上げる。

「お友達が気持ち良くなっているけど、貴女はどうかしら?」

 そんな紗夜の様子を見せつけるように、美鈴は玲於奈の顔を紗夜へと向けさせる。

「・・・うるせぇ、クソ女・・・あひぃぃっ!」

「まったく、素直になれないのね。ここはこんなに濡れているのに、ね?」

「ふわっ、あふわぁっ!」

 美鈴からねっとりと秘部へと触れられ、玲於奈は堪らず喘ぐ。

「・・・変態、女・・・やめろって・・・くぅうっ、言ってるだろ・・・!」

「生意気な口はなくならないのねぇ。で・も、こうしてあげると・・・」

「あっ、ふわわぁっ!」

「喘いじゃうのよねぇ」

 玲於奈の秘裂をなぞり上げた美鈴は、玲於奈の耳穴に吐息を吹き込む。

「ふふっ。生意気な罰として、そろそろまた、オールヌードを見てもらいしょうね?」

 玲於奈を組み敷いていた美鈴が、玲於奈の頬を撫でる。

「ふ、ふざけ・・・ふやぁん!」

「口答えは、だ・め・よ?」

 乳首を転がして玲於奈を遮った美鈴は、観客の興奮を煽るように、ゆっくりと玲於奈の赤いブラを外していく。

「それじゃ紗夜ちゃん、いつもみたいに、素っ裸を披露しようぜ」

 それとほぼ同時に、マスク・ド・タランチュラも紗夜のブラを脱がしていく。

「ああ・・・見られてしまう・・・!」

「嬉しいだろ?」

「はい・・・嬉しい、です・・・」

 ブラを脱がされたと言うのに、紗夜は目を潤ませ、更なる責めを待つ。

「さっすがエロ紗夜ちゃん、良い返事だぜ」

「ありがとうござい・・・あふぅん!」

 マスク・ド・タランチュラから乳首を転がされ、紗夜は仰け反る。

「お礼の言葉はまだ早いぜ。まだ素っ裸になってないからな」

 マスク・ド・タランチュラは紗夜の左乳房を揉みながら左乳首を扱き、凝った装飾の入った紗夜の黒いパンティを下げていく。

「あと少しで、紗夜ちゃんの下着が脱げちまうぜ? どうする? やっぱりやめとくかい?」

 しかし、何故かマスク・ド・タランチュラはその手を止める。

「いいえ、脱がして、ください・・・」

 それでも、紗夜は自ら懇願する。自ら羞恥の格好を望む。

「だよな、エロモードの紗夜ちゃんはそう言うよな!」

 それに気を良くしたマスク・ド・タランチュラは、一気に最後の黒い一枚を剥ぎ取る。

「ああ・・・ありがとう、ございます・・・」

 脱がされたパンティを見て、紗夜は礼の言葉を発する。

「それじゃ、すっぽんぽんになった紗夜ちゃんに、エロ攻撃開始だ!」

「ああん!」

 全裸となった紗夜に、マスク・ド・タランチュラの手が伸ばされる。いきなり秘部を弄られたと言うのに、紗夜は悦びの声を上げる。

「お友達はオールヌードになったわよ」

「くそぉ・・・変態女・・・くぅあぁっ!」

 玲於奈の罵倒も、ブラを奪われて剥き出しとなった乳首を転がされることで遮られる。

「ふふっ、貴女もパンツを脱がなきゃ、ね?」

「やめ、ろぉ・・・コイツは・・・はふぅ!」

 必死に赤いパンティを押さえようとする玲於奈だったが、乳首を弄られると力が抜けてしまう。

 呆気ないくらいにあっさりとパンティを脱がされ、玲於奈もまた紗夜同様全裸とされてしまった。

「あらあら、こんなにぐっしょりと濡らして。厭らしい子だこと」

 パンティに残る湿り気に気づき、美鈴が笑う。

「テメェらが、人の身体を弄繰り回し・・・はっ、ひふぅっ!」

