【閑話休題 座談会 其の十六】

涼子「恒例の座談会、今回は十六回目となります。私は司会進行の於鶴涼子です、宜しくお願いします。今回は第七十六話から第八十話に出場した皆さんに集まって頂いています」
美緒「もう座談会も十六回なんですか。私、何回出たんだろう・・・」
涼子「五回目、でしたか? ああ、初めての方もいらっしゃいますので、まずは自己紹介から致しましょう。私は於鶴涼子、年齢は21歳で、職業は受付嬢です。格闘スタイルは合気道になります。皆さん、年齢、職業、格闘スタイルを教えてください」
霧華「(俯き加減)藤森霧華、17歳。高校生で、格闘スタイルはレスリングになります」
狭霧「洞耶馬狭霧。同じく17歳の高校生。格闘スタイルは邦流空手」
ブレイカー・ローズ(以下BR)「23歳でプロレスラーやってる、ブレイカー・ローズこと丹柄笙だよ。つっても、アタイの本名なんて誰も知らないだろうから、ブレイカー・ローズって呼んでくれよ。そのほうがアタイもしっくりくるし」
美緒「栗原美緒、19歳の大学生で、格闘スタイルはレスリングとキックボクシングです」
美影「桃郷美影、同じく19歳。短大生で、格闘スタイルは一応ムエタイ」
涼子「美緒さんと美影さんは従姉妹同士です」
霧華「美影さん、始めまして。美緒先輩の後輩の藤森霧華です」
美影「美緒の後輩? ってことはレスリングの?」
霧華「はい」
美緒「まさか霧華も<地下闘艶場>に参加してたなんて。もうちょっと考えて行動しなさいよ?」
霧華「・・・でも、あいつも<地下闘艶場>で闘ってるって聴いて」
美緒「あいつ?」
霧華「来狐遥です」
美緒「えっ、霧華と遥ちゃんって面識あるの?」
霧華「(唇を噛む)」
美影「まあいいじゃない、話したくないみたいだし」
涼子「それではここで、恒例行事を行います」
美緒「まだやってたんですね、それ」
涼子「恒例ですから。私が85のD、霧華さんが85のC、狭霧さんが84のD、ブレイカー・ローズさんが87のE、美緒さんも87のE、美影さんが94のHです」
狭霧「え、Hカップ・・・」
BR「あん? 今のって胸の大きさとカップか?」
涼子「そうです」
BR「なんか意味あんの?」
涼子「恒例行事ですから」
霧華「(美緒先輩、Eカップなのか・・・)(自分の胸をちらりと眺める)」
涼子「では一通り自己紹介も済んだので、座談会を始めましょうか」

涼子「まず第七十六話、私の試合からですね」
美緒「あ、今回は涼子さんも試合したんですね」
涼子「ええ。私の相手は甲羅木駁でした」
他の一同「えーーーっ!」
美影「ちょちょちょちょっと待って、今、甲羅木駁って言った!?」
涼子「言いましたが、それが何か?」
BR「だって、そんな有名人の名前が出るなんて誰も思わないって。マジで試合したのか?」
涼子「嘘は吐きませんよ」
美緒「芸能人でも<地下闘艶場>のリングに上がるんだ、驚き」
霧華「・・・ちょっと羨ましいかも(ぼそっ)」
狭霧「羨ましい?」
霧華「(はっ)な、なんでもない! ただの独り言!」
涼子「試合ですが・・・私が勝ちました。以上です、では次に」
美緒「駄目駄目! また涼子さんってば自分のことは飛ばそうとするんだから(資料を奪う)」
涼子「あっ!」
美緒「えっと・・・涼子さんの衣装は合気道用の道衣。涼子さんは衣装を脱がされて・・・え、パン一!?」
他の一同「(ざわっ)」
美緒「あ、でも、最後はダブルKOで引き分け。涼子さんと引き分けって、芸能人なのにどんだけ強いの駁さん・・・」
涼子「も、もういいでしょう、次に行きます!(資料を奪い返す)」
美影「このゴシップネタ、週刊誌に売ったら幾らになるかしら」
美緒「美影!」
涼子「美影さん、もうその歳で自殺志望ですか?」
美影「恐いわよ! 冗談だから! そんな本気の目で見ないで!」
BR「もしホントに売ったとしても、多分握り潰されると思うぜ。で、アンタは甲羅木駁の事務所から手を回され、どこかに消える運命だ。痕跡も残さないままな」
狭霧「なるほど、祖母様が『芸能界は恐いところだ』と言っていたのはそういう意味か」
美影「もうやめて〜〜〜!」
涼子「そろそろ本筋に戻りますよ(ため息)」

