【閑話休題 座談会 其の四】

涼子「恒例となりました座談会、四回目の今回は第二十話終了のタイミングで行います。進行は御馴染みの私、於鶴涼子が務めさせていただきます。年齢は21歳、職業は受付嬢、合気道を修めています。では、久遠さんから登場順に自己紹介を、職業と格闘スタイルも含めてお願いします」
久遠「天現寺久遠。17歳で、普段はバイトしながら路上で弾き語りをしてる。格闘技はやったことない・・・って前回も言ったじゃん」
涼子「今回は初めての方が殆どですから、もう一度お願いしますね。では、次は雪那さんから」
雪那「九条雪那です。20歳、会社を経営しています。薙刀を少々嗜んでおります」
ナスターシャ(以下ナス)「ナスターシャ・ウォレンスキーだ。23歳。経歴は・・・裏社会の住人とでも言っておこうか。格闘スタイルはコマンドサンボ」
涼子「綺麗な日本語ですね。確かロシア出身ですよね?」
ナス「ああ、日本語はケイ・・・おっと、あるところで勉強したんでね、他にも英語や中国語も話せるぞ」
涼子「けい・・・? ああ失礼しました、遥さんどうぞ」
「ダークフォックスこと来狐遥です。17歳です。なんと今回で三回目の参加ですよ。もう参加することもないと思ってたのに・・・高校生で、プロレス同好会やってます」
瑞希「稲角瑞希、同じく17歳高校生! 格闘スタイルはジークンドー! ブルース・リーは永久に不滅です!」
涼子「長嶋さんの引退挨拶じゃないんですから・・・あら、今回は17歳が三人もいますね。折角共通点もあることですし、親交が深まるといいですね。ではここで恒例のバストとカップサイズの発表を。久遠さんが87のE、雪那さんが94のI・・・って凄いですね、ナスターシャさんが92のF、遥さんが88のE、瑞希さんが86のD。私は85のDです」
雪那「ちょ、ちょっと待ってください、なんでそんな発表するんですか!」
瑞希「そうだよ、なんでボクらのサイズを知ってるのさ!」
涼子「バストの発表は恒例ですから。恒例行事を止めると気分が悪いでしょう? それに<地下闘艶場>の参加者の情報は揃っていますしね。ちなみに男性経験があるかないかもわかりますが、発表しましょうか?」
雪那「そ、それは・・・」
瑞希「ひ、必要ないんじゃないかなぁ?」
ナス「私は構わないが? どれ、見せてみろ・・・なんだ、私以外は全員ヴァージンか。日本人は奥手だな」
涼子「慎み深いと言ってください・・・なぜ皆赤い顔してるんですか?」
久遠「そ、そんなの当たり前だろ! なんだと思ってんだ!」
涼子「でも、久遠さんも瑞希さんも試合中に自分が処女だと告白してますよね?」
久遠「だ、だってあれは・・・」
瑞希「ボク、そんなこと言ってたっけ?」
涼子「なんなら試合の模様を収めたDVDとパソコンを用意しますが・・・」
瑞希「いい! 思い出したからいらない!」
涼子「そうですか。では、そろそろ座談会を始めたいと思います」

涼子「第十六話は久遠さんとジョーカーの対戦でした。久遠さんは前回同様私服でリングに上がってますね。ジョーカーはピエロを思わせる格好でした」
久遠「あんなハズイ衣装着てられないよ」
涼子「試合ではTシャツを破かれてブラも切られ、ローター責めに加えて愛撫されて、最後は失神してますね」
久遠「うわわ、なんで言っちゃうんだよ! 酷いよ涼子さん!」
涼子「唇も奪われたことは言ってないじゃないですか」
久遠「い、今言ったら一緒だよ!」
瑞希「キ、キスまでされたんだ・・・」
久遠「ううっ、ハズイにも程がある・・・」
涼子「試合後、ジョーカーに抱きかかえられてリングを降りた久遠さんですが、控え室で何かされたんですか?」
久遠「何もされてないよ! シャワー浴びて帰っただけだ!」
雪那「シャワーって・・・一緒に浴びたんですか?」
久遠「んなわけあるか!」
「で、でも、私服もブラも破かれたんでしょ? どうやって帰ったの?」
久遠「う、そ、それは・・・」
涼子「革ジャンの前を閉めてそのまま帰ったとの報告が来てます。写真もありますが、見ますか?」
久遠「何時の間に! くれっ!」
ナス「どれ、見せてくれ。(ひょい)顔を赤らめて辺りを気にしているのが痴女っぽいぞ」
久遠「誰が痴女だ! ったく、油断も隙もないな(びりびり)」
涼子「久遠さん、その後ジョーカーこと河井丈とお付き合いしているそうですが、本当ですか?」
久遠「!」
雪那「あ、あのような女性の敵と・・・しかも自分を辱めた殿方でしょう!?」
久遠「つ、付き合ってるわけじゃないよ。金とデートを賭けて勝負して負けたから、仕方なく一緒にあちこち行ってるだけで・・・」
涼子「そう言う割には自宅に食事を作りに行ったりしているようですが」
久遠「そ、それはあいつがロクなもん食べてないって言ってたから・・・」
瑞希「久遠、顔真っ赤だよ?」
ナス「この反応は惚れた男に対するものだな。素直になった方が男は喜ぶと思うぞ」
久遠「うがーっ! うるさい! ほっといてくれ!」
涼子「久遠さんを苛めるのはこれくらいにして、次に行きましょうか」
「(やっぱ涼子さんいじめっ子だ・・・)」