「自分が厭らしいことを、こっちの所為にしないでくれるかしら?」

 玲於奈の乳首と秘部を美鈴が弄ったことで、喘ぎ声が玲於奈の口から零れる。

 美少女が一人ずつ、ゆっくりと下着を脱がされていった光景に、リング内外の興奮が更に高まる。

 それを感じ取った早矢仕が、月詠のブラを指差す。

「他の皆もすっぽんぽんになっちゃったし、月詠ちゃんもならなきゃね!」

「ふざけるな・・・ううっ・・・」

「諦めるんだな、狩野選手」

 どうにかして男たちから逃れたい月詠だったが、連戦と長時間のセクハラにより、体力がほとんど残っていない。

「まずはブラからだな」

 レフェリーがホックを外した途端、Gカップを隠していたブラが弾けるようにずれた。

「おいおい、自分からおっぱいが飛び出してきたぞ」

「エロおっぱいっすね!」

 思わず目を奪われたレフェリーと早矢仕だったが、勿論すぐさま手を伸ばす。

「身長に合わないおっぱいの大きさだな」

「トランジスタグラマーってやつですね!」

 レフェリーと早矢仕が両乳房を鷲掴みにし、乳首ごと捏ね繰り回してくる。

「くぅっ、手を、どけろ・・・ひやぁっ!」

 どうにか男たちの腕に手を掛けても、乳首への刺激で力なく落としてしまう。

「このまま揉み続けるのもいいが、もっといいのは・・・」

 レフェリーは左手で月詠の左胸を揉みながら、右手で黒いブラを脱がし、乳房を完全に露わとする。

「生おっぱいを揉むことだ」

 レフェリーはにやけた笑みを浮かべながら、左乳房と左乳首を弄る。

「確かに!」

 レフェリーに同意した早矢仕も、右乳房を両手で揉み、右乳首を転がす。

「やめろ、ううっ、触るな・・・あうぅっ!」

「触るなと言う割には、乳首が硬くなっているぞ?」

「月詠ちゃん、ホントは気持ち良いんでしょ?」

「ち、違・・・ううぅわぁ!」

 否定しようとした月詠だったが、乳首に刺激を加えられるたび、腰を跳ねさせてしまう。

「身体は正直だなぁ、狩野選手」

 更に乳首に振動責めを加えながら、レフェリーが笑う。

「それじゃそろそろ、そんな狩野選手の最後の一枚、頂くとするか」

 とうとうレフェリーが黒いパンティを掴む。

「それだけは・・・!」

「月詠ちゃんそれはダメだよ」

「そうだ、諦めるんだな、狩野選手」

 必死に太ももを閉じて耐える月詠だったが、男の力には敵わず、少しずつずらされていく。

(この一枚だけは、なんとしても・・・!)

 それでも月詠は、残った力すべてを注ぎ込んで抵抗する。

「意外と粘るな。早矢仕、狩野選手の両手を押さえていろ」

「ええー・・・そうだ、両手の代わりにおっぱいを押さえときます!」

「それならそれで良い」

「了解っす!」

 早矢仕は月詠の頭側に回り、両手で乳房を掴む。

(こいつらぁ・・・はうっ!)

 早矢仕の手首を極めようと思う月詠だったが、乳首を転がされるたび、全身の力が抜ける。そのたびにパンティがずらされ、下げられていく。

「あぁっ、やめろ・・・ぅぅぅ・・・っ!」

「よし、これで・・・狩野選手も、オールヌードのお披露目だ!」

 レフェリーが月詠の両足首からパンティを抜き、掲げる。

「あ、ああぁ・・・」

 遂に、月詠までも最後の一枚を脱がされてしまった。

(ここまで、するのか・・・!)

