【一回戦第十試合】
 (ジョルジュ・マホーニー 対 ニナ・ガン・ブルトン)

「続きまして、一回戦第十試合を行います!」
 黒服の合図と共に、先程同様二人の男女がリングに上がる。
「赤コーナー、『ブラックネスト』、ジョルジュ・マホーニー!」
 コールを受けたジョルジュは両手を掲げ、歓声に応える。筋肉豊かな黒人で、頭部には大きなアフロが鎮座している。
「青コーナー、『天然ムエタイ戦士』、ニナ・ガン・ブルトン!」
「ニナ・ガン・ブルトン」。18歳。身長165cm、B91(Fカップ)・W58・H86。インド出身。大きな瞳と褐色の肌のエキゾチックな美人。紡錘形のバスト、細く括れた腰、形のいいヒップ。腰まで届く黒髪を三つ編みにしている。広大な綿花畑とITで財を成した父親を持ち、幼少の頃はイギリスに留学し、現在は日本に留学している。英語、日本語、スペイン語、フランス語、サンスクリット語、ヒンディー語など十以上の言語を操る才女。イギリスでキックボクシングと出会い、日本ではムエタイジムに通って体を鍛えている。
 前回のシングルトーナメントでは闘いに不向きなブラトップにロングスカートという格好でリングに上がり、マスク・ド・タランチュラ相手にギブアップしている。今回は紺色のジャージの上下に素足、というまるで色気のない格好だった。但し両手にはオープンフィンガーグローブを嵌めている。
 この試合を裁くのは三ツ原凱だった。凱はジョルジュに普通のボディチェックを行った後、ニナの前に移動する。
「・・・また、ですか?」
 前回のシングルトーナメントでも、ニナの試合を裁いたのは凱だった。試合前のボディチェックで散々ニナの身体を弄り、ニナは半泣きとなっている。
「またと言われても、これが仕事ですから。ボディチェックを拒みますか? それならば失格ということになりますが」
「そ、それは、困ります」
 失格になればファイトマネーも出ない。ニナは今回も諦め、ボディチェックを受け入れた。
「では、動かないように」
 凱はニナの肩から押さえていき、その突き出たバストを掴む。
「ひぁっ」
「相変わらず大きいですね。何か隠していなければ、ここまで膨らまない筈です」
「な、なにも隠してないです」
 ニナは首を振って否定するが、凱は気にも留めずにニナの紡錘形のバストを揉み続ける。
「触られるのが嫌ならば、服を脱いで見せて貰えますか?」
「そ、そんなことはできないです」
 ニナは尚一層身を縮ませ、ひたすら凱のセクハラに耐えていた。

 暫くニナのバストを揉んでいた凱だったが、すっと離れ、ゴングを要請した。

<カーン!>

「・・・さっさと終わらせますからぁ!」
 凱からセクハラを受け続けた所為か、ゴングと同時にニナが前に出る。
「エヤァッ!」
 そのまま蹴りの連打を叩き込む。ジョルジュは避けることもせず、全て被弾する。
「!?」
 しかし、蹴りを放ったニナの顔が驚きの色に変わる。ニナの蹴りは、ジョルジュの分厚い筋肉に全て弾かれていた。
「ゴータイホーを覚えた私は無敵でーす!」

「剛体法」。
 筋肉を収縮させて高密度の鎧と化し、相手の打撃を通さない技術だった。生まれつき筋肉量が多く、更にウェイトトレーニングで鍛えるジョルジュにはうってつけの技だった。

