一回戦第六試合
 (九条雪那 対 虎路ノ山)

「それでは、一回戦第六試合を始めます! 選手、入場!」
 黒服の合図と共に、細身の女性と巨漢の男性がリングに上がる。
「赤コーナー、『ホワイトスノー』、九条雪那!」
 「九条雪那」。20歳。身長160cm、B94(Iカップ)・W58・H86。背中で一纏めにされた美しく長い黒髪。その名の通り雪を思わせる白皙の肌。優しい目元、すっと伸びた鼻梁、可愛らしい桃色の唇。愛らしい顔立ちは見る者を惹きつけずにはおかない。幼い頃から嗜みとして華道、茶道、乗馬、習字などを習い、護身の術として薙刀を習った。その腕前は師範クラス。かつて権勢を誇った九条グループの一員で、若くして経営者の顔を持つ。
 過去に一度<地下闘艶場>に薙刀を使った武器戦形式で参戦し、ジョーカーに徹底的に嬲られた。今回はプロレスルールのため、薙刀は使えない。素手での実力は未知数だが、観客は雪那の嬲られる姿を想像して興奮を高めていた。
 今日も前回と同じく、薙刀用の正装(胸当てはない)をしている。その表情は固く、望んだ参戦ではないことを窺わせた。
「青コーナー、『喧嘩相撲』、虎路ノ山!」
 虎路ノ山はかつて序二段を張っていた現役力士だったが、酔っ払い運転で人身事故を起こし、廃業させられた。しかし<地下闘艶場>に拾われ、何試合かこなしている。今日もスパッツの上からまわしを締め、手と足にバンテージを巻き、頭の上には丁髷が乗っている。
「レフェリーは三ツ原凱が務めます」
 先程、蒲生漣次 対 藤嶋メイ戦でレフェリーを務めた凱が再びリングに上がった。今のところ紳士的なボディチェックしか行っていない凱に対し、観客席からは不満の空気が感じられた。

 虎路ノ山のボディチェックを済ませた凱が、雪那の前に立つ。
「それでは、ボディチェックをさせて頂きます。宜しいですね?」
「・・・はい」
 固い表情のまま頷く雪那に対し、凱はいきなり盛り上がった胸元に手を這わす。
「な、なぜ胸を触るんですか!」
 突然のセクハラに、雪那がその手を払う。
「なぜって、不自然に膨らんでいるからですよ。レフェリーとしては、怪しい部分を調べるのは当然です」
 しかし凱は動じた様子もなく、雪那の目をじっと見つめたまま説明を行う。
「ボディチェックを受けなければ失格になりますが、宜しいですか?」
「そ、それは・・・」
 失格という言葉に、雪那が動揺する。雪那には闘わなければならない理由があった。

 雪那は、二十歳にして会社の経営者だった。九条グループ総帥の祖父から譲り受けた会社だったが、雪那の才は順調に業績を上向かせた。しかし祖父の死が九条グループ全体の衰退を招き、雪那の会社もそれに引きずられ、不渡りを出す寸前にまで追い込まれた。そこで融資を条件に<地下闘艶場>に参戦したのだが、ジョーカーとレフェリーのセクハラ攻撃にギブアップし、融資は受けることができなかった。
 傷心の雪那に、再び「御前」の手が伸びた。「御前」が融資を行うことを条件に、今回の参戦を命じたのだ。観客を沸かす闘いができれば、もしくは勝利を挙げることができれば、雪那に融資を行う。ここで失格になってしまえば、融資の話もなくなってしまう。

「返答がないということは、ボディチェックを受けないということですね。では、雪那選手は失格ということで・・・」
「待ってください!」
 リング外に向かおうとした凱に、雪那が呼び掛ける。
「・・・なにか?」
 呼び止めておいてなにも言おうとしない雪那に、凱が聞き返す。
「その・・・ボ、ボディチェックを・・・してください」
「宜しいのですか? 先程は嫌だと言っていたのに」
 わざとらしい凱の言葉に、雪那の顔にちらりと怒りが走る。
「それは・・・その・・・ボディチェックを、お願いします」
 それでも反論することをせず、ボディチェックを頼む。
「わかりました。でも、もう動くのはおやめください」
 凱は再び雪那のバストに手を伸ばし、道衣の上から撫で回す。
(耐えなきゃ・・・こ、このセクハラを耐えないと、試合もできない。試合をしなければ、融資も受けられない・・・!)
 雪那はバストを弄ってくる凱の手におぞましさを感じながらも、必死に自分を宥めていた。
「ふむ・・・ここまで大きいと、調べるのが大変ですね」
 凱はボディチェックとは名ばかりの手つきで、雪那の大きすぎるバストを堪能していた。撫でるだけではなく、揉み、弾ませる。
「失礼」
 しかも道衣の前を開き、その状態でIカップバストを揉みしだく。
「ちょ、ちょっと待ってください、それは・・・」
「道衣の上からだと、感触がよくわからないんです。一度裸になって見せてもらえる、と言うことならこのようなことはしませんが」
 凱は雪那のバストを揉みながら、いけしゃあしゃあと言ってのける。
「そんなこと、できるわけありません!」
「そうですか、なら、もう少しだけお待ちください」
 雪那の高くなった声にも動じる様子がなく、凱は雪那のバストを揉み続ける。
(この前のレフェリーとは違う人だけど、セクハラしてくるのは全く一緒・・・なぜ、<地下闘艶場>の男性はこういう人ばかりなの!)
 雪那の怒りも、融資の約束の前では無力だった。雪那にできるのは、試合開始までセクハラを耐えることだけだった。