 あまりの羞恥に、月詠は唇を噛みしめる。

 月詠の黒いアダルト下着が最後に脱がされたことで、リング上に三人の裸身が晒された。

「女王様も一緒にすっぽんぽんになるかい?」

「つまらない冗談を言っていると、〇〇を潰してあげたくなるわね」

「おーこえーこえー」

 冗談に真顔で返され、マスク・ド・タランチュラが小さく肩を上下させる。

「それじゃ、まだしっかり味わっていない子猫ちゃんは、私が頂くわね」

 美鈴は唇を舐め、その大柄な身体を月詠に圧し掛からせる。

「なら、俺は玲於奈ちゃんだ」

 マスク・ド・タランチュラは玲於奈を抱え込み、右乳房を揉みながら、右乳首をつつき回す。

「なんだ、また連道選手か」

「いいじゃないっすか、エロモードの紗夜ちゃん、反応が良いっすもん」

 責め手が入れ替わり、再び色責めが始まった。悦びの声を上げる者、嫌悪の中に甘さを混じらせる者、唯々翻弄される者。それぞれ違う、それでいて快感に反応してしまいながら、美少女たちは責められ続ける。


「ちょっと良いことを思いついた」

 マスク・ド・タランチュラの言葉で、一旦責めが止む。

「くだらないことだったら、承知しないわよ」

「まーまー、任せておけって」

 鼻を擦ったマスク・ド・タランチュラが、三人の美少女を向かい合わせで膝立ちにさせる。力が入らない美少女たちは、お互いに寄りかかるように体重を預けている。

「へへ、こういうのを試してみたかったんだよな」

 全裸の美少女三人を、マスク・ド・タランチュラが抱え込む。紗夜と玲於奈の乳房がぶつかり、その下に身長差がある月詠の乳房が潜り込む。

「んうぅ・・・」「んくっ」「ひうっ」

 三者三様の反応を見せ、美少女たちが吐息を洩らす。男たちの武骨な手とは違い、女性特有の柔らかさが、互いの乳房を、乳首を、優しく撫で上げてくる。

「ああ、月詠・・・」

「さ、紗夜様・・・」

「くぅっ、二人して、変な雰囲気になって・・・んはぁあっ」

 三人共に頬を上気させ、熱い視線を交わす。

「今度は・・・こっち向きだぜ」

 マスク・ド・タランチュラの指示で、男たちが美少女たちを外側に向けさせる。そして、マスク・ド・タランチュラがまたも両腕で抱え込む。

「はぁん!」「うあぁ!」「あぁっ!」

「おっほー! おっぱいと乳首の感触が堪らねぇぜ!」

 マスク・ド・タランチュラの両腕が動くたび、美少女たちの乳房が、乳首が刺激される。それに呼応するように、紗夜の、玲於奈の、月詠の口から甘い叫びが放たれる。何れも豊かな美乳が、マスク・ド・タランチュラの長い両腕の上下運動によって歪み、弾む。

 責められ続けている三人の秘部からは愛液が垂れ、太ももまで濡らし、キャンパスまで達している者も居る。

「うっし、こんなもんか」

 マスク・ド・タランチュラがようやく美少女たちを解放すると、三人は前のめりに倒れ込んだ。

「どうだい、中々見ものだっただろ?」

「ふん、どうかしらね」

 鼻を鳴らした美鈴は、紗夜を抱え上げる。

「最後はこの淫乱お嬢様を、徹底的に仕上げてあげるわ」

「それじゃ、俺は月詠ちゃんと楽しむか」

「なら、俺は笠姫選手を」

「あ、俺も俺も!」

 またも責め手たちが三人の美少女へと襲い掛かる。体力も尽きた紗夜、玲於奈、月詠たちは、三者三様の声を上げるしかできなかった。


「よし、一旦ストップだ」

 レフェリーの合図で、責めが止められた。ライトに照らされた全裸の美少女たちは、汗と愛液で自らの裸体を彩っている。

「それじゃ、お客さんへと大サービスといくか」

 レフェリーの言葉で、マスク・ド・タランチュラが紗夜を、美鈴が玲於奈を、早矢仕が月詠を立たせる。色責めの連続で腰が立たない美少女たちは、全裸の身を無理やり引き起こされた。

