第五試合レポート

 UGCタッグマッチ選手権第五試合、これが準決勝第一試合になる。対戦カードはピュアドールズ 対 十七歳処女同盟。
 両チームとも熱狂的なファンがついており、観客席からは両チームへの声援が大音量で飛び、耳を劈くばかりだった。
 リング上で向かい合うピュアドールズと十七歳処女同盟。十七歳処女同盟の二人は前回同様、オープンフィンガーグローブを装着している。
 先発は栗原美緒と稲角瑞希。瑞希の鋭い蹴りの連打を美緒がかわし、或いはブロックして致命打にはさせない。少し苛ついた瑞希がハイキックを放った隙に美緒が片足タックルでダウンを奪う。しかし瑞希も美緒を蹴って右足を引き抜き、距離を取る。天現寺久遠の声に少し迷ってからタッチ、これを見た美緒もピュアフォックスにタッチした。
 これでリング上はピュアフォックスと天現寺久遠の闘いに。両者とも鋭い視線で相手の出方を窺い、じりじりと距離を詰めていく。
 先手を取ったのは久遠。大振りのボディブローをピュアフォックスがガードして反撃に出ようとした瞬間、ロシアンフックで右頬を打ち抜く。これでふらついたピュアフォックスを追い、顔面へのハイキック。ダウンしたピュアフォックスに馬乗りになり、マウントポジションに。
 しかし、ピュアフォックスもただでは終わらない。久遠のパウンドをかわすと同時に右腕を掴んで動きを止め、下から頭突きをかます。これには久遠も堪らず顔を押さえて後退、ピュアフォックスは素早く立ち上がると棒立ちの久遠をフランケンシュタイナーに切って取る。
 フォールに入ったピュアフォックスだったが、2カウントで久遠が返す。ダメージの残る両者はほぼ同時に交代。
 美緒がリングに出たとき、瑞希のダッシュからの飛び蹴りという奇襲をまともに喰らう。吹っ飛び、ロープの反動で戻ってきた美緒に瑞希の連打が浴びせられる。
 何発か貰いながらもガードしていた美緒は、ミドルキックを左腹部に受けながらも強引に接近、瑞希をベアハッグに捕らえる。
 そこへ、ピュアフォックスのスワンダイブ式ミサイルキックが瑞希の顔面に突き刺さる。美緒はそのまま浴びせ倒し、フォールに入る。しかしすぐに久遠が美緒を蹴ってカットする。
 ここで美緒が久遠をリング外に落としてからピュアフォックスと交代、瑞希も交代したかったが、ピュアフォックスがそれを許さない。素早くSTOに捕らえ、瑞希の顔面を締め上げる。がっちりと極まったSTOだったが、瑞希は両手でロープまで這い、ロープブレイクに逃れる。
 中々立ち上がれない瑞希。ピュアフォックスが髪を掴んで立たせようとすると、瑞希がボディブロー。お腹を押さえて呻く隙に漸く久遠と交代。ダメージの深い瑞希はコーナーに立っていることもできず、場外に蹲ってしまう。
 ピュアフォックスも無理せず美緒と交代。久遠はタックルに来た美緒を膝で迎撃、更にミドルキックを繰り出すがこれは美緒がガード。そこから美緒が飛行機投げで久遠をリングに叩きつけ、間髪入れずピュアフォックスがムーンサルトプレスでの追い討ちをかける。
 美緒がフォールに入ったが、久遠はこれを2.8で返す。ここで美緒はピュアフォックスにタッチ。
 ピュアフォックスの綺麗な弧を描いたフライングニールキックが、ふらふらの久遠の側頭部を直撃。久遠はロープにもたれてぐったりとなる。そこにピュアフォックスが走り寄る。
 ピュアフォックスの放った得意技のフランケンシュタイナー。これをグロッキー状態だと思われた久遠が踏ん張り、パワーボムで切り返す。
 もう久遠に抵抗はないと思った油断か。ピュアフォックスは自らの技の勢いも加えられたパワーボムの威力に、フォールを返そうというアクションが見られなかった。
 ピュアフォックスが動かないと見て取った美緒は、素早くカットへと飛び出す。観客の誰もがカットは間に合ったと思った。しかしその横合いから瑞希が体当たりを仕掛け、僅かにカットを遅らせた。
 美緒のカットは後一歩、指一本分の差で間に合わず、レフェリーの楓の手はスリーカウントを叩いた。
 この激闘に、観客からは暫く拍手が鳴り止まなかった。また、四人はお互いの健闘を称え、それぞれ握手を交わす。今までの試合には見られなかった光景に、観客席からは一層の拍手が巻き起こった。
 これで、最初に決勝進出を決めたのは十七歳処女同盟と決まった。

十七歳処女同盟 ○(28分05秒 パワーボムからのフォール勝ち)● ピュアドールズ

 投票数     8 対 11
 メッセージ数  1 対 2

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