涼子「第七十七話は霧華さんの試合です。霧華さんの衣装はレオタードで、対戦相手はチャベス・マッコイでした」
美緒「レオタード、か・・・私も初戦で着させられたなぁ」
霧華「美緒先輩もですか?」
美緒「うんそう、穴も開いててね・・・」
涼子「はい、そこまで。思い出話は後でゆっくりとしてくださいね。試合開始直後に霧華さんはチャベスとロックアップの体勢となります。観客の予想を裏切り、相手を捻じ伏せたのは霧華さんでした」
霧華「鍛えてますから」
涼子「これだけ筋肉量が凄い男性選手だったんですが(写真を見せる)」
狭霧「!」
美影「確かに凄いわね。私には無理」
BR「アタイはパワーにゃ自信がないから、正面から組んだらわかんないね」
美緒「・・・私も現役のときは、それくらい(ぼそっ)」
涼子「過去を振り返ってもしょうがないですよ。素早くバックを取った霧華さんは、投げ一発でチャベスを沈め、スリーカウントを奪います」
狭霧「一発、か・・・」
涼子「勝利を挙げた霧華さんにチャベスのセコンドの小男が飛び掛りますが、霧華さんはあっさり跳ね飛ばします」
霧華「反射的にやってしまったんですけど・・・」
涼子「それをレフェリーが咎め、霧華さんは追加試合を強制され、グレッグ"ジャンク"カッパーと闘います」
美緒「あのレフェリー、ホントそういう隙は見逃さないわよね」
霧華「反論する暇もなかったんですよ」
涼子「グレッグの滑る汗に苦戦する霧華さんでしたが、意地でグレッグの胴を抱え、背後へと投げ落とすことでKO勝利を挙げました」
美緒「凄いじゃない! 強くなったのね、霧華」
霧華「い、いえ、美緒先輩ほどでは、全然(ごにょごにょ)」
美影「あらあら、美緒に夢中な娘がここにも」
狭霧「えっ?」
美緒「ちょっと美影! また変なこと言い出して!」
美影「本当のことでしょ? 遥ちゃんだっけ、もう一人は?」
霧華「(ぴしっ!)」
BR「ん? どしたい、眉間に皺寄せて」
霧華「・・・別に」
狭霧「恐い顔してるって」
美緒「霧華も遥ちゃん知ってるって言ってたけど、仲は良くなかったりする?」
霧華「はい」
涼子「えっと・・・ああ、ありました。資料によると、遥さんと霧華さんは二度対戦したことがあるそうです。一度目はレスリングのルールで闘い、霧華さんが勝利。二度目はプロレスルールで、遥さんが勝利しました」
霧華「(ぎりっ)」
美緒「・・・霧華!」
霧華「は、はいっ!」
美緒「そんな人を憎む表情をしない! 負けて悔しかったら、練習して強くなる! そう教えた筈でしょ!」
霧華「・・・はい」
美緒「悔しさって、頑張れるバネになるんだから。いい経験したんだよ、絶対」
霧華「・・・ありがとうございます、美緒先輩。私、心を入れ替えて頑張ります。そしてまた来年も、インターハイを制します! そして、あいつも倒します!」
狭霧「よく言った! 偉い!」
美緒「狭霧ちゃん、それ私の科白(汗)」
狭霧「あっ・・・」
涼子「オチがついたところで、次に行きましょうか」