「よし、頼む」

 レフェリーの合図に合わせ、三人の美少女が背後から太ももを抱えられ、大股開きを強いられる。度重なる責めによって愛液に濡れた秘裂が露わとなり、会場中の視線が突き刺さる。

「はぁぁ・・・」「クソぉ・・・」「くっ・・・」

 もう足?く力も残されていない美少女たちは、それぞれ頬を赤らめ、辺りを睨みつけ、顔を逸らす。それでも拘束を振り払う力も残されておらず、赤いままの頬も、汗が浮いた鎖骨も、立ち上がったままの乳首も、豊かな乳房も、包皮が剥けた淫核も、愛液に煌めく秘裂も、すべてが露わとされている。

「そろそろ頃合いだな」

 レフェリーが他の選手たちを促し、美少女たちはようやく解放される。立つこともできず、それぞれが裸体をリングに横たわらせる。

「まだ足りないのに・・・」

「そんなら女王様、俺が相手になるぜ?」

「男はお断りよ」

「もったいないっすよねー、せっかく美人なのに。化粧は濃い目だけど」

「おだまり!」

「あいたぁっ!」

 わいわいとやり合いながら、選手たちが退場していく。

 ようやく責めが止まったが、紗夜も、玲於奈も、月詠も、リングの上に横たわったまま荒い息を吐くだけだ。

(・・・これで・・・やっと・・・)

 今宵の競艶も終わった。そう思った者も居た。

 しかし。

「では、最後のサービスタイムだ。楽しんでくれよ」

 レフェリーの手招きにより、幾人もの男たちがリングに上がってくる。

(そんな・・・まだ、続く・・・のか・・・)

 月詠の視線が、自然とリングへと上がった男たちに向けられた。

「・・・お前、たち・・・!」

 その中に、見慣れた顔があった。それは、紗夜のボディガードたち。月詠の部下たちだった。

「隊長さん、随分と色っぽい格好じゃないか」

 男の一人が、全裸の月詠を嘲る。

「お嬢さんのお気に入りだか何だか知らないが、高校生のメスガキが、いつも偉そうにしやがって」

「お前が隊長って柄か?」

 口々に月詠を罵りながら、男たちが近づいてくる。その目は、獣欲にギラついている。

「服の上からでも思ったが、チビのくせにおっぱいはとんでもないな」

 男の一人が、遠慮もなく月詠の左胸を掴んだ。

「うぅっ・・・」

「へっ、もう乳首が硬くなってやがる」

「どれ。おっ、マジだ」

 反対側の乳首に触れた男が、唇を歪める。

「会うのもこれで最後なんだ、たっぷりとサービスしてやるよ」

 男の一人が月詠の股を開き、股間を密着させる。そのまま、腰をぶつけ始めた。

「生でヤレないのが残念だがな」

 ズボンの中で膨らんだモノを月詠の秘部へと何度も当て、男は笑った。


 紗夜にも男たちが群がっていた。

「本当に人を馬鹿にして、こき使ってくれたな。ええ?」

「今日は、散々溜められた不満を、お嬢さんの身体で晴らさせてもらうぜ」

 同じくボディガードだった男たちが、紗夜へと圧し掛かる。

「はあぁ、こんなに、たくさん・・・」

 何人もの男たちに囲まれ、紗夜は熱い吐息を洩らす。

 男たちはなんの遠慮もなく、かつての雇い主である紗夜の身体へと手を伸ばす。乳房を、乳首を、太ももを、ヒップを、そして秘部を。自らの興奮のままに、裸体へと手を這わす。