涼子「第十七話は雪那さんとジョーカーの対戦でした。雪那さんは薙刀用の道衣ですね。ジョーカーは相変わらずのピエロに似た格好です。この試合は<地下闘艶場>初の武器戦でした。雪那さんは薙刀、ジョーカーはステッキを使用しました」
雪那「勝てば会社に融資をして貰える、ということで闘いに望んだのですが、残念ながら敗れてしまいました・・・」
ナス「20歳で会社の経営者か、凄いな」
雪那「祖父から受け継いだ会社なので、私が凄いわけではないですよ」
「どんなことしてる会社なんですか?」
雪那「ペット用、特に犬用の商品の小売をしています。犬用の首輪やおやつだとか、おもちゃだとか。ワンちゃん用のTシャツなんかもありますね。私に直接言っていただければ、卸価格でお譲りできますよ」
涼子「さすが若くても経営者、そつがありませんね。」
瑞希「あれ? 負けたから融資して貰えなかったんじゃないの? まだ会社やってるの?」
雪那「そ、それは、その・・・ゆ、融資をしてくれる親切な方が見つかりまして、なんとかなりました(汗)」
「そうなんですか? なんだか口調が変ですけど」
雪那「き、気のせい、ですよ」
ナス「そういうことにしておいてやれ(にやにや)」
久遠「? なんか引っかかるなぁ」
涼子「こほん、話を戻しますよ。雪那さんは、試合中はこのふくよかなバストを散々責められています(つん)」
雪那「ちょ、ちょっと涼子さん!」
ナス「確かにでかいな・・・失礼(むにゅっ)」
雪那「きゃぁっ! な、なにしてるんですかナスターシャさん!」
ナス「いや、本物かどうか確かめたくなってつい・・・」
雪那「本物に決まってるじゃないですか!」
「わ、私も触っていいですか?(ふにゅっ)」
瑞希「じゃあボクも(ふにゅん)」
久遠「折角だからっと(むにむに)」
雪那「な、なんで皆して・・・いやぁぁぁん!」
「ふわぁ・・・おっきくて柔らかい・・・こんなおっぱいもあるんですね」
瑞希「ずっと触ってたくなるね」
雪那「あ、あんまりです・・・(泣)」
涼子「まあまあ、女性同士ですから気にせずに。でもこれだけ大きいと困ることも多いんじゃないですか?」
雪那「ええ、そうですね。下着のサイズが合うものがなかったり」
涼子「もしかして、試合で胸当てをつけなかったのはサイズがなかったせいですか?」
雪那「・・・はい。他にも、歩くだけで殿方に見られたり、痴漢に触られたり・・・」
ナス「そんな男どもなど(ピー)してしまえばいいのさ」
瑞希「痛い目に会わせるのは賛成するけど、(ピー)まではちょっと・・・」
久遠「(ピー)って・・・これ大丈夫なのか?」
涼子「こほん、話を戻しますが、試合は終始ジョーカーのペースで進み、道衣とブラを脱がされ、最後は下着を下ろされそうになったところでギブアップしています」
雪那「しょ、しょうがないじゃないですか、秘部を晒されそうになったんですよ?」
ナス「まったく、ヴァージンはこれだから困る」
涼子「ナスターシャさんならではの発言ですね。では丁度次はナスターシャさんの試合を振り返る番ですので、この発言の意味がわかるでしょう」

