一回戦第十二試合
 (コンテ・大倉 対 エキドナ)

「一回戦第十二試合を行います!」
 黒服の合図と共に、二人の男女がリングに上がった。
「赤コーナー、『ブリザード』、コンテ・大倉!」
 コールに応え、大倉が右腕を突き上げる。早矢仕とのタッグで知られているが、実力は低くない。
「青コーナー、『ゴーゴンシスター』、エキドナ!」
 「エキドナ」。正体不明の覆面美女レスラー。過去に一度マスク・ド・タランチュラと対戦し、実力でKO勝ちを収めている。
 今日も前回と同じく、蛇の鱗をモチーフとしたマスクとコスチュームを身に着けている。
「レフェリーは九峪志乃です」
 志乃の衣装は、第九試合と同じくミニスカ姿だった。ミニスカートから伸びるむっちりとした太ももは成熟した大人の魅力を放っており、涎を垂らしそうな表情で見入っている観客もいる。
 そんな観客の視線は無視し、志乃は大倉とエキドナに通常のボディチェックを行い、試合開始を告げた。

<カーン!>

 ゴングと同時に大倉が前に出る。エキドナとの距離を詰め、キックで牽制していく。しかし、そのキックは悉く空を切る。
「シッ!」
 逆にエキドナの鋭い蹴りが大倉の左脇腹を捉えた。
「ぐっ!」
 大倉は痛みを堪え、一旦距離を取る。否、取ろうとしたのだが、エキドナが鋭いスピードで逆に間合いを詰めていた。
「シィィィッ!」
 鋭い呼気と共に、エキドナの連打が大倉を襲う。大倉もガードで凌ぐが、その腕が赤く腫れていく。
(セクハラされる前に、さっさと決める!)
 その思いが、エキドナを焦らせた。不用意に放ったハイキックを避けられ、大倉から胴タックルで密着される。
「くっ!」
 慌てて背中に肘を落とそうとしたが、そのときには大倉が背後に回っていた。その手がエキドナのバストを掴む。
「ちょっと、どこ触って・・・」
 言い終える前に、エキドナの足はリングから離れていた。
「しまっ・・・」
 そのまま背中からリングに落とされる。
「あっぐぅ・・・」
「ふん、投げ一発でオネンネか。まあいい、きついのを貰ったお返しをさせて貰うぜ」
 大倉は両腕を振った後、背中を押さえて呻くエキドナに馬乗りになり、両手でバストを鷲掴みにして揉みしだく。
「いい感触だ。大きさも中々。だが、もう一回り大きくなるくらい俺の手で揉みまくってやる」
 大倉はエキドナのバストを揉みくちゃにし、柔らかい感触と自分の手で変形する様を楽しむ。
「いつまで触ってるのよっ!」
 エキドナが腕を伸ばして大倉の髪を掴んで引き寄せ、ビンタを入れる。
「がっ!?」
 目の前に星が飛んだほどの威力に、大倉が引っくり返る。
「よくも人の胸をこれだけ好き勝手にしてくれたわね・・・」
 エキドナは怒りを隠そうともせず、大倉の髪を掴んで無理やり立たせる。そして、もう一発手加減抜きのビンタを入れる。
「・・・あ・・・お・・・」
 軽い脳震盪を起こした大倉は腰が落ち、上半身がふらつく。
「行くわよ!」
 叫んだエキドナが大倉に向かってダッシュし、高い跳躍を見せながら空中で前方回転する。エキドナの右腕は大倉の首に巻きついていた。
「せぇぇぇいっ!」
 エキドナのフェイバリットホールド・<ローリングエクスキューショナー>が大倉の首を狩る。白目を剥いて痙攣する大倉の状態を見た志乃が、即座に試合終了を告げる。

<カンカンカン!>

 ゴングを聞いたエキドナがゆっくりと立ち上がる。ただそれだけの行為に華があり、観客の注目を集める。しかしエキドナは観客に手を振ることも、視線を送ることすらせず、静かに花道を退場していった。

 一回戦第十二試合勝者 エキドナ
  二回戦進出決定


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