「ああっ、もっと、もっとくださいぃ・・・」

「噂には聞いていたが、本当に淫乱になっちまったんだな、お嬢さんは」

 悦びの反応を返す紗夜に、男たちは一層の責めを加えていった。


「玲於奈、俺から毟り取った金の分、身体で返してもらうからな!」

 玲於奈に襲いかかったのは、玲於奈に金をふんだくられてきた男たちだった。前回の試合にも居た男たちの姿も見える。

 男たちは好き勝手に玲於奈の身体に触り、揉み、叩く。

「ふざけたことを・・・くうぅっ、テメェらなんかがぁ、触っていい身体じゃ・・・あぁはぁあああ!」

「へっ、早速啼いてやがる」

 乳首を弄られた玲於奈は敢え無く高く喘ぎ、男たちに嘲られる。そして大きく開いた口を、男の口で塞がれる。

「んむううぅぅっ!」

 舌までが玲於奈の口の中に潜り込み、傍若無人に荒らし回る。噛みついてやると思った瞬間、乳首や秘部への刺激に力が抜ける。

「くくっ、腰が跳ねてやがる」

「お前も、地下室とやらで処女のまま客を取らされてたんだろ? そりゃあ感じやすくもなるわなぁ」

 秘部を弄っていた男と、ヒップを揉んでいた男が、言葉を交わす。それに反論もできず、玲於奈は男たちの責めに翻弄されていた。


「あっ、あぁっ、ああぁっ・・・!」

 紗夜の裸体が、男の腰の上で弾む。騎乗位の体勢で男に跨らせられ、両乳房を揉まれ、両乳首を転がされ、ヒップを叩かれ、淫核を弄られながら。

「ここが<地下闘艶場>で良かったな。そうでなけりゃ、大事なところに突っ込んで、中に出してるところだ」

 下から紗夜を突き上げながら、男が嘲笑う。

「はぁん、ああっ、ふわぁ・・・」

 紗夜は蕩けた笑みを浮かべたまま、男たちの責めを受け止める。最初に<地下闘艶場>に参戦して以来、数えきれないほどの色責めを、絶頂を体感してきた。そのためか、紗夜は欲望に負けた「裏紗夜」とでも呼ぶべき人格が生じていた。

 今も下から男に股間をぶつけられ、両乳房を背後から揉まれ、両乳首を弄られ、唇を奪われている。それなのに、紗夜は嫌がっていない。それどころか、自分から腰を振り、舌を男の舌に絡ませている。

「紗夜、様・・・ああぁっ!」

「どうしたよ、ボディガードの隊長なんだろ? 紗夜お嬢さんを助けなくていいのか?」

 月詠は四つん這いとさせられ、身体に不釣り合いなほど大きな乳房を揉みくちゃにされながら、しこり立った乳首も転がされている。秘裂に吸いつかれ、淫核も弄られている。

(紗夜様・・・お嬢様・・・)

 もう力も入らず、嬲られる紗夜を見遣ることしかできない。悔しい気持ちは、快楽に塗り潰されていた。

 玲於奈は仰向けで大の字にされ、両手を抑え込まれて左右の乳房を揉まれ、両足を大きく広げられており、秘裂を、淫核を玩ばれている。

「くそぉ・・・どけぇ・・・! ひああああああっ!」

「けっ、まだ生意気な口が利けるのか」

「もっと躾けないと駄目ってことだな」

 特に乳首には粘っこい責めが加えられ、舐め責め、扱き責め、振動責め、潰し責め、押し込み責めなど、あらゆる方法で苛められている。ただでさえ敏感な乳首を延々と責められ、さすがの玲於奈も気息奄々といった様子だ。

 紗夜が、玲於奈が、月詠が責められる様を、観客たちは野次や指笛を飛ばしながら見入る。何度見ても、どれだけ見ても、飽きるということはない。

 三人の美少女たちの裸体での競艶は、まるで終わりが見えなかった。



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