涼子「第十八話、ナスターシャさん対元橋様ですね」
ナス「・・・なぜ元橋だけ『様』を付ける?」
「それはね、ナスターシャさん(ぼそぼそ)」
ナス「ふむふむ・・・なるほど、そういうことか。涼子もいい趣味をしている」
涼子「・・・遥さん、後でお話があります」
「(びくっ)わ、私はないですから! 結構です!」
涼子「遠慮しなくてもいいんですよ?(にっこり)」
「うわーん、下手こいたー!」
涼子「ナスターシャさんはファイトマネーだけでなく自由も賭けての闘いでした。衣装は、黒い下着の上下にワイシャツ一枚という扇情的なものでした」
ナス「あれはさすがに恥ずかしかったな」
久遠「自由って・・・なにしたんだか」
ナス「裏社会の住人だと言ったろう? 知りたいのなら教えてやってもいいが(ニヤリ)」
久遠「え、遠慮しとく」
涼子「ナスターシャさんは試合中にワイシャツどころか下着も脱がされて、それでも闘い続けました。そんな人は今までいません。暮内ゆかりさんが試合終了後にオールヌードを一瞬披露したくらいですね」
雪那「それって、全裸で闘った、ということですか? な、なんて破廉恥な!」
ナス「自由が懸かっていたんだ、裸くらい我慢するさ」
涼子「それでも最後は失神して敗北してます」
「見せ損でしたね・・・」
ナス「・・・うるさい」
瑞希「ところで、その首輪は? 似合ってるけど、そんな趣味なさそうなのに」
ナス「これか? これは今の雇い主への忠誠の証だ。昼も夜も忠勤に励んでいるぞ」
久遠「一日中ってことか。大変だな」
雪那「ちょっと待ってください、夜も、って・・・もしかして、あの、その・・・」
ナス「ああ、ベッドの上でもな。勿論これは私への褒美の意味もあるが」
久遠「(真っ赤)」
雪那「(真っ赤)」
「(真っ赤)」
瑞希「(真っ赤)」
涼子「あっさりと言いますね。他の皆さんは経験がないんですから、もう少し婉曲な言い回しでお願いしますね」
ナス「お前は表情一つ変えていないな」
涼子「その手の話は興味ありませんから」
ナス「もし相手が元橋でもか?」
涼子「! そ、それは・・・」
久遠「げ、涼子さんが赤くなってる」
「ナスターシャさんやるなぁ」
涼子「ナ、ナスターシャさんの話はここまで! 次に行きます!」

涼子「第十九話は、遥さんことダークフォックス対マンハッタンブラザーズの二人という変則マッチですね」
「どうせ邪魔したり乱入してきたりで、結局は二人を相手にするのがわかってましたから。その代わりレフェリーには手出しさせないって約束させましたし、狙い通りでした。苦戦はしましたけどね」
涼子「しかし、よく復帰できましたね。二度とリングに上がることもないと思っていましたが」
「・・・そうですね。おニューのマスクが届けられなかったら、プロレス自体も辞めてたかもしれません。マスクを作ってくれた人に感謝ですね」
涼子「(暫し沈黙)・・・口止めされていましたが、実はあれはマヤさんの作品です」
「え、マヤさんって、私の知ってるマヤちゃん?」
涼子「ええ、そうです」
「そっか・・・ファッションデザイナー目指してるって言ってたもんね。会ってお礼が言いたいなぁ」
涼子「現在はフランスに留学中ですから難しいかもしれませんね。試合の方ですが、マンハッタンブラザーズの二人を倒した後、レフェリーとの対戦に持ち込み、KOしました」
「ふっふっふ、あれはスカッとしました!」
涼子「あれは<地下闘艶場>出場者全員が溜飲を下げましたね」
久遠「やってくれたね、サンキュッ!」
雪那「遥さん、ありがとうございます」
ナス「ま、それくらいはしなきゃ反省しないだろ」
瑞希「・・・ボクもコテンパンにしてやればよかった」
涼子「でも、ちょっとサービスしすぎたんじゃないですか?」
「そうかなぁ」
涼子「自分から抱きついたり、胸を押し付けたり、投げキッスしたり・・・」
「あ、あれは、ダークフォックスの人格というか、あのマスクを着けてるときの私というか・・・」
涼子「遥さんの隠された本性、ですね」
「そんな、違いますよ!・・・涼子さん、さっきの根に持ってます?」
涼子「なんのことでしょうか?(微笑) では次に行きましょうか」
「ううっ、笑顔が逆に怖いよう・・・」