(ごーたいほー・・・GO大砲?)
 どこかずれた感想を持ちながら、それでもニナは蹴りの連打を止めない。ニナが蹴りを放つたび、ジャージの下で膨らみが跳ね回る。しかし、ニナの蹴りは通じなかった。顎と金的をガードしたジョルジュがじりじりと距離を詰めてくる。
「えぇいっ!」
 大振りのローキックを放とうとした瞬間、ジョルジュに抱きつかれていた。
「ええっ?」
 反射的に放った肘打ちは、ジョルジュが背後に回ったことで空を切った。しかもバストを掴まれる。
「おっほほぅ! これが噂のロケットおっぱいですねー!」
 ニナの紡錘形のバストを味わいながら、ジョルジュがにやける。
「だ、駄目です、触っちゃ駄目ですぅ!」
 ニナがわたわたと焦るが、ジョルジュの手はニナのバストを揉んだままだ。
「それではー、次はこのチャックを下ろしちゃいまーす!」
 ジョルジュのごつい指がニナのジャージのファスナーのフックに掛かり、一気に引き下ろす。その途端、合わせ目を割るようにしてニナのバストが飛び出してきた。突然現れた紡錘形のバストに、ブラに包まれているとは言え観客席から驚きの声が上がる。
(み、見られちゃいました・・・)
 ニナがボディチェックのときに服を脱ぐことを拒否したのは、このことも原因だった。自宅からジャージで会場まで来て、控え室でジャージを一度脱いだときに初めて、自分が下着の上にジャージだけ着てきた事実に気づいたのだ。
「Oh! ジャージの下がすぐブラなんて、随分積極的ですねー!」
 両手でニナのバストを捏ね回しながら、ジョルジュが嬉しげに叫ぶ。
「ち、違います! ただ着忘れただけです!」
 反論しながら身を捩るニナだったが、ジョルジュの怪力に押さえ込まれて逃れることができない。
「これは揉み甲斐がありまーす。堪りませんねー!」
 ニナのバストの感触ににやけながら、ジョルジュはバストを揉み続ける。
「は、放してください!」
 ニナがジョルジュの手を叩いても、その程度でジョルジュがやめるわけもなかった。
「それでは・・・そろそろ、生で見せてもらいましょうか」
 遂にジョルジュの手がブラに掛かった。
「あっ・・・」
「ごかいちょーでーす!」
 ジョルジュがブラをずらした瞬間、まるで乳房が自ら飛び出したようだった。勢いよく跳ね、存在感を誇示する。
「Oh、これが生のロケットおっぱいですねー!」
 ジョルジュがニナの乳房を掴み、捏ね回す。
「あ、や、やめてくださいぃ!」
 ブラの上から揉まれるのと、直接揉まれるのとでは不快感がまるで違う。なんとかやめさせようとジョルジュの手や腕を叩いてみるが、ジョルジュはまるで堪えた様子もなく、嬉々としてニナのバストを揉んでいる。
「それでは、ロケット発射でーす!」
 いきなりジョルジュがニナの乳首を摘み、紡錘形の乳房を更に伸ばそうとでもいうのか前方に引っ張る。
「痛い痛い痛い! 痛いです!」
 無理に乳房を引っ張られる痛みに、ニナが苦鳴を上げる。
「Oh、これは失礼しました、もうちょっと優しくしないとぼっ!?」
 ジョルジュがニナの乳房から手を放した途端、その鼻をニナの肘が抉っていた。油断していた状態では、剛体法をする間もなかった。
「・・・ここまでするんですね」
 距離を取り、ブラを直したニナの口から低い呟きが洩れる。
「ここまで? No! まだまだもっと凄いことをしちゃいますよ〜」
 ニギニギと厭らしく手を開閉させるジョルジュの顔面に向かい、ニナの右足が跳ね上がった。
「何度やっても無駄でーす・・・っ!?」
 余裕で受けた筈のジュルジュが、左耳を押さえて蹲った。
「耳が、耳がぁぁぁっ!」
 耳の奥から叩きつけてくる痛みに、タフなジョルジュが苦鳴を放つ。
 ニナの右足の甲がジョルジュの耳を叩き、鼓膜を打ち破っていた。幾ら筋肉を鍛えたとしても、鼓膜までは鍛えられない。
「フシィッ!」
 ニナの飛び膝蹴りがジョルジュの顔面を叩き潰し、リングへと這わせた。
「ワン、ツー、・・・」
 カウントを進めようとした凱だったが、すぐに試合を止めた。

<カンカンカン!>

 ジョルジュは白目を剥き、痙攣を起こしていた。すぐに担架が運び込まれ、ジョルジュの巨体を乗せて花道を下がっていく。
「あぅぅ、ファスナーが上がりません」
 ジョルジュの馬鹿力で無理やり下げられたファスナーは、最早使い物にならなかった。何度かファスナーを締めようとしたニナだったが、最後には諦め、ジャージの前を合わせて頬を染めたまま退場して行った。


 一回戦第十試合勝者 ニナ・ガン・ブルトン
  二回戦進出決定


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