涼子「第七十八話、狭霧さんの試合ですね。狭霧さんの衣装は面積が少ない空手衣でしたが、対戦相手が問題でした」
美影「え、どんな?」
狭霧「・・・」
涼子「一人ではなく、ジグ・ソリタード、虎路ノ山、津堂斬一という男性三人が相手でした」
霧華「え? 一度に?」
狭霧「そうなんだ。さすがに少し怯んだ」
美影「幾ら私でも、三人相手は自信がないわね」
美緒「美影が言うと、別の意味に取れそう」
美影「ちょっと美緒、どういう意味?」
美緒「さあ?」
涼子「はい、そこまで。従姉妹喧嘩はしないでくださいよ。美緒さんも珍しく下ネタはやめてください」
BR「そぉそ。高校生もいるんだからさ」
美緒「(赤面)」
涼子「狭霧さんは虎路ノ山、ジグをリング下に落としてKOしますが、津堂に頭部を蹴られ、空手衣を脱がされてしまいます」
美緒「え、頭部を蹴った? <地下闘艶場>ってそんな選手も居るの?」
BR「そりゃ闘いなんだ、そんな奴も居るだろ。アンタら、そんな甘い考えでリングで上がってんのか?」
狭霧「・・・確かに、甘かったな・・・甘かったです」
涼子「以前狭霧さんに敗れていた津堂は、リング上で辱めようと、その・・・ズボンと下着を脱ぎました」
美影「一応訊くけど、脱いだのは津堂よね?」
涼子「はい」
美緒「ちょっと待って! それってレイ・・・」
涼子「はい、そこまで! きちんと説明しますのでお待ちください。しかし狭霧さんが津堂の硬くなったイチモツに手刀の一撃。悶絶する津堂に手刀での連撃を叩き込んでKO勝利を挙げます」
狭霧「あ・・・しまった・・・!」
霧華「どうしたの?」
狭霧「祖母様に使用を禁じられていた秘手を使ったんだった! どうしよう、ばれたらご飯抜きどころじゃ済まない!」
美緒「そんなに焦るくらいなら、使わなきゃよかったのに」
狭霧「あのときはカッとなって、つい・・・」
美影「誰も突っ込まないのね、イチモツに手刀の一撃を入れたこと」
BR「そこは流せよ、一応女だろ?」
美影「一応じゃなくて、立派な女よ?」
美緒「エロ処女のくせに」
美影「きちんとしたお付き合いすらしたことがない純正処女だもんね、美緒は。もしかして羨ましい?」
涼子「はい、そこまで! 高校生もいる場所でなんていう会話をしているんですか!」
美緒美影「(しゅん)」
狭霧「? どうした?」
霧華「べ、別に何もないわ! 本当よ!」
BR「顔真っ赤だぞ〜」
霧華「か、風邪気味なんです!」
涼子「(もうちょっといい言い訳はなかったんでしょうか)」

涼子「第七十九話、ブレイカー・ローズさんの試合です。ブレイカー・ローズさんの衣装は普段の試合用のコスチューム、対戦相手はミステリオ・レオパルド、の筈でしたが・・・」
BR「いきなりもう一人乱入してくるもんな」
涼子「ブレイカー・ローズさんの言うとおり、ジョルジュ・マホーニーがリングに上がり、ミステリオ・レオパルドと組んだ変則マッチとなりました」
BR「とんでもないとことは聴いてたけどさ、<地下闘艶場>ってのは無茶苦茶するんだね」
他の一同「(頷く)」
涼子「男性選手二人掛かりにはブレイカー・ローズさんも苦戦し、コスチュームを破られます」
BR「結構金かけた一張羅だぜ? ふざけてるよな、アイツら」
美影「その前にさ、恥ずかしさとかないの?」
美緒「美影にも言いたいわ、その科白」
美影「へええ、どういう意味? 詳しく聴かせて貰えるかしら?」
美緒「どういう意味もなにも、そのものだけど?」
BR「おいおい、何回も同じこと繰り返すなよ」
涼子「続けますよ。レフェリーも加わって三人に嬲られるブレイカー・ローズさんでしたが、レフェリーとミステリオ・レオパルドをKO。ジョルジュも<ローズ・ガーデン>というオリジナルホールドでKOしました」
美影「レフェリーをKO? いいの、それ」
美緒「試合後なら、私もしたことあるけど」
霧華「さすが美緒先輩です! 試合中は耐えて試合後に憎しみを爆発させる! 真似できません!」
美緒「霧華・・・それ、誉めてないから(泣)」
霧華「あ、ご、ごめんなさい」
美影「あっはっは! ナイス霧華ちゃん!」
霧華「(ずーん)」
涼子「美影さん、霧華さんを苛めないように。霧華さんもそれくらいで凹まないでください」
狭霧「涼子さんも厳しい人だな・・・ですね」
涼子「あら、ありがとうございます」
BR「今のも誉めてねぇだろ」