「ふむ、この膨らみは本当に乳肉のようですね。では試合を始めるとしましょうか」
 ひたすら雪那のバストを揉み続けた凱が、ようやくゴングを要請する。

<カーン!>

(この屈辱は、試合で晴らします!)
 顔が赤らんだ雪那は、怒りの込もった視線で虎路ノ山を睨む。しかし、その視線は虎路ノ山の肉体に跳ね返された。雪那より頭一つ以上高く、横幅は倍以上。体力、筋力とも雪那の比ではないだろう。
「これは見事な大きさの胸ではないか! 今日は楽しませてもらうとしようか!」
 虎路ノ山が舌舐めずりし、雪那との距離を詰める。
「そおれっ!」
「くっ!」
 虎路ノ山の挨拶代わりの張り手を、雪那がぎりぎりでかわす。雪那が身動きするたび、膨らんだ胸元が独立した生き物のように揺れる。その様に、観客の視線が雪那の胸元に吸い寄せられる。
「逃げるのは上手いようだが、逃げるだけでは儂に勝てんぞ!」
(ただ逃げているわけでは・・・今!)
 虎路ノ山の張り手を手繰り込んだ雪那が、綺麗な合気道の小手投げを見せる。細身の美女が巨漢を投げ飛ばした光景に、観客席から驚きの声が上がる。
「ここで、決めます!」
 長引けば体力に劣る雪那が不利だし、どんなセクハラを受けるかわからない。虎路ノ山の右手首を持って、肘を極めにかかる。
「えいっ!」
「ぬがぁっ!」
 自分の膝を支点として、両手で思い切り虎路ノ山の右手首を引っ張る。
「早くギブアップしてください、肘が折れますよ!?」
 雪那の言葉に、虎路ノ山が歯を食いしばる。
「そ、そんな簡単に諦める筈がなかろう・・・」
 痛みを堪え、右手に力を込める。
「ぬぅぅ・・・どっせぇい!」
 虎路ノ山の気合諸共、右肘を極めていた雪那が弾き飛ばされる。
「ぬぐぅ、デカ乳に油断していたわ。しかし、もう隙は作らんぞ!」
 片膝立ちになり、右肘を押さえた虎路ノ山が、表情を険しくする。
(・・・大丈夫、凄まれたって、さっきみたいに投げ飛ばせばいいんだから)
 雪那は自分に言い聞かせ、改めて構え直す。立ち上がった虎路ノ山はのそり、と距離を詰める。その圧力に、雪那は知らず後ろに下がっていた。
「おっと、レフェリーにぶつからないでください」
 背中に何か当たったと思った瞬間、両腕を押さえられてしまう。
「え? いきなり何を」
「隙ありぃ!」
 虎路ノ山は身動きできない雪那の襟を掴み、一気に引き下ろす。
「えええっ!?」
 思わず逃げ出そうとした雪那だったが、その代償に道衣の上を取られてしまう。
「むっほぉ、道衣を脱いだら尚更凄いのぉ! そのデカ乳は男を狂わす魔物じゃぁ!」
 雪那のTシャツを盛り上げる胸元を見た虎路ノ山の鼻息が荒くなる。雪那は本能的に胸元を隠していた。
「隠しても無駄じゃぁ、すぐに剥き出しにしてやるぞ!」
 興奮を隠そうともせず、虎路ノ山が突進する。
「ふぅんっ!」
 頭上から振り下ろされる左腕に意識が行った瞬間、虎路ノ山の右手がTシャツを掴む。左手も遅れてTシャツを掴み、左右に開く。
「きゃぁぁぁっ!」
 音高くTシャツが破かれ、ブラに包まれた雪那の特大バストが姿を現す。
「・・・辛抱堪らん!」
 派手な揺れに誘われたように、虎路ノ山の両手は雪那のバストを掴んでいた。
「ぐっふっふ、ここまで大きな胸は初めてだわい!」
 虎路ノ山のごつい指が雪那のバストを蹂躙する。
(また私の胸を・・・でも!)
 雪那の掌底が、虎路ノ山の肘を外側から叩く。
「ぬぐっ」
 先程痛めた右肘を再び打たれ、虎路ノ山の手が雪那のバストから離れる。しかしそれも一瞬だった。
「なんのこれしきぃ!」
 虎路ノ山の左手が雪那のブラに掛かると、虎路ノ山の怪力でブラが引き千切られる。その瞬間、まるで内側から爆発したかのように乳房が飛び出した。
「え・・・きゃーーーっ!」
 自分の乳房が丸出しにされたことに気づき、雪那が慌てて胸元を庇う。しかしあまりに大きな乳房のため、全てを隠すことはできなかった。
「うむぅ・・・こんなど派手な揺れは見たことないわ」
 虎路ノ山も追い討ちを忘れ、雪那の揺れる乳房をただ眺めていた。
「いかんいかん、ただ見ているだけなど勿体無いわ!」
 虎路ノ山は頭を振り、闘いに切り替えようとする。
「そぉれぃ」