涼子「第二十話。瑞希さんとミステリオ・レオパルドの対戦です。瑞希さんは初の『ボクっ子』ですね。あと、左頬にある傷はどうしたんですか?」
瑞希「うちの近くで暴走族が騒いでてさ、最初は我慢してたんだけど、三日連続ともなるとブチ切れちゃって。ヌンチャクで全員叩きのめしてやったとき、ナイフで切られちゃった。油断したなぁ」
久遠「あっさりと言うね。顔に傷が残っても良かったのか?」
瑞希「良くはないけどさ、あまり気にしないから」
涼子「話を戻しましょうか。瑞希さんに用意された衣装はカンフー着でした」
瑞希「そうだけど、あんなに露出が多いものは見たことないよ」
涼子「おそらく特注品でしょう。サイズもぴったりだったでしょう?」
瑞希「う? うん、まあそうかな」
涼子「試合ですが、最初は高度な技の応酬が繰り広げられましたが、瑞希さんがスタミナ切れにより失速、屈辱技のオンパレードをかけられ、最後はフォール負けです」
瑞希「だ、だって厭らしいことしてくるんだもん、頭に来ちゃって・・・」
ナス「それくらいで冷静さをなくすとは、勝てるものも勝てないぞ」
瑞希「そんなこと言ったって・・・乙女の身体を汚されたんだよ? ボクまだ男の子と付き合ったことすらないのに」
ナス「汚された、って、別に犯されたわけじゃあるまいに。丁度いいじゃないか、そのミステリーパレードと付き合え」
瑞希「ミステリオ・レオパルドだし、そんなつもりもないよ! 酷いことしてきた対戦相手と付き合うような、バカな真似はしたくないっ!」
久遠「(ぴくり)」
「ちょ、ちょっと瑞希、それ言ったら久遠が・・・」
久遠「いいんだよ、あたしと丈は付き合ってるわけじゃないんだから(ひくひく)」
涼子「言葉とは裏腹に怒った表情なのはなぜでしょうね」
瑞希「あ・・・ごめん久遠、そういうつもりじゃなかったんだ、ただミステリオ・レオパルドみたいにむかつく奴と付き合う気はないって言いたかっただけで・・・」
久遠「もういいって言ってるだろ!」
瑞希「なんだよその言い方!」
久遠「なんだとはなんだ! 表出ろ!」
瑞希「上等だ! やってやろうじゃん!」
「待ちなよ二人とも! 冷静になって!」
涼子「そうですよ、17歳処女同盟」
久遠瑞希「なんだそれ!?」
「しかもそれだと私も入るんですけど・・・」
涼子「まだ座談会の最中ですし、どうしても暴れたいと言うのなら、私がお相手してもいいですよ?(にっこり)」
久遠「い、いや、そこまでしてくれなくていいよ」
瑞希「あれー、久遠怖気づいたの?」
久遠「(小声)バカ、涼子さん鬼のように強いんだぞ、あたしとあんたの二人掛かりでも勝てるかどうか・・・」
瑞希「・・・マジ?」
涼子「どうしますか二人とも?」
久遠「や、やだなぁ涼子さん」
瑞希「そ、そうだよ、ほら、ボクたちこんなに仲良し!」
涼子「『仲良きことは美しきかな』。これからも喧嘩しないでくださいね?」
久遠瑞希「も、勿論です!」

涼子「さて、今日はこの辺でお開きと致しましょう。ああ、遥さん、帰るのはまだ早いですよ?」
「(ぎくっ)い、いえ、明日は朝早いので、今日はこれで失礼しようかなーって」
涼子「まだいいじゃありませんか。少し付き合って頂けますね?(にっこり)」
「うわーん、誰か助けてーっ!」
雪那「わ、私仕事に戻らないと」
ナス「私も仕事があるんでね。悪いな」
久遠「おっと、今日は確かライブの日だった」
瑞希「えっと・・・遥ごめん、ボクまだ死にたくないから」
「薄情者ぉーっ!」
涼子「それでは皆さん、またの機会にお会いしましょう(ずるずる)」
「誰でもいいから、涼子さん止めてーっ! 助けてーっ、も、元橋さーん・・・!(フェードアウト)」


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