涼子「本日最後となります、第八十話。美緒さんと美影さんの従姉妹同士によるタッグ戦でした」
美緒「もう、美影の口車になんか乗るんじゃなかった」
美影「また言ってる。いいじゃない、ファイトマネー貰ったんだし」
美緒「良くないわよ! だいたいね、あの試合だって」
涼子「はい、そこまで。試合の詳細は私が説明しますので、暫しお待ちを。お二人の対戦相手は茨木美鈴、唐辻巳詩夜というこちらも女性タッグチームでした。お二人の衣装はビキニ水着、美鈴・巳詩夜チームはボンデージ衣装でした」
BR「ビキニ水着ぃ? そんなもん、ポロリしてくれって言ってるようなもんじゃないか」
涼子「ポロリする以前に、お二人ともブラを奪われてしまいました」
BR「うわ、ダッセ」
美緒美影「ダサい言うな!」
霧華「だ、ダサい言うな」
狭霧「霧華、タイミングも遅いし、そんな小声じゃ聞こえないよ」
霧華「・・・美緒先輩に合わせられないなんて」
涼子「試合ですが、お二人は分断され、いいようにセクハラされてしまいます。しかし巳詩夜さんの油断から勝機を掴み、最後は美緒さんが巳詩夜さんを絞め落とし、美影さんが美鈴さんを蹴りでKOして勝利を挙げました」
美緒「あの変態さんと闘うと、普段の何倍も疲れるのよね・・・」
美影「確かにね。でも、あの女王様キャラにはまだお仕置きし足りなかったかな」
涼子「それなら、もう一度あの二人と闘いますか?」
美緒美影「(思い切り首を横に振る)」
BR「美緒に美影に美鈴に巳詩夜・・・全員名前が『み』から始まってるな」
狭霧「本当だ・・・ですね」
BR「『F4』ならぬ『M4』ってか?」
霧華「それなら『み4』じゃないですか?」
BR「なんだよ『み4』って。ミモー○モーかよ」
霧華「???」
BR「知らないか。ジェネレーションギャップってのは辛いねぇ」
涼子「というか、ブレイカー・ローズさんもリアルタイムでは見ていないでしょう?」
BR「ネットで見たんだよ。そういうことにしといてくれ」
涼子「あまり突っ込むとまずそうなので、ここまでにしておきましょうか」

涼子「それでは今回の座談会、この辺で終了と致します。今日は皆さんありがとうございました」
他の一同「ありがとうございました」
美緒「さて、と。霧華、久しぶりにご飯食べにでも行く?」
霧華「はい! 喜んで!」
美緒「狭霧ちゃんもどう?」
霧華「えっ・・・」
狭霧「え、っと・・・」
美緒「ブレイカー・ローズさんも行きましょう」
BR「んー・・・」
美緒「涼子さんは行きますよね?」
涼子「そうですね・・・」
美影「ちょっと美緒、なんで私は無視なのよ」
美緒「どうせ言わなくたってついてくるでしょ? なら言っても言わなくても一緒じゃない」
美影「一緒じゃないでしょ! よくもまあ人の神経逆撫でしてくれるわね。そんなだから彼氏の一人もできないのよ!」
美緒「い、いいわよ別に彼氏なんて! どうせ男なんて厭らしいことしか考えてないんだから!」
美影「それを手玉に取るのが楽しいんじゃない」
美緒「そう言って何度危ない目にあったのかしらね」
美影「なに言ってるの? そんなこと一回もなかったわよ?」
美緒「よく言うわよ! 一か月前のことも忘れたの!?」
(以下口喧嘩続行)
BR「やれやれ、この従姉妹の口喧嘩は終わらないな」
涼子「本当に。普段の美緒さんはこういうことは珍しいんですが」
狭霧「ん? 霧華、なに落ち込んでるんだ?」
霧華「・・・別に」
BR「元気出せよ、愛しの先輩に振り向いて貰えなくてもさ(にやにや)」
霧華「そ! そんなんじゃないですよっ!」
狭霧「顔真っ赤なのにか?」
涼子「ただの憧れですよね、霧華さん?」
霧華「そ、そうです、変な勘ぐりは・・・」
涼子「美緒さんはノーマルみたいですから、想いは届かないでしょうしね(微笑)」
霧華「(絶句)」
BR「おいおい、高校生を苛めるなよ」
涼子「先に苛めておいて、人の所為にはしないでくださいね(微笑)」
狭霧「・・・大人になるって、怖いことなんだな」
霧華「・・・同感。狭霧、食事にでも行こうか」
狭霧「そうだね。この場の雰囲気は高校生にはきついし」
美緒「だからそれは!」
美影「わかってないわね美緒は! そういうときはね・・・!」
BR「性格が悪いと、男に嫌われるぜ?」
涼子「ああ、自分のことをよくご存知のようですね。良いことだと思いますよ」
霧華「は、早く行こうよ、もういたたまれない!」
狭霧「ああ、そうしよう・・・ん? ええと、今回の座談会はこれで終了です、これでいいのかな?」
霧華「??? 何言ってるの狭霧?」
狭霧「よくわからないけど、大人の事情ってやつらしい」
霧華「・・・私、大人になりたくなくなった(ため息)」


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