(ぽよん)

 しかし完全には切り替わらず、虎路ノ山の突っ張りは雪那の乳房を弾ませた。
「や、ちょっと、触らないでください!」
 胸元を隠し、雪那が逃げる。
「逃さんぞ!」

(ぽよん)

 逃げる雪那の横側から再び乳房を弾ませる。
(また、こんな真似を・・・!)
 自分の乳房を触られ、雪那の顔が紅潮する。
「えいっ!」
 再び伸ばされた虎路ノ山の右手首を掴み、小手投げで投げる。しかし両手を使ったために、乳房が露わになってしまう。激しく揺れる乳房に、観客の目が吸いつけられる。
「眼福ですね。レフェリー冥利につきます」
「え?・・・きゃぁっ!」
 凱から指摘され、雪那がまた胸元を隠す。
「ぬぁぁっ!」
「あっ?」
 リングに転がった虎路ノ山が雪那の脚を払う。尻餅をついた雪那はすぐに立ち上がったが、虎路ノ山もほぼ同時に立ち上がる。
「・・・油断したが、もうさっきのようにはいかんぞ」
 表情が引き締まった虎路ノ山が、小さく素早い張り手を繰り出す。
(くっ・・・投げを狙おうにも、このままでは)
 胸元を隠しながらでは、動きに制限がかかる。それでも、雪那は虎路ノ山の攻撃をかわし続けた。
「よく逃げるな・・・それでは、こうだ!」
 虎路ノ山は張り手と見せかけて雪那の細い胴に両腕を回し、力強く締め上げる。
「あああっ!」
 虎路ノ山のさば折りに、雪那の口から苦鳴が零れる。
「むっふぅ、生乳の感触が堪らんわ!」
 虎路ノ山の胸には雪那の剥き出しの乳房が押し付けられる格好となり、その大きさと柔らかさがはっきりと感じ取れる。
「これだけでかくて柔らかいと、辛抱堪らん!」
 雪那の乳房の感触に虎路ノ山が加減を忘れ、本気で締め上げる。
「あぐぅぅっ!」
 内臓を締め潰されるような痛みに、堪らず雪那が叫ぶ。
「いい声だ、しかしこんなものでは済まさんぞ!」
 虎路ノ山の右手がヒップを鷲掴みにし、揉み解す。
「いやっ、そんなこと・・・!」
「ぬっふぅ、尻もいい弾力ではないか。だが、ここはどうだ?」
 虎路ノ山の手が更に進み、雪那の秘部を弄る。
「ひっ!」
 あまりのことに、雪那の表情が固まる。しかし、その間も虎路ノ山のごつい指が雪那の秘部を撫で回していた。
「むっふぅ、柔らかくていい塩梅だ。どうせなら、直に見るというのも手だな」
 虎路ノ山の表情は、冗談を言っているようには見えなかった。
「も、もう、ギブアップします・・・!」
 雪那のか細い敗北宣言が告げられる。
「そうか、負けを認めるか・・・そぉれぃっ!」
 虎路ノ山の豪快な呼び戻しで、雪那の細身の身体がリングに叩きつけられる。この一撃に雪那の意識は完全に飛んでいた。これ以上は危険だと判断した凱が、即座にゴングを要請した。

<カンカンカン!>

 ゴングが鳴らされてからも、虎路ノ山は失神した雪那から離れようとはしなかった。レフェリーの凱もそれを止めようとはせず、意識を失った雪那はその肢体を弄ばれ続けた。観客も、美巨乳を露わにしたまま嬲られる雪那の姿に興奮の叫びを上げた。


 一回戦第六試合勝者 虎路ノ山
  二回戦